早嶋です。
マーケティングのゴールは、個々の細部のKPIの達成ではなく、売上の獲得、敷いては合理的な利益を残し、その原資を使って企業のミッションを実現することにあります。しかし、細分化された組織は、細分化された指標の達成に追われて、上記を見失います。その結果、部分最適になり、追いかけても効果が出ない取り組みに一生懸命になります。悲しいことに、その取組を行っている本人や部隊はそのことに気がつくことなく、自分たちは精一杯の努力をしており、会社に貢献している気分になります。そして、周りもその取組はきっと会社の役に立っているだろうと考えます。
しかし、それを実際にデータや上記の目標、つまり売上や利益やミッションの追求にマッチしているかを確認する部隊は少ないのです。皆、ある程度想いで動き、想いで考え、結果も出ているだろうと予測します。確かに、マネジメントが測定しなければならない個々のKPIは達成している可能性が高いので当然といえば当然です。しかし、そのKPIの設定が今でも正しいか?という基本的な質問を投げかける機能がかなり脆弱なのです。
例えば、販促でよく行われる商品や企業ブランドの認知に対して、広告を特定の数にリーチすることをゴールにするか、その特定の数が認知することをゴールとするか、その認知した人が記憶してもらうことをゴールとするか、その先の購買までをゴールとするか。どこまでのバリューチェーンを部隊が認識するかにうよって取り組みが異なります。
一般的に、広告にリーチできた場合、リーチした人が認知する確率は4割(実際は、それよりも低いと筆者は推定)、認知した人がそのことを記憶する確率は4割(同上)です。したがって100人にリーチしたところで、認知する人は40人、記憶する人は16人になるのです。このように考えると、はじめのリーチした人の84人は無駄打ちになったとも言えます。これらを考慮せずに、何人が見たという例えば視聴率を指標にしたところで、そこから実際に購買、購買後のアクションがどの程度確立されるかまで考慮しなければ、実際のビジネスにはあまり役にたたない。という見解も一部理解できると思います。
マーク・トゥエインの言葉です。「教育の本質は既成概念や常識を疑うこと」と。我々は理科の実験で習いました。仮説は間違っていても良い、検証をする過程でその仮設の筋を見直して修正する。そのプロセスを繰り返し踏むことで心理にたどり着く。ただし、実験を行った環境や前提条件によって、仮説は変わって来る可能性があるので、絶対の真理を問い続けることが大切だと。
このように考えるとマーケティングにおいての仮説の検証は、近年のビックデータや購買行動の記録やそれらを大規模に分析をする技術が発展して安価になることによって、大分実証が可能になってきました。それ以前は、それっぽい話を、それっぽい人が話して、それとなく結果が出ているような感じだったのかもしれません。実際の、その施策が効果を出したか否かが特定できないため、一度始めた取り組みを中止する意思決定が非常に難しくなり、気がつけば惰性でその行動を取り続けていることも多いのです。多分。
特に日本人は言霊と儒教の教えがある程度浸透しているので、変なことを口にするのは良くない。本当にそうなってしまうから。偉い人や目上の人、経験豊富な人が間違うはずがない。という思考になっているのです。また、実際は概念がよくわからず、性格な知識すら有していないため、誰も実はまともな質問が出来ていない。という側面もあると思います。
2018年11月 のアーカイブ
疑うべきマーケティングの手法
至急連絡ください。
早嶋です。
クライアント先で特定分野の無償の公開セミナーを良く行っているのですが、最近、とある傾向が増えていると思います。それは、電話での連絡で直接取れないときに、留守番電話やスタッフが受電した際に、「至急連絡ください。」という言葉です。
実際に、その方に連絡を取ってみると、
・本日行うセミナーの内容を知りたい
・私が初心者なので、セミナーの内容が私に合うかを知りたい
・セミナーの開催時間を知りたい
などと、到底至急という言葉がふさわしいかが疑問の内容です。
そして、スタッフや電話代行の方が電話を受けた時と、責任者や代表が直接電話した際の当人の対応があまりにもの違う点が気になります。
そもそも、セミナーの予約受け付けは1週間前に締め切っており、場所や時間などはWebに記載しています。そして、申込みそのものもWebでのみの受付で、費用も一切頂いていません。まぁ、当日になって時間がわからなくなり、Webや確認メールを見失ったというのはまだ良いにしろ、内容に対しての問い合わせを当時、しかも至急折り返ししてください。というのは若干筋が違っていると思います。
