本ページは、西日本プラント工業の2023年度「リーダー研修」参加者向けのページです。
エネルギー業界の大変革が進む中、職場のリーダーが変革を促すことが不可欠です。本研修は、指導職2級1年目を対象に、経営に対する当事者意識を養成、御社の将来形成のために職場で何を変革するか、そのための行動は何かを考えます。
当日の研修参加までに、以下の動画を視聴ください。PWは別途事務局からの指示に従って下さい。
マネジメントの基礎 不確実への対応(約30分)
なお、本動画はマネジメントの基礎(全6本)シリーズの抜粋です。不確実な世の中へ、リーダーとしてどう対応するかのヒントとして視聴ください。
2023年6月 のアーカイブ
【動画】2023年度「リーダー研修」
新規事業の旅52 別の視点から見たイノベーションのジレンマ
早嶋です。
どんなに優良企業でも、新しい革新的な技術や製品やサービスを軽視してしまう。その市場は未だ実際に規模が小さく、自社のメインディッシュの事業規模からすると小さいからだ。既存事業の経営者に取って、自社技術や製品やサービスの延長上に無い新しい概念は常に判断の意思決定が難しいのだ。
ただ既存の事業はライフサイクルがあり、いつか滅びるために、企業戦略としては常に事業ポートフォリオの入れ替えを考えながら事業に投資する資源を配分することを考える必要がある。そのため一定規模の企業や複数の事業を持つ企業はイノベーションをキーワードとする組織を必ず自社内に配置する。始めは社長の肝いりで直轄の部隊においてあらゆるイノベーションを起こそうと躍起になる。が、そうそう簡単に生まれるべきものではなく、きがついたら各事業毎にイノベーションに関連する部隊が出来上がっている。
当然、皆サラリーマンなので、誰よりも早くイノベーションを生み出し、何らかの事業リターンを生み出したいものだ。本来は、オープンイノベーションが当たり前の世の中なので、自由に議論をする中でアイデアが生まれ試行錯誤しながらカタチになっていくものだ。が、細部でイノベーションに関する組織が展開されると、各々がコミュニケーションを取らず、一つの会社でも誰が何をしているのかがわからない状況が作り出させる。
例えば、国土の70%を森林に囲まれる日本は、近年、都市化の影響もあり山里あたりでは人が住む場所と鳥獣が住む場所の境目がなくなりつつある。その結果、鳥獣は街に出てきて食べ物を漁る結果となる。鳥獣被害だ。そして、この取り組みに対しては各市町村がバラバラに考え、バラバラにアイデアを試す。頻繁に出るアイデアは、鳥獣をジビエと捉えて、村の一部に食肉加工所を配置して有効活用する取り組みだ。
企業の中で、複数の事業があり、各々が自由に議論をし始め、その議論は一つの事業、あるいは一つの部の中でクローズされ情報を共有されない。そのため、同じ議論と同じ試みと同じ失敗が、同じ一つの会社の中で起きているのに、誰も共有して集約しようとしないのだ。全国で起きている鳥獣被害における対策と同じなのだ。
そして面白いのが、イノベーションはすぐに結果が出ないという事実を知って置きながら、その様な組織は頻繁に配置転換をするのだ。イノベーションへの取り組みをして3年程度でトップを変えていくのだ。組織的にナレッジや成功体験、失敗体験が共有されれば良いのだが、そもそもその取組が出来ていない。そこで、新たにやってきたマネジメントはわれこそはと、自分なりの取り組みをまた再びゼロベースで始めるのだ。
これも自治体の鳥獣対策に重なる。自治体の担当者も自分の行動に責任を持ちたくないため、基本的に記録しないし、共有しないのがさも当たり前になっている。毎回、配属が変わって2年か3年そこらで異動する。マネジメントも現場も誰もリーダーシップやオーナーシップが無い。更に、他エリアの事例を調べることも殆ど行わないので、時間が止まって何も進まない状態が30年以上経過してしまうのだ。
企業の場合は若干ましだが、組織をコロコロ変え、同じ様な組織を作り、その管理者やマネジメントをコロコロ変えるのでは日本の自治体と行っていることが同じなのだ。結果は100%出ない。
イノベーションと連呼して5年、10年経過した組織は、今こそ取り組みを集約して過去の検証をすべきではないだろうか。そして、本部にイノベーションの部隊を設置して情報を一元管理する。そこに務めるコアのメンバは固定で最低でも5年10年のスパンで取り組む。もちろん、マンネリ化を防ぐために、意図的に3年程度の周期で現場の血を入れ替えることはするが長く取り組み成果を出すイメージを持つのだ。
ポイントは、長期、集約、検証なのだ。
