
新規事業の旅 その30 OEは最早役に立たない
2022年12月22日
早嶋です。
日本全体の市場がまだ成長していた頃、欧米の企業をベンチマークし、同じような製品サービスを市場に出すために見様見真似で取り組んできた。そのため、経営者は戦略的なポジション(SP:Strategic Positioning)を明確にすることなく、模倣を繰り返しながら、現場の頑張りを踏まえて(OE:Operational Effectiveness)経営成績を上げてきた。そのため経営トップが企業の戦略を示さないままにやり過ごした感がある。
そして2010年頃より、日本が成熟期から衰退期を迎える頃、従来の方向を示さない経営がズタボロになってきた。上場企業は成長戦略を示すも、成長する方向性を見出す経営者が少なく、無機質な数字を増やすことのみ指し示した。例えば、300を500にするなどだ。しかし300を維持するのもやっとという状況下で不足する200をどうやって達成するのか、誰も具体的に示せない。
始めは既存の事業をすすめる中で200のギャプを埋めれると信じていたが、やがて不可能なことに気がつく。そこで今度は200のギャップを新規事業で埋めると宣言し始める。しかし従来、新たな枠組みで新規の事業を行った経験がある経営者はおらず、他探りで見様見真似で新規を行っても、成果が出ない。やがて2年、3年と経過した後、M&Aで新規事業をおこなえるかもということで、200のギャップを新規とM&Aで行う!という宣言が流行する。
しかし、相変わらずSPを示すことは無く、どのような分野にどのような新規事業を行うかの方針が不明なため、M&Aに対しての戦略もふわふわしたままになる。そして持ち込み案件を何度も吟味する中で、なぜか思い切って投資をするという行動にでる。当然、新規事業をM&Aする目的で行ったため、その事業のことを経営でいるマネジメントが自社にはおらず、M&Aには成功するがその後のシナジーを生むことが出来ないままでいる。
それでも経営トップは現場がなんとかするだろうと思ったのか、特にメスをいれることをしない。しかし流石に経験の浅い新規事業や異業種の事業はなんぼ頑張っても勘所がわからず、どうにもならない状態が続くのだ。本来は、新たな組織を明確に動かすためには、その企業のことがわかり、業界に明るい経営者が、方針を示して現場を動かす必要がある。仮に大きな方針を示すことが出来たとしても、現場がその方針を理解して、そのとおりに行動(OC:Organizational Capability)をしなければ成果は出ないのだ。
かくして現在、既存もガタガタで新規もガタガタの状態が続いている。
※SPとOEとOCの説明は、こちらを参照。
新規事業の旅(その31) ジョブと障害とキャズム
新規事業の旅(その30) OEは最早役に立たたない
新規事業の旅(その29) 売り手のトラブルは売り手の無知から
新規事業の旅(その28) 動画サブスクの落とし穴と処方箋
新規事業の旅(その27) 仲介会社のビジネスモデルと買い手の事情
新規事業の旅(その26) M&Aの勘所を押さえる
新規事業の旅(その25) キャズムを超えるまでのKPI
新規事業の旅(その24) 敵のコトを知りつくそう
新規事業の旅(その23) 道具の使い方
新規事業の旅(その22) 売ってから始まる事業
新規事業の旅(その21) 現場とトップのギャップ
新規事業の旅(その20) 自前主義の呪縛とイデオロギー
新規事業の旅(その19) モノからコトへ転身できない企業
新規事業の旅(その18) アンゾフ再び
新規事業の旅(その17) 既存事業の市場進出の場合
新規事業の旅(その16) キャズムを超える
新規事業の旅(その15) 偶然と必然
新規事業の旅(その14) 経営陣のチームビルディング
新規事業の旅(その13) ポジションに考える
新規事業の旅(その12) 山の登り方
新規事業の旅(その11) 未だメーカーと称す危険性
新規事業の旅(その10) NBとPB
新規事業の旅(その9) 採用
新規事業の旅(その8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(その7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(その6) 若手の教育
新規事業の旅(その5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(その4) M&Aの成功
新規事業の旅(その3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(その2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(その1) 旅のはじまり
新規事業の旅 その29 売り手のトラブルは売り手の無知から
2022年12月8日
早嶋です。
M&Aは不動産の投資と異なる。不動産の場合、収益物件として購買した後、賃貸等で貸すと期待した利回りを獲得できる。そのために不動産の価格には合理性がある(築年数、広さ、リッチ、工法、間取り等で過去の賃料や売買価格のデータもあり余りヘマをすることが無い)。
一方、中小M&Aは、買い手が買収したからと言って、従来と同じ収益を獲得できるとは限らない。M&Aは、経営権を獲得し、通常は役員以上の人材を買い手が送り込み、買収後は買い手が経営するのだ常だ。しかし超大手企業を覗けば、売り手の経営者が一定の、あるいはそれ以上の影響を経営に与え収益を出してきた。従い、買収してしばらくは収益は続くだろうが、買い手が経営を切り替えて維持、拡大しないかぎり理想とするキャッシュフローは発生しない。
