
バックキャストから自分(自社)の未来戦略を考える
2022年8月4日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回は番外編です。先日参加したビジネススクールの講義の中で、私の印象に残ったエッセンスをご紹介いたします。テーマは「バックキャストから自分(自社)の未来戦略を考える」です。
講義全体の趣旨は、イノベーションの概要を学ぶものでした。参考までにイノベーションの定義は様々ありますが、シュンペーターはイノベーションを、「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合すること」と定義しました。私なりに解釈すると、「これまでにないモノを生み出し、世の中にインパクトある変化をもたらす」とでも言いましょうか。
さて、自分(自社)が今後の戦略をどのように考えればいいのか、これも様々な考え方、取り組み方があります。多くの場合、現在行っている事業、商品サービス、仕組みなどをその時々の世の中の変化に合わせて変えていくのではないでしょうか、つまり現在の延長線上です。例えば、コロナ禍で来客数の減った飲食店が、テイクアウトを始めるような取り組みです。商品(食べ物)は変わらないけど、提供の仕方を時世に合わせて変化させたということですね。
今回取り上げる「バックキャスト」という思考法は、このように現在の延長線上に戦略を考えるのではありません。バックキャストは、まず望ましい未来を考え、そこから逆算してそれを実現するためどうすればよいか、と戦略を考えます。バックキャストの逆は「フォアキャスト」と言い、現在置かれた状況を起点に、そこから起こりうる未来を探索する思考法で、先ほどの飲食店が例えです。
バックキャストでは、望ましい未来とは?から考えますので、現時点に縛られることなく自由に発想できますし、それゆえ大きな変革や変化が激しい時代には有効な思考法だというのは納得できます。現在の延長線上を創造するのと違い、「どうすればこの望ましい未来を実現することができるのか?」と頭をひねりますので、思いがけない発想や突拍子もないアイデアが浮かぶ可能性があるのです。これならイノベーションを起こすこともできる考え方だと腑に落ちました。
当日の講義では受講生が3チームに分かれ、それぞれ「衣・食・住」の10年後の望ましい未来を創造しました。そして、その「望ましい未来」と「現状」とのギャップを導き出し、そのギャップを自身の会社や仕事に当てはめてみるというワークショップを行いました。
例えば、「食」についてはこの様になりました。
10年後の「食」は、「肉はほとんど合成肉になるだろう」、「菜食主義が一般化しているだろう」、「地産地消が増えるだろう」、「デジタル技術で簡単調理が流行るだろう」などの未来イメージが出ました。それに対して、現状は「低コスト大量生産に依存している」、「肉などの動物性たんぱく質が主菜である」、「鮮度を保ちながら物流することを重視する」などの認識があります。未来と現状のギャップは「生産と消費の境界がなくなる」、「個性がより尊重される」、「デジタル技術が実生活に浸透」、「グローバルからローカルへ」と導き出されました。
この未来と現状とのギャップを、自分(自社)を取り巻く環境に当てはめるとどうなるでしょ?ということを各チームが最終発表しました。
例えば、自社は現在グローバルサプライチェーンの中で大量生産・大量消費・大量廃棄するビジネスをしているが、グローバルサプライチェーンは急激に衰退するだろうから地産地消の仕組みを考えてみよう、とか、安定した正社員が良いという価値観から個性重視の自由で自分らしい働き方を望む人が増えるだろうから雇用形態が激変するなどの意見が出ていました。
望ましい未来として世の中がそのように変わることが予想されるならば、その未来に対して自分(自社)はどのように変化を起こしていけばいいのだろう?どのような未来の戦略を立てればいいのだろう?と、バックキャストの思考法で考えるよい機会となりました。
コロナ収束がいまだ見えず、不確実性が増すばかりの昨今です。個人も企業も先が見えず不安に感じることも多いのではないでしょうか。そんな時だからこそ、バックキャストの思考法を取り入れ、望ましい未来を創造しそれを実現するために今、何をすべきかを考えることが重要だと感じます。大切なことは「将来どうすれば実現できるか」とあきらめずに考えること、またそれを実現するために今できることから行動すること。普段の生活でも営業活動でも同じことだと思います。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
3つのパラダイムシフトと成功循環モデル
2022年8月3日
安藤です。
今回は、「3つのパラダイムシフトと成功循環モデル」です。
近年、マイケル・ポーターが、CSV(Creating Shared Value)、社会との共通価値の創造)を提唱しています。CSV(Creating Shared Value「共通価値の創造」)は、
企業が社会課題や問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的な価値も創造されることを意味します。
従来、経済効果と社会的価値の創出は相いれないものだと考えられてきました。しかし、その問題に対して両者の両立、ひいてはお互いがお互いを高め合う状況を目指すのがCSVといわれています。
平均寿命100年となる時代に、すべての人が「学び、つながり、成長し続ける人生を生きる」ために、社会システム全体が転機を迎えています。
ここでは、斎藤徹著のインターネットの時代、「3つのパラダイムシフト」について紹介いたします。
テクノロジーがもたらした3つのパラダイムシフトについて、
① ゲームのルールが変わった「デジタルシフト 1995年~」 顧客の幸せを探求し、常に新しい価値を生み出す「学習する組織」
② 人々の関係性が変わった「ソーシャルシフト 2008年~」 社会の幸せを探求し、持続可能な繁栄をわかちあう「共感する組織」
③ 一人ひとりの生き方が変わった「ライフシフト 2020年~」 社員の幸せを探求し、多様な人が自走して協働する「自走する組織」
こうした社会の変化が、組織に大きな影響を与えてきています。
価値を生む源泉が、効率性から創造性にシフトしていくと、それを実現する組織についても、「お金視点」から「幸せ視点」へとシフトが変わりつつある。といわれています。
デジタルシフト | ソーシャルシフト | ライフシフト | |
---|---|---|---|
開始年 | 1995〜 | 2008〜 | 2020〜 |
変容したもの | 事業のルール (場所と情報) |
関係性 (資本とつながり) |
生き方 (多様性と包括) |
新しい価値観 | アイデアだけで 起業できる |
持続可能な繁栄を わかちあう |
多様な生き方を 受け入れる |
繁栄するカギ | 技術とスピード | 共感と信頼 | 自立と対話 |
衰退する企業 | 既得権益に多様る企業 | 強欲な企業 | 統制する企業 |
