マーケティング活動は、「買って頂くための仕組みを作ること」そのものです。従って、規模が小さい会社でも大きい会社でも、組織で行う必要があります。
しかし、このことは当たり前すぎて理解されていないように思えます。
マーケティングが優れている会社であっても、主力商品やコーポレート活動の部隊は組織でチームワークを発揮していますが、亜流の商品部門に至っては、部分最適で活動しているのが現状です。マーケティング部門が突出していても、他の部門が突出していても行けません。
互いの部署が、ビジネスモデルそのものを構築するために協力しあうことが大切です。その上で、マーケティングのシナリオに沿って全体最適を目指すのが理想です。
このことを伝言ゲームで捉えて見ると分かりやすくなると思います。数名の伝言ゲームでは、ほぼ正確につたわえるでしょうが、人数が多くなると次第に、伝わっている伝言に個人の意図が入り込み、まったく違う伝言になっていきます。
マーケティングで重要なことは、一言一句伝えることではなく、全体のコンセプトを組織で共有すうことです。コンセプトが共有されていれば、個々の部門がそのコンセプトに応じて最適化します。これは、コンセプトが共有されている限り、偏った行動にはなりにくくなります。
桃太郎の話を思い出してみて下さい。そしてそれを話して下さい。皆さんが話すストーリーに違いはあれど、伝わってくるメッセージは同じでしょう。これは、そのコンセプトを皆が共有しているからではないでしょうか?
対して、円周率の意味を説明して下さい。となれば、どうでしょうか。誰もが????となることでしょう。この場合、コンセプトや概念の理解なしに、殆どの人が記憶や暗記に頼ってしまっているからです。
マーケティング活動を各組織が表面的に理解し活動した場合、円周率のように、実際は分かっていない。従って、各チームが好き勝手に創造して部分最適に陥る可能性が高くなります。これではもったいないのです。
部分最適とは、個々の塊は最高に出来ているけれども、全体を組み合わせてもいまいち来ない状態です。パズルを想像してみて下さい。1ピースがどんなに優れていたとしても、全体として組み合わせた構図が今一ピンと来なければ、パズルとしての完成度は低いでしょう。
マーケティング活動も叱りです。従って、全体最適になるように、皆がしっかり会社のマーケティングについて理解をしめすことが大切なのです。そのためには、暗記してもらうのではなく、マーケティングの部門は常に、ストーリーとして、コンセプトとして組織で共有することがポイントになるのです。
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2011年3月 のアーカイブ
マーケティングと組織活動
東北地方太平洋沖地震
東北・関東の大地震につづき、静岡でまで大地震がおきました。
被害に会われました方々、関係者の皆様には心からお見舞い申し上げます。
そして、弊社でも誠に微力ながら可能な限りのご支援をさせていただく所存です。
ビズ・ナビ&カンパニー
世界はフラット?
World is Flat、The Death of Distance等では、「新しい発想は国境を越え、より速く広がるようになる」ということで世界中にグローバリゼーションの波が押し寄せているように議論がなされています。
かつては、栄えた国、工業化が進んだ国、に情報が伝わりました。かつては、一部の官僚のみで情報が留まっていました。或いは、大企業だけ、資本力の大きな組織だけ。
しかし、コミュニケーションに革命が起き、大きな者と小さな者、富める者と貧しい者の格差が無くなるという概念です。そして、それらは技術や基準も距離を超え協調を可能にするとされています。
うーん。なんか飛躍している気もします。コミュニケーションの進歩は事実ですし、上記のような事は起こっています。現実にも感じます。しかし、だからと言って国境が無くなり、世界があたかも一つのようになるのでしょうか?もっと言えば、あたかも世界を一つの国のように考えて良いのでしょうか?
