早嶋です。
久々にお香をたきました。その際に使ったライター、最近は全てにチャイルドレジスタンス機構(CR)が施されていますね。子供が火遊びをすることを防止する仕組みです。
背景は1990年代。米国でライターを使用した子供の火遊びに起因する事故や火災が相次ぐ問題が取り上げられました。これを受けて、1994年7月12日以降に幼児の誤使用を防ぐCRが装着されていないライター等の製造・輸入が禁止されました。同様の問題はEU圏内でもおき2002年以降、同じ規制が引かれました。日本では遅れて2010年、やはりCRが義務化されます。
これは子供の誤使用にフォーカスを当てて安全対策を施したものです。しかし、一方で力が弱い女性や高齢者にとって、非常に使いにくい道具となりました。結果的にCR機能を施したライターは使い勝手が悪いとのことで、売上が伸び悩み製造を中止した企業も現れました。
この決定は、子供の安全を全面に押し出した内容ではありますが、一方では子供を管理する親や保護者が、子供のリスクを放棄したようにも感じます。全てを禁止して、或いは否定して何もさせない。人は禁止されると手を伸ばしたいもの。仮に安全装置をつけたとて、それによっての誤使用は防げるでしょうが、こどものいたずら心は防ぐことができません。この部分は子供を育てる親や保護者が責任を持って指導すべき内容だと感じました。
2012年9月 のアーカイブ
ライターのCR
宮崎牛のブランディング
早嶋です。
黒毛和牛と言えばチャンピオンは何と言っても松坂牛。このクラスになれば正直、味の差よりも感情的なブランドの差、つまり松坂という牛、名前に対するあこがれがそのまま価格に反映していると思います。その意味では松坂のブランド価値はたいそうなものですね。まさに、黒毛和牛会のチャンピオン!
九州は土地柄、牛を育てている農家が多く、その牛にご当地の銘柄を付けて、各地域が黒毛和牛を一生懸命宣伝しています。伊万里牛、佐賀牛、長崎牛、宮崎牛、豊後牛、鹿児島牛。実に多数あります。これは九州を離れたところでも観察できます。そして、殆どのご当地黒毛和牛がチャンピオンの座を狙っています。つまり、松坂牛を追い越せ追い越せ!です。これは圧倒的に差を付けられている2位以下の戦略とは反します。
松坂牛は誰もが認めるチャンピオンクラスの黒毛和牛なので、他のご当地和牛が松坂牛に対抗して牛の宣伝をすればするほど、認知が少ないぶん、消費者は松坂牛のイメージが濃くなります。そう、圧倒的に差を付けられているときに、チャンピオンと同じ戦略を取るとこれは逆効果になるのです。従って、2位以下の黒毛和牛は、チャンピオンと同じようなマーケティングを取れば取るほど自爆してしまいます。
ではどうするか?取るべき方法はチャレンジャーの戦略かニッチャーの戦略かフォローワーの戦略です。どれが良いのか?はそのご当地の黒毛和牛の環境や立ち位置によって異なります。
例えば宮崎牛を考えてみましょう。
宮崎牛は、生産から販売を一括管理している数少ない黒毛和牛の銘柄です。牛の生産と言う観点から見れば北海道、鹿児島、宮崎がそれぞれ10%〜15%をしめ、後は他の産地です。一方、黒毛和牛にフォーカスすると鹿児島と宮崎で半数を占めています。そういう意味では宮崎も鹿児島もチャンピオン級なのです。更に基畜(もとちく)と言って黒毛和牛を各産地で飼育する場合の基となる子牛の多くは宮崎から出荷されています。ということは、多くのブランド牛のDNAは宮崎牛なのです。但し、こんなことを知っている消費者はいなく、産地のネームバリューによって何となく美味しいイメージにお金を払っているのです。まあ、そんなものでしょう。
因に、現在の宮崎牛の戦略はチャンピオンの模倣です。宮崎牛の4割は大阪、3割は東京、1割を福岡に出荷しています。残りは地元や他の地域です。東京、大阪、福岡にはJA宮崎の出張所があり、宮崎牛の普及に力をいれています。また、東京と福岡には宮崎牛を食べられるレストランがあり、JA宮崎が運営しています。JA宮崎が東京、大阪を選んでいる理由は、やはり消費地として市場が大きいからでしょう。しかし、ここには盲点があると思います。
大阪の立地条件を考えると、関西には神戸牛、但馬牛、そしてもちろん松坂牛が陣取っています。黒毛和牛の地位に宮崎の名前を浸透させようとしても、大阪は容易ではないことが分ります。圧倒的にブランド価値が他より低いからです。東京はどうでしょうか?おそらく日本で一番良い食材が集まる場所なので、やはり激戦地区であることは間違いありません。東国原知事がいなくなったいま、宮崎のブランドは過去のもの、宮崎牛の名前もワンオブゼムでほぼ無名に近いと思います。