その理屈を分かっているのか、分かっていないのか。M&Aの経験が乏しい買い手は、売り手企業の単体の価値を計算して、お買い得か?否かを考えている。もしこのような発想を持った時点でM&Aはすべきではない。高いに決まっているのだ。
通常レベルの売り案件があったとする。債務超過でもなく、一定のキャッシュフローが望める案件だ。この場合、売り手1社に対して買い手は15社から20社のオファーがあるのが通常だ。多くの買い手企業は成長戦略を実現する目的で常にM&Aの案件を探している。従い、昨今は売り手が優位な状態にある。仮に、売り手と買い手の双方が計算する合理的な価格があったとしても、売り手は優位な立場を鑑み、合理的な価格より高い金額で売却したいと考える。それでも買い手が付くということは、買い手は更にその価格に上乗せした交渉で買収することになる。常に複数の買い手と競い合うからだ。
それでも買い手が買収する意味は、売り手単体の価値に加えて、自社と一緒に事業をした後の化学変化を考えているからだ。よくシナジーという言葉が使われるがまさにそれだ。製造業の場合は、売り手の仕入れ価格を鑑みて、自社と一体になればコストが下がることが想定できる。すると利益が一気に獲得できるなどの算段があれば、プレミアムを払っても投資回収できると考える。商品が優れている売り手に対して、買い手が強烈な営業のネットワークがあれば、販管費を大きく変えずに販売が期待できる。そのような買収した後のシナジーを考え想定できる企業はM&Aの成功を手に入れる可能性が高くなる。一方で、未だにM&Aそのものを金融取引のように考えている経営者は買収した時点で、マイナスとの戦いになるのだ。
ただ悲しいかな、世の中の70%の企業が赤字で、税金もろくすっぽ納めていない状況だ。M&Aアドバイザーの会社が次々に上場して、案件を青田買いしていくと、買い手の需要に対して、売り手の供給が賄わない状態に現在突入している。300万社の中小含めた会社の3割が利益を出しているとする。すると100万社が母数。仮に2割の企業が売っても良いとしても、売却可能性の市場規模はその時点で20万社だ。現在で、年間に4000件程度のM&Aが行われており、規模の大小を鑑みると1万前後はM&Aされている。10年で10万程度だと考えると、市場が枯渇するイメージは湧くと思う。
国が中小M&Aガイドラインを出した2019年頃はM&Aの業者は数百だったが、M&Aの補助金を活用するために登録を促すと1年ちょっとで、その数が2,000を超えた。実際にM&Aを実現しているアドバイザーは少ないとしても、アドバイザーの事業を考えるプレイヤーからみると昨今のこの状況はチャンスと捉えるのだ。その中で、案件は限られている。特にここ5年、M&Aの上場企業が一気に増えたため、確実に案件が枯渇しているのは事実だと思う。
そのため、M&Aアドバイザーは従来案件化出来なかった売り手に対してもアプローチを初めている。初めは、小粒の案件はネットマッチングで対応しようと考えて。しかし、実際は不動産と異なり、簡単に案件化ができない。しばらく大手も放置していたがリアルの事業で収益を得る体制が整った企業の一部はWebでアプローチしてきた売り手企業に対して直接営業をする体制を整えるようになった。実際、本誌を読んでいる経営者も個々数年、M&Aアドバイザー、それも大手の企業からのアプローチが増殖している実感があるだろう。そのくらい、案件がなければ商売が成り立たないビジネスモデルなのだ。
M&Aアドバイザーのビジネスモデルは単純で、売り案件を握って、ふさわしい買い手に提案して、M&Aに関わる一連のプロセスに対して助言を行い、成約までの助言やフォローを行う中でアドバイス料を得る。規模が小さい場合は、着手金も中間金も取らず、成功報酬で行う場合が多い。成功報酬の相場はレーマンレートを軸に取引価格の5%を手数料としてもらう。一方、大手企業は規模の大小に関係なく、売り手企業の案件化をすすめる場合に、着手金を100万から150万円程度を最低に受領し、案件化する際に企業査定をする手数料として50万円かそれ以上の費用を要求する。
売り手企業も、アプローチされた時に、色々とアドバイザーの状況や報酬体系、契約の中身を調べれば良いものの、大手の信用を過信して、契約を締結する傾向が昨今急増している。ここで勘違いしたらいけないのは、大手M&Aアドバイザーは全く悪くないのだ。自分たちも上場し、株主に対して成長を求められる。しかし、M&Aの案件は枯渇している。そこで少しでもキャッシュを獲得する必要があり、本来、自社のボリュームゾーンでなかった中規模小規模案件にも営業をしなければ、自分たちが維持できない状況になっているのだ。
売り手企業にも問題がある。自社の経営の状況を把握していないのに、何故か周囲の売却事例の話を聞いて、自社も1億で売れるんだと勘違いをする。債務超過で役員報酬もろくに払えない企業なのに、冷静に考えるとおかしな話なのに、それが出来ていない場合が多い。実際、相談が急増しているのが、本来は大手のM&Aアドバイザーが関与するレベルではない、小規模の売り案件を大手M&Aアドバイザーと契約した話だ。そして契約の内容を理解していない場合が多い。