ただ、このような傾向があるということは、いい意味では、セミナーの認知度が普及して、一般的になっているという理解とも取れますが。
メーカの定義って
早嶋です。
今朝の日経にあった記事に「ロングセラーという定番商品に淘汰の波が」がありました。例に出しているのは森永のチョコフレーク。2019年夏に生産修了するようです。
生産修了の決定した理由は次のとおりです。
・PB商品の対応
・消費者の嗜好の多様化
チョコフレークは1967年発売のロングセラー商品です。しかし最近5年で売上はピーク時の半分になり、生産中止を決定しています。50年間の定番商品だったのです。実際は、上記2つの理由よりは、メーカーそのものが今のチャネルシフトに対応出来なかったことが原因だと思います。
国内菓子市場の現状は、量販店が5割、コンビニが3割です。更に、量販店の販売は頭打ちでコンビニでの売上にシフトしています。コンビニはとにかく売れ筋商品しか扱わないで、商品カテゴリで1位、2位の商品しか棚に並べないし、入れ替わりも1日単位で行います。
この傾向は、2000年頃より観察でき、将来、量販店が顧客情報や購買体験を軸に、メーカーの空いた資産を借り、独自の企画でPBの生産依頼をする。そしてそれによって、メーカーは小売がNBの販売先でもあり、PB商品を作る得意顧客でもあり、そしてNBの競合にもなるという微妙な関係が続きます。
その時期に、1)製造に徹してブランドはエンドにゆずる。2)メーカーに徹して、ブランド価値を上げるための仕組みをとる。3)本来の製造小売に徹するため、小売に参入する。のどれかを明確に打ち出せたはずです。が、状況変化に対応せずにズルズル10年、20年と経過。結果、今でも企業は製造に徹するのか、製造小売を続けるのか、ブランド価値を高めるかが不明なままです。
現在大手コンビニのPB比率は食品で4割から6割を占めます。そしてNBに類似するPBを揃えます。戦略としては、NBよりも容量を減らし価格を半値くらいにすることで、顧客の購買を促します。PBはそもそもチャネルを抑えているために、顧客が店舗まで足を運びます。そしてNBの選択肢に加えてPBを置くことで、利益を得るモデルを作り上げます。NBは小売りを自分たちで持たず、多くのNBと店舗内で競合するためテレビCMなどの従来のマス広告に莫大な広告費をかけて、ブランドの認知に力をいれます。
しかし、スマフォ時代の到来によって、顧客情報を管理して、顧客の購買行動を分析することが実は要であることに気が付かず、昔から変わらず飛び道具であるマス広告に莫大な費用をかけていきます。一方小売は、継続的に店舗に来た顧客が再来店して購買単価を増やすように、顧客のデータを蓄積して分析活用することに重きを置き始めます。
市場が成熟した現在、新規市場に対して商品を投入して、広告費をかけて販売を換気するモデルは時代遅れです。既存の顧客に対して、リピート、紹介をいただくような策を行うような、既存の購買を深める取り組みがポイントになります。
しかし、本日記事で紹介されているようなメーカーは、その傾向を認識していても、従来の物を作り大量に広告費をかけて認知を得るという取り組みを継続してしまったのです。
ーーー
日本は明治から欧米に対して追いつけ追い越せで、明確に目指す対象がありました。国民の特性か、答えがあるもの、形が見えるものに対して習得することに長けています。しかし、正解が見えなくなり創り出すことが求められる昨今、急に力を落とし始めています。
企業は未だに新入社員を一括で採用して、新人教育、そして配置と昔ながらの励行を繰り返します。戦略のギャップを埋めるために、イノベーションや過去はマーケティングと言っておきながらも採用戦略は普遍です。100人の新人を採用するのではなく、その投資額をIoTやAIのスキルを持つ人材に投資して10人の採用にするなど、ギャップを埋めるための行動と伴っていません。過去の考え方、労働組合の反対、変えることができない仕組み、戦略と切り離された人事部のKPIと、トップが口述する内容と現場の行動が一致しません。
世の中がこれだけ目まぐるしく動き変化していても、一度大企業に入った人材は、過去の学歴と数年間程度学習した僅かな知識を小出しにして変化しません。継続的に社会に変革を興すような学びと実践を行うということが極端に少ないのです。
業界は確実に変わります。ハードの電子化は、AIとIoTとクラウドと通信などのテクノロジーの融合になって自動化が標準になります。これまで当たり前のように人を介していた仕事が一新され業界構造が全く違う形になるでしょう。
