早嶋です。
プレーヤーからマネジメントになる際に多くの方が陥る罠に、「部下に仕事を任せることが出来ない!」という現象があります。部下が仕事をするよりも、自分が動いて成果を出したほうが、成績も良く手戻しも無いので効率的だと考えるのです。しかし、マネジメントが直接手をくださすと、本来の仕事に工数を割くことが出来ないし、部下も成果を出せない組織になるので、チームを形成する意味がありません。マネジメントは部下を介して、人を介して成果を出すのが基本だからです。
では、なぜ新米マネジメントは、そのように仕事を部下に任せることが出来ないのでしょうか。もちろん経験が無いので、そのような発想にならないということもあるでしょう。ただ、実際に役割が増え、プレーヤーとして仕事をすることが、自分の業務量を増やすことに繋がり、部下の育成も本来の仕事もできなくなることに気がついていません。研修等を行うと、かならず部下の育成や教育をしないといけない。一方で、時間が無いといっています。本来のマネジメントの業務が出来ていないのです。
では、なぜ仕事を部下にふることが出来ないのでしょうか。私は、理由は3つあると思います。1)そもそも自分の仕事を踏まえて、細分化や定義ができていない。2)仕事の優先順位や重要度を把握していない、或いは考えていない。そのために仕事をふる勇気がない。3)部下の面倒を見るという基本的な役割に資源としての時間を割いていない。
1)そもそも自分の仕事を踏まえて、細分化や定義ができていない。
新米マネジメントは、得に日本企業の場合、急に人事がやって来て役割が上がり、部下が増えてしまいます。そのためどのようにマネジメントするかの教育もありません。新米は仕方が無いから成果を出すことに焦って色々試しますが、全てうまく出来ずに結局自分が動くのです。上司や会社は、それでも全体としての成果は見かけ上上がっているので口出しをしません。しかし、これは最悪でそのうち、新米マネジメントは過労で使い物にならなくなります。
本来、マネジメントは自分の仕事がどのようなもので、どのような業務フローになっているか整理して把握することが重要です。加えて仲間と仕事の成果を出す場合は、チームの目的や業務内容を把握して、誰がどの程度の経験や能力を持っているかを確認します。そのうえで、チームとしての方向性を確認して仲間に示し、各メンバがどの程度仕事をすると良いかを整理して、徐々に自分の仕事の一部や全体を仲間に降っていきます。
2)仕事の優先順位や重要度を把握していない、或いは考えていない。そのために仕事をふる勇気がない。
当然、1)は簡単にできません。細分化し、整理した仕事に対して、優先順位や重要度、或いは難易度を整理する必要があるからです。そして、徐々に手放していき、部下や仲間の能力レベルに応じて配分します。もし、この時点で部下の能力が不足するのであれば、そこに教育を施す必要もあります。そして、上記のことを整理しても、最終的に降る勇気がなければできません。
このような落とし穴に陥るのは、現場での成績が良く、業務量が多くても工夫して出来る優秀なプレーヤーが多いです。もし、新米マネジメント自体が無能であれば、部下は心配して、はじめからマネジメントの業務量も行いますので、勝手に部下が育ち、仕事が出来るようになるからです。そのため部下の育成のためには、あえて無能っぷりを発揮することも大切なのです。
3)部下の面倒を見るという基本的な役割に資源としての時間を割いていない。
細分化して、部下の力量に応じて仕事を降ることが出来ても、その仕事の内容や進捗を適宜管理して修正することが大切です。当然、自分で行うよりも管理することが初めは大変です。部下のことを知らなければ、報告書の内容も鵜呑みにできません。そのためマネジメントは全体の時間の2割から3割を予め部下とやり取りする時間として確保することが必須になるのです。
そしてこの時間で適宜部下の力量に応じて指導をすることこそが、部下の教育になるのです。
ということで、新米マネジメントの皆さん、自分の仕事を降ることを恐れずにチャレンジしましょう。その仕事をこなすのは当たり前。その仕事で成果を出しても、過去の給料の範囲無いの仕事です。マネジメントは将来の仕事を創ることと、部下の育成をすることに徹することが大切なのです。
2022年4月 のアーカイブ
新米マネジメントの落とし穴
イノベーションを起こさせないヘルスケア業界
早嶋です。
コロナによって企業のDX化は進んでいます。得に、会議や打ち合わせの類、セミナーや展示会はオンライン化が一気に加速しました。一方で、コロナで劇的に状況が変わっても、鋼のごとく曲がらない業界もたくさんあります。ヘルスケア分野です。
本来、少子高齢化、コロナ、医療費工場と経済低迷と絶対的な社会問題が明確に存在するので、ここにメスを入れてイノベーションを起こすのが筋です。その際の道具であるデジタル技術とそれらを実現するスタートアップ企業は十分揃っています。スマフォやクラウドの活用、そしてAI等と従来と異なる思考の枠組みで新たなアイデアを提供する企業群です。実際、それらのテストマーケティングや小さい規模での実験が進み、海外では劇的な変化を遂げている国が多数観察できます。医療アクセスが向上し、質が上がり、更に医療コストも抑制出来ている事例です。
