早嶋です。
TPPはアメリカと日本の動きを見れば、今後廃案となるだろう。
前程としてTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、参加12カ国が協定文章に署名後、全ての参加国で議会承認などの完了を経て60後日に発効するもの。ただし、署名後全参加国が2年以内に批准(ひじゅん)できない場合、TPP域内の合計のGDPが85%以上を占める6カ国以上の批准で発効できる内容となっている。
ということで、アメリカと日本がNGになった瞬間、これは廃案が確定したも同じだ。
常にそうだが、この手の動きがあった後に白と黒の結果は報道されるが、過程でどのようなことをおこなったのか?は是非、改めて議論して次に活かしていただきたい。特に今回の途中で議論されていた5品目に対しての妥協はどのようなものだったのか?どのような交渉を経てそのような妥協をおこなったのか。その過程や考察は十分次に活かすべき材料だとおもう。時間が経過して忘れさせるというのはいかがなものか。
2016年4月 のアーカイブ
TPP廃案
三菱自動車お前もか!
早嶋です。
三菱自動車お前もか的なニュースですね。このまま潰れる。それに対して、他社が資本を入れて救うというシナリオになるでしょうね。今回は三菱グループは流石に見放すでしょう、というかその余裕はないでしょうね。
問題は、「eKワゴン」「eKスペース」などの4車種で燃費不正を行い、合計で62万5000台に及ぶ車が燃費試験のデータで不正行為を行っていました。しかもそれが日産の指摘で発覚というもの(※1)。この車は同社が販売している車の6割を占めます。つまり大多数の車は嘘の燃費ということです。
三菱が今回行っていた不正は、瞬間風速的な取組ではなく、1991年から堂々と行っていたことが発覚。三菱自動車の燃費試験不正行為にかかる国道交通相への報告(※2)を読むと「eKワゴン、デイズに設定されている4つの類別のうち燃費訴求車の開発において目標燃費が26.4km/lが社内会議で29.2km/lにまで引き上げられ不正を行った旨が記されています。」が全文の後半には、国が定めた試験法を無視して1991年から三菱独自の方法で試験を行っているとあります。
そもそも三菱自動車は2000年、2004年にもリコール隠しが発生して利用者の信頼を裏切った前科持ち。当時、三菱グループ全体の業績に影響を与えた上で、それでも三菱グループを中心に強力な支援がなされ生き延びた経緯があります。
2000年に発覚したリコール隠蔽行為は、1997年から23年間にわたり行われました。乗用車約45万台とトラック約5万台の部品不具合のクレームを外部に公表しないという隠蔽です。クレーム情報を社内に留め、ユーザーに直接連絡を取り不具合部品を回収・修理する行為、いわゆる闇リコールを行っていました。この穴埋めは、一部の経営人の入れ替えとダイムラー・クライスラーからの人材を迎えての再建でした。
2002年は三菱自動車から分社化した三菱ふそうの大型車のタイアが脱落事故が発生。その事故がキッカケにトラックなど大型車の構造上の欠陥が表にでて、それにかかわるリコール隠しが表に出ています。ダイムラー・クライスラーはこの事件を受け同社の財政支援を打ち切り経営陣も引き上げ、これら一連の事件に対して同社の経営陣の一部は起訴されています。
そして今回の燃費の不正は日産からの指摘を受けて明らかになっています。つまり、3度目の不正も結局は体質が変わっていなかった。2000年当時に綺麗に筒抜けにして抜本的に改善したのではなく、あくまでも見つかった部分のみ、ばれた部分のみを改善したかのように見せ続けていたというような始末です。ありえないですね。
こうなると、一企業の問題ではなく、日本企業の恥でもあり、何らかの影響でネガティブなイメージをグローバルに与えていることにもなると思います。
現在、三菱自動車の時価総額は不正発覚前の6割り程度まで落ちています。約1兆円あったのが4000億円程度まで下がっています(※3)。更に日産は三菱自動車との協業関係を見直しに入ります。日産としてもこれ以上三菱と関係を持てば自社のイメージダウンにつながりますので確実に自社生産に切り替えるか他の代替オプションを探すでしょう。いずれにせよ2014年度の国内生産約65万台のうち、3割弱は日産向けの軽自動車なので、これが無くなれば今の経営は確実に成り立たないでしょう(※4)。