求められる組織 | 学習する組織 | 共感する組織 | 自走する組織 |
幸せの視点 | 顧客の幸せ | 社会の幸せ | 社員の幸せ |
ライフシフトでは、「自走する組織」が挙げられていますが、組織だけでなく、労働者にも「自走する人生」が求められています。
人生100年時代には、40代半ばから定年後の自身の自走人生を見据えてキャリア形成が必須となってきています。
また、幸せの視点からは、「社員の幸せ」から経営、マネジメントを考えていく時代に突入してきています。
自走する組織には、リーダーシップもシェアードリーダシップ※へ、そして、内発的動機付けをどう促進していくか、その為には「働きやすい職場づくり」をどう構築していくのか。組織にとっても必然とテーマになってきました。
※シェアードリーダーシップとは、チームに所属するメンバーが個々に影響力をもち、リーダーとしての役割を担うことをいいます。
環境が変化しやすいVUCA(ブーカ)時代においては、複数人がリーダーシップを発揮し、多様な考え方や価値観に基づいて業務を行なうことが有効とされています。
働きやすい職場づくりには、組織モデルとして、ダニエル・キムが提唱した「成功循環モデル」が挙げられます。
成功循環モデルとは、『 ①関係の質 ⇒ ②思考の質 ⇒ ③行動の質 ⇒ ④結果の質 ⇒ ⑤関係の質 』 のことです。
① 安心・安全の場で率直に話し合える場をつくり、信頼関係を築く ⇒ ② 前向きな気持ちになり、いいアイデアが生まれる
③一人ひとりが自律的に行動し、問題がおきたら助け合う ④自然にパフォーマンスが高まり、成果がでる ⑤組織への帰属意識が高まり、さらに結果が深まるです。
関係者の共感を得て、みんなで「成功循環モデル」を創っていくには、まずは、「関係の質」が基本です。
そこには、以前も何度かテーマにしていますが、「関係の質」を高めるには、「心理的に安全な場づくり」がキーとなってきます。
そして、「心理的に安全な場づくり」は、それぞれの立場・役割を超えて、人として “対話”しながら取り組むことからスタートすると思います!
参考資料:斎藤徹著「だから僕たちは、組織を変えていける」
何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。
電力が「や・ば・い」
2022年8月3日
◇DXへ3つの不足
原田です。
DXにWEB3、ますます高度な情報化社会へ拍車がかかっています。こうしたなか、その実現を妨げる3つの不足があります。それは「人材」、「半導体」、そして「電力」です。これからどうも「電力」がやばそうです。
人材に関しては特にAI関連の人材が不足しています。大手企業はリスキリングに力を入れています。新聞やビジネス誌の記事を読むと、かなり手厚い待遇です。給料をもらいながら、最新の知識を存分に勉強できるなんて、しかもその知識を使える場所があるなんてうらやましい限りです。AI人材は世界で引っ張りだこで、多く若い人たちがこの分野へ進んでいます。さらに中高年への教育体制も整備されています。ある程度、不足感は減っていくかなと思います。
半導体は現在あらゆる機器に組み込まれています。それもプログラムを実行するだけの単純なものでなく、高性能、小型化、低電力消費、高耐久性が求められます。半導体不足の原因は実に様々要因が複合的にからみあっています。コロナ禍によるリモートワークの進展も大きな一つの要因だっと思います。それでも半導体は需要があれば、供給が増えるので、いずれは解消されると思います。
そしてこれから本格化するのが電力の不足です。日経ビジネスの記事で、国立情報科学研究所の教授が「5年ほどしたら、動画配信やメタバースに制限がかかる可能性がある」と警報を鳴らしていました。これまでのように、思う存分に動画を観たり、ゲームで遊んだりできなくなるかもしれません。当然、仕事にも影響はあるでしょう。
◇増加する電力消費
現在、ウクライナ情勢の影響もあり世界的にエネルギー価格が高騰しています。日本でも冬にはかなりの電力不足になりそうです。世界的にカーボンニュートラルへの取り組みが進むなかで、昔のように化石燃料には頼れません。だからといって日本の場合、原子力発電の割合を高めるのも、議論がまとまらないような気がします。
このような背景のなかで、我々が使う一人当たりの電力は年々急激に上昇していると思います。思いますというのは正確なデータを測ることができないからです。
スマホで映画を観るとき、消費する電力はスマホのバッテリーだけではありません。大量のデータを処理するために、ネットワークの向こうでは、様々な通信機器、そして巨大なデータセンターにある高性能のコンピューターが稼働しています。こうして考えると我々が実際に必要とする電力はかなりのものになると思います。
科学技術振興機構は、2021年の発表で、ICT関連の消費電力の著しい増加を予測しています。30年までに、データセンターで6.4倍、ネットワークで4倍に増加するそうです(18年と比較)。インターネットのトラフィックも年率20%を超えて増加しています。その半分は動画配信です。当然、その割合が高いのは、みんなが大好きな「YouTube」と「ネットフィリックス」です。
◇スケールが違うビットコインの電力消費
さらに、すごいのが、ビットコインのマイニングの消費電力です。ビットコインの仕組みがわからないとピントこないかもしれません。ビットコインでは、複数の民間の事業者がマイニングという作業を行います。このマイニングを行う事業者は営利を目的とし、高性能をコンピューターを所有しています。このコンピューターの電力消費も半端ないのです。
ここで突然、中央アジアのカザフスタン共和国が出てきます。カザフスタンは、ビットコインのマイニングに国家として協力的で、電力も安いため、マイニングを行う会社が集まっています。中国でマイニングを禁止された会社も相次ぎ流入しています。結果として世界第2位のマイニング電力消費国家となりました。電力消費の増加率が21年は8%という以上な伸びでした。カザフスタンでは原子力発電の新設を検討し始めているということです。
仮想通貨はビットコイン意外にも、様々な種類のものが出てきています。その基盤となるブロックチェーン技術は、これからのWEB3の時代へ向けてより多くの分野、用途で使われることが想定されます。
ますます使われる電子機器が高性能になり、使われるデータが増加し、消費する電力も増加していきます。こうした背景の中で、化石燃料には頼れず、簡単に原子力も使えないのです。カーボンニュートラルへの取り組みもまったなしです。本当にいったいどうするのか、だれか真剣に考えているのかなーと思います。
◇来たるべき電力不足に向けて
これまで多くの企業ではDX化に向けて、人材、半導体の不足に悩まされてきました。それが近い将来、慢性的な電力不足に悩まされることになりそうです。
ではどうすればいいのか?大企業であれば再生可能エネルギーを使った発電設備を建設すればいいかもしれません。でもそこまでの投資ができるのは、世界でもごくわずかの企業です。中小企業は手の内ようがないのでしょうか?
