早嶋です。
国内製造業では、QC活動とかQCそのものは製造現場の世界でも良く聞く言葉です。クオリティ・コントロール、品質管理で、自社商品の品質向上や生産性の向上を目的とした活動事態を意味します。一方で海外の製造企業では当たり前のQAという概念が薄い、或いは欠落していると感じます。QAは品質保証と解釈され、ある商品に対して、第三者からの目線で製品やサービスの品質を検証確認して顧客に保証する活動です。
製造業が新商品を上市するタイミングで、企業内部でQCの観点で各種検査をクリアしたとします。しかし市場や株主再度の立場に立つQAが「◎◎の部分及び、△△の部分において上市するには■■の可能性があるので不十分」と判断します。つまり、上市するか否かを社内のトップである社長の判断と同時に、企業の長期的な取り組みやリスクを勘案して判断するQA責任者が決めるのです。
単一商品、単一事業、そこ出身の社長であれば、上市の判断はできるでしょう。しかし複雑な商品や事業を複数抱える企業のトップは、事業部で上がった判断に対して、何の根拠もなしにゴーサインを出すしか対応できない場合もあるでしょう。そのような懸念を汲み取り社長であってもQA担当者を無視することはできない仕組みです。QCは現場管轄で、QAは経営陣の管轄。上市に対しては時として社長よりも権限を持つこともあります。
そもそも日本企業の多くが多角化ビジネスです。先日話題に出した神戸製鋼も鉄鋼、アルミ・銅、建設機械、機械、エンジニアリング、溶接、電力と分野が異なる事業を7つ展開しています。記事や報道をファクトとした場合、取締回で不正問題が報告議論されているだから発表をするのがルール。明らかに会社に対して重大事項なので直ちに公開の義務があり、それを行っていないのはコンプラ違反です。
しかし、これはひょっとしてある程度の日本企業の縮図の可能性もあります。仮説です。事業部が複数多角化した企業は、それぞの事業部が部門最適化してしまい、他の事業部との関係を取らなくなり視野が極めて狭くなっているのです。
ある大手の人事制度では、たまたま新入社員の時に、社員の意思と関係なく鉄鋼事業に配属されると、その事業部の中で出世や転勤を繰り返し、能力が高い人材は課長、部長と出世します。従って、事業部のことは理解していますが、経営や会社全体のことを理解する機会や経験も無く役員や本部側の人間になる頃には40代後半、50代と年齢を重ねます。
入社して30年もどっぷり1つの事業部の極めて狭い世界で行った判断や取り組みが全てだと脳にインプットされていますから、その歳になって企業戦略、全体戦略といってもシナプスが活性化することも考えにくいのです。そうなると当然、全社最適よりも自分の出身事業部の繁栄を無意識に考えていきます。従って他の事業部よりも自分の部隊の関心が更に高まるのです。
極端な話、企業全体の経営活動を見る人間であっても、心の何処かでは自分たちの事業部を中心に考える。だから隣の事業部が成長して将来、その事業部から社長が輩出されることだけは阻止せねば。的な昼ドラマみたいな発想が現在進行形でバリバリ行われていくのです。まさに事業部同士の意味のない主導権争いです。
日本市場の多くは成熟か衰退です。従って、30年前に発足した事業部制にはかなりの限界があります。しかし、そのベースを変えずに時間が止まったかのような経営マネジメントを行っています。少なくとも、今後の日本の品質を考えた場合、素材メーカーや生産財メーカーは制度そのものの再設計とQCとQAという両輪の上市ルールを持つなどしなければ、今後も同じような問題がしばらく出てくるのでは無いでしょうか。
2017年12月 のアーカイブ
QCとQAで上市を管理する
松竹梅の形骸化した検査
早嶋です。
日本企業の製造業を中心に今年は不正問題が多数露呈しました。中でも神戸製鋼はアルミ・銅事業から始まり、報道が進むに連れて主力の鉄鋼事業、機械事業と発覚。更に、それは組織ぐるみ、かつ長期にわたる不正であることが明かされました。また三菱マテリアルやその子会社、東レの子会社でも同様と見られる現象が発覚され素材企業大丈夫?と思わんばかりのニュースでした。
