キャリアコンサルタント・ワーク・ライフ・バランスコンサルタント・CDWコ・ファシリテーターの安藤です。
今回のテーマは、「セルフ・キャリアドック制度活用で感じたこと」についてです。
「セルフ・キャリアドック制度」をご存じでしょうか?
「セルフ・キャリアドッグ」とは、「企業で働く人は、だれでも節目で、自分のキャリアについて専門家に相談することができる仕組み」の事です。国は、キャリア形成促進助成金を拡充し、セルフキャリアドックを導入した企業に、助成金が支給されます。 詳しくはこちらをどうぞご覧くださいませ。
→ http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
キャリアコンサルタントは、働いている方の悩みや迷い、今度の方向性などに関わり、一緒に考えていくことが役割です。また、相談者にとっては専門家が一緒に考えてくれる事で、自分の課題を客観的に見つめ、整理する事ができます。企業にとっては、社員のモティベーションアップ、スキルアップ、定着が期待できます。 労働人口が減っていく中、働く人が“イキイキ”とその人自身の力を発揮してもらうための仕組み。それが「セルフ・キャリアドック制度」です。
「セルフ・キャリアドッグ制度」を活用されている企業が増えており、最近特に、女性管理者のキャリアコンサルティングを担当する機会があります。女性管理者の悩みは、部下のやる気をどうあげたらいいか、指導しても言うとおりに動いてくれない、新規事業担当でどう進めたらいいのか、チームとしてまとまりがない等、山積みです。頭の中がぐちゃぐちゃで全然はかどらない!というのが共通点でした。
それは、「仕事が進まない」のは「頭の整理」がついていないからではないでしょうか。どんな仕事もスムーズに進めるためには、思考の整理が必要です。そこで、今回は、『思考の整理のキホン』の仕方のワークショップを開催することにしました。少人数体制で実施いたします。異業種の方々との“やり取り”は、違った視点の発見もあります。ご興味・ご関心のある方はぜひ、ご参加くださいませ。
9月のワークショップのテーマは、『どのように仕事の効率を上げるか「問題の整理』です。
リーダーとして業務を円滑に進めるために、現状何が問題で課題が何か整理をすることが必要です。そして、問題を解決するために理想的な状態と現実のギャップを埋めるには何をすべきか、それをチームとどう共有していくか方法についてのワークショップです。
1)現状と理想のギャップは何か
2)問題は何か
3) チームで取り扱う問題
●日時 2017年9月2日 (土) 11:00 ~ 13:00 ・ 9月30日(土)15:00 ~ 17:00
*上記のうちいずれか一つを選んでお申込くださいませ。
●対象:女性管理者・女性管理者候補
詳細・申し込みはこちらからお願い致します。→ http://www.biznavi.co.jp/seminar/1969
何かお困りのことがありましたら、㈱ビズ・ナビ&カンパニーへご相談くださいませ。
【個別相談】
「やる気がない部下への対応に困っています。どうしたらいいのでしょうか?」という相談がありました。まずは、どうしてその部下がやる気がないのかをヒアリングすることからです。その人自身の個人要因を把握することも管理者としての仕事です。価値観、性格、適正、その人を取り巻く環境について把握・理解することで個々に対応していくことをお勧めします。
2017年8月 のアーカイブ
「セルフ・キャリアドッグ制度活用で感じたこと」
鳥貴族の戦略
早嶋です。
全品280円均一でデフレ時代の代表選手である鳥貴族が値上げ宣言をした。デフレ環境下で28年間、280円を貫いた同社は苦渋の決断を行ったようだ。鳥貴族は1986年9月に設立、1号店は設立前の1985年に出店している。それから焼き鳥、鳥貴族の単一業態で全メニュー280円均一というビジネスモデルで成長を遂げて来た。
