新規事業の旅その21 現場とトップのギャップ

2022年10月5日 水曜日

早嶋です。

新たな動きを初める企業において、現場とトップのギャップが在るなど耳にする。現場は昔ながらの取り組みを行い変革しない。トップは一方的な見解で方針を通達する。等々だ。

結論、現場が悪いというトップは以下の傾向を観察する。
1)方針を出すも説明不足
方針は戦略そのものであり、企業としては外部環境と内部環境を加味した上で議論して策定している。しかし受ける現場は、その流れや考えるための素地が不足しており、結果的に指示が降りてきたと理解する。なんとなく理解出来ても本来の意味が不明のまま、結果行動を変えるなどおこならい。

ここに関して、トップや経営陣が現場に出向いて何度も現状やこれまでのコトを議論して今後の方向性を示す企業もある。役員、管理職が既存の仕事や不毛な書類業務に時間を費やすのではなく現場と向き合いながら新たな行動をはじめるまで根気強く説明を繰り返すのだ。

いやいや私は行っている!という企業は、例えばトップの考えをこまめに社内報にまとめて伝えるなど努力しているのだが、それが伝わったのか?の確認ができていないのだ。近年は、現場を回りながら方針を説明し、適宜議論を繰り返す企業も観察できる。その様子を都度動画で取り、社内コミュニケーション部隊が適宜動画を編集して翌日の朝礼で現場含めて見れる状況を提供するなど工夫をしている。

2)行動につながらない、現場は考えていない!
上述の続きにもなるが、方針が見えたところで現場がすぐに動くと勘違いしている。成長期に現場の経験を得、成熟期に経営陣になった経営者に多く見られる。方針を伝えた時に現場が動けるのは、既に同じようなコトを繰り返した経験があるときのみだ。昨今のように大きな変更をする場合は、具体的な一歩を考えることができる人がいないのだ。現場のせいではなく、その取組について具体的にどうすると良いのか?をそのフォローまで行うことが大切だ。

言葉としては自分ごとなどがある。が、それも丸投げだ。現場も責任があり過去の流れや今の顧客を支えている自負が在るし、考えようと必死だ。しかし、トップからはいろいろな方針が聞こえ、自分たちでは無理だとなる。

解としては、小さなプロジェクトを作り3ヶ月程度で、トップがいう取り組みを現場と経営陣が一緒になって実験的な取り組みをすることだ。その状況を社内に広報を行いながら失敗事例や成功体験を都度共有していく。そして、その取組を社内に展開して、1年程度はやはり現場とトップがその取組について試行錯誤しながら失敗と成功を共有してトップが示す方針を実現するための具体的なフォローを行うことだ。

このテストマーケティング的な動きを現場とトップの双方がコミットして行うことで、互いの考えや現場の感覚が理解できて、双方のおかしなギャップは解除されるのだ。

3)現場を知らないKPIの通達
2)の取り組みを無視した場合、トップが示すゴールを達成するための無意味なKPIが机上のスタッフ部門で考え出され、ますます現場との距離が遠ざかっていく。

上述の通り、テストマーケを繰り返し、その小さな取り組みで結果目標に対しての通過目標をどのように設定するべきかを検討して、ここでも色々と試していくべきだ。特に通過目標の中でも肝となるKGIなどの設定は、いきなり正解を求める発想は捨てるべきなのだ。

現場とのテストを繰り返す中で、チューニングを行い、双方の声を重ね、大きな方向転換をするための指標の開発に資源を注がなければならない。

現場とトップは一定のギャップが在ることを前提に新たな策を打ち出し、考えることが肝だ。現場がトップに寄り添うなどはそもそも不可能だ。そのような役割はない。一方で、トップは方針だけを示せば現場が動けるという発想は捨てるべきだ。自分が行ったことも無いような取り組みを今後は現場を含めて行わないと成果はでない。それらを良く考えた場合、初期のヘーズは自分たちも汗水流して、テスト的な取り組みを行うことが必要なことがわかってくるだろう。

小さくはじめる最大の理由は、トップが現場や今の環境をリアルで体感することだ。そしてそのエッセンスをベースに、全社で展開するための考えや具体策を考え続け、修正を繰り返して方針の達成を迎えるという感覚をもつべきなのだ。

新規事業の旅(その22) 売ってから始まる事業
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