例えば、案件自体はかろうじて2,000万円程度で売却できるとする。しかし大手のM&Aアドバイザーの着手金は100万から200万。そして、売買が成約した場合の最低報酬は1,000万とか2,000万になっている。ここをまず見逃している。更に、その契約は仲介をベースにしている。買い手企業が、該当の売り手企業に興味を持った場合、同じM&Aアドバイザーの会社が間に立ち、売買の取引をすすめる。その際、買い手もおそらく成功報酬として、売買の成約報酬に2,000万円の費用を別途アドバイザーに支払う仕組みだ。
売り手が勘違いしている点はいくつかある。まず成約した際の報酬は、売り手がアドバイザーに払わなくても良い勘違いだ。契約書を余り理解しないのだ。しかし、仲介の場合は、不動産の両手と同じで、買い手と売り手の双方からアドバイザーフィーをもらう。そのため売り手も支払う必要がる。次に、専属の契約であることだ。売りては契約を結んだ後に、アドバイザーの会社と馬が合わないとする。その際に、別の中小に寄り添う地域のアドバイザーに相談しても、彼らも困るのだ。セカンドオピニオンとしてアドバイスはできるものの、専属の大手企業が全てを取り仕切る契約になっているからだ。それから、3つ目はテール条項という考えだ。仮に、契約を結んで、契約解除をしたとしても、1年から2年は、M&Aの動きを別のアドバイザリーで行ったとして、大手のM&Aアドバイザリーのテール条項に抵触する可能性が高い。大手も案件の大小に関わらず、売り案件を握ったら買い手に営業をしているはずだ。その営業先が、M&Aアドバイザリーの会社を中抜して契約して手数料をセーブしようとされない為に、契約を打ち切った後に、M&Aアドバイザリーの会社がアプローチした企業とM&Aが成立した場合は、想定の金額を受領するという内容にしているのだ。この条文の理解をせずに売り手は安易にアドバイザリーと契約を結ぶのだ。
なんども言うが、大手のアドバイザリーは全くの合法だ。売り手も契約を結ぶ際に、ちゃんと契約の内容や、金額のこと、契約破棄した後のことについて理解を得れば、他のアドバイザリーを検討したり、色々とオプションが有るのだ。
上記のようなトラブル、というか売り手が内容を理解していないがための誤解から生じるトラブルが今後続発するとこが予想できる。これもM&Aが世の中にM&Aが本格的に普及し始めた証拠だと思う。将来自社の売却、事業承継、精算などの出口を考えている経営者がいたら、早めに準備をしていくことをおすすめする。その際は、私どもでも良いし、近くのM&Aアドバイザリーの会社でも良いし、日本M&Aアドバイザー協会でも良いし、気軽に相談してほしい。そして、滅多にないチャンスなのだから誰かに丸投げすることなく、書籍に1冊や2冊は読んでから望むことをおすすめする。
上記の事例で、1,000万〜数千万で実際に売れる案件で、買い手がプラスで手数料を2,000万円払う必要があれば、通常はその時点で諦めるだろう。そして、アドバイザリーと契約を破棄してもテール条項の関係でおそらく2年程度は、企業の売却が出来ない状態が続くだろう。一方で、初めから地場のM&Aアドバイザリーや1億以下を売買価格の中心にしているアドバイザリーと契約していれば、数千万円の案件の手数料は、150万円から350万円程度なので、売り手も買い手も納得の金額になるのだ。
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新記事業の旅 その28 動画サブスクの落とし穴と処方箋
2022年12月6日
早嶋です。
企業の悩みの一つに、「成熟したポートフォリオをどう組み立て直すか?」がある。皆既存の事業運営コストを下げ利益体制にし、新規事業に夢を求めて躍起になる。既存と新規の両利きの経営には、社員教育は不可欠で、今まで以上に重要性が増す。そこにコロナの影響もあり、対面研修が激減し、変わりに動画やオンラインを活用した取組が急速に普及する中、危険な側面を観察できる。
例えば、動画のサブスクを社員全員に提供することで、教育を代替する取組だ。自社で作成した動画や監修した動画であれば一定の意味はあると思うが、サードパーティが汎用的に作成した動画を全社員が見れるようにIDを配布して教育を置き換えてしまう行為は大いに疑問を感じる。人事としては「公平性の観点から全員に動画のIDを渡して好きな動画を見て成長してほしい」というメッセージを出すが、余り意味が無いと思う。放題にした場合、ほとんどの確率で見る必要が無い人はどんどん見て、見る必要がある人程視聴しないのだ。
この事実に気がつくと、企業の対応が本末転倒になる。せっかく契約したからには社員に動画を見てもらわないと困る。ということで、視聴履歴を管理しはじめるのだ。するとやはり見てほしい社員ほど見ていないことが検証される。それでも契約期間がまだ残っているし、すでに投資した金額をサンクコストと捉えることは難しく、回収しなければならないと思ってしまう。そして半ば強制的に動画を見せさせる行動にはしる。すでに見ている人も、「履歴管理を初めたら再び見なさい」などと、意味不明な管理だ。
面倒だと感じる社員の中には、動画をすっ飛ばして倍速や3倍速、あるいは一気に早送りして1時間の動画を5分で見たことにして、視聴履歴を作る社員も続出する。そこで人事は、視聴した動画に確認テストを取り入れ、確認テストに合格しないと視聴を認めないなど、イタチごっこが始まるのだ。
本来、社員教育は、社員の自主性に任せるべきではない。そのため、社員のキャリアビジョンと自社の戦略の方向性を紐付け、各々の社員に必要な能力やスキルレベルを示しつつ、当人に不足する能力や概念を教育しなければならない。その場合、階層教育のように一定レベルの底上げをする教育以外は、個々人によってカスタマイズしなければ学びの意味は薄い。それらを放棄して、「動画を見て学習してね!」は潔さは感じるが、一方で怠慢感もたっぷりだ。