そして追い打ちをかけるように我々の先は100年時代。60とか65で定年を迎えて80頃までと考えていた人生設計が崩れ、80からの20年をどうするのか。多くの人々が不安を抱え、蓄えている消費を更に冷え込ませる結果になっています。信長の頃は人生50年で捉えていましたが、その2倍。個人資産がどんどん膨れていく理由も、実際は不安で不安でしょうがなく消費をすることが怖いのだと思います。
このままのテクノロジーの深化を鑑みると2040年±5年前後でシンギュラリティがやってくるかもしれません。コンピューター>人間の時代です。仮に来なくても、多くの人間が行っていた仕事がコンピューターに代替されて、人は圧倒的な自由を手に入れる一方、圧倒的に暇な時間がありあまります。
2020年に生まれた人が今の延長の教育を受けて二十歳になった頃、昔の発想で仕事をしようとしても、そもそも人間が行う仕事は全てなくなっているかもしれません。国語算数理科社会ではないですが、昔と変わらない方針とカリキュラムで詰め込んで答えありきの学問に時間を費やすことに価値があるのでしょうか。
それよりも、コンピュータが比較的苦手な、先を創ること、考え出すこと、生み出すことにフォーカスしたトレーニングがもっともっと大切になると思います。これらは単に考え方といいましょうか。自分で考えて、自分で行動して、自分で楽しむ。人から与えられて、命令されて動くのではなく、自分が中心となってインプットとアウトプットを繰り返す。そんな教育が社会全体に求められるはずなのに、周りを見ても何の備えもない。
うーん、驚異的な未来がやってくるのは間違いないと考えてしまいます。
人事の方針
早嶋です。
日本は明治から欧米に対して追いつけ追い越せで、明確に目指す対象がありました。国民の特性か、答えがあるもの、形が見えるものに対して習得することに長けています。しかし、正解が見えなくなり創り出すことが求められる昨今、急に力を落とし始めています。
企業は未だに新入社員を一括で採用して、新人教育、そして配置と昔ながらの励行を繰り返します。戦略のギャップを埋めるために、イノベーションや過去はマーケティングと言っておきながらも採用戦略は普遍でした。100人の新人を採用し続けるというのは、戦略ギャップは埋めれません。例えば必要とされるIoTやAIのスキルを持つ人材にフォーカスして100人分の採用コストと人件費を10人の人材に集中しても、このような人材は10倍以上どころか100倍、1000倍の効果を企業に与える可能性があります。
言いたいことは、なぜ昔の通り、かわらず新人を採用し、一方で20年から25年も一緒に仕事をした同士や仲間を早期退職として切るのかが、合理的ではないと思うのです。一切企業の戦略を埋めるような人事戦略が取られていないと思います。理由も推測できます。過去の考え方、労働組合の反対、変えることができない仕組み、戦略と切り離された人事部のKPIがずれているのでしょう。そのためトップが口述する内容と現場の行動が一致しません。
世の中がこれだけ目まぐるしく動き変化していても、一度大企業に入った人材は、過去の学歴と数年間程度学習した僅かな知識を小出しにして変化しません。継続的に社会に変革を興すような学びと実践を行うということが極端に少ないのです。業界は確実に変わります。ハードの電子化は、AIとIoTとクラウドと通信などのテクノロジーの融合になって自動化が標準になります。これまで当たり前のように人を介していた仕事が一新され業界構造が全く違う形になるでしょう。
そして追い打ちをかけるように我々の先は100年時代。60とか65で定年を迎えて80頃までと考えていた人生設計が崩れ、80からの20年をどうするのか。多くの人々が不安を抱え、蓄えている消費を更に冷え込ませる結果になっています。信長の頃は人生50年で捉えていましたが、その2倍。個人資産がどんどん膨れていく理由も、実際は不安で不安でしょうがなく消費をすることが怖いのだと思います。
このままのテクノロジーの深化を鑑みると2040年±5年前後でシンギュラリティがやってくるかもしれません。コンピューター>人間の時代です。仮に来なくても、多くの人間が行っていた仕事がコンピューターに代替されて、人は圧倒的な自由を手に入れる一方、圧倒的に暇な時間がありあまります。
2020年に生まれた人が今の延長の教育を受けて二十歳になった頃、昔の発想で仕事をしようとしても、そもそも人間が行う仕事は全てなくなっているかもしれません。国語算数理科社会ではないですが、昔と変わらない方針とカリキュラムで詰め込んで答えありきの学問に時間を費やすことに価値があるのでしょうか。
