早嶋です。
本レポートは、2014年3月27日、28日の間に現地で視察、現地でのビジネスパーソン等との情報交換をベースに記述している。私見を多く盛り込んでいる。
【ジョホールバル(JB)】
日本ではワールドカップで有名になったジョホールバル。人口は120万人程度。マレー半島の最南端でシンガポールの目と鼻の先。マレーシアでは2番めの都市の規模。ジョホール州のスルタン(イスラム世界における大様)はお金持ちで庶民に優しく、高速道路や州の施設はほぼ無料で市民に開放している。気さくな人柄でジョホールバルの市民からも人気がある。
タクシーの運転手さんは、とにかくスルタンのことを褒めていた。シンガポールと違ってお金を取らないのは全てスルタンのおかげと。JBの高級ホテルに良くコーヒーを飲みにいき、気軽に声をかけても挨拶がかえってくるというほど市民にやさしいそうだ。
【イスカンダル計画】
海外の不動産投資に熱狂している方は承知の計画。シンガポールの海峡の反対側、JBに巨大な都市を創る計画。マレーシア政府とJB州政府が積極的に手を取り合って開発を進めている。総投資額10兆円で現在の人口規模を120万人からやく3倍にあたる300万人の都市をつくろうという計画だ。果てしなく規模がでかい。
開発はまさに都市そのもの。170万人分の人口なので2020年前に福岡市よりも大きな都市をまるまる創る計画だ。不動産、商業施設、学校、企業誘致等々、都市機能まるごと開発。
【ボトルネック】
ボトルネックは2つある。一つは投資物件に対して誰が住むかという点。もう一つは、そこに住む人の仕事はあるかという点だ。
実際に目にした感想だが、イスカンダル計画は実態が伴っていない印象。マレーシアではクアラルンプールの不動産投資も加熱しているが見学に行く限り必ずそこに人の気配を感じた、つまり投資した不動産に人の活動が結びついていた。一方、JBの計画都市は、まだ完成ではないことを承知の上でも、中国を中心とする海外からの投機マネーが加熱しすぎた感じ。
多くの外国人投資家がこぞってJBのコンドミニアムや住宅などの不動産に投資をしている。その数既に10万人以上の投資家。彼らは不動産を取得してそれをそのまま賃貸に回して利回りと不動産価格のキャピタルゲインを狙っている。しかし、賃貸を誰がするかを考えた場合、いくつか懸念点がある。
シンガポールの富裕層の場合。そもそも賃貸することは無い。かれらも魅力を感じる場合は直接投資する。自分たちが住むとしたら、毎日の通勤に国境を超える時間だけで往復2時間から3時間かかる、これだけで富裕層が時間を無駄にしてまでもJBに済むメリットはない。更に彼らは元々、政府の住宅開発局から比較的安価に住宅を供給されている。ますますメリットを感じない。
シンガポールの中流層。こちらも考えにくい。JBの物件は主に高級コンドミニアムが中心に開発されている。従って不動産は決して安い買い物ではない。仮に新しくイスカンダル計画で建設された物件に住むかと言えば、今住んでいる物件を手放してまで済むメリットは少ない。
マレーシアの富裕層。考えにくい。投資案件としては数は少なくなったもののやはりクアラルンプールが魅力的。こちらは投資をした物件に実需がついてきている。JBの不動産はまだまだ実需が追いついていない。従って、彼らの多くは様子見というところだろう。
また、JBまでクアラルンプールから3時間の距離というのを考えても、所有物件としては購入しないだろう。では彼らが投資をするかというとやや疑問。クアラルンプールの富裕層はJBに一つ距離をおいている印象があった。
マレーシアの中流層。こちらも考えにくい。中流層が住むには若干投資金額が大きすぎる。更に彼らが購入したくても物件が海外からの投機マネーによって跳ね上がっているからだ。実際は買いたくても買えないと考えているだろう。
現在、開発の多くは商業施設と住宅関連施設。工場の誘致や企業の誘致は進んでいるようだが、これと行った企業が入る確定は少ない。オフィスビルの開発も進んでいるがそもそもJBで企業が定着する魅力やメリットが少ない。
【越境に要する時間】
