早嶋です。
インドでは産休26週を義務化したところ、思わぬ誤算があったとの報道がありました。インドが2年前、産休制度を強化した後の論争です。一定規模以上の企業に対して26週の産前・産後の有給休暇を義務付けたことで、中小企業やスタアートアップが苦しみ、結果的に、それだったら女性を雇うのではなく男性を雇ったほうが良いということで逆効果が出始めているのです。もともとは、世界に比べて出遅れている女性の社会進出を促す目的でした。世界銀行の資料では、インドの女性労働参加率は27%でせかい平均48%、日本が50%なので低いことがわかります。
大きな組織が産業に口を出すと、思わぬ方向にいくというケースではよくある話だなと思いも、今の日本も同じことがおきているように思いました。もし、急に賃金を1,000円台に引き上げたら、都市部はすでにその近辺なので問題ないでしょうが、地方や零細では人手を使わない方法やクラウドでのアウトソースを活用する方法を真剣に考え始め、結果的には生産性(ここで言えば、労働投下が一気に縮小され)があがる。しかし、雇用の問題はより深刻になる。というような動きがでるのではと考えます。
何かの本で読んだことがあります。昔、それこそインドでコブラを撲滅するために自治体がコブラのアタマを買い取る制度を作りました。するとコブラが増殖したのです。理由は、コブラの首を欲しい業者がコブラを養殖し始めたからです。今度は、コブラの首を買い取ることを止めマングースを放ってコブラを殺してもらおうと考えました。するとコブラは減りましたが、マングースの害が一気に増え始めたのです。
日本に置いて、現在生産性改革が進んでいます。その取り組みで最もわかりやすいKPIは残業の削減です。実際に残業は削減され、KPIも達成していますが、取り組み以前の利益などは維持されなくなった企業を多く観察します。結果的に生産性が上がったかもしれませんが、実質的な経済の寄与はますます下がっていきます。
上記を未来社長塾(http://www.mirai-boss.com/)で議論しています。塾生のコメントでは、イスラエルの話が出てきました。ダニエル・ピンク著のモチベーション3.0の中にあったお話です。イスラエルでの保育園の話です。閉園時間までに迎えに来ない保護者がいるために発生する保育士の残業代がきになっていました。そこで、閉園時間に間に合わない場合は保護者から罰金を取るようになったのです。すると、逆に保護者はお金を払ったから良いよね。となり、閉園時間まで迎えに来ない保護者が一気に増えて、結果的に残業が増えたという話です。
全てに置いて、新の目的を無視して、手段に焦点を当てた失敗事例だと思いますが、問題を認識する思考は非常に重要だと言うことですね。
2019年3月 のアーカイブ
目的と手段の逆転
自動車と自動運転の車は全く別業界として見る
早嶋です。
自動運転が普及すると、車そのものの概念が大きく変わると思います。
所有者。自動運転になると、車が停車して持ち主がいない場合は、潔癖症でも無い限り、他のかたを載せて、運賃を稼ぐ仕組みになるでしょう。ウーバーやグラブなどは、乗りたい人と載せたい人をマッチングするツールですが、徐々に運転手が場所によっては不要になり自動運転の車のマッチングアプリとして機能しはじめるでしょう。そうなると、個人が所有するよりも資本を持っている法人が所有して収益を得る仕組みに流れるでしょうから所有者の多くが法人に移行していくと思います。
当然、個人での所有も一定数以下は減らないでしょうが、自動運転が普及して、法人がいたるところで自動運転を配置していれば個人で所有する意味がほぼなくなります。もし、自分で運転したいという場合は、カーシェアなどの仕組みで車を一時的に借りて楽しむ目的になるでしょうから、余裕がある人や潔癖症やマニアといった特に車に思い入れが在る人以外は企業が提供するサービスで事足りるようにななります。
