早嶋です。
1980年代の右肩成長を経験している経営者の多くは、投入量である人、モノ、金を投入することで成果を最大化することを考える。しかし、95年をピークに日本の成長は低迷して投入量に比例して成果がでる仕組みは終わった。これはこれまでの思考の延長、取り組みを継続してその活動量を増やしても成果が上がらないことを意味する。しかし、そのことに気が付かずにこの手の経営者はトップを増やすことを考えずに、コストを削減して利益を捻出することを考える。そう、今度はとたんに投入量を減らす動きになるのだ。
固定費を下げるために戦略なき一律カットの嵐。昼間に電気が消され、長期投資のはずの人材の雇用がたたれ、研究開発であろうが営業部門であろうが部門や機能に関係なく一律コストカット。従って、社員の脳みそにも成果を上げることよりもちまちまと投入量を下げることに一生懸命の思考になる。
これらを図式にすると次のようになる。
効率=アウトプット/インプット=売上/コスト=利益/人・モノ・金=成果/投下資源
1980年代まで、分母を増やすと比例的に分子である成果が伸びた。が、1995年頃より世の中の変化が激しくなり、前提が崩れた。にも関わらず、相変わらず投入量を増やす取り組みに躍起になるも成果がでず、一転して今度は投入量を下げる動きに。
図式化するとわかるように、分母には理屈上の限界があるが、分子にはそれが無い。なのに、今の多くの大のつく企業では成果を最大化する動きはあまり観察できない。が、図式化すると、コストを削減するよりは、現在の投入量において、そもそも成果を最大化する動きはないか?と疑問に持てる。
この取り組みは生産性の向上ということで当たり前に製造業の技術的な取り組みではよく行われている。トヨタの改善のように、車を作る工程を詳細に分けて、1つの工程をタクトとして、1分くらいの時間を標準化する。次に、そのタクトで組立られる成果の質を上げる取り組みをする。その際、1分の時間を短くすることにもフォーカスする。従って、決められた投入量を維持、或いは減らしながら成果を上げる動きをするので生産性が何倍にも高くなるのだ。
が、この動きは研究開発にはどうだろうか?モノ創る側はそんなちまちま言ってもしょうがない。と言いながらも日本の研究開発費全体の投入量に対してのノーベル賞の個数であったり、実際に価値を産んでいる特許の数は他の国と比較して低い。そう、やっている割には成果を出せてないのだ。
また、これに対してのマーケティングについてはどうだろうか?なんとなくこれまで展示会を行ってきていたから、その続きで予算化して集客をする。人が集まらないからコンパニオンを派手にして景気をつける。が、実際にそこに集まった名刺で価値がある名刺はあるか?その名刺を集めるために、コストをいくらかけているのか。今の時代であれば、ネットで検索して情報を収取するのが当たり前の世の中なのに、商品を特価したランディングページや情報サイトは大企業では驚くほど少ない。
更に、事務や文章作成などのスタッフ部門の仕事において、ブラックとかホワイトとかで時間の長い、短いの議論が進んでいるが、これはいかがなものか。もし仮に時間の問題で議論されるのであれば、その仕事は基本は誰でも行える仕事であるから、時給そのものの概念を見直す作業と、その時給に対して平均的に生み出す価値が適正であるかの議論が必要だ。
もしAさんが1時間あたり5の仕事を行い、Bさんが10の仕事を行えば。今の世の中Bさんが損をすると考える。経営者であれば、当然Bさんは余った時間で他の取り組みを行いますが、今の雇用のルールを変に解釈するとAさんが2時間で10の仕事をするので稼ぎはA>Bとなってしまう。Bさんがやる気がない、飛び出すことを考えない、のであれば普通はBさんは能力を隠して1時間で5の仕事をするようになるでしょう。
そう。日本は総じて、成果に対して、どの程度の投入量をかけているかの議論が工業的な製造現場でしか試されていないと思う。それを全ての領域に持っていき、再度適切な仕事を定義して、その仕事は基本的な投入量までを規定する。そのような取組をしてはじめて時間の削減とか、シェアなども考える。或いは同時並行的に行うべきだと思う。もし嫌なのであれば、自分の成果に対してはホワイトカラー・エグゼンプションの概念を導入すべきだ。と思います。
2017年1月 のアーカイブ
最適なインプットで最高のアウトプット
スタート地点とゴール地点