単一業態なので食材調達のスケールメリットが得られる。更に、オペレーションが簡素化されるたローコストオペレーションが可能だ。鳥貴族のこだわりは、同社のWebサイトによると4つある。国産材料、ボリューム(一串90グラムで通常の2倍から3倍)、各店舗で串打ちと仕込みを行う(つまり、セントラルキッチンを持たない)、テーブル席やボックス席だ。
1号店から10年間くらいは低迷していたが、1997年頃よりジワリと成長をはじめ2008年に100店舗超え、2011年に200店舗、2013年に300店舗、2015年に400店舗、2017年に500店舗を超える勢いだ。立地戦略としては繁華街への出店を狙い、特に首都圏、京阪神、中京地区に集中して展開している。
分析すると、大都市圏の繁華街にドミナント出店を行い、地下や中空店舗でテナント料を抑え、ワタミの近くに出店することでマーケティングコストを抑えている事が分かる。
2016年度の国内居酒屋の売上高ランキングを見てみると、モンテローザが1,341億の2009店舗、チムニーが707億の747店舗、大庄が656億の723店舗、ワタミが480億の479店舗、鳥貴族が387億の515店舗となっている。しかし上位4業態は複合ブランドで鳥貴族のみが単一ブランドだ。つまり、このビジネスモデルはこれまで誰も成功するとは思わなかった業態だ。
鳥貴族は、毎日店舗での仕込みを行うため、凡そ5時間、串打ち作業と仕込みを黙々と続けている。それは逆に言えばランチ営業の機会ロスを生んでいると捉えることも出来る。17時以降の飲みニケーションに集中しているため他の顧客層になかなか展開できない。というような課題感を抽出できる。
鳥貴族は現在、2000店舗までの出店を公言してる。しかし単一業態では、マクドナルドが2900店舗、次いでモスフードが1392店舗、スターバックスが1260店舗、BR31が1179店舗、ミスタードーナッツが1165店舗、ケンタッキーが1149店舗、松屋が1073店舗、サイゼリアが1028店舗を見ると、実際単一店舗での展開は1500店舗が限界なのではにか?とも考えられる。
そこで方向性としては、串打ちをセントラルキッチンで行い効率化をはかること。他の鶏肉の料理を増やすこと、これは唐揚げや網焼きなど。セントラルキッチンを導入するとロボットの活用で更に効率を上げることもできるし、店舗の空き時間にランチ営業が可能になる。或いは鳥貴族のノウハウを他の業態に展開して、牛貴族、豚貴族等の展開で違った客層にリーチすることもできる。
しかし、鳥貴族の戦略はぶれないで価格を298円に値上げしたのみ。ちなみにマーケットの反応は好感で10%の値上げに。まぁ、個人投資家は値上げが好きだから何ともいえない。さて、この戦略、どうなるか注目です。
ターゲットが曖昧
早嶋です。
ラポッシュはベビー服のレンタルサービスを開始した。国内の製造工場に製造を委託して、同社は肌触りなどの品質にこだわった商品を展開するようだ。金額は月額9,800円で、ポロシャツやスカートなど毎月4品をレンタルするそうだ。
違和感を覚えた。チャンスとしては、子供服は成長が早くて過ぎにサイズ感が小さくなることから購入するのに躊躇いを覚える消費者をターゲットとしている。が、同サービスを考えると1着2,500円相当、しかもレンタル。ノーブランドであれば程よい品質は十分に購入できる金額だ。かりにサイズ感や品質以外を求めるとしたら親が抱くブランドイメージが重要になる。子供服は子供が買うわけではなく、親のエゴでの購入だからだ。
ボンポワーやプチバトーやラルフ・ローレン、国内だとミキハウスやファミリア。月額1万円を出せる層は、ノンブランドで満足するだろうか?