結果、これ以上の消費が東京や大阪で伸びることは考えにくいです。一方、福岡はどうでしょうか?黒毛和牛のチャンピオンはやはり松坂牛。しかし、実際は流通量が小さいので福岡にはあまり出回っていません。そのため黒毛和牛は佐賀牛、宮崎牛、豊後牛、鹿児島牛、長崎牛が陣取っています。ではどれが消費者のイメージが良いか?それは佐賀です。理由は、単に隣の土地で近い、というのが当てはまると思います。特に佐賀牛が特別なマーケティング活動を行っているわけではないからです。ってことは、ここに少しだけ頭と知恵を働かせれば佐賀以外のご当地和牛は十分にシェアを広げることは可能だと思います。もちろんそれを佐賀が最小に行うことが一番容易な訳ですが。
因に佐賀牛は全ての肉質をA5級で勝負しています。宮崎牛はA4以上。なんとなく一般消費者からするとA5級と聞けば美味しそうなイメージですね。この投球の表し方は、AからCがあります。C等級の内はいわゆる品質が悪い肉です。B等級は自然に育ったような脂の乗った肉牛で、実は牛肉本来の姿がこれ。では、A等級は?イメージはフォアグラです。態々メタボリック気味に育てて、普通に育ったB等級の肉と比べてさしがタッぶり入っています。そしてA1からA5は数字が大きくなるにつれてさしが多くなります。何故か日本人はさしの入った脂たっぷりの肉が好きですよね。従って値段も高く取引されるのです。
黒毛和牛の値段は、チャンピオン級の松坂牛のA5級の値段をベースに、他の肉質の就き方、産地のネームリューなどを加味して付けられるようです。従って、同じA5急でも地域や産地によって若干値段のバラツキがあるようです。因に、肉のプロ、卸のプロ、農家のプロが松坂牛のA5級とA4級を食べ比べたとて、違いが分る人は少ないと思います。同様に、松坂牛と他のご当地牛のA5クラスの肉を食べ比べてもブラインドの状態では、やはり同じ。違いが分らないでしょう。そのくらい、黒毛和牛のA4、A5クラスは良く育てられているのです。
因に価格の評価です。ザックリとした評価ですが、黒毛和牛でA5クラスの肉を比較すると、松坂牛、神戸牛、但馬牛、米沢牛は100gあたり3,000円〜。一方、宮崎牛、佐賀牛、鹿児島牛は2,500円〜です。これがA4級になると松坂牛、神戸牛、但馬牛、米沢牛は100gあたり2000円〜、宮崎牛、佐賀牛、鹿児島牛は1500円〜。
チャンピオンクラスとそれ以下の黒毛和牛ではA5級でグラムあたり500円前後、A4級でも500円前後安く取引されているのです。宮崎や鹿児島の黒毛和牛が安く取引されているのは、他にも供給量が他の黒毛和牛よりも多いこともあると思います。
そこで、整理します。A5級の松坂牛とA4級の宮崎牛を素人が味覚のテストをブラインドで行った場合、ほぼほぼ味の違いは分らないでしょう。プロだって肉質をじっと観察しないと分らないからです。しかし、実際の価格の差は2倍。これは実に面白いと思います。
宮崎牛の強みは、全国に基畜として提供している、生産量も他の黒毛和牛よりも圧倒的に多い、実際ブランドを隠した場合、味の違いに大きな優劣は無い。そして、実際は等級が同じだと500円くらい安く取引される。これらを踏まえて、宮崎牛が取れるポジションは、”日常的に食べられる松坂牛”では無いでしょうか?佐賀牛が松坂のポジションを狙ってA5級で勝負している側で、宮崎牛はA4級で勝負する。すると、他の肉よりも価格が安く見え、かつ、松坂の半分の価格に見せることができます。しかし、実際の食べた味覚は、違いが分らない。
安定供給と大量飼育の力をベースに、リーゾナブルだけど旨い!それは基畜として全国に出荷していることが何よりの証明です!などと理由を付ければ明確です。実際美味しいのは間違いないのですから。
さて、上記のシナリオを取れる県は鹿児島も可能です。しかし、何となくマーケティングがへたな県です。ただ、宮崎が有名になったのは東国原知事以降。JAさんがおおわく見ながら、自分たちの立ち位置を考えたマーケティングを行えば、新たなポジションで十分に消費を増やす可能性がまだまだある。農業はそんな市場だと思います。
歯科医院に見る経済
早嶋です。