電力不足への対策は、時短とリモートです。短い勤務時間でも生産性が上がる仕組みを作ること、そしてリモートを進めることです。電力不足が深刻化すると、夜間の電力消費に制限がかかると思います。これまでのように夜遅くまでみんなで集まって働くことは難しくなると思います。コロナ禍の行動制限がなくなったあとには、電力不足による行動制限があるかもしれません。
時短とリモートは地味な取り組みですが、他に決定的な方法はありません。でもこの2つをうまく取り入れれば、企業の生産性は向上します。たとえ深刻な電力不足が起こらなくても、その取り組みは企業のメリットになります。電力不足が本格化する前に、本気で取り組む必要がありそうです。
新規事業の旅 その11 未だメーカーと称す危険性
2022年8月3日
早嶋です。
前回、NBとPBで顧客接点を持つ販売店やECサイトが力を増し、上流工程のNBを保持するメーカーに対して自社のPBの製造依頼をする小売業が強くなり、立場が逆転する話を書きました。今回は、この取組を法人ビジネスに当てはめてみます。同じことが言えるのです。
(エンドの声が聞こえないメーカー)
まず、メーカーの成り立ちを考えてみます。メーカーですから、社会課題に対して何らかの解決策を商品(製品・サービス・技術)で解決する事を考えます。そのため起業するメンバの多くが商品を企画して実際に形にするチームです、いわゆる技術屋さん、モノづくりを主体とするチームです。当然、企画立案したアイデアが直ぐに形になることは無いので、思考錯誤をしながら商品開発を進めます。
起業したチームは潤沢な資金があるわけではないので、常に資金繰りに奔走します。商品化は時間がかかり集めたお金も瞬時になくなる。そのような産みの苦しみが常に続きます。そして漸く商品が完成しても、売れません。商品化に力点を起き、マーケティングして顧客にアプローチすることを考えていないからです。社長がたまたまトップセールスができれば良いですが、その力が無い場合は、売ることが得意そうな企業に販売をいたくします。早く商品を販売してキャッシュを稼ぎたいのです。
とここまで考えてみると、メーカーはモノづくりをするこに力点を置く。販売やその後のフォローは時系列で考えるとだいぶ後の取り組みなので、初めから考えません。実際は、考えてスタートしていると思いますが、商品化がうまくいかず、時間がかかってしまい、キャッシュフローが途絶えて資金繰りが苦しくなると、兎に角商品化に資金をつぎ込み、販売やその後のフォローなどを考える余裕がなくなるのです。
そのため世の中には販社や代理店が沢山存在しているのでしょう。昔は、商品を企画して製造する上流工程が力を持っていました。市場が商品を欲しており、商品を出すと売れたからです。しかし、今はあらゆるものが充足しているため、そんじょそこらのイノベーションでのひねり出さない限り大変です。まず売れません。そのため徐々に販売やマーケティングが強い会社が事業の主流のようになり、メーカーの販売をサポートしていました。そしてスマフォが普及して、皆がSNSで気軽に連絡を取れる昨今、顧客との関係性が強い企業が強くなるのです。
(メンテナンスが強くなる)
法人企業も同様に観察できます。メーカーは、研究と開発が仕事の花形でした。従い、営業や商品のインストールといった現場に近い、顧客に近い仕事はどちらかと言えば、入社成績が低い方々が行く場所。という雰囲気がありました。少なくとも20年頃前は。現場は現場で、いつもインストール納期に追われるので、現場に収めて設置、あるいは機器の立ち上がりが確認できたら次の現場にむかいます。そのため、現場で実際のメーカーの商品が使われている状況を誰も管理していなかったのです。これも20年前。そこに、ようやくIoTやネットワークの技術が出てきた頃に、現場での使徒を監視することが最も価値のある取り組みだ。となるのです。
当然、横河電機やキーエンスのように、現場がすごく重要で、現場でのデータの蓄積を上流工程の研究や開発に活用することが将来の収益を生むことにつながる。という法定式を昔から大切にしている企業は、現場も自分たちの資本参加でフォローを続けます。しかし一般のメーカーはメンテナンス部隊は、地域の販社や下請け会社に委託して相変わらずものを開発しては売ることに精をだしました。
現場では、サイトやプラントを管理する責任者は2年から3年置きに責任者が変わります。メーカーが商品をインストールした数年は、メーカーマターでも定期点検でその商品の稼働状況を把握していましたが、時々現場の担当者が変わるたびに、徐々にメーカー指定の保守メンテナンスの関わりが薄くなり、自分たちで独自に管理するようになるのです。というのも現場の管理者は数年で現場を変わることが多く、そのために評価されるには、日常のメンテナンスコストをいかに安くするか?という極めて短期的な取組でしか考えなかったからです。その結果、現場サイトにどの商品が、どのような理由でインストールしているかを把握している人が極めて少なくなるのです。
しかし、現場ではトラブルがつきものです。現場のメンテナンスを引き受けている会社や地場の企業は、特定のメーカーのメンテナンス知識だけを持ってしてもトラブル解決はできません。そのため時間をかけてどのメーカーの商品がどのメーカーとコミュニケーションを行いながら、どの程度使われているかを体系化して蓄積していくのです。
そして、近年。ここに活路を見出したメンテンス企業は、施設のオーナーに対して、資産を最大限活用するためのアドバイスを現場の責任者ではなく、プラントの専任者、あるいは事業の責任者に対して提案するようになります。これまで断片的にしか現場の資産を把握していなかった事業の責任者は、プラントまるごとの運営ノウハウと知見を持っているメンテナンス屋さんの声は非常に合理的にうつるのす。