早嶋です。
歯科医院の院長と話をしていて、スタート地点とゴール地点の逆転が起きているとよく思うことがある。多くは、歯科医院の院長になることを前提に一生懸命に努力されてきた。が、開業後どのような歯科医院を作りたいかについて考えている方は少ないという仮説だ。余計な話ではあるが開業をゴールに捉えているのだ。本当はスタート地点に過ぎないのに。
1995年頃までは基本、日本は絶好調だったが、その年をピークに成長が鈍化し、むしろ低迷に向かう。人口の伸びも徐々に鈍化し高齢化がすすむターニングポイントだ。結果、医療費が膨れあがるが、国の方針や仕組みが変わらないので、常に医科の中で歯科医院の保険制度がやり玉にあがる。結果、昔のように稼ぎを沢山出せなくなっている。これは歯科医院の経営セミナーが多いのに対して他の医科、クリニックでは圧倒的に少ないことに関係あるかもしれない。苦しんでいる業界だからこそ、私も含め、コンサル業からすると市場ということになるからだ。
基本、戦略は何をするかを決めること。しかし、開業することをゴールにしていれば、その後は常に全力で走るしかない。引退のイメージなども無ければ企業で言う出口戦略の準備もない。院長は個人事業主と同じなので定年を自分の意思で決めない限りやってこない。それなのに平気で7,000万円程度の借金をして未だにどんどん開業する。
一方で、年齢が50とか60になっても、未だに全力で現場バリバリのプレーヤーとして治療に専念しているドクターも多い。中には次の世代に引き継いだ方もいるかもしれないが、多くは事業承継に対しての計画は偶然に任せている。
例えば、50代のドクターであれば、自分の引退の時期を考え、その後の老後の生活を考える。今の蓄えをベースに、どのくらいの生活をするかを決めれば金額の過不足が明確になる。その金額を作るために歯科医院のキャッシュフローの中から行うか、投資を行うか、その他の手法を考えてお金を蓄える。もし、歯科医院のキャッシュ・フローを見出すことができれば治療のやり方として毎日何人くらいの患者さんを診て、どの程度の医療点数を上げれば良いのか容易に計算できる。それを行うための市場規模が現在の立地条件で可能なのか否かも推定はできる。
マクロで見れば人口は減少する。が歯科医院も比例して減少するので一医院あたりで見ると影響は少ない。高齢者の増加も問題ない。むしろ、年齢があがるにつれて歯科医院の需要が増えるので逆にプラスになる。準備しているところでは将来的に高齢者は通院が困難になるために訪問歯科の概念が重要となる。となると今準備を進めているところは難なく乗り切れるはずだ。国の試算は現在の医療費が40兆円程度から今後60兆円程度にまで膨れあがることを考えると医科のビジネスはそれだけでチャンスがくる。
ただ、問題とされるのは労働力の確保だ。ちなみにこれは医科に限った話ではないが、近年の歯科医院の傾向で労働力確保に対しての話題は賑やかだ。大手のプロパガンダはこうだ。今の世の中、大手企業は当たり前のように採用活動に力を入れている。Webのランディングページを作り、少ない労働力を確保するために早い時期から新卒にアピールをしないといけない。と。
が、そのような取り組みは確かに必要だが、同時に採用して定着する仕組みについては歯科医院の院長さん、あなたの取り組みですよね。と冷たい。が、考えて見れば、歯科医院での定着率がそもそも悪い理由にも同時にメスを入れていかなければ採用を増やしたところで焼き畑農業的に繰り返すが成果がない不毛な状態が続くことになるだろう。
そう考えると、何故、辞めて行くのかを考えると、院長がスタッフに対しての考えをチームと捉えていないことなどが考えられる。未だに、院長先生は技術が全てで非技術的な取り組みはあまり優先されていないところが多い。たまに食事会をしてたまに旅行に行くことをするが、スタッフひとりひとりがどのような歯科医院を作りたいか、そのためにどのような成長を成し遂げたいかなど、企業活動で行われるような人材のトレーニングには疎い。
なので開業して数年位すると多くの若い先生や経験の浅い先生は組織の話で壁にぶち当たる。が、意外とその分野に明るい歯科のコンサルは少なく、表面的なことを定期等にアドバイスして自分の得意分野に話をすり替えて根本的な問題解決を図っていない。