シンガポール中心地からJBの中心地まで移動に90分から2時間程度の時間がかかる。その内、1時間は国境にかかっている橋の通過にかかる時間。チェックポイントではマレーシア側とシンガポール側のチェックをダブルで受ける必要がある。更に国境にかかっている橋が常に渋滞しているため車が流れない。国境を渡る手段な車、タクシー、バスなどがある。バスの場合は自分で歩いて乗り継いで手続きをする必要がある。タクシーやバスは車の中だけで手続きが完了する。がやはり時間と手間が掛かり過ぎる印象。
【JBからシンガポール双方のメリット】
JBの最低賃金は900リンギット程度。インドネシアからの移民の多くが清掃作業の仕事などでこの賃金を得ている。ファーストフード店などでは1000リンギットくらい。一方、同様の仕事をシンガポールで行うと3倍位の給料を貰える。そのため、この手の仕事に従事している人はJBから時間をかけてもシンガポールに渡って仕事をしている。
但し、シンガポールで花型の仕事ははやりファイナンス関係。この職種はJBには少なくそもそも、シンガポールで仕事をしていることになる。また、ファイナンス関連は元々高級なのでJBとの行き来をしてJBに住む人はいても未だ数は少ない。
シンガポールで政府関係者などは国の助成を受けた住宅に住むことができる。従って、彼らがJBに住むことは考えにくい。その他の高給取りも既にシンガポールに居を構えている。中流層に対してはJBからの通勤は視野に入れているところだろう。例えば、シンガポールの外れに位置する郊外の住宅で60m2程度のマンションでも3000万円から4000万円はする。
これに対してJBだと同等のマンションであれば1000万円から1500万円で購入できる。従って、既に多くのシンガポール人がJBにも住んでいる。またシンガポールで庭付きの家を持ちたい人はそもそも土地が無いのでNG。このような人もJBは魅力的だろう。
しかしイスカンダル計画が始まる前から既に上記の生活があるので、新たに住宅量を2倍、3倍と供給してもそうそう埋まらないと考えられる。また海外からの投機マネーが流れ込んでいるため、決して不動産価格が安くなっているわけではない。そうそう簡単に購入できる価格ではない。
【開発資本】
これは完全に主観になるが、韓国や中国資本が入っている地域には特徴がある。何となく洗練さがかけるということだ。JBの開発の多くが中国系、韓国系のデベロッパー。施工があらくデザインが今ひとつのところも多くある。特に、海辺のせっかくの景色が夜はなんとも言えないネオンで台無しになっている。まぁ、この感覚が好きな方々が投資をするのだろうから、これは完全に余計なお世話だ。
【実態との不一致】
イスカンダル計画を背景に、既に多くのコンドミニアム急ピッチで建設されている。2015年までに認可を受けると政府の支援を得れるという条件があるためだ。計画的に作られた街には人影がまばら。不動産の購入者はいても、実際には賃貸する人がいないという最悪の結末を迎えないと良いのだが。
仮に、完成後にその不動産に移住したとしても、その人がお金を稼ぐためのビジネスがJBにそもそもあるとは思えない。まだまだ企業の誘致が進んでいないから妥。実際、政府や躍起になって企業誘致を進めているが、その状況は不明。
都市の作りは学術期間の誘致などを見ると、別にリタイアした層にとって魅力的である街ではない。なので既にお金を持って余生を過ごす場所としての選択は考えにくい。新しい開発地はハード面が仮にあったとしてもソフト面が充実しないからだ。仮に、リタイア組を狙った開発だと言っても、多くは様子見をするでしょう。ということはここの層を増やすのは容易ではない。
かと言って、その人数が全てシンガポールで仕事をする口があるかと言えば疑問。元々ファイナンスで特化した国。ファイナンスの仕事は労働集約ではない。一部の優秀な人間が会社の多くの利益を稼ぎだすビジネス。そんなに仕事が増えるとは考えにくい。
シンガポールは既にあらゆるビジネスが細かくセグメント化され多くの企業がポジションを工夫して作り出している。つまり経済の伸びが今後急激にあるわけではなく、既に飽和し始めている証拠だ。