そもそも日本は経済が低迷しているにもかからわず毎年の予算を膨大に計上しています。使い方が良ければ年々、世の中の変化を感じることができるでしょうが、実際は良くなるどころか悪くなっている気さえします。21年度の予算で106.6兆円でその34%が社会保障で35.8兆円です。更に社会保障給付費は年々増加しています。2020年の医療費は40兆円。2025年には医療費は50兆円まで膨れるよる予測で、就労人口が仮に5,000万人になっているとして、一人あたり年間に100万円の負担をしなければ医療が提供出来ない数字です。
この数字だけ見ても、普通の企業人だったら根本的に変えようと思うでしょうが、そうは問屋が卸さないのがヘルスケア業界なのです。そもそもコロナでオンラインで治療や診療を希望しても、オンラインに対応できる診療所は全体の15%程度です。薬もオンラインで処方して配送してもらうなど不可能です。
考えてみれば、毎回かかりつけ医にも関わらず、期間があいたら初診料を取られるのも意味不明です。一人ひとりの医療情報を国が管理するDBで一括管理して、各々の医療期間がそこに情報をアップデートしていけば、何度も異なる医院で同じ検査をする必要が一気に減り、これだけでも医療費を削減できるのです。電子カルテにしても私が社会に出た頃から議論されていますが、一向に進んでいません。あたかも誰かが阻止しているかのごとくです。
世界のヘルスケアの潮流は日本と雲泥の差で進んでいます。従来の公的保険中心の医療に加えて、その前後の状態にもデジタル技術を活用してイノベーションが起きています。具体的には、健康管理、診断、治療、予後の4つの流れが整理されています。從來は、発病してから診断と治療という流れでしたら、そもそも健康な状態からモニタリングして予防に予算をシフトしているのです。
健康管理のエリアでは健康診断、遺伝子検査、健康管理、フィットネス、医薬部外品の整備、サプリメントの開発等が互いに融合しつつあります。そして診断も、日常のバイタルデータと国民の医療データを駆使しながら診断します。加えてゲノム技術やAI画像処理などが絡み、人間の経験で見る診断よりも遥かに精度が高まっています。治療は、手術ロボや再生医療が進み、バイオ技術も加わっています。そしてジョブ理論で言うところのリトルハイアにもフォーカスがあたっています。予後のモニタリングや関連アプリが充実しているのです。
個人単位で毎回終了していた医療を国民単位で共有化して、常にライフデータを蓄積する中で、そもそも医療費がかからない仕組みを作り上げているのです。
時価総額が1,000億円を超えるスタートアップをユニコーンと言いますが、現時点で世界で1066社あるユニコーンの中でヘルスケア関連は73社あります。米国が50社で中国が12社。その他の中にも残念ながら日本企業は存在しません。コロナをチャンスに世界ではヘルスケア業界が非常に成長産業になっています。米国ではオンライン診療は6割普及、英国では7割、フランスは5割と日本の15%からするとどこの国も優等生なのです。
各国は、医療データを共有化してデータベースを整備しています。米国、英国、中国が先進で、日本のように電子カルテが未だにベンダーごとにバラバラの仕様を取る国は鼻で笑われる状況なのです。
なんで進まないのだろうか・・・。
実は明確にその理由はわかっています。国は医療費全体を抑えたいが、医療従事者は出来れば医療費が増えたほうが良い。と思っていることが背景にあると思います。実際、オンライン診療が進まない、15%から伸びない最大の理由は、診療報酬が下がることにあります。本来、国はオンライン化をすすめることで医療費を安くするので、診療報酬を下げる設計にしたことは理解できます。それだと、医療を提供する側としては、インフラ投資が必要な上、從來よりも診療項目によっては2,000円も下がる状況では、普通は導入を拒むでしょうね。
この場合、国が厳しく関与するのではなく、もう少し自由に競争をさせて、診療報酬自体を自由に設定できるようにするとか、今よりも柔軟にするなどができると良いですよね。また、医療期間が今の組織形態ではなく、ある意味民間企業のように営利を目的にした取り組みを行えるようにしても良いと思います。利益は患者ハッピーの総和ですので、イノベーションを起こさない医療機関は淘汰され、そこにいた優秀な人材は収益を上げる営利事業者に流れ結果的に良い医療をより安く提供いただけるようになると思うのです。
上記を拒む組織に医師会や薬剤師会があると思います。医師会は当然ながら医療機関の経営に不利な取り組みには反対します。医療費を下げるという取組は、医師会からするとやりたく無い取組なのです。薬剤師協会からするとオンライン診療、オンライン処方、オンライン配送と家にいながら薬を得られる環境が出来てしまえば、自分たちの存在意義を否定するようなものですから、やはり拒みたくなるのです。
お薬手帳もしかりです。店舗ごとに発行なんかせず、保険証かマイナンバーに紐づけてしまい、過去のDBを国が一元管理すればよい話なのです。なのに、個別にDBを構築して個別に利益を得ようとしています。デジタル化の真骨頂はコピペが出いて伝達コストが安いことです。最高の仕組みを1つ作れば地方自治体1700箇所皆コピペする。当然ですが、手入力、手計算などの不毛な処理がなくなり、膨大な事務処理も不要になります。だけどやはり自分たちの業界からすると今までの取り分が減ってしまう!と考えてしまうのでしょうね。