通常、工業製品や生産財として使用される部材等はその仕様を顧客と厳格に取り決めて購買契約を締結します。当然、出荷ごとに仕様を満たしているかを出荷側も検査し、同時に顧客側も受け入れ検査を行います。昔、制御メーカーに勤めていたころは、この顧客に受け渡しする製品の担当を幾つか担いましたが、その期間は納品後しばらくの間を含めてピリピリしていたのを思い出します。
が、今回の一連の報道や記事、他の方が書いている調査レポートを見る限りそのような検査等を一部行っていなかったのではと思います。過去20年間の成長が鈍化、低迷する中で日本企業はひょっとして効率とコストカットという指示命令が独り歩きして、現場レベルでも目的に反する取り組みが行われた。
例えば、受け入れrの検査に対しても納入業者毎に松竹梅を決めて松企業は無検査、竹企業は抜き打ち検査、梅企業は全数確認というような体制ができ、長い年月かけてそれが形骸化していき、松企業が新しい部材をインストールする際にも検査の体制があやふやになったのかもしれません。
子育て支援に1.1兆円
安藤です!
2兆円規模で進められている「人づくり政策」の多くは、子どもを保育所や幼稚園に預ける費用への補助や保育所の整備に約1.1兆円をあて、子育て世帯を支援する。大枠は固まっているようだが、細部は詰まっていない。
2兆円規模で進める政策の多くは2019年10月に予定する消費増税によう増収分の一部を活用する予定とされている。保育の充実(内閣府,厚生労働省)として、子ども・子育て支援新制度では,質の高い保育・教育の提供を行うこととしている。
平成28(2016)年4月1日時点の待機児童数は,23,553人と前年度と比較して増加する中,保育の受け皿拡大は喫緊の課題となっている。政府は,待機児童の解消を目指し,「待機児童解消加速化プラン」に基づき取組を進めている。
これを受け,平成28年通常国会において,子ども・子育て支援の提供体制の充実を図るため,事業所内保育業務を目的とする施設の設置者に対する助成及び援助を行う事業(以下「企業主導型保育事業」という。)等を創設するとともに,一般事業主から徴収する拠出金の率の上限を引き上げる等の「子ども・子育て支援法」(平24法65)の改正を行った。平成28年4月から開始したこの企業主導型保育事業により,5万人分の受け皿整備を進め,子ども・子育て支援の提供体制の充実を図っている。
また,保育の受け皿整備に対応した保育士確保を進めるため,処遇改善などの総合的な確保策を実施している。平成29(2017)年度予算においては,更なる「質の向上」の一環として2%相当(月額約6千円)の処遇改善を行うとともに,技能・経験を積んだ職員について,4万円程度等の追加的な処遇改善を実施している。
なお,平成29年6月には,今後も女性の就業率の上昇や,保育の利用希望の増加が見込まれる中,「子育て安心プラン」を公表し,待機児童解消に必要な受け皿約22万人分の予算3年分を平成31(2019)年度末までの2年間で確保し,遅くとも平成32(2020)年度末までの3年間で全国の待機児童を解消することとしている。さらに,平成34(2022)年度末までの5年間で,女性就業率80%にも対応できるよう,約32万人分の保育の受け皿を整備することとしている。
このような背景もあり、企業内託児所、院内保育所等、店舗内託児施設などを手掛けている企業では、規模が数年前に比べて4倍にも伸びており人材育成がおいついていないと相談を受けた。急成長に伴い、基本は業務を円滑にするためにヒューマンスキル向上し、情報共有していくコミュニケーションスキルは必須のようだ。
数字のギャプと心理
早嶋です。
国内外の高級ブランドショップが相次いで値上げをしています。サンローランやボティガが10月から11月にかけて一部商品を対象に値上げ。バーバリーもバックや衣料品の一部を値上げ。バレンシアガは紳士服を価格改訂。英国グラフは12月から8%、TASAKIも1月から数%の値上げ。