そして小売業よろしく、顧客データを握ったAmazonが上流工程に繰り出すように、B2Bの現場においても、メンテンス企業が上流工程のビジネスモデルを研究して、より良いソリューションを提案することができるようになるのです。これを40年前から行っている企業はキーエンスで、2,000億の売上に対して1,200億の利益を稼ぐ理由でしょう。
(データを取得できる技と経験)
現場が今後強くなる。メンテンスを行っている企業からすると嬉しいが、すべての現場やメンテナンス企業に当てはまるとは限りません。大事なことはまず、自分の仕事を完全に把握していることです。そしてクライアントから言われたこと以外に、相手の仕事内容を理解して、その上で相手のメリットを考える視点と行動を常に行うことが大切です。
例えば、メンテナンス企業といっても千差万別です。委託先のメーカーに、この部品をこのルール通り交換して。という指示をマニュアル通りに受けこなす企業は、常にメーカーからいくらで交換してという価格交渉にさらされます。この仕事にも一定の技術は必要ですが、ある程度の人材が経験を積めば誰でもできる仕事です。そのため競争する相手は一定数いるので、需給バランスやパワーバランスによってクライアントからの言い値を受けるしかありません。
今後、力を発揮する企業は、「なんで、この部品を交換する必要があるのか?」と考え、「この部品を活用している機構はどのような目的で、どのような運転をしているのだろうか?」とか、「プラントや設備はどのような人がどのような理由で経営しているのだろうか?」とか、その仕事の上流工程の取組や自分たちの仕事の下流工程の取組を理解しようとしている組織は、「だったらここまで我々が行うことで、上流工程の企業はもっとココに資源を集中できるのではないか?」「だったらそれらを提案しながら我々も価格交渉をしよう」と考える組織です。
現場や顧客接点に近い組織に価値がますということは、普段の取組から意識するだけではお金になりません。そのデータを集めて、分析して、それらをしかるべき相手に提案して納得いただいて、はじめて価値になるのです。しかし、そのような視点で取組提案ができる組織は、小売のAmazonのように顧客接点を基軸に上流工程のメーカーよりも力をます。ということも可能になるかもしれません。
新規事業の旅(その10) NBとPB
新規事業の旅(その9) 採用
新規事業の旅(その8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(その7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(その6) 若手の教育
新規事業の旅(その5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(その4) M&Aの成功
新規事業の旅(その3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(その2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(その1) 旅のはじまり
【動画】新任グループ長研修 2022年(NPC様向け)
2022年7月28日
本ページは西日本プラント工業様向けのページです。
新任グループ長研修にご参加の方は、以下の動画を視聴してご参加下さい。
Day1(8月26日)
Day1開催までに、以下の2本の動画を視聴下さい。動画はマネジメントの基礎(全6本)から抜粋して2本を選んでいます。当日の研修までに、新任グループ長として抑えておくべきマネジメントの基本的な考え方と、NPCを取り巻く経営環境における不確実な世の中への対応について整理しています。Day1の研修では、動画の内容を踏まえて、「自社の状況把握と経営マインドの養成」というタイトルで様々な視点から議論を行います。
マネジメントの基礎 概要(約17分)
マネジメントの基礎 不確実への対応(約30分)
Day2(11月25)
Day1の内容を受けて、各自アクションプランシートを作成して下さい。西日本プラント工業の5カ年計画を見据え、グループ長として直近1年間で実現する目標・ビジョンを具体的にした後、それらを達成するための6ヶ月先をイメージする。そして、直近の6ヶ月の行動プランを策定してください。行動プランは、実際に9月、10月、11月を実施した上で、Day2の研修に参加下さい。行動プランを作成するにあたり、以下のマネジメントの基礎の方向性、行動、能力、リーダーシップを参考下さい。
マネジメントの基礎 方向性
マネジメントの基礎 行動
マネジメントの基礎 能力
マネジメントの基礎 リーダーシップ
なお、「在りたい姿」と「現状のギャップ(問題)」から「課題」を見出して「解決策」を考える手法の補足説明が必要な方は、以下の問題解決の基礎を参考下さい。こちらの視聴は任意です。
問題解決の基礎 概論(10分)
問題解決の基礎 問題(11分)
問題解決の基礎 課題(14分)
問題解決の基礎 解決策(11分)
問題解決の基礎 計画と実行(7分)
【動画】アイチャレンジ・ワークショップ
2022年7月20日
本ページは、九電総研アイチャレンジ・ワークショップ向けのページです。
(4回目)
4回目の研究会は、8月8日に開催します。当日までに、現在のアイデアを、ピクト図とビジネスモデルキャンパス(BMC)に整理して持参下さい。研究会当日に、1回目と同様に講師がリードしながら内容の深堀りや発散を行います。
なお、以下の動画を事前学習の参考としてご視聴下さい。パスワードについては別途事務局の指示に従って下さい。
デザイン思考の基礎_観察(約26分)