サブスク見放題であれば、「あなたは今、●●の問題を抱えている。だったら、△△の動画を見て、それをベースに再挑戦することで見通しが明るくなるよ」というように、本人の状況に応じて、タイミングよく動画やコンテンツを案内することができれば、動画サブスクも活用できるだろう。多くの社員は、動画が200シリーズとか300シリーズ用意されていても、どれを見れば良いのか検討もつかないし、強制的に見なければならないという動機のもとに視聴しても、入ってくる情報も蓄積されない。社員は自分のスキルレベルを把握しているわけではないし、自分に取っての不足が想像つかないのが当たり前の状態になっている。
サブスク動画を有効的に活用するのであれば、社員の能力レベルを仕組みで把握して、不足する情報を適切なタイミングで社員に案内する工夫など、コンテンツの提案がすごく大切になる。逆に、そのような提案が適切に行われるようになると、社員が自発的に学びはじめるので、動画でのインプットはかなり有益になるだろう。
また、放題の動画の中から人事や管理者が選定して、事前にインプットさせ、その内容を参考に、業務についてブレストさせるとか、何らかのお題を与えてワークさせるなど、視聴で終わるのでは無く、そのコンテンツを活用したアウトプットを組み合わせることも非常に重要だ。これらができれば動画のID投資も瞬殺で回収することになるだろう。
新規事業の旅(その29) 売り手のトラブルは売り手の無知から
新規事業の旅(その28) 動画サブスクの落とし穴と処方箋
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新規事業の旅(その11) 未だメーカーと称す危険性
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新規事業の旅(その1) 旅のはじまり
【動画】2022年度「リーダー研修」
2022年12月1日
本ページは、西日本プラント工業の2022年度「リーダー研修」参加者向けのページです。
エネルギー業界の大変革が進む中、職場のリーダーが変革を促すことが不可欠です。研修は、指導職2級1年目を対象に、経営に対する当事者意識を養成、御社の将来形成のために職場で何を変革するか、そのための行動は何かを考えます。
当日の研修参加までに、以下の動画を視聴ください。PWは別途事務局からの指示に従って下さい。
マネジメントの基礎 不確実への対応(約30分)
なお、本動画はマネジメントの基礎(全6本)シリーズの抜粋です。不確実な世の中へ、リーダーとしてどう対応するかのヒントとして視聴ください。
人生100年時代の社会人基礎力
2022年12月1日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回のテーマは「人生100年時代の社会人基礎力」です。経済産業省の資料を基に社会人基礎力について説明し、人生100年時代に求められる能力を3つの能力・12の能力要素に分けて解説します。
まず「社会人基礎力」について説明しましょう。(参照:https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/)
社会人基礎力とは、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年に提唱しました。その後「人生100年時代」を踏まえ、これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力を「人生100年時代の社会人基礎力」と新たに定義しました(2018年)。
経済産業省の説明資料では、社会人基礎力をパソコンの【OS】に例えています。つまり社会人としての基盤能力である「社会人基礎力」を身に付けた上で、その【OS】上に【アプリ】としての「業界スキル」や「社内スキル」など業界特性に応じた能力を活用すべきとしています。人生100年時代の働き手は【アプリ】と【OS】を常にアップデートし続けることが求められます。
必要とされる社会人基礎力は「3つの能力と12の能力要素」で構成されています。
能力➀前に踏み出す力(アクション):「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」
能力要素は「主体性」、「働きかけ力」、「実行力」です。「指示待ちにならず、一人称で物事を捉え、自ら行動できるようになることが求められている」と解説されています。
変化の激しい時代に、前例踏襲では解決しないことがますます多くなります。その時に失敗を恐れず、果敢にチャレンジする姿勢が求められます。さらに周りを巻き込んで目標達成するリーダーシップも必要です。
能力➁考え抜く力(シンキング):「疑問を持ち、考え抜く力」
能力要素は「課題発見力」、「計画力」、「想像力」です。「論理的に答えを出すこと以上に、自ら課題提起し、解決のためのシナリオを描く、自律的な思考力が求められている」と解説されています。
物事を筋道立てて考える論理的思考(ロジカルシンキング)能力が必要です。ムダなことをやっているヒマはないということでしょう。周囲の協力を得るためにも納得感のある解決策や計画は必須です。
能力③チームで働く力(Teamwork):「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」