と考えてしまうと、米国から一方的に医療の規制を撤廃して、グーグルのDBやアマゾンでも薬を買えるようにしなさい!的な鶴の一声でも起きない限り日本は変わらないのだろうな。と改めて整理して痛感します。
参照:2022年4月福岡向研会「デジタルで変容するヘルスケアと日本の課題」
愚者の行進 〜組織は頭から腐る〜
◇とある経営者の寓話
原田です。
とても印象に残っているある創業経営者の話があります。かなり有名な経営者です。人伝いに聞いた話でエビデンスはないので、一つの寓話だと捉えてください。
この経営者は、会社が大きくなっても、自分の目で現場を見ることを優先していました。定期的に、全国にある自社の店舗まで赴き、お客様、働く人、売り場づくりなど、生の現場を視察していました。
しかし、視察される店舗へ、事前に幹部からこっそり指示が出ていました。そのときだけ、人の配置、レイアウト、商品陳列などを経営者の指示通り変えていました。店舗もきれいに清掃しました。普段はその通りにできないので、視察のときだけです。
経営者が視察に行くと、自分の考えが、ちゃんと現場で実行されています。従業員の愛想も良く、商品は素晴らしくディスプレイされています。お店のトイレもきれいです(普段はすごく汚かったです)。当然、経営者は毎回視察で大喜びです。多少、業績が悪くなっても、現場でこれだけのことができていれば大丈夫と思ったでしょう。
ちなみに、もうこの企業はありません。
◇取り巻きの人たちの忖度(そんたく)
幹部の人たちにしてみれば、良かれと思ってやっていたことでしょう。経営者が視察に行くから、ちゃんとやろうと。いわゆる「忖度」です。
幹部は経営者が欲している情報を提供しています。経営者のニーズを満たしています。組織は、こういう方々が出世します。
しかし、経営者は、正しく実態を把握できません。だんだん現場感覚がなくなり、おかしな意思決定(無理な拡大路線とか)をするようになります。それにあわせて幹部のかたは、さらに悪い情報を隠し、良い情報だけを届けます。
企業で不祥事があったときに、経営者がとんちかんな発言をすることがあります。これは本当に現場を知らなかったのだと思います。本気で自分の企業は素晴らしい企業で、社員も満足して働いていると思っていたのだと思います。
世界の歴史を紐解いても、悪名高い独裁者ほど、自分の国が世界一素晴らしいと本気で思っていました。
◇共犯関係
こういうことはコンサルの現場で良く経験します。客観的なデータを集めると、経営者の認識と実態が大きく離れていることがわかります。これまで経営者にとって都合のいい情報しか上がってこなかったということです。
一方的に、取り巻きの幹部が悪いということではありません。多くの場合、経営者も心の奥底では、気づいていると思います。しかし、人間は自分の信じたいことだけ信じるものです。不都合な現実よりも、刺激的なフィクション(虚構)を信じるということは、仕事だけに限りません。人の生活においてあらゆる場面で見られます。
なんか変だなと思っていても、まあいいかと思い、次の面白そうな話題へいこうと、スルーしてしまうのが人間心理です。
◇組織は頭から腐る
人は誰でも自分の立場が一番大切です。これは良い悪いではなく、人の社会的な性質です。会社が大きくなればなるほど幹部に自分の立場を守る気持ちが強くなります。逆に、会社が大きくなり自分が何をすればいいかわからなくなります。
組織のトップが、実態を知らない経営者と、役割を見失った幹部で構成されます。会社に勢いがあり、現場が頑張っているうちはまだなんとかなります。
しかし、勢いがなくなると、何もわからないトップが焦り、現場にどんどんプレッシャーがかかっていきます。業績を回復するために次々と手を打ちますが、実態にあっていないため、やがて現場は耐えられなくなります。
良い情報も悪い情報も共有できる経営者マインドの醸成が必要です。そのためには、経営がわかる人を育成し、立場(ポジション)ではなく、役割(ファンクション)を与えることが必要です。
イノベーションを加速するエコシステム
早嶋です。
グーグルは米国において12番目につくられた検索エンジンのスタートアップで全くの後発組でした。しかし初期のグーグルを支援したヴェンチャーキャピタル(VC)が名経営者のエリック・シュミットを連れてきて、それから業績を伸ばしています。そしてそのVCは半導体産業が元祖でその半導体産業自体もVCによるリスクマネーで産業が成長しています。
世界的に見て2013年はユニコーン元年です。この頃から時価総額1,000億円以上の未上場企業が増加しています。2015年には176社だったのが2021年には959社まで増えています。当初はシリコンバレー発だったユニコーン。今は半数が米国以外からの誕生です。この成長を裏で支えているのはVCです。
従来、日本と同様に保守的と考えられていた欧州の企業も、北欧発のくランダムというVCを皮切りに欧州発のグローバルスタートアップ企業を誕生させています。現在、欧州でのベンチャー投資額は737億ユーロと直近10年で10倍程度伸長しています。