では、2002年のダイムラー・クライスラーが支援を打ち切った後のように三菱御三家である三菱重工業、東京三菱銀行、三菱商事が中心となって三菱自動車に対して救済の手を出すでしょうか?これも自分たちがそれどころではないのであり得ないと思います。
まず、三菱重工は2016年3月期に508億の特損を新たに計上しています(※5)。一連の大型客船の特損で、これも初めてではなく累計で2375億円です。結果的に2016年は前期比の40%減の660億円の連結利益という成績になります。更に大型客船の2番船の引き渡しの目処も予定をずれ込む予想が既に出ています。また旋風を起こしているMRJですが度重なる納期の遅れで黒字化が見えていません。また、報道されているほどの他社との違いも無くビジネス的には不安定です。加えて米国での原子力発電所の事故で約9300億円の損害賠償を求められています。三菱自動車には20%程度の出資を行っているので連結で経営状況は更に不安定になります。
次に、三菱商事です。これまでは総合商社の2トップとして堂々たる成績でしたが世界市場を襲った資源デフレに直撃し半端ないダメージを受けています(※6)。2016年3月期の最終損益は歴史始まって以来の初の赤字で1500億円のマイナスです。背景は、4300億円の減損損失を計上していることです。チリで鉱山と製錬所を運営するAAS社に足しての出資を継続して2800億、オーストラリアのLNG開発計画に伴う見直しで400億の減損、おなじくオーストラリアでの鉄鉱石事業の減損300億、南アフリカのフェロクロム事業の現存が200億。AAS社に対しての出資継続は今後のマクロ環境を考えると成果が出たとしても2、3年以降でしょう。ってことで総合的に資源ビジネスはしばらく冬という状況。
と言うことで、まっとうな会社に対しての支援であれば理解出来ますが、いくらグループと言えでも、これだけ不正を正しながら、実はまだまだありますよ!的な企業には正直うんざりでしょうね。かつ自社の経営状況が絶好調であれば考えたかもしれませんが、上記のような経営環境、待ったがかかるでしょうね。ということで三菱自動車はグループからの支援を得られずじまい。
となると潰れるか?です。ここは否だと思います。三菱自動車を欲しい企業はいくつか考えられます。方向性としては同業者か異業種。同業者であっても有名企業はまずNGでしょうね。これだけの隠蔽を繰り返している企業の体質は変えられない、文化が合わないと判断すると思います。一方、中国自動車メーカーなどは今後の欧州規制などに耐える技術を自社で確保するのが難しいと判断して、三菱自動車の技術を欲しているところもあるでしょう。また、自国の通過を兎に角外に出したいというインセンティブから1兆円だったら手は出ないでしょうが数千億であれば検討すると思います。異業種であれば、今後車に参入したいテスラやGoogle。彼らからすると60万台の生産の仕組みを数千億円で手に入るのであれば資本を入れても良いと判断するかもしれません。その場合は、ある程度のセリになって5000億よりも高い値段のM&Aになるのではと推測します。
※1:http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160425-OYT1T50115.html
※2:https://thepage.jp/detail/20160426-00000009-wordleaf
※3:http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=7211.T&d=3m
※4:http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160425-OYT1T50115.html
※5:http://www.nikkei.com/article/DGXLZO00086860V20C16A4TI1000/
※6:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48296
y=axの成長とy=ax^2の成長の違い
早嶋です。
所有型の企業は成長のスピードが線形的(y=ax)であり、クラウド型の企業は指数関数的(y=ax^2)な成長を遂げている。2020年頃には大企業の概念が大きく変わり始めると思う。
インターネットが登場する前は、情報の流れ、そしてモノの流れにかなりの制約があった。他の組織と連携して自由に情報とモノをやり取りすることが難しかったので顧客の要求に柔軟に対応するためには自ら資産を大量に持つことが成功と考えられた。