同社は、徐々に製造委託先を広げるようだが、需要の見積と金額感から合わないと思う。廉価版の月額5,800円ではブラウスやワンピなどのジャンル指定はできるがデザインや色の指定が出来ないという。誰が頼むのだろうか?子供の服を気にする層は、色の組み合わせや、兄弟でのコーディネート、親とのコーディネートまでを考慮する。そもそも、そのような楽しみをしない層は、5,000円も払わないだろう。
ウーバーの世代交代
早嶋です。
ウーバーのドタバタ劇に対して一区切りがついた。空席となっていたCEO(最高経営責任者)にエクスペディアのCEOのダラ・コスロシャヒ氏に決定した。当初は、GEのジェフ・イメルト氏が有望だったようだがこの週末で一気にカタがついたようだ。同氏は、2005年よりエクスペディアを率いておりグローバル展開をすすめた立役者だ。また報酬も約100億円とされ世界的に知名度のある経営者の1人だ。今後、どのように舵取りをするのか注目だ。
そんなウーバーはいくつも問題を抱えている。創業者のトラビス・カラニックはCEO辞任後も取締役として残り、依然として株式の16%、つまり議決権の16%を有している。80カ国以上進出し、12,000人以上を雇用するウーバーの取扱高は2016年で約2兆円。企業価値は7兆円を超え非上場企業としては世界最大だ。一方、各地域で当局と衝突を繰り返していて、グーグルからは自動運転の知的財産を巡って訴えられている。それだけ社会に大きなインパクトを与えている企業だ。実際、ウーバーのようなビジネスモデルを他の業界に転用したビジネスが次々に生まれている。
一方で、事業は未だに赤字。更に、CFO(最高財務責任者)も空席のまま。株式基盤の安定のために新たに資金調達を狙っているようだが、それだけでは解決されない課題が山積みだ。トラビス氏の経営スタイルを見直し、人事制度を整え、黒字転換を目指す。更にこじれている各国の政府との関係構築や関係改善も急務だ。更に、ウーバーはテクノロジーを駆使して、ウーバーのドライバーそのものを自動化する企てもあることから、今後は運転手とも関係が悪化する可能性があるなど中々一筋縄ではいかない。
ダンボールと景気指標
早嶋です。
日本の景気動向は、ダンボールの動きからもわかる。日経新聞の月曜経済観測はレンゴー会長兼社長の大坪氏だ。2007年頃よりスマートデバイスの普及が始まり、真のネット社会が到来したと思う。特に、日常的な消費にネット通販の影響は大きく、従い、ダンボールの消費も伸びている。
2016年の国内ダンボール生産は2007年に記録した139億6600万平方メートルに迫るというニュースが去年あった。そして、同記事から2017年のダンボール需要は141億平方メートルに達するようだ。史上最高の値になる。
景気を予測する指標には色々ある。建機の販売動向は今後の建築需要を予測するものとして捉えている。経験的に凡そ1から2年遅行して景気に乗ってくる。バルク船に代表する海運の積荷の情報も重要だ。また、海運の相場も今後の景気を予測するのにちょうど良い。今回、レンゴーの大坪氏の話によって、ダンボールもその指標として取り入れると良いと感じた。
アマゾンと小売業
早嶋です。
ネットとリアルの融合が進んでいる。アマゾンとホールフーズ。そして今度はウォルマートとグーグルだ。両者はネット販売事業で提携した。人工知能搭載のスピーカーを軸に注文を簡単にする仕組みだ。この動き、先行はアマゾンだ。アマゾンもAIを搭載したスピーカー、エコーを2014年に発売している。音声でネットにアクセスする事業を切り開いたことになる。
ウォルマートからすると、アマゾンを経由して注文されると自社の売上を取られることになる。配送センターや他の稼働率が下がることは死活問題だ。一方グーグルも2013年にグーグルエクスプレスを開始しており先行的に試行錯誤を続けている。
今回の提携で、音声でグーグル経由で注文した商品が全米4700箇所にあるウォルマートの店舗で受け取れる、或いは配送がいく仕組みを構築する。ホールフーズは米国で300店舗なので流通網としてはウォルマートが遥かに巨大だ。
しかしアマゾンが流通業における影響はアマゾンエフェクトと称され、大きなインパクトを与えている。今回のウォルマートも大きな打撃を得ていた。この動きは、日本にもやって来るだろうが、リアルの店舗とWebと物流のインフラを抑える企業が最終的には牛耳ることになる。