この動きはアジアにも飛び火しています。中国以外の国でもインドをはじめ、シンガポールやインドネシアなど巨額の時価総額を生み出すベンチャー企業を次々に誕生させています。
そして2019年12月、武漢から始まった世界的なパンデミックで下火になるどころかベンチャー投資は更に加速しています。社会の変化を受けて新たな企業が全く異なる切り口で社会課題を解決する。その際にリスクマネーを集めたVCのエコシステムが産業を資金面で下支えしているのです。
かろうじて世界3位の経済大国日本。残念ながら既存の大企業のエスタブリッシュメントの力が強く、このVCによるイノベーションを創発する仕組みが生かされていません。今停滞している経済に風邪穴をあけるのは大企業ではなく今後生れてくるであろうスタートアップの可能性も秘めています。その意味で経営者はVCに対しての知識を一定以上付けることは必須になると思います。
育児・介護休業法 改正ポイントについて
安藤です。
今回は、「育児・介護休業法 改正ポイントについて」です。
2022年施行予定の「育児・介護休業法改定」に伴い、企業に柔軟な育児休業取得のための整備が必要となってきます。男女とも仕事と育児を両立できるように、産後パパ育休制度の創設や雇用環境整備、個別周知・意向確認の措置の義務化などの改正がありました。
まず、関連して「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」については、「職場」において行われる 上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・ 出産した「女性労働者」や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることです。 妊娠の状態や育児休業制度等の利用等と嫌がらせとなる行為の間に因果関係があるものがハラスメントに該当します。 なお、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動による ものはハラスメントには該当しません。 ※「制度等」とは産前休業その他の妊娠又は出産に関「育児・介護休業法」改正案が2021年6月に成立・公布され、メディアでも「“男性版産休”新設」と話題になりました。この法改正には、男性の育児休業取得率を引き上げる狙いがあるだけでなく、様々な意識変革を企業に迫っています。
育児休業制度の歩みは、「育児休業法」が1991年に成立したことで、それまで産休明け後直ちに職場復帰しなければならなかった状況から、子供が1歳になるまで育児休業が可能になりました。その後、2005年の法改正により、保育所に入れない場合は1歳6か月までの育児休業延長ができるようになり、2010年の法改正では妻(夫)が専業主婦(夫)の場合は育児休業が取得できないことを労使協定で可能とするいわゆる「専業主婦(夫)条項」が撤廃され、「パパ休暇」「パパママ育休プラス制度」が導入されました。さらに2017年の法改正で、保育所に入れない場合は2歳まで育児休業を延長できることになりました。以上のように改善が進んだ半面、管理や事務手続きの複雑さが増していきました。そして、2022年度の改正でさらに複雑なものとなり、事務負担が増えることが見込まれています。
その理由として、2017年に政府が打ち出した「働き方改革実行計画」が影響しています。参照として、「長時間労働は、健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因になっている。これに対し、長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり、労働参加率の向上に結びつく。」( 平成29年3月28日働き方改革実現会議決定 「働き方改革実行計画」より)。政府は新しい少子化対策の柱として働き方改革に関する法整備を行い、「働き方改革」との関係で、育児・介護休業法が改正されました。
男性の育休取得状況として、日本の出生率は2019年度が1.36、政府目標の1.8です。そこで、育児・介護休業法を改正し男性の育児参加を促すことで、出産しても女性が社会で活躍できる環境づくりを進め、その先にある出生率の向上を目指すことにしたのです。
そこで気になるのが男性の育休取得率です。2019年度は7.48%、2020年度は12.65%と伸びていますが、コロナ禍によるテレワークなど在宅時間の増加に伴い育休取得者が増えたという要因が考えられます。ちなみに、女性の育休取得率は2019年度で83%と大きく乖離しています。
男性の育休取得が低水準の理由は「仕事を休めない」「収入が減少する」「取得しにくい雰囲気がある」などが大半です。今回の法改正では、こうした事情を解決することを目的としています。
改正「育児・介護休業法」5つのポイントは、下記のとおりです。育児・介護休業法 改正については、令和4年4月1日から3段階で施行予定です。
(1)雇用環境整備、個別の周知・取得意向確認の義務化(2022年4月1日施行)
(2)有期雇用労働者の取得要件緩和(2022年4月1日施行)
(3)出生時育児休業制度(通称、産後パパ育休)の創設(2022年10月1日施行)
(4)育児休業の分割取得(2022年10月1日施行)