当たり前だが、何を成し遂げたいかを言語化して、院長がチームを巻き込みながら、そのチーム全体で達成する仕組みを作らないと上手く機能しない。そのためには院長は偉いというポジションを捨て、スタッフが仕事をし易いように院長がスタッフに歩み寄る思考に変更しないといけない。そのソフトである組織の改革を行わない限り、表面的な投資をし続けても結果は出ないと考える。
あるドクターは、院長1人、スタッフ2人の体制を維持するために1日1万点、つまり10万円の売上を確保しなければならないと考える。そうれでもヒーヒー言っている。そんな中でも1日3万点をあげるドクターもいる。要は生産性の問題で、一人あたりの最大の成果が決まっているのであれば、スタッフの数を増やして成果を増やす。ただ、歯科医院は提供できる治療の制約はユニットの数で決まる。が、もしそれ以上の稼ぎを出したいのであれば、代診の先生と矯正をはじめる、訪問歯科の仕組みを作るなど選択肢は他にもいくつもある。
が、結局この仕組を作るかいなかは本人がどうしたいのか?に決まる。結果、その意思がないドクターは常にふわふわしてなんとなくの不安を感じ、明確な着地点を持つドクターは、それに向けて常にギャップを埋める取り組みをしているので心が穏やかなのだ。
IoTとAIとX理論とY理論
早嶋です。
人の見方に有名な理論がある。X理論とY理論だ。
X理論は以下の考え方を前提としている。
– 人は生まれつき仕事が嫌い、できるならば仕事はしたくない
– 従い人は強制、統制、命令、処罰の恐れがなければ、動かない
– 人は命令を好み、責任回避をし、野心を持たず、自分の身の安全を望む
ということでX理論のマネジメントは、明確に規定された仕事を与え、基本は監視することをベースに考える。人の動機づけは懲罰で脅しながらも賃金をちらつかせる。結果、管理者は部下の不信感や敵意を招き更に独裁的な管理方法を採用する。提唱者のマクレガーの表現では従業員を「凡庸なる大衆」と決めつけるかのようだ。
Y理論は以下の考え方を前提としている。
– 仕事は遊びや休暇と同じように当たり前のことだ
– 人は仕事が嫌いではない
– 自分で管理可能な条件次第で仕事が満足感の源泉にも苦渋の源泉にもなる
– 外部からの圧力以外にも人を動かすインセンティブがある
– それは自己管理、自己統制を発揮する内部、つまり個人の意志がそれだ
– 達成による報酬は献身的な目標達成に導く
− しかしそれはエゴ、自己実現の欲求を満たすことが最も重要
– 適切な条件下では、人は責任を引き受け、自ら進んで責任を取る
– 責任回避、野心のなさ、安全第一は経験が作るもので、本来の人間の性質ではない
– 問題解決に必要な高度な想像力、創意工夫は、誰にでも備わっている
– 企業では従業員の知的能力のほんの一部しか活かされていない
ということでY理論のマネジメントは従業員との協力的な関係をもたらす。個人の欲求や目標を企業の目標と強調協和させることが、仕事の達成確率を高める。一方で、マクレガーはY理論はあらゆる問題解決の万能薬ではないが、人の可能性を制限するX理論を放棄し、Y理論を考慮すべきとの結論を出している。
最近IoTとAI絡みのニュースで次の2つが気になった。「メガネ専門店のJINSが社員の働きすぎを把握する企業向けサービスの開始」と「キャノンITSが在宅勤務の社員をPCで監視する仕組み」だ。
参照:JINSの記事 http://japan.cnet.com/news/service/35095208/
参照:キャノンITSの記事 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO11735970W7A110C1X13000/
前者JINSの取組は、社員の働きすぎを把握するための企業向けサービスで、後者キャノンITSの取組は、在宅勤務をする人がPCの前に座って仕事をしているかを監視するサービスです。
目の動きを計測しながら人の集中度合いを解析、集中度合いを視覚化することで働き過ぎの社員を減らして働き方改革をすすめるツール。働き方改革の一貫として在宅勤務をすすめるも、本当に仕事をしているかを確認するためにPCの前に座って仕事をしているかを関しするツール。
X理論とY理論を表した取組だ。基本、世の中に時間をかけて比例して成果が出る仕組みは時給でよいが、時間に関係なく成果が出る仕事の重きが増している。海外ではホワイトカラーエグゼンプションの取組が進む中、日本はX理論バリバリの世界になっているではないか。感覚的にだが、Y理論を重視する企業の取組が結果的に飛躍的な成果を上げているように感じる。