【JBのポジショニング】
そもそもイスカンダル計画の都市づくりのコンセプトは何か。広い意味での企業誘致を6つのカテゴリに分けて実施しえいるが、全てクアラルンプールやシンガポールにある都市と変わらない。つまり、ゼロから始める割には真っ向勝負していることになる。
世の中、他の地域も含めて企業誘致を大々的に行っている場所は他にもある。その中で、2番煎じ、3番煎じになっている印象。繰り返し書いているがシンガポールは圧倒的に金融や貿易に強い。安い人件費を提供するビジネスはJB以外にも多々ある。ITC等を考えてもそのビジネスを誘致すること事態が難しい。
レゴランドやキティランド、一部の学術機関があってもそれが起爆的な魅力に鳴るかと言えば疑問。クアラルンプールは、実際に生活の感覚があり、現地の人口が増え、所得が増えている。それを機会に外人投資家の高額物件であっても徐々に自分たちも購入するようになっている。従って実需が投資に追いついている。一方、JBは街を巡っても歩いてもその感覚が感じられない。
例えば、シンガポールが必要とする電力施設や逆浸透膜水工場の施設等を作り、シンガポールに安定供給する仕組みを充実する。あるはいその電力は他のマレーシア州に共有するなどのポジションをとったほうが、双方に対して優位な交渉力を身につけることができる。電力関連、水関連の施設を誘致して、電力と水が安定していた貿易やファイナンスの中心であるシンガポールに近い。となると一気に魅力を感じるようになる。それからその周辺に労働力を確保する街を作り、高級ではなく中流とかその以下が集まる住宅を提供して、サービス業のバックオフィス的な機能をまるごと誘致するというように、段階を踏まえた誘致があるとよいと感じた。
JB政府はマレーシア政府と対向している感じがある。そのため大きくイスカンダル計画を打ち出した。JB州政府の開発地域を見ていると、マレーシアが先行に行ったプトラジャヤの行政地区開発を思い出す。なんとなく、華やかな計画を打ち立て、途中で頓挫を繰り返すマレーシアの残念なパターンに鳴るのではないかと感じた。
勿論全くの失敗ということは無いでしょう。むしろ、ある程度の都市機能が根付いて来るでしょう。が投資家が言っているほど実態を伴ったものではないので賃貸物件がもたつく頃にどっとそのお金が引き始め、おもうようなリターンを上げれなくなると思います。
2014年3月 のアーカイブ
ジョホールバル
コカ・コーラの増税後の価格戦略
早嶋です。
コカ・コーラの増税後の価格戦略。チャンピオンとして極めて素晴らしい方式をとったと思います。あっぱれです。
清涼飲料業界大手の日本コカ・コーラグループが4月からの増税に対しての価格方針を2月27日に発表しました。
◯コカ・コーラやジョージア缶は自動販売機での価格を10円値上げ
◯爽健美茶や綾鷹などの無糖茶飲料は、現状の500ミリリットルを525ミリリットルに増量して150円から160円に値上げ
◯いろはすは価格を据え置く
上記を見れば基本は値上げの方針であることがわかります。
が、
◯コカ・コーラや缶コーヒーの小容量タイプを110円で新規導入して自販機での需要喚起に務める
◯電子マネー対応自動販売機は4月1日以降5円引きの値引きキャンペーンを実施
とあります。
これは流石業界のトップだなと思います。大手の飲料各社はチャンピオンのコカ・コーラの動きを今か今かと待っていたと思います。コカ・コーラの動きによって自社の値上げをするか否かを決定しなければ場合によって大きな損失を被るからです。そこに対して今回のコカ・コーラ社の動き。
まずは価格をあげます!と言っておいて最も売れ筋の商品は堂々と10円の値上げです。しかもこちらの販売は基本はコンビニなどの流通店での価格戦略です。元々、10円の価格感応度が低いコンビニでは値上げを実施。但し、若干容量を増やすなど値上げの理由を明確に提供しています。ここは小技が効いています。
一方、自動販売機では価格を据えおく戦略です。自動販売機は他の流通媒体よりも価格感応度が高い、ですから値上げによる売上現象のインパクトは大きいと考えたのでしょう。
