早嶋です。
言葉は概念的なものであり、表もあれば裏もあります。昔の人は文字に残すことよりも、言葉以外の文脈や全体を持って意を解釈していた次期も日本にはありました。文明は文字が出来てからと解釈する学者さんもいますが、文字が全てを表すというものでも無いと思います。
諺に、「船頭多くして船山に上る」と「三人寄れば文殊の知恵」があります。1隻の船に何人もの船頭がいれば、船は山に上ってしまうようなおかしい方向に迷う様から指図する人ばかりが増えても物事がうまく進まないことを示します。後者は凡人でも3人集まると、思いがけない知恵が浮かんでくるというニュアンスです。
一連のみずほ銀行のことです。2月28日に、ATMの通帳が出てこない問題から9月30日のシステム障害で外為取引に遅れを生じるという問題まで、実に8回ものシステム障害を出しています。
そもそも2002年11月に大規模なシステム障害を起こし、2019年にシステムを刷新しています。その勘定系システムはMINORIと称され、全面稼働しました。しかしそれが端を発し、システム障害のオンパレードになっています。
過去を遡ると、金融業界ではバブル崩壊により国際競争力を得るための規模の拡大が必要不可欠とされ都市銀行の再編がはじまりました。2001年に旧三井銀行の流れをくむさくら銀行と住友銀行が合弁して三井住友銀行が発足。2002年には第一勧業銀行と日本興行銀行と富士銀行が合弁して、みずほ銀行が発足。2006年には東京三菱銀行とUHJ銀行が合併して、現在の三菱UFJ銀行、当時の三菱東京UFJ銀行が発足しています。こうして3大メガバンクができたのです。
しかしながら、船頭多くしての状態になっているのは、3つのメガバンクの中でみずほ銀行だけ。なぜ、他の2行は文殊の知恵になっているのでしょう。
それらは勘定系システムの統合の戦略に因果があると思います。大きな銀行が合併した場合、システム統合の方向性は2つに分かれます。1つは、全く新しい情報システムを構築して、ゼロベースにして、それぞれの銀行が既存システムから新システムに移行する方法です。そして。もうひとつは何処か1つの既存のシステムに他の銀行が移行するやり方です。
三菱UFJ銀行の場合は、旧三菱銀行のベンダーだった日本IBMのシステムに寄せられます。三井住友銀行の場合は、旧三井銀行のベンダーだったNECのシステムに寄せられます。そしてみずほは、旧みずほ銀行、第一勧業銀行のベンダーだった富士通のシステムに寄せられました。しかしMINORIは、2002年と2011年に大規模なシステム障害を発生させたため日本興業銀行のベンダーだった日立製作所、富士銀行のベンダーだった日本IBMが富士通とともに開発。そして、ぐちゃぐちゃな状況に更に(ここは推測)NTTデータが中に加わり4社のマルチベンダー体制での開発に至りました。
当然、それぞれのベンダーは日本、あるいは世界を代表するシステムインテグレーターで開発能力はピカイチでしょう。しかし、ここが仇となったのではないでしょうか。小さな案件の場合はマルチベンダーのメリットが出る可能性は高いでしょうが、大規模の案件になればなるほど、マルチベンダーになると意思疎通が悪くなり結果的にデメリットが全面にでたのです。
本来は、各システムのアルゴリズムは決まったルールに基づき、互いがコミュニケーションできる思想で設計しているはずです。しかし規模が大きくなりすぎて、見解の違いなどが生じました。統合のたびに小さなテストを繰り返してミスがでないようにするのが通常ですが、およそ期間が短いなか突貫が続く体制で、4社が入り混じり、その下請けもぐちゃぐちゃになり、結果的に必要な業務の漏れや手抜きなどが頻発した(ここも推測)のではないでしょうか。
大手の統合を見ているときも、ニュースでいいおじさんたちが握手をして写真を取っている状況を時々みます。しかし、あの光景は後追いをしても結果が出ているケースのほうが遥かに少ないのです。親分が2人以上集まれば、責任の所在が不明瞭になるのです。
9月30日、金融相の麻生さんは、「システム障害が月1回くらいのペース。利用者にとっては不便で、極めて迷惑な話」と指摘しています。金融庁は一連の障害の要因解明に向けたシステム全体やガバナンス(企業統治)の検査を続けています。それからインテグレーターをIBMに一本化することで、全体の解決を図ろうとしたさなか、今回のトラブル。実に問題の根深さが浮き彫りにされました。
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船頭多くして
集合住宅の出口なし
早嶋です。
分譲住宅の建替。国土交通省によればH31年4月1日時点の調査で278件の事例しかありません。分譲住宅の検討が始まる築年数が30年頃からですので、そのポテンシャルは約200万戸。マンションに換算して1棟あたり50戸としても約4万棟分の可能性があるなか278件というのは誤差の範囲です。
一般的に言われる建替が困難な理由は、1)費用負担の話、2)建替の意思決定が難しい話、3)法的な問題があります。
1)費用負担の話として、建替負担の費用相場はおそよ1,800万円程度です。解体、建築、調査、手続き等の費用の総計です。従来、容積率いっぱいに再建築して余った戸数を販売あるいは賃貸するお金でキャッシュを賄える事例もありましたが、都市部のマンションなどでは容積率の緩和がなく難しいです。
2)建替までの意思決定と流れです。準備、検討、計画、実施という段階を踏むと推定されますが、スタートの壁はマンション管理組合の合意です。検討では専門の会社を入れて改修か建替かを再度調査しますが、やはりベースは区分所有者の意思決定です。計画段階では具体的な計画と費用を明らかにして区分所有者の4/5の賛成が必要です。そして実行という流れです。平均的に10年程度の期間を有するといわれます。
3)法的な問題は、既存不適格です。建築時は当時の法律でOKだった物件、それが今の法律には適合しないという建物です。1970年代、80年代は各種法整備が整う前の物件が多いのです。ここに1)の議論にあった容積率もあります。
最近、上記の取組を進めている不動産会社の方とお話をしました。そこは分譲ではなく集合型の賃貸なので住居者の合意を取ることで先に進む話でした。しかし、「住民とのコミュニティがなくなると生きていけない」、「立地条件が変わると生活ができない」ということで、まるごと新たな引越し先などが見つかって、そのリッチがピシャリ同じような条件ではないと難しい。という思惑が見えてきたのです。
そもそも論ですが、分譲も賃貸も両方引っくるめて、住宅を建築して引き渡すことで目的を果たしてきた会社が圧倒的に当時から多かったのですね。購入する人も、30年先のコトを考えるわけもなく住み続けた。あっという間に30年という期間が来て、事前に予測できたトラブルに巻き込まれている。というわけです。
住宅の提供は、生活者に対して快適に生活を提供「しつづける」とした場合、60年位のスパンで見ないといけないのだなと思います。ただ、提供側はそこまで長いスパンで見ることはできないですよね。ということで、この手の問題は国が介入するか、高いお金を払える住宅を持てる人でない限り難航することが予測できます。
ジョブ理論で言うところのビックハイアに提供者も利用者もフォーカスしすぎているということでしょうね。
労働市場の格差拡大
早嶋です。
カフェ・レストラン運営のプロントは新業態のパスタ専門店に調理ロボットを導入します。