確かに10月頃から百貨店の外商メールから複数のブランドが数%から10%程度値上げをするのでその前に買いませんかメールがどんどん入っていました。
ドイツの生理学者にウェーバーがいます。品減の感覚に関する実験を行いました。100gの重りに1gづつ重りを追加して102g、103gと追加していきます。人は何グラムで重さを感じるかを調べる実験です。実験結果は一様では無い。でした。まぁ、この感覚は五感と同じで、人が刺激を受けて脳で処理した結果ですから納得です。
例えば、スーパーのレジ袋が10円から20円になったと知れば、高いと思うでしょう。10円の差よりも、2倍になったと思うでしょう。
例えば、ポテトチップスが90円から100円になったらどうでしょう。10円の差ですが、高いとは思わないでしょう。同じように電車の値段が200円から220円になっても高くなったとその時は感じにくいものです。
ということで、同じ金額でも高額であったり、金額のみせかたによって高いと感じたり、何も感じなかったりするでしょう。というのを考えるとブランドショップからすると、各ブランドショップが一斉値下げ!的な報道は止めていほしいでしょうね。そのために10%前後の微妙な値上げをしていて、気が付かれないようにしているのに。それを宣伝するかのように報道する。って。
ちなみに値上げは車業界でもありました。ベンツはAクラスなどの小型車を中心に1%程度の値上げを行います。それは大したことが内容に思いますが、Aクラスはエントリーで300万円から。つまり3万円程度の値上げです。3万円と捉えると大きいですが、300万円と比較するとそんなに感じない。まさに人の感覚は不思議なものがありますね。
政府の予算に対しても同じような感覚があるのかもしれないですね。100億、1000億単位で簡単に何か話している感じを受けますが、予算が全体で100兆円もあったら、たしかに小さな金額に錯覚してしまうのかもしれません。増税は仕方ないと思いますが、使いみちは精査してもらいたい。意味もないと思うような使いみちはやっちゃいかんよな、と思います。
ジョブ理論②
早嶋です。
環境分析を行う際に顧客や市場の分析は外せない。製品やサービスが売れるであろう性別や年齢などの属性を想定して相関分析を行うのが一般的だ。しかし、企業が本当に欲しい情報は相関関係だけだろうか。それは多分違くて、なんで買うのかという、因果関係が欲しいと思う。
例えば経済雑誌の行動くそうは40代男性管理職と分かったとしよう。これは調べなくても確かに、そうよねと思うくらい、相関性は高いだろう。では、これはそのまま因果関係として整理してよいだろうか。つまり、40代男性管理職だからその経済雑誌を購買すると。
しかし、それは一概には言えないはずだ。そう、伝統的な顧客分析は常に相関にフォーカスしており、もっと企業が欲しい因果関係を意外とあっさり無視していることに気がつくのだ。
これに対してジョブ理論をベースに考えると、どのようなジョブを片付けるために経済雑誌を雇用するか、とするのだ。すると片付けたいジョブは、情報収集、暇つぶし、格好良く見せたい、と言ったジョブが見つかるはずだ。とすると先の40代、男性、管理職との関係性はさほど重要にならないということがわかってくる。
ジョブ理論①
早嶋です。
ジョブ理論。イノベーションをどのように創出するか。あらゆる業界や企業が解を欲しい答えだ。元来、日本企業の方向性は徹底的に機能や性能を向上させることだった。結果的に日本品質が確立されたが、良くても高いと揶揄される。終いには上層部を忖度して現場レベルではやっちゃいけない改ざんの嵐だ。
欧州はもともとの戦略が明確で品質レベルを規定し、そのかわりに見た目や感情に訴えるデザインやブランドに特化することで高い利益率を得るビジネスを得意とした。
米国は同じように品質レベルを規定し、それらを標準化して無駄な商品エクステンションを行わず業界のプラットフォームを作る発想を持って事業を開発した結果、安く提供する仕組みを構築した。結果利幅が大きくなった。
