新規事業の旅 その6

2022年6月15日 水曜日

早嶋です。

今回は、若手の教育についてです。新規事業の必要な企業は、通常以下のような状況下にあります。

(単独の企業の場合)
単体、もしくは複数の事業ポートフォリオの内、稼ぎ頭の事業が低迷している。あるいは近い将来に確実に成熟期から衰退期になると予測されている。

(グループ企業の場合)
親会社の事業が成熟期、あるいは衰退期に突入。従来、親会社からの仕事が100%だったがここ10年でその状況が変わる。そして2030年に向けて、DX、脱炭素、新規事業などを親会社が掲げ、その吸収を子会社でも行う必要が出てきた。

どちらの場合も、既存の稼ぎ頭の事業が低迷しており、将来がくらい。従い、成長をするためには、違うエリアや異なるビジネスモデルが必要と考えています。ただ、少し冷静に考えてみると、上記のような特徴の会社は、根本的な問題を抱えています。それは、既存の事業が出来上がる時、あるいは既存の稼ぎ頭の事業を立ち上げる経験を積んだ経営者や役員がいない、もしくは殆どいないことです。トップは、既存の事業が出来た後か、その事業が伸びる過程で事業に参画して業績を高めてきた人です。

いわゆる、10⇒100が得意な面々なのです。そのため組織全体で新規事業を行おう!と思っても誰が適任か分かりません。そこで、注目されるのが既存事業で最も成果を上げている30代、40代なのです。しかし、ここの理屈は思いっきり間違っています。既存事業で最も成果を上げている30代、40代は、今の経営陣以上に10⇒100を知っているわけでもありません。むしろここ5年、10年は100⇒110くらいが関の山で、何らかの工夫をして新しい取り組みを始めることが難しいのです。

そのため、30代、40代は、自分たちが創った事業において、将来実際にキャッシュフローを得る若手の教育が必要だ!と新規事業の取組に若手の教育をセットするように考えます。

自分毎として捉えた場合、半分正解です。確かに、自分が0⇒1を覚悟して行っても、その後、1⇒10をする過程で役者が必要になります。その時に、自分たちが最もチームとして長い期間仕事をする仲間を今から育てようとする発想なので、評価できるポイントですね。

一方で、企業によっては、0⇒1のアイデア創出やアイデアをカタチにする仕組み作りそのものを若手にアウトソースする発想の人もいます。ただ、ここは仕方ないですね。本来、新規事業の創造は、私はトップが責任とリソースをぶち込んで本気で取組んでも難しい仕事だと思っています。しかし、何となく2030年に今の利益を倍にしたいという語呂合わせは出しても、どの分野にどんな理屈で実現するのかという大きな方向性や軸は示しません。それを役員や執行役員に指示だけして、達成できると考えてしまっているのです。

当然、このようなことを役員や執行役員もどうしたらよいかわからない。そこで、既存の事業で成果を出している優秀な社員、つまり上述に相談して、プロジェクトをつくるのです。でも0⇒1は、当然にノウハウがあると言ってすぐにできることでもないし、何からはじめていいか分からないというなか時間と予算ばかりが無くなってしまいます。

従来の枠組みの中で実現してきた事業であれば、計画を先につくり、そのような取組で出来たでしょう。過去に行ったことを工夫して効率を上げると再現できる可能性が高かったからです。数字を逆算して、その数字を細分化する。そしてそれぞのれの部隊に指示を出せば、ある程度はその数字に近づけました。が、これは既存事業の発想です。

(成功している企業)
それでも成功している企業はあります。0⇒1を創る家庭を、自社で内製化する。外から持ってくる。その両方のアプローチをとっている企業です。0⇒1を創ることに関しても、誰がアイデアを持っており、誰がそのような定期性を持っているかわかんらないので、当初は、新規事業の必要性を全社員に示します。そして、少しづつ文化として社内で事業アイデアコンテストなどを行い、勢いをつけます。教育に対しても、選抜や全体など、手法を工夫して新規事業を議論するやり方や、他社の事例をインプットしていきます。