能力要素は「発信力」、「傾聴力」、「柔軟性」、「状況把握力」、「規律性」、「ストレスコントロール力」です。「グループ内の協調性だけに留まらす、多様な人々との繋がりや協働を生み出す力が求められている」と解説されています。
価値観が多様化し、色々な考え方の人が協働する時代です。自分と考え方が違う人ともコミュニケーションをしつつ、一緒に成果を作り上げていかなければなりません。個を活かしながら、ルールを順守するコミュニティの一員として活躍するイメージです。
このように人生100年時代では、企業や社会との長い関りの中で活躍し続けるために3つの能力・12の能力要素が基礎力になります。
そして、3つの視点「どう活躍するのか(目的)」、「どのように学ぶか(統合)」、「何を学ぶのか(学び)」のバランスを図ることが、自らキャリアを切りひらいていく上で必要と位置付けられています。
これからは自らの人生を自分で設計する、まさにライフデザインが重要であるということでしょう。逆の言い方をすれば、長い人生を自分らしく生きるためには3つの能力・12の能力要素が必要ですよということにもなりますね。
次回は社会人基礎力をリカレント教育の視点から読み解いていきます。個人の成長と企業の成長のすり合わせです。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
【動画】2022年武者修行課長版
2022年11月21日
※本ページは、2022年度武者修行研修課長版参加者向けのページです。
(セッション3)
課長版武者修行研修の参加者は、必要に応じて以下の補足動画を視聴下さい。次回のプレゼンテーションの参考動画です。プレゼンテーションの流れや準備、コンテンツ(中身)の作り方や、発表(配信)の仕方を整理しています。プレゼンテーションに不慣れな方は参照ください。
プレゼンテーションの基礎①概説
プレゼンテーションの基礎②流れ
プレゼンテーションの基礎③準備
プレゼンテーションの基礎④中身
プレゼンテーションの基礎⑤配信
(セッション2)
セッション2参加当日までに、以下の事前課題を整理、動画を視聴下さい。
1)事後課題
・テーマオーナーの取り組みに必要な資料や情報を適宜収集して下さい。
・当日の質問内容の整理して下さい。
・セッション1の議論を参考に、再度自社の課題を深堀りして整理して下さい。
・課題解決のために長期的な取り組みと短期的な取り組みを考察して下さい。
・短期的な取組に対しては何らかのアクションを行って下さい。
2)動画視聴
デザイン思考の基礎(観察) 約26分
テーマオーナーに対して何らかの提言をする際の調査の参考として視聴下さい。
論理思考の基礎(仮説)約16分
テーマオーナーに対しての議論を行う際の考え方のヒントとして視聴下さい。
規模の推定 約54分
市場規模や売上等、定性的な情報から定量的な情報を推定する際のヒントとして視聴下さい。
※以下の動画は問題解決の考え方の補足として視聴下さい。任意です。
セッション1のインプットで問題解決の基本的な考え方をベースに事業の分析について理解を深めて頂きました。こちらの動画は問題解決の基本的な考え方の概説をしています。
論理思考の基礎(問題解決思考) 約10分
(セッション1)
セッション1参加当日までに、以下の事前課題を整理、動画を視聴下さい。
1)「自己紹介シート」の作成
参加者同士の理解を深める目的です。各自自己紹介シートを作成下さい。テンプレートは各社事務局の指示に従って下さい。
2)事前課題「動画視聴」 戦略思考の基礎
自社や他社の課題を抽出する際に参考下さい。経営学等の修士・学位等をお持ちの方は視聴しなくても結構です。
※PWは別途事務局からお知らせがあります。
戦略思考の基礎 戦略思考編
戦略思考の基礎 全社戦略編
戦略思考の基礎 成長戦略編
戦略思考の基礎 基本戦略編
戦略思考の基礎 環境分析編
戦略思考の基礎 戦略立案編
3)「自社紹介と自社の経営課題の整理」 ※各社ごとでまとめる
詳細は、受講ガイドを参考下さい。
新規事業の旅 その27 仲介会社のビジネスモデルと買い手の事情
2022年11月16日
早嶋です。
M&A仲介を行う上場企業給の与レベルは1,500万円前後で、高い企業は2,000万円を超える。「そんなに?」と思うだろうが、事業モデルとして粗利を稼ぐ力が高いのだ。
昨今のM&Aの背景は、買い手企業が成長戦略を掲げるも、自社のポートフォリオ(事業の組合せ)を思うように変えることが出来ない背景があると思う。既存事業から得られるキャッシュを投資に回し、新たな成長事業を立ち上げる手法は3つある。自社のみで自力で立ち上げる(ゼロイチ)、業務提携やマイノリティ出資などの活用、そしてM&Aだ。事業経験豊富な企業は、3つをバランス良く、目的や事業領域、成長ステージにより使い分ける。経験少ない企業はゼロイチから初めて徐々に資本政策を考えるようになる。その最初の一歩はM&Aに向かう傾向が強い。結果、昨今は買い手の需要が異様に高い状況が続く。
本来、買い手企業はM&Aかゼロイチかの議論よりも、事業ポートフォリオをどうするかの議論が先決だ。しかし、成長のみがフォーカスされ、どの事業領域に資源を投下すべきかの議論はあまりされない。ここにも仲介会社の収益が高くなる理由がある。後で解説する。
M&A仲介のビジネスモデルを考える。仲介は、売り手と買い手の両方の立場に寄り添い、案件探し、マッチング、交渉、価値算定、DDの助言、契約関連、クロージングとM&A取引を円滑に進める役割を担う。当然、仲介事業として成立する条件は、買い手を集めるより、優良な売り案件を獲得することが重要だ。現時点で優良な売り案件を直接グリップすることができれば、初期時点では買い手候補が10社から15社程度は興味を示すのだ。