それよりも、コンピュータが比較的苦手な、先を創ること、考え出すこと、生み出すことにフォーカスしたトレーニングがもっともっと大切になると思います。これらは単に考え方といいましょうか。自分で考えて、自分で行動して、自分で楽しむ。人から与えられて、命令されて動くのではなく、自分が中心となってインプットとアウトプットを繰り返す。そんな教育が社会全体に求められるはずなのに、周りを見ても何の備えもない。
うーん、驚異的な未来がやってくるのは間違いないと考えてしまいます。
指示待ち人間
早嶋です。
指示待ち人間とは、上司や上長からの指示通りに動き、特段何も無ければ行動を起こさない社員やスタッフのことを言います。一見、もともとその社員やスタッフがそのような姿になったと考えられますが、はじめから指示待ちは少ないかもしれません。
例えば、上司が部下の行動や作業に、いちいち細かいフィードバックをしていけば、部下は自分の行動に対して、合理的に考えずに、怒られてしまったと捉えるかもしれません。それが度重なると、せっかく自分で考えて動いても、最後は上司の一言でひっくり返され、無駄になってしまう。だったら、上司が言われる通りに行動したほうが得だ。という思考回路になります。
すると、はじめは自発的に自分から行動をして思考して動いていた部下も、最後には指示待ち人間になってしまうのです。
結局は、上司が部下とどのように接するのか?に対して、部下の行動は全て上司の鏡になっていると考えると良いのかもしれません。付かず離れずという距離感をどう保つか。マネジメントの難しさでもあり、楽しさでもあります。
ビジネスと美意識
原です。
成熟化していくこれからの時代、精神的な充実を求める声が一段と強まり、物質主義は後退するでしょう。
私は、今年の4月に地元が山崩れ災害に遇い、幼馴染や知人を失いました。お盆の3日間に心の安らぎを目的に夏の風物詩「風鈴」を飾る企画を実施しました。
おかげさまで、複数の新聞社からの取材依頼もあり、「鎮魂の風鈴」という内容で記事掲載を頂きました。更に、多くの方から災害に対する支援金や応援のメッセージを頂きました。
風鈴は、情緒ある夏の風物詩として知られていますが、現在のマンションなど都会で暮らす人が増え、風鈴を屋根の軒下に飾る風景は田舎のごく一部となっています。同時に、風鈴を購入する人も減り、風鈴職人や専門店が大幅に減少している状況です。
しかし、風鈴の音による涼しさへの連想という機能性だけでなく、「鎮魂の風鈴」、「お守り風鈴」、「魔除け風鈴」などの思いを込めれば共感力は高まり、夏以外でも購入者が増えるのではないかと考えます。
このように、機能性だけでなくデザイン性、更には思いを込めたストーリー性を追加することで、物や企画への共感力や価値は高まります。
ビジネスでは論理的に立案された経営戦略も必要ですが、企業のミッションやビジョン、商品などのコンセプトを知ることで、自分も企画に参加したい・商品を購入したいと思わせるような「真・善・美」がなければ、顧客の心を動かすことはできません。
人に共感してもらうには、自分も共感力を高めることが必要です。
共感力には、ストーリーや世界観が必要です。
機能性の差別化は、いつかは真似されるかもしれませんが、ストーリーや世界観は真似されない、その企業や人にしかない「強み」になります。
この強みを論理的に立案された戦略に追加することがブランドになるのではないでしょうか。
私は、以前、狂言を習うなど日本文化や伝統の美に興味は持っていましたが、この風鈴プロジェクトをきっかけに、再び、美意識にスイッチが入った気がします。
最近、私は日本庭園に興味を持ち、書籍を読み現物を見学し、実際に素人ながら庭園づくりに取り組んでいます。
目的は、美意識を鍛えることです。美的センスが向上しているかどうかは分かりませんが、美に対する意識は高まっていると実感しています。
私を含め誰もがアーティストになることは難しいでしょうが、常日頃、芸術作品や文学などを見たりするなどアートにふれるだけでも美意識は誰でも高まります。
美意識を鍛える習慣を実践していきましょう。
やる気充満企業の作り方
安藤です。
世界調査や人材コンサルティングを手掛ける米ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないことがわかりました。調査した139か国中132か国中と最下位クラスでした。また、企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達しました。(2017年5月26日)