こちらはデザイン思考の動画(全4本)の内、観察フェーズについて具体的な取組みや考え方について説明しています。
デザイン思考の基礎_試作(約17分)
こちらはデザイン思考の動画(全4本)の内、試作フェーズについて目的や取組み方について事例を交えて説明しています。
アイチャレンジでアイデアを創発してピクト図やBMCで議論をしながら、MVP(アイデアのたたき台)を使って、実際のユーザーや顧客候補、あるいは一緒に事業をすすめる可能性が高い利害関係者に説明します。そして同時にアイデアをブレストして、フィードバックを得ることで、更に自分たちのアイデアを精査して行きます。その際に、上記の「観察」と「試作」の動画は参考になります。
(1回目)
1回目の研究会、4月22日までに、現在のアイデアをブラッシュアップし、各々ビジネスモデルキャンパス(BMC)を作成下さい。今回は、BMCの精度は問いません。研究会当日に考え方を議論して理解を深めます。その際に、自分達のアイデアのたたき台があれば理解が深まりますので、そのための準備として捉えて下さい。
なお、以下の動画を事前学習の参考としてご視聴下さい。パスワードについては別途事務局の指示に従って下さい。
新規事業ビジネスの基礎(約40分)
本動画では、新規事業を立ち上げるまでの流れを確認頂きます。アイデア⇒ビジネスモデル⇒ビジネスプランの流れで説明しています。皆さんがゼロから新規事業を立ち上げるとしたら、「どのように活用するか?」と想定しながら視聴ください。
イノベーションの開発(約20分)
本動画では、そもそもアイデアをどのように創出するかについて解説しています。アイデアは異なる概念同士の組み合わせで出てきますが、その考え方を整理しています。実際に自社の強みを考えて、皆さんが想定する事業チャンスをイメージして視聴すると聞きやすくなると思います。
10億ビジネスを創る(約41分)
こちらの動画では、ビジネスモデルキャンパスの考え方を理解する目的で視聴ください。内容は10億の事業を創造するとしたら、どのような流れで考えるかについて整理しています。
【動画】グループ長研修(九電産業様)
2022年7月8日
本ページは九電産業様向けのページです。
8月2日の「中期経営方針の実践に向けた引率力向上研修」に参加する対象者は以下の動画を視聴して参加下さい。PWは別途事務局からの指示に従って下さい。
当日までに、以下の2本の動画を視聴下さい。動画はマネジメントの基礎(全6本)の内、2本を抜粋しています。マネジメントの基本的な考え方を整理した後、不確実な世の中への対応についてどうすべきかを議論しています。当日の研修では、動画の内容を踏まえて、中期経営方針の実現に向けて、
・参加者と講師で企業の使命や存在価値を改めて議論
・達成に向けた職場への具体的な落とし込み
・戦略的な思考と展開
について学びを深めます。
マネジメントの基礎 概要(約17分)
マネジメントの基礎 不確実への対応(約30分)
新規事業の旅 その10 NBとPB
2022年7月8日
早嶋です。
通常、ナショナルブランド(NB)と言えば、製造者(メーカー)が製品やサービスを開発して、その対象にブランドを付けた商品を指します。商品の研究、企画開発、製造までをメーカーが責任を持ち、販売以下の下流工程は自社もしくは関連会社やパートナーと一緒に市場に流通する商品が多いです。NBは全国の小売店で販売されるため、メーカーはこぞってその知名度を取るために広告宣伝活動に一定のコストをかけて認知と普及を目指しています。
NBの対局に相当するのがプライベートPBです。メーカーが商品を開発するのに対して小売業者や卸売業者が主体となって開発するブランドえす。日本では、セブンイレブンやダイエーのセービングなどが注目され、西友のPBであった無印良品はそれ自体がNBに昇華しています。
ここで、商品のサプライチェーンやバリューチェーンを見てみましょう。上流から、原材料、原材料の調達、製造、販売、卸、流通、販売、フォローと続きます。サプライチェーンが企業間で複雑に絡む場合は、各々のバリューチェーンに研究や開発や企画などの上流工程と広告宣伝やマーケティング、販売、アフターメンテナンスやフォローなどが入り込みます。
IT化が普及し始める前、およそ国内や世界的にスマフォが登場する2007年前までは、メーカーは直接顧客とやり取りすることが極めて難しい時代でした。出来たとしても、顧客の管理や1回のコミュニケーションコストが非常に高かったのです。そのためメーカーは研究開発と製造にフォーカスして商品をつくることに専念します。そのためNBの概念が普及して、その商品を地域に特化した小売や卸が仕入れエンドユーザーに届ける役割を担っていたのです。
しかし流通機能が徐々に強化され、小売や卸の機能が地域を超えて、国内、あるいは一定のエリアで規模を拡大する企業が現れます。卸や小売の強みは、直接的にエンドユーザーとつながっており、毎日の決済を握っていることにありました。そこでITが普及して、顧客の管理やコミュニケーション、分析がより簡単に、より安価になり始めるとNBの微妙な不具合や改善が気になり始めました。そこでPBが生まれたのです。
当初は、小売は他の小売店との競争優位を価格で考えました。多くの小売店は立地を先に押さえたら、後はNBを仕入れて販売するだけの単純なビジネスモデルです。そのためNBと直接交渉する規模を手に入れた小売はその分安く商品を提供することができます。一方で、間に卸を入れて規模が小さい店舗は安く売ることが出来ないので、地域に根ざしたサービスや従業員の細かいコミュニケーションやケアで店舗を差別化していきました。しかしどちらにしても売る用品がNBで同じなので、小売や卸は徐々に自分たちの顧客の動向を分析しながら、こNBのこの部分を改造改変すると良いのにな?的な発想が生まれ、メーカーに直接注文して、店舗や企業オリジナルの商品を造ってもらうようになったのです。