しかし実際は自動販売機用に小容量タイプの缶を新たに導入するため、消費者からすると価格据え置きに見え、コカ・コーラからするとしっかりと値上げしていることになります。これは他の飲料会社の意表をついた戦略です。何故ならば、コカ・コーラ以外はこの方式をすぐに模倣出来ないからです。仮に模倣出来たとしてもかなりの時間を要するでしょう。これからコカ・コーラと同様の缶のサイズを製造することは不可能だからです。日本中の缶製造メーカーを探しても4月に間に合うように対応できる企業はそもそも存在しないでしょう。
小容量と発表していますが、きっと消費者にとっては認識しずらい程度の減量にとどめていると思います。従って増税後も価格据え置きとしか思わない。対して他社の取る選択肢です。コカ・コーラ社の缶が消費者の見た目上は価格据え置き。元々競争力が低い他社です。
値上げをすると、コカ・コーラに更に販売を取られてしまうとかんがえるでしょう。ということで、自動販売機での販売は価格据え置きを選択するしかない。そうなると他の飲料メーカーは実質的な値下げになります。すると確実に増税分の3%の利益を失うことになるのです。元々薄利多売の自動販売機ですから、この値下げによるインパクトは相当大きいでしょう。
更に、電子マネーの自動販売機はしばらく5%の値引きキャンペーンを実施するとあります。ここでも追い打ちをかけています。業界トップのコカ・コーラは自動販売機の電子マネー化も他社と比較して圧倒的に進んでいます。他社が真似したくてもそもそも自動販売機のハードが電子マネーに対応していない。従来とおりの小銭を入れる自動販売機は1円単位に対応していません。そう、ここにも対応するとなると10円単位で値下げをするしか方法がないのです。
小容量の対応といい、電子マネーで払った場合の5%キャッシュバックといい、2位以下を欺くかのように圧倒的な力を見せつけた戦略だと思います。
参照元:ロイター通信「消費増税時の自動販売機価格、コカ・コーラを10円値上げ」
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYEA1Q03Y20140227
アンバサダーマーケティング
早嶋です。
アンバサダーという言葉がマーケティングの世界に浸透している。元祖はロブ・フュジェッタ氏の著書、アンバサダー・マーケティングから来ている。サントリーのアンバサダー制度やネスレのアンバサダーなど、言葉は知らずとも、何となくその体験に触れていることでしょう。
例えば、企業の商品を熟知していて、熱烈なファンで、影響力があるヒトは、企業からお金をもらわなくとも、その商品の良さを周囲に発信していたでしょう。かつては、ロイヤルカスタマーという言葉やファンという言葉で語られていました。こちらとの違いは、企業が明確にPRの手段として活用することを目論んでいることです。
従来のロイヤルカスタマーやファンは、
◯リピート購買をする
◯浮気をしない
◯大量に買う
◯顧客を紹介してくれる
◯強烈にその商品を愛している
でした。
が、アンバサダーはこれに加えて、
◯商品に対しての正しい理解
◯周囲への盈虚力を持った人々
◯自ら発信力を持つ
と定義することが出来るでしょう。
ある時期、ステマ(ステルスマーケティング)という言葉が流行りステバレした企業は急激にロイヤリティが落ちて行きました。ステマとは、上記の定義の中で強烈にその商品を愛しているわけではないが、上記の一部を持った人々、特に周囲への発信力と影響力を持ったヒトに対して、企業が秘密裏にお金をまいて、宣伝をしてもらった手法です。
ですが、これがそもそも嫌われるというのがおかしな話ですよね。企業はありとあらゆる手法を浸かって広告をして、商品を買ってもらうように活動しているのですから。しかしきっとこの背景には、広告媒体がかつての4大媒体からWebやブログやSNSに移行していった背景があると思います。従来のテレビ、新聞、雑誌、ラジオは明らかに企業がお金を払っているということを前提に広告されていました。従って騙されている感覚はない。しかし、ブログやSNSやWebなどは、匠に消費者があたかも自分から自発的にPRしてくれているようにしている。が、実際はその発信者が多大な利益を得ている。というところに騙された感を持ち、ステバレした後に、急にロイヤリティが激減するのでしょう。