そう、それまでは基本的にモノを所有することで有利な取引を進めることが出来た。古くは群れを作り、村を作り、やがて集団は国家を形成して力をました。やがて国は帝国になり領土をどんどん広げて行った。この行いは企業の成長と似ていて、やはりグローバル市場へ展開する企業も非常に大きな集団を組織して成長を遂げて来た。
価値を生み出す大前提は、より多くのハードを所有することが常識であった。規模の経済を追求することで1点あたりのコストを下げることにつながり効率を生み出した。一方で、ハードを大量に所有することは人による管理を肥大化させることになった。そのため今度はその人を管理するために階層型の組織を形成し、その在り方が当たり前とみなされた。
これらを前程に考えた組織は、成果(y)を出すためにはその分の入力(x)が必要と認識された。従って組織の成長はy=axとなり、皆が成果を出すために自らのハードを肥大化することが成功要因となった。
このような企業は、トップダウンが効率的で、組織が大きいため詳細な議論は難しく判断の基準は常に金銭ベースが理想、または合理的と考えられた。また、何かを行う際は常に直線的で順次的なアプローチを行い、過去の出来事に基づく判断が正とされた。逆を言えば、一度決めたことを変更する手間や手続きに多大なる労力がかかるため変化への対応が苦手とされた。つまり大きな組織が所以にリスクへの耐性が低くプロセスへの柔軟性が低くなったのだ。
こうなると組織は外部からの変化におもいっきり抵抗する。たとえその変化がその組織に有効であったとしても、肥大化した組織は変化を好まない。徹底的に疑問を持つどころか守備に徹する。これは多くの経営学者が示す通り、破壊的な技術が小さな組織から生まれ、資本が潤沢で組織が大きな企業からは生まれにくい理由だと思う。
確かに昔から大企業と言われている組織で近年の動きを見ると次の2つに共通点をみいだせる。1つは、中核事業を守る反応。現状維持を好み変化を受け入れない。そして2つ目は、組織に属する個人が守りの姿勢になっていて全体最適を考えず常に部分最適を受け入れたくなること。
が、これまでは良かった。所有しない企業が飛躍的に成長を遂げる前は。或いは世の中が成長フェーズでただ一点のゴールをトップが示し、後は効率的、処理スピードが早ければ受け入れられる世の中は良かった。しかし、世の中の流れが変わって来ている。
昨今注目をあつめる企業の特徴の1つに先に上げた企業の対極の姿がある。資産や組織を所有して線形的な成果を出すのではなく、積極的に情報を開示し外部のリソースを適宜活用して目標を達成する。自社で所有するものはその組織の成果に対して中核的な部分のみ。他はあらゆる外部リソースに協力を求め、ときには顧客にも何らかの役を発生させて目標を達成する。そして成長のスピードが指数関数的になる。これまでとは真反対。市場を取りに行くために、自社の資源をフル活用する発想から、市場に協力を求めながら成果をだしていく。全ての決め手は情報の在り方。自社で持つのではなく、外部に委ね皆で共有して徹底的にシェアする。
大企業からするとこの発想は理解できないかもしれない。が、理解できないまま今の在り方を続けていけば、その業界自体が一気にノックアウトになる可能性だってあるのだ。
クラウドファンディングによる復興応援プロジェクト
原です。
今回は、地域クラウドファンディングFAAVO福岡からのお願いです。
先日の熊本地震の発生を受け、FAAVO福岡では、クラウドファンディングを通じて「平成28年熊本地震(九州中部地震)」により被害を受けた皆様へ少しでもお力になれるよう、「熊本・大分の復興支援金」という形でをご支援を募集させて頂きます。
FAAVOでは、現在全56ネットワークあるFAAVOネットワークを活かし、全国各地の皆様から熊本の皆様へ復興支援のもととなる義援金を集め、少しでも早く被災された皆様が元の生活へ戻れるようにお力添えをしたいと考えて居ります。
なお、FAAVOを運営する株式会社サーチフィールド及びFAAVO福岡を運営する「株式会社ビズ・ナビ&カンパニー」は今回のプロジェクトにおいては成功報酬を一切差引かず、現地の活動に支援します。
私も、偶然、実家の大分に帰省していたのですが、九州では初めてという地震の揺れを経験しました。深夜から早朝まで何度も地震が発生しました。震源地に近い人々は、もっと恐ろしい思いで夜を過ごしたことでしょう。
中には、家屋も崩壊しているなど、多くの人や地域が苦しんでいます。
短期間での緊急支援プロジェクトです。どうぞご支援宜しくお願いします!
