新規事業の旅その26 M&Aの勘所を押さえる

2022年11月8日 火曜日

早嶋です。

JMAA、一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会を2010年8月から仲間と立ち上げ運営している。中小企業のM&Aを行うアドバイザーの認知と育成、M&Aの認知と普及が目的だ。講座やセミナーでのターゲットは中小企業のM&Aに関与する方々だったが、ここ数年、大企業でM&A業務を担う方々の参加が増加している。Webで様々な教育機関を探しても見つからなかった、内容がフィットしないとの理由からだ。

考えてみると、企業においてファイナンスの担当やM&Aを積極的に業務として行う担当は1,000人以上の従業員規模でも数名いたら良いほうだ。そのため企業内での教育設置は難しくコストも合わなければ、そもそもノウハウも無い。企業内でOJTで教育しても断片的な知識と経験しか得られない。そしてとても時間がかるのだ。しかし、社外機関を探しても、M&Aのピンポイントの話を深ぼる講座は多数見つかるが、体系的な流れや考え方を整理する講座はJMAAの講座しかないのだ。その部分が評価されている。大企業のM&A担当者が全ての実務を行うことは無い。一方で、様々な役割の人間をまとめ、企業の戦略を満たすためには、個別の業務の流れや勘所を押さえておくことは重要なのだ。

他社が行っている教育は、買収前調査のDDに関して、有名弁護士事務所の有名先生がディープに話をする。有名監査法人の有名先生が企業価値算定の話をマニアックにする。等々、講師陣は超豪華メンバなのだが、全体の筋や流れが見えにくい。結局、自社でM&Aの部隊を立ち上げる際に何から初めたらよいのか、自分たちの手法や取り組み方は間違っていないのか、などの確認ができずに悶々としているのだ。ということでJMAAの講座のポジションは「体系的な流れが把握できる」になった。お役に立てて嬉しい限りだ。

アドバイザーの役割は全体の流れを把握して、勘所を押さえる。そして適宜、専門家をアサインして一緒にM&Aを実現する支援をすることだ。企業のM&A担当者も同様で、全ての業務を自分たちで行うことはない。かと言って、専門家に丸投げというわけにもいかない。あくまでも流れは抑えて置きながら、どのようなタイミングで、どのようなオプションがあり、誰にどのように依頼をすることで全体のコストを抑えつつ、リスクを一定程度抑え込み、目的を達成できるかを考えることが大切なのだ。その意味で、大企業のM&A担当者にとってアドバイザー向けの養成講座はフィットしているのだ。

新規事業の旅(その26) M&Aの勘所を押さえる
新規事業の旅(その25) キャズムを超えるまでのKPI
新規事業の旅(その24) 敵のコトを知りつくそう
新規事業の旅(その23) 道具の使い方
新規事業の旅(その22) 売ってから始まる事業
新規事業の旅(その21) 現場とトップのギャップ
新規事業の旅(その20) 自前主義の呪縛とイデオロギー
新規事業の旅(その19) モノからコトへ転身できない企業
新規事業の旅(その18) アンゾフ再び
新規事業の旅(その17) 既存事業の市場進出の場合
新規事業の旅(その16) キャズムを超える
新規事業の旅(その15) 偶然と必然
新規事業の旅(その14) 経営陣のチームビルディング
新規事業の旅(その13) ポジションに考える
新規事業の旅(その12) 山の登り方
新規事業の旅(その11) 未だメーカーと称す危険性
新規事業の旅(その10) NBとPB
新規事業の旅(その9) 採用
新規事業の旅(その8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(その7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(その6) 若手の教育
新規事業の旅(その5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(その4) M&Aの成功
新規事業の旅(その3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(その2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(その1) 旅のはじまり



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