
新規事業の旅その204 ヒューマノイドの今後の考察
2025年8月18日
早嶋です。2500文字程度です。
ヒューマノイドの領域で、最も激しい動きを見せているのは中国だ。すでに200社以上がこの分野に参入し、上海や深圳ではヒューマノイド専門の販売店まで登場している。そこでは単にモノを売るのではなく、いわゆる「4S」、Sales(販売)、Stock(在庫)、Spare(部品)、Search(検索・体験)までを含めた、ユーザーエクスペリエンスを丸ごと提供するモデルが確立されつつあるという。
中国のヒューマノイドロボット市場は、2024年時点で約2.76億元(約3.8億ドル)。2030年には750億元(約103億ドル)、日本円にしておよそ1,600億円規模に達すると予測されている。世界全体では、2024年に約21.4億ドル(約3,100億円)、2034年には696億ドル(約10兆円超)という巨大市場が形成される見通しだ。
この市場のうち、約7割を占めるのがハードウェアだ。センサーやアクチュエーター、駆動装置などがこれに含まれる。ソフトウェアとその応用は残りの3割だ。だが今後は、ChatGPTのような生成AIの進化とともに、ロボットの脳に相当するソフト領域が一気に伸びてくるだろう。つまり、これまで「動かすこと」が中心だった設計思想が、「何を考えさせ、どう振る舞わせるか」にシフトするのだ。
米国でも、テスラの「Optimus」に代表されるように、ヒューマノイド開発は進められてきた。しかしここに来て、明確な足かせとなっているのが、ハード供給の中国依存である。主要部品の多くが中国産である以上、米中対立の激化により、製品化・量産化が思うように進まない。実際、テスラも2025年からの量産計画に遅れが生じており、Optimusの実装は再設計のフェーズに入っていると推察される。
それでも2030年までの数年間で、ヒューマノイドは産業用・物流用・介護補助などの分野に一部導入される予測だ。家庭用としては、高価格帯での試験導入が先行し、一般家庭にまで浸透するにはまだ時間がかかる。しかし、2050年という長期の視点に立てば、風景は大きく変わっているだろう。
あるレポートによれば、2050年には世界中で9.3億体のヒューマノイドが稼働しているという。最多は中国の3.02億体、次いで米国の0.78億体。日本もそこに並ぶが、問題は台数ではない。「どう使われるか」というフェーズに、我々の文明は入りつつある。つまり、ヒューマノイドはただの道具ではなく、人間との関係性を持つ存在になるのだ。
そもそも、中国がヒューマノイドに巨額の資本を投下する理由は何だろうか。答えは明快だ。人口減少への備えと、国家主導の産業制御だ。中国は今、世界最大規模の高齢化社会に突入しており、製造業・物流業・介護などあらゆる現場で労働力の不足が確実視されている。ヒューマノイドは、この穴を埋める最も論理的な選択肢だ。そしてこれは単なる労働の代替ではない。人間ではない、ストライキも要求もしない労働力であることが肝要なのだ。
加えて、国家(共産党)が中央制御できる「非人間の人的資源」という意味合いも大きい。ヒューマノイドは行動ログを残し、映像を収集し、データを国家に還元する。つまり、労働と監視が一体化した装置として機能する未来を確実に描いているのだ。それはまさに、制御可能な未来人材とでも呼ぶべき存在なのだ。
ここに、あくまで私の仮説を提示したい。中国はヒューマノイドの中でも、特に「ロボット型ラブドール」の開発・輸出に力を入れている。深圳周辺の工場では、AIを搭載し、会話・感情・動作をリアルに再現する高機能ラブドールが大量に製造されており、欧米や日本へも輸出されている。私は、これを単なるビジネスとは見ていない。むしろ、中国はこの領域を文化的な麻薬として捉えているのではないかと感じている。
具体的には、各国の若者を仮想的な性愛体験に依存させ、リアルな恋愛や結婚、子育てを忌避させる。結果として、家族形成や社会参加が鈍化し、国家の「社会エネルギー」が長期的に削がれていく。戦車もミサイルも要らない。ロボットで人間の欲望を満たせば、その国の文明構造そのものが静かに崩れていくのだ。
これは、ある種の性的サイバー戦争の形態である。もちろん証拠はない。しかし、構造としては十分に起こり得る話だと感じている。
このような擬似人間が生活に入り込むとき、もっとも先に揺らぐのは倫理の境界だ。イギリスでは、児童型のSEXロボットの輸入がすでに禁止されている。倫理学者たちは、「これは性暴力の模倣であり、人間の関係性を破壊する装置だ」とまで言い切っている。
フランスやドイツでは、「電子的存在に人格を与えるべきか」という哲学的な議論がEUレベルで始まっており、ロボットを人間に準ずる準人格と見なすことに慎重な態度を取っている。一方でアメリカは、連邦法としてチャイルド型ロボットは禁止したものの、大人型のSEXロボットについては表現の自由との兼ね合いで、明確な規制には踏み込めていない。
では、日本はどうか。驚くほど静かだ。アニメ・マンガ・フィギュア文化の延長線上で、ロボット型性愛も自然に受け入れられてしまう。法的にも倫理的にも、整備や議論の土台がない。このままでは、無規制のグレーな欲望楽園として、外資系ラブドール企業の草刈り場になる可能性すらある。
我々は、技術の進化に熱狂する一方で、それによって生まれる新たな問題から目を逸らしがちだ。ヒューマノイドは、人間の代替として現れる。が、それ以上に、人間の本質や欲望を映し返す鏡として機能するはずだ。一国がこの技術に注力する理由は、単なる利便性ではない。文化と政治と支配の三位一体構造として、ヒューマノイドは未来の武器にもなりうるのだ。そのとき、我々は選択をしなければならない。技術か、人間か。利便性か、倫理か等々。
この問題は、いずれ必ず現実になると思う。だからこそ、今のうちから考えておく必要がある概念なのだ。
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日本版・選挙推し活モデル
2025年8月11日
早嶋です。2100文字です。
近年、米国のトランプ政権はラストベルトの有権者層を可視化し、選挙の主役へと押し上げることに成功した。その戦略は、単なる政策論ではなく、感情や誇りに注目し、日常の中に「推し活」的な関与を埋め込むという、参加型のモデルの実践だった。
参政党は、この構造を日本流にアレンジしていると考えられる。DIYスクールや街頭演説の配信は、政治に無関心だった層をまず「知る」という入口に導く。そして短いスローガンや身近なテーマで共感をつかみ、イベントやグッズを通じて仲間意識を醸成する。結果、支持は政策の細部ではなく「この人、この仲間、この雰囲気を推す」という感情の構造に移っていく。