IoTとAIの世界
早嶋です。
2017年1月の向研会はオプティムの菅谷さんにAIとIoTの実例や今後のことについてのレクチャーでした。オプティムは氏が学生の時に企業した会社でネットを空気に変える活動を行っています。
なるほど、と思ったのは、電気、ガス、水道は国家主導の垂直統合後民間に移行されたインフラで、ネットははじめから民間主導で始まった生活インフラということ。従って、何かと設定だのトラブルがあっても誰に対応してもらうか、或いは機器が増える毎に設定が品雑になっていく現状です。オプティムはこれらをITを使って空気のような存在にする会社だと説明されていました。
2000年代にITとして使われるようになった言葉を菅谷さんは意図的にAIとIoTというセットで代用しているように感じました。
今回のレクチャーでやはり、IoTとAIが絡み合うことでモノの売り方と買い方が劇的に変わることを確信しました。例えばGEのタービンは一声100億円くらいの商品です。当初は100億円で販売していましたが、次はファイナンスの仕組みを取り入れリース販売。近年はGEファイナンスに見切りをつけて、IoTとAIによってサービスとしてのビジネスモデルにシフトしました。これまでのように100億で売り切るのではなく、例えば20億の導入コストを顧客に払ってもらい、後は従量課金にするのです。顧客にとってはイニシャルリスクが下がり設備投資が行いやすくなります。GEに取っては顧客の活動が手に取るようにわかり、それをベースに別の提案ができそこでもチャリンとお金が入ります。
この先行事例はメーカーに取って脅威と感じることでしょう。基本的に今後のハードウェアはイニシャルで買うのではなく、従量課金にシフトすることを予測させる取組だからです。
サービスになると、購入した人は常に最適な状態でハードを使うことができます。これはコンビニのコーヒーの事例を考えると理解が深まります。コンビニ界ではいち早く淹れたてのコーヒーを販売したかったのですが、商品を増やす度にスタッフのオペレーションが品雑になるという悩みを持っていました。そこでIoTとAIです。コーヒーマシンに導入することで、コーヒー豆が無くなる前に、機械メーカーが豆の補てんをしにくるようになったのです。ということは、従来のようにコンビニは紙コップを補てんするだけで機械の難しい管理から開放されて、コーヒーの商売ができるようになったのです。これはサービスのボトルネックでもある人材教育やバイトオペレーションの軽減負担を解決する事例として非常にわかりやすいですよね。(ちなみに既にコーヒーの売上はコンビニの売上のほうが、コーヒー専門店の売上よりも大きくなっています。)
IoTとAIは第4次産業革命ですね。今後のあらゆる産業を劇的に変えますよね、機械化、電力化、コンピューターとロボットの次の姿なのです。
コマツとの取組は、ベテランの職人がデータセンターからネットを通じて現場の若手建機オペレーターに指示をする仕組みです。現場オペレーターが診ている目線をベテラン職人はデータセンタで共有することができ、その上で同じ視覚上に図や言葉を使って簡単に指示ができる仕組みがあります。この仕組を使えば複数の現場の複数の若手職人を遠隔で1人の職人で具体的な指示をすることができます。いきなり機械化はできないような場合、ベテランがこのような仕組みを使ってノウハウを伝授したり、その指示の仕方をディープラーニングしてAI化することになるのです。
農業の事例も面白かったです。佐賀大学と提携をして研究用の畑の上をドローンが飛行します。空中から撮影した畑の画像から、何処に害虫がいるのかを特定して、その部分のみ農薬を散布します。夜中にドローンを畑の上空に飛ばし、紫外線に集まって来た虫に高圧電流をかけて殺すロボットも実用化されています。畑のルンバみたいなものです。農業コストの大部分の原価は肥料と農薬です。このような仕組みを使うことで減農薬野菜としてコストがさがり市場での価値があがりますので農家からすると一石二鳥になるわけです。これまでもYAMAHAが小型ヘリを使って農薬を散布する仕組みはありましたが、これは特定するわけではないので農薬の散布量は減りませんでした。人間は可視光線しか認識できないので、夜間は見えません。でもロボットは昼夜を問わず見ることができるので効率もぐっとあがるわけです。