日本におけるアマゾンはヤマトの問題で、著しく配送のラスト一マイルが遅れている。自前で物流網を構築しようとしているが強気のビジネスが痛手になった形だ。対抗馬はヨドバシか。ヨドバシは早い時期から物流の投資を続け、今では店舗の近隣エリアに関しては独自の物流でその日中の配送を実現している。今後。ヨドバシがこの仕組を他の同業他社に提供してインフラカンパニーとなれば、日本の流通ビジネスはヨドバシに運気が来るかもしれない。
イスラエルの文化とスタートアップ
早嶋です。
本日は向研会。テーマはイスラエルの活用法。その中で、何故イスラエルがここまで大きなビジネス、特にIT関連のスタートアップを数多く世界的に輩出しているかを理解するきっかけになった。最も大きいのは戦争が隣り合わせで、それにヘッジするために国を上げて、特に軍隊が中心となりIT、特にセキュリティ関連の強化を行っていることが背景にある。
基本的なイスラエルの教育は次のとおりだ。プログラミングの教育は10歳前後からスタートする。そして12歳からソフトウェア開発やサイバーセキュリティの教育が開始されます。15歳までに義務教育として当たり前に学び、その後は選択制に。この選択も明確で、ビジネスに進むか、プログラマーになるかの選択です。仮にプログラム再度に進学した生徒は18歳までには、世界でも渡り合えるレベルのITのスキルを身につけることが出来ます。
イスラエルは徴兵制があり、男子は3年、女子は1年です。この3年間で多くはプログラミングの技術を更に徹底的に学びます。基本、イスラエルにはミサイルが飛んでくる(らしいです。)、それをITテクノロジーでヘッジするためには軍隊がITのプロになる必要があるのです。そこで現在は徴兵のメインはITのプロを徹底して増産することです。これによって国のセキュリティを守るという思想です。
従って軍の徴兵制を終えた人は仕事につかずに、22歳から23歳程度で、一緒に学んだ仲間とチームを作りITで起業をすることが当たり前になっているようです。しかもこの徴兵制で学んだ技術は部署毎に専門があり、そのチームは今後の同窓会となりネットワークが脈々と増える仕組みになっています。
イスラエルの文化的な背景に誰もが問題を楽しむ傾向があります。家族を大切にするイスラエルは常に政治やちょっとした問題まで皆で議論して徹底的に解決策を考えるのが日常にしみていると言います。更に常に本音で建前なし。何かあったら即行動。そして解決策の方向性は常に技術で。もし、何かにチャレンジして失敗すると、それはプラスとして加点されるのです。
これはイスラエルの現状と絡んでいます。徴兵を終えた国民は有事の際は、5時間以内に戦地に赴くことになっています。従って、皆一日一生の考えが定着していて、いつ死んでも悔いが内容に、問題や出来ることはその日のうちに片付けてしまう。そういう背景が開発にスピードに拍車をかけているのでしょう。
顧客のニーズではなく、行動に注目する
早嶋です。
マーケティングにおいて、結局のところ顧客のことは顧客に聞くのが最も手っ取り早いが、一方で、そこには落とし穴がある。商品の満足度や改善意見を聞く時に私が心がけることは、顧客の改善意見に耳を傾けることではなく、行動や認識した内容などの事実に着目することだ。
例えば、あるクライアントのコンセプトを体現するツールのフィードバックをユーザーを交えて行っていた。顧客いわく、「この商品のイメージだったらもっとおとなしい感じが合うと思う。」「こちらのユーザーガイドはカラーで表現したほうがより分かりやすくなると思う。」等々。これらは明らかに事実ではなく、顧客の改善意見なので全てを鵜呑みにすると企業の存在意義そのものが疑問だ。
事実とは、例えば、「サービスセンターに連絡したことがあるか?」についての答えとか、「電話対応が冗長でたらい回しにされた」というような実際の顧客の行動に対しての感想だ。従って、グループインタビューや定性調査で着目する場合、将来に対しての希望ではなく、過去から現在において顧客が実際に行動を伴った結果、何が起きたか?に着目することだ。
クライアントの多くは、顧客のニーズや願望を聞き出すことに重きを置いていた。そして、極端な企業は、その内容を鵜呑みにして企画や開発をすすめていた。実際、先の顧客の事例でユーザーガイドをカラーにしている例もあった。一見、顧客の意見は正しいと感じるだろうが、しかし顧客に正解を求めるのは企業としていかがなものか。もし、この手法でヒット商品が続出すると、それはそれで簡単だ。
が、実際はそう甘くはない。事実、複数の収益性分析や優良顧客調査の結果とユーザーガイドの変更は何の相関性も見いだせなかった。コストはかけたが、その効果は無かったのだ。