日本では米国ほど激しい対立軸を前面に出さず、「守るもの」や「誇りの回復」といったソフトな感情トリガーを軸にしている点も特徴だ。食の安全や子どもへの支援、アイデンティティの再確認といったテーマは、専門的な政策知識がなくても「守るべき大事なこと」として受け止められる。
さらに、選挙期間だけでなく365日活動を続ける「常時キャンペーン化」も、日本版推し活モデルの重要な要素だ。動画や講座で知識を積み上げ、地元コミュニティで仲間と会い、定期的に接触を持つ。これは、参政党が「政治活動」を超えて「生活の一部」に政治を組み込もうとしている証左でもある。
こうした一連の流れは、単発のアピールや選挙戦術だけでは成立しない。無関心層を巻き込み、関与層へと育て、さらに熱狂的な拡散者に変えていくには、入口から出口までを設計する体系が必要になる。そこで整理したのが、次の5つの要素である。
(推し活型選挙戦略の5要素)
1.ファネル型の階段設計
無関心層 → 関心層 → 参加者 → 熱狂的支持者 → 拡散者。
各段階で必要なコンテンツや接点を設計し、徐々に関与度を上げる。
2.感情トリガーの設定
「守る」「奪われている感」「誇りの回復」「未来像」の4層で感情を刺激し、政策論より先に心を動かす。
3.常時キャンペーン化
選挙の有無に関係なく、演説・配信・イベント・グッズを通じて日常的接触を維持する。
4.推し活コミュニティ運営
小単位の仲間グループを作り、交流やストーリー共有で推しを自分ごと化させる。
5.成功条件の確立
感情の可視化、参加ハードルの低さ、象徴的リーダーの存在、仲間との接触頻度。
この4つを同時に成立させる。
(2020〜2025年の歩みとモデル適用)
2020年、参政党はYouTubeチャンネル「政党DIY」を母体として誕生。DIYスクールを通じて政治や社会問題を学び合う場を作り、無関心層を政治の入り口に誘った。初期は小さなコミュニティだったが、オンライン講座や街頭演説配信を重ね、政策よりも「この人たちに共感できる」という感覚を広げていった。
2022年の参議院選挙では比例代表で約177万票を獲得し、神谷宗幣氏が当選。国政政党としての地位を確立した。この選挙では、街頭とネット配信を融合させ、短いスローガンと生活に直結するテーマで関心層を一気に引き上げた。
2023年の統一地方選では県議や市議の当選が相次ぎ、地方に根を張る基盤が形成された。議員がDIYスクールを受講し政務活動費で計上する事例もあり、教育と動員のパイプラインが制度的に機能し始めていた。地方議員は地元の集まりを拠点に支持者との距離を縮めた。
2024年の衆議院選挙では比例で3議席を確保し、国政での存在感をさらに拡大。2025年の参議院選挙では議席を二桁に伸ばし、「躍進」と評された。海外メディアも「日本版トランプイズム」として紹介している。
参政党の5年間の動きを、この推し活型選挙戦略のモデルに照らしてみると、その対応は非常に明確だ。まず、①ファネル型の階段設計では、YouTube配信や街頭演説で知る段階をつくり、そこからDIYスクールの受講、党員登録、地方選への立候補、そして国政当選へとつながる昇格ルートを描いてきた。
次に、②感情トリガーとしては、子どもへの月10万円給付や教育国債、食の安全といった「守る」テーマを前面に押し出し、同時に「奪われている感」や「誇りの回復」を物語化することで、専門知識の有無に関わらず感情で理解できる構造を作っている。
③常時キャンペーン化も際立つ特徴だ。選挙の有無に関係なく、DIYスクールや講演会、通信講座を継続的に展開し、非選挙期でも接触の機会を途切れさせない。
さらに、④推し活コミュニティ運営では、地方議員や支部を核に小単位の仲間づくりを進め、地域イベントや勉強会などを自発的に展開している。これにより、地元から国政までをつなぐ下支えが形成された。
そして、⑤成功条件の確立として、感情を可視化するテーマ設定、参加ハードルの低さ、象徴的リーダーの存在、仲間との接触頻度の高さという4つの条件が揃い、無関心層を熱狂的支持層へと変えていったのである。
上記からわかるように、2020年から2025年までの参政党の歩みは、教育と動員が一体化したパイプライン、地方と国政の相互補完、感情と物語による関与設計が連動した、日本版「選挙推し活モデル」の実証例である。従来の政治の外にいた人々を政治の舞台へと引き上げる、この構造は他の政治運動や地域活動にも応用可能では無いだろうか。
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静かな退職・カタツムリ女子
2025年8月9日
安藤です。
今回のテーマは、「静かな退職・カタツムリ女子」です。
最近、「静かな退職」や「カタツムリ女子」という言葉をよくマスコミから耳にします。AIで検索をしてみると、2022年にアメリカのキャリアコーチが提唱した「Quiet Quitting」という言葉が広まり、日本でも注目されるようになりました。
「「静かな退職」の定義は、「会社には在籍しているものの、仕事への情熱や意欲を失い、与えられた業務を最低限こなす状態を指す」とありました。
特徴としては、下記が挙げられます。
①出世やキャリアアップへの意欲がない。 ②必要以上の残業や休日出勤をしない。③会社への貢献意欲が低い。 積極的に仕事に関わろうとしない。
原因として考えらえるのは、 ①仕事へのモチベーションの低下 ②ワークライフバランスの重視 ③将来への不安
そして背景には、①長時間労働や過度な仕事の要求に対する反発 ②仕事よりもプライベートを重視する価値観の変化 ③「ハッスルカルチャー」への疑問とありました。
*注)ハッスルカルチャーとは、仕事に全力を注ぎ、常に忙しく働くことを美徳とする文化のことです。仕事とプライベートの境界線をなくし、がむしゃらに働くことで生産性の向上を求め、それを称賛する価値観を指します。
「静かな退職」は仕事を辞めるわけではなく、必要以上の努力をやめるという考え方だ。業務はきちんとこなすけれど、「仕事が人生のすべてであるべきだ」というハッスルカルチャーの考え方からは距離を置くということだ。現実として、仕事が人生のすべてではない。そして、人としての価値は労働によって決まるものではない。」という捉え方もありました。
つまり、「静かな退職」は、与えられた職務をこなすことに変わりはないが、仕事が人生のすべてであり、仕事を全力で頑張る「ハッスルカルチャー(Hustle Culture)」には、もう従わないという姿勢とういうことです。
一方、「カタツムリ女子」は、英語の「Snail Girl」で、「成功を追い求めるよりも、自分を大切にしながらマイペースで働く女性」を意味します。女性起業家や、ビジネスにおいて主体的に活躍し、リーダーシップを発揮する女性を指す「ガールボス(Girl Boss)」とは反対の概念です。
