新規事業の旅37 会社を居場所に置き換える

2023年2月9日 木曜日

早嶋です。

10代、20代の若者と話をしていて引っかかる言葉がある。「居場所」だ。若者は頻繁に話の端々に居場所が無いという。少し調べてみると2016年に内閣府が行った15歳から29歳の男女を対象にした調査では若者の居場所は、アナログ空間ではなく、インターネット空間と認識する割合が一定数いて6割を占めるという。一方、何か困ったときに助けてくれる存在をについては、インターネットの住民は該当しないとなっている。

若者は自分の居場所をデジタル空間においておきながら、いざとなったときに助ける心の支えがいないのだ。そのくせ若者が人間関係に求める理想は、ひまが潰せて、時間をきにせず会え、気軽な関係を重視している。昭和や平成初期の人間からするとあっけに取られるのだ。思い出や信頼、相互扶助や約束を守るなど、友達に求める要件がそもそもアナログ世代人間とかけ離れている。

2000年頃より始まったインターネット革命が確実に人間の概念を変えてしまった。親指一本で全てのサービスを体験でき、自分の好きな情報に埋もれ、匿名でのコミュニティに浸る。結果的に血の通った人間関係の構築やそのノウハウが劇的に劣化している。

人が困っている時は、理由なしに、見返りなしに手助けすることが当たり前だと思っていた。そこに損得勘定は無く、ただただ利他的なつながりで動いてします。昭和や平成初期の人間からすると当たり前だ。しかし、ネットで完結する若者はその体験を受けたことが無いから、自分が提供する概念が初めから無い。これはある意味生物の中でも存在するのでは無いかというくらい人間らしい行動だと思ったが、今の若者にはその行動がおそらく理解できない。

結果的に、人とのつながりをアナログで捉えずデジタルで考えるため、コスパ、タイパというイミフな指標で図ってしまうのだ。結果、人間くさい、泥臭い、互いの関係を構築することに労力をかけず、デジタル世界と同じく、リブートするか、デリートするかで対応する。対人能力の劣化が著しいのだ。

では企業はどのような対処をするか?大きな組織に対しても、小さな組織を見習うべきだ。採用をする際に、システムで片付けて終了という行いを見直して見よう。中小企業の人間臭い、アナログの仕組みを今一度見直すべきだ。AIやクラウドでの活動が進んだとしても、組織はしばらくは人間臭さの上で成り立つ。とすれば、若者の採用でも事業部の責任者やトップが面談を繰り返し、感覚的に引き合うか否かで採用を決める。そして採用してから半年程度は、事業部やトップの人事付として、今まで体験したことが無い人間臭さや泥臭さの体験と対話を通じた教育を増強するのだ。

若者はマッチングアプリで選択して、自分たちが常に代替可能だと、心のそこでは理解して怯えている。そこに絶対的にこの組織は異なり、人として、そして代替が聞かいない仲間として受け入れていること、そして育成することを理解頂くのだ。この教育そのものを手軽な教育期間にアウトソーズすべきではない。

会社そのものを若者の居場所として認識してもらい、安心して仕事や人生を楽しんでもらうという組織が世の中に存在することを初体験してもらおう。

早嶋聡史の関連事業
・戦略策定と実行支援はビズ・ナビ&カンパニー
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・M&Aアドバイザーの教育機関は日本M&Aアドバイザー協会
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