車種。所有者が法人になれば車種が限定されていくと思います。タクシーを見ると一目瞭然です。多くのタクシー屋さんは共通の車を使っています。メンテンナンス、性能、耐久性、使い勝手等々を考えていくとたくさんの車種を持つよりも同じ車種に限定したほうがより規模のメリットを追求できるようになります。そのため自動運転事業が普及されるようになった場合は、法人が選ぶポイントはその車が事故を興した履歴が少ないことです。
先日の日経に自動運転技術に関する記事がありました。米国カリフォルニア州では世界中の自動運転技術者があつまり日々行動でテストドライブを行っています。そして、毎年カリフォルニア州に各社報告を上げる義務があるのです。日本経済新聞社がその報告を分析した資料によるとグーグル系のウェイモがぶっちぎりで公道の走行試験を行っているおとがわかります。報告には、試験走行した距離と実験中に事故回避のために人が介入した回数が記録されています。
現在、カリフォルニア州では62社に対して公道実験の許可をだしています。走行距離1位のウェイモは直近1年間で98台の車両を使って地球50週分に相当する202万キロメートルでトップです(ちなみに、2位はGMクルーズで72万キロ)。それだけ走って人間の介入は114回。1万7千キロメートル毎に1回の計算です。介入の頻度は毎年報告されていますが、この介入頻度は去年の半分以下になっており技術の進展が見られます。自動運転の開発にはシミュレーターを使って行う企業もあり、そのような企業のコメントは「単純に走行距離の数字で自動運転の技術進歩を示さない」とします。
しかし、最終的に自動運転が本格的に普及した場合、購入するのは人間でかつ、合理的な収益を考えた法人です。シミュレーションの実績と実際に走行した実績を示された場合、両方が高い企業の取り組みをまずは評価するでしょう。おそらく、自動運転になった場合の保険の考え方も変わるはずです。その際もシミュレーションのみの自動運転の車は人間の感情がはいってこわいので、保険の掛け率を高くするでしょう。そうなると走行距離の蓄積は無視することができません。
そもそもの前提でAIで何かを判断する際に必要な情報はリアルデータです。ウェイモは過去から通算するとすでに地球400秋分の公道走行のリアルデータを保有しています。つまり、現時点で世界で最も経験豊富な自動運転のドライバーということになるのです。ウェイモの18年の事故の報告を見ると交通量が多い場所での事故が増加しているとあります。そして別の資料では18件の事故の内、16件は停止中の追突や接触です。つまり、もらい事故なのです。自動運転が充実しても周りが人間であれば、思わぬ事故がある、ということです。これはシュミレーションに入れて計測することはやはりまだ難しいですよね。
ちなみに米国カリフォルニアでの自動運転の公道走行試験の実績では、以下の通りです。10位の中はほぼアメリカ勢で8位のバイドゥと10位のウィーライドエーアイは中国です。
1位:ウェイモ 約200万キロ
2位:GMクルーズ 約72万キロ
3位:アップル 約13万キロ
4位:オーロラ 約5万キロ
5位:ズークス 約5万キロ
6位:ニューロ 約4万キロ
7位:オートXテクノロジーズ 約3.6万キロ
8位:バイドゥ 約2.9万キロ
9位:ビニーエーアイ 約2.6万キロ
10位:ウィーライドエーアイ 約2・5万キロ
ちなみに日本勢は、日産が14位で約0.8万キロ、トヨタは23位で613キロとはるかに出遅れている(少なくとも走行試験という結果においては)ことがわかります。
自動車は自動運転になった瞬間にブランドで選ぶことから、自動運転の安全性で選ばれるようになります。この数字を見るだけでも日本勢が自動運転の世界で首位に立てることはかなり難しことが予測されます。
自動運転の技術がベースになれば、今度はその車体をどのように開発、製造、供給するかが問題になります。自動運転のノウハウというソフトとハードの融合を持った米国、中国のIT系の企業が往年の自動車メーカーを「下請け」として活用して製造委託するという構図もまんざらありえない話では無いとおもいます。
フリーランスか定職か
早嶋です。