・熊本&大分の復興応援プロジェクト
https://faavo.jp/fukuoka/project/1251
・FAAVO福岡
https://faavo.jp/fukuoka
※FAAVO福岡やクラウドファンディングのご相談は、㈱ビズ・ナビ&カンパニーまでご連絡を宜しくお願いします。
1+1+1≠3
早嶋です。
東芝、富士通、VAIOの3社、やはり統合の交渉が白紙に。そりゃそうだ、というのが感想だ。日経によれば、「東芝、富士通両社のパソコン事業とソニーから独立したVAIOを統合する交渉の合意が難しくなり、構想を白紙に戻す見通しとなった。(2016年4月15日:日本経済新聞)」
従来の計画では、東芝、富士通、VIOのPC事業を持ち株会社の下に統合してシナジーを出そうというもの。しかし、3つのブランドは維持する。東芝は中国工場を売却して生産から撤退する。富士通はドイツ工場を撤退する。VAIOの長野工場は富士通の島根工場に生産拠点を集約化する。という構想だった。そしてそれぞれのブランドは個別に継続するのだ。
国内のノートPCの満足度、日経パソコンなどの資料を参考にすれば、常にパナソニックが首位に来て、次いでVAIO。東芝や富士通は一定の評価を受けているが、中身が同じになってしまえば、そのブランドコントロールなど非常に難しくなる。むしろPCなんて中身に大きな差がないので、基本設計や調達が一緒になれば、更にブランドのコンフリクトが強くなり、シナジーどころか共食いを招くおそれすら考えられる。
これらの絵図を描いたのは、3社の9割以上の株式を持つ日本産業パートナーズ。3社を統合すると事業のシナジーと効率化がなされ世界で競争力を持つだろうとの考えだった。が、これがそもそも甘いと思う。パソコンだから一緒にしたら効果が出る的な発想が甘い。一緒になっても世界ではとても戦えない、そして市場自体が急激に減少しているからだ。
企業がガッチャンコして2個いちになるには、それなりの理由がある。その背景や合理性を確かめた上で議論しなければ見た目上は一緒になるが、シナジーなんてでやしない。それが3社になるとその複雑さはマックスだ。
そもそも富士通のPC事業は2007年をピークに減少。東芝も2009年をピークに減少。そして一連の本社の不正会計の煽りを受けている。またVAIOも2009年をピークに減少している。世の中はキーボードを打って入力するスタイルからスマートデバイスに移行している、みな親指一本に頼っているのだ。この大きな変化の中で3つが募っても所詮は縮小するビジネス。
確かに、数字の上では3社がガッチャンコすれば国内の出荷台数では1位になる。DICJAPANの資料によると、NECレノボが現在26%のシェア、富士通が16%、東芝が12%、VAIOが2%なので合計すれば確かに30%台のシェアになりNECレノボよりも首位になる、見た目ではトップを獲得する。
しかし世界に目を向けた時、レノボの世界シェアは20%で仮に今回の3社が合計した所で、4%にしか過ぎない。国内でこれだけ低迷しているビジネスで仮に1位になっても、世界の市場で力がなければ意味のないことになる。
参照:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ14I95_U6A410C1MM8000/
尖った人財の育成と確保
原です。
新しい秩序や価値を創りだす人を「イノベーター」と言います。
21世紀に求められる企業人財は、「グローバル、リーダー、イノベーター」の3種類のタイプがありますが、今回はイノベーターについてのお話しです。
国内市場の縮小とグローバル化が進み続け、21世紀の企業を取り巻く環境が大きく変化する中、1人の尖った人財(イノベーター)の出現によりビジネスのルールが変わることで、変化できない国内企業や組織が淘汰されています。そして、従来のやり方から変化できずに業績悪化など苦しんでいる企業・組織が多いのが現状です。
なぜ、変化できないのでしょうか?理由の1つには、成長時代の仕事のやり方から抜け出せない。考え方と行動を変えきれない。つまり、古い体質が組織や個人の内に染み付いていて、「変化など必要ない。変化は無理。」という固定概念があるからです。
私も、ある組織で長年サラリーマンとして働いていたので、独立後は、従来の仕事の仕方から考え方や行動を変化していくことに不慣れであり苦労しました。
魚釣りに例えると、サラリーマン時代は、釣り堀内で釣りを競い合っていたようなもので、場(釣り堀)と魚・竿・餌などが与えられた環境でした。
独立後は、大海に出て漁をする漁師に似ていると感じています。常に変化する天候や厳しい自然界の中で、どうすれば安定的に釣れるのかを自らが考えて行動し、うまくいかなかったら再び考え、仕事のやり方を変えていかなければ生き残れません。
21世紀は、国内市場が縮小していくので、経営者や社員の誰もが大海の中で生き残れるかどうかを創意工夫するサバイバルな時代に突入しているのです。生き残るためには、ハングリー精神のある人財の育成と確保が必要です。
家庭環境でも変化が重要です。「可愛い子には旅をさせよう!」という諺があるように、親は子供を実家からの通勤範囲内など1つの地域内に止めようとするのではく、広い世界や尖った人財に出会い揉まれる環境に送り出すことが必要なのです。
そういった環境の中で揉まれた「尖った人財」が、再び地域で起業などすることにより、地域や企業の存続は可能となるのです。
「尖った人財の育成や確保をどうするか?」イノベーションへの大切な問いです。
イノベーションに関する研修やセミナーに関しては、弊社ビズナビまでご連絡を宜しくお願いいたします。
優良顧客はマーケティングコストがかからない!