(過去の記事)
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実践「ジョブ理論」
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スイスの時計産業と歴史 ーその2ー
早嶋です。
(パリス・ダコスタ・ハヤシマと高級時計ブランド)
パリス・ダコスタ・ハヤシマ。スイスにはパテックフィリップやロレックス、パルミジャーノフルリエなど、綺羅星の如く輝く高級時計ブランドがひしめく。400年以上の歴史を持ち、実用と芸術の精緻な技術を磨き上げ、職人の手により受け継がれた。
マニュファクチュール。自社で時計の心臓部とも言われるムーブメントを開発製造するメーカーを称す。高級時計の特徴は、部品一つ一つの細部にまで工芸が加えられている点だ。金属の塊から時計の部品が削り出され、1つ1つ歯を付ける作業がある。歯車は軸の側面や先端まで徹底的に磨きをかけられ単なる部品以上の美を追求する。上述したパテックフィリップは「90度の直角を持たせない」というルールがある。機能を向上する意味もあるが、そのルールの9割以上は、より審美的な時計に仕上げるためだ。時計をオーバーホールするか、初期の組立工程に立ち会わない限り細部に宿る線刻や職人の技は見ることが出来ない。
この品質と拘りはスイス時計の強みであり、価格が想像絶する金額になる理由でもある。特にスイス高級時計のムーブメントの表面には無数の円を連ねた研磨装飾でもあるペルラージュや縞模様を施したコート・ド・ジュネーブ等を観察することができる。小さな部品でも伝統的な工法でこれらを施すには実に8時間もの工数が必要だ。
スイス時計のこだわりは時に狂気に思えるかもしれない。しかし部品一つひとつが金属から削られ、職人の手によって組み立てられているということは、過去の部品でも、将来製作される時計の部品でも、その全て再現できることを意味する。つまり、高級機械式時計は常にメンテナンスが可能で、部品単位の交換も基本的には可能な製品だ。そのため、今あなたが装着している時計も、子や孫の代でも価値が担保され動き続けるのだ。
我々パリス・ダコスタ・ハヤシマもスイスの職人達と議論を交わしながら、部品一つひとつに装飾を施し組み立てている。時計に詳しくなくても、その精緻な顔立ちは一瞬にして皆さんを虜にすることだろう。
(スイス時計産業)
高品質なスイス時計産業。雰囲気を感じたければジュネーブ市内で3月下旬から1週間にわたり開催されるウォッチズ&ワンダーズ・ジュネーブ(W&W)に行くと良い。世界的な国際時計の見本市でスイス地場のパテックフィリップやロレックス、リシュモングループなどが設立した財団法人によって運営される。
W&Wでは、世界中の時計ブランドが参加し、新作を中心に展示され、世界中のバイヤーやメディア関係者が4万人以上の規模で来場する。まさにビックイベントだ。もちろん一時計ファンでも来場でき、この時期は時計ファンのSNSの話題は常にW&Wでもちきりだ。この様な情報発信の場をつくるのもスイス時計の強みだろう。
スイス時計協会によれば2022年の同国の腕時計輸出額は前年比12%を超える236億スイスフラン(約3.54兆円)に達し、モデルによっては入手困難な状況が続き価格高騰の原因にもなっている。メディアではその高騰ぶりばかりに注目されるが、機械式時計の価格は、近年の高級メゾンが細部の美や仕上げに再び注力している証拠なのだ。ムーブメントの機構もこれまで類を見ない新しい発明が加えれれ、装飾や技工も手間と暇をかけた作品が増えている。まさに歯車一つから魂が宿っているが如くなのだ。
(土地の拘り)
かつては世界の時計生産の半数以上を占めたという都市、ラ・ショー・ド・フォン。時計製造業の都市計画として2009年に世界遺産にも登録された。建物を注意深く観察すると南東向きに統一された建物が多くあるのに気がつく。時計職人の工房だ。職人が作業をしやすいように極力自然光が当たるように工夫をされている。18世紀の末、大火事を経て時計製造に最適設計された街は今でも時計関連の企業や拠点や工場が乱立する。
スイス時計産業は16世紀のフランス、カトリックに弾圧されたプロテスタントがスイスに逃れることを起源とする。山間部で牧畜を営む傍ら、厳しい冬の副業として時計産業に従事したのだ。17世紀、スイス時計産業の父と呼ばれるダニエル・ジャンリシャールが時計産業の世界に分業の概念を導入した。そして、産業としての発展は急加速を見せる。