ーー以下、日経新聞引用ーーー
プロントコーポレーション(東京・港)は年内にオープン予定の新業態のパスタ専門店に調理ロボットを導入する。麺を皿に盛り付けるまでの工程を自動化し、調理スタッフの人手不足を解決する狙いがある。厨房を少人数で回せるため、コロナ下で感染リスクを抑える効果も期待している。
ーー以上、引用終了ーーー
人で不足に加え、昨今のcovit-19の影響で現場を自動化、効率化する需要はプロントに限らず増加すると考えられます。その結果、バイト・パートの受け皿となっていた飲食業界の雇用ニーズが激減するでしょう。企業家としてはロボットへの投資は、雇用の流動性や教育の必要性を考えると、この手の現場仕事にはうってつけで、人材投資よりも現場においてはロボット投資がここ数年熱くなり、結果的に参入する企業も増加するでしょう。
従来、この手のロボットは半導体や自動車工場などの法人向けニーズが高く、当然ながらABB、ファナック、安川、川崎重工などが産業ロボットを牛耳っています。仮に、このままカフェ業態や飲食業態に一定以上の自動化投資熱が加速されれば、当然上記のような大御所も三有して価格が安定化することが考えられます。
その結果、従来のバイト・パートの仕事はますますなくなり資本家と労働市場の乖離がまた大きくなることが考えられます。当然資本家は、来るべきみらいに向けて日々知的資源の向上に磨きをかけているので当然のことでしょう。
一方、バイト・パートであっても、ロボの簡単な制御や追加のプログラミングなどができる人材は、一気に社員化などの道もあるでしょうが、そもそもそのような方々が何か準備をしているかと考えればその可能性は薄く、やはり乖離は確実なものになりその差は縮まることがないと推測できます。
現場のイノベーションの結末
早嶋です。
日経新聞で先日、以下のような記事がありました。
ーー引用ーーー
イオン子会社で施設管理大手のイオンディライトは、防疫の知識や技術を持った清掃の専門人材を育成する。現場担当者に対する教育や施設側への改善提案ができるリーダー層の人材を2021年度中に10人ほど育てる。新型コロナウイルス禍に伴う施設やテナント企業などの安心安全意識の高まりに対応する。
ーー引用終了ーー
この取り組みは非常に素晴らしいと思いました。多くのインフラを支える施設管理の従事者は低額な賃金で日々仕事をされています。敬服すべきことです。しかし、その仕事柄、時給をかなり抑えられており、十分な賃金を得ることができていません。そのため仕事をする方々が減り、一部のワーカーに労働が偏り負担が高まるというような循環が続きます。
この弊害は、仕事を受託する企業が更に再委託するなど、マトリョーシカのような構造になっていることにも起因すると思います。そして清掃に関わらず、多くのインフラを支える業界においても同様の縮図を垣間見ることができます。
さて、今回のコビット19がトリガーになって、清掃の世界に新たな防疫というジャンルが確立されるとその専門集団は一目置かれ、より単価の高い仕事で受注ができるようになる。そうなれば、少しは現状の仕事が見直されることでしょう。
ただ、従来の方々が、研修や経験を積んで取り組めるレベルの仕事であれば、短期間は値段を上げることができても、すぐに他社が追従するので競争力がなくなり、またコモディティ化することでしょう。その場合は、期待以上の料金を得ることが難しくなります。
一方で、仮に専門的な知識と経験を有したとしても、そのチームが独自にプロモーションする、営業する能力がなければ、結局は委託したい企業を見つけてきて、その鞘を抜くという構図が発生して、現場には思ったよりも収益が落ちなくなることも考えられます。ということは、現場の下請けを行う企業がもっと営業力やプロモーション力を身につける必要がある。という課題も見え隠れしますね。
更に、マクロ的な視点で見ると、この手の仕事が仮に高給取りの仕事になれば、仕事を委託する企業としては、従来なかった予算を計上しなければならないので短期的にはその専門家集団に支払うでしょうが、中長期的には内製化するか、別の方法、例えばロボットの研究開発を進めて導入するなどの取り組み、を行うことでしょう。
結果的に、インフラをささえる現場に何らかのイノベーションが起きてしまえば、従来の仕組みで仕事をしていたワーカーにとって不利になる。という見方もできそうです。
あなたもバルセロナの経営に参画できる? 〜スポーツビジネスの新しい形〜
◇暗号資産技術を使った新しいビジネスモデル
原田です。
各スポーツクラブが暗号資産技術を利用した「ファントークン」の導入を進めています。現在、急速に普及が進んでいるブロックチェーンの応用で、新たなビジネスモデルが誕生しています。このモデルはスポーツクラブだけでなく、様々な分野へ波及すると思います。
クラブのファンは、クラブが発行するトークンを購入します。誰がどれだけのトークンを保有しているかは、ブロックチェーンで簡単、確実、安全に管理できます。また、クラブはこうしたトークンの発行、管理をITサービスベンダーへ委託します。
トークンを購入したファンは、株式と同じように、持分に応じて様々な特典(限定イベントの参加など)を得たり、クラブの意思決定(ユニフォーム・グッズのデザインなど)に参加できます。
熱狂的なファンにとっては、単に視聴するだけでなく、何らかの形でクラブの経営に関われることは、大きな魅力です。
◇新しい収益の柱
スポーツクラブの主な収入は、入場料収入と、スポンサー収入(広告料収入)です。しかし、このコロナ禍で、入場料収入に大きな打撃を受けました。また広告料収入も、コロナ禍の影響を受け、金額が大幅に減少しました。さらにメディアが多様化するなかで、放送料などは、一回あたり金額が少なくなっています。
そのなかで、「ファントークン」の発行が新たなビジネスモデルとして注目を集めています。クラブは最初のトークンの発行時だけでなく、トークン保有者が別の人へトークンを販売した場合も、その販売金額に応じて手数料を得ることができます。この保有権の移転、手数料の徴収もブロックチェーンを使えば簡単にできます。このとき、「ファントークン」が最初の発行時よりも高い金額で売買されれば、クラブが得られる手数料もより高い金額になります。
◇メガクラブから地方クラブまで
世界的なフットボールチームのバルセロナは、2020年6月にファントークンを約260円で販売しました。60万枚が2時間で完売しました。合計で、約1億5千万円です。ここからさらに転売による手数料収入がに見込めます。他にも、ユベントス、パリ・サンジェルマンなど名だたる強豪クラブが相次いでいます。現在、これらのメガクラブのファントークンを管理するのは、地中海の島国マルタに本社があるチリーズという企業です。このようなベンチャー企業が、歴史あるメガクラブの委託を一手に引き受けています。
埼玉県川越市にあるフットボールチームのCOEDO KAWAGOE F.Cは、まだ社会人リーグに所属する全国的には無名のチームです。30年までにJリーグ加盟を目標にしています。このクラブは、約1,500万円のファントークンを販売しました。
世界的なクラブから、地方のアマチュアクラブまで、ファントークンを活用しています。フットボールだけでなくバスケットボール、卓球など他のスポーツでも、ファントークンを使った新しいビジネスモデルを模索しています。
◇2つのポイント