早嶋です。
テレマティクス自動車保険という言葉がまもなく当たり前になると思う。これはマーケターが目指すmROI(マーケティングコストを最小にして、最大の効果を獲得する)を最大化する取組として元来から願っていた理想系の一つだ。それは、優良な顧客ほどマーケティングコストがかからないという仮説だ。
まず、テレマティクス自動車保険について。テレマティクスとは、自動車などの移動する物体に通信システムを組み合せることでリアルタイムに各種情報のやり取りができる概念だ。これらについては現在もいくつものシステムの中でみられ目新しさは少ないが、これらのデータを活用して保険を構築したのがテレマティクス自動車保険だ。
例えば、ハンドルに指紋センサがあれば、誰が運転しているかを特定できる。またアクセルやブレーキの動き、加速度センサを付けて、車の急発進や急ブレーキの傾向を観察する。例えば車載カメラで一旦停止や交差点での運転状況、高速道路や渋滞時での距離感を度の程度あけているかの習性を観察する。アルコールセンサをつけて運転手の状況を確認する。熱センサや脈拍等をハンドルから計測することで運転手の健康状態を観察する。
例えばだが、上記のような工夫によって運転手の状況と運転の様子を常にモニタリングして、世界中の運転状況と事故状況のデータを総合的に解析すれば、事故をおこす確率が高いのか、低いのかが、刻一刻と分かっていく可能性が高まる。これらを保険に適用することで保険会社は効率的なプライシングができるようになるのだ。
仮に世の中に車を運転している人が10人いるとする。これまで自動車保険会社が持っていたデータによれば1割の確率で大きな事故を起こすことが分かっているとする。その際に必要な費用は維持費を含めて5とする。保険会社は利益を5欲しいとする。すると、10人に対して自動車保険に加入してもらう際に、1人から1の保険料を徴収すると、ある程度保険会社は安定した収益を上げることができる。というのがざっくりしているが、これまでの保険のプライシングの根底にあった。
一見、当たり前で何が悪いか?と思うかもしれないが、現状のプライシングで得する人は事故を起こした人になる。1の支払いに対して、結果的に5を得ることになるからだ。そして最も損をする人は事故をしないで保険料を1払い続けている人になるのだ。本来この層は最も保険屋からするとありがたい顧客だ。しかし現状、最もありがたい顧客が、最も損をするのが従来のプライシングの根底にあるのだ。
もしこれまでの精度よりももっと運転者の事故をおこす確率が正確にわかれば、上記のような一律のプライシングを止め個別に保険の値段を設定して不公平が起きないようにすることができるのだ。実際これまでも過去の事故の履歴や、車の車種、免許の種類によって、保険のランクを決めていた。が、これらは運転者本人を個別に判断したものではなく、マクロデータ全体から判断したものにすぎず適切なプライシングかといえば違っていた。
概念としては常に考えられていたが、今のようにITの発達も、通信環境の発達も、センサーの普及もなかった。従って実現しようとすると、それだけで多大な投資コストがかかってしまい、保険料のベースがとんども無く高くなることから見送りされていたのだ。
昨今、個人情報に対して過度に反応する消費者集団がいるが、仮に、全ての情報が透明になれば、今払っているコストはぐっと下がり、もっと豊かな生活を出来るということも考えられる。ま、どちらが正解かと言えば、それは個人の判断になるのだろうが。
参照:http://www.sbbit.jp/article/cont1/32007
日本の農業、生産額が高いのは何故?