フリーランスが増える理由に、務めたときの1)自由度と、務めているときの2)安定性を天秤にかけた場合、1)の自由度を選択する人が増えている。というニュアンスの記事を最近よく見聞きします。一方で、副業規程に対して取り組む企業に務
めている人は、個人の収入を増やす目的で財布の口を広げるという話を伺います。
兼業などを入れて、日本ではフリーランスが1,120万人程度いて、労働人口の約2割に相当する17%がいます。そしてその数字は今でも増えています。新卒や第二新卒の状況でも、選択肢として企業に務める方向に加えて、フリーランスになる方向も検討されていることから若い方にも支持されていることがわかります。
ただ、会社を活用して、自分で行えると思う方の多くが、会社でできた成功体験を自分の実績のみと勘違いする方が多いとも思います。企業は、効率的に効果的に仕事の成果を出せるように、若い方やグレードの低い方には全体像を示さずに、細分化した具体的な手続きのみをこなすことで仕事の成果が出せるように標準化されています。
例えば、コンサルティングの仕事です。クライアント企業から仕事がきて、悩みの相談を打ち明けられ、そしてその内容をコンサルAが整理して問題を特定していく。所謂問題解決型の仕事をしているとします。Aはある程度、クライアントの悩みを整理できるようになり問題の設定から課題の特定、そして解決策の提示まで出来るようになっています。そんなとき、会社とクライアントが契約する金額と自分の給与を天秤にかけた場合、会社が搾取していると考えると、自分で独立してみようと会社を辞めてフリーになります。
が、実際は、Aが行う前提として、そのクライアントと信頼関係があり、定期的にAが務めている企業がそのクライアント企業に営業をかけているという前提があります。また、Aがクライアント企業を理解できている背景も、過去の実績や分析結果。そして、そのクライアント企業に特化した課題の論点をすでにその企業が整理していることもあります。また、その企業が課題を整理する過程でAのスタッフがデータの分析を当たり前に行いますが、企業の外では、そのような簡単な仕事の流れが実は超難易度が高いこと。というのも当たり前です。そうなるとAが分析した結果を見て判断ができても、Aが初めの営業から関係構築、そして基礎的な分析、そしてその結果を整理して、ようやくコンサルができるのです。そして、その結果価値を出そうとしたら、その内容をクライアントに伝えて、解決策を示し、そこから解決策を実行するフェーズになります。
考えると当たり前なのですが、フリーランスはそれらを全て自分で行うか、企業と同様にパートナーや都度変動費でその仕事を外注する先を見つける必要があります。この取り組みは全く不可能では無いのですが、時間が超かかります。そして安易に独立して稼げるイメージを持ったAは再び企業に務めるのですが、実績を出せなかったフリーランス期間に自分の価値を下げてしまう方も多数お見かけします。
1)自由度と2)安定をの尺度に加えて、3)自分ゴトとして取り組めるか。が議論をする際に重要です。企業に努めていても3)自分ゴトととして取り組んでいる方は、営業の仕方や整理の仕方、分析の仕方にも興味を示し、もっといいやり方はないか、省略して同じ、あるいは倍くらいの価値を出せないか。と常に思考するからです。このような方は、常に全体を見ているので、何がキーになり、何で手を抜いていいのか見えますので、結果的に企業にいようが、フリーランスになろうが価値を効率的に最大化出来るようになるのだと考えます。
ハイ・コンセプトで知られるダニエル・ピンク氏はフリーエージェント社会の到来を当時の著書で示唆していました。その前提は企業が不安定になることでした。従い、給与をもらう財布を複数持ったほうが、ポートフォリオの理屈がはたらい安定するという話です。ただ、そのフリーエージェントは、どの企業とやり取りをしても、自分の仕事を技として他社に提供出来る品質が保たれていることが前提です。
ハイ・コンセプト再び
早嶋です。