NBからすると、販売網を持っている小売が直接オーダーして、しかも一定の条件で買い取ってくれる。自分たちの製造ノウハウを提供して、場合によっては余っている製造ラインを活用することができるので、これはいい!となったのでしょう。卸や小売のオーダーをベースに、PBの生産を手伝いするようになります。しかしPBの製造はNBにとって自分たちの首を締め始めるのです。
卸や小売は、オーダーしたPBを販売する際、NBのように個別の商品を販促することはしません。当初の目的がNBよりも安く売ることを掲げたからです。そのため小売が持つ棚割りのなかで、同じようなNBの隣に、同じようなPBの商品を陳列することで、NBの目的買いのユーザーにその場で認知してもらい、価格の安さでPBを取るか認知度でNBを取るかを判断してもらったのです。小売からするとNBが売れてもPBが売れても、利益はでますので問題はありません。しかしPBが売れた方が利益率が良いことはわかっています。
例えば、NBの場合、商品の原価が3、販売促進コストが3、メーカーの利益が3とした場合、メーカーが小売に卸す価格は9になります。ここに小売店のコストと利益を乗せて12で販売したとします。同じようにPBの場合、商品の原価が3、販売促進は行わないので0、メーカーの利益が3、小売店のコストと利益の乗せて9で販売したとします。
すると、中身は同じなのに「NBは12」、「PBは9」からがスタートです。伝統的に価格の安さで大きくなった小売はNBを定価で売りませんので「NBを10」で売り「PBを9」で売るかもしれません。しかし、この場合、PBが売れた方が利益は多く小売に残るのです。
2007年以降、ITの発達によって、小売は徐々に気が付き始めます。顧客の決済情報を持っていると、各々の顧客の価格感応度やどの時期にどのような商品が売れるのか?エリアや顧客のセグメント毎にNBが良いのか、PBが良いのか。あるいは同じPBでもAのテイストが良いのか?Bのテイストが良いのか?徐々にデータ武装した小売りは今までメーカーが手にすることが出来なかった売上に直結するデータを握り、しかも直接購買する顧客にコミュニケーションできる事を発見したのです。
当時のNBは販売以下の下流工程を卸や小売に委託していました。あるいは、販売会社や関連会社にまかせていました。メーカーと自分たちを名乗るくらいですからモノづくりに力を入れ、販売や実際に購買した顧客に目を向ける事をしませんでした。仮に顧客に声を聞く場合は、広告宣伝を担っていた代理店やマーケティングの会社に頼んで消費者の声を代理で分析してもらうという事を繰り返したので、自分たちで直に顧客の声を聴くノウハウや発想そのものが無かったのです。
小売は顧客の決済情報を握り、顧客と直接コミュニケーションが行えるようになる。メーカーは顧客の声が見えないまま、データを必要とする時は、間に代理店やマーケティングの会社を挟んで分析する。IT化が進むと、この違いが如実に現れてきます。
その結果、小売や卸で規模を拡大した企業はPBを中心に商品を固め、店舗網を活用して商品を顧客に届けて高い利益率を出すようになります。ある企業は、販売をエンドユーザーに直接ネットで行うので足が長い商品は、物流の力を使ってとどけて、徐々にPBの比率を高める取り組みに進んでいます。その結果、メーカーと小売の力関係が逆転しているのです。
当たり前ですが、事業で収益を上げるためには直接顧客とコミュニケーションを取ったほうが優位です。昔は、それが難しい時代でしたが、今はそれが容易にでいる時代になりました。小さな企業や地方でNBを扱っている企業は、実は社内の資産に直接エンドユーザーとの契約があり、その方々の声があるのです。あるいは、実際にその価値に気がついていないだけで、少し工夫することでエンドユーザーの声を形にしてPBに近い商品を企画して、製造を上流工程のメーカーに委託することが可能なのです。
昔は下流工程の小売が利益率が低い商売でしたが、PBを取り扱うことで無駄な宣伝コストを払わなくてよくなります。顧客情報をITで管理して、適切に顧客にコミュニケーションを行える道具が揃ってきました。従ってきめ細かいコミュニケーションが可能になるので、それらを武器に、販売するたびに利益を出すもでるから、顧客が商品を購入してどのように活用しているかを理解する中で製品やサービスを提供することが可能になり、結果的にエンドユーザーとの接点が増え、事業が継続するようになるのです。
良いものを先行して作り、その商品を認知させるのにお金を使い、顧客のフィードバックを得るのにお金を使う。メーカーが行っていることは正に時代に逆行していますよね。自分で商品を判定出来ない人は高いコストを払ってNBを購入するでしょうが、PBは造っているところは一流メーカー。自分で情報を取り、小売店の方々に教えてもらい徐々に学習するエンドユーザーが増えると、NBの商品は苦戦します。そこでNBは消費者の目を向けるために、直接コミュニケーションを取ることを行わず、逆行して商品開発をすすめ、どんどん商品のリニューアルをすすめ、どんどん販売促進を進め、場合には販売報奨金を小売に渡して売ることにフォーカスしたのです。これが昨今のビジネスモデルで考えると如何に愚策かがわかりますよね。この取組をすればするほど価格が高くなり、自分たちの利益を下げることになるのですから。そこでようなくNBも顧客と直接やり取りをしようと動き始めている。いま、正にそのような時代になっているのです。
死ぬまで働こう 〜1986年のイーストウッド〜
2022年7月7日
◇老後は実在するか?