遠隔医療の事例もありました。患者とドクターがiPhoneやスマートパッドを通じてテレビ電話します。患者は患部を見せながらドクターが初見をするのです。その際、コマツの事例でみたような画像を共有する仕組みを応用して診察を援助します。遠隔地の医療、過疎化の医療、地理的なギャップを埋める素晴らしいアイデアです。現在、これに加えてウーバーのモデルを取り入れているそうです。深夜の休館には、夜勤や小遣い稼ぎをしたいドクターがパソコン状にレディの状態になります。予め登録したドクターの専門性と患者の状況をAIで解析して最も妥当なドクターとマッチングする仕組みをテストしているそうです。これで、風を引いて辛い想いをして病院に行き、何時も待った挙句に数分の診察でまた会計で並ぶという苦痛から解放されることでしょう。
介護の現場では、カメラでの監視にプライバシーを考慮して、AIしか認識できないカメラを導入するというお話をされていました。要は、プライバシーを守るためはじめからモニタを作らずデータ情報のみをAIい取り入れるのです。そして、事前に登録していた状況になった時に、しかるべき相手にテキストやアラームで知らせる仕組みです。これだと24時間カメラで監視されても、その画像そのものが流出することが無くなるのでセキュリティやプライバシーも高まるというのです。この発想はなるほどと思いました。人間がみてわかる信号に変換する必要がなくなるとデバイスが減り、仕組みが更に単純化するので、IoTとAIで仕組みを作る際の視点や思考として非常に参考になる事例でした。
事例を色々お聞きするうちに、日本の人口減少による労働力の確保は、実はそんなに問題にならないなという楽観的な考えが芽生えて来ました。
新しい取り組みを組織に取り入れる際の落とし穴
早嶋です。
新しい取り組みや、これまでと違った方向性を組織で試す場合、いくつかの困難があります。
例えば、一時的な売上の減少です。モノ売りからサービスにビジネスモデルを切り替えるとします。当然ながら、これまでと売上の仕組みがことなりますので、初年度の売上が減収になります。その際は、財務担当と対策を考えながら対処をする必要があります。パーク24は駐車料金をオーナーと折半していましたが、サービスに切り替える際に売上を一度全額パーク24で計上して、その後オーナーに定額支払をするという対処方法を取っています。対策に対してはゼロベースで考えるもいいですし、過去のケースや他者の事例などを研究することも必要ですね。
当然、皆が新しい方法を望むとは限りません。中には古い戻るに固執する人がいます。特に古参の営業や経理は変化を望みませんので反発が予測できます。スルガ銀行は法人営業主体のビジネスモデルから個人に切り替える際に同様の反発があったと思います。ガリバーやスター・マイカなどの不動産ビジネスも個人に売却したほうが、足元を視ることができるので利幅が大きいと思っていたはずです。ここには何故そのような仕組みを導入することで皆がメリットが出るのかを、根気よく説明する必要があると思います。
上記のような困難を避けるために、新しいやり方と既存のやり方を共存したいと思う経営者もいると思いますが、これは失敗する可能性が高いと思います。例えば、ファイザーは同じ母体で新薬とジェネリックの商売をはじめましたが上手くいきません。ノバルティスも同様にジェネリックをはじめていますが会社としての箱を別にしています。航空会社のコンチネンタルも既存のビジネスに加えてLCCを開始しましたが上手くいきません。同じように全日空はLCCを始める際は、ANNと明確に区別するためにブランドをピーチとしてはじめています。基本、モデルが違うのでその理念や根本的な物の捉え方、考え方が異なりますので、できればこれは別の箱で行うか、どちらかに集中したほうが結果的に成功の確率が高まります。
自分で考えることが苦手な組織は他者の模倣をすることもあるでしょう。が、本質的な部分をコピペできずに失敗する事例が多々あります。例えば電力会社が通信事業を開始しましたが上手くいきません。商売としては理解できたでしょうし、インフラを整えることもできたでしょう。しかし電力ビジネスの時間軸と通信ビジネスの時間軸ではスピードが全くことなります。これは技術や意思決定のスピードで、元々ゆっくり行っていた文化の人がビジネスを変えてもそうそうスピードが早くなることはありません。銀行業務を行っている人が証券業務を行う場合も同様に失敗が多数観察されました。銀行マンは1円単位のお金を気にしますが、証券マンはM円単位で考えます。ものごとの捉え方や価値の尺度、正確性、視点の違い等が銀行と証券では全くことなります。似ていてに非なるということが世の中多々あるのです。