この世界的な流れには大きく2つのポイントがあります。
まず一つは、コロナ禍のなか、各クラブが新たな収益の柱を求めて危機感を持って取り組んでいるということです。平常時であれば、スポンサー契約で100億円単位の収入を得るフットボールのビッグクラブなどは、こんなややこしいことはしなかったと思います。
こうしたビッグクラブが危機感を持って本気で取り組んでいるので、これからファントークンをベースにした新たなサービスが生まれてくると思います。
次に、この動きはスポーツクラブだけでなく、様々な分野へ波及するということです。当然、有名人のファンクラブなどは相性が良さそうです。更には、クラウドファンティングの進化バージョンにもなりそうです。株式やゴルフの会員券なども管理の仕方が抜本的に変わるかもしれません。地方にある小さな飲食店が、自分のお店のファントークンを発行することも可能になります。
現在、コロナ禍の自粛ムードのなかで経済が停滞しているように感じる方は多いと思います。しかし、そのなかでテクノロジーの普及が進み、新たなビジネスモデルが次々と生まれています。「AI」×「クラウド」×「5G」のトライアングルが完成し、ブロックチェーンが普及しただけではありません。世界的にライフスタイルが変化しました。各企業が危機感を持って様々な取り組みを進めています。実はビジネスの世界はびっくりするほど激しく変化しています。コロナ禍終息後の世界は想像もつきません。
◇動画案内
ブロックチェーンの原理について、gritの動画で解説しています。こちらをご視聴いただければ、その原理のシンプルさと、活用範囲の広さに驚くと思います。
以上、最後までご精読ありがとうございました。
→ 【YouTube公開】わかると驚き! ブロックチェーン 〜ビットコインの仕組み・その他の活用事例まで〜
再教育の必要性
早嶋です。
(なぜ、リスキングやリカレント教育)
リカレント教育という言葉が紙面やニュースに出るようになり、最近はリスキングといワードも目にするようになりました。リカレント教育は、キャリアを中断して大学などに入り直して自分のスキルや能力を向上することを指しますが、リスキングは仕事を継続しながらスキルを継続的に高めていく概念を指しています。
近年、学び直しが話題になる社会的な背景はデジタルトランスフォーメーション(DX)の影響でしょう。2020年1月の世界経済フォーラム(WEF)では人工知能等の技術革新と普及による第4次産業革命への対応策として仕事をしながら能力をアップデートする重要性が提言されました。その追い風のように一連のcpvit-19。これまでテレワークなどに対して及び腰だった企業はその必要性に迫まれ、社内のIT脆弱性を再認識している昨今でしょう。
日本の教育は、早い人はお受験が幼稚園からはじまりますが、多くは親心で、良い幼稚園に行けばストレートで大学までと、微妙な勘違いがきっかけになっています。そして中学校や高校の受験が続き、メインディッシュは大学受験です。そのためか大学になった当人は、何らかのプレッシャーから開放されて、自ら進んで学習することを忘れ、一番需要な時期に骨抜き状態になり遊び呆ける始末。そして就活という踊らされた言葉にのっかり、就職することをゴールにこれまた必死に活動を続けます。
そして社会に出ると、日本企業の多くは新入社員教育から入社3年目、5年目教育などと企業が力を入れているOFF-JTと現場で実務をこなしながら仕事の内容を覚えていくOJTを習熟に、本来最も大切な自分から将来のキャリアをイメージして学ぶ自己啓発がほとんどなされなくなります。なんのためにじっとこらえて受験勉強を続けているのでしょうね。
日本は国内総生産(GDP)に対する企業の人材育成投資の比率が主要国では最低です。入社時が浅いときは社員教育に熱心なのですが、肝心なキャリアを積む過程での教育制度は大手企業でも微妙と言わざるを得ない状況です。それも、日本企業の多くが伝統的に入社して、その人の能力を見極めた後に、役割を与えるという仕組みが背景にあると思います。欧米では、先に仕事や役割が有るため、その基準があれば年齢関係なく仕事とポストを与えられます。そのため必然的にその役割に就くために自分から積極的に啓発するしかないのです。
高度成長期のように、一つの技術を習得して10年単位で食える時代は良かったのでしょうが、今のように、技術のサイクルが目まぐるしく変化するときは、ベテランこそ常に技術をアップデートし続ける必要があるのです。そこにDXの波というのがリカレント教育やリスキングなどの教育関連の言葉が闊歩して言る背景にあるのでしょうね。
(各国の状況)
主用な大手企業は国内外を問わずリスキングに投資しています。covit-19があけて次の時代が来るタイミングで特にデジタル関連の人材を大量に保有したいと考えているのです。日本経済新聞社の試算では一連の経済の押し上げ効果を700兆円と期待しています。
逆を言えば、DXがシフトした世の中のことを考えた場合、今の仕事がなくなっている可能性は皆に一様になるのだから、給与をもらって仕事をしている殆どの人がリスキングの必要性があることの証左です。先のWEFは2025年までにデジタル加速で事務職等の職種、約8500万人分の雇用が失われる代わりに、AI専門家等の職種に約9700万人の雇用が生まれると予測するのです。となると急激に、新たな人手が生まれるわけではないので、おおくの場合今の人がバージョンアップせざるを得ないのでしょうね。
一応、現時点のところでは主要国は次のような策を打ち出しています。英国、成人に対して無償で職業訓練を開始し25億ポンドを拠出する。米国、製造や環境関連分野において労働力開発に1,000億ドル投じる計画あり。韓国、スタートアップと連携し若年層のデジタル教育過程を開発。デンマーク、職業訓練受講者の失業給付の引き上げ。
その中でシンガポールは各国のモデルになっていると言われます。従来から外国人労働者の受け入れを拡大する同国は、失業者が増えるなどの国民の不満は強かったと思います。2010年頃、新たなスキルを学んでもらう生産性を向上する政策を導入。2万5千もの訓練コースや25歳以上の全国民に4万円程度の訓練費を支給する制度を行っています。関連する政策には国内主用企業や大学が関与して、2020年には40代から60歳に支給する訓練費を増額しています。このように国家的に国民一人あたりの生産性を向上する取組を進めているのです。
そして、日本。公共職業訓練の受講者を増員とあるだけで、具体的な動きは見えません。大手企業がリカレント教育やリスキングに関して動きはあるものの、毎年言葉を変えてIT人材を●千人増やします!と言っているだけで実質的な効果は出せていない状況です。
公共で見ると、上述している通り、公的支援のGDP比率は主要国の中で最低です。17年比較では0.01%で米国の3割、独の6%程度の数値で極めて低い水準です。国は、コロナ対策で観察した通り、休業手当を補助する雇用調整助成金に4兆円を投じていますが、それを受ける条件として一定のDX関連の教育を半年受けることなどの将来を見据えて策はほぼありません。常に雇用政策の力点は過去を見ており失業にフォーカスしているのです。
企業の動画活用と研修の今後
早嶋です。
2019年12月頃より武漢を震源地として発生したパンデミックは、2020年4月、2021年1月、そして2021年6月に3度の緊急事態宣言を起こしました。その期間、企業は2回の新入社員研修と従来の階層教育や選抜教育を実施しています。当然、各社試行錯誤で開催し、中には間引いたり、全ての研修をキャンセル企業もありました。