2006年に日本で発売された名著、ダニエル・ピンクのハイ・コンセプトを読み返しました。当時はBond大学の経営学修士に取り組んでいる過程で、こちらの著書は大前さんが薦められていたので購入して深く読みました。その内容は、多くが今でも通じるし、予測された内容でした。
例えば、各国で行っている受験生度を左脳型で時代錯誤としてきしています。当時は欧米や日本が該当していましたが、欧米は北欧にならい徐々に右脳型の受験生度を取り入れています。日本は変わらず左脳型です。そしてチェスは人間がコンピュータに負けることを記述しています。確かにアルファゴが随分前に人間を倒したと記憶しています。
人間が行う種類の仕事は処理する力よりも創造すること、技術マニュアルで得られる知識よりも潜在的な知識、細部に細かくこだわって細分化することよりも大きな全体像を描く力が必要になることを指摘しています。当時は2006年ですのでスマフォやスマートテクノロジーが実現されていない状況。しかし、分析力によって更にコンピューターが安価になり、処理することそのものの対価がゼロに近づいてくることを指摘していました。記憶に残っている記述はMBAよりもMFA(Master of Fine Art)の下りです。正直、あれ、MBA受講中なのに・・・。と思い焦ったのを思い出します。
内容は多岐に渡り、例えばリーダーとされるヒトは愉快で楽しい人物が求められ、議論や整理された論点に加えてストーリーが大切になる。ともありました。正直、当時、ストーリーと言われてもピンと来ませんでしたが、仕事の内容はクライアントとのやり取りの中でもストーリーを重視したプロモーションなどが主体になっています。また、マーケティングの価値についても言及がありました。機能的な実用性のみではNGで、優位性やデザインといった論点が重視されると。
昨年書いた本の「ジョブ理論」の解説本でも機能的な価値に加えて、感情価値や社会価値が重視されるという言及とも重なります。そして理由も明確です。基本的に技術は瞬時にコピペされる。あるいはされる可能性がある。従って機能的な有意差の争いは、すなわちそれをいかに調達して、いかに製造して、いかに安く提供して、いかに顧客をフォローできるかによってきまります。ここがある程度均一化されたら当然ながら最後の勝負は価格になり、資本力が大きい世界、あるいは大規模に展開しているところが安く提供することに関しては優位になります。そのためそれ以外の点での差別化は感情的な要素や社会的な要素が重視されるのです。
近年、同じような当たり前の商品でもリデザインされた商品がSNSやWebで頻繁にあふれるようになりました。デザインは確かに差異化のポイントですが、ここもすぐにコピペされるようになります。それでも残っているところは上述した優位性に対して、その商品が出来上がった背景や登場人物の関わり合いが商品の優位性を高めるようになっています。
一方、当時の見解から若干ずれた部分はAIの登場と実用でしょうか。当時の概念では、未来をリードするのはパターン認識に優れたヒトという見解でした。しかし、その分は実はコンピュータが最も得意な分野になりました。ネットの進展とセンサの発展に合わせて、それらのデータをリアルタイムにクラウドに蓄積することができるようになり結果、そのパターン認識を人間からAIが行うようになったのです。全体を見通すヒトという点で、その仕組を構築して世の中に変革を仕掛ける人間はまだ有用でしょうが、その作業を画一的に展開する場合は、その能力を持っていたとしても、将来はAIや新たなテクノロジーが先行するのだろうと思います。
また、このパターン認識によって、物語や音楽そのものもAIで創られています。昔から、何かをヒトに伝えるためにはまとめた情報で伝えるよりもストーリーで伝えたほうが良いことは経験上分かっていたと思います。以前、カンボジアの遺跡を巡っている際にガイドが言っていました。基本的なレリーフ(遺跡に残っている石の彫刻)の大本はあるのだが、人々に理解して頂くために、ストーリーテラー(宣教師)がその土地の特徴や聞いているヒトの関心の高い内容をその場でアレンジして話をしていった。そのため大枠のストーリーは同じなのに、細かい設定や結論が異なってくるお話が多くなっていると。このストーリーテラーの役割をAIが行う世の中になっています。