これらをヘッジするためには、新しい取り組みをしたいのであれば、専門の組織をこしらえる必要があります。この組織は兼業はいけません。部門としては研究開発、マーケティング、経営企画の派生になると思いますが、それぞれ一長一短があります。
研究開発の場合は、川上から利益モデルの構築が可能ですが、エンドユーザーと遠いのでモデルや取り組みが抽象的になりがちです。マーケティングの場合は、ユーザーの声が入り具体性が高くなりますが、収益モデルが後になり部分最適になる可能性があります。経営企画は全体最適で動いているのでうまくいきそうですが、これまで利益責任を持たなかったが故に情熱が少ないということもあります。
いずれにせよ、何処の部門が担当してもプラスとマイナスが必ずあることを理解した上で、すすめる。マイナスは意識的にトップがヘッジすることが大切だと思います。
努力
早嶋です。
JALの機内誌で楽しみにしているコラム。つばさよつばさ。浅田次郎さんのコラムの中に努力についてのコメントがあった。
努力。努力は全能ではない。信念と根性があってこそ、努力は結実する。すなわち不退転の意志である。 つばさよつばさ161回 浅田次郎
前後のくだりは、競馬で予想をする際の小話が満載しているが、努力についての言語化が流石に鋭い。全能でなく、あくまで信念と根性の世界。それが努力。が結実する。でも不退転の意志なのだ。
笑顔で対応すると決める
早嶋です。
新横浜から仕事先の研修所までタクシーで2キロの距離。途中の信号で、今日は運転手さんが待ちぼうけ。赤信号で青の直進の矢印に気が付かずに信号を1つ遅らせる。通常は800円程度の距離でしたが1000円に。しかし、正直な運転手さんで信号のところでスマフォでニュースを読んでいた私に事情を説明。降りる時に1000円を出した私に対して、初乗り料金で良いですよと。領収書をもらって1000円おいて降りました。その時に一言、「運転疲れていませんか?安全運転してくださいね。」と。
少し前であれば、ひょっとして初乗りの料金を払っておりていたかもしれない。が今年は全てを笑顔で返そうと決めた。しかも今回のミスは誰にでもあることで、800円のときも900円のときも同じ距離であっても渋滞具合で変わるタクシーの料金だ。互いが笑顔でやり取りをしたほうが気持ちがぐっと良い。
と研修センターについて、自動販売機で飲み物を買う。年明けなのか、飲料の補填が無く、100円の水とリポDを購入。すると200円のエナジードリンクと水が出てきた。明日、研修センタの管理人に連絡して、今回はありがたく頂こう。
スマフォ10年
早嶋です。
今日で世の中にiPhoneが誕生して10年。現在ではスマフォセントリックの設計やビジネスの仕組みを考えることは定石となったが、10年前の2007年に今の世の中を知ったとしたらそれは夢ものがたりだったお思う。
カトリック教会においてローマ司教たるローマ教皇を選出する選挙システムにコンクラーベがある。直近では2005年と2013年に実施された。
beforeスマフォの2005年のコンクラーベは、従来と変わらずその都度の結果はマスメディアを通じてTVを中心に情報を集めた記憶がある。afterスマフォの2013年は違った。システィーナ礼拝堂を囲む敬虔な信者がスマフォを片手に、その瞬間瞬間を皆がそれぞれにスイートしていた。SNSが普及して個人がメディアとなって様々な形で自由度が高い情報を入手できるようになった。
昔のビジネスの形態は、1つの国で成功しても、その成功が次の国に普及するのには時差があった。でもスマフォセントリックになると、1つのOSにのっかりビジネスが成功するとあっという間に世界十で発展するムーブメントを起こす。ポケモンGo!が瞬く間に世界でヒットしてある期間のダウンロード記録を塗り替えたのもその証左だ。
Wifi環境さえあればインフラの整い具合に関わらず、皆が一応の仕組みを使えるようになる。途上国の方々が出稼ぎに来てお金を送金する仕組みもスマフォが普及して流れが一気に変った。
考えてみると半径30cmの小さなデバイスが24時間365日レディの状態でGPSと共にその個人を世界中の皆とつなぎ、特定することができる仕組みになっている。マーケティングから日常生活のありとあらゆる行動に変化をもたらせた。
