早嶋です。
成長戦略を取らない企業は、将来のキャッシュフローが低迷することを意味し、株価が低下する。資本家はもちろん、事業を執行する側も都合が悪い。一方で、新規事業で安定したキャッシュを生み出すことは簡単ではない。
企業の成長は、アイデアだけではどうにもならず、資金や実行するための人材が必要だ。資金提供者はデットの場合は利息と元本保証。エクイティの場合はキャピタルゲインと配当を期待する。当然にそのような事業は、顧客や市場から求められ需要と供給のバランスを調整し続ける体力が必要だ。
新規事業の場合は、その挑戦が将来に向かい、今は実現が厳しくとも将来に実現する可能性が高まればエクイティによる資金は調達しやすくなる。それは、将来の顧客、つまり市中にいる一般消費者の生活の向上や質や豊かさにつながる。このような挑戦がある限り、世の中は便利になり続ける。
そのために事業化は、現在取り組む事業をスケールさせる必要がある。チマチマ取り組んでも、投下した資本を回収することができない。更に、同じようなイノベーションは模倣されるので、一定の可能性が見えた時点で資本を大きく費やす必要もある。
ここに新規事業のジレンマが現れる。新規の創造や仕組みを作るまでの取り組みは試行錯誤や個性やユニークさが求められる。一方で、プロダクトが出来て、一定のテストマーケティングで確認できた後は、標準化、仕組化、汎用化が鍵になる。同じような取り組みを横展開する、コピペして広域で実現可能な状態を作る。ここには個性が邪魔になる場合が発生する。
これまで新規で創造で実力を発揮した社員、0⇒1(ゼオイチ)よりも、従来の枠の中で10⇒20⇒100を続けた社員が活躍できる可能性が高まる。事業がスケールする前後に、従来の新規部隊人材がモヤモヤして個性を活かせないと感じるが、役割がことなることを理解すべきだ。これは事業を執行する側も叱りだ。
スケールに移行する前後は、従来から取り組んで新規チームとコミュニケーションを取りながら、本人の意向や特徴を踏まえて、スケールの取り組みに残すか、新たなイノベーションの開発に異動させるかを判断する。さもなければ、そのような社員が自分の役割をマイナスに感じ始め組織をでる結果になる。
新規でイノベーションを創造する役割と、イノベーションを標準化して仕組みに落とす役割。役者が違うのだ。全社は個人や個性や創造性が重要で、後者は標準化や汎用性が大切だ。スケールの次期は、異なる2つの塊が、汽水域のように混じり合う。どちらが淡水でどちらが塩水かを見極めながら事業の思考者は組織を構築するのが肝になる。
(過去の記事)
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2023年11月 のアーカイブ
新規事業の旅86 スケールする前後の組織
グランドセイコーのブランディング
早嶋です。
グランドセイコーは高級時計市場参入のため戦略を明確に実行している。オメガより人材を招き、職人技や日本らしさを全面に表現したポジションを取り、若年層にフォーカスした取り組みを行っている。
超高級時計といえば、パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン、A.ランゲ&ゾーネ、ブレゲ、ブランパン、ロジェ・デュブイなのだ。各々の時計ブランドは独自の伝統や歴史、技術を有し、時計を見るなりブランドが分かるほどの個性があり、愛好家から指示されている。
時計のイメージはスイス時計が圧倒的な地位であることは皆さんの想像通りだが、高級ブランドのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン、リシュモングループなど欧州勢の勢いは強い。その中で、グランドセイコーは高級時計ブランドの牙城を崩そうとしている。日本人として嬉しい限りだ。
現在、グランドセイコーは、5,000ドルから1万ドルの価格帯で頭角を現している。現在円がとても弱く75万円から150万円程度と聴くと、腕時計に価値を見出さない人からすると高いと思うだろう。普段から時計愛がある人は、高級時計としてはリーゾナブルな価格帯だ。
ただ、上記高級ブランドの時計は、ステンレスのケースでも200万円前後に価格が高騰した。コロナの3年間、スイス時計業界も大きな影響を受け、加えて人手不足で職人が足りない状況が続く。更に、スイス時計の水平分業の体制も、大手コングロマリットにより合従連衡が進み、小さなケースメーカーや針メーカー、文字盤メーカーやインデックスメーカー等、次々に大手参加に吸収されている。大手ブランド傘下になり、部品一つひとつの値段も高騰している。