日本の商品は良いが高い。そして企業にも益が残りにくい。欧州の商品はそこそこ良い。でもデザインが良い、ブランドがあるということで高い定価で売れた、結果企業には益が残った。米国は合理的なビジネスの結果、そこそこの機能でも収益が高い商売を続けることに専念した。そのような関係が続くなが、中国が全く異なる方向性から新たなビジネスを次々に生み出している。イノベーションだ。
中国は、もともとは国策企業がガンジガラメに事業を行っていた。従って、目立ったビジネスは生まれなかった。官僚の子供は幼い頃から帝王教育を受け、早い段階から海外で学び欧米と一部日本の良い考え方を吸収した。そこにもともと宿っている中国のビジネスセンスがマッチして、業界や企業の常識、枠組みを超えたところで、国と関係ない個人が次々に兆の規模のビジネスを誕生させている。
ではでは、機能とデザインとブランドの3つが商売繁盛のパラメーターか。多分、簡単な理屈で片付けることは難しい。しかし、学者は常に物事を帰納的に捉え、何らかの演繹的な理論が見いだせないかを研究することを生業としている。ジョブ理論は、理論というよりはまだまだ経験則や法則に違いと思うし、従来のマーケティング発想や顧客発想に近いが、それを「ジョブ」と比喩でおいたのが素晴らしいと思う。さすがだ。
ジョブ理論の理屈はこうだ。ヒトは「片付けなくてはならないジョブ(用事や仕事)」を片付けるために商品(製品やサービス)を「雇用(購買して使用)」すると考えるのだ。これまでは、顧客のニーズやウォンツという極めて概念的な言葉で表現されたものをジョブと捉えたのが面白い。また一部ではソリューションと言われてまたまた難解になり、何かITの投資をしないと手にはいらないのではないかという妄想まで生まれていた。しかし、ここをジョブのために雇用するという極めてシンプルな表現に置き換えることで、様々な思考の切り口を整理し、変えていくことを提案している。
イノベーションの定義を、ヒトが片付けようとしているジョブを何であるかを突き止め、その問題を解決するために雇用できる製品やサービスを作ること。と定義し直したのだ。これまでイノベーションは、その名の通り、革新的な技術や革新的な考えとか訳され、A=Bみたいな言い回しになっただけで、具体的に何をするんだ、的なことを論じることはなかった。或いは、イノベーションは世の中を変える何かという理解は深まったが、それは具体的に言うと何を表すか、などをシンプルに解く人はいなかった。しかしジョブ理論の定義は極めてシンプルでわかりやすいと思う。
例えば、マーガリン。バターの対抗馬として生まれた。バターは動物由来の脂肪を使っているのに対して、マーガリンは植物性の脂肪を使うために安い。というのがマーガリンのこれまでの説明だった。が、ジョブ理論をベースに考えると、ヒトはなぜ商店でマーガリンを買うのか、ではなく、どのようなジョブを片付けるためにマーガリンを雇用するのか、と言い換えるのだ。
例えば、朝の忙し時期に、硬いパンの上に載せてパンを食べやすくする、と考えることができる。となれば、その場合の競合は、はじめから柔らかいパンであり、マヨネーズやオリーブオイルだって考えられる。そのように発想するとマーガリンは冷やしても固まってはいけないという開発方針がうまれるのだ。そうしなければマーガリンは雇用されないからだ。
この考え方は競合と代替として歴代の戦略先生が事例として出している。しかし、理論が難しくて同時に考えるのはなかなか難しかったのではないだろうか。競合は、その業界で直接的に形が同じで、顧客が解決する内容は同じ。代替は、業界に関係なく形も違う、でも顧客が解決する内容は同じ。でも、これをジョブと雇用と整理するだけで業界や商品の特徴などを知らなくても、自由な発想がうまるのだ。つまり、経営的なセンスやバックグラウンドが無くてもイノベーションについての議論が自由にできるのだ。
先のマーガリン、上記のような質問からは別のジョブも片付けることができる。例えば、調理中に食材が焦げないようにすることだ。このように考えるとバターだけがライバルではなく、焦げにくいフライパンそのものも注目することができる。そう考えると、フライパンと一緒に雇用される可能性があるので熱に対してすぐに溶けるという機能はあったほうが喜ばれる。