(5)育児休業取得状況の公表義務化(2023年4月1日施行)
詳しいことはこちらをご覧くださいませ。
厚生労働省サイト
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf
上記の(1)~(4)は、全企業が対象になりますので、ぜひ、一読されておくことをお奨めいたします。
何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。
中古車市場
早嶋です。
3月末に個人所有の車を売却、4月に法人所有で車を購入しました。買い替えは5年ぶりで、メーカーを変えたこともあり複数の中古車買い取り業者とやり取りをしました。4社に見積もりを取りましたが、毎回交渉するたびに値段が上がります。
個人での利用は殆ど、仕事の移動が主要とだったこともあり年間に8,000kmも乗らず、人気のSUVで5年未満で走行距離3万km台ということもあり、需要があるということでした。そのまま乗り続けても良かったのですが、次の車のタイミングが新車で注文しても1年以上待ちで、現時点で納入時期が未定。更に、新たに同メーカーから新型の車が出るという情報も昨年からありますが、一向に更新されません。発売は今年の秋頃のようですが予約から引き渡しまでは半年から1年という話を聞くと、ディーラーを変えようかなというのが背景です。
買取の結果、ディーラーが買い取ってくれました。中古車買い取り業者が示した最も高い金額でです。やはり、ディーラーも同様に新車を提供したくてもたまがなく、顧客に少しでも状態の良い中古車を提案したいというのが背景でした。同じブランドに乗り継いで頂くことで、ディーラーのサービスを提供でき、顧客の維持につながりますからね。
トランプ大統領から始まった世界の分断。それが2019年12月のcovit-19で一気に加速。グローバルサプライチェーンが機能しなくなり2万から3万点の部品の一つでも欠けると完成車が作れない自動車産業は大ピンチです。作りたくても作れない状況が続きます。得に半導体の品薄に加えて、国内の半導体メーカーの相次ぐ出火。負の連鎖が続きます。そしてロシアとウクライナ。ウクライナエリアは得にドイツ車を中心に自動車関連の部品を製造しているエリアもあるとのことで、メーカーや地域によっては更に生産の見通しがつかなくなっている現状です。
このような状況が続くと、新車を購入していた層が中古車に流れます。そのため程度の良い中古車の価格が跳ね上がります。需要と供給のバランスが逆転しているからです。今回は、その恩恵を受けたわけですが、中古車市場も売却する車がなく品薄状態が続きます。従来、中古車買い取り業者は買い取って、それらをオークションでリセールして短期的に利ざやを確保する事業モデルでしたが、店頭に並べる車が無く、買い取った車は自分たちの商品として商品化する業者も多いようです。
このような一連の動きから、中古車市場の平均販売価格が2022年2月に100万円を超える大台を記録しています。2019年4月時点で同金額は60万円だったことを鑑みるとこの価格の上昇は異常事態ですね。
covit-19、ロシア問題。どちらも一定期間継続するでしょう。更に、これらを期に西欧諸国、資本主義諸国と社会主義諸国などの分断が加速して、その国も自己を中心に考えますから状況はしばらく好転しないと思います。そう考えると、策としては早めに意思決定して判断することでしょうね。楽天的に考えずに、最悪のオプションをベースに、今の最善で判断したほうが、1年先は更に状況が悪くなっていることでしょう。
部下育成の「ホウレンソウとおひたし」
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回は4月ということで“新入社員向け”ではなく、部下を持つ管理職の方々に、部下育成の「ホウレンソウとおひたし」というテーマでお届けします。
「報・連・相」は今さら説明する必要はないでしょう。新入社員の時に習った「報告・連絡・相談」のビジネスコミュニケーションです。これに「指示」を加えて、『仕事は指示に始まり、報告・連絡・相談し、完了の報告で完結する』と教わった方も多いのではないでしょうか。
部下に対して、「報・連・相」するよう口酸っぱく言うけど、全然してこないと悩んでおられる上司もおられるかもしれません。私のクライアントの経営者や管理職の方とお話ししていても、新人の育成について相談をよく受けます。「早く仕事を覚えてほしいから熱心に教えたら、急に黙り込んでしまう」、「少しきつく指導すると、シュンと元気がなくなって、辞めてしまうのではないかと心配になる」などなど。戸惑いと「自分たちの時代とは違うからなぁ」というあきらめにも似た感情が伝ってきます笑。
原因はどこにあるのでしょう?もちろん部下が仕事の基本をしっかりできていないということもあるでしょう。一方で、上司である皆さんの普段の接し方を見直すことが効果的であるかもしれません。
例えば、いつもイライラ、カリカリしていて報・連・相しにくいオーラを出していないでしょうか?
もしくは忙しさにかまけて、報・連・相してきた部下に対して適当な返事や後回しにしていないでしょうか?
また報・連・相に対して、アラばかり見えてしまい欠点の指摘、ダメだし、付き返しをしていないでしょうか?