音楽も然りです。ピアノが上手なヒトは、聞き手の好みに合わせて曲や曲調をアレンジして引くことができますが、これもAIによって行われます。そして、対象者の過去の音楽の視聴リストから好きな旋律や店舗を割り出し、それに合わせたアレンジをすることでリアルタイムに、そのヒト向けの、そして好みの音楽を作ることもできるようになります。
こう考えていくと、やはり処理することに長けたとしても、すなわちその仕事はすぐにコピペされるので。創造的な仕事、楽しい仕事、再現性が難しいと人が勘違いする仕事が従事する。そしてその能力を手に入れる。あるいは鍛えて行くことが今後のポイントになる。という大枠はやはりかわらないのかなと感じました。素晴らしい著書ですね。ハイ・コンセプト。
フリーランスの声
早嶋です。
今朝の紙面(日経新聞)にフリーランスは1119万人、労働人口の17%という記述がありました。想定より多いなという心象です。記事の内容はNTTコムオンライン・マーケティング・ソリューションがフリーランスなどの文字を含むツイートを分析した内容です。
特徴は、プラスのコメントに「自由」などの制約が無いことがあり、ネガティブなコメントに税金や制約、安定しない。という記述がありました。思うに、自由度と制約は相反関係にありますので、それをまずは良く理解することが大切でな無いかと思います。また、税金はフリーランスだから高いわけではなく、企業に努めている人は企業が代行しているだけで収入に応じた税金を払っています。その理解がなく単価を設定しているため所謂税の引当がなくかってに高いと感じていると思います。
また、フリーランスはブラックだという人は、企業に努めても同じことを言うのではとも思います。何かに取り組む際に、一生懸命に自分ごととして行うときは無理することだってあります。しかし、それを続けると体が持ちませんのでそのバランスをとる。これは基本企業に勤めていても個人で行っていても前提は同じではないでしょうか。
更に、副業に関してのコメントについても思うことがあります。副業を自由に行いたいのであれば、そもそも企業に終身雇用を求めるのではなく、仕事単位、期間単位で業務委託契約を結べばよいのに。と感じます。安定して稼げて、したいこともする。というのは良い面もありますが、かなり雇用される側の都合のみだなとも感じました。
伝統の美と共感力
原です。
私が共感できる人、企業・組織、製品・サービスに共通しているのが、人としての美意識の高さです。
また、美意識の高い人の共通点は、文学、音楽、絵画、建築物、古典芸能などを鑑賞または学ぶ探求心があります。ビジネスリーダーの多くは、探究心が旺盛なのか国内外を問わず伝統への美意識が高いと思います。
知識として暗記したものには美はなく、人間にとって、何が「真・善・美」なのかということを純粋に追求してきた伝統の型は、人の心を動かす「美」の一つであると考えます。
私は、30歳から古典芸能「狂言」を習いはじめました。きっかけは、26歳の時にアジア青年交流活動に参加し、自分の美意識の低さを体感したことです。
アジア青年交流の行き先は韓国と中国でした。交流内容は、現地青年との議論やホームスティによる家族との交流でした。韓国や中国の皆さんは、行く先々で母国の伝統芸を披露して頂きました。
一方、私達は日本の文化や芸を海外の方々に発信することができずに鑑賞しているだけで終わりました。
唯一、日本の仲間で堂々と日本の伝統芸を披露できたのは、沖縄の仲間が琉球舞踊を演じてくれたことでした。おかげで、改めて日本の伝統の美しさを知ることができました。
日本に帰省した私は、この反省から、日本の文化・伝統芸能への意識が高まりました。休日には、日本舞踊、茶道、太鼓、神楽、落語、水墨画などを鑑賞や体験する日々が続きました。