ラ・ショー・ド・フォンは国や自治体を挙げて時計産業を推し進めていったため、第二次世界大戦後にスイス時計が世界市場を席巻することになる。しかし70年代に日本製の時計が市場に普及し始め、安価で高精度のクオーツ時計が市場に流通する。機械式時計の右代表であるスイス時計産業は大打撃を受けたのだ。しかし1980年代から90年代にかけて伝統的な機械式時計をリブランディングする動きがはじまり、伝統と職人技と精緻な機械式時計が高級ブランドとして再び認識された。
我々パリス・ダコスタ・ハヤシマを含め、現在スイスには時計の完成品メーカーが50以上あり、時計産業集積の強みを持続するために、時計職人を育成する教育機関も充実している。時計王国の復活を戦略的に成し遂げているのだ。
スイス一体で毎年、新作モデルが発表される背景には、針、文字盤、インデックス、竜頭、バックル、ケース、ゼンマイ等、高級時計の部品を手掛ける専業企業の存在がある。およそ700社近くある関連企業によって、時計の水平分業体制が確立されている。我々も規模が小さいながらも高級時計メゾンとして一流の部品メーカーと取引をして、伝統的な装飾と工法、そして革新的な機械式ムーブメントのアイデアを日々談笑しながら我々が理想とする時計づくりを楽しんでいる。
更に、独立時計師という存在も高級時計業界に花を添える。彼ら彼女らは大手メーカーに属さず、高い技術力を生かして時計制作を請け負ってくれる。中には有名ブランドになるものも多く、我々の2号目モデルも製造組立をエマニュエル・ブーシェ氏とともに進めている。彼は独立メゾンの登竜門的なハリーウィンストンのOPUSプロジェクトでOPUS12を担当した時計師だ。我々のストーリーや想いに共感を頂いてもらい、仲間に加わってくれたのだ。
その1はこちら
新規事業の旅51 新規創造の3つの方向性
早嶋です。
一定の規模を持つ企業が新規事業を行う際、ゼロイチ、テ業務提携やマイノリティ出資、そしてM&Aの3つの手法がある。
そして資本政策を行う際は、1)ビジネスモデルを強化する出資もしくは投資、2)一定の分野を絞りロールアップする出資もしくは投資、3)顧客基盤や販売券を獲得する出資もしくは投資の3つの方向性がある。
上記は、どれが正解というものはない。自社の中長期の戦略や置かれた背景に即して、それぞれの手法を理解し、合せ技で行うのが良い。全ては戦略を実現する戦術なのだ。
1)ビジネスモデルを強化する出資もしくは投資
ゼロイチで事業を生み出す場合、殆どの場合がビジネスモデルがまだ確立していないか、不安定な状況になっている。どちらかと言えば先にプロダクトの開発をして、顧客や市場にフォーカスする動きが遅いからだ。また、ベータ版のプロダクトができるまでは利益を取らない先方といいながら、どの様なビジネスモデルにしようか思案中の状況の場合も多い。
その様な場合は、自社のビジネスモデルを強化する方向性での投資や出資先を探して、自社の事業とのシナジーを模索すると良い。
2)一定の分野を絞りロールアップする出資もしくは投資
一方で、その様な企業は既に既存の事業が成り立っており、一定のキャッシュフローが発生している。しかし、その事業は成熟か衰退を迎える局面であり良い状況とは言えない。
その様な場合は、既存の事業の顧客基盤を活用して更に伸ばす事業を開発し、あるいは出資先や投資先を伸ばす。自社の生産性を劇的に変える仕組みやノウハウにだ。このように既存の事業に対して周辺の事業を矢継ぎ早に結合していく手法はロールアップとも呼ばれる。
3)顧客基盤や販売券を獲得する出資もしくは投資
あるいは、事業によっては一部の市場や顧客層のみにリーチしている場合もある。国内の企業であれば九州、四国、本州、北海道等の明治時代の廃藩置県の名残を未だに残して商圏を確立している企業が多い。その場合は、顧客基盤を一気に増やす目的でM&Aや資本提携をしながら一気に売上を創るなどの方針は手堅く成功する。
既存の事業が将来のポートフォリオを不安視して新規を作る場合、ゼロイチをはじめて数年後にうまくいかず、M&Aを導入する。しかし同様にうまく行かない。そして提携や出資などの方法を知る。その間あっという間に10年の月日を経過することになる。この様な時間という最大の経営資源をロスしないために、この手のエリアは我々のようなその道のプロに相談して欲しい。
(過去の記事)
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新規事業の旅50 PBR1割れの衝撃
早嶋です。