原田です。
「他人はあなたの歴史に興味がない」。坂東眞理子さんの言葉です。下記の記事を読んで、本当にその通りですと思いました。
坂東眞理子氏 「70代はコンビニでも介護施設でも働くべき」
https://www.news-postseven.com/archives/20190408_1347759.html?DETAIL
それで思うのは人生に老後なんて本当にあるのでしょう?いつから誰が決めたのでしょう?年金暮らしなんて無理ゲーなのは、綿密にシュミレートしなくてもわかります。
年金暮らしをしても、真綿で首を絞められるようなものです。収入は変わらず、出費だけが増えていきます。日常で様々なトラブルが発生し、予定外の出費が発生します。家にいれば、1日何もすることがなくて、将来のことを考えて、不安になると思います。そんな生活がハッピーでしょうか?
老後というものを自明のものにして考えるので、多くの人の人生はおかしくなるのだと思います。老後をどうしようかと逆算して人生設計しても、不確定要素が多すぎます。考えても考えても不安しかないのです。
僕は本気で死ぬまで働きたいと思っています。老後という概念をなくせば人生はスッキリです。老後という概念は、日本人が高度成長期にかけられた呪いのようなものです。そんなものは最初からなかったとことにすればいいと思います。
◇仕事はなんでもいい
他人に害を与えず、人の役にたてば、仕事はなんでもいいです。僕はそう思っています。もし、僕が、今の仕事は無理だってなったら、何か別の仕事をします。年齢に関係なく、今できる能力で仕事をします。
世間を見渡せば、高齢で楽しそうに働いている方はたくさんいらっしゃいます。肩書きとか、立場とかにこだわらなければ、働くことは楽しいことだと思います。スポーツジムでバーベルを上げるのと、軽めのダンボールを上げるのと、何が違うのでしょうか?ダンボールを上げれば、お金がもらえます。人の役に立ちます。
でも多くの人は働くことよりも、肩書き、立場に喜びを見出しています。なので、定年になって何をすればいいのかわからなくなるのだと思います。「人生の○園」とか、都合よく編集された番組を観て、自分もこういうふうに人から見られたいと思います。
◇経営者のセカンドキャリア
世間的に高齢と言われる年齢になっても、新しいことに挑戦し、活躍されている方はいらっしゃいます。まずは経営者の方の事例です。経営者に定年はありません。しかし、多くの経営者が、それまでの地位を捨て、新しいことに挑戦しています。そして、その挑戦が楽しそうに見えます。
ジャパネットたかたの創業者である高田明さんの日経新聞の「私の履歴書」と「高田明と読む世阿弥」を読んで、素敵な生き方だなと感じました。早々に事業をバトンタッチし、会社との関わりを断ち、第二のキャリアを始めています。その第二のキャリアの方がワクワクさせられます。
僕は、ジャパネットたかたを利用したことはないし、現役時の高田さんのテレビも観たことはありません。でもこの著書「高田明と読む世阿弥」は何回も読みました。おすすめです。
経営者であれば、ブックオフの創業者の坂本孝さんは、72歳で俺のフレンチ・俺のイタリアン株式会社を設立しています。すかいらーくの創業者の一人である横川竟さんも76歳で、高倉町珈琲1号店を出店し、翌年株式会社化しています。
70歳を超えても、現役バリバリで、事業を立ち上げる力があります。しかも楽しく。
◇生涯現役 理想的な生き方
次に僕の究極のロール・モデルであるクリント・イーストウッドさんです。
小学生の頃に映画「ハートブレイクリッジ」を診て、ハイウェイ軍曹かっこいい!!って感じてからのファンです。
映画「ハートブレイクリッジ」は、1986年公開です。監督・主役のイーストウッドさんの演じるハイウェイ軍曹は、定年を間近に控えた現場叩き上げの海兵隊です。この頃、すでに55歳くらいです。ハイウェイ軍曹は、タフで、頭が切れて、反骨心があって、経験豊富で、凄腕で、仲間思いで、やさしくて、というキャラクターです。でもバツイチで、酒癖が悪くて、私生活では問題ばかり、組織にもなじめず、上司からは目の敵にされるという愛すべきキャラクターです。
それから約30年後、2015年、アカデミー賞を受賞した映画「アメリカンスナイパー」が公開されます。イーストウッドさんは、84歳です。この年齢で、これだけクオリティーの高い仕事ができます。
そして2019年、映画「運び屋」を公開しました。監督と主役をこなしています。主役は、なんと90歳の設定です。ここでもイーストウッドさんは、相変わらずイーストウッドさんです。タフで、優しくて、反骨心があって、私生活は問題だらけです。それを観て、やぱっりかっこいい!!と感じます。
イーストウッドさんは、変化の激しい映画業界のなかで、最後の大型恐竜のように悠然と我が道を進んでいます。平気で賛否両論の作品も作ります。つくづく、人間の成長は年齢に関係ないのだなと思います。
最後に、この映画(運び屋)のラストシーンは素晴らしいと思います。何らかの形で死ぬまで働きたいと思いました。
ポリヴェーガル理論
2022年7月7日
安藤です。
今回は、メンタルヘルスに活用できる「ポリヴェーガル理論」です。
コロナ禍での働き方の変化、高度情報化社会における職場でのテクノストレス、経済的不況によるリストラや就職難、核家族化などからくる仕事と育児の両立の難しさ、また、高齢化社会のなかでの介護疲れなど、現代社会には、ストレスがつきものです。また、「他人とうまくやらねばならない」「どう他者と関わっていったらよいかわからない」、SNS時代での「キャラ」から、本音を言えずにためこんでしまい、自分自身が調子を崩す人が増えているように感じています。私自身もストレス耐性がうまくいかなくなった時は、胃腸に異変がきます。胃カメラ検査をしても何も胃腸なし、大半は自律神経の問題です。
