新規事業の旅 その7

2022年6月20日 月曜日

早嶋です。

今回は、ビジネスモデルをトランスフォーメーションする意味について考えます。新たな事業を創発する際、ビジネスモデルの検討を行うことが良くあります。そして時々、既存事業モデルが新規事業モデルにより、カニバライズして既存事業が不利益を被ることがあります。しかし、その発想は実はごく狭い視点であって、少し視野を広げれば、新規事業の発想が遥かに将来に渡ってフィットする場合が殆どです。

例えば、従来はハードによって何らかの制御を行っていた事業モデルがあったとします。それらを近年のテクノロジーを駆使して、多くの部分をソフトに変換して、顧客に従来の制御とそれ以上のサービスを提供できる事業を新規に考えたとします。通常、ハードをベースとした事業モデルは、物理的な交換や保守メンテナンスに費用がかかるためソフトウェアで実現するよりは高額です。一方。ソフトウェアを中心に事業モデルを検討した場合、ソフトの特性から複製をするコストは事実上ほぼゼロです。もちろん複製したソフトにパラメーターの設定など実工数がかかりますが、これはハードの場合も同じです。

例えば、ソフトウェアの開発に100工数がかかった場合、複製をするコストは0、設定をするコストは5としましょう。この場合、顧客に販売するための費用は営業費用を除くと、複製コスト0と設定コスト5の合計5です。

例えば、ハードの開発に100工数がかかった場合、複製(製造)をするコストは原価等様々かかるとして30、設定するコストは5としましょう。この場合、顧客に販売する費用は営業費用を除くと、複製コスト30と設定コスト5の合計35です。

ハードを前提とした事業モデルでは、デモをする際も、35のコストがかかります。一方、ソフト前提の場合は5で済みます。更に、ハードの場合は、その設置や運搬にもコストが掛かりますので実際に顧客にデモをする場合は、35よりも多くのコストが掛かります。仮に設置や運搬のコストが10かかるとしたら45のコストがかかります。ソフトの場合は、運搬や伝達は通信費用で可能ですので5のコストのままです。

ここから分かることは、ソフトの特徴である1)コピペにコストが掛からない、2)運搬伝達もコスト0で可能、ということが際立ちます。もし、この制御商品の販売モデルが、5社にデモをした場合、1社が制約することがわかっていれば、ハードの場合は次のとおりです。

5社にデモをする費用 = 45(製造30+設定5+設置運搬10)✕5=245

同様に、ソフトで行った場合は、

5社にデモをする費用 = 5(複製0+設定5+設置運搬10)✕5=25

利益を100乗せる場合、ハードの売価は345、ソフトの売価は125です。

ここでソフトの場合は、フリーミアムを試しました。ただし、申込みの際に10を頂くことにします。そして期間限定でその初期設定コスト10(実質のコストは5)をただにしたとします。仮に100社が申し込み優勝の機能を20%が利用するとすれば20社の獲得。10%だと10社の獲得が可能です。

20社獲得の場合、125✕20=2500の売上
10社獲得の場合、125✕10=1250の売上

もし、ソフトの価格を125から半分以下の60にすると、フリーミアムの獲得率が2倍になったとしましょう。申し込みも2倍になるとしたら、200社の40%が採用するとすれば80社の獲得。20%が採用するとすれば40社の獲得です。

80社獲得の場合、60✕80=4800の売上
40社獲得の場合、60✕40=2400の売上

つまり、設計しようをハード主体からソフト主体にした場合、売価を下げることで、その商品を試用いただけるチャンスが広がり、結果的に多くの売上を上げることができます。これは、ハードと違いソフトは複製コストがかからず、伝達運搬コストがかからないからです。そうすると、究極は月々の使用量をある程度安く設定して、収益を上げるシミュレーションを行うことで導入コストほぼゼロ、使用時に毎月課金という事業モデルもフィットするのです。

しかし、既にハードを主体としているビジネスモデルに慣れている事業部が上記の話を聞けば、自分たちの顧客が離れ、新規の事業モデルに流れていくから強く反対する可能性が考えられます。企業全体としては、ソフトウェアを主体とした事業モデルが結果、営業コストがかからず、顧客数が一定すう以上増えた時点で利益が爆発的に伸びていくことが明確なのにです。

上記、極端な事例ではありますが、既存の事業を別の視点から解釈して、事業モデルを開発すると、通常は既存事業が受け入れないのです。そのため、この様な事業モデルの変更は、最低でも役員の責任、理想は社長が意思決定して取り組むべき内容です。しかし実際は、社長どころか役員レベルでも、この手の意思決定やアイデアを出して進めていくなどが出来ない状態が続いています。そのため、既存事業が強い部隊では、優れた事業アイデアやビジネスモデルは現場ですぎに潰される運命にあるのです。

事業モデルを変革する!DXだ!という企業の多くは、事業の延長で物事を変えて、表面的なところをデジタル化する発想しかありません。もっと勉強が必要だとおもうのです。



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