株の話と共にPBR1を割る企業の記事が昨今多い。日本的に企業は、財務の安全性に力をいれながら、利益を出す体質を創り出すことが出来ずにいる証左なのだ。
(PBR)
PBRは、株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)で、企業が保有する資産の価値と現在の株価を比較する指標だ。数値が高いと資産を有効に活用している。つまり買い手からみると割高に見える。低いと資産の活用が少なく、買い手からみると割安にみえるのだ。
投資家は様々なパラメーターを確認して株式を売買して利ザヤを得るだろう。(もちろん長期的にその企業を信頼してリターンを得る発想もあるが、PBRが1を割っている時点で長期的な可能性はないとされている。その理屈は後述。)PBRもその指標の1つだ。株式相場が下落のとき、PBR1倍がその下限だ。一方で地銀などは構造的に成長が期待しにくい業種で常に1を割り続けている業界も多々ある。
算数で表すと、
PBR = 株価 / 1株純資産
= 時価総額 / 純資産
だ。
注意が必要なのは、これが1倍だから10倍だから、1倍を下回っているから「良い」だの「悪い」だのではないことだ。しかし上場企業の立場からすると致命的といえる。
PBR1倍割れの理由は、大きく2つに大別できる。1)株価が低いか、2)純資産が多いがだ。1)株価は、将来のキャッシュフローの現在価値の合計で表すことが可能なので、株価が低い企業は、利益を出せていないと解釈できる。2)純資産が多い企業は、財務の安全面では安心材料になる。リーマンやコロナなど、不安定な状況が起きても企業としての体力が担保され持続する余地があるからだ。しかし、企業の真骨頂は過去に保有した資産で食いつなぐことではなく、その資産を将来に投資しながらリターンを高めていく行動にこそある。
このように考えると、PBR1倍を割っている企業の問題は、単に利益を出せていないことが根本となる。資産が厚い企業は、それに準じた利益を出しさえすれば1倍は超えるのだ。ただ、繰り返すが、PBRが1を割っていること自体は会社にとって悪いことではない。基準は、あくまで投資家目線で見た時になる。つまり投資をしたが、投資した金額に見合った状態ではなく、利益は低く、投資額よりも低い状態が続いている状態に見えるのだ。そのため投資家は、投資した資金の使い道がなければ、株主に還元しなさいというのは自然な発想になる。そこで眠らせるよりはキャッシュを回収して他の発展する企業に再分配した方が富を築けると考えるのだ。
(コスモHD)
コスモHDが村上氏の社外取締役選任議案に反対している。村上氏がコスモHDを狙う理由は簡単で、企業そのものが解散価値に等しいからだ。
売上2.8兆に対して、
・営業利益1,600億円、
・純利益680億円、
・純資産6,600億円、
・時価総額3,800億円
だ。
純資産6,600億円に対して時価総額3,800億円でPBRは0.6倍。極端に言えば、株主目線からすると会社を辞めて今すぐ現金化した方が株主は大幅に得するのだ。村上氏が狙いをつけた理由はこれに他ならないと推測する。
2023年3月期決算短信 コスモエネルギーホールディングス株式会社
(大日本印刷)
大日本印刷は万年割安株とある意味ディスられている。PBR1割れが続いているのだ。そしき近年衝撃を受けたのが、企業の目標としてPBR1倍を目標にしたことだ。上述したように、企業として1倍を超えることは当たり前なのにだ。むしろ純資産が多いことよりも、将来の利益が望まれずに株価が下がっている。そう、全く将来を期待されていない会社と認識されてしまっている。
仮に、経営側がPLしか注視していないなら、活用されない資産が多くあることを理解できていないのだ。上述のように不安定な状況時は会社としてはメリットだ。しかし、長く続いても将来のキャッシュが生まれる兆しが無いから株価が低いのだ。それでも従来の事業を腰を据えて安全に運用したいのであれば外部投資家を締め出し頼らない選択での資本政策を考えればよいのだ。良い、悪いの話ではない。選択肢を間違っているのだ。つまり上場廃止すればよいのだ。実際、ベンチャー然りで上場することが成功と思う経営者も多いが、資金調達のための選択肢の一つに過ぎない。
(純資産を厚めにする日本企業)
純資産は超ざっくり言えば、今の清算価値に相当する。仮にこの瞬間に事業を辞めた場合、いくらキャッシュが残るかを金額で示す値だ。株主は、企業が事業を辞めた場合に、どのくらいの純資産相当を受け取る権利があるかを把握することができる。