さらに仲介手数料は、売却金額に応じて高くなる。仲介企業として収益を獲得することのみを考えると、売り手にマッチした企業よりも、高く買収する買い手とマッチングさせることが高い利益を獲得することになる。そのため優良な案件をグリップした後は、高く買収する相手を選定し、買い手に魅力的に提案する力も肝になる。同様に、本来はM&Aをいきなり行うよりも、マイノリティ出資出資など別の選択肢が良い場合もあるが、そのような提案は自分たちの収益を下げることになるので、あくまで支配権を伴うM&Aが全てのように振る舞う。これもビジネスモデルを考えると当然だ。
これまでの議論を整理する。仲介会社が高収益を得られる理由は、買い手企業がM&Aを欲し、しかも自分たちで案件を探すノウハウが乏しいことだ。また、買い手は自社の戦略が不明瞭なのに成長欲求は高い。対して仲介会社は買い手に魅力的な提案をする力もある。総じて、売り手をグリップする能力と買い手に提案する能力が極めて高い、つまり営業力が超強力なのだ。
国内のM&Aの市場規模は年間に4,000件程度で、半数以上は支配権を伴わないM&A、つまりマイノリティ出資だ。一般的に想定する支配権を異動を伴うM&Aの件数は年間に2,000件程度。上場企業が3500社程度で、大手企業がざっくり1万社あると考えても、5社に1社程度しか支配権の異動を伴うM&Aがされていない算段になる。簡単に言うと、買い手が求める売り案件が圧倒的に少ないことがわかる。
買い手企業は、自社で優良な売り案件を探すも、良い案件にたどり着けない。そもそもM&Aやファイナンスに長けた人材は企業にとってマイノリティでメインディッシュの人材ではない。また、M&A担当者は日々金融機関や証券会社から買いの提案を受けるも、自分たちの想定する案件が少ないと感じる。しかし、買い手の担当者としてもM&Aを実施しなければ、自分の評価も下がる可能性があり、戦略を度外視したM&Aを実行してしまう気持ちに陥る。普通の社員の殆どは、資本政策やM&Aは特別なもので、内容の理解や興味がそもそもない。会社の投資の仕方に誰もメスを入れる仲間もいない。そんな時に、上場M&A仲介は、売り案件の獲得営業力と買い手に寄り添った提案ができるため、当初、買い手企業に明確な戦略が無くても、提案を受ける内に担当者はその気になってM&Aに進むことも考えられる。ここは筆者の推測だが。
ただ冷静に考えると買い手の立場からすると明らかにおかしいのだ。その際、M&A仲介のビジネスモデルも思い出してほしい。資本や資産の動きが大きい案件がより仲介会社にとっても実入りの良い話になる。仲介会社は買い手に高く買ってもらった方が都合が良い。仲介会社も上場したからには、常に自社の売上と利益ノルマを満たさなければ株価が下がり、他社に買収されたり、役員であれば飛ばされる。決して仲介が悪いわけでもない。
M&Aの市場に競争がなければ、売り手の価格は合理的な価格(1)に陥る。例えば、合理的な算定根拠が同じだとする。そして売り手も買い手も同じ情報を持っているとする。その場合は、双方とも一定の価格帯に収束するはずだ。しかし、売り手が優位な条件では、つまり買い手が複数社以上いる場合は、売り手は売却金額を更に高く(2)するし当然のことだ。買い手も競争に勝つためならば、当然それを上回る金額(3)で交渉を進めないと取得できない。実際は売り手と買い手は完全に情報は一致せず常に買い手が情報不足の状況になる。算定方法も一定の主観が入るため実際は更に複雑になる。
本来買い手は、売り手が乗せた金額(2)と競争により高くなった金額分(3)については、買収した時点では払いすぎたことになる。しかし、それでもM&Aをする理由は、買収により、買い手の中で発生するシナジーがその金額よりも高くなると算定しているからだ。しかし、そもそも多くの買い手が緻密にシナジーや事業ポートフォリオの向かう先に対して戦略を立てているケースが少なく、そのような議論も行われている可能性が少ない。なんとなくM&Aをして、無理した状況でお買い物を続けるる場合もあるのだ。当然に、買い手にとってM&Aはスタートに過ぎない。その後の経営は買い手が経営陣を調達して、あるいは自社から社員を送り込み、シナジーをしっかりと生み出し、買収した金額の投資をする必要がある。が、同業種ではない限りなかなか経営を上手く行うこともできない。買い手の戦略が乏しければ、どう考えてもM&Aをするたびに逆に苦しくなっていくのだ。
理想は、買い手自身が自力で案件を探し、失敗しながらもノウハウを組織に蓄積する。案件を探す以前に自社の事業ポートフォリオの方向性や全社戦略をしっかりと握る。その戦略実現を前提に、自社に不足する資源やノウハウや時間を整理しながらM&Aや出資や提携やゼロイチなどの複合的な手法を視野に入れて取組むのが正解だ。
当然、その業務の全てを完璧に行うことはできないだろう。交渉やアプローチが難しい組織に対しては第三者の機関をピンポイントで活用する。その際も決して丸投げしないことだ。
目的がM&Aでなく、事業を創造することや、自社の事業の不足を補う成長であれば、業務提携や業務資本提携の話を持ちかけるのも自然だ。一緒に事業を行う中で互いに強力するのだ。この場合はM&Aの交渉ではなく営業の延長になる。アプローチは劇的にやりやすくなる。仲介業者が提携や資本提携を買い手に提案しない。資本や資産の異動金額が目減りし、受け取る対価が小さくなるからだ。ビジネスモデルを考えるとM&A以外を一緒に行うパートナーでは無い。