私の場合は新人時代、失敗して先輩に叱られ、時に厳しい指導をしていただきながら仕事を覚えたものですが、時代もだいぶ変わりました。
そこで最近は、部下の報・連・相に対して、上司は「おひたし」で返すことが勧められます。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、「おひたし」とは“怒らない”“否定しない”“助ける”“指示する(必要に応じて)”の頭文字です。
「おひたし」で部下がしっかり育つのか、あまやかしではないか、と不安を覚える方もいらっしゃるかもしれません。しかしコーチングの視点からは「おひたし」は有効だと思います。
ビジネスコーチングの目的の一つに、部下の主体性やモチベーションアップを図ることがあります。そのために最も必要とされるのは、人間関係、特に上司との関係性に注目します。
誰でもそうでしょうが、信頼できない相手、心を開くことができない相手に対して、積極的に関わりたいとは思わないでしょう。上司と部下の関係も同じで、人間関係がないと本音も言えません。いつも忙しくてろくに話を聞いてくれない、何か相談しようにも逆に叱られるでは、報・連・相しにくくなるのは当然です。
では、どうするか?「おひたし」の前提は、上司と部下の協働関係です。部下を信頼して、任せるところは任せる、必要ならサポートする姿勢です。
そのために報・連・相しない部下を変えようとするのではなく、まずは上司である自分を変えることから始めます。そもそも他人を変えるより、自分を変える方が簡単です!
あわせて、部下に「こまつな」を勧めることも有効です。「こまつな」は「困ったら、使える人(できる人)に、投げる(任せる、協力してもらう)」という意味です。
頑張って抱え込んでしまう真面目な部下に対して、全体でバックアップしてあげるから安心して、お互いに助け合いながら仕事をすすめていこうという協働関係を示します。結果的にミスなく、仕事が効率よく進むことになります。また大きな問題になる前に相談を受けやすくする効果もあるでしょう。
さらに上司の方は部下の「ちんげんさい」に気をつけてください。「ちんげんさい」は、「沈黙する、限界まで言わない、最後まで言わない」状態です。部下が「ちんげんさい」になってしまうと退職の危機が近いです。「ちょっと、お話しが・・・」となる前に、上司は部下の状況に常に気を配る必要がありますね。
「部下から報・連・相がない」、「最近の若者はガッツがない」、「部下が育たない」という前に、報・連・相される上司と部下の関係など、新年度がスタートしたこの時期に見直してみることも良いかと思います。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
離職率は経営者の通信簿
早嶋です。
日本企業の平均的な離職率は14%から16%(令和2年雇用動向調査・厚生労働省)で直近推移しています。規模によれば100人から300人が最も高く、年代でいうと25歳以下、つまり入社して3年から5年の離職率が高いです。
結論を先に言えば、自社の離職率と年代ごとの離職率が平均よりも高い企業は経営者の通信簿が下がっていることを意味します。小手先のテクニックでジョブ型だとか教育だといっても、経営者がそこに課題感を持って数年かけて取り組まなければ、結果的に労働環境が悪化してパフォーマンスが下がり、場合によっては淘汰されるのです。
では、世の中の離職率で人数別に見ていきます。
1,000人以上 14%
300〜999人 13.3%
100〜299人 17.4%
30〜99人 14.7%
5〜29人 13.6%
上記直近の規模による離職率ですが100人から300人規模の会社が離職率が(17%台)高くなっています。過去10年で見てもこの規模は15%から21%で推移しています。中小企業やベンチャーの離職率が高いという声はありますが、ベンチャーの定義は統計では難しく、人数が少ない会社は離職が少ない。というのは上記からも傾向はわかります。
男性の離職率(平均) 12.8%
女性の離職率(平均) 15.9%
属性で見た場合、性別での離職率も差が顕著です。年齢別に見ると当然の理由がわかります。男性では、24歳以下の離職率が高く33%以上で、59歳以下で概ね同じ離職率。その間は離職率は1桁になっています。女性でも同じ傾向ですが、25歳から34歳で男性よりも離職率が高まります。
性別の違いは、パート・バイトという雇用形態が一般労働者よりも高いこと、結婚を機会に離職することで説明がつくでしょう。59歳以上の離職は定年等の離職、24歳以下の離職ははじめての仕事の環境になれずに他の選択肢を選んでいるということが言えると思います。
離職率の問題を平均的に対処するためには、1)24歳以下の離職をへらす、2)寿退社の対策を考える、3)定年にフォーカスするの3つがあります。ただ、3)に関してはそれよりも上位の戦略に紐づくでしょうからここでは検討しないことにしましょう。2)に関しては、本人が好きで仕事をしていても制度が整わず、離職を選択せざるを得ない場合は検討の余地が十分にありますね。
様々な離職に関するレポートを読むと、離職の理由は、人事評価、人材育成、業務量と労働時間、社員のエンゲージメントなどが上がっています。これらは、「やりがい・達成感がない」「労働条件やワークライフバランスへの不満」「社内の風通し・人間関係がギクシャクしている」などに代表される課題でしょう。