仮に純資産が10億あるのに、時価総額が5億だったら、今すぐ事業を清算すると株主は10億受け取ることができる。それらのに株式の価値がバーゲンセール価格の50%になっているのだ。これがPBR0.5とか、1を割る状態なのだ。
金融当局は、この状況を打破したく、上場企業もよく理解すべきだ。現状PBR1割の企業は財務の安定に重きを置き過ぎているのだ。ただ、安定的な財務体制でも利益を稼げばよいのだが、それが稼げていない。その状況を継続させているのだ。嫌なら上場企業は上場廃止すべきだし、企業人としてもっと利益を稼ぐ行動に移すことが求められているのだ。
(過去の記事)
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今どきのリーダーとは?多様性の時代に求められるサーバントリーダーシップ
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回のテーマは「今どきのリーダーとは?多様性の時代に求められるサーバントリーダーシップ」です。変化の激しい時代、働き方も社員のニーズも多様化していますね。今の時代にふさわしいリーダーシップについて考えてみたいと思います。
さて、皆様は「リーダー」や「リーダーシップ」と聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか?私がこれまで会ってきたリーダーやリーダーシップというと、リーダーになる人はメンバーの中で最も成績優秀だった人(特に営業マン)、その人が強い力や意思でメンバーをグイグイ引っ張っていく、チームを1つにまとめ上げることがリーダーシップ、といったイメージです。芸能界の「○○軍団」みたいなイメージです。
しかし、冒頭に申したように、今の時代は多様化の時代と言われます。色々な価値観、考え方、特性を持つメンバーを一律で引っ張っていく、リーダーの経験値(成功体験)に基づき画一的にメンバーを指導していくのは無理があるように思います。ましてや精神論や気合で指導する、強権的な命令は、即座にパワハラや離職につながりかねません。
そこで近年、日本で注目されているのが「サーバントリーダーシップ」です。サーバントリーダーシップとは、これまでの「引っ張っていく」タイプのリーダーシップに対して、「奉仕型」のリーダーシップです。「奉仕型」とは、支援や動機づけ、権限委譲、働く環境を整えることで一緒に成果を出すリーダーシップのあり方です。つまりリーダーはメンバーのサポートに徹します。
サーバントリーダーシップができた背景を説明します。1970年、アメリカのロバート・K・グリーンリーフが提唱しました。当時のアメリカはベトナム戦争やウォーターゲート事件によるニクソン大統領の辞任など、社会が混迷していました。リーダーというものに対して不満や不信が渦巻いていました。そこでグリーンリーフは権力や物欲への執着からではなく、人々が望む素晴らしい社会実現のため高い倫理観や精神を持つ信頼感あるリーダーのあり方を考えました。奉仕(servant)こそが求められるリーダーシップの本質であると説きました。
グリーンリーフはサーバントリーダーシップの特徴を10あげています。
1. 傾聴:メンバーが望んでいることをまずは聴く。そして何をすればメンバーの役に立てるか考える
2. 共感:メンバーの立場に立って、その気持ちを理解する。決して上からではない
3. 癒し:一緒にいて元気になれる存在であること。メンバーが本来の力を発揮できるよう導く
4. 気づき:メンバーが見えていないところを伝え、気づきをうながす。本質を見る力が求められる
5. 納得:立場で強要するのではなく、話し合いによりメンバーの納得を引き出す
6. 概念化:夢、目標、ビジョン、コンセプトを語り、メンバーを感化する。同じ目標を目指す
7. 先見力:過去、現在から直感的に将来の姿を想定する。正しい方向を向く
8. スチュワードシップ:自分の手柄よりメンバーのメリットを考える。私利私欲→利他
9. 成長への関与:メンバーの成長を促すことに積極的に関与する。サポートや育成する
10. コミュニティづくり:信頼関係、協調関係を作り、働きやすい環境を作り出す
次回はサーバントリーダーシップについて、具体的な取り組みをご紹介しつつ、どうすればメンバー個々の特性や能力を引き出すことができるのかお伝えします。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
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