例えば、Googleは100以上の言語に対応していると聞きます。グローバルなサイトとしてもとても評価が高いです。日本ではGoogleとYahooが検索エンジンで手を組んでから9割を超えるシェアを獲得しています。欧米でもGoogleの比率は高まっています。
しかし、一方で中国や韓国では独自の検索エンジンが高いシェアを誇っています。ロシアにおいては、Googleは2割程度で、yandexというロシア独自の検索エンジンが7割近いシェアを握っています。
Googleがロシアで苦戦している理由は、言語の複雑さがあります。また、競合は現地の状況に柔軟に対応しています。ロシアでは、カード決済やオンライン決済の仕組みが未整備であり、その点を従来の銀行支払いを活用した支払いシステムの開発などでyandex等は補っているからです。
これに対してGoogleもロシアに現地のオフィスを開設して対抗しています。やはり、現実の世界が重要であることを物語っています。
ボーダレスという言葉は事実ですが、国によってやはり違う者は違う。例えば、文化や制度、そして経済などの枠組みで明らかに差異が生じています。国をまたいでビジネスを展開する場合は、世界がフラットな部分と、全く国によって異なる部分を正しく認識して展開することが大切だと言うことです。
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ダイソーのMD変革
100円ショップの上位4位。
1位:大創産業 3414億円 3000店舗
2位:セリア 762億円 999店舗
3位:キャドゥ 624億円 843店舗
4位:ワッツ 346億円 795店舗
100円ショップの代名詞でもあるダイソーが大きく差をつけているのが分かります。そのダイソー、近年店舗のMDを変化しています。それも宝モノ探し⇒目的買い、です。
店舗のディスプレイが従来のゴチャゴチャした感じからコンビニかと思うような整理整頓されたMDに統一されます。100円ショップのお買い得感はもうなくなり、すっかり庶民の生活に浸透しているのでしょう。従って、庶民も目的買いが当たり前になったのです。
従来は、多品種少量陳列が基本で、棚の奥には何があるのか分からないようなMDでした。店舗側は種類を絞って面白みの無い売り場だと、客足が遠のく!という発想でした。そのため店舗は在庫を抱えてリスクを負うと言うマイナスの経営をこぞって行っていたのです。
しかし限界に来たのでしょう。国内の売上がここ5年程度は頭打ちになり、100円ショップが珍しかった時代と比較して、どこにでも店舗を出店したのでその目新しさも無くなったのです。更に、大型のスーパーでは100円ショップの対抗として98円、88円と類似商品を売りさばくところも増えました。
お買い得感がほぼ無くなったのです。
そう、ルールがシフトし、100円ショップはもはや生活の一部。そうなると生活必需品を短時間で求めるような購買行動になってきたのです。これに今回のダイソーは合わせていった形でしょう。世の中が変化して、ダイソーのこれまでの陳列は、いつしか、分かりづらい、どこに何があるのか、歩きにくい、というネガティブなMDになってしまったのです。
ターゲットの感情が変わったことによって、マーケティングミックスのうち、流通を改革した事例でしょう。
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博多再開発
博多駅がオープンしました。外観を眺めていて面白い!と思いました。「JR九州」「東急ハンズ」「阪急百貨店」。全て鉄道会社が母体ではありませんか?
福岡市に博多阪急を開業したH20にとって、博多駅は絶好の立地条件となりました。新幹線の開通もさることながら、全国的に見て博多はこれまで空白の地点でした。
H20がターゲットとする層は、これまでの百貨店の層ではありません。高級婦人服なし、外商なし、売り場を削りイベント広場を展開する。従来の枠に捉われない考え方です。
3月3日の博多駅のオープンによって、博多と天神の相乗効果が出ているようです。博多駅に来られる方は、電車を使ってやや遠方からの顧客。百貨店しかない博多と違って、天神は歩き回ったショッピングができる。
開店前は、随分と博多と天神で競っていましたが、福岡市として面で考えた全体最適の街づくりをもっと意識して欲しいところですね。
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セメント業界
日本国内には18社のセメント会社があります。この業界は今後再編が激しくなるでしょう。
例えば、国内は大手2社の太平洋セメントと住友大阪セメントが首位を占め、残り数社と順位が明確になっています。過去、数度の業界再編は起きていましたが、昨今の国内市場はさらなる縮小、そして米国市場の厳しい状況が続いています。
最大手の太平洋セメントは米国事業の赤字継続によるファイナンスリスクを抱える、一方業界2番手の住友大阪セメントは海外進出を目指していますが、独力での海外展開にはヒト、モノ、カネの負担が大きくなります。この2社はM&Aを加速すること等は考えられると思います。
しかし、この2社が協業したとしても、収益力を見ると世界最大手の企業と大きく格差があります。直近の売上高営業利益額を比較すると、ラファージュ(フランス)2450億円、ホルシム(スイス)2436億円、太平洋セメント105億円、住友大阪55億円です。
最大手のラファージュは、積極的な新興国の進出によって高い利益率を確保する仕組みを構築しています。国内の環境は、上記でみたように互いが価格競争を行い低採算に苦しみ、課題とする海外進出が進みません。
国内のセメントは、一言でいえばドメスティックです。住友大阪は2006年の中期経営計画で海外事業の立ち上げを掲げていましたが、実行したのは中国企業への実質8%程度の出資のみです。太平洋セメントは米国やベトナムに工場を持っていますが、海外売上比率は2割を切ります。つまり、どにらのメーカーも国内専業です。
国内のセメント市場は頭打ち、今後は減少傾向になるのは見えています。セメントはバルキーな商品ですので、どうしても供給地域に工場を持っておかないと流通の面から不利になります。対して、世界のセメント需要は年間4%程度で成長しています。
セメント業界の鍵は国際展開、特に新興国の経済成長を追い風に世界のセメント需要はここ10年間で9割も増加しているというレポートもあります。最大手のラファージュは07年以降に、中国、エジプトで現地企業のM&Aを展開してきました。2010年12月期で、売上の50%以上、営業利益の70%以上を欧米意外で稼ぎ出しています。ホルシムも同様に利益の8割以上を欧米以外の国々で稼いでいます。
セメント業界。独自の成長を続けてもスピードと体力が持たないでしょう。かといって、積極投資に乗り出そうとも、その原資を調達しにくい環境にあります。何もしないか、再編の波を利用して大手の資本を注入して日本の技術を海外の途上国で用いるか。
非常に注目すべき業界だとおもいます。
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