10数年ざまざまな業種や企業規模で仕事をさせて頂いて感想として、評価基準が曖昧な会社は若手の離職率が平均よりも随分と高い傾向にあります。その手の会社は、評価者や2次評価者も人事のトレーニングを受けることなく、社員を感覚や感情で評価しています。そして、そのこと自体を経営チームや人事チームがペイントして考えていません。夢を持って入社した若手が転職するのは当然です。
当然、上記のような企業は新入社員研修程度はありますが、その後の入社3年目の教育、7年目の節目教育などはありません。また、キャリア面談や会社のビジョンに即した異動の説明などなく、未だに「人事異動は突然やってくる」と昭和の文化を良しとしています。最悪です。異動をともなく業界や企業でも離職率が低い企業は、企業の戦略を定期的に社員に示し、評価者は社員のキャリアビジョンを共有しながらも、そのポジションに付くためには「こんな経験を積んでいくのはどうか?」などとコミュニケーションを取りながら人事異動の理由を明確にしています。納得するか説得するか、説明が無いか。考えなくても、その積み重ねが離職が高い理由なのです。
業務量や労働時間が長い。一時的に人で不足で業務量が増え、労働時間が長引くのは仕方の無いことですが、それが慢性化していることによる離職は経営者の問題です。それでいて給与や待遇が変わらず、将来のビジョンも見えないのですから社員としては離職、転職意外に選択肢は無いでしょう。業務量が多く、労働時間が長くとも、その意義を感じ、それなりの対価を得ている人は辛いでしょうが継続できるのです。
社員のエンゲージメント。いわゆる社風や雰囲気です。トレーニングやコンサルで様々な会社にいくことがありますが、これは空気感のようなモノを感じてすぐに、離職率が浮かびます。エンゲージメントが高い会社は、清潔で、社員とすれ違っても目が生きていて挨拶が普通に飛び交います。が、低い会社は社内がどよんとして、挨拶などは皆無です。掲示板の乱れがあり、植物は枯れている、来客がいても誰も知らんぷり。規模の大小関係なくこの傾向はあると思います。
当然に、会社はビジョンがなく、淡々と過去の仕事を繰り返し、業績が低迷して利益が下がるので、人件費にメスを入れてその場を凌ぐ。結果、従業員に負荷がかかってしまい離職が増えるのです。
とこう考えた場合、私の結論は、離職率が平均よりも高い企業は、そもそも小手先のテクニックで改善したとて戻らない。それよりも、その環境で数年耐えて、違うかな?と気がついて行動が起こせた社員は、もっとまともな会社にいって活躍するとよいのです。残念ながら、企業の数が多すぎるのです。企業にも新陳代謝が必要です。日本の人口が伸びて、皆が成功する時代は終わりました。ですから企業も努力をして、経営者も社員も必死に頑張っている企業は残り、それ以外の企業は退場する。それが自然なルールだと思うのです。その結果、マクロで見た経済は活性化するでしょう。
何らかの理由で仕事が出来ない人は、経済全体が回っていれば、税金によって互いに助け合うことができる。それがまっとうな社会なのかな。と思います。
この時期の不安
早嶋です。
新しい期が始まりました。入学生、新入社員。転職して心機一転新たな職場で仕事をする方。異動等で仕事内容が変わる方。日本は4月に新たな期を迎える組織が多いので、上記の状況の方も多いと思います。その中で、得に新入社員や学生の方々は、はじめての一人暮らし、はじめての社会(学生は高校から、実質的な大人と子供の間の大学生。新入社員はまさに大人の仲間入り)など、期待と不安が交錯する時期でしょう。
不安を頂くのは、人間の生命維持装置のようなもので当然の仕組みです。昔、暗闇から明るいところにでる。また、その逆などをする際に、自分の神経を高ぶらせることで、周囲のリスクをより察知するような入力が我々のDNAにインプットされました。今と違って、獣や敵が急に襲って来るかもしれない状況があったからです。不安はその名残で、状況の変化がある際に、我々の感情にスイッチが入り、ある種の緊張状態になることで、敏感に何かに反応しやすい状況を作り出したのだと思います。つまり不安を頂くことは当たり前のことで、状況の変化を体が受け入れ始めているサインなのです。
更に、不安の多くは、時間とともに一件落着します。例えば、新入社員に多い、朝起きれるか?お金の使い方が心配。配属先はどうなるの?会社の仲間や上司や先輩とうまくやっていけるか?などの悩みです。これは、正直今考えたところで、何も自分でコントロールすることは出来ません。その時期が来た後に考えれば良いことです。
また、仕事ができるだろうか?とか正しく評価されるだろうか?なども同様です。まだ仕事をしていないし、そもそもどのような役割になるかも不明な新入社員の時期に考えたとて、そもそも会社のことを知らないので解はでないのです。そして、そのような悩みを持っている人も5月になり、8月になったら確実にそのようなことで悩んでいた事を忘れています。つまり時間が解決することなのです。