またマクロの視点で見ると、機械式時計の職人は、アナログ産業ど真ん中であり、若手の成り手の少なさと、職人に成るまでの時間がかかるが故に、急激な人手不足に悩まされているのだ。そこで大手時計メーカーを筆頭に、堂々と価格を上げ、そこに円安が続き、海外時計の価格高騰が止まらないのだ。
グランドセイコーは1960年代、セイコーの上位モデルとして販売が開始され、2010年に海外展開を始めた。当初はロレックスと同等の1万ドル前後を狙ったが、うまくいかなかった。2017年にオメガの米国法人だった社長をヘッドハントし、米国販社のテコ入れを始めた。
当時は、消費者にも流通業者にもグランドセイコー=ちょっと高いセイコーという認識で、セイコーの延長にしか過ぎなかった。当時、全米で4,000店舗のセイコー販売店があり、グランドセイコーの販売戦略は安易なものだった。4,000店舗の中で売れ行きが良い30店舗を選び、そこにグランドセイコーを卸すだけだったのだ。プロモーションも基本的にセイコーと同じ。いくら中身が良いとて、それは売れないだろう。と当時から筆者は提言していた。
そこで米国での販売店を30店から15店に絞り、更に、高級時計を販売している店舗に売り込みをかけ、セイコーと異なる独自の販売網を確立しはじめたのだ。ターゲットもロレックスとずらした。高級スイス時計の主要顧客は40代から50代の高収入層。グランドセイコーはその若年層に絞った。旗艦店舗も東海岸ではなく、西海岸のLAに出店。IT技術者で収入に余裕があり、グランドセイコー独自のスピリングドライブなどの技術に興味を持つ層に勝負をかけたのだ。スピリングドライブは、機械式とクオーツのハイブリットの機構でセイコー独自の技術だ。他者は追従できない。イノベーションを受け入れる西海岸にあえて絞り、伝統的なマーケティングと異なる取り組みを行ったのだ。
高級品のマーケティング・ミックスは、兎に角徹底的に絞ることだ。グランドセイコーは、開発力があり、次から次に新しいモデルを出す。ただ、まだまだポジション的には弱い。Webを見ると商品ラインナップは現時点でも234商品もある。まだまだ商品点数は多いと思う。24年1月に新たにNYに旗艦店舗を出すが、もっと希少性を出すなどしてブランドの価値を高めないのが不思議だと感じる。
GSを再考の時計にするために
日本勢の時計の売り方
グランドセイコー①
グランドセイコー②
グランドセイコー③
父曰く
ウブロ
スイスの時計事情
腕時計とリトルハイア
スイス時計とその歴史①
スイス時計とその歴史②
新規事業の旅85 生成AI1年の誕生日
早嶋です。
ChatGPTが公開されて1年が経過し、生成AIの活用は着実に浸透している。経営者や創造的な仕事をする方の多くは、生成AIと対話することで考えの整理やヒントが芽生えると言う。従来は人を通じて壁打ち相手をしていたのが、ここ1年は生成AIもその仲間の一人になっている。
生成AIは普通の言葉でコンピューターを操作できるのが特徴だ。一方で、その活用は企業や個々人で様々でアイデア次第だ。仕事の軽減、効率化の裏には仕事を奪われる恐怖や自分の存在感を下げるおそれなどが葛藤して保守的な企業ほど導入の遅れが目立つ。仕組みを理解すると機密情報の漏洩のリスクは低く、著作権侵害などの取り組みは進行中であることがわかる。紙媒体や自社のネットワーク技術で情報が漏れないリスクが遥かに高いかなどは議論せず、新しい技術の負の面のみをみる傾向は今も昔も変わらないのだ。
新しい技術の導入の鉄則は、「やってみなはれ」だと思う。例えば企業の中で優秀な10人をピックアップして、プロジェクトをスタートする。生成AIを活用して日常の業務効率を10倍、100倍上げる成果を求めるなどゴールを設定する。モノが分からない場合は、まずは使ってみて、成約を設けず一定の予算と権限を与えて遊んでみるのだ。
一般的に、商談資料の作成や営業実績との分析、議事録の要約や、毎日の日報、週報、月報の作成補助や要約、市場調査などの活用はすぐに応用できることが分かると思う。後は、一定の使用領域を決めて上げれば、従業員にはプロンプトのコツを研修や動画などで提供してOJTを行うと、一定の成果が目に見えて出ることが分かる。企業によっては、生成AIの活用を一定限定して、社員は特定の命令を出したり、文章を指示するだけで、所望の成果がでるように丁寧に誘導するチームもいる。プロントの雛形をある程度準備しておくなどだ。