問題なのは「不満をまき散らしている無気力な社員」の割合が24%と高く、周りに悪影響を及ぼしているということです。
そして、事故や製品の結果、顧客の喪失、職場風土の問題など会社にとって問題が起きる場合、多くはそういう人が関与している可能性が高いとういことです。
ギャラップは、下記の9つの項目に対して「仕事にやる気がある会社員」「仕事への意欲が低い会社員」で何が違うのかを調査しました。
・顧客評価(customer ratings)・利益性(profitability)・生産性(productivity)・離職率(turnover)
・安全に関する事故(safety incidents)・減損(盗品)(shrinkage<theft>)・欠勤(absenteeism)
・医療安全に関する事故(patient safety incidents)・製品・サービスの質(quality)
そして、調査で得られた「やる気度係数」によって、上位4分の1(やる気の高い会社員)と下位4分の1(やる気の低い会社員)を比較した際の、各9項目における差というものを報告しています。
それによると、9項目で明らかに優劣の差がみられました。
たとえばやる気の高い会社員は、やる気の低い会社員と比較したときに、顧客評価を約10%、利益性を22%、生産性を21%引き上げ、離職率、欠勤、安全に関する事故の減少、不良品といった項目に関しても大きく差が出たとのことです。
「やる気度」を高める施策は企業にとっても死活問題だと考えます。
ギャラップでは次の5つを提言しています。
(「The Worldwide Employee Engagement Crisis, A.Mann & J. Harter, GALLUP, January 7,2016」より)。
1.「やる気」対策を会社の人事戦略に組み込む
2.「やる気」を科学的に評価できる方法で測定する
3.会社が現在どこにいて、将来どこに向かおうかということを理解する
4.「やる気」をひとつの構成概念として見る
5.「やる気」をほかの業務優先と整合させる
“やる気” は目には見えませんが、リーダーのモチベーション力、個人のモチベーション力が「やる気の出る社風」をつくっています。社員の本音を漏れなく聴くことで “見える化” し「やる気度」を高める施策につなげ “エンゲージメント”を高めることが、これからの組織に必要なことだと考えます。
ダナン・ホイアン情報 2018年10月
早嶋です。
10月30日から11月2日、実質2日間でダナンとホイアンに弾丸視察。目的は、ダナン及びホイアンエリアのお土産需要と立地確認。その際の備忘録です。記述している情報は現地での感想や主観を含む。長文です。
◾ベトナム基礎情報
面積は約33万km2、日本の9割程度の大きさ。南北に長い。中国、ラオス、カンボジアと国境を接し、東側が東シナ海。首都はハノイ。宗教は仏教、カソリック、プロテスタントなどが主流でイスラムやヒンドゥーに加えて新興宗教のカオダイ教など。ただ習慣的にお寺に行く人が多く8割り程度が仏教。街中には線香をいたるところで焚き、花を添えた信仰が生活に根付いている(ダナンとホイアン)。
ベトナムの正式名称はベトナム社会主義共和国。したがい社会主義国。マルクスの主張通り、「資本主義は貧富の差を拡大する」ということから財産などは集権される仕組み。徴兵制をしく。現在、社会主義国は他に中国、キューバ、カンボジア、ラオスなどがある。
ベトナムは地理的条件から漁業と農業といった一次産業が盛ん。加えて現在では鉱業も栄えている。石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料に加えスズなどの金属を採取し海外に輸出している。輸出と輸入を見ると、縫製の材料や布地、機会部品、鉄鋼などを輸入し(2,110億ドル)、縫製製品、ケータイや部品、PCや電子部品、機械設備を輸出(2140億ドル)している。付加価値の低い一時品や軽工業品を輸入して付加価値の高い機械や設備などの資本財を輸入する貿易構造を取る。
◾生活事情
家庭にはキッチンが無い家が多く、屋台や食堂で食事を買い、自宅へ持ち帰り食べるスタイル。人件費が安いため自分で調理するとかえって高くつくらしい。近年これに加えて海外の出入りが盛んなため外食産業は実に多国籍で多種多様に栄えている。