昨今、Webやテクノロジーの進化により、情報が溢れている。結果、ユーザーも多様化し、企業が抱えている課題も複雑さを増す。それに対して顧客の意見に頼り、差別化や独自性を出すというのはどうも筋が通らない。従って、企業はこれまで以上に顧客の意見から顧客の行動、そこから見いだせる結果、事実データを整理した高猿に力を注ぐ必要があると思う。
人間は大いにして、自分の考えを正しく言語化することに慣れていない。仮に出来ても、ちょっとした前後の感情やイベントによってその内容がコロコロ変わる。もし言語化できたとしても、その通り行動するとは限らない。これらは近年の行動経済学で如実に、そして次々に証明されている。
た追えば、急に、「いま何が一番欲しいですか?」とか、「何を一番食べたいですか?」とか、「どこにいきたいですか?」などと問われてしまっても、答えに窮すると思う。また、「なんで、その商品を手に取ったのですか?」などと聞かれても、その理由を正しく解釈し、正しく相手に伝えるコミュニケーション能力を持つ顧客はかなり少ないだろう。
人間はそもそも自分の行動や動機を常に言葉で認識しているわけではないから、短刀直入に聞かれても困るのだ。従って、マーケターはこれを理解し、顧客に意見を直接聴く手法や、他の代替的な手段も合わせて分析することを念頭に行動した方が良い。
有名な事例がある。「このサイトは、支払い手数料が不明で見つけにくい。わざと隠しているのではないか?」とか、「使用方法を動画で説明して欲しい」などの発言がある。実際、この手のニーズを解消してみても、Webサイトからの売上が変化することは稀だ。「送料は分かったけど、商品が探しにくい」とか、「分かり易いが商品が高いからこのサイトでは買わない」という結果になるのがオチだ。
結局は、上手く言葉にできても、その言葉通り顧客は行動しないのだ。実際は想定していた予算と大きく商品の値段が異なり、買いたいけど手がでないのだ。しかし、それを表現するのは、なんとなく恥ずかしいと思うのだろう。逆に、正当化するために、上記のようなことを言語化しているのだ。動画でという発言も、自分の理解力の低さを露呈することになるので、それに対しての抵抗ということも考える事ができる。しかも、そのような発言を意図的に行ったか否かは本人にもわからないといのだ。
従って、ここではニーズとして取るのではなく、単に、「取引しなかった」「情報が理解できなかった」という事実として受け止めることが正解だ。
ある書籍で読んだ内容だ。マーケターがスーパーの入り口で顧客に対してランダムに「今日は何を買いますか?」と問い、答えた内容と実際に購買した内容を比較する調査を行った。結果、3割以下しか事前に告知した商品と合致していなかったのだ。顧客はスーパーを徘徊し、物色するうちに、アレヤコレヤと思考して、或いは無意識に商品を手にとってカゴに入れているのだ。
定性的な調査を行う場合は、顧客のニーズや将来の要望について、耳を傾けるのではなく、あくまで行動の結果やそこで感じた事実にフォーカスする。理由は顧客は案外と言語化できないし、仮に言語化できても、その内容と行動が伴わないことがしばしばあるからだ。
基本的なことを当たり前に行う
早嶋です。
クライアント先で複数のコンサルが集まる会議に参加した。その際に、私がファシリテーションを行うようにクライアントから依頼があった。実際、そのワークショップは、これまで惰性で取り組んでいたプロジェクトをゼロベースで見直し、1)大きなビジョンを再度共有する、2)その後、ファーストステップでどこまでテストマーケティングを行うかを決める、というのが大枠のゴールイメージでした。かつ、そのプロジェクト自体は社運をかけていると言っても過言ではない取組だ。
ファシリテーションで重要なことは、参加者の利害関係やこれまでのプロジェクトに対しての取組具合などの共有をファシリテータが理解していることだ。クライアントから当初聞かされた内容だけでは到底足りない部分がチラチラでてきたので、途中でコンサルAとコンサルBが喧嘩することが想定された。しかし、その想定はワークショップを初めて30分程度過ぎた時点だった。
そこで私(コンサルC)は、コンサルAとコンサルBの話を一度、脇において、そもそものプロジェクトのオーナーである経営者の理念やビジョンをどこまで共有しているかを確かめるた。敢えて経営者に複数の当たり前の質問をはじめた。当然、これまでのコンサルで両者は理解していると認識していたのか、コンサルAとBは、経営者の話に興味を示さない。