業務提携や業務資本提携であれば、その先の事業に応じて第三者割当増資等を行い、進める事業に必要な資金を出資企業が追加するなど自然な形でM&Aに向かう場合もある。更に、短期間でかつ競争相手がいる中で進めるDD(買収前調査)では、実際その企業の中身は分からない。M&Aをする前に、対象企業と一緒に何らかのプロジェクトや業務をスタートすることで、じっくりとその会社の特徴や文化がわかるのだ。当然、その先に進む必要が無いと判断すれば、追加投資をしなければ良い。無駄な投資も減らすことができる。
上記を当たり前だと思わない最大の理由は、買い手の担当者や経営陣が資本政策やM&Aの流れや全体の手法に対して経験や知識が乏しいことにあると思う。
新規事業の旅(その28) 動画サブスクの落とし穴と処方箋
新規事業の旅(その27) 仲介会社のビジネスモデルと買い手の事情
新規事業の旅(その26) M&Aの勘所を押さえる
新規事業の旅(その25) キャズムを超えるまでのKPI
新規事業の旅(その24) 敵のコトを知りつくそう
新規事業の旅(その23) 道具の使い方
新規事業の旅(その22) 売ってから始まる事業
新規事業の旅(その21) 現場とトップのギャップ
新規事業の旅(その20) 自前主義の呪縛とイデオロギー
新規事業の旅(その19) モノからコトへ転身できない企業
新規事業の旅(その18) アンゾフ再び
新規事業の旅(その17) 既存事業の市場進出の場合
新規事業の旅(その16) キャズムを超える
新規事業の旅(その15) 偶然と必然
新規事業の旅(その14) 経営陣のチームビルディング
新規事業の旅(その13) ポジションに考える
新規事業の旅(その12) 山の登り方
新規事業の旅(その11) 未だメーカーと称す危険性
新規事業の旅(その10) NBとPB
新規事業の旅(その9) 採用
新規事業の旅(その8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(その7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(その6) 若手の教育
新規事業の旅(その5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(その4) M&Aの成功
新規事業の旅(その3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(その2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(その1) 旅のはじまり
新規事業の旅その26 M&Aの勘所を押さえる
2022年11月8日
早嶋です。
JMAA、一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会を2010年8月から仲間と立ち上げ運営している。中小企業のM&Aを行うアドバイザーの認知と育成、M&Aの認知と普及が目的だ。講座やセミナーでのターゲットは中小企業のM&Aに関与する方々だったが、ここ数年、大企業でM&A業務を担う方々の参加が増加している。Webで様々な教育機関を探しても見つからなかった、内容がフィットしないとの理由からだ。
考えてみると、企業においてファイナンスの担当やM&Aを積極的に業務として行う担当は1,000人以上の従業員規模でも数名いたら良いほうだ。そのため企業内での教育設置は難しくコストも合わなければ、そもそもノウハウも無い。企業内でOJTで教育しても断片的な知識と経験しか得られない。そしてとても時間がかるのだ。しかし、社外機関を探しても、M&Aのピンポイントの話を深ぼる講座は多数見つかるが、体系的な流れや考え方を整理する講座はJMAAの講座しかないのだ。その部分が評価されている。大企業のM&A担当者が全ての実務を行うことは無い。一方で、様々な役割の人間をまとめ、企業の戦略を満たすためには、個別の業務の流れや勘所を押さえておくことは重要なのだ。
他社が行っている教育は、買収前調査のDDに関して、有名弁護士事務所の有名先生がディープに話をする。有名監査法人の有名先生が企業価値算定の話をマニアックにする。等々、講師陣は超豪華メンバなのだが、全体の筋や流れが見えにくい。結局、自社でM&Aの部隊を立ち上げる際に何から初めたらよいのか、自分たちの手法や取り組み方は間違っていないのか、などの確認ができずに悶々としているのだ。ということでJMAAの講座のポジションは「体系的な流れが把握できる」になった。お役に立てて嬉しい限りだ。
アドバイザーの役割は全体の流れを把握して、勘所を押さえる。そして適宜、専門家をアサインして一緒にM&Aを実現する支援をすることだ。企業のM&A担当者も同様で、全ての業務を自分たちで行うことはない。かと言って、専門家に丸投げというわけにもいかない。あくまでも流れは抑えて置きながら、どのようなタイミングで、どのようなオプションがあり、誰にどのように依頼をすることで全体のコストを抑えつつ、リスクを一定程度抑え込み、目的を達成できるかを考えることが大切なのだ。その意味で、大企業のM&A担当者にとってアドバイザー向けの養成講座はフィットしているのだ。
新規事業の旅(その26) M&Aの勘所を押さえる
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【動画】2022年度 MOT研修
2022年11月7日
※本ページは、九州電力・総合技術研究所様向けのページです。
【インプット編】