平均の賃金は150〜200ドル/月。1食数十円から100円程度で食べることができる。娯楽はテレビ。特にサッカー観戦が好きなようだ。若者のファッションに費やす金額は3,000円〜5,000円/月程度。ケータイが1万円前後で、バイクは10万〜15万円程度。男性的4種の神器はWife,Children,Floors,wheelsと言われる。
◾経済成長
ベトナムは共産党の一党独裁。基本は財産管理を国営で行うことで貧富の差をなくす考えだが、1986年のドイモイ政策により自由主義経済を取り入れ、外資企業の経済参入を許容した。
90年後半より徐々に成果が出始め、GDPを経済成長率も着実に向上している。外資企業の参入は韓国を筆頭に日本、台湾、米国、ドイツ、フランスなどが相次いだ。
2000年に入ると中国リスクを懸念する企業が東南アジアに拠点を分散することで、チャイナプラスワンの筆頭にベトナムが上がり経済が更に加速。現在は50年の期限付きで土地やマンションなどの不動産を持つことが可能になり経済自由度が向上。
国策でIT産業を促進しているため成長は著しい。韓国を中心とした外資企業の進出に伴い、ベトナム人IT人材は質を上げている。また韓流の露出戦略が随所に見られ、TVやCMなどでその影響を若者に与えている。
現在、GDPは2,235億ドル、人口9,370万人、一人あたりGDPは2,385ドル。なお、平均年齢は28歳。統計ではまだ人口ボーナスの恩恵を受け、2040年頃までは成長が続くと思う。現在の成長率は6.81%(2007年からの平均でも6%台)で1995年の比較でおよそ10倍の経済規模になっている。
現地でコンサルをしている人曰く、2012年頃はまだ車がほとんど走っていなかった。ヒュンダイやフォードすらも無く、あってもどれも型落ちの車。今はベンツやレクサスなどもちらほら見かけるようになり、バイクも品質の高いものや大型クラスのものを見かけるようになったと。所得が上がっている証拠だろう。
通りのバイクと車
◾政治的特徴
政治的なリスクとして政府の権力が最強である。ダナンでは少ないようだが、何かの理由で警察に目を付けられることもあるとか(現地人談)。それから法律や規制が頻繁に変わる。
ちなみに2017年APECがダナンで開催され、そのために増員した警察官が過剰状態で、いたるところで交通や軽犯罪を取り締まっているため運転も穏やかで非常に安全だ。
◾通貨
単位はdog(ドン:VND)200VNDから500,000VNDの紙幣が流通しているようだが、5,000VND以下はあまり見ない。ホテルやレストラン、お土産店ではUSドルも併用されている。両替やATMが充実していて、クレジットカードもそこそこ使えるので不自由は無い。
◾ダナンの立地と気候
ダナンは、ハノイとホーチミンの中間に位置する都市でベトナムの主要な港湾都市。西側(ラオス側)が山に囲まれ、東側は南シナ海に面している。
ベトナム全体が高温多湿で熱帯モンスーン気候に属す。ただ南北に細長いためエリアによって気候がことなる。ダナンは9月から3月が雨季(今回は珍しくからりと晴れて涼しい)でオフシーズン、4月から8月が乾季で観光客が押し寄せるピークシーズン。10月と11月は特に台風があるが、来なければ今回のような過ごしやすい気候となる。1月と2月は日本の秋くらいの感じでやや肌寒いという。オフシーズンはホテル全体のレートが良く世界遺産巡りを楽しう場合は今からの時期がおすすめだ。
実際、今回はオフシーズンで観光客はまばらで、レストランも多くは閑散としている。気温は年間を通して平均が25度前後で10月、11月の今回はとてもラッキーだったか、涼しく晴れ間の雨季だった。通常のうきはシトシト雨ではなく、毎日1時間程度のスコールがありその後晴れる。
ダナン中心部に国際空港があり、市街までは3キロ程度とアクセスが非常に良い。東シナ海側はビーチリゾートとして人気があり、近年急速にその開発スピードが増している。ダナンからホイアンにかけて海側は、現在も多くのホテルやリゾート施設が建設中。ハイセンス、ラグジャリーなホテルやリゾート運営会社の投資が尋常ではない。
ベトナムでも人気のダナンは街並みは極めて清潔。ハノイとダナンを行き来している邦人曰く、ダナンは匂いがしないそうだ。2017年のAPEC効果もあり、歩道や道路が整備され、さらに安全になっている。街並みも急速に成長しているため道路の作りが広く計画的な作りになっている。ちなみに夜でも女性や若い人たちが街並みを歩いており、実際に街の中は危険な匂いはほとんどない。
観光スポットでもあるダナン大聖堂