「カタツムリ女子」という言葉は、オーストラリアのビジネスウーマンであるシエナ・ラドビー氏が2023年に『Fashion Journal』誌に寄稿した記事「“Snail girl era”: Why I’m slowing down and choosing to be happy rather than busy(カタツムリガール時代:私が忙しさよりもスローダウンし幸せであることを選択した理由)」に由来します。
ラドビー氏は、装飾用バッグのブランド「Hello Sisi」を立ち上げた人物です。記事の中で、元「ガールボス」と自認する彼女は、ガールボス的なスタイルを捨て、よりゆったりとした生活ペースを選ぶようになったと述べています。彼女は「カタツムリ女子」について、「依然として野心はあるが、自分のペースで歩み、成功のために身体的・精神的な健康や幸せを犠牲にしない生き方」だと説明。幸せと自己ケアを最優先する「カタツムリガール」のライフスタイルは、若い女性の間で広がりつつあり、TikTokやInstagramなどのソーシャルメディアには、森を歩いたり、ビーチや部屋でリラックスしたり、本を読んだりする彼女たちの動画がアップロードされています。
*注「ガールボス」とは、主に若い女性の起業家や、職場での女性管理職など、リーダーシップを発揮する女性を指す言葉です。自信を持って積極的に成功を目指す姿勢や、フェミニズムの文脈で女性の社会進出を称賛する意味合いも含まれます
そして、「静かな退職」や「カタツムリ女子」は、昔とは異なる新しい働き方であり、日本でも少しずつ認知され始めています。
「静かな退職」や「カタツムリ女子」という価値観は、従来の「仕事中心の人生」から、「自分らしさ」や「心の安定」を重視する生き方への移行を象徴しています。特に若い世代を中心に、キャリアの成功だけでなく、プライベートの充実や精神的な余裕を求める傾向が強まっており、企業側もこうした変化に対応した柔軟な働き方を模索する必要があります。
エンゲージメント、well-beingの働き方を益々、現実的に取り組むことが求められている時代になっているように感じています。
初回訪問で『この人から買いたい!』と思わせる雑談術
2025年8月9日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今月のテーマは「初回訪問で『この人から買いたい!』と思わせる雑談術」です。営業で初回訪問した時など、雑談に困った経験はないでしょうか?お客様もそうでしょうが、お互いまだ探り探りで、本題に入るまでの時間が少し緊張しますよね。「雑談」を効果的に使ってビジネスを進める方法を共有いたします。
まず、前提として雑談といっても、ただの世間話ではありません。
ビジネスにおける雑談の目的は、お客様の心のガードを下げ、「この人と話すのは楽しい」「信頼できそう」と感じてもらうことです。
では、どんな雑談をすれば、お客様の心のガードが下がるのでしょうか?
① 相手の“日常”にアンテナを立てる
初回訪問では、相手の仕事や立場よりも、まず“人”としての一面に目を向けることです。
・天気やニュースの話題に、その地域ならではの視点を加える
・デスクや会議室にある小物や写真に触れる
・最近の出来事(会社の周年記念やイベントなど)を事前に調べて話題にする
こうした話題は「自分に興味を持ってくれている」と感じてもらいやすく、距離感を縮めます。私もしていましたが、初めてお客様のオフィスに通していただいた時は、ぐるっと部屋の中を見まわしていました。社是や理念が掲げてあったり、古い写真や表彰状、感謝状、なかにはゴルフコンペの優勝トロフィーが飾ってあったり。それらは全てお客様が大切にされているモノです。話のネタとして振れない手はありません。必ず雑談の中でお尋ねします「これなんですか?」。すると快く話してくださるはずです。これがアンテナを立てるということです。
② 「質問+共感」で会話を広げる
雑談のコツは、話すよりも聞くことです。
特に初対面では、自分のことをアピールするより、相手に気持ちよく話してもらう方が印象に残ります。
たとえば、
「この観葉植物、すごく元気ですね。お好きなんですか?」
「お子さんの野球チーム、どのポジションをされてるんですか?」
相手が答えたら、「へえ、いいですね!」で終わらせず、さらに一歩踏み込んで尋ねます。
「実は私も○○やってたんです」と、自分の経験や感想を交えると、会話が双方向になりやすいです。
雑談が苦手だとおっしゃる方は、自分から話題を提供しないといけないと思い込んでいる方が多いです。相手の興味のある話題が分からない状況で話しを振り出すことができず、また自分の話しの引き出しにも限界があるため話が続かないのです。
それより、お客様が好んで話していただけることを、質問することによって引き出し、快く話していただく方がよっぽど楽で効果的です。
③ 雑談の終わり方も大事
雑談は長引きすぎると、かえって「何しに来たんだろう?」と思われかねません。
おすすめは、「雑談から本題への橋渡し」を自然にすることです。
例:
「そういえば、○○の話を聞いて思い出したんですが…実は今日ご提案したいのが、それに関連することなんです」
こうすると、雑談が単なる前置きではなく、本題への導線として機能します。自分の仕事や商談と関連しそうなキーワードを雑談の中に探しながら、進めることがポイントです。
以上、初回訪問での雑談は、単なる時間つぶしではありません。
①相手の日常に興味を持つ ②質問と共感で会話を広げる ③雑談から本題への橋渡しを意識する
この3つを押さえるだけで、「この人ともっと話したい」「この人から買いたい」という印象を残すことができます。
次回の初対面の場面で、ぜひ試してみてください。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
不安定という制度を輸出するアメリカ
2025年8月8日
早嶋です。1900文字。
一連のトランプ関税は、世界に「数字としての痛み」だけではなく、「予見できないという不信感」創り出し、そして輸出してしまった。それは、もはや政策ではない。制度としての不安定さだ。
自動車業界においては当初の25%関税が最終的に15%まで引き下げられた。見かけ上は緩和されたように見えるかもしれない。しかし、トヨタは営業利益1.4兆円減、GMとStellantisは70億ドルの負担を見積もり、フォードはたった1四半期で8億ドルを失ったことになる。トヨタに対しては、本来は下方修正するのは筋が通らないと思うが不確実な状態に対して保守的に計画を引き直していると推測する。トランプはディールの成果と誇るだろうが、実際は米国に対しての不確実性のコストを増長しているだけなのだ。
この波は、自動車業界だけでは終わらない。