歯科医院の経営者と話をしていて感じること。子供の歯の状況が二極化しているそうです
例えば、あえて極端に書きますが、歯の状態が良く定期的に予防目的のために来院する子供と歯がボロボロで状態が非常に悪い子供。どちらも同じ地区の小学校に通っている。一方は経済的に裕福で一方はそうではない。
例年、地域の小学校の定期健診を担当しているドクターで、10年前と比較して大きな変化を感じたそうです。虫歯の数が極端に多くてボロボロの子供と口腔状態が極めて良い子供。虫歯が2、3個程度ある子供が極端に減少しているそうです。公立の小学校なので家庭環境は様々。しかし、そこにも既に2曲化が始まっている。親の経済状況によって子供のバランスにヒヅミが出ている。
勿論、歯の状態=家庭の経済環境とリンクさせるのは早合点だが、超ミクロな部分に超マクロの部分を重ねて考えるのも間違いではない。
コカ・コーラ社のマーケティング
早嶋です。
1日に5000万人。自動販売機で購入される顧客が約2000万人、スーパーやコンビニなどの小売で購入される顧客が1600万人、残りはマクドナルドやファーストフードで900万人。これは、日本コカ・コーラ社の製品の購買顧客1日の数字です。とんでも無いですね。日本の人口が1億2000万人ですから、この数字がいかにすごいものなのかが良く理解できます。
これだけの商品の購買の裏にはどのくらいの人たちが関わっているのでしょうか?実際は、日本コカ・コーラ社の社員は550名程度だそうです。皆がマーケティングに特化し、その他はシステム化して他のチームに任せている。550名の社員でブランド価値を徹底的に高める仕組みを継続的に考え実践し、他のシステム約2万3000人のチームがそれを実践している。これを考えると、コカ・コーラ社が行なっているマーケティングってとても気になりますね。
コカ・コーラ社の仕組みを分析するれするほど、これだ!というとてつも無く素晴らしい取り組みをしているのではなく、仮説と検証を耐えず繰り返しながら徹底的な基本を構築していることが良く理解できます。何かすごい技を一髪かけてノックアウトするのではなく、継続的に試行錯誤をしながらジャブを適切に打っているのです。
* 基本的な数字は徹底的に計測し管理する。認知率、好意度、購買意向、リピート購買率等々。これらはブランドの健康状態と考える。
* ブランド力の継続が商品の販売の根幹と感がえている。
* 現場を担当するボトラー社は地域の人を雇用して、資材を書い、ボトリングを担ってもらうことで地域の雇用を促進し地域経済に活性化してもらうという理念を大切にしている。
* 価値を基本的な価値(intrinsic value)とそこから付帯的に加わる情緒や感情の価値(extrinsic value)の両面から価値を提供している。
* 競合からシェアを奪う発想ではなく、常にマーケット全体を大きくする発想で価値創造に重きをおく。
* share of stomachの発想。人間の水分の補給は4割が食物から。6割は食物以外からの水分補給だけど、その数%程度しか商業的なものが関わっていない。このシェアを伸ばす発想。
* 上記を達成するために、徹底的にペネトレーションとフリークエンシーを上げていく。
* 外に対してのマーケティングと同時に社内に対してのマーケティング、インターナル・マーケティングも重視する。
* 24時間、常にインサイト(顧客の心理、発見、興味、理解)に目を向け、顧客をきちんと直視する。
* すべてのマーケティング活動には一貫性を持たせる。統合マーケティング。
* 新しい価値は常に、多くの場合現場から生み出される。スタッフが机上のみで考えない。
* マーケティングに重要な概念は特別な差別化であり、平均点ではNG。
* マーケティングは明日のために行うもので、即効性を求めない、長期的な継続的な取り組みの中でリターンを得る仕組みとする。
* 一番手にこだわる。ポジショニングの重要性を理解する。
* 簡単に諦めない。継続的な取り組みと忍耐が勝敗の分かれ目に成る。
* 最終的には人の心を動かせるという事に尽きる。商品でもサービスでも無い。人の心にフォーカスする。
* マーケティングは絶対に一人では出来ない仕事である。しかし一方で全体の整合性が非常に重要。従って、議論がわかれた時の最終的な決定はCMOに託す。
バタフライ効果
早嶋です。