この背景には、日本がそもそも成熟して、皆の平均的な暮らしが徐々に低下していて、お金に対しての執着が実際はあるのに、頑張ってもリターンがないことであきらめている。という背景があるのではないでしょうか。従って、露骨に利益を得る人々に対しても嫌悪感を持つようになる。皆が成長していて、一定の仕事に対してそれ以上のリターンがあった時には、そのような嫌悪感はわかなかったと思います。
また、本当にその企業が好きで、金銭的な対価を得ないで活動していたヒトにとっては嬉しい限りです。彼ら彼女らは純粋にその商品が好きで、だからこそ勝手にファンを増やしてきたのですから。企業としては、そのような方々に対して経済的な価値を提供するのではなく、承認や評価、信用や信頼をあたえることで、つまりもっと社会的な価値を提供することで、彼らを組織化することができる。これがアンバサダーマーケティングのベースになります。
従って、企業としては、そもそも以下の素養がなければ、そのような強烈なアンバサダーは育たないことを理解すべきです。
つまり、
◯そもそも最高の商品だと顧客から認知されているものを持っている、或いは提供できること
◯更に、記憶に残る体験や感情の提供を日常的に継続的におこなえること
◯そして、悪意のない対応をして、社会的に意義のある活動に対するコストをケチらないこと
◯何よりもミッションオリエントな会社で、顧客に共感をもたれる組織体制であること
です。
上記のような企業は自然とロイヤリティが高まり、自然と発信したくなるのです。
意図的に一時的に単発的に見せかけのアンバサダー制度を浸かってWebやSNSやブログを騒がせても、結局は商品の購買につながらない。或いはつながっても継続的な売上に貢献しない。という結末になるでしょう。やはり、一発勝負の仕掛けは存在するものではなく、きっちりとした仕掛けを長年かけて創り、さらに状況に併せて対応している企業が結果的に顧客からも支持されるのでしょうね。
大企業における新規ビジネスと人材のギャップ
早嶋です。
国内では多くの大企業の主力ビジネスが成長後期から成熟期、あるいは衰退期に差し掛かっている。ライフサイクルの理屈で言うと、この時期のビジネスはシェアをとっていれば最も効果的に利益を生む仕組みです。従って、現在の収益を支える柱になっています。
しかし、当然ですが時間の経過とともに市場が徐々に縮小する、或いは全く異なるモデルに置き換えられ突然死を迎える、なども考えられる結末です。その場合、次のビジネスを早い段階で仕込まなければなりません。そのため多くの大企業が新規ビジネスの創出や新市場への進出を戦略の重要な打ち手に入れています。
が、適切な人がいません。
現在、旗振りをしている経営層の多くがゼロからのビジネス創出経験がないので、スピード感や泥臭さ、考えるよりも手を動かすと言った全く異なるスキルの重要性を感覚的に理解出来ていません。結果、不確実な市場に置いて正確性を求め、将来の不確かな市場に現在の主力ビジネスが成り立っている市場規模を求めます。いわゆる大企業のルールでゼロからのビジネスを創出しようとしています。従って、判断が出来ずに小資本の企業に先行者利益を奪われてしまいます。
要因は、人材の育成の仕方にもあります。大企業のメインストリームで仕事をしてきた人員の多くは企業の全体像に振れることなく細分化さた個々の役割を淡々とこなしてきました。このフェーズにおいて、そのような仕事を行う人材は優秀です。がフェーズが異なると求められる資質も異なります。新規ビジネス創出部隊に適応する要件、行動する、小さく始める、失敗から学ぶ、曖昧な状態でも進められるなどの資質がありません。
従って急に抜擢されても調査の段階で半年も1年も時間を費やしてしまい、アウトプットも分厚い紙の報告書にとどまります。スピード感や対応の感覚が余りにも違いすぎるのです。