早嶋です。
農林水産省の農業総算出額及び生産農業所得によると、日本の農業の総算出額は1950年頃に2兆円を超え1980年代前半に12兆円手前でピーク、その後ゆるやかにステイ、90年代前半から減少、現在は8兆円程度です。
農業就業人口は、1970年代に1025万人だったのが2014年で226万人と凡そ1/4に。併せて日本の耕作放棄地の面積も1970年には13.1万haだったのが2010年で約40万ha、凡そ3倍になっています。
農林水産省の海外情報を調べて見ると、世界の農業で優れている国はオランダです。一人あたりの農地面積が9.4haで一人あたりの生産額は5.7万ドル、10aあたりの生産金額になおすと603ドルです。ちなみに日本の同データは一人あたりのの家面積が1.8haで一人アタロの生産額が3.5万ドル、10aありの生産額が1,907ドルになります。
普通、このデータを見れば、日本の人口は40年で1/4になり、耕作放置も同年で3倍になっている。しかしオランダよりも10aあたりの生産額が高い。ってことは、日本の農業ってかなり効率的なのかな?と思いますよね。しかし、実際、日本の農業にイノベーションを感じたことって有りますか?実際は、40年も前と変わらない天気まかせ、自然任せの農業が殆どで、生産をターゲットに併せて作るとか、効率を上げるために種類を限定して作るとか、効率的な作り方を研究するなどの取組が殆ど聞かない世界です。
なのに、このデータだけ見ると、「あれ?おかしいね、日本って高いじゃん!」となりますね。その理由が明快、そう補助金が入って買い上げているだけなのです。
実際、10aあたりの生産金額は日本を除くとオランダがトップで603ドル、次がスイスで482ドル、デンマークで394ドル、ドイツで341ドルと見ると日本の数字が異常値であることは一目です。また、この数字を見れば、どれだけ国が農業に手厚いのかがわかります。
今朝(2016年4月12日)の日本経済新聞に「レクサス農機」は必要か?という記事がありました。中身は、これまでいかに農業にお金がジャブジャブながれていたか、JAが如何におかねをジャブジャブにしていたかが書かれています。
日本の米は安全だという神話がありますが、実際は韓国の米よりも沢山の農薬を使っていることになります。これは金額ベースの話しです。例えば、農林水産省によれば米60キロを生産する費用は以下のとおりです。
韓国 8,500円
日本 15,000円
この理由も単純。日本の農機具は韓国の5倍が相場、肥料は韓国の2倍、農薬は3倍の額を支払っているのが背景です。なぜこのような実体になってきたかと言えば、日本は農業、特に食に対して過度に不安を煽る傾向が強いからです。
かりに食料の自給率が100%でもエネルギーの最大備蓄は石油で180日程度。現在でも天然エネルギーに頼る電力は2割程度ですので、食が完全に確保されても、今の文明社会では有事の際は食があっても水や火を使うことができないからどうにもならないのが事実です。しかし、ものごとを部分でしか捉えないため、常に食料自給率は独り歩きしている感じを受けます。
記事の中で、農家に対して補助金があるから700万円の農機ではなく、1000万円の高級農機(いわゆるレクサス農機)を購入する傾向があるとありますが、今後の少子高齢化を考えるとAIを積んだ農機購入にシフトするほうがよっぽど税金を効率的に活用していると感じました。
ダイバシティーの落とし穴
早嶋です。
企業が取り組んでいるダイバーシティ経営について、系統だった考えを持つことが重要です。例えば、ダイバシティーには2つの系統があります。タスク型とデモグラフィー型です。
タスク型の人材多様性とは、結論的に言えば知の多様性が期待できます。こらちの多様性は、業務に必要な能力や経験の多様性を指し、教育バックグラウンドやこれまでの職歴や経歴や積んできた経験等の違いを持った人材を集める取組です。
一方、デモグラフィー型の人材多様性とは、結論的に言えば知の多様性に対しての効果は期待出来ません。この手の研究結果によれば、むしろマイナスの影響を与えている結果も報告されています。
こちらの多様性は、同じデモグラフィーを持つメンバーで、年齢や国籍や性別を多様化させる取組です。日本の企業が進めているダイバシティー経営=女性にフォーカスしています。そこで近年新入社員にも女性を増やしている取組の企業がありますが、上記の観点からいうと意味がないのではと感じます。また、マネジメント職にも生え抜きの女性を活用するケースを観察しますが、ここも孤独を生み、結果的に成果を上げにくいのではと推察します。