つまり、マーガリンをバターの対抗馬として考えた場合は、多分味にしかフォーカスしないと思うが、ジョブと雇用を考えることで、固くならない、溶けやすいという別の方向性も開発のポイントとして追加されるのだ。
脱ドンブリ勘定
早嶋です。
中小企業で数値目標を設置する企業は多いですが、殆どがドンブリ勘定しています。例えば、売上と利益の目標はあるのですが、その目標を事業部毎に細分化して管理している企業は少ないのです。大企業の社員からすると当たり前でしょうが、当たり前のことをちゃんと行うことは案外と難しいのです。
例えば、K事業、P事業、S事業、M事業の4つの事業を展開している企業をAとします。Aは2018年度の目標設定を売上15億、営業利益を13.5%の2億と目標設定しました。根拠を聞くと、過去5年間の売上が15億前後で営業利益が1億前後と変化がなかったから来年からは信用を増したいとのことで営業利益を倍にしたいという理由です。
リーマンショック前後の売上は17億を超えており、営業利益は2億円を達成していた実績もあり、経営者は難しくないとの自信を見せています。また、近年の生産性向上を全社員に普及しており、達成は可能だと話しています。
そこで社長に質問をしました。K、P、S、Mのそれぞれの売上目標と利益目標はいくらですか?と。すると、しばらく考え込んだ挙句に帰ってきません。設定していないのです。毎月の月次を見ると、部門ごとの売上は明確に管理されているのですが、K、P、S、Mと事業毎のコスト管理はかなりざっくりしていてドンブリ勘定になっています。
また、KとMは企画や営業を一緒に行い、PとMは製造と企画と営業が一緒に事業を行っています。従って、それぞれの事業で経費をどの程度使っているのか?などは正確に把握出来ないといいます。また、A社は本社とは別に視点が7箇所あり、そこにかかる固定費や別の経費は本社で一律に管理しているため、エリア毎の経費もよくわかっていません。
そこで手をつけた作業は数字の按分です。K、P、S、Mと本社というくくりでざっくり分けました。そして、4つの事業が過去数年間でどの程度売上を計上したかを整理しました。また、その事業の売上を上げるためのコスト構造を1つ1つ整理して紐解き、本社共通や一部共通していた経費も過去の流れ等を鑑みて按分するルールを決めて管理していきました。
すると、Kは1億(売上は5億)、Pは1.5億(売上は5億)、Sは0.5億(売上は1億)、Mが△1億(売上は4億)の営業利益を出していることがわかりました。そして、本社経費が1億かかってることがわかりました。
全体の営業利益は、KとPとSが稼いでいるのですが、Mが1億の赤字を出し、本社経費が1億かかっているため、結果的に営業利益が1億になったという内訳だったのです。それぞれの事業の中身を見れば、Mの事業は将来の投資を含めているので赤字であることは理解されていましたが、0.5億程度との認識でした。また、本社経費は少ない人数でかなりだぶついていることもわかりました。
そこで、2018年は売上を2017年と同じと考えた場合でも、経費をセーブして利益を明確に2億出すことを目標にしました。具体的には、Mの営業利益を△0.5億に押さえて、本社経費を0.5億で運営することです。また、K、P、Sもコスト管理を徹底して見直したところダブリが多くあり合わせて0.5はセーブすることがわかりました。
と、少し内部の数字を細かく見ただけで実に1.5億のセーブが出来たのです。もちろんシミュレーションの世界で、今回は売上に対して一切触れていませんが、それでも目標を設定して、細分化するだけで、事業の見通しは少しは良くなるのです。ドンブリ勘定のままではなく、来年こそは戦略にもとづいて数値管理を徹底していきましょう。
事業計画
早嶋です。
企業の多くは3年程度の中期経営計画を立案して複数の事業を運営マネジメントしている。しかし、実際にその事業計画を徹底的に現場レベルに落とし込み、毎年ローリングしながら計画を修正加筆して使い倒している企業は少ない。むしろ計画を立てる作業には超気合を入れるのだが、その計画を実行して検証しながら修正し場合によっては大きな変更を行う企業は少ない。