12月6日のMOT研修・インプット編に参加される方は、以下の動画を必要に応じて視聴下さい。
法人マーケティングの基礎 特徴
28分の動画です。組織に対して価値を提供する活動(法人マーケティング)の基本的な考え方を整理しています。組織で意思決定する意味、法人に提供する価値などを理解する目的で視聴下さい。
DXの基礎 顧客体験価値
顧客に対しての価値を理解するための補足です。動画は1時間以上あります。今回は、18分40秒の顧客体験価値の説明が終わるところまでを視聴下さい。
インプット編では、動画の内容に関連するインプットをワークを行います。普段、マーケティングや顧客の価値について議論をする機会が無い方は、事前に視聴ください。
【アウトプット編】
10月5日のMOT研修・アウトプット編に参加される方は、以下の動画を見て、プレゼンテーション資料の準備の上、ご参加ください。プレゼン時間は各自8分です。
1)事前課題
アウトプット研修は、自身の研究テーマを8分間プレゼンして頂きます。資料をつくる際に、まず課題に対しての動画を視聴下さい。YouTubeの限定公開リンクに動画を掲載しています。約4分です。
2)動画視聴
事前課題に対しての動画でも触れていましたが、プレゼンテーションに対してのインプット動画は以下から視聴が可能です。必要に応じて、適宜視聴下さい。パスワードは別途事務局から指示を受けて下さい。
プレゼンの基礎 概説
プレゼンの基礎 流れ
プレゼンの基礎 準備
プレゼンの基礎 コンテンツ
プレゼンの基礎 デリバリ
3)プレゼン資料
当日、8分間の資料を各自準備ください。会議室にプロジェクターを準備しています。各々投影した上で、8分間のプレゼンテーションを行って頂きます。
交渉術としての営業プロセス
2022年11月4日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回のテーマは「交渉術としての営業プロセス」です。社内外を問わず、win-winの関係構築をすることがビジネスパーソンにとって必要であることは皆が認めることですが、実際は出来ていないようです。
そこで交渉という抽象的な概念を、営業のプロセス特に質問話法に則って具体的に解説します。顧客との関係はもとより、社内の人間関係に悩んでいる方にお役に立てれば幸いです。
「交渉」の上手な方は、自分の意見や希望を押し通すことや、相手はしぶしぶ、自分は満足のようなwin-lossの関係性を持ちません。それは顧客に対しても社内の同僚に対しても同じことが言えます。「勝ち負け」のような関係性は長く続くわけがなく、顧客との良好なビジネス関係や社内でのチームビルディングによくありません。
大切なことは、相手(顧客や同僚)の願望をしっかり把握すること、そして相手の願望を満たしつつ自分も満足を得るコミュニケーションです。
そのための手段の一つに、営業の手法であるSPIN質問話法が役に立ちます。
SPIN質問話法については以前にも解説していますのでその詳細説明は割愛します。次の順番通りに相手に尋ねる(質問する)話法です。
➀Situation Question『状況質問』:相手が現在置かれている状況、状態、背景を質問する
➁Problem Question『問題質問』:相手の解決したい問題を質問する=相手の願望
➂Implication Question『示唆質問』:その問題を放置すればどうなるのか質問する
➃Need Pay-off Question『解決質問』:解決策を提示し、合意を質問する(願望をかなえる方法)
SPIN質問話法の目的は、相手(顧客や同僚)の潜在的な願望を引き出すことです。それも自分自身の真の願望(問題や課題)に気付いていただかなければなりません。
例えば、営業パーソンから商品・サービスを勧められても、お客様は「買わされている」と感じると買ってくださらないです。
交渉術も同じように、こちらの都合の良いように押し付けたり、丸め込む(営業で言うと買わせる)とすると、相手(顧客や同僚)は距離を取ろうとします。つまり関係性が上手くいきません。
SPIN質問話法は質問によって相手(顧客や同僚)ご自身が自分の願望に気付かれますので、例えば営業パーソンが売り込まなくても商談が進むように、交渉において自分に有利に進めようとしなくても相手の願望を知って、それを実現するように進めるだけで自然と話がまとまります。その上で、自分の満足(目標や利益)を盛り込めば、ムリな商談や押し付けをすることなく話がまとまります。
以前書きましたが、営業とは「お客様の問題の解決策を提案する」仕事です。同様に、真の交渉術も相手の問題を解決しつつ、自分も満足いく結果を得るコミュニケーションスキルです。
相手の願望(解決したい問題)を知るための方法が、SPIN質問話法なのです。
このコミュニケーションスタイルですと、相手(顧客や同僚)からは問題解決ができて感謝され、自分は無理に売りつける必要がないので気持ちよくストレスなく仕事ができ、良い成果を出すことができます。相手も喜んでいただき、自分も喜び、会社も成果が出て喜び、まさに「三法良し」です。Win-winですね。
ぜひ多くの方にこのSPIN質問により問題を解決するコミュニケーションスタイルを採用していただきたいと願います。
改めてSPIN質問話法については、別の機会にまた解説したいと思います。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
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