複雑系において、初めは小さな無視できる動きが、様々な相互作用の中で互いが増幅してとんでもなく大きなチカラに発展することがあります。こうした性質は一般的にカオスと呼ばれます。その象徴的な事例がバタフライ効果として話題にされます。
例えば、天候。地球の公転軌道、地軸の傾き、太陽の熱で暖められた大気や海水の流れ、人間の諸活動におけるインパクト。これらの要素が複雑に絡み合って天候はつくられます。
この表現は、気象学者のエドワード・トーレンツが1972年にアメリカ学会振興協会で行った講演のタイトルに由来します。『予測可能性 ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスでトルネードを引き起こすか』
この場合、アマゾンに限る必要はありません。それが北京でも福岡でも。また、思わぬ影響を被る場所もテキサスであるとは限りません。東京かも知れないし、長崎かも知れません。バタフライ効果の特徴は、蝶が羽ばたけばどこかで嵐が必ず起こるというわけではありません。蝶が羽ばたくこと自体は大きな影響を残しません。そして蝶の羽ばたきだけが嵐の原因となるわけでもありません。従って蝶の羽ばたきをどんなに観察したところで嵐が起こることを予測することはできません。
一般に、カオスによるこうした増幅作用は予測することが不可能だとされています。蝶の微妙な羽ばたき1つで最終的な結果が異なってくるからです。つまり精密な計算が出来ないのです。
バタフライ効果は、株式市場の乱高下、政党支持の急速な減少、金融危機など後付けで原因を探すことは出来ても、事前に予測することが不可能なのです。つまるところ複雑系の世の中は予測することが不可能なので、それによる不確実性のリスクを低減させることはできません。偶然のいたずらによる影響を常に帯びているということです。何事もパーフェクト。これは有り得ないのです。
であれば、人間万事塞翁が馬と考え、災も福をもたらすかもしれない。人生は予測出来ない部分もあると、でんと構えることも大切なのかも知れません。
漢字が書けない
早嶋です。
PCの普及でメールでのやり取りが一般化しました。これによって、多くの日本人が漢字が書けなくなる傾向が強くなっています。ワークショップをしていても漢字を思い出す時間がもったいないので、ホワイトボードでは分からない漢字はひらがなとルールをつくる企業も見受けられます。
今朝の日経です。漢字を正確に書けなくなったと認識している人の割合が6割を超えたそうです。文化庁の調査、国語に関する世論調査。2001年に実施されたどう調査では35%だったので、その変化が分かります。
年代別に見ると、20代から50代は7割強で前回よりも20から30ポインアップしています。学齢期の子供は48%で平均よりも下回りますが、手書き能力を形成する時期にPCなどの電子機器を使い始めることから、今後、書けない人の割合は更に増えていくと思います。
養殖ビジネス
早嶋です。
天然の魚と養殖の魚、さて、どちらが美味しいでしょうか?
多くの方が間違いなく天然!と答えるでしょう。天然の魚が美味しくて、値段が高い。そんな先入観があるとおもいます。しかし最近の養殖技術の進化は素晴らしいものがあり、養殖の魚が美味しい場合が多くなったそうです。また、天然に比べると管理コストがのり、値段が逆転する場合もあるとか。
考えてみれば、魚以外は天然のほうが珍しいです。肉などは交配を重ねて品種改良され、飼料にビールを混ぜて肉質を良くするなど、よく知られています。
養殖ビジネス関連の仕事をしたことがあります。魚種にもよりますが、天然の魚と比較して養殖の魚は身の持ちが良く味も安定しています。天然の魚は直ぐに悪くなりますが、養殖の魚は鮮度あるていど鮮度を保つそうです。実際、ブラインドテストで味を比較しましたが、どっちがどっちかわかりませんでした。むしろ、養殖の魚のほうが身がぷりぷりしていた記憶もあります。
養殖の魚の味が進化した背景の1つに餌の改善がありあす。通常、養殖の魚はいけすの中で市場が好む大きさまで育てられ、出荷前に身質を改善するための餌を食べさ、出荷されます。この身質改善の餌は研究が進み、この餌を食べることにより、出荷時に身が天然の魚のように引き締まり、味が良くなり、鮮度を保つようになるそうです。