* 計画を立ててこれまで通りの動き
* 計画はあるが詳細な分析などは無くファクトが不足
* 事業部ごとの足し算で全体の帳尻を合わせるだけの計画
* 経営層で計画を作るも課長以下実際の現場レベルには何の説明も行わない
計画を立ててこれまで通りの動き
まさかと思うが、ひどいところは計画をたてるのに精一杯でどうやって実現するのか?などの議論も行わずに、作った計画は大切に棚にしまって、例年通りの行動を取っている。そんな企業は無い。と思いたいが、案外と少なくはない。ひどい企業になると、計画を作るのが思ったよりも大変だから、実際と異なる動きや環境変化が起こったにもかかわらず修正をしない。大変だからという理由で。そう、計画を作ることが目的になった証拠だ。
計画はあるが詳細な分析などは無くファクトが不足
どうして、そのような方針を立てたのかについて、基本的なマクロ分析、顧客や市場分析、競合や代替の分析、自社の分析などが無く、それっぽいが主観で書かれている。当然、そのような企業は大枠の目標はあるが、それを事業部毎、商品毎、或いは地域ごとなどに分解して目標を設定することなどしていない。また、3年分の数字が並んでいるが、初年度も3年度も数字の粗さは同じ。従って、初年度は1ヶ月毎の数字に落とされることも無く、当然、それを実行するための具体的な行動は示されていない。
事業部ごとの足し算で全体の帳尻を合わせるだけの計画
計画を作る際に、詳細に分析して作成しているものの、事業部間で議論して、企業戦略を前提に作られていない。どちらかといえば、それぞれの事業部が緻密に作った計画を管理部で合算して企業戦略としている。本来は、企業戦略としての方針があり、各事業のライフサイクルや立ち位置に応じてポートフォリオを議論して投資レベルを握っていく。それに準じてヒト、モノ、カネ、時間、情報の経営資源をあてがって事業部に指示を出す。従って、成熟期でシェアが小さい事業や成長期であってもキャッシュの配分が十分ではない事業などの資源配分があべこべになっていて事業が加速しないのだ。
経営層で計画を作るも課長以下実際の現場レベルには何の説明も行わない
折角緻密に、かつ綿密に事業計画を作っているものの、冊子にして渡して終わり。課長以下、資料を読むも、そもそも戦略的なバックグラウンドや知識が無いから読み解くことが出来ない。現場レベルになると資料は棚の上か引き出しの中に大切にしまれ印刷代も回収できない状態になってしまっている。そのような企業は、現場の社員レベルに全く浸透していないので戦略の方向性を無視した営業活動や研究活動が普通に行われている。
ミッションやビジョンを基に、まず企業としての在りたい姿を議論する。そして、それらを実行するために現状の事業ポートフォリオを確認して、資本の配分を企業全体の最適を見て決定する。当然、投資の配分にもメリハリがあり、閉鎖する事業の意思決定も定期的に行われる。事業部はその方針を受けて、全体最適になるように事業の戦略を練り、それを事業計画に落とし込む。3年、2年は大枠の数字と年レベルの動き。しかしきちんと分析された結果に基づく。基本的なマクロ分析と3C分析は整理されている。そして1年間は毎月の通過目標と行動目標が示され4半期ごとの目標と1ヶ月毎の行動が明確に示されている。
計画には、通過点ごとに評価する基準があり、基準をあるレベル以下で継続して通過出来ない場合は撤退を含めた検討やルールが行われる。また、計画作成3ヶ月毎に、直近1年間の目標、通過目標、行動目標が見直され、常に1年間の行動はローリングしながら管理している。つまりいつの時点でも向こう1年間の数字と直近12ヶ月の行動がブラッシュアップされている。当然、それに合わせて向こう3年は常に修正される。
事業環境が大きく変われば、中期経営計画で示された期間を無視してゼロベースで計画を見直すこともルールとして運用する。この取組は経営層だけではなく、事業部長、部長が責任を持って課長、そしてその下のクラスにまで自分たちの言葉で語れるレベルまで噛み砕いて共有している。