複数の企業の導入を見ていると、技術的なバックグラウンドがなくても利用率は6割を声、業務の効率があがり時間の削減につながっているという報告を聴く。
コンサルや情報を分析する企業においては、まずはリポート作成などの作業を激変させている。景況や個人消費、企業の各活動項目等、従来人がデータベースから読み取り要約していた作業をAIで読み取り、タイトルの提示、項目の提示、要約例の提示をするのだ。後は、編集担当者が体裁を整えてレポートの大枠が完成するのだ。ただし、コンサル等、情報を売る企業は、その正確性が課題だ。何も工夫を加えないと、生成AIは関連性をベースに文章を作成するので、人間が読むと事実とは異なる文章を提示する可能性もある。そこで、引用元を明確にして、原典を確認しやすくするなどの仕組みが現在、有効な手段として取り入れられる。このような作業を人が行ったとしても、レポート作成の時間は半減し、ファクトのチェックにより多くの時間を避けるようになっているので効率も高まっている。
生成AIが出た当初、米国の経済学者は雇用の約半数は生成AIによって奪われると主張された。実際、上述のように業務によってもばらつきはあるだろうが、4割から6割が生成AIを活用することで効率的になり仕事の質が高まっている印象を受ける。奪われるという発想よりも、補完関係になっているとも考えることができる。
米国スタンフォード大学の研究者が示した見解がある。AI関連の特許が、ソフトウェアのアルゴリズム生成やロボットの制御など、比較的高いレベルが要求される分野において多いという指摘だ。つまり近年のAIは物理的な作業よりもコーディングや創造的な仕事が得意で、これは高いレベルを必要としない仕事は依然として人の手が必要になるという示唆だ。
また、生成AIを活用した実験で、元々文章力が高い人がChatGPTを活用して書いた文章と、文章能力が低い人が活用して書いた文章では、生産性の工場は能力が低い人が圧倒するという実験結果もある。カスタマーサクセスでの応用事例でも、生成AIを活用し始めると成績上位者よりも中から低位者の成績が高まっているという。
つまり、生成AIの活用を自分の能力や仕事の種類によってうまく補完関係を見つけ出せれば、従業員のスキルを一様に底上げすることができるということが見えてくる。
例えば、頭の回転が早いが、報告書や指示書の作成が苦手な人には、文章作成やレポート作成の手伝いをAIを使って行うことで、より創造的な仕事に時間を活用することが可能だ。逆に、テレオペレーターのように言われた事は正しく伝える事ができるが、自分で考えることが苦手な方には、AIが的確な指示や判断をすることで、その内容を相手に正しく伝えることができるようになる。従来難しいとされていたカリスマ的なサービスも一定のレベルの人であればAIとタッグを組むことで成績を底上げすることができるのだ。
セールスエリアなどは、顧客の抽出や次のアポイントのタイミングをAIが行うことで、営業のイチ番地である商談により多くの時間を充て成果を出すことも可能だ。また、カスタマーサクセスを他の部隊に渡すことによって、総合的な管理や気遣いが不要になり、一定のスキルを持つ営業でもAIとチームの活用によって全体の成績を上げることができるようになった。
という事は、まだまだしばらくはAIが完全に仕事を奪うのでなく、自分が苦手な分野にうまくAIを活用して、得意な分野に仕事をフォーカスするツールとして捉えると、後数年は気楽に仕事ができると思う。その先は、また状況を鑑みながら取り組むしかないだろう。仮にAIがすべての仕事を奪ったとしても、経済は今より豊かになっていることだろう。その時はベーシックインカムを受けて、自分な好きな時間を好きなだけ過ごせることができて、それはそれでハッピーだ。
何事も悲観的にみるのではなく局面を見て自分を変化させる柔軟性が大切なのだ。
(過去の記事)
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【動画】23年度武者修行研修課長版
※本ページは、2023年度武者修行研修課長版参加者向けのページです。