covit-19は幸か不幸か、研修のあり方をゼロベースで再考する機会をもたらしました。従来は研修会場に講師と参加者が集合する集合研修が中心の形態から、Webツールを活用したオンライン研修、動画を活用した研修、レポート提出などで研修を置き換えるなど様々な形態ができています。今回は忘備録として、今後の可能性について2021年6月14日時点での研修について整理します。
基本的に研修の提供形式は、集合研修とオンライン研修があります。
(集合研修)
講師と参加者が研修会場に集まり、研修期間中、リアルタイムでインプットやワークショップなどを行う形式。
(オンライン研修)
講師も参加者もネットワーク上に集まり、研修期間中、オンラインでインプットやワークショップなどを行う形式。
また、研修内容はインプット重視、アウトプット重視があります。
(インプット重視)
期初や期中の会社の経営状況の共有や全社員向けのガバナンストレーニング、SDGs研修等です。また、新入社員や階層教育なども一部インプット重視の研修に入るでしょう。
従来は従業員を20名〜30名単位で本社や該当する拠点の会議室に集めて集合研修形式で同じ講師がインプットしていました。この手の研修は通常は一方通行だったので、今後は動画に置き換わり提供されるでしょう。
もし、全社員に対してアウトプットが必要な場合は、1)レポート提出か、2)インプットを受けて理解を深めるためのワークショップをオンラインで行う形式にシフトするでしょう。
リッチな研修では、レポートに対して講師が赤ペン先生を行い受講者にフィードバックする。或いは、ワークショップで議論を深め、インプットを担当した講師、或いはワークショップ専用の講師がファシリテーションを行います。ワークショップの提供形式は受講者の移動と会場のを鑑みるとオンラインにシフトすると思います。
(アウトプット重視)
選抜研修や階層研修のうち役員研修や管理職研修、或いは将来のリーダー育成研修などが相当します。これらはインプットも行われますが、研修の比重はアウトプット重視の研修が多いです。但し、従来は参加者の知識レベルを揃える目的でリッチに講師を呼び、インプットを行った上で、会社の将来を議論したり、何らかのビジネスモデルを作成する等のワークが課せられていました。
ここに対しても、選抜者の能力やバックグラウンド、個々人が持つディグリーに応じて、基礎インプットが不足するヒトはオンデマンド等で事前に動画でインプットを済ませて置く。そして、集合研修の時までに知識を補っておく。という流れになると思います。
選抜トレーニングの場合は、集合研修形式で1箇所にリアルで集まりワークショップを行うことを主に研修の立て付けが決まって行くでしょう。但し、この手の研修は絶対に中止や延期がしにくいので、有事の際はWebツールでも議論ができるように予め設計しておきます。
上位グレードの階層教育や選抜トレーニングは、その方々の人事のタイミングとリンクして研修のタイミングを提供するため、研修が遅れたからと言って人事のタイミングをずらすなどをすると実際の仕事に大きく影響を与えることから基本的に中止や延期は考えられないのです。
次に研修のタイミングに対してです。基本、リアルタイムの場合とある一定期間に終了させたい研修、そして受講者のタイミングで好きなときに見れる研修です。
(リアルタイム)
旬がある研修やインプットです。例えば期初や期中や期末の社長の講話などはリアルタイムが重要なので今後はオンライン配信を活用して特段業務を止めることができるヒトはリアルタイムで聴講し、何らかの理由でその瞬間に共有できない人はなるべく早い時間に録画を視聴することになるでしょう。
(一定期間)
SDGsやガバナンスなど、全社員や一定の役割レベルに共有したいインプットは、旬はありますが、必ず同じ時間に聴講頂く必要はありません。この場合は一定期間の猶予があり、個人の仕事の都合に合わせて動画を視聴するような流れになるでしょう。
(オンデマンド)
過去の経営計画発表や技術ノウハウの共有や各種インプットは、常に動画を見られる状態にしておき、条件を有する従業員はいつでも自由に見れる状態になるでしょう。
異動で新たな業種についた社員は、研修期間内外を含めて、知識インプットや過去の取組事例等の動画を見てOJT以外に自分に不足する経験を知識で補うことができるようになります。
中途採用の社員は、直近数年の社長の講話を聞くことで会社の社風や大切にしている価値観や文化を確認することができます。もちろん、その方の役割について関連のある動画を検索して見ることでその会社にフィットした仕事がより行いやすくなるでしょう。
このように考えると、従来のリアル一辺倒の研修は、動画のみ、動画+レポート、動画インプット+レポート+ワークショップなどと動画を活用したハイブリット研修が当たり前になるでしょう。
この際、課題となるのが動画の扱いです。各社Webツール等で録画する動画や研修で使用する動画の管理などに苦労していることと思います。Youtubeの限定公開などの活用はURLが漏洩される可能性がありますし、誰がいつみているのかなど、人事が管理目的で知りたい情報がとれません。当然、Googleが提供するプラットフォームなのでいつ使えなくなるかも不明です。
動画は他のドキュメントファイトよりも要領が重たく直ぐにハードディスクをいっぱいにしてしまいます。テレワークが進む中、そのような動画のやり取りや管理はIT専門の人間でも、取り扱いの得て不得手が別れます。
弊社では研修やの立場から動画を活用する経験が多かったことから、動画に強い企業と連携をしていち早く動画のソリューションを実装しています。こちらの商品は1年間テストマーケティングで複数の企業で実験しながら活用しました。その内容を踏まえて仕様をゼロから見直した新たな仕組みを8月頃より順次ローンチしていく予定です。
今回のブログを読んで、ピンと来た方は、1)企業研修を担当している方で実際に動画の扱いに困っていいる方、2)研修会社ですでに研修をハイブリット化しているがコンテンツの配信と顧客毎の管理で困っている方、3)個人で動画を活用して何らかのノウハウ提供をしている方、だろうと思います。
是非、上記の方は弊社までご連絡下さい。追って担当者から連絡させて頂きます。
ESG投資と食品業界
早嶋です。
ESGは、環境、社会、ガバナンスの英語の頭文字をとった造語で、昨今の企業の成長においてこの3点が必要だという考え方です。当初企業は、環境や社会を鑑みないで自社の成長を考えていましたが、社会をベースに取り組む以上、結果的に社会に優しい循環型の経済を構築することが、結果的に長期的な成長とリターンを及ぼすことを学習しました。
そのうえで昨今、ESGの視点が薄い企業は大きなリスクを抱えます。長期的な成長が出来ないことに加えて、SNS等で情報が自由に開示される中、ESGに反することで非買運動がおこる可能性すらあるからです。更に、投資家の観点からするとESGに反する企業は、結果的に消費者からパッシングを受け長期的なリターンを上げにくくなることから、対象から外される傾向が強まっています。
2000年代頃はCSRが標榜され始め、2015年頃から民間を中心にSDGsが活発になります。そして投資の世界でもSRI、社会的投資責任という考えが普及したのです。