トランプが次に目をつけたのは、半導体だった。輸入チップに対して最大100%の関税を課す構想を打ち出しつつ、「米国内で製造すれば免除する」という露骨なディール型の例外措置を設けた。対象はTSMCやサムスン、SK hynixなどだ。つまり、気に入った企業には免除を行い、そうでない企業には懲罰をとるという、恣意的な線引きがある。この構図の中で、世界のデータセンター建設コストは3%から5%上昇し、AIモデルのトレーニング費用も増大する見込みが報道される。冷却装置や高性能電源、建材の価格まで関税の影響を受けとなれば、次はAIを活用する企業全体、つまり、すべての産業にその波が向かうのだ。
話はそこでは終わらない。影響は、さらに広がる。いや、表現としては染み出していくが正しいと思う。
たとえば、製造業全般。部品の調達コストが不安定化し、短期の為替リスクと合わさり「原価計算ができない」という声が上がり始めている。金属加工や精密機械だけでなく、アパレルや日用品など、もはやすべてが輸入部材に依存している現代では、「想定していた粗利」が保てないのだ。トランプの頭の中はさておいて、世の中の商品はグローバルのサプライチェーンを無視して我々の手元には届かない複雑な仕組みの中にある。
物流業界では、保険料と通関手続きの複雑化が進むだろう。時間コストがジワジワと企業体力を削っている。その積み重ねは確実に物流の糞詰まりを起こし始める。アメリカに出荷するだけで、法務部が契約書を何度も書き直さなければならないし、その労力とコストは確実に積み上がる。「手間がビジネスモデルを壊す」という、新たな現実が既に始まっているのだ。
さらに波及するのは、建設業界だ。
鉄鋼・アルミ・銅の価格が乱高下する。契約から設計、施工、建設、受け渡しまで足が長い商売は、契約時と納品時のコスト差を予測するのが極めて難しくなり、なおかつが埋まらないことが目に見える。資材コストの読めなさは、現場にとって命取りになるのだ。だから、大規模プロジェクトは多大なるリスクを抱えることになるので、懸命なオーナーは保留の意思決定を増やしていくと推察できる。そして公共事業すら躊躇し始めるとなると、建築からはじまる街づくりの動きが鈍化するのだ。
人も、金も、動かない。これらは建機の需要を鈍らせ、運搬の需要が鈍化することで造船やタンカーの動きが鈍くなる。バタフライ・エフェクトではないが、一人の愚脳の政策が全てを停滞させることになる。
それはないだろうと思うところにも余波は届く。教育や医療だ。
教育機関では、海外からの研究機材、ラボ設備、コンピュータ関連機器の価格が上昇し、予算の組み直しが相次いでいる。医療現場でも、輸入医療機器や薬剤の価格がじわじわと上がっており、「研究費がある大学病院しか買えない機器」が増えてきた。ここに関税が乗ることで、地方医療は確実に割を食うのだ。
つまり、トランプ関税の本質は「気に入らないものを殴る政策」ではなく、「予測不能を常態化させる装置」に近い。企業はその装置と向き合わねばならない。投資は慎重になる。判断は保守的になる。結果として、多くのグローバル企業が下方修正に動く。その結果、株価が下がる。投資家が逃げる。資金調達が難しくなる。そして、ブーメランはアメリカ企業自身に最も大きく跳ね返るのだ。
なぜなら、世界の株式市場における時価総額上位のほとんどは、米国企業で構成されているからだ。結局、不安定を制度化すればするほど、自国の繁栄をも侵していく。トランプが破壊しているのは相手ではない。アメリカという信用そのものだ。
ウロボロス。あの、自分の尻尾を食べ続ける蛇。一見、勇ましく敵に噛みついているようでいて、実際に傷ついているのは自分自身。今のアメリカは、まさにその姿に重なって見えてしまう。
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新規事業の旅203 役員の覚悟と姿勢
2025年8月5日
早嶋です。
企業の新任役員に対して、どんな期待を託すか。10年以上のスパンで複数の役員やリーダー候補の育成に携わっている。その中で、トップのスピーチや想いから共通の考えがある。それは、単なる「役職」ではなく、「未来を形づくる当事者」としてのあり方そのものだ。
経営は、過去の延長ではない。特にこの10年は経営環境を読みにくい不安定な時代が続く。そのため毎日の意思決定を通じて、「未来」を定義する行為がとても大切になる。この文脈で、役員に求められるのは、単に業務を管理する能力ではない。未来に対して責任を持ち、組織全体を巻き込み、次の時代をつくる「姿勢」と「覚悟」だ。
(未来をつくる当事者)
全役員に必要なのは、「変化を待つ人」ではない。「変化を起こす人」だ。そして、最初に変えなければならないのは、自分自身だ。
AIによって、情報の収集や整理、分析にかかる工数は格段に減った。大概の質問や検索も、社員の誰かに聞くよりも自分で調べた方が早い。この数年で役員の対話相手はAIになり、基礎的な知識や概念を常にアップデートしながら情報の理解や収集から、意思決定は判断を行う役割に重きを置くようになる。
そのため判断軸を常に持つことが大切だ。そして、大いに迷うことがあると思う。多くの場合、考えあぐねいても成果はでないので、迷った場合は「感覚」で決める。そして実際に行動をする中で確かめるのだ。もちろん間違うこともある。そのため小さく初めて感触やあたりを確かめる。ある程度見えたら、一気に着火して燃やすくらいの覚悟で臨む。感触を探りながら進め、結果的に間違う場合もある。その際は、潔く誤り、自分の判断軸をアップデートするのだ。それが、誠実に、正直、そしてブレないことだと思う。
(高い視座と広い視野)
視点は「どこを見るか」、視座は「どこから見るか」だ。役員に求められるのは、より高いところから全体を見る力。つまり、部門最適ではなく、全社最適を考え抜くことだ。自部門の成功体験が、全社の進化を妨げることもある。過去の成功は、しばしば最大の障壁になるのだ。
だから、社外の人と積極的に付き合い、自業界の「常識」を疑うことも重要だ。次元をひとつ上げ、「社会」「顧客」「仲間・会社」「家族」「自分」という5つのステージで、自分の判断がどこに響くのかを意識する。役員の語る言葉は、その「次元」によって重みが変わるのだ。高い次元で語れば、周囲も自然とその気になると思う。
(人と組織の育成に尽くす)
企業とは、「法人格」だ。つまりは人間の集合体だ。そしてその人格を形づくるのは、「思いやり」の集積だ。そんな馬鹿なと思うかもしれないが、AIが進化して民主化したら、差別化は人でしかできない。そうすると人の育成は極めて重要になる。
社員は、納得して腹落ちすれば動く。トップの語る理念は、行動に落ちるまで何度でも繰り返し伝えなければならない。その意味では、企業理念や行動指針は、あらゆる判断の原点だ。たとえば「忠恕(ちゅうじょ)」を掲げる会社がある。他者への誠意と理解だ。その理念を掲げたら、言葉が空回りしないよう、日々の言動で示し続けるしかないのだ。