理由は、同じデモグラフィーを持つ集団というのは、他のデモグラフィーを持つ集団よりも集まりやすく知の交流が促進されないからです。(知の交流は異なる考えがぶつかって新しい何かが出来るという考え)新入社員は経験の違いはあるとしても、マクロで言えばほぼ同じ。そこに、年齢が近く国籍が同じであればグループが偏ります。
もしこれらを活性化させたいのであれば、年齢の違う組×性別の違う組×国籍の違う組というようにデモグラフィーを敢えてごちゃごちゃにすることで知の交流が始まり、企業が目的とする新しい知の誕生が促進されます。
いずれにせよ、企業の目的に沿ってダイバシティーを唱えていても、人事や採用側が目的を理解せずに手法である採用に走ると結果、目的に反してガチガチのグループが出来て更に硬直させる原因になるのです。
次の世代に
早嶋です。
幼稚園の記憶といえば、父親がサイドカーに乗って迎えに来たことくらい。しかし、人生の中で1つのコミュニティに生きた初めての経験だった。来週から息子がそのコミュニティに入る。正確には凡そ半年間プレという名のもとに妻と週に1回通っていた。小さいながら感じるものが多かったと思う。
特に何か特別な所を選択しない限り、小学校は住環境によって決まる。同じ程度、地区の生活レベルの子どもが集まり6年間の義務教育がはじまる。中学校も同じだ。自分たちで選択しない限り、住んでいる環境に概ね依存する。9年間の義務教育期間は、生まれ育った環境、親の環境、育ての親の環境に制約があり、その延長で校区が決まる。
これらが高校になると一変する。何らかの受験があり偏差値なのか、運動能力なのか、或いは他の能力なのか。いずれにせよ迎える側の基準を超える何らかの能力を要求され、それに見合ったものが入学を許可される。従って、義務教育期間と異なり一定の基準に従ったコミュニティに属することになる。
大学はもっと如実だ。高校よりも狭い範囲の専門を学ぶ集まりだからだ。しかし、親からの自由度が高くなり、ある程度独立した中途半端な自由と中途半端な束縛の中で4年、6年、人によってはもっと長い時間を過ごすことになる。
そして社会に出る。
日本企業の採用は、20年も30年も前から続く大量採用、大量育成が今でも続く。そのコミュニティに属した若者は、戸惑いを隠しきればい。当たり前であるが当人にとっては不安でしょうがないだろう。4月は強制的な研修が続き、目的も良く分からないままひたすら受け続けなければならない。
企業によっては、大学での成績や本人の能力を度外視した幼稚園児扱いの教育もある。しかし、そのような中、世界では新卒採用は通年行われ、本人との契約は都度都度交渉され、互いの利害が一致されれば採用が決まる。当然、はじめから役割や仕事内容が決まっている。
日本が一気に成長していた時代。大量採用大量教育は間違っていなかった。企業が目指すべき方向が明らかで、それを達成するための手法も経営陣が中心に考えて、展開された。社員は、効率よくその手法を間違いなく繰り返す人材が優秀とされた。
しかし今は違う。トップの方向性はブレ、いや、見えなくなりつつある。大資本であろうが小資本であろうが、何かに取り組む際のハードルが一気に縮まっている。情報が瞬時にやり取りができるようになり、全ての行動がリアルタイムで可視化評価されるようになる。優秀なものは組織を超えて評価されるためごまかしが効かなくなっている。自分が考えた方向性を信念をもって愚直に貫きとうす。
誰もができる仕事は、コンピューターによるアルゴリズムか、アウトソースかに回される。おおきな資本を持つ組織よりも、小さな資本で世界で仕事をする組織に流れが向かう。一方で、過ちを認めたら事前の考えを変え、別の選択肢を試す柔軟性を備える。短いスパンで一期一憂するのではなくある程度長い時間で自分や組織の成果を見ていく余裕を持つ。何に対しても楽しみ、チャレンジする精神と行動を伴うことを忘れない。
これは正にいま3歳の息子が毎日の遊び、毎日の生活、妻と接する中で実践していることそのもののように思う。こから20年位、自分の意志とは異なる組織に属し、場合によっては反抗したくなる指示もくるだろう。都度都度悩み苦しみ考えて、自らの考えを見出して欲しい。そして自分の意思を持ってやりたいことを徹底的におこなう。親はそららを見守り、子どもの意思を実現するための最大の最も身近な支援者になる。
互いにそんな存在であり続けよう。
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