ESGに対しては諸にESG投資という言葉もあります。当初は投資対象の1つのジャンルであえて強烈に社会的に影響を与える企業に対しての投資を指していました。しかし、昨今は上述の通り社会や環境を無視した事業モデルは継続しにくく、かつESGに貢献する企業は結果的に財務リターンが高く、投資リスクが小さいことを証明する研究が多数でてきました。それを受けて起業でも持続可能性、サステナビリティという言葉を連呼するようになったと思います。
先日、フィナンシャルタイムの記事で以下のような主張がありました。
– ネスレの食品や飲料の大半は、一般的に認識されている「健康」の定義に合致しない。
– 加工食品や飲料のうち、国際的な健康基準を満たすものは、わずか37%だった。
これが2000年頃だったらおそらく問題にならなかったでしょうが、先のESG投資という概念を鑑みるとネスレのリスクが露呈されたことになります。記事では、幹部のプレゼンの中に、「我々の製品とカテゴリをいくら刷新しても健康的にならない」とあったとのことです。
そもそも健康とか環境に優しいという概念で製品を作ると、食品であれば添加物を加えること自体がNGでしょうし、そうしなければ賞味期限など恐ろしく短くなるでしょう。当然、今の世の中にフィットした物流システムをゼロベースで見直さなくてはならない可能性も出てきます。
また、人の味覚を錯覚させるためには、油と糖と塩を通常よりも多く使用することで実現できることを食品メーカーは知っています。当然、そのような食品を摂取し続けると、普段の人間が1日の摂取に必要な量をはるかに多く取ってしまうのです。
合理的に考えて、健康食品の対極が大手企業が大量に製造する食品なのです。勿論大手企業ですから、研究所などで味の特徴を変えずに塩分や糖分、油の仕様を工夫する取組を行っています。しかし未だに、そのような製品が世の中に上市しないことは、すなわち難しいのか、大量生産に乗せるコストに合わないのかのどちらかなのです。
ネスレは、このことをボード会議で取り上げ、メディアに報告しているくらいですからまだましな方だと思います。赤い炭酸を提供している企業や甘いチョコレート風のお菓子を提供している企業。そしてお湯を注いだら直ぐに食べられる便利さを提供している企業などは、この取り組みが飛び火しないことをただただおとなしく待っているのではないでしょうか。
しかしESG投資、そしてSNSでの情報が流れ始めることがきっかけに、無視することよりも正面から対応していると出る釘になった方が賢明だと思います。いずれにせよ食品業界の闇はしばらく明けないと思いますが。
水素自動車FCVの普及は非合理だと思う
伊藤忠商事は2020年代なかばに、世界最大級の液化水素製造プラントを中部地方に設置します。液化天然ガス(LNG)から製造する方式で、現状よりも安価に水素を製造してFCV(燃料電池車)に供給する計画、水素活用のスタートを切るエポックな取り組みです。日本国政府は2050年までに温暖化ガス排出を実質ゼロにする取り組みの中、水素活用は有力ば脱炭素エネルギーと位置づけています。そして2030年のKPIに年間最大300万トンの水素供給を掲げているのですが、現実的な水素供給インフラが課題だったのでこのニュースは評価されていると思います。
新プラントが完成すると1日あたりの液化水素はFCV4万2000台をフル充填する約30トンです。現時点で岩谷産業などが1日に約44トン生産しているので結構な規模だと言えます。
が、、、。
2030年の政府のKPIは年間最大300万トン、つまり1日に8000トン程度を目標にしています。仮に今回のプラントが完成した場合は追加30トンに加えて従来の44トンで約80トンですから、目標値の1%程度しか生産確保できていないことになります。まさにスタートの瞬間ですよね。
今回の新プラントはエア・リキードが米国ネバダ州で約200億円投じて建設している世界最大級の液化水素プラントと同規模ということです。つまり、1日8000トンの水素を供給するためには200億円で30トンですから、8000トンの確保のためにプラント投資が未だざっと5兆円程度必要なことがわかります。
もし、この水素をFCVなどに供給するには、ガソリンスタンド相応の水素ステーションが別途必要です。現時点で水素ステーションの数は140個所程度です。2030年の政府のKPIは900個所ですので、ここにも少し数字の疑問を持ってしまいます。現存するFCVは4000台。560台あたり1個所の水素ステーションの規模です。仮に900個所だと50万台程度のFCVに対応しようとする計画なのでしょうか。
今回の新プラントが製造する水素30トンでFCV4万2000台をフル充填できる規模なので、水素ステーションの設置目標が明らかに少ないのかなという印象です。一方で、もし1日に8000トンの水素を供給できるプラントが出来たとしたら、4.2万台✕(8000/30)≒1,000万台程度分のFCVを毎日フル充填できる規模になります。こう考えると水素はFCV以外の使徒があるのでしょうね。
別の方法で考えてみます。FCVはフル充填で300キロから800キロ程度走ることができるとしたら、今のガソリン車やハイブリット車の満タンとさほど変わらない走行距離数です。現在のガソリンスタンドの数は29,000個所程度で、登録されている車両はざっと7,000万台です。つまり2400台に対して1箇所のガソリンスタンドという規模で全国にスタンドがあります。昔と比べるとスタントを探すことがありますが、それでも不便なく使える規模が現在の数だとしましょう。やはり政府目標の2030年の水素ステーションの900箇所は少ないですね。
いずれにせよ、今回の新プラントは水素の供給のスタートを切った取り組みと言えます。ただ、水素の製造コストやFCVの普及、そして水素ステーションの普及を考えるとガソリン車を水素にという発想はやや難しいかな。という印象を持ちました。
英国と欧州
早嶋です。
2016年6月23日の国民投票におけるEU離脱の選択から4年以上の歳月をかけて、離脱協定に沿って2020年1月31日にEUを離脱しました。そして去年1年間に英国とEU間の協定や取り決め毎に対して交渉が行われました。昨年の12月24日に英国とEU間の通称協力協定に合意。2021年1月1日からその協定の暫定適用が開始されました。
英国とEU、いや欧州大陸は歴史を辿っていくと元々が違うんだと思います。なんというか少し島国である影響もあり、個人主義でどこか引いた感じを受けます。なんとなく壁を作る感じはどことなく日本的な雰囲気もします。米国を引き合いに出すと怒られるかもしれませんが英語の表現も米国と違ってストレートではありません。我々日本人と同じで根底は島国根性があるのでしょう。
欧州大陸と英国はドーバー海峡によって隔たりがあります。この海峡は難所で、過去何度も欧州大陸から英国に攻め込む国がありましたがことごとく失敗。まさにドーバー海峡は英国にとっての守護神なのです。そしてそのお陰で英国は大航海時代の後半より力をつけてきました。ポルトガルやスペインが植民地政策を行っても、欧州が戦場になれば艦隊を自国に呼び戻す必要がありました。戦力が不足するからです。しかし英国はドーバー海峡があったため欧州での争いがあっても英国に攻め入る国が結果的に少なかったのです。そのため欧州が戦いに明け暮れていた隙きを狙って植民地を増やすという行動を過去繰り返しています。また、英国は直接自分の手を動かさず、戦略的にパートナーを誰かと組み、他人の褌で相撲を取ることを得意としていました。
