静かな退職・カタツムリ女子

2025年8月9日 土曜日

安藤です。

今回のテーマは、「静かな退職・カタツムリ女子」です。

最近、「静かな退職」や「カタツムリ女子」という言葉をよくマスコミから耳にします。AIで検索をしてみると、2022年にアメリカのキャリアコーチが提唱した「Quiet Quitting」という言葉が広まり、日本でも注目されるようになりました。

「「静かな退職」の定義は、「会社には在籍しているものの、仕事への情熱や意欲を失い、与えられた業務を最低限こなす状態を指す」とありました。

特徴としては、下記が挙げられます。
①出世やキャリアアップへの意欲がない。 ②必要以上の残業や休日出勤をしない。③会社への貢献意欲が低い。 積極的に仕事に関わろうとしない。
原因として考えらえるのは、 ①仕事へのモチベーションの低下 ②ワークライフバランスの重視 ③将来への不安             
そして背景には、①長時間労働や過度な仕事の要求に対する反発  ②仕事よりもプライベートを重視する価値観の変化 ③「ハッスルカルチャー」への疑問とありました。
*注)ハッスルカルチャーとは、仕事に全力を注ぎ、常に忙しく働くことを美徳とする文化のことです。仕事とプライベートの境界線をなくし、がむしゃらに働くことで生産性の向上を求め、それを称賛する価値観を指します。

「静かな退職」は仕事を辞めるわけではなく、必要以上の努力をやめるという考え方だ。業務はきちんとこなすけれど、「仕事が人生のすべてであるべきだ」というハッスルカルチャーの考え方からは距離を置くということだ。現実として、仕事が人生のすべてではない。そして、人としての価値は労働によって決まるものではない。」という捉え方もありました。

つまり、「静かな退職」は、与えられた職務をこなすことに変わりはないが、仕事が人生のすべてであり、仕事を全力で頑張る「ハッスルカルチャー(Hustle Culture)」には、もう従わないという姿勢とういうことです。

一方、「カタツムリ女子」は、英語の「Snail Girl」で、「成功を追い求めるよりも、自分を大切にしながらマイペースで働く女性」を意味します。女性起業家や、ビジネスにおいて主体的に活躍し、リーダーシップを発揮する女性を指す「ガールボス(Girl Boss)」とは反対の概念です。

「カタツムリ女子」という言葉は、オーストラリアのビジネスウーマンであるシエナ・ラドビー氏が2023年に『Fashion Journal』誌に寄稿した記事「“Snail girl era”: Why I’m slowing down and choosing to be happy rather than busy(カタツムリガール時代:私が忙しさよりもスローダウンし幸せであることを選択した理由)」に由来します。

ラドビー氏は、装飾用バッグのブランド「Hello Sisi」を立ち上げた人物です。記事の中で、元「ガールボス」と自認する彼女は、ガールボス的なスタイルを捨て、よりゆったりとした生活ペースを選ぶようになったと述べています。彼女は「カタツムリ女子」について、「依然として野心はあるが、自分のペースで歩み、成功のために身体的・精神的な健康や幸せを犠牲にしない生き方」だと説明。幸せと自己ケアを最優先する「カタツムリガール」のライフスタイルは、若い女性の間で広がりつつあり、TikTokやInstagramなどのソーシャルメディアには、森を歩いたり、ビーチや部屋でリラックスしたり、本を読んだりする彼女たちの動画がアップロードされています。

*注「ガールボス」とは、主に若い女性の起業家や、職場での女性管理職など、リーダーシップを発揮する女性を指す言葉です。自信を持って積極的に成功を目指す姿勢や、フェミニズムの文脈で女性の社会進出を称賛する意味合いも含まれます

そして、「静かな退職」や「カタツムリ女子」は、昔とは異なる新しい働き方であり、日本でも少しずつ認知され始めています。

「静かな退職」や「カタツムリ女子」という価値観は、従来の「仕事中心の人生」から、「自分らしさ」や「心の安定」を重視する生き方への移行を象徴しています。特に若い世代を中心に、キャリアの成功だけでなく、プライベートの充実や精神的な余裕を求める傾向が強まっており、企業側もこうした変化に対応した柔軟な働き方を模索する必要があります。
エンゲージメント、well-beingの働き方を益々、現実的に取り組むことが求められている時代になっているように感じています。



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