しかし、徐々に、ビジョンに対しての深掘りの質問の中で、今回のプロジェクトで起こしたいイノベーションが何なのか?その本質を実現するために、顧客の視点のみを深掘りしても駄目で、提供側の状況をもっと正確に議論する必要性が見えてきた。また、実際にテストマーケティングで走っている概要が、そもそもビジョンの一歩に近づいていないという問題も明らかになった。
そこで再度、コンサルAとBが感がている背景や立場を確かめ、互いが正しくて、但し互いが持っている前提が異なっていることを理解頂いた。その後、オーナーが実現したい内容に対して細分化を行い、コンサルAとBが行うべきこと、一旦中止すること、継続すること、追加で実施を検討すべきことに対して整理した。
きっとコンサルAとBからするとはじめは面白く無かったと思う。少なくとも両者で進めてきたプロジェクトに対して、突如コンサルCが現れて、交通整理をし始めたからだ。が、私のミッションはスポットで出現して一度、プロジェクトチームの意識統一と方向性の修正だったので目的は十分に果たせた。
もし、コンサルAとBと同じように実施するのでれば、そもそものミッションやビジョンの共有の後に、互いのチームビルディングをする機会を与え、定期的なリアルなコミュニケーションを入れるという当たり前のことを行うだろう。そう、当たり前の取組ができていなく、時間とカネを無駄にしたと経営者もワークショップの後に話をしていた。
満足度に置換える指標
早嶋です。
クライアント先で、既存顧客のレーティングを行っています。企業が顧客を評価するというのは失礼な話ですが、そもそもマーケティングのスタートは顧客を分けることからスタートします。その企業は、地方で数十規模の店舗を持ち、生活に根付いたサービスを提供する企業です。
行った分析は2:8の分析の2割にフォーカスした取組です。2割の顧客が売上に貢献しているのだけど、本当にその企業にとって優良な顧客と言えるか?という仮説からスタートしました。行ったことは、上位2割の顧客に対して、どの程度が企業にロイヤリティを抱いているかを様々な確度から分析しました。通常、企業が顧客に対して調査する指標は満足度です。その場合、◯◯に対して満足ですか?という指標をゴールに5段階等で満足度を調査します。しかし、私の仮説では、満足度が高いのに売上が低い、或いは利益率が低いという企業を結構な頻度で観察していました。従って、mROI(マーケティングコストに対しての投資効果)という観点から満足度は若干弱いKPIなのではと思っていました。実際、上位2割の顧客の満足度は低い顧客もいました。当然、満足度が高いのに売上貢献が低い顧客もいらっしゃいました。
そこで、満足度の代わりにおすすめ度という尺度で顧客から評価をもらい、それに対して売上や利益の相関を取る分析を行って来ました。このおすすめ度という尺度は、米国のベイン&カンパニーが推奨する指標でそこではNPS(Net Promoter Score)と称されています。ベインの事例では、おすすめ度を10段階で評価してもらい、再びその商品の購買をおすすめしたいか?を10段階で調査します(もし、その商材が競合が利用することで自社のポジションが下がるような場合は、自分と同じ課題を持つ中に対しておすすめしたいか?などと表現を変えて調査をおこないます)。上位の9、10をマークした顧客や企業をPromotoerとして評価し、それ以下は段階的に名称を付けています。
そこで同様の調査を行い、Promoterの売上や利益率とそれ以外の売上や利益率を比較した場合、正の比較的強い相関が見えました。サンプル数は40程度でしたので、確かではないと思いますが、満足度と利益率の相関、継続したいか?という指標と利益率の相関、おすすめ度と利益率の相関で最も高かったのがおすすめ度でした。ということは、企業のKPIの1つ、マーケティング指標の1つに満足度よりもおすすめ度を用いた方が、より経営効率を高めることができるのではという仮説が成り立ちます。
いずれにせよ、マーケティングのゴールは販売を不要にして、楽して経営が成り立つ仕組みを作ることです。特に小さな企業は、嫌な顧客に対して媚を売って、値切られるよりは、こちらから堂々と選ぶこともありなのです。一方、大企業はそうは言ってられません。その取捨選択をすると、企業が必要な売上や利益を確保できなくなるからです。
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