養殖の魚が天然の魚と比較して高い理由は、実は流通側のわがままも関係します。例えば、市場が求めるサイズが育てるまでに2年間程度かかる場合、養殖業者は出荷したくても魚のサイズが受け入れられないので、出荷できません。その間、養殖業者は魚に餌を与え続ける必要があります。当然、餌を与え続けることはコストです。そこで、おかしなカラクリが成立しています。
養殖の魚が市場に流れるまでに、養殖業者⇒仲買人⇒小売⇒消費者という流通経路が一般的です。養殖業者は昔からの漁師が行なっている傾向が強くて浜値というのが存在します。市場価格を無視して養殖業者が値段を決めて仲買人に買ってもらうのです。場合によっては仲買人は高い値段で買って安い値段で小売に下ろすこともあります。極端な話ですが。いづれにせよ、これでは仲買人は損をすると考えるのが自然です。
カラクリがあります。養殖業者に餌を提供するのは多くの場合、仲買人なのです。従って、浜値で買っても餌を提供している限り利益をえるのです。よく考えると、仲買人は大きな魚が市場から求められる!という理由でもう少し育てて、と養殖業者に言いますが、これは餌代がかかり、仲買人が儲かる仕組みにもつながります。
因みに、私が取り組んでいたビジネスは、この文化を一気に壊して、養殖業者⇒仲買人⇒消費者の中抜きを行う支援でした。その企業は仲買人としては後発でしたが、餌の技術と飲食店のネットワークがあったので徐々にその文化を壊しています。現在では浜値を徐々に市場価格に合うようにして、一方で市場が求めるサイズももっと柔軟に対応してもらうように仲買人が調整しているのです。つまり、むかしからの文化は、生産者と消費者が情報を交換することができませんでした。それを仲買人が情報を流す役割をはたすことによって、おかしなギャップを解消する、それによって適正なサイズの魚が適正な値段で流通するように工夫していっているのです。
ただ、未だに問題があるのが養殖という消費者の反応。冒頭に書いたようにどうしてもイメージが天然よりも圧倒的に弱い。そこで、新しいブランドを付ける試みも始めています。つまり、認識を変化させるのです。例えば、『育魚(いくぎょ)』『選魚』『ハンドメイドフィッシュ(HMF)』『漁師手作り』などです。アイデアはまだまだ陳腐ですが、養殖のイメージを払拭する新たな呼び名を考えています。どなたか良い呼称は無いでしょうか?
平常心
早嶋です。
モノゴトをポジティブに捉えるヒト、ネガティブに捉えるヒト、ニュートラルに捉えるヒト。
モノゴト自体は固定されて変化は無いのに、その捉え方によって、ヒトの考えが変わります。モノゴトをポジティブに捉えるクセが強い人は、何事も前向きに、チャレンジします。結果、挑戦する回数が多くなるので成功する確率も高くなります。
一方、ネガティブに捉えるクセが強い人は、どうせやっても出来ないとはじめから出来ないことを考えるので、できる方法を考えない。結果、思考が硬直するので、思考停止。当然に行動にも結びつかない。達成する確率も行動しないからゼロのまま。
この手の話はグラスの中に水が入っているのを見て、「半分も!」と考えるか、「半分しか!」と考えるか、というように良く議論されます。そこでもモノゴトをポジティブに捉えたほうが結果的に良い方向に成果が上がることが研究されています。
宮本武蔵の五輪の書の中に、盲目という項目がありました。谷に1本の棒が渡されていて橋の代わりとなっている道がありました。谷底の奥は深く、木も不安定。そこに盲目の老人が通りかかります。橋はどこにありますか?と尋ねられてあっちに一本の木が渡されていますと教えます。その老人はどうやって渡るのか?と観察していると、何もなかったように普通に通り過ぎていきます。目が良いヒトは、谷の奥深くに目がいって、橋を怖がって渡ることができません。一方盲目の老人はそこが深いかどうか知りません。木の上を普通の感覚でただ歩いたのです。
平常心。周りの状況が変わると自分が変わる。しかし、実際は自分の状況は変わらない、周りの状況にわせて自分が認識していることが変わっているのです。緊張感。人前で話すのが苦手なヒトも友達とは流暢に会話ができます。話をする本人に変化はなく、周りの状況を認識して、かってに緊張する。上手く話さなければいけない!そう思うことで本来の自分が出せないのです。
ありのままって実はすごい力を発揮するのです。
さかさまにできるビジネスモデル3
早嶋です。
通常、お金を払っているけれども、もらう事を考えられないでしょうか?あるいは、お金をもらっているけれども、払わなければならない事って無いでしょうか?