また、個人的な相談に乗るときは、判断を急がず「聞くに徹する」。役員の発言は個人にとって果てしなく重い。そのため安易に個人を評価・判断せず、まずは相手を理解することに努めるのだ。一方、組織としての決断が必要なときは、その理由と基準を明示し、一定以上のスピードが必要になる。この組織と個人に対しての傾聴のバランスと判断のスピードの変化は頭では中々理解できにくい分野だ。しかし、このバランスが、組織に信頼と納得を育てる。
(絶え間ない自身の成長)
役員は、企業の「成長」を引き出す立場だ。だが、その前提はいつも「個人の成長」にある。役員が学びを止めた瞬間、組織の未来も止まる。
驚くかもしれないが、一定数の役員が数字に苦手意識を持っているのも事実だ。当然だが数字を読めなければ経営はできない。未来を語るには、根拠と仮説が必要だからだ。定性と定量の両方でかたるのだ。想いも大切だがそこにはロジックもあってほしい。
「なんとなく」での判断は、誤解と混乱を生む。ここにも相手が一定の理解を示すロジックが必要になる。そのために、日々インプットを重ね、判断基準を言語化していくのだ。当然、そのような態度が、周囲を安心させ、動きやすい環境を構築する要因になるのだ。
経営には「正解」はない。しかし、「軸」は必要だ。それは知識やデータではなく、経験と思考の蓄積からしか生まれない。そしてそれが信用と信頼に変わるのだ。
(覚悟と行動)
役員は、「見られる存在」だ。言動、態度、表情、沈黙さえも、すべてがメッセージになる。従い、役員は企業理念を「語る人」であるだけでなく、「体現する人」でなければならない。社員は、役員の言葉ではなく、「背中」を見ている。
役職に就いた瞬間から求められるのは、「覚悟」と「行動」だ。未来を背負う当事者として、組織の前進に、誠実に向き合うことだ。それが、役員の使命であり、企業の未来を形づくる鍵となるのだ。
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新規事業の旅202 権威の終焉とオーセンティック・リーダーシップ
2025年8月2日
早嶋です。
かつて、情報は限られた人々のものであり、組織の中心に集められ、都合の良いように操作されていた部分もあったと思う。従い、何か不都合が起きたとしても、それは握りつぶされ、なかったことにされるのだ。情報の非対称性は、中央集権的な構造と相性がよく、権威による統制の温床でもあった。
しかし、今は時代が変わり、情報そのものが民主化された。誰もが自由に発信でき、簡単に記録でき、ネットにアクセスできる。SNSによる瞬時の拡散は、事実を押し込めることを不可能にした。そして皮肉なことに、昨今のニュースソースは内部からのリークが最も信頼される情報源となっている。
そうであれば、組織が進むべき道は明白だ。隠すことではなく、開くこと。否定することではなく、認めること。黙ることではなく、語ること。だ。
予定調和のシナリオで全てを進めることは、もはや幻想に近い。さらに、これまでと違い、誰もが対処したことが無い社会課題に取り組まなければならない。計画は大まかに立てても、そのとおりにはいかない。予測不能で、変化も激しく、方向性すら示すのが難しい。つまり、試行錯誤が必然であり、失敗はセットである。むしろ失敗をしていないといことは、その取組にチャレンジしていないことすら意味するのだ。
そのような背景を積み重ねれば、失敗そのものよりも、もっと大きな問題がある。それは「失敗を隠す行為」だ。嘘をつき、誤魔化し、逃げる。そこに芽生えるのは、否定的な感情と信頼の喪失。たとえ小さなミスでも、隠されることでその何倍もの悪影響を及ぼす。信頼は一度壊れると、簡単には戻らない。
一方、世の中は、まだ誤った権威主義的な発想で隠し通すリーダーがいる。未だに「記憶にありません」「確認中です」と言い張り続けるのだ。明らかに黒なのに、それを認めようとしない。むしろ、その嘘を抱えたまま、元のポジションにしがみつき続ける。透明性という時代の空気を1ミリも読もうとしない。そもそもその概念が無いのかもしれない。
ある意味、すごい。鋼鉄のメンタルだ。しかし、確実に時代遅れだ。今のような社会環境、時代背景で求められるリーダーシップは、オーセンティック・リーダーシップだ。
これから求められるのは、オーセンティック・リーダーシップだ。自分に正直で、誠実に人と向き合うリーダーシップ。失敗したら、すぐに認めて謝る。過ちがあれば、隠さずに明かす。未熟であることを、正直にさらけ出せる勇気。そして、周囲の信頼を土台にして進んでいく力。未来を切り拓くのは、「完璧なふりをする人」ではなく、「不完全さを引き受けられる人」だ。
対局は、権威型リーダー。完璧を装い、強さを見せる。立場、利益、上の顔色を伺い、悪いことは隠す、操作できると考える。信頼の源を肩書や実績においてしまっている。
繰り返すが、今、正解が見えない。正論や上からの命令だけでは、人はついてこない。そんなときは、「正しいかどうか」よりも、「この人の判断なら信じられる」という感覚が、人を動かす。その信頼の源は、本物(オーセンティック)かどうかだ。つまり、どれだけその人が「自分に正直に」「ごまかさずに」生きているか、の蓄積によるのだ。
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新規事業の旅201 未来と現実のギャップに苦しむテスラ
2025年7月31日
早嶋です。約3000文字です。
テスラ、ウェイモ、バイドゥ。3社が今後の自動運転の覇者になると思っている。どの企業も都市のOSとして設計と実装と実験を繰り返している。ただし、以前のブログで書いたように、彼らの戦略はそれぞれまったく異なる。いずれも移動手段ではなく、都市そのものの構造に関わる本質的なインフラとして扱う点は類似している。
Tesla(テスラ)だ。強みは、すでに世界中に100万台以上のFSD(自動運転支援)車両を展開する「実装スケールの圧倒的さ」にある。FSDは技術的にはレベル2からレベル3に留まるが、その代わり、走行中のユーザーから膨大なデータを回収し、リアルタイムでAIモデルに反映するというクラウド学習型の戦略を取っている。都市の整備や法制度を待つのではなく、「まず走らせる」。その中で学習と進化を続け、最終的には制度のほうが追いつく構図を作ろうとしている。つまり、テスラは「人間の行動とハードウェアそのものをOSに変えてしまう」という発想で世界を動かそうとしているのだ。
対して、Waymo(ウェイモ)だ。Google=Alphabet傘下の企業として、より公共的で慎重なアプローチをとっている。Waymoの自動運転は、精緻に作られた高解像度マップ、LiDARを含む複数のセンサー、そして都市ごとのインフラとの協調を前提に構成されている。すでにフェニックスやサンフランシスコ、ロサンゼルスなど複数都市で完全無人のロボタクシーが商業運行中であり、技術完成度としては世界トップレベルだろう。Waymoは、単に車を動かすのではなく、「都市に信頼される公共インフラとしての自動運転」を作ろうとしている。そこには、「人間を代替する」のではなく、「都市の信頼構造の中に自動運転を組み込む」という思想が貫かれている。
