新規事業の旅34 複利の効果

2023年2月1日 水曜日

早嶋です。

新規事業と既存事業を並行して行うと、常に既存事業が優先される。理由はいくつかある。

・評価基準が既存事業になっている
・既に顧客が待っているため新規に時間を避けない
・そもそもスローガン程度で時間の配分がない
・今儲かる可能性が低い

ただ、企業のPPMを理解し、複数の事業を継続的に取り組んでいる経営者にとって、事業ポートフォリオを常にマネジメントすることは重大な仕事だ。ただ、自分たちがマネジメントから経営者になる頃までに新規事業の立ち上げを経験した役者がいなく、どうしても既存事業に資源を投入したほうが楽だと思っているかもしれない。

ポイントは、新規事業の時間と担当者を確保することだ。既存事業で数億以上の利益を出している企業であれば、数名は捻出できる。そして。3年程度のビジョンを毎週、経営者がプロジェクトリーダーとなり議論を続ける。その際の調査や詳細分析、資料集め、整理はその数名の担当者に任せる。しかし、大きな方針やビジョンが固まるまでのおよそ10回以上は、経営者がコミットして毎週のブレストを続ける。3ヶ月もすれば、骨子はできるだろう。その後、再度トップを交えて直近の半年の行動を決め、毎週、その行動をその数人の担当者に課すのだ。ここを担当者に丸投げすると平気で数ヶ月は調査といって机上で時間を過ごすことになる。

実際のベンチャーに会いにいってもらい、VCの人間と自社の方向性を確認させ、提携先の候補企業にアポ取りをさせ裏を取る等々。新規事業といえどもやることが盛り沢山だ。しかし多くの企業は行動しない。

要は、初動と行動と方向性が大事なのだ。その際に、中途半端に行うのではなく、毎日着実に新規の事業に近づく行動を取り続ける。半年、1年も経過すると立派な新規チームが出来上がり、経験がないので・・・・と平気で1年が過ぎてしまったなんてことはなくなる。動くば疑問がでて、疑問を潰すとまた新たな問が生まれる。その繰り返しをすると一定規模以上の社員レベルであれば必ず半年程度で人が変わり、ノウハウや経験もそれなりに蓄積できる。その程度のチームになれば、社長のコミットはゆるくしても良いのだ。

何事も毎日、そのことを続けるか、続けないか。要は複利の計算と一緒なのだ。

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