本稿では16世紀から17世紀、18世紀から19世紀、20世紀と順を追って英国の歴史と欧州の動きを見ていきます。事実関係はWikipediaを中心に調べていますが、ところどころ早嶋の解釈も入っています。事実とは違う分はご容赦下さい。
(16世紀から17世紀)
16世紀。日本は戦国時代から江戸の初期でしたが世界ではスペインがぶいぶい言わせていました。時の権力者、フェリペ2世はスペイン帝国の最盛期に君臨した王です。その治世は欧州、中南米、フィリピンに及ぶ大帝国を支配しており、地中海の覇権を巡りオスマン帝国をも退けて勢力を拡大します。そしてポルトガルも手に入れイベリア半島を統一し同時にポルトガルが有していた植民地も継承します。その繁栄は「太陽の沈まない国」として形容されるほどで、強みの無敵艦隊を率いて海も制していました。
そんなフェリペ2世はカトリックによる国家統合を理想に掲げます。一方当時のオランダはスペインの飛び地でした。オランダは宗教改革を行い新教カルヴァン派を国教として奉じる国になっていました。そのためカトリックに対する誹謗中傷がじわじわ始まり、やがてスペインの逆鱗に触れ結果的にスペインからフルボッコにされたのです。
その頃英国は、スペイン、オランダ、ポルトガルの交易船などを襲う海賊に支援をし、海賊行為によって得た金銭でひそかに富みを得ていました。更に、オランダに肩入れをすることでスペインの虚を突くことができると企んだのでしょう。また宗教の見地からも英国はカトリックを止めていて女王陛下を英国国教会のトップとした背景もあり、スペインに対して何か感じることがあったのかも知れません。
このような積み重なりがありフェリペ2世は英国(イングランド)に無敵艦隊を送り込むことを決めました。ロンドンに上陸してエリザベス女王を捉えて宗教裁判を起こす作戦でした。しかしスペインは英国に負けてしまうのです。英国はドーバー海峡を熟知しており無敵艦隊を海峡の狭いところにおびき寄せ圧勝しました。1588年、アルマダの海戦です。英国艦隊に敗北したスペイン無敵艦隊はスコットランドとアイルランドを迂回して帰国を目指しましたが運悪く悪天候により更に被害を蒙ります。結果約130隻あった艦隊が本国に帰国出来たのは半数の67隻だったと言われます。
スペインが衰えると次に台頭した欧州の国はフランスでした。この頃のフランスを率いたのはナポレオンです。彼はフランス革命の混乱を収拾し軍事独裁政権を樹立しました。フランス革命が起きた当時、周辺国も王国だったためフランス革命の動きが自分たちの国にも飛び火して革命と同じような動きになったら困ると誰もが思っていたことでしょう。そこに英国が乗っかって、一緒にフランスをやっつけようぜ!となったのです。
しかしナポレオンは包囲網を突破し、西はスペインから東はドイツ、そしてロシアまでをも支配する勢力を持ったのです。フランスはスペインに変わり欧州広域を統一する存在になったのです。もちろん英国は黙っていません。フランスにしかけます、1805年、トラファルガー海戦です。ナポレオン戦争における最大の海戦とされ、英国はこの海戦の勝利によりナポレオン一世の英国本土上陸の野望を阻止しました。ロンドンにあるトラファルガー広場はこの海戦から名前を得ており、広場にはネルソン提督の銅像があるのもそのためです。
ナポレオンはこの戦いの腹いせに英国経済封鎖を試みます。フランスの同盟国に対して英国との貿易を止めさせたのです。しかし英国に農産物を貿易していた国々は穀物が売れなくなり困り果てます。この影響により時のロシアでは大規模な反乱が起こりました。そしてこれが仇となりナポレオン帝国は徐々に崩壊へと向かっていったのです。皮肉なことに自分が蒔いた種によって終焉を迎えます。
決定打は1815年御ワーテルローの戦いです。この戦いでフランスは英国や当時のドイツとの同盟軍に大敗して、ナポレオンは南大西洋の孤島セントヘレナへ島送りされ、1821年にその生を終えました。英国は1840年にナポレオンの遺体をパリに返すことを認め、今でもその遺体はルイ14世が建てた廃兵院のドームに安置されています。
(18世紀から19世紀)
18世紀。農業生産の飛躍的な向上を成し遂げた農業革命に続き、世界初の工業化を達成した産業革命が英国ではじまります。英国が自分たちの生産能力を向上させた背景は植民地政策と奴隷貿易の影響が大きかったと思います。当時の英国は欧州の国々が争っている間にいろいろな国々を植民地にしていきました。ドーバー海峡のおかげで欧州の国々が英国に攻め入ることが難しく、余った戦力を世界の植民地にむけることができたのです。結果、アフリカ、中東、インド、マレー半島、オーストラリア、ニュージランドを次々に植民地にしていきました。
植民地は関税なしに英国で生産した商品を売る市場でしたので、作れば作るほど売れる。そのため生産性を飛躍的に向上させるインセンティブがあったのです。英国は当時、世界の工場と称されたのも有名ですね。英国に取っては植民地政策こそが繁栄の鍵だったのです。
そんな英国の驚異はロシアでした。ロシアの多くは氷に覆われているため常に南下政策を考えます。地中海、中東、アジアと貪欲に攻め込むロシア。当然、英国としては欧州大陸がロシアの手に入ることを恐れていたので、植民地に向けていた海軍の軍事資源をロシアとの戦いに向け始めます。直接的に戦いを仕向けない英国が相棒に選んだのはフランスでした。
1853年、ロシアは南下政策を積極化させてオスマン帝国に宣戦。英国とフランスはオスマン帝国を支援して戦争がはじまります。クリミア戦争です。結果、ロシアは敗北してパリ条約で講話、オスマン帝国の領土は保全されロシアのバルカン方面での南下は一旦抑制されました。
ロシアはインドにも向かいます。ロシアは既にイラン進出にて戦争を起こし、アフガニスタン方面にも勢力を伸ばそうとしていました。英国にとってインド植民地の権益を防衛する大義があったので英国はアフガニスタンに侵略してアフガン王国の制圧を目指しました。これがアフガン戦争です。
ロシアは中国にも南下政策を仕向けます。ロシアとしても不凍港を欲していたのが理由です。当時ロシアは上述したバルカン半島での南下政策を断念していたので進出の矛先を極東地域に向けることにしました。日本は近代国家の建設を急ぐとともにロシアに対しての安全保障上の理由から朝鮮半島を自国の勢力下に置こうと考えていました。朝鮮を属国としていた清との戦い(日清戦争)に勝利した日本ですが中国への進出を目論むロシアが邪魔だったのです。ロシアは露清密約を結び満州への進出を推し進めていました。そして英国はこの関係を観察しており日本と手を組むことで、結果的に日本がロシアと戦うように導いたのです。日露戦争です。
当時のこの戦いはグレート・ゲームと呼ばれました。中央アジアの覇権をめぐる英国とロシアの敵対関係や戦略的な抗争を指す言葉で両国の情報戦をチェスになぞらえてつけられました。グレート・ゲームは20世紀の冷戦構造と全く同じで典型的なランドパワーのロシアに対してシーパワーの英国は直接ロシアに攻め込むことなく、適宜同盟国と一緒になり間接的にロシアを封じ込めました。クリミア戦争、アフガン戦争、日露戦争。結果的にロシアは疲れはて混乱状態に陥ります。結果、萎縮したロシアが選択した1907年の英露協商で英国とロシアの互いの争いは終了しました。
