新規事業の旅 その4

2022年6月6日 月曜日

早嶋です。

M&Aの成功とは何でしょう。単純に投資と考えた場合、買収した金額よりも企業価値が高くなることでしょう。その場合は、買収した企業を再度、売却するなどでリターンを得ます。一部の企業の発想では、リターンは配当で未来永劫受領するということで判断するでしょうが、その際でも永久債や時間の価値を鑑みた場合、益が出たか否かの判定は可能です(今回は時間価値の概念などは無視しましょう)。因みにこの様なリターンを投資リターンと呼びましょう。

では、企業が新規事業を行う際に、単純に投資リターンのためにM&Aをするでしょうか?ややこしい言い方になったので、簡単に言うと、企業は新規に事業を起こしたい。でも自分たちだけでは何となく出来ないと思ってきた。そこで昨今M&Aがブームだ。よし自社もM&Aで新規事業を立ち上げよう!という流れでM&Aを検討していると思います。

ここで再度重要なことは、あくまでも新規事業を起こすこと、という目的です。そして、その場合に自分たちがこれまで行ってきた既存の事業を無視するか?しないか。という事を明らかにしておくべきです。もし、ここで「明らかに無視する」と名言出来たら、それはきれいサッパリ今回の理屈は無視して良いでしょう。しかし、少しでも「いや自社とのシナジーが・・」などと発言があれば、その際は、純投資ではありません。

となるとM&Aの成功は、投資した会社単体の成功ではなく、その投資した企業が自社と交わることで結果的にどの様な価値を生み出すか?とい理屈になると思うのです。これを事業リターン(もしくは事業シナジー)と呼びましょう。

つまり、ほとんどの企業がM&Aをする際の目的は、単純に投資リターンだけでは無く、事業リターンも考えているという状況なのですが、いざM&Aをする際には、その案件が安いか?高いか?という判断にのみフォーカスして、自社とのシナジーをほとんど考えません。というか、そもそも自社がその企業と一緒になった場合に、どの様なシナジーが起こせるかを考えることができないのです。新規事業を行う目的で、自分たちが不得意な分野の業界や企業を探すため、結果的に持ち込み案件もそのエリアが多くなります。当然、その企業単体の合理的な価値も弾けず、言われた値段で検討するしか無い状態になるのです。そこに自分たちの事業シナジーを合理的に算定するなど、とてもとても出来ないと思っているのです。

この場合、そもそもM&Aをするべきではない。と私は思います。投資金額が100億とか数百億であれば、その企業単体に投資したとしても、事業単体で安定したキャッシュフローをしばらく生み出す仕組みはあるでしょう。しかし、数億から数十億程度のM&Aでは、ひょっとして経営者がやはり肝になっており、買収側が経営のフォローを継続しなければ、その事業を更に伸ばし収益を上げることが難しい場合がほとんどなのです。しかし実際は、その経営を行える役者が買収した会社にはいない。そしてマネジメントできなくなる。という筋書きが見えているのです。

えー、だったらM&Aってなかなか難しいじゃん!って思うかもしれないのですが、そうなのです。簡単ではないのです。M&A自体はファイナンスの取り引きなので、お金を他社よりもたくさん積むことができれば、物理的に事業を購入することは可能です。がその後の事業を維持あるいは成長させるかは、買収した会社の責任なのです。

そのため、そもそもよく分けのわからない分野に初めから多大なる投資を行い、事業を作り上げたとて、そこから得られるモノは少ない可能性もあるのです。

逆に、赤字の会社で同業種や同業での購入であればどうでしょうか。M&Aをする前から、その企業の事業の運営の仕方や事業モデルをキッチリと検討できます。そして、なぜ赤字に陥っているのか。その部分を自社と一緒に取り組むことで吸収して黒字を出すことができるのか?と検討ができるのであれば、合理的なシナジーを予測することができるはずです。しかも赤字の会社なので通常は、のれん代相当が安くなり、投資する際の負担も小さいです。それなのに半年から1年程度で、買収した会社の業績を良くすることができて、将来の事業価値を高めることができる。これは明らかに成功パターンのM&Aになるのです。

M&Aの目的が純投資か、事業シナジーを求めることなのか。担当者ではなく、これは経営者が覚悟を決めて取り組まなければならない優先事項だと思います。



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