逆さまにできるビジネスモデル。前回まで(http://www.biznavi.co.jp/blog/archives/2438)に体系化したものは、
1)通常は労働や仕事だと考えられることを体験として売る発想
2)宣伝の変わりに無償で提供する発想
3)プレミアムを提供することでお金を頂く発想
でした。
加えて、4)一方には価値が無いが他方には価値だと思える発想
を追加しました。
例えば、古民家を取り壊す場合は、100年前の建具やハリなど、建物自体が壊れていても価値があります。住んでいる人にとっては単なるオンボロですが、古民家を探求する人にとっては宝物です。通常はゴミとして捨てていたモノに高額の価値がついて取引されています。
例えば、米軍の放出品。軍事マニアにとって迷彩カラーのグッツはどれも心をくすぐります。軍からすると、既に耐久性等が落ちて使えなくなったもので、ゴミとして処理するのにお金がかかります。しかし、専門の業者がいて、一挙に買い入れてくれます。軍にとっても処理費用として出ていくのみならず、幾らかのお小遣いが入ってきます。放出品を買い取る企業としては、そこに価値を乗せて販売することで利益をえます。廃品回収、骨董品屋さん、リユース企業。全てこのような発想ですね。
豚という名の妖怪
早嶋です。
ヨーロッパを徘徊する一匹の妖怪。豚。PIIGSはポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインの頭文字をつなげた呼称。
上記ユーロ圏の国々は2008年の数年前までは経済状況はそう悪くありませんでした。2008年のリーマンショック前後から財政規律問題、及び経常収支問題が顕著になります。現状のユーロ不安の要因になっています。
EUは、12カ国の発足以来、加盟国を増やしていきます。現在は当時の2倍以上の27カ国。それだけの国が集まった運営も大変なのでしょう。特に問題となって浮き出ているのは、財政が各国単位なのに、金融はEU全体で管理するという仕組みです。
通常、経済が悪化すれば、国は国債を発行して財政支出を増やし、景気回復を狙います。同時に金利を下げ、企業が資金を借りやすくします。結果、その国に海外から投資しても高金利は期待できないので、資金がその国から逃げていきます。そのためにはその国の通過を売って他国の通貨を買う必要があるので、その国の通貨は安くなります。通貨が安くなれば輸出品の価格は下がり、輸出産業にとっては有利になります。輸出が伸びゆるやかに経済が回復するというシナリオです。
EUに加盟している国の経済が悪化した場合も同様に国債を発行して財政支出を増やすことは可能です。しかし、独自に金利を下げることはできません。従って、上記のシナリオのように自国通貨を安くして輸出を伸ばすことはできません。先のギリシャは、経済の悪化に伴い国債を発行して財政支出を拡大することは出来ましたが、通貨を安くすることが出来ないので、結果、財政赤字だけが膨らみました。
問題が深刻化したのは、2009年秋の総選挙による政権交代。新政権の調べによると、前ギリシャ政権は財政赤字の数字を操作していました。当時の財政赤字はGDP比で公表数値の3.4倍の12.7%だったのです。更にEU統計局が精査した結果、実態は更に深刻で財政赤字はGDP比で13.6%にまで達していました。
こうなればギリシャの信用が低下して、新たに国債を買うところが減少します。国債が売れなくなると、ギリシャは追加で借金が出来ない状態になります。まさにギリシャが国家的に破産状態に陥ったのです。そこでギリシャはEUに資金援助の救済を求めます。当然EU諸国はギリシャに誠意を求めます。そこで、ギリシャは緊縮財政に踏み込みます。年金支出額の削減、公務員の削減などを行い赤字幅を減らします。しかし、このことで更に景気が悪化して税収が減少します。悪い循環が続いたのです。
EUの理想の裏には、財政と金融の一体化、つまりEUが完全に1つの国として統合されない限り、上記のような不安定な状況が継続するのです。
ヨーロッパを徘徊する妖怪、PIIGS。アイルランドを除くと皆、ラテン系の国ばかり。ドイツのメルケル首相は彼らを怠け者と揶揄して生活態度にまでかみつきました。陽気な太陽のもとに長いバケーションを楽しむ南欧の人々と長い冬にそびえてコツコツ働いてきた人々。グリム童話の蟻とキリギリスを彷彿とします。そんな作家のイソップはギリシャ人だったとか。うーん。
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