このような中で、約600年の歴史がある「狂言(きょうげん)」に興味を持ちました。狂言は、室町時代には台本がなく、口伝(くでん)といって、書物に記さず、稽古によってのみ師匠と弟子の信頼関係により相伝されてきました。
江戸時代には、セリフとして本に書きつけるようになって固定化したらしいですが、師匠からの口伝や作法の指導により、狂言の「型」を物真似し身につけていきます。
師匠から弟子への物真似である口伝は、自分ではない人になるという意味で、演じるという行為の根源になります。そして、「型」を個性・経験でアレンジすることで表現になります。
伝承による型を身につけ表現することで、伝統の美を伝えることができるようになるのです。
一般のビジネスでも、基本の型や美があると考えます。
知識として暗記したものは忘れていき使いものになりませんし、知識はインターネット社会では、いつでもどこでも入手可能です。
知識だけでなく、ビジネスの基本(型)を身につけ、実践で使いこなせるまで繰り返すことにより知識を知恵に変えていくことが必要です。
私の場合では、「論理的思考、発想法、問題解決思考」は型であり、この型に、
「経営哲学、マネジメント、マーケティング、リーダーシップ、共感力、コミュニケーション力など」が加わることでアレンジされながら型が進化していくのです。
繰り返すことで自分なりに表現できるまでになった型は、ビジネスにおいて技となり伝統の美になるのではないでしょうか?
そして、その型や技は、顧客や社会から価値として共感され、伝統の美として受け継がれていくのではないでしょうか?
ワーク・エンゲイジメント
最近、よく耳にする「エンゲイジメント」とは、言葉の意味では“約束” “契約” という意味ですが、人事の分野においては、企業と従業員が信頼しあい、互いに貢献しあう概念のことをいいます。また、「ワーク・エンゲイジメント」としても使われています。働く人の心の健康の新しい考え方として3つのポイントがあります。1つは、仕事に誇り(やりがい)を感じ 2.熱心に取組 3.仕事から活力を得て活き活きしている状態です。言わば、仕事に関して肯定的で充実した感情及び態度のことです。
過去の労働環境は、従業員がサービス残業で会社につくしたり、逆に会社が従業員に高い報酬を払って優秀な報酬を払って人材を確保したりと、一方的な関係性が主でした。しかし、これからの時代は、従業員エンゲイジメントを向上させ、従業員と企業の関係が対等になり、お互いが同じ方向に向かって成長していく時代です。
産業ストレス研究によると、心理的well-beingとの関連、仕事の要求度との関連、仕事の資源との関連、個人の資源との関連について研究されています。キーワードは、『活力・熱意・没頭』の3つです。エンゲイジメントとワーカホリズムの関連資料を見ると、ワーク・エンゲイジメント(活力・熱意・没頭)とワーカホリズム(働きすぎ・強烈的な働き方)と不健康、生活満足度、仕事のパフォーマンスを分析した結果、職業性ストレス簡易調査推奨尺度にも現行の尺度(仕事の負担・作業レベル資源・部署レベル資源、健康いきいきアウトカム)4つの中に、新版に情緒的負担、役職葛藤、ワークセルフバランス(ネガティブ)、役割明確さ、成長の機会、経済地位/尊重/安定報酬、上司のリーダシップ、上司の公正な態度、ほめてもらえる職場、職場のハラスメント他に加えて 従業員のいきいき“ワーク・エンゲイジメント”は追加になっています。
なぜなら、仕事の資源(上司や同僚からの支援:コーチング、パフォーマンスのフィードバック、仕事の裁量権、成長の機会など)や個人資源(楽観性、自己効力感、自尊心など)が豊富なほどワーク・エンゲイジメントが上昇することが明らかにされているからです。そして、そのことは個人と組織の活性化、生産性を上げることに繋がっていきます。
『人材開発、人材育成に活かす外部キャリアコンサルタントによる企業内キャリアコンサルティング、組織にキャリアコンサルタントを育成したいなどのご相談がありましたら、弊社にご相談くださいませ。
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