(セッション3)
セッション3参加当日までに、以下の事前課題を整理、動画を視聴下さい。
1)事後課題
セッション2で議論した自社課題の解決に向けて、再び議論しながら行動ください。最終日の午後に、各企業の進捗を共有頂きます。
2)事後課題
テーマオーナーに対する戦略提言を作成ください。最終日の午前中に、各チームより宮崎社長に発表頂きます。
3)事後課題
動画を数本準備しています。視聴は任意です。※プレゼンテーションが苦手な方向けの動画です。
プレゼンテーションの基礎 概略
プレゼンテーションの基礎 3つのステップ
プレゼンテーションの基礎 準備
プレゼンテーションの基礎 コンテンツ
プレゼンテーションの基礎 デリバリ
(セッション2)
セッション2参加当日までに、以下の事前課題を整理、動画を視聴下さい。
1)事後課題
セッション1(Day2)で議論した自社課題の解決に向けて、1ヶ月間、何らかの行動を起こしてください。セッション2(Day2)で各企業の進捗を共有頂きます。
2)事後課題
テーマオーナーに対して戦略提言を行う際に必要な資料や情報等を適宜収集してください。また、セッション2(Day1)でテーマオーナーとのセッションで質問の準備を行ってください。
3)事後課題
動画を数本準備しています。視聴は任意です。
(3つのギャップ)
セッション1(Day2)の講義中に共有した「3つのギャップ」の動画です。マネジメントの基礎の動画のシリーズで創った一部です。新規の取り組みを行うための考え方を参考ください。
(事業分析の基礎)
事業分析を行う際に、考え方を整理しています。問題解決の流れに沿って、市場分析、競合分析、自社分析、マクロ分析の流れの後、解決策(戦略)を議論する考え方を示しています。一部、セッション1(Day2)でも概説しています。こちらの動画は、合わせて問題解決の考え方の参考にもなります。
事業分析の基礎(概要)
事業分析の基礎(前提)
事業分析の基礎(問題と課題)
事業分析の基礎(市場顧客)
事業分析の基礎(競合代替)
事業分析の基礎(自社)
事業分析の基礎(マクロ)
事業分析の基礎(解決策)
4)他
セッション1(Day1)で議論した、(無意識)✕(既存)の領域から、(意識)✕(既存)の領域にいくための思考の視覚化、そこから意識的に新規の議論をする概念等について整理した著書です。「コンサルの思考技術」というタイトルでフレームワークの説明と思う方が多いですが、ビジョンを持って行動を継続することの大切さについて、経験則から考えたことを整理しています。
※Amazonのリンクです。参考までに。
(セッション1)
セッション1参加当日までに、以下の事前課題を整理し動画を視聴下さい。
1)「自己紹介シート」の作成
参加者同士の理解を深める目的です。各自自己紹介シートを作成下さい。テンプレートは各社事務局の指示に従って下さい。
2)事前課題「動画視聴」 戦略思考の基礎
自社や他社の課題を抽出する際に参考下さい。経営学等の修士・学位等をお持ちの方は視聴しなくても結構です。
※PWは別途事務局からお知らせがあります。
戦略思考の基礎 戦略思考編
戦略思考の基礎 全社戦略編
戦略思考の基礎 成長戦略編
戦略思考の基礎 基本戦略編
戦略思考の基礎 環境分析編
戦略思考の基礎 戦略立案編
3)「自社紹介と自社の経営課題の整理」 ※各社ごとでまとめる
詳細は、受講ガイドを参考下さい。
ーーー以下、準備中ーーーー
(セッション3)
課長版武者修行研修の参加者は、必要に応じて以下の補足動画を視聴下さい。次回のプレゼンテーションの参考動画です。プレゼンテーションの流れや準備、コンテンツ(中身)の作り方や、発表(配信)の仕方を整理しています。プレゼンテーションに不慣れな方は参照ください。
プレゼンテーションの基礎①概説
プレゼンテーションの基礎②流れ
プレゼンテーションの基礎③準備
プレゼンテーションの基礎④中身
プレゼンテーションの基礎⑤配信
衝動買い合戦
早嶋です。
本の検索をWeb上で行い、購入。購入者は自分の購入履歴や他の読者の書評(口コミ)を判断し、次の購買の検索やセレンディピティ的な購入を楽しむ。やがて商品は本から一般的な商品に広がり、ワンクリックで購買できる手軽さから物品購入のゲートウェイとして認知確立された。2024年二にアマゾンは創業30年を迎える。