何も難しいことは無い。事業計画を作成する能力があれば、後はそれを運用することに力点を置き、計画にこだわらない柔軟性も取り入れるだけなのだ。と言いつつ、当たり前のことが出来ない企業は多い。
関係性で地域と都市の役に立つ
シニア・コンサルタントの原です。
私は、移住人口や交流人口の増加策だけでなく、第3の「関係人口」による地域政策を実践的に研究しています。
関係人口とは、地域への移住や観光ではなく、都市住民が定期的に想いのある地域を訪れることです。
私の取組事例では、平日は地方都市の福岡で仕事をしながら暮らし、休日の一部は、大分県の小さな田舎町に拠点をもつ「ダブルローカル」を実践しています。
私は、幼少時代を過ごした田舎町で、想いのある100年の歴史ある古民家を譲り受けました。数年前からリノベーションにより古民家再生に取り組んでいます。
その再生活動の中で、都市の仲間を古民家に招き、体験企画を一緒に楽しむ場づくりから、関係人口が増加していく変化の兆しを体感しました。
都会で暮らす人の中には、移住までは無理だけど時には地域に行き、自然や文化、伝統などに触れたいというウォンツ(欲求)があります。
このウォンツを満たす提供手段には、シェアハウス構想、ワークショップ体験の企画運営などが考えられ、私が都市と地域を結ぶハブ的存在になれると考えました。来年は、さらに企画を増やし関係人口の増加に取組みます。
以下には、既存の人口増加政策である「移住人口」と「交流人口」の限界について論じます。
2015年の国税調査では、日本の人口が減少したのは、47都道府県のうち39都道府県となりました。
「地方消滅」などの書籍が出版されるなど、人口減少が続いている地方は、将来に消滅の可能性が出ることが予測されています。
このように、日本全体の人口が減少する中で、既存の地域政策である「移住人口」と「交流人口」の増加策には限界があると考えます。
1つ目の「移住人口の増加策」については、どこかの地域が増えれば、どこかの地域が減るゼロサムゲームを繰り返すだけです。
全国の20歳以上を対象にした2014年の内閣府による世論調査では、地域への移住願望がある人は31.6%で、2005年調査に比べて11ポイントも増加しているデータもあります。一方、実際に移住予定がある人は1%台と、移住へのハードルが高いことが事実なのです。ハードルが高い理由には、仕事先、住まい、友人関係など人生の一大転換となり、理想と現実の間に大きなギャップがあるからです。
2つ目の「交流・観光人口の増加策」については、移住よりはハードルは下がりますが、一過性で地域の仲間づくりにはつながっていません。また、観光集客目的のイベントや祭りでは、地域住民が運営に疲れる「交流疲れ」が課題となっています。
以上から、私のように都市と地域で暮らすダブルローカルが普及すれば関係人口が増え、都市住民も地域住民も豊かになれると考えます。
そして、ダブルローカルへの想いを実現するには、企画アイデアだけでなく、仲間と資金が必要となります。その仲間と資金を集める手段として、クラウドファンディングがあります。私も古民家再生には、クラウドファンディングを活用し仲間と資金を集めることができました。弊社では、地域クラウドファンディングFAAVOの福岡エリアオーナーとして、地域づくりや企業を応援しています。
弊社の月次セミナーでは、クラウドファンディングの仕組みや事例を紹介する実践的な内容です。是非、ご参加お待ちしています。
女性活躍の現状と課題
アベノミクスによる経済成長戦略の一つとして、女性雇用を促進させるための「女性活躍推進法」が2016年4月1日に施行されました。従業員301人以上の企業には、女性活躍状況の把握および分析と、行動計画の策定及び公表が義務付けられています。また、行動計画を策定したという届出書も必要があります。そのことから企業・行政では、女性管理職を増やそうと女性リーダー・意識改革研修が増えています。
しかし、その反面女性社員・職員は、『管理職になりたくない』という数字が高く、人事はどう対応したらいいのかと困惑しています。この問題は、女性管理職側だけの研修のみで解決することではないと考えます。