(20世紀)
20世紀。新たな敵国が出現します。ドイツです。ドイツはロシアに変わる新たなランドパワーとして台頭し2つの世界大戦を引き起こします。当然英国は2回とも連合軍をつくり叩きのめしました。第二次世界大戦の時はヒトラーが群衆を率い欧州をほぼ占領します。その範囲はフランス、オランダ、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、東ヨーロッパ、モスクワまでと、とても広域に攻め込みました。ドイツは陸軍主体の戦いが得意だったのでドーバー海峡を超えて英国に攻め込むことは苦戦していました。
それでもドイツは空軍を使って英国に攻め込みます。ロンドンは無差別空爆を受けますが、時の首相のチャーチルは絶対に屈しない姿勢を示します。ドイツは北フランスから飛行機を飛ばしたため、英国の北部まで攻め込むことができず、逆に英国は北部からダイレクトにドイツに飛ばした飛行機によってドイツを叩きのめすことができました。当時の飛行機は今ほど距離を稼ぐことができず、空の戦いでもドーバー海峡が英国に見方したのです。
ヒトラーは英国を諦め、代わりにロシアを攻め込みます。そこで英国はロシアと手を組みドイツを攻撃しようと考えました。この頃、あろうことか日本が勘違いして米国に戦争をしかけます。当時の米国は欧州での戦争をためらっていましたが日本が宣戦したことによって目覚めてしまったのです。そして英国、チャーチルすかさず米国を見方につけて、陰で日本と米国の戦争を操ることを目論んだのでしょう。
結局、ナチス・ドイツは崩壊して英国と手を組んだロシアが再び東欧とドイツに勢力を伸ばしていきます。ドイツは東側がロシア、西側を英国と米国が分断することになりました。米国はNATOを結成して独立した加盟国が外部からの攻撃に対応して相互防衛に合意することで集団防衛システムを構成します。対するロシアはワルシャワ条約を結びこの勢力に対抗しました。
当時の英国は完全に米国におんぶにだっこで本来は当時の大英帝国を復活したかったでしょうが戦疲れがあったのでしょう。その間に植民地が次々に独立していったのです。皮肉なことに、植民地の独立運動に火をつけたのは日本でした。日本が取った大東亜共栄圏の思想がフランス領や英国領だった国々を奮い立たせ、両国の植民地だった国々は次々に独立していきました。ロシアが東ヨーロッパの共産化を進めるなか、英国は悔しい思いをしたことでしょう。単独では何もできないと判断して米国と手を組みました。元々は同じ英語圏で、その昔は英国の植民地だった米国。なんとなく英国は下にみていましたが米国の助けなしに頑張れなかったのです。
そんな折、1956年にエジプトのナセル大統領がアスワン・ハイ・ダムの建設費財源を得るためにスエズ運河の国有化を発表しました。スエズ運河は1869年に営業開始、1875年に英国が買収し株主となっています。そのため株主である英国やフランスに多大なる富をもたらしていました。エジプト革命を成功させたナセル大統領は当初、アスワン・ハイ・ダムの費用援助を米国に求めましたがナセル大統領はロシア寄りの姿勢を取っていたため米国に断られたのです。結果、スエズ運河の国有化を思い付いたのでしょう。これがスエズ戦争です。
当初、英国は優位な展開をリードしていましたが、ロシアがエジプトを支援するという名目で軍事演習を開始します。本来ならば米国が手助けしても良かったのですが米国は助けませんでした。というのもロシアでスターリンが死去し米国とロシアの関係が良好になりつつあったからです。当時の米国大統領、アイゼンハワーもその関係を再び冷えた状況にしたくなかったのです。英国としてはNATOのメンバーなのに米国に助けてもらえない状況に苛立ちを覚えたと思います。
産業革命後、植民地あってこその英国。これはフランスも同じでした。自国で生産した製品が関税なしに自由に売れる市場が植民地だったので、経済を豊かにすることが可能でした。そのため英国もフランスも同じような仕組みを再び作れないかと考えました。そしてこれらが統一欧州の発想につながったのです。欧州全体を市場と捉えて自国の経済を発展させようと企んだのです。
フランスはドイツに対して二度と戦いたくないという思惑もあったと思います。歴史の中でフランスは何度もドイツに攻め込まれた嫌な記憶がありました。ドイツの怖さを十分に知っているのです。そのため英国よりも統一欧州に向けて先に動いたのはフランスでした。西ドイツとの和解というインセンティブが英国よりも高く行動が早かったのです。
欧州経済共同体(EEC)の当初の加盟国はフランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ベルギーでした。英国は、これに対抗してEEC非加盟の英国、オーストリア、スウェーデン、スイス、デンマーク、ノルウェー、ポルトガルとともに欧州自由貿易連合(EFTA)を結成します。政治統合を目標とせずに、域内関税撤廃、EECと異なり共通関税の設定をしない連合体です。
どちらの組織も徐々に加盟国を増やしていきましたが、やはりフランスとドイツが手を組んだら最強でした。EFTAもスペイン、ポルトガル、スイス、北欧チームを集めて運営していきましたが上手くいかず、結果英国はプライドを捨ててフランスに仲間に入れてもらうこととなったのです。英国としては自国の経済状況の悪化には背に腹は変えられない常態だったのでしょう。工場がバタバタ倒産して、労働者がデモりまくり、リストラ反対の嵐。そして賃上げを望む労働者とストライキしまくる労働者でとにかく大混乱だったのです。国が荒れて英国病と揶揄された時代、英国としても不本意な時代だったと思います。
1973年、英国とデンマークが欧州共同体(EC)加盟に伴いEFTAを脱退。1986年、ポルトガルがEC加盟に伴いEFTAから脱退。その後アイルランド、ギリシャ、スペインも加盟して1986年には12カ国に拡大します。そして世の中は冷戦が終わり、東ドイツが民主化運動を起こしベルリンの壁が崩壊。ドイツという大国が再び誕生しました。本能的にドイツを恐れているフランスはドイツ復活を恐れたのでしょう。ドイツを取り込んで欧州全体を一つとすれば問題ないと考えました。今の欧州連合(EU)の始まりです。
ECは市場統合が目的でしたが、EUは経済分野に関して超国家的性格を持つ欧州共同体の枠組みが目的でした。共通の外交、安全保障政策、司法、内務協力という加盟国政府間の協力は画期的です。更に通貨の統合が進められ1998年に欧州中央銀行が発足、翌年から単一通貨ユーロが導入されました。
(ドイツの巧みな活動)
フランスはドイツを恐れてEUの制度を成立させましたが流石はドイツ。EUの枠組みを正当に活用して自国に利潤をもたらそうと考えます。まずは通過です。通貨がバラバラであれば富を得ている国、つまり利益を得ている国の通貨の価値が上昇します。そのため元来から米国や日本やスイスの通貨価値は高値をつけていました。
ドイツは元々ものづくりでも優等生でドイツマルクの価値も高かい状況でした。当然、他国と貿易をする際はドイツマルクの価値が上がっていたのでドイツ製品は他国に取って割高な商品になっていました。特にドイツ御三家のベンツ、BMW、アウディなどはドイツマルクの価値上昇も加わって他の車と比較しても超高級車として取引されました。ところがEUがユーロに統一することでマルクがなくなります。ユーロは仮想国家でドイツが優秀でも他の加盟国の信用はまだまだ高いとは言えません。そのためユーロの価値は相対的に上がりにく構造になっていました。