Youtubeが世の中に出始め、若者含む人口の多くがスマフォにアクセスできるようになり、媒体にも変化がでる。インフルエンサーの動画で商品の認知を得てセレンディピティ的な購入を楽しみ、商品の検索や評価そのものも文章ではなく動画で情報を得る購買行動が定着する。
TikTokに代表されるアプリは、アマゾンの疑わしい口コミや商品のラインナップをよそに、実際のインフルエンサーが直接説明をしていることから購買者はより信頼を持ちヒットしている。そして徐々にインフルエンサーそのものを推し活するなどの行動も現れ、セレンディピティ的な購買も随分と多様化した。
ユーザーの動画視聴履歴から興味がありそうな商品を推薦してライブ配信を行う手法はインタレストコマースなる呼び方が出てくるくらいECサイトでも定着している。しかし商品の充実度や品揃えにはアマゾンになかなか勝てず、年末商戦のブラックフライデーや独身の日では、価格の安さを全面に出し、他社のECサイトの顧客の乗り換え合戦を繰り返す。その手法はクーポン提示だ。最大8割引などを提示し、出品者に対しての送料や値引き原資をECサイト側が負担するという理屈なので、体力勝負の戦いだ。
そんなアマゾンが黙認するはずはなく。23年には米国で1分前後の縦長動画で商品を紹介するインスパイアという機能を追加した。インフルエンサーが投稿でき、一部アマゾンからの報酬も頂ける。思えば、アマゾンのアフェリエイトで稼ぎまくった20年前の若者も今やおじさんおばさん。その方々や今のインフルエンサーが複数の媒体を使って動画によるセレンディピティ的な購買を誘う戦いが始まっている。
ローマは一日にして成らず。アマゾンは顧客網を構築し、更に物流網を構築している。越境ECが安さで売りにしても、ラストイチマイルや国内での物流網の整備はサードパーティに任せることになる。グローバルにECでアプローチ出来ても、最後の物理的なモノのやり取りは拠点での投資が事業の肝になる。アマゾンは中国に2004年頃に進出して自社で物流を組む試みも行ったがアリババ集団などの現地大手に刃が立たず2019年に撤退している。同様に韓国やタイヤでもプライム会員を未だに提供できていない。
ネットワークでつながってもビットは瞬時に運べ分析してコピペでいるが、アトムの世界は思うようにいかないのだ。
新規事業の旅84 ベンチャー企業
早嶋です。
ベンチャー投資は、今後成長が見込まれるベンチャー企業に投資をし、上場などを出口戦略として大きなリターンを狙う投資だ。
典型的なベンチャー企業は8年程度を費やして上場を目指す。会社設立は1,000万円程度の資本金ではじめ、6ヶ月程度で事業アイデアをカタチにするための資金を集める。シードステージと呼ばれ、そのアイデアに対して企業価値5億を想定して1億程度の資金を調達する。その資金で1年程度で実際のアイデアを実現するプロトタイプを作り出す。
次に、起業から1.5年程度で、プロトタイプの商品を実際に販売して自分たちが立案するビジネスモデルを確立するフェーズに移る。いわゆるアーリーステージと呼ばれ、この頃の資金調達では企業価値30億円程度を見込み、5億程度の資金を調達して1.5年分の運転資金に充てる。このフェーズは、テストマーケティングを繰り返しながら、ビジネスモデルが成立することをカタチにする大切なフェーズだ。
設立から3年程度の資金調達のフェーズでは、確立したビジネスモデルで市場シェア1位とか2位を獲得するフェーズだ。ミドルステージと呼ばれ、この頃の資金調達は企業価値50億円相当で8億程度の資金を調達する。そして、その資金を1年程度の運転資金に充て、サービスの認知と営業やマーケティングを加速する。事業によっては海外への展開もスタートする。
この間でイメージ通りの流れになれば、徐々に赤字の状態を解消して黒字化するフェーズに移行する。調達した資金を燃やすのではなく、株式上場に向けて4年程度位の期間を費やして収益を出し始めるのだ。そして時価総額150億円程度で約8年程度の期間をかけて上場するのだ。そして最後はレイトステージと呼ばれる。
ベンチャー企業と中小企業の違いは赤字で沈み込んでジャンプする様だ。ベンチャー企業は、起業してから利益や出資金を全て事業投資に注ぎ込む。プロダクトを作り、テストマーケを行い、徹底的に営業や宣伝にお金を費やし仕組みを創るのだ。この間の赤字を上場する前の4年程度で黒字化して一気に利益体質の企業に変えていくのだ。