そして、中国のBaidu(バイドゥ)。ここが展開するApollo Goは、まったく異なるモデルを提示している。ここでは企業、国家、都市が一体となって、自動運転を戦略的に「都市の支配装置」として構築している。すでに北京、武漢、深圳など15都市以上で1,000台を超えるロボタクシーが稼働しており、完全無人での運行も一部都市ではすでに当たり前になっている。Baiduは専用設計のEV「RT6」を開発し、センサーやアルゴリズムも自社で統合している。だが、それ以上に重要なのは、この展開が「国家主導の都市設計」と連動して進められていることである。道路設計、通信インフラ、交通制度までもが、自動運転を前提に再設計されているのだ。中国の凄さは、中国版のGAFAMとも言える企業群、Baidu、Tencent、Alibaba、そしてBYDが重層的に関与する点だ。Tencentは地図やクラウドサービスを提供し、Alibabaは物流網を支え、BYDは車両を物理的に量産し、普及させる。これは単なるエコシステムではなく、自動運転を通じて「都市の統治構造」そのものを再構成するプロジェクトであり、それを支えるのが国家という構図になっている点だ。
まとめると、
– テスラは「スケールと分散学習」
– ウェイモは「都市との調和と制度的信頼」
– バイドゥは「統治と支配のシステム」
というように、それぞれが全く異なる思想で「未来の移動」を構築しようとしている。そしてどれも、単なる技術競争の話ではなく、「どのOSが都市を動かすか」という根源的な問いに対する、異なる答えなのだ。
さて、2025年7月現在、テスラが苦境に立っている。数字を見れば一目瞭然だ。2024年の第2四半期と比べて、2025年同四半期の売上は13%ダウン。営業利益は47%減少、そしてテスラの株価は年初から約30%下落している。さらに厳しいのが地域別の売上動向だ。米国市場では約13%の売上減、欧州では一部の国で45%以上の落ち込みが記録されているのだ。一見すると、この急落はイーロン・マスクの政治的スタンスが原因に思える。彼がトランプ寄りの発言を繰り返すことで、西海岸や東海岸に多いリベラルな優良顧客が距離を取り始めたのだ。実際、X(旧Twitter)では「#BoycottTesla」のタグもトレンド入りした。
しかし、本質はもっと深いところにあると予測する。テスラの停滞は、供給・技術・期待の時差によって起きていると思うのだ。
まず、新型車が出ていない現実がある。現時点でテスラは、モデルYとモデル3という「2枚看板」に依存している。モデルSやXは高価格帯のニッチ、サイバートラックはまだフル生産には至っていない。廉価版テスラの計画(いわゆるModel 2)は確かに発表されたが、発売は2025年末から2026年以降とされており、実際の販売数に貢献するにはまだ時間がかかる。つまり、「次に何を買うか」で迷っているユーザーに対して、今のテスラは新しい魅力を出せていないのだ。
もうひとつ、テスラの低迷を説明する大きな要因が、ロボタクシー構想の遅れだ。イーロン・マスクは以前から「完全自動運転によるタクシー(ロボタクシー)」の2024年投入を示唆していた。だが、2025年7月現在、そのプロジェクトはまだ本格的な展開には至っていない。テキサス州オースティンなどでFSD(Full Self Driving)v12による実験は行われているが、商業運用は未定だ。つまり、「イノベーションの先を見て買っている層」にとって、テスラは予告が先行し、実装が遅れているというフラストレーションを与えている。
さらに、2022年から話題になっている人間型ロボット(Tesla Bot / Optimus)もある。イーロンは「月に10万台規模の生産を目指す」と語っているが、2025年現在、Optimusはまだ社内での軽作業補助レベルにとどまっている。商業出荷のスケジュールも明言されておらず、「革命的な発表」から2年以上が経過したにも関わらず、目に見える成果がない。もちろん、これらは単なる遅れであって、テスラの技術力が落ちたわけではない。しかし、市場の期待値は高すぎた。未来のテスラを信じて株を買った投資家たちが、いま一斉に「期待を外された」と感じているのではないだろうか。
今回の株価や売上の落ち込みに、イーロン・マスクの政治的発言やXの保守化が影響していることは否定できない。だが、それは最後の一押しにすぎない。実際、EV市場全体がアーリーアダプターからレイトマジョリティへの壁に差し掛かっている。インフラ不足、リセールバリュー、バッテリーの寿命といった課題が顕在化し、次にEVを買う理由が曖昧になっている。その中で、テスラはモデルの陳腐化と技術ロードマップの実装遅延という二重の圧力を受けている。特にEUでは、補助金政策の転換も重なり、アーリー層の「買い尽くし」による成長の踊り場に直面している。それはテスラだけでなく、EV全体の構造的な課題でもあるのだ。
そのように整理すると、この状況こそ、未来の成長に対する割安な評価を生む好機なのだ。
– 廉価版モデルの投入(2026年目標)
– ロボタクシーの本格展開(2025年8月発表イベント予定)
– OptimusによるB2Bロボティクス市場の開拓
– そして、イーロン・マスク自身のブランド再構築(政治リスクのマネジメント)
これらが時差で積み上がれば、テスラは再び成長軌道に戻ると思う。とすると、今の株価は割安だ。期待と現実が一時的に乖離している今、冷静な投資家にとっては、もっとも美味しいタイミングなのだと思う。
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新規事業の旅 全集
2025年7月31日
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新規事業の旅(1) 旅のはじまり
新規事業の旅(2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(4) M&Aの成功
新規事業の旅(5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(6) 若手の教育
新規事業の旅(7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(9) 採用
新規事業の旅(10) NBとPB
新規事業の旅(11) 未だメーカーと称す危険性
新規事業の旅(12) 山の登り方
新規事業の旅(13) ポジションに考える
新規事業の旅(14) 経営陣のチームビルディング
新規事業の旅(15) 偶然と必然
新規事業の旅(16) キャズムを超える