そして重要なことは、0⇒1は、いきなり成果は出ないし、それが直接新規に結びつく可能性も低い。そして何よりも試行錯誤の連続なので時間がかかる。という事を人事や経営陣で理解を示しておくことです。そ

このような畑つくりを行っている企業は、全社員が新規の重要性、今の既存事業がなぜ収益を生んでいるのか。それは先輩たちが昔、同じような苦労をしているからであり、今の自分たちの実力ではない。という理解がうまれます。そして皆が一様に新規のチャレンジをする中で、私は新規の取組が好きだとか、私は向いていないとか、力量や性格を理解します。結果、既存のチームは新規チームをフォロー、応援するようになり、新規チームは偉そうにプロジェクトを進める雰囲気がなくなります。

そして上手な企業は、自社の事業の延長や周辺、あるいは既存の事業の仕組みを変えて顧客に更に価値を与える方法を考えます。場合によっては、それに必要な資源を外に求める視点も持ち出します。これが、0⇒1を外からもってくる発想です。

(成功していない企業)
新規チームは、新規チームで事業を行い、全く違う発想で事業を捉え、全く異なる事業モデルを構築しようとする。結果、既存事業のシナジーなどはじめから考えないため、既存部隊の協力も得られにくくなる。そして、全く関連がないから、ただでさえ難しい新規の立上げが、永延とスタックしているかのようにすすまない。

そのため安易にM&Aだと発想になるが、昨今のこの状況。そもそも持ち込み案件が少ない。仮にあったとしても非常に高い。が、時間が経過しても成果を出せない新規事業チームは、全く既存事業とシナジーの無い関連の無い事業を非常に高額な価格で買ってしまう。そして、その事業をマネジメントできないことで、買ったときが時価総額が最高で、時間の経過と共に目減りをさせてしまうのだ。

(アイデア大会に若手を巻き込む)
成功している企業は、新規事業チームが考えたアイデアか、外部の資源に注目したベンチャーの資源化は別にして、その事業やアイデアをカタチにする際に、自社の既存の若手を巻き込みます。この場合の若手は30前後で、少なくとも事業部の特徴や顧客、競合や利害関係を大まかにイメージできる人たちです。

そして、仮にそのアイデアを実現するとしたら、「自社の資源を組合せることで、どのような事業シナジーを産み出すことができるか?」という方針の元、議論を重ねさせます。場合によっては、そのアイデアを仮に実現した場合の費用感と少し先の収益感をシミュレーションさせて、簡単なPLを作らせます。

そしてその内容を、経営陣に示して議論をさせます。最終的に事業をするか、あるいはそのベンチャーと協業を進めるかは、役員が決めますが、新たな取組に対しての議論に若手を加え、そのベースとなる資料やアイデアを若手を巻き込んでいるのです。そして、その際に、必要になる経験や知識や考え方を自社や他社を巻き込んで勉強会やワークショップ、メンター制度で支えています。

つまり、基本は教育の仕組みをOJTに重きを置き、不足する部分やもっとここを理解したいという部分を適宜カスタムメイドで対応できるOffJTを準備しながらチームを強化する取組です。

基本、0⇒1を創る作業は非常に難しいですが、既にある1を自社をかまして10にするためにはどうするか?という議論は中堅や大手企業の若手にとっては最も興奮する議論です。いろいろと真剣に考え、結果的に自分たちが理解していない会社の現況の仕組みにも首を突っ込むようになります。

私は、このような取組を複数社で支援させて頂いていますが、若手のチームも固定化するのではなく6か月から1年で次の若手に変えていくことを進めています。そのようなことをすることで、ある期間、既存事業の内製化と新たな事業を徹底的に考える経験を積むことができ、数年で若手の層と経営チームとの関係が良くなるのです。



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