管理職候補の女性社員の意識改革も必要ではありますが、その前提として企業側が、『女性が管理職として働きやすい職場環境の整備』は必須ではないでしょうか。いくら育休制度があっても活用できない風土があれば、女性管理職になることは、仕事量が増加し仕事と家庭(子育て、介護)の両立が難しい状況が益々、大変になっていくイメージしかありません。
女性管理職候補の方々がどのようなことで管理職になることに躊躇しているか、事前にアンケートをとります。大枠“マネジメント・管理職全般、ジェンダー、ワーク・ライフ・バランス、ストレスマネジメント他”の問題があります。例をあげると、働き改革などで、女性管理職になって働きづけになっていないか。夫も仕事が忙しいなか、子供の病気・行事の場合どうしていったらいいのか。など、生活そのもの直結しています。
よって、女性自身の意識改革だけではこの問題を前進することは難しいと考えます。女性管理職候補の意識改革よりも組織側の改善が重要事項であり同時に進めることが必要ではないでしょうか。
具体的に『女性活躍推進』を促進していくためには、プロジェクトチームを立上げ女性の意識改革だけでなく、女性管理職の為の職場環境の整備、女性管理職の育成、周りの社員・職員(上司・同僚・部下)の意識改革・職場環境の改善を同時に進めていかなくてはならないと考えます。各組織で問題・課題で何を優先事項にしていくか把握しなくてはいけませんが、実際やりながら少しずつ進めているのが現状のようです。
お困りのことがありましたら弊社にご相談ください。
【個別相談】
急に『リーダー研修』を受講しなさい!と言われました。人前で話すのも苦手ですし、リーダーになるには向いていないと思います。不安でいっぱいです。という相談がありました。まずは、不安な思いをしっかり傾聴しました。不安に思う事柄の整理、リーダーになることを目標とするためにどのようなことが課題になるのか書き出してもらいました。一つ一つ何をしたら解決していくのか、そのための具体的な自己啓発・情報を提供し、具体的な行動レベルの計画をたてていきました。
最新記事の投稿
最新のコメント
カテゴリー
リンク
RSS
アーカイブ
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年9月
- 2010年8月
- 2010年7月
- 2010年6月
- 2010年5月
- 2010年4月
- 2010年3月
- 2010年2月
- 2010年1月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年9月
- 2009年8月
- 2009年7月
- 2009年6月
- 2009年5月
- 2009年4月
- 2009年3月
- 2009年2月
- 2009年1月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年9月
- 2008年8月
- 2008年7月
- 2008年6月
- 2008年5月
- 2008年4月
- 2008年3月
- 2008年2月
- 2008年1月
- 2007年12月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年9月
- 2007年8月
- 2007年7月
- 2007年6月
- 2007年5月
- 2007年4月
- 2007年3月
- 2007年2月
- 2007年1月
- 2006年12月
- 2006年11月
- 2006年10月
- 2006年9月
- 2006年8月
- 2006年7月
- 2006年6月
- 2006年5月
- 2006年4月
- 2006年3月
- 2006年2月
- 2006年1月
- 2005年12月
- 2005年11月
- 2005年10月
- 2005年9月
- 2005年8月
- 2005年7月
- 2005年6月
- 2005年5月
- 2005年4月