新規事業の旅(17) 既存事業の市場進出の場合
新規事業の旅(18) アンゾフ再び
新規事業の旅(19) モノからコトへ転身できない企業
新規事業の旅(20) 自前主義の呪縛とイデオロギー
新規事業の旅(21) 現場とトップのギャップ
新規事業の旅(22) 売ってから始まる事業
新規事業の旅(23) 道具の使い方
新規事業の旅(24) 敵のコトを知りつくそう
新規事業の旅(25) キャズムを超えるまでのKPI
新規事業の旅(26) M&Aの勘所を押さえる
新規事業の旅(27) 仲介会社のビジネスモデルと買い手の事情
新規事業の旅(28) 動画サブスクの落とし穴と処方箋
新規事業の旅(29) 売り手のトラブルは売り手の無知から
新規事業の旅(30) OEは最早役に立たたない
新規事業の旅(31) ジョブと障害とキャズム
新規事業の旅(32) 需要と供給
新規事業の旅(33) ストレッチ目標
新規事業の旅(34) 複利の効果
新規事業の旅(35) 人間は機械の一部になる
新規事業の旅(36) デジタルの弊害を受け入れる
新規事業の旅(37) 会社を居場所に置き換える
新規事業の旅(38) システム化された社会
新規事業の旅(39) 金融リターンではなく事業リターン
新規事業の旅(40) サービス業の苦悩
新規事業の旅(41) 3つの財布
新規事業の旅(42) グループ企業の試練
新規事業の旅(43) 思考と行動
新規事業の旅(44) デジタルバッジ
新規事業の旅(45) デジタル化とOC
新規事業の旅(46) ジョブ発見のコツ
新規事業の旅(47) 器と魂
新規事業の旅(48) Z世代の高級品
新規事業の旅(49) アニメ界のSPA企業が覇者になる日
新規事業の旅(50) PBR1割れの衝撃
新規事業の旅(51) 新規事業の創造3つの方向性
新規事業の旅(52) 別の視点で見るイノベーションのジレンマ
新規事業の旅(53) 新規事業のベストミックス
新規事業の旅(54) サーキュラーエコノミー
新規事業の旅(55) PBR1割れを考える
新規事業の旅(56) 情報の民主化と経済格差
新規事業の旅(57) セキュリティの今後
新規事業の旅(58) サステイナブル経営
新規事業の旅(59) Z世代のアプローチ
新規事業の旅(60) ドローン事業
新規事業の旅(61) ノンカスタマー
新規事業の旅(62) プランB
新規事業の旅(63) Z世代
新規事業の旅(64) 小売とマーケティング
新規事業の旅(65) 高齢者をターゲットにした事業
新規事業の旅(66) ベンチャーキャピタルの実態
新規事業の旅(67) 新規開発の落とし穴
新規事業の旅(68) 覚悟を持って取り組む
新規事業の旅(69) 売れるモノが良いもの
新規事業の旅(70) 性善説と性悪説
新規事業の旅(71) 保身に走らない
新規事業の旅(72) 中国リスク
対立を望まない
新規事業の旅(73) サステナビリティ経営
新規事業の旅(74) ストックオプション
新規事業の旅(75) ゼロイチとM&A
新規事業の旅(76) TAM/SAM/SOM
新規事業の旅(77) 近くと遠く/全体と細部
新規事業の旅(78) 逆境を乗り越えるリーダー
歴史は繰り返す
新規事業の旅(79) ラストイチマイルの柔軟思考
新規事業の旅(80) 業務提携と資本提携
新規事業の旅(81) 部下の視点と視野の狭さはあなたの鏡
新規事業の旅(82) バックキャスティング
新規事業の旅(83) ペット保険にAmazon参入
新規事業の旅(84) ベンチャー企業
衝動買い合戦
新規事業の旅(85) 生成AI1年目の誕生日
グランドセイコーのブランディング
新規事業の旅(86) スケールする前後の組織
新規事業の旅(87) 無線給電
新規事業の旅(88) よく見る風景
新規事業の旅(89) ダイナミックプライシング
新規事業の旅(90) 提携と出資
新規事業の旅(91) アパホテルのプライシング
新規事業の旅(92) コカ・コーラのダイナミックプライシング
新規事業の旅(93) アップルのゴーグル型端末
新規事業の旅(94) 通年採用のススメ
新規事業の旅(95) 情シス事情
新規事業の旅(96) オープンイノベーションの打ち手としてのCVC
新規事業の旅(97) 今後のマーケティング
新規事業の旅(98) エフェクチュエーション
新規事業の旅(99) 2世と3世
そのショッパー有償ですか?
新規事業の旅(100)自分事と他人事
新規事業の旅(101)最近の経営企画
新規事業の旅(102)ドーミーイン
新規事業の旅(103)誰もわからない
新規事業の旅(104)運とリスク
新規事業の旅(105)経済的なインセンティブの大切さ
新規事業の旅(106)スタートアップと採用
新規事業の旅(107)エクイティにおけるインセンティブ
新規事業の旅(108)イノベーションとCVC
新規事業の旅(109)書店の敵は私学進出(アマゾンじゃなかった)
ファイナンス関連の書籍
新規事業の旅(110)30年の停滞
新規事業の旅(111)30年停滞の要因
新規事業の旅(112)30年停滞からの学び
新規事業の旅(113)ワイガヤ再び
新規事業の旅(114)地域を盛り上げる前の分析の視点
安部修仁語録
2代目ジャパネットタカタ
経営者QA 事業承継の際の覚悟、組織からの協力のポイント、大きな決断の覚悟の背景
経営者QA リーダーシップ 育成
新規事業の旅(115)足るを知る
新規事業の旅(116)継続は力なり
新規事業の旅(117)実践の妨げとなる心の豊かさ
新規事業の旅(118)学習性無力感
新規事業の旅(119)学習性無力感を克服するアプローチ
新規事業の旅(120)実践は時間と努力の変数
新規事業の旅(121)必要は発明の母
新規事業の旅(122)アントレプレナーとイントレプレナー
新規事業の旅(123)人事異動の落とし穴
新規事業の旅 (124)マネジメントの共通認識
新規事業の旅(125)高尚なパーパスの落とし穴
新規事業の旅(126)トレランスと遊び
新規事業の旅(127)行動しないことの考察
新規事業の旅(128)先延ばし
新規事業の旅(129)ベンチャー企業と中小企業
新規事業の旅130 設立から上場までの物語
新規事業の旅131 台湾事情2024その1物価
新規事業の旅132 台湾事情2024その2背景
新規事業の旅133 台湾事情2024その3再び物価
新規事業の旅134 北海道事情2024
新規事業の旅135 不祥事の元祖と原因と対策
新規事業の旅136 スタートアップと大企業
新規事業の旅137 提携や資本業務提携の契約
新規事業の旅138 LLCとKK
新規事業の旅139 やり抜けない人材排出の背景と打ち手
新規事業の旅140 創発する組織の会議
新規事業の旅141 高級時計ブランドのはじめ方
書店の敵は私立進学志向(アマゾンじゃなかった!)