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今、求められるフォロワーシップ
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回のテーマは「今、求められるフォロワーシップ」です。前回までのチームマネジメントに関連し、チームに欠かせないフォロワーについて解説します。
まずフォロワーシップについて、確認しましょう。
フォロワーシップとは、「チームの成果を最大化させるために、自律的かつ主体的にリーダーや他メンバーに働きかけ支援すること」と定義しています。自律的かつ主体的という点が重要です。リーダーからの指示・命令で動くことに加えて、チームのゴールを理解してチームに価値を生じさせるように自ら積極的に関与することが求められています。
フォロワーはリーダーを支えるポジションなので、サブリーダー的な方、例えば課長に対して係長のような方だけの役割と思われるかもしれませんが、そうではありません。チームメンバー全員に求められる役割であり能力です。フォロワーシップが求められる背景は大きく2点あります。
1点目は、リーダーを支えチームを導く存在の必要性がますます増している時代背景です。昨今のビジネス環境は目まぐるしく変化しています。コロナ禍を経て世界が一変したように激変の時代といえる今、企業は変化に合わせてスピードと柔軟性が求められています。そのような中、リーダー1人の意思決定が、必ずしも社会や顧客のニーズに適応するとは限りません。リーダーの意思決定に関して積極的に関与し、時には建設的に批判することが必要なのです。
2点目は、チームが出す結果の9割はメンバーの影響によるものだからです。チームが出す結果に対して「リーダー」が及ぼす影響力は10%~20%程度なのに対し、メンバーが及ぼす影響力は80%~90%にのぼることが分かっています。よってメンバーには自律的かつ主体的に、責任を持って担当業務以上の仕事に関与することが求められます。
ちなみに、先ほど述べた建設的に批判する考え方をクリティカルシンキングと言います。クリティカルシンキングとは日本語では「批判的思考」と訳されるので、否定的なモノの考え方や捉え方と誤解される方もおられるかもしれませんが、物事や情報を無批判に受け入れるのではなく多様な角度から検討し、論理的・客観的に理解することを言います。リーダーの意見や指示に対して、「本当にそうなのかな?」とか「他にはないのかな?」「もっと良い方法はないのかな?」と考えます。激変の時代なので、前に上手くいった方法が今回も通用するとは限りません。いくら優れたリーダーであっても100%正しいとは言い切れないからこそ、建設的で批判的なモノの見方、クリティカルシンキングが必要なのです。
リーダーとフォロワーの連携は、リーダーがビジョンを示しフォロワーがそれを実行に落とし込むことです。リーダーが示したビジョンをフォロワーが具体的な行動計画に落とし込み、当事者として業務を遂行する、もしくは他のメンバーに働きかけ実行させます。
そして、リーダーの役割が「意思決定する」ことなら、フォロワーの役割は「健全な批判をする」ことです。リーダーのビジョンや意思決定に誤りがあると感じた場合は、フォロワーがリーダーに率直に提言を行います。
次回はフォローシップを実践するためのポイントなどをご紹介します。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
回復力
安藤です。
今回のテーマは、「回復力」についてです。
仕事でのプレッシャー、対人関係の人間関係、例としては、過去のパワハラなどがトラウマになって、また、失敗したらどうしようと反芻してしまう等。また、退職、転職、異動など、職場環境の変化に慣れずにストレス負荷になっている状態から、なかなか抜けきれないことがあります。
回復力は、「レジリエンス力」とも言われています。
さまざまな人生の局面で転機を乗り越える対処法として、「シュロスバーグの4Sモデル」があります。
逆境に対処する際に役立つのが、レジリエンスです。
まず、シュロスバーグが提唱する4Sとは何かについて説明をいたします。
ステップ1: 状況を理解する (Situation) 逆境の状況について、具体的・客観的に何が起きているのか、それを自分はどう捉えているか、原因は何か、いつまで続くものかなどを分析する。→ 客観的視点