その結果、ドイツはドイツ製品をユーロで売ることで、加盟国の中では割安に見せることに成功しました。日本が円高で苦しんでいる時にもドイツはユーロ安でボロ儲けすることが出来たのでした。ドイツを恐れたEUの制度が逆にドイツを成長させるコントロールレバーになったのです。これはフランスにとっても予想外だったと思います。
ちなみにユーロにも中央銀行があり、所在地はドイツのフランクフルトです。各加盟国が出資して、その出資額に応じて発言権が強くなります。ドイツが最も出資額が多く実質ユーロはドイツが仕切っています。英国からするとここも不愉快だったことでしょうね。ただ英国はユーロの導入をしませんでした。自国通貨を手放せば通貨発行の権利を失います。多くの国々は景気が悪い時は自国通貨を刷りまくってごまかしています。もしユーロを使用するとなるといちいちドイツの許可が必要なり英国にとって不都合極まりなかったのでしょう。。
ドイツのメルケルは積極的に移民を受け入れる政策をとりました。表面的には移民に感情移入をし可愛そうだとしていましたが、経済的には移民の労働力を欲していました。当然、ドイツ国内の産業を下支えするためです。ただドイツも高齢化になりつつあり社会保障等の負担は日々大きくなります。そこでドイツは考えました。EU皆で移民を受け入れて対応しましょうと。そしてもし受け入れたくないならばその分お金を出しませんかと。
当然、移民からすると仕事があって賃金があって保障が充実するエリアにいきたいのでドイツや英国が専らいいねとなるのは自然です。SNSでこっちはこんな条件だぞ!とか言ってみんなが英国を目指し始めるのです。英国民からするとこれまで自分たちが将来のために払ってきたお金を、なんで移民に分配しなきゃいけないんだ!となって騒ぎ始めたのです。その時の首相がキャメロンで、メルケルとの交渉材料にと国民投票でEUに残留するか出ていくかを決めようと考えたのです。当時のキャメロンの思惑では五分が6対4くらいで残留が勝って、その内容をメルケルに突きつけて、あなたの要求は聞きませんよ!というシナリオを考えていたのでしょうが、ご承知の通り出ていく!という流れになっちゃったのです。そして国民の意思ということで英国政府は当然に無視できなくなります。その結果、離脱しますねとなったのです。
当時、その程度の理由で国民投票を行ったものですから、実際に英国がEUを出たらどうなるかなどのシミュレーションは殆ど行なわれていなく、出ることが決まった後に、マーケットはどうするかとか、関税がまたもどるぞとか様々な契約を見直す必要がでてくる、という感じで色々と不都合な事実がじゃかじゃか後出しジャンケンのようにでてきたのです。しかし後の祭りです。
その頃ドイツは英国は実は残りたいだろうと踏んでいました。そのことを逆手にとって英国から条件を引き出そうとあーだ、こーだ、様々な条件を英国に突きつけ、時には内政干渉と取れるようなこともしていました。なんとなくグチグチしていて英国からは嫌だなーとなっていたのでしょうね。結果、英国の保守党政権内でも離脱派と残留派が対立、EUとの条件闘争ももちろん決裂しました。最終的には保守党の離脱派、ボリス・ジョンソンが総選挙で圧勝してしまい正式離脱を表明したのです。
(ボリス・ジョンソン)
ボリス・ジョンソンは2015年の下院議員の前はロンドン市長を2期8年務めています。ニューヨーク生まれで米国と英国の二重国籍を持っており、前メイ政権の外相に起用された時点で米国籍を捨てています。ボリス・ジョンソンとキャメロンは名門パブリックスクールのイートン校からの盟友でしたがブレグジット国民投票では離脱派と残留派で戦うことになりました。ただ、両人ともEUから距離を置く伝統的な保守党のリーダーだったので本気で戦ったかどうかは不明です。
本稿でも示した英国病と形容された1970年代の長期経済低迷期、ボリス・ジョンソンとキャメロンはマーガレット・サッチャーの言動に影響を受けています。当時のサッチャーのスピーチに、次のような記録があります。「ソ連のように中央から仕切る国が今は権力分散が大事だと言っている。それなのに欧州共同体は逆行して権力を中央につけようとしている。フランスはフランスとして、スペインはスペインとして、英国は英国として独自の文化や習慣やアイデンティティを持ってるから強くなるんだ。」と。
また、二人はチャーチルの思想にも強く影響を受けていると言われています。第二次世界大戦前チャーチルのメッセージです。「英国は欧州と連携しているがその一員ではない。欧州とともにあるが、欧州は英国ではない。我々は欧州に関心を持ち、結合しているが欧州に組み込まれているわけではない。」と。
そしてボリス・ジョンソンはロンドン市長の時に「EUの目的は本質的にはアドルフ・ヒトラーと同じだ」とし、「英国はEUという超国家に取り込まれるべきではない、ユーロは生産力あるドイツに絶対的なアドバンテージを与え、その他ユーロ圏の国々はドイツに絶対勝てない仕組みになっている。」とユーロを批判していました。ボリス・ジョンソンとしてはようやく自分の考えを体現する活動が始まったのでてワクワクしているのでしょう。
(英国の分断)
国民投票の結果は興味深いものがあります。地域的に見て残留か独立かが明確なのです。スコットランドなど北部エリアは残留派が多く、イングランドは独立派が多いのです。スコットランドのウィスキーは欧州で売れていましたが関税がかかると高くて売れなくなります。英国のEU離脱によってスコットランドは英国から離脱してEUに戻る意向を示しています。
2020年12月末、ボリス・ジョンソンが示した挨拶の中で「手にした自由を最大限に活用するかは私たち次第」と強調し、「世界中と貿易協定を結ぶことができる」と、EU圏外の各国と独自に経済関係を強めていく姿勢をしめしていた時、スコットランドのスタージョン自治政府首相は完全離脱後から、「スコットランドは間もなく(EUに)戻る」「私たち自身が私たちの未来を担う時だ」と相次いでツイッターに投稿しています。
英国のEU離脱は北アイルランドにも大きく影響します。北アイルランドは元々はアイルランドで全体の25%程度が英国からの移民です、アイルランドが独立する際に英国の一部になっています。英国系はプロテスタントでアイルランド系はカトリックと宗教的な対立も揉め事の背景に隠れています。これらの解決策の1つとして国境を無くすことがあり平和が取り戻されました。しかし今回のEU離脱によって、再び国境が生まれると再び揉め事の原因になりかねないのです。
今後、ジョンソン政権は欧州以外にマーケットを求める動きを加速します。保守党はマーケットとして中国もみていましたが香港問題やウィルス問題で険悪になっています。米国に関しては協定を結んで関税をゼロの方向に調整しています。そしてTPP。太平洋周辺国の関税無しの協定です。見渡せばかつては英国の植民地だったエリアで、英国との相性も良く日本にとっても実質的な日英の貿易協定につながっていきます。
EUは中国と接近し、英国は日本に近づく。再びランドパワーとシーパワーの戦いが始まるのでしょうか。
参照:
Wikiペディア、日経新聞、ロイター通信、各国外務省Webサイト
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