新規事業の旅142 グリーンファンド
エアラインの業界構造
新規事業の旅143 アニメ産業の現状と課題
新規事業の旅144 勘違いをぶっ壊せ
新規事業の旅145 テーマパーク
新規事業の旅146 自分と部下の育成方法
新規事業の旅147 ハルメクに学ぶ新規事業の初め方
新規事業の旅148 観光公害と言わないで正面から向き合う
中東情勢の理解
新規事業の旅149 世代ごとの消費の特徴
新規事業の旅150 リユースマーケット
新規事業の旅151 価格と向き合う
新規事業の旅152 人的資本経営
新規事業の旅153 脱東京で成長を加速する
新規事業の旅154 オールドメディアの終焉
新規事業の旅155 マーケティング(2Cと2B)の基礎理解
新規事業の旅156 若手とベテランの壁
新規事業の旅157 NDAを結ばない時
新規事業の旅158 小規模農業者向けの流通プラットフォーム
学びの意味
新規事業の旅159 車社会
新規事業の旅160 消費と浪費
新規事業の旅161 ストア派哲学
新規事業の旅162 単一と統合の生態系
新規事業の旅163 問題設定の大切さ
新規事業の旅164 脇毛とマーケティング
新規事業の旅165 アメリカの終焉
新規事業の旅166 新しいことのはじめ方
新規事業の旅167 支援と投資のスタンス
新規事業の旅168 中国は金融戦争を仕掛けるか
新規事業の旅169 重要な取組が出来ない構造
新規事業の旅170 AとBのジレンマの処方箋
新規事業の旅171 増加する組織再編
新規事業の旅172 青を焼くか、重ねるか。文化と技術の対話の先。
新規事業の旅173 次の時代の生存戦略
新規事業の旅174 コメ価格高騰の裏側と、これからの日本の米市場
新規事業の旅175 ガソリン価格の高騰の本質
新規事業の旅176 民主主義が絶対主義になる時
新規事業の旅177 ポッドキャストの未来
最近の考古学の研究成果
新規事業の旅178 企業が思考停止に陥る理由とジョブローテーションの制度疲労
新規事業の旅179 生成AIがかえる都市の機能とカタチ
宗教改革から500年
新規事業の旅180 昭和100年
TSMCがもたらした変化
新規事業の旅181 グループ再編の現場の理想とリアル
新規事業の旅182 地方タクシー会社の未来
新規事業の旅183 PMIの失敗要因
新規事業の旅184 植物カルチャーの進化と熱狂の正体
新規事業の旅185 両利きの経営と時間をつなぐ仕事
新規事業の旅186 米問題に関する構造的課題とその処方箋
定着こそ最強の採用戦略クリニックが人を育成するためにすべきこと
新規事業の旅187 ブランドの3要素と成長戦略
新規事業の旅188
新規事業の旅189 少子高齢化と倫理の断絶
新規事業の旅190 アニメ業界における版権主権モデル
新規事業の旅191 シンギュラリティの隠蔽と創造の円環
新規事業の旅192 医療法人の運営と実態
新規事業の旅193 書く行為から見る未来
新規事業の旅194 個人が主導する情報時代の到来
継続は力なり
新規事業の旅195 モビリティ支配権をめぐる争奪戦
新規事業の旅196 ホワイトカラーの再変遷とAI時代の組織デザイン
新規事業の旅197 知識労働にもスマイルカーブ
新規事業の旅198 「貢献」と「利他」のあいだ
新規事業の旅199 「横の関係」が通じないときのリーダーの振る舞い
新規事業の旅200 MBOとOKR
虚構の政治
新規事業の旅201 未来と現実のギャップに苦しむテスラ
新規事業の旅202 権威の終焉とオーセンティック・リーダーシップ
新規事業の旅203 役員の覚悟と姿勢
不安定という制度を輸出するアメリカ
日本版・選挙推し活モデル
新規事業の旅204 ヒューマノイドの今後の考察
新規事業の旅205 ポッキーの立体商標
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新規事業の旅207 ソフトバンクがインテルに出資する理由
新規事業の旅208
新規事業の旅209
(時にまつわるブログ)
スイス産業とその歴史・その1
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腕時計とリトルハイア
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時計の動きに注目
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選択と集中・発散と自立
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エネルギー源は健康と愛
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近年の社会的変化
視点
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父曰く
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ビックベン
色の所有
ペルソナとイメージング
脳のウォーミングアップ
導線
ペルソナ
ブランドコントロール
プロダクト・プレイスメント
パルミジャーニとエルメス
【動画】25年度SDGsリーダー育成コース
2025年7月26日
※本ページは、2025年度3期生SDGsリーダー育成コース参加者向けです。
25年度3期生のSDGsリーダーは、必要に応じて以下の動画を視聴の上、当日の研修に参加ください。
(リーダーシップ関連)
リーダーシップについての概論
リーダーシップの概論について理解を深めてください。こちらはマネジメントシリーズの一部です。SDGsリーダーとして、自分がどのように取り組むかを考えながら視聴すると効果的です。
新しい取組を始める際のマインドセット
新規事業担当者向けに作った動画ですが、新しい取組を始める際のマインドセットにも最適です。SDGsリーダーとして、これまでと異なる取組を行います。その際の考え方や心の持ち方の参考に視聴ください。
リーダーシップの基礎
リーダーシップの概念、他人に影響を及ぼす源泉や根底にあるもの、リーダーが注視する3つの行動、変革時のリーダシップの特徴、今後のリーダシップについて整理しています。SDGsリーダーとして一歩を踏み出した今、改めてリーダシップの基本を理解する目的で視聴ください。
(問題解決関連)
事例と概論
問題解決の考え方を理解するための概論です。事例を通じて全体の流れを把握してください。
問題
問題の定義を理解してください。
課題
問題を細分化して、問題を引き起こす犯人を突き止める。その後に、因果関係を把握して課題を発見する考え方を理解します。
解決策
課題を解決するための解決策の立案の仕方について説明します。
(論理思考関連)
論理思考の活用
思考のあり方について整理しています。
問題解決思考
再び、問題解決を行うためのポイントを整理しています。
ゼロベースで考える
問題解決を行う際に、問題を特定せずに、いきなり現象をみて解決策を思いつくケースが多々あります。それを防ぐための考え方を整理しています。
モレなくダブリなく考える
問題を特定した後に、問題を細分化する「どこどこ分析」、特定した要因の中で問題を引き起こす因果に対して「なぜなぜ分析」をしながら課題を特定する。その際に、網羅的に整理する考え方を整理しています。
仮説を立てて考える
全ての情報が集まる場合が少ないです。その場合、仮説を設定して、それを前提に思考を前に進みます。その際の考え方を整理しています。
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