ダナン中心にハン川が流れていて、その両サイドが観光エリア。海側と街側で若干の雰囲気が異なる。ここ10年程度で急速に街に投資が進み、ビジネス目的の在住外国人も増えており、不動産バブルが起こりつつある。ビーチサイドは、上述した通りダナンからホイアンに向けて、相当数の規模でホテル建設が進む。
ハン川
ダナンの位置づけはビーチリゾートとしての印象が強いが、ダナンを起点に古都ホイアン、ミーソン遺跡、フエの建造物郡、そして若干遠くなるがフォンニャ洞窟がある。ホイアンは40分程度、ミーソン遺跡は90分程度、フエは2時間程度なのでダナンを起点にビーチリゾート以外の観光も楽しめる立地条件だ。
◾交通事情
観光客の足はほぼタクシー。初乗りは10,000から15,000ドン(50円から80円程度)。従って遠くまで行っても気にならない金額。スマフォを使えるのであればGrabが使える。2018年3月にGrabがUberを買収したため、ベトナムでは圧倒的なシェアでほぼどこにいてもすぐに車を捕まえることができて便利だ。
ちなみにGrabをやってるドライバーもまだ半数は資本家が車を運転手に提供しているようだ。
空港から市内のホテルまで5万から7万ドン程度だった。
◾インバウンド事情
韓国籍の工場がダナンやその近郊に集積していることもあり、近年のアウトバウンドの外国人比率の内5割が韓国、1割強が中国、日本人は5%程度。韓国からは直行便が1日15便前後出ており、ピークシーズンは30便まで増える。
街中の外国人向けのレストランやお土産屋さんでは圧倒的にハングルが多く、通りを見ても多くの韓国人観光客で溢れている。ちなみに半数以上が団体旅行で、個人で旅行をする韓国籍はまだ少ない。
◾観光都市としてのダナン
近年、20代〜30代日本女子の二人旅、カップル、ファミリー層に人気が出ている。成田と関西から直行便が出たことも起因する。目的はまだビーチリゾートだが徐々にホイアンなどの世界遺産へ足を伸ばすようになり、ここ最近の日本人観光客はダナンからほぼ100%ホイアンに行っている(旅行会社談)。
旅行の基本パターンは3泊5日でダナンに滞在。日本や韓国からの飛行機は夜にダナンに着く便が多く、ダナンを出発する便は深夜便が多い。ダナンに基本連泊して近隣都市は日帰りで観光するのが最も多いパターン。現在、定期便に加えて年末年始、盆とGWは臨時便を出し、この時期は仙台、名古屋、福岡からも臨時直行便が出ている。安全な観光地でビーチと世界遺産のセットで老若男女から徐々に人気が出始めており、旅行会社もPRに力を入れている。
HISはワタベウェディングと協業でウェディングサロンをダナン支店に併設。ホイアンの途中、ダナンから15分程度の位置にある高級リゾート施設、ナマン(naman)リゾートで挙式を上げるプランを押している。
namanリゾート
2018年の第一四半期のダナンへの観光客は約170万人で前年同期比で35%増。内約82万人が外国観光客。細かい統計はわからないが、現地旅行会社曰くインバウンドの5割は韓国人。
ダナンは投資誘致に成功しており、企業の積極的な課題解決やインフラ整備などの展開を実施している。現在。ダナンへの直行便は31路線で1週間に270便の発着がある。
現地旅行会社の感覚では外国人観光客が訪れるベトナムのエリアとしてハノイが4割程度でダナンとホーチミンは同数程度まで伸びているということ。
◾ダナンのお土産
比較的安価な料金でのスパが充実しているため、最終日は空港に行く前にスパを楽しみ送迎してもらうというスタイルを多くのショップが提供している。スパの質はおしなべて高くない。
ダナンのお土産はチョコレートやコーヒーが主流。後はアジア雑貨がいろいろあるが、あまり心踊る商品は少ない。もともとベトナム自体の生活を支える小売が充実しているため、ナショナルブランドやチェーン展開をする企業の参入がまだ少ない。特にダナンは個人商店が並んでいる。通常は差別化をして皆工夫をするはずだが、そこは社会主義。同じような店で、同じような商品が乱立する。
中心地にハン市場とコン市場があり、多くの小売はそこから仕入れている。金額はどこのお店もさほど差がなく、路面店でも空港のショップでも同じような商品は金額にそんなに差がない。
ハン市場の写真
少し探せば、フランス人や日本人がオーナーで、感じの良い現地のお土産を開発しているが、今後の観光需要からするとまだ圧倒的に少ない。いわゆるダナンエリアに今後増えるであろう20代から30代の女性が期待するような商品が極めて少ない。
ダナンの空港の免税店もあまり商品がない。同じようなベトナム雑貨や特産品を扱う店が入っているが、特に心踊るものは無い。