ステップ2: 自分自身を知る (Self)
この状況に対する自分の気持ちや反応を理解し、受けいれ、自分自身はどうしたいと思っているのか、自分のスキルや過去の経験が活かせるかなども見直す。→ 感情・気持ち
ステップ3: 支援を求める(Support) ひとりで抱え込まない。どこでどのような支援が得られるのかを調査する。同僚・上司(信頼おける人)・身近な人に具体的なサポートを求める。
ステップ4: 戦略を立てる (Strategies)
ステップ 1~3 で見つけた状況・自分自身・支援を使って、状況を変える・自分の気持ちを切り変える・ストレスを減らすなど様々な面からこの逆境を乗り越えるための戦略を立てる
レジリエンス力(回復力)自分にとっての逆境や試練から立ち直る心の力のことです。一旦、置かれている状況から感情面において離れてみて、客観的・俯瞰的に自身の状況を見直すことが必須となります。
他、レジリエンス力は、「自尊心」「自己効力感」「感情調節」「現実的楽観性」「人間関係」の5つがポイントです。
①自尊心:自分を大切にする力、ありのままの自分を肯定する力。
②自己効力感:「やればできる」と思える力。
③感情調節:自分の気持ちに気づき、対応する力。
④現実的楽観性:出来事をバランスよく見る力。
⑤人間関係:誰かを助け、誰かに助けられるつながりの力。
よって、逆境から抜け出す時には、更に、①~⑤の項目の中で、どの項目が現時点で課題になっているのか、自身で分析する、または、上司または信頼できる方から分析してもらうことをおすすめいたします。
新規事業の旅83 ペット保険にAmazon参入
早嶋です。
Amazonがペット用の保険に参入する。11月1日より申込が始まる。商品は「わんにゃん保険」。現時点でAmazonで検索しても出てこないので、報道の通り、初期はテストマーケティングをしている。曰く、18歳以上のアカウントで申込を無作為に抽出して一部の消費者に提供して、本格的に12月の中旬頃よりサービスを展開するという。
ペット保険の市場規模は1,000億円程度とされ、各社の保険商材をみると5歳の小型犬で2,500円から5,000円の月額課金だ。ペット保険に参入する企業は20社程度あり、最王手はアニコムHD。
国内で飼育されているペットは犬猫合わせて1500万から2,000万匹とされ、新型コロナウィルス禍で21年のペット(犬猫)の新規飼育頭数は過去最大の88万匹強が増えている。1,000億程度の保険市場も数年前は500億円規模だったので、規模自体は小さいにも関わらず成長事業になっている。
直近の動きでは、
・22年7月にチューリッヒが少額短期でペット保険の販売を開始
・23年1月にアフラックがグループ内のペット保険を引継ぎ営業開始
・23年3月第一生命がペット保険のアイペットHDを子会社化
・23年3月東京海上日動がアニコムHDと資本提携
・23年4月オリックスがペットメディカルサポートの保険を販売開始
等々、各社の動きが活発だ。ただ、人間を相手にした市場規模と比較して遥かに小さく、大手に取って手間がかかる割には収益の貢献度は低い業界だ。それでも人間の保険商材が縮小し、ペットを通じて飼い主や家族との接点を取る動きを重視するのだろう。
生保協会の発表では、22年3月末での人様の保険等収入の規模は32兆円。コロナ前の19年と比較して1割程度減少している。各社の経営は苦しくなり、より合従連衡が進み淘汰されることも予測できる。
一方で、新規参入の中小にとってはニッチではあるがそこそこ規模が大きい。ただ、自社の商材を知って頂くためのプロモーションコストが高くなかなか収益を出せないというのが現状だったと思う。
そこにAmazon。飼い主の多くは、Amazonでペット関連のグッツを買っているであろう。そこに対してペット保険を提案できるのだ。しかも過去の購買履歴からペットのサイズ、ペットへの愛情、ペットの年齢などを推定するのも用意だ。Amazonがペット保険の代理業務を始めれば、一定数の販売シェアを獲得する可能性が高いことが他人の目から見てもわかる。
ペット業界や保険業界からすると、Amazonの動きがただただきになるのではないか。そのうち、本丸の人様の領域にも入ってくれば、保険商材の提案も大きくかわるかもしれない。
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