10年経った今、スマフォ経済は70兆円以上の規模に育ったという。スマフォそのものの端末の商売は成熟を迎えているが、スマフォをベースにしたビジネスはまだまだ拡大の余地がある。その中でも特徴的なビジネスモデルがウーバーやAirbnbなどのシェアビジネスではないだろうか。スマフォを起点に貸したい人と借りたい人を結びシンプルなビジネスが故に、どこか一拠点で成立するとあっという間に世界規模のビジネスになってしまうのだ。
基は携帯電話に音楽プレーヤーを合体させたことをキッカケに生まれたiPhone。その後、半導体の小型化、高性能化によりカメラの機能を取り入れて、今ではパソコンの代替となり、カーナビ、ゲームとドラえもんに出てくる便利道具のようにアプリを入れることでどんなことでもできるツールになってしまった。
今後は、スマフォンの携帯があらにAIを搭載して、ビックデータの活用とIoTの融合により進化するのだろう。形態もよりその形を意識しないモノがでてきて入力の仕方も音声や意思などが王道になっているかもしれない。
トヨタが家電見本市に出店
早嶋です。
世界最大の家電見本市、米ラスベガスのCESにトヨタ自動車も出店を表明しています。展示商品はAIを活用したコンセプトカー。ガソリン車から電気自動車にシフトすることを考えると車の産業は家電産業に複合されていくことになりますね。その際、車根本の技術に加え、モーター、バッテリー、IoTを始めとするセンサ類、ネットワーク通信技術、そしてAIに代表されるソフトウェアの技術が核になっていきます。
これまでハード主体、部品点数が2万から3万の産業だったため組立技術や統合技術が肝で、それを実現する仕組みにTier1から4までの仕組みが出来上がりました。が、動力部分が電気になることで一気に1/10くらいの部品点数になり、その分ソフトウェアで制御する割合が多くなります。産業に大きな変化が現れることを表すニュースですね。
そもそも人工知能の搭載に主軸が移れば車を運転する主体の人間は、車に乗ることが主体になります。つまりドライバー視点のものづくりでは意味が無く、車の空間をどのように活用するのかという視点が必要になります。トヨタのスローガンはfun to drive。となるとその発想をもゼロベースで変えないと家電ショーに出店するだけでは駄目なのかもしれないと感じた次第であります。
お正月は、ゼロベースになれる時間
原です。
明けましておめでとうございます。
年末年始には、実家に帰省し門松作りで新年を迎える準備をしました。元日早朝には、実家近くの山林を登り、屋敷や山の守り神に参拝し、初日の出を拝みました。新鮮な空気と神秘的な場により躍動感が一気に高まりました。
実家に帰ると愛犬の散歩を行うのが、私の習慣の1つです。愛犬も老犬となり、少し体力が弱まっています。昨年までは、軽トラックの後ろの荷台にジャンブして飛び乗っていましたが、今年は乗れなくなっていました。家族は、老犬だから仕方ないと言っていました。
しかし、私が手でサポートしながら、愛犬を軽トラックに乗せることを数回繰り返したら、愛犬は自分からジャンプして乗れるようになりました。
おそらく、軽トラックに乗る習慣が少なくなったことが原因だと考えられます。
本来はジャンプできる能力も、ジャンプをする習慣が無くなれば衰えるだけなのです。
人間や経営でも同様です。
「景気が悪いから。資金力が無いから。優秀な人材がいないから。成熟化した国内社会ではモノが溢れているから売れない。」などと業績の悪化を思い込みにより決めつけて諦めているのではないでしょうか。
何も策を打たずに、現状維持だけを願いながらも衰退していく企業や組織が増えている気がします。
このような時は、一度、ゼロベースとなり自由にジャンプしてみることも必要ですね。ジャンプすると、最初は失敗するかもしれません。転ぶことで痛みもあります。しかし、やがてはジャンプが成功することにつながります。
今年は、ゼロベース思考で「仕事の戦略的自由度」を広げ、ワクワクしながら共感力も高めて(ジャンプ)いきます。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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