◾観光地としてのホイアン
ダナンから車で40分程度の距離にある古都ホイアン。保存エリア一帯は、黄色い壁、赤い屋根、ブーゲンビリアの木々に覆われ、中国と一部日本の建築様式を残す街並みが広がる。
黄色の壁と茶色の屋根とブーゲンビリア
こちらはダナンと異なり、コンパクトな街並みに昔の景色と時間がつまっている。アジアの観光客はダナンに宿泊して日帰りでホイアンに行くが、欧米の観光客はホイアンに宿泊してのんびりと過ごしている。
朝から昼にかけては人通りが少なく、17時前後から一気に夕暮れの景色と雰囲気を楽しむ日帰り観光客がダナンから押し寄せてとても賑やかになる。古都にはノスタルジックな提灯が所狭しとぶら下がっており、街全体を幻想的な雰囲気にかえるのだ。ただ、このランタンの取り組みはかなり後付で、夜の雰囲気を彩る戦略としてダナンエリアを盛り上げるために考えられている。インスタ映えする景色が随所にあるので町おこしの成功事例として参考になる。
ナイトツアーは観光客が集中するため、夜ご飯難民がでるそうだ。旅行会社はレストランを確保したり、ミールクーポンを配布して予防するなど結構大変だ。知何に朝から夕方まではレストランもガラリとしてゆっくり過ごせる。多くの店でハッピーアワーとして10時から17時となっている。一瞬まじか?と思ったが、それほど昼と夕方以降の込具合が違うのだ。
◾ホイアンのお土産事情
上述の通り、多くはダナンから夜の雰囲気を見に来る目的が多い。保存エリアはレストランとお土産ショップが多く並んでいるが、やはり昔の名残で店ごとに代わり映えが市内商品が並ぶ。革製品やオーダーメードの洋服、雑貨などは目を引くが、なんとなくダサいものがあり、ちょっと工夫が必要だ。
が、数店はデザインや商品セレクトをこだわり、観光客で賑わっているところを見れば、こちらでのお土産需要に対応できていないお店が多いことがわかる。
◾ホイアンの歴史
16世紀頃より中国、日本、ポルトガルなどの各国と貿易が盛んになる。日本は鎖国政策を行う前までは、朱印船貿易を通じてホイアンとのつながりがあった。当時、ピークの時期には1,000人程の日本人がホイアンに住み日本人街が誕生している。ちなみに現在ダナンに住んでいる日本人が300人から400人程度なので、その2倍から3倍の人が400年前に住んでいたのだから驚きだ。
ホイアンのアイコンの一つで、2万ドン紙幣のモチーフにも使われている来遠橋(別名日本橋)は1593年に日本との友好関係を象徴してかけられたらしい。そう考えると、遠くから来たという重みを感じる。
日本橋
ホイアンの街並み
18世紀、タイソンの乱で街全体が全焼しているが後に再建される。19世紀に川の流れの変化から川幅が変化して港から街までの船舶の行き来ができにくくなる。また船舶が大型化して、貿易港がダナンに移った。
昔ながらの水路の景色
ホイアンはベトナム戦争の影響を免れベトナム政府は木造建築の景観と歴史を保存すべく日本に協力を要請して保護に至る。1992年ホイアンは世界遺産に登録され観光都市としての発展を遂げる。
◾その他現地ローカル情報
日本からの観光客も今は成田、関西からがほとんど。旅行会社は直行便を飛ばしたいが、ベトナムから福岡、名古屋、仙台が定期便を飛ばしても埋まらないので航空会社はまだ臨時便しか出したがらない。従って、日本の地方からの集客はまだ時間がかかる。
ホイアンやダナンはベトナムの中で特に治安が良い。スリが出て、街中総出で捕まえたなどの話を良く聴く。政府や市が観光の街として力を入れている成果もある。
ハノイは中国に接しているため、真面目で細かく、しっかりしている。昔から国境に面しているので、外国語も堪能で優秀な人材が多い。
一方南のホーチミンはルーズでゆるくフレンドリー。日本の沖縄のような感覚だそうだ。
ダナンは人柄も中間地点。経済的には田舎で、ベトナムの状況を知らない人が多い。性格は両方のいいとこ取りで仕事がしやすいそうだ。ハノイの金持ちがセミリタイアしてダナンに住むケースも多いという。
日経企業はベトナムの学生にとって人気が高い。第二外国語で日本語の選考が多く、近年は中学校から習い始め、高校では必須になるところもある。インターンでは日本語を上達させたいという学生が多く来る。外資系で人気な国は、日本、中国、韓国の順番。
地震はないのだろう。建物の基礎が細くて薄い。
街中は専門店が多く、大型の小売が少ない。また、ナショナルブランドやチェーン展開をする企業の出店もこれからだろう。
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