そこで、今回は、メンタルヘルスにも活用できる知識として、自律神経系についてお話をさせていただきます。自律神経系は体の臓器のほとんどに通っています。自律神経系は、意思的な体の動作をつかさどる体性神経系に対して、人間の意思とは関係なく生存を守る神経 系です。 主な働きとしては、①消化の抑制・促進 ②心拍の加速・減速 ③気管支の拡張・収縮 ④筋肉の緊張・弛緩です。自律神経は、交感神経と副交感神経の働きに分けられ、興奮と沈静化の役割があります。
交感神経は、心拍数、呼吸、血圧を上げます。素早い動きができるように血液を消化器官から筋肉に移します。副交感神経は、筋緊張のゆるみを促し、心拍と血圧を下げます。消化を促したり、呼吸を遅くします。血液を抹消結果に送ったり、免疫系統の機能を回復します。(参考:Levine)
ポリヴェーガル理論は、非常に学際的かつ複雑なもので、まだ解明されていない脳や神経系の働きや、その関係性も含めて捉えようとする壮大な理論です。「心」と「身体」が切り離されている存在ではなく、自律神経系を通して全体として機能していることを明快に説明しています。身体からの信号が私たちの思考や自己像、世界観に多大な影響を与えているといわれています。
「ポリヴェーガル」とは、「複数の・迷走神経」を意味し、「多重迷走神経理論」という訳語が使われています。ポージェス博士は、自律神経系の発達の進化を軸に考察し、私たちヒトの自律神経系には3つの神経枝があると論じました。その3つとは太古の魚類に備わっていたとされる、進化的に古い迷走神経である「背側迷走神経複合体」、さらに硬骨魚の時代に現れたとされる「交感神経系」、そして、哺乳類のみに見られる新しい迷走神経とされる「腹側迷走神経複合体」です。「腹側迷走神経複合体」は、豊かな表情を作ったり、声のトーンを調整して自分の気持ちを伝えたり、相手からの友好の合図を受け取ったりなどの、人と人とがおだやかにつながり、交流するために欠かせない働きを担っています。「交感神経系」は、主に活動するときに使われ、危機に瀕すると「戦うか・逃げるか」を選択します。「背側迷走神経複合体」は消化吸収や睡眠などを司っているが、生命の危機に瀕すると、「凍りつき反応」を引き起こします。「凍りつき」の状態では、思うように身体が動かなくなり、呼吸や心拍が遅くなり、いわゆる温存モードに入ります。この、戦うことも逃げることもできず、凍りついている状態にあるのがトラウマを抱える人とされています。
「腹側迷走神経複合体」が健全に機能している人は他者から非友好的な態度を取られても、社会的交流を心がけることができ、容易に交感神経系に乗っ取られて闘争・逃走反応に走ることはめったにありません。「腹側迷走神経複合体」がバランスよく働いているときは、「背側迷走神経複合体」もよく機能しているので、胃腸をはじめ、全身状態が良好です。また、脳にも十分な血流がいきわたり、明快な思考、的確な状況判断などが行えます。こうした自律神経系の働きが乱れると、臓器が調整不全に陥り、思考も乱され感情も荒廃します。
そこで、ここで神経をバランスとる簡単なエクササイズを5つご紹介しておきます。①「ぼー」「ぶー」の音を声にだす。②顔をぎゅーと集めます(表情筋を動かすので腹側迷走神経を刺激する)。③グー・パーと手を握ってほどく。④ふーっと、1~2回、口呼吸をする ④キョロキョロ 単にきょろきょろ周りをみる(腹側迷走神経が刺激され、忙しかった思考が少しストップしてくれる)。
ストレス状況から逃れられずに、メンタル不調、体調不調をたどってしまうことがあります。人間が生きていくうえで、社会的な要請に応えようとすることは必要ですが、時には息抜きをし、自分を追いつめすぎないことは大切です。ぜひ、5つのエクササイズを試してみてくださいませ。
参考資料:ステファン・W・ポージェンス/花丘ちぐさ(今ここ:神経系エクササイズ)
何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ
最新記事の投稿
カテゴリー
リンク
RSS
アーカイブ
- 2025年7月
- 2025年6月
- 2025年5月
- 2025年4月
- 2025年3月
- 2025年2月
- 2025年1月
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年9月
- 2010年8月
- 2010年7月
- 2010年6月
- 2010年5月
- 2010年4月
- 2010年3月
- 2010年2月
- 2010年1月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年9月
- 2009年8月
- 2009年7月
- 2009年6月
- 2009年5月
- 2009年4月
- 2009年3月
- 2009年2月
- 2009年1月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年9月
- 2008年8月
- 2008年7月
- 2008年6月
- 2008年5月
- 2008年4月
- 2008年3月
- 2008年2月
- 2008年1月
- 2007年12月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年9月
- 2007年8月
- 2007年7月
- 2007年6月
- 2007年5月
- 2007年4月
- 2007年3月
- 2007年2月
- 2007年1月
- 2006年12月
- 2006年11月
- 2006年10月
- 2006年9月
- 2006年8月
- 2006年7月
- 2006年6月
- 2006年5月
- 2006年4月
- 2006年3月
- 2006年2月
- 2006年1月
- 2005年12月
- 2005年11月
- 2005年10月
- 2005年9月
- 2005年8月
- 2005年7月
- 2005年6月
- 2005年5月
- 2005年4月