人生において、変化は当たり前で、それに慣れる必要は無いと思いますが、ある程度繰り返すうちに、そんなもんだと思えるようになることは大切です。それでも、不安な状況を適度に受け入れ、それは自分で変化を受け入れて新たに成長するチャンスと捉え、そのために準備を日々進めることに意味があるのだと思います。
事業会社が新規事業を成功させるスキームとしてのCVC
早嶋です。
中堅企業以上で次のような文言を聞く機会があります。
『2025年に向けて売上を(例えば)500億にします!不足する(例えば)100億は新規事業とM&Aで補います!』
って、実際に具体的な新規事業の中身やM&Aに対しての取り組みを見ると、これからという企業があまりにも多いです。しかし実のところM&Aは国内でも年間に4,000件程度の成約しかなく、しかも多くの方がイメージする実質的な支配権を獲得する買収はそのうち3割程度、5割は資本参加という実態です。企業の数が300万社から400万社ということを鑑みてみ、如何にM&Aのオプションが実は現実的な可能性レベルよりも少ないことがわかります。
仮に、新規事業をM&Aで補うことを考えて見ましょう。M&Aを実施する際、1)新規分野への投資、2)既存分野への投資があります。そして、それに対して今事業が不調な企業と好調な企業に別れます。
1)新規分野✕好調
好調な企業は仮に買収出来ても結構良い値段がつくと思います。仮に買収できても、買い手企業がその企業をマネジメントできるかは別です。本来、M&Aは資産価値から負債を差し引いた純資産の価値以上の買収価格が付きます。そのため、買い手企業はM&Aをした時点で損をしていることになります。得にベンチャー企業などは急成長を武器に、積極的な外部資金調達を行っているため、買収時に発生するのれんが相対的に大きいです。そのため買収後にベンチャー企業が思うように成果を出せなかった場合はのれんの減損が発生します。
1)新規分野✕不調
不調な企業ですから買収価格は安いでしょう。しかし、買い手からすると新規の事業であり、しかも事業内容が不調。そのメカニズムすら理解できないでしょうから、買収は出来ないでしょう。
2)既存分野✕好調
こちらはいわゆる同業者の買収になります。もしこの分野のM&Aを検討するとしたら、すでに売り上げが頭打ちで何らかの理由で売上が確保したい場合でしょう。買い手としては、既存事業ですので事業の理解もありマネジメントは可能ですが、新規事業のポートフォリオとしては不敵説ですね。
2)既存分野✕不調
買い手が一定のシェアや規模を持っている場合、売り手企業の不調レベルが理解できると思います。そして、仮に買い手の傘下になった場合、その不調部分を補える場合は良い買い物になるでしょうが。不調な分、買収価格は低い。しかも買収することで、双方にメリットが生じ、将来の企業価値が高くなるのです。
と考えると、本来M&Aは2)既存分野の不調を買うのが最も合理的だということが変わります。少なくとも新規事業のエリアを買収して伸ばそうとすると、相応に高い金額でなければ変えないし、相応のマネジメントがいない限り、更にその企業を伸ばすことが出来ないのです。
では、M&Aは新規事業において不適切かといえば、そうとも断言できません。もし、僕が同様の立場で一定の新規事業をM&Aする必要性があるとしたら独自のCVCを運営して、M&A候補ベンチャー企業にマイノリティ出資を行うことで、買収後のマネジメントに対してのヘッジを考えると思います。
上記の説明から買い手企業が新規エリアに事業投資を行っても、そもそも業界のことや事業のことが不明でマネジメント出来ない可能性があります。そこで、いきなり支配権を得て経営をするのではなく、業務提携や業務資本提携からはじめて、一緒に事業をしながらDDを行うのです。マイノリティ出資を行うことで、双方の信頼関係は高まり、実際に事業を進めながら双方が協力する中で、短期間で行うDDを実務を行いながら行うこともできます。もし、最終的に完全に支配下に収めたいのであればその後にM&Aの交渉をするのも有りなのです。
一般的なベンチャー投資は投資リターン、つまりキャピタルゲイン等を狙い、事業リターン、つまり協業を通じた新規売上等を評価軸としてその最大化を評価軸として動きます。ファンドには業務執行を行い無限責任を負うGPと業務執行を行わないLPの2種類の組合員で構成されます。そして通常のファンドは、複数のLPがお金を出し合って運営します。
ファンドは、出資先企業の情報を獲得でき、情報収集手段として期待されます。それからファンドを運営するGPは提供する情報を増やして、直接投資の機会を提供します。しかしGPの目的は投資リターンの最大化であり、投資リターン意外には情報提供に留まります。
一方でCVCの場合は、GPとLPの二人組でファンドを組成します。そのため重点領域の選定や投資検討プロセスに関与することができ、投資リターンとともに事業リターンを最大化することが可能です。
ということで、20●●年の戦略的なギャップをM&Aや新規事業で補います!的な取り組みを行っているものの、実際はどうしようと悩んでいる方がいましたらCVCを構築して運営するというのが一つの筋だという考えを記述しました。もし、上記の取り組みにご興味がありましたらご連絡ください。
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