その人材を輩出して計画的に育てる人事にも課題があります。本来は経営戦略に紐付いた採用、配置、転換、教育を行うべきですが、人事の方針は独立していることが多いのです。そして、毎回、何を基準に新人社員を採用して、何を基準に中途を採用しているのかも曖昧。中長期的な戦略の方向性に紐付いていない。従って、確かに優秀な社員がおおいのですが、これは成熟ビジネスの既に出来上がった土壌では活躍できる人材であっても、ゼロから攻めていくタイプの人材がほぼ確保されていません。
伝統的にそのような人材は数年で辞めてしまうので社内の流動性が高まるためはじめからリジェクトする、なんて暗黙があるのでしょう。
フレーミング
早嶋です。
大手製造メーカーで研修中、昼食を食堂で取りました。食堂のメニューは2種類。カレーライスとエビフライ。通常はエビフライが先に売り切れ、昼食の後半はカレーライスのみになるのに、今回はカレーが先に売り切れていました。
それもそのはず、エビフライ(バナメイエビ)と表記されていたからです。別に誤表示しているわけではないのに、あえてバナメイエビの文字。何となくですが、普通にエビフライと表記されていたほうが食欲が沸いてきます。
こちらの食堂、大手製造メーカーらしく、誤表示の事件後、あえて表示を追加しているようです。バナメイエビ。昔から食べていて皆知らなかっただけ。でもあえて表示されるとなんだかカレーが美味しく感じるのでしょう。
自己理解を通じて他者を受け入れる
早嶋です。
仕事を通じて
1)自分の考え方を理解している人
2)理解していない人
がいることに気が付きます。
1)の理解している人は、アイデア出し、議論などをしている場合。本人と異なった考えやアイデアがあった場合、闇雲に否定することはなく、一度受け止めてその違いを考えたり、その違いの背景をアイデアのオーナーに質問していきます。つまり、自分の考え方を知っているために他者との比較が相対的にできるのです。
一方、2)の理解していない人は、結構こまります。本人と異なった考えやアイデアがあった場合、怪訝な表情を浮かべ、全てを全否定する態度をとります。自分の考えを絶対的に判断して、断固受け入れない感情です。
もちろん、上記は極端に書きましたが、何事も立ち位置や現状を把握しておくことと知らないことでは大きな違いがでてきます。企業の戦略を立てるときでも自分の立ち位置が曖昧な組織は、明確なビジョンがあっても、達成するためのシナリオが不安定になります。現状とビジョンを結ぶ線は現状の把握がなければ不安定なものになるからです。
大切なことは、完璧に理解することは出来ないかもしれなが、自分の考え方や自分が出した結論やアイデアの背景、そのベースを知ろうとすることです。すると様々な要因によって考え方が作られて、その要因の変化によって自分の考えも変わっていくことがあることを知ります。考えは皆違うし、前提条件が異なれば異なった結論になる場合もある。とすると、仮に2人以上の人が議論をしていて食い違いがあった場合、何かの前提が異なったり、何かの解釈が異なっている場合があります。
多くの人は、そのようなことを考えること事態が面倒だし、無意識に過ごしているので考えることすらしないかもしれません。しかし、自己の考えを追求している人は、他者との違いに興味を示し、異なっていることを受け入れながら、それは本当に違うアイデアなのか?と意識的に思考します。これは重要です。
他人を理解することが100%できることとは思いませんが、そのスタートは自己理解だと感じます。自己を理解する過程で実は他者との違いに気がつく、実は自分以外の考えが存在していることに気が付きます。当然、そのような考えの存在をしると、今度は探究心がわいてきて、その考えに触れたい、知りたいとなるでしょう。つまり、他者の考えを真っ向から否定せずに、一度は受け入れて、自分の判断基準や前提を比較しながら違いを理解しようとするのです。
勿論、最終的には自分やチームが目指す方向性により近づく考えを受け入れて行動に移すでしょう。違いあることを理解することで、モノゴトがぐんと前に進むのです。
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