
対人関係並びに集団における人の意識及び行動についての心の過程」
2020年9月9日
安藤です。
今回は、「対人関係並びに集団における人の意識及び行動についての心の過程」です。
個人内過程に関する理論の代表として、『認知的不協和理論』が挙げられます。認知要素の矛盾がある場合、その矛盾から逃れるために認知を変容させるという、フェスティンガーの理論があります。例えば、「過酷な労働環境で給料が安い」という矛盾した状況にある場合、「現在の労働に、お金では買えない価値がある」と認知を変えることで、矛盾から逃れようとします。
集団過程そのものに注目する理論としては「傍観者効果」や「集団思考」が挙げられます。
集団内過程の例として、集団の意思決定が極端な意見になりやすいという集団極性化の理論が挙げられます。結果として集団内で生じやすい浅はかで短縮的な結論を集団思考といいます。
集団思考の特性として、①同調圧の高い集団は、集団思考の症状は出やすくなる。②集団意思決定の質は個人による意思決定に比べて劣っている。③思考や発言が抑制されやすいのは、集団構成員間の親密性が高いときつまり集団的儀集性が高いときであるとあります。
キャリアドッグ,EAP,心理学を活用したコミュニケーション研修,EQ研修,メンタルヘルス研修ご興味・ ご関心がある方は気軽に弊社にご相談くださいませ。
営業標準プロセスの価値とは?(中編)
2020年9月8日
高橋です
先月から私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、数回に分けてお伝えしています。
今回は「営業標準プロセスの価値とは?(中編)」をテーマに解説いたします。
マクドナルドのポテトは日本全国どこで食べても同じ味、のはずです。なぜ同じ味ができるかと言うと、マニュアル化されているからですよね。経験のないパートさんでも学生アルバイトでも、その日からポテトが調理できる仕組みが整えられています。
営業マンも同じです。新入社員や中途入社の社員にはなるべく早く仕事を覚えてもらい即戦力になってもらいたい。そのために教育するわけですが、教える人によって内容がバラバラだったり、先輩にくっついて現場で仕事を覚えろ、では効果的とは言えません。付いた先輩との相性が合わないとか、人によってやり方が違うとかでは新人は混乱してしまいます。
そこで共通の営業標準プロセスがあれば、教える方も教わる方もわかりやすいですよね。何をすればいいのか、何を身に付ければいいのかが明確だと目標設定もしやすいです。自ら学ぶこともできるので、効果的に短期間で習得することができるでしょう。
これが営業標準プロセスを作成する二つ目の価値です。短期間に標準的なレベルの営業マンを育成することができます。
私は前職で外資系の保険会社で働いていました。その会社は新卒を一切採用せず、中途社員ばかり、しかも保険業経験者は採用しません。普通で考えれば経験者を採用した方が即戦略になると思うところですが、そこがこの会社の戦略です。
この会社には営業プロセスとその教育システムが確立しているので、まったく白地の人を採用し、自社独自の考え方や営業プロセスを1ヵ月間徹底的に教え込みます。よって1か月後にはすべての社員がまるで金太郎あめのようにまったく同じことをできるようになります。
私も1ヵ月後いきなりお客様との商談に臨みましたが、習った通りに話すと、教わった通りにお客様が反応してくださり驚きました。保険のお申し込みをお預かりできた時は、感動したことを覚えています。
ここで私が体験したことは、個々人の能力には差がある前提で、「最も契約できる方法」を、「とても効率よく教える」ことで、「全体で最大の成果」に結びつける仕組みが存在するということでした。
ちなみに、ある講演会で、アメリカ企業の日本法人で営業をしていた方の話しを聴きましたが、やはり営業プロセスがきっちり出来上がっており個人のキャラややり方に頼ることをしない、と言われていて、同じだと思いました。
優秀なトップ営業マンに対して、「彼は特別なんだ、だから売れるんだ」ではなく、
その営業マンの優秀なポイントを明確にすることで、真似れば誰もが売れるようになる。営業とは属人的なモノではなく、売れるプロセス『型』を必ず作ることができます。
柔道に受け身や投げの型が有り、ゴルフにスウィングフォームのセオリーがあるのと同じです。習えば誰でもできるようになります。
その上で、個人の長所・特性を伸ばしていけばいいのです。けっして画一的でロボットのようにつまらない集団にはなりません。次回はその辺を解説します。
営業プロセス、営業研修、経営戦略などにご興味ご関心のある経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
去年のM&Aの半数は支配権を伴わないM&A
2020年9月8日
早嶋です。
日本国内のM&Aの件数は、2019年ベースで約4,000件です。そして、その半数は実は支配権の移動を伴わないM&Aです。皆さんのイメージでは、M&Aと聴くと買収のイメージが強いのでは無いでしょうか?
ーー
企業買収:ある会社が他の会社を支配する目的で、発行済株式を過半数買い取る意味で使われる。
ーー
しかし去年1年間の4,000件の内5割近くが、支配権の移動を伴わないM&Aでした。つまり少数出資であったり、第三者割合出資であったり、追加増資です。実際に、支配権の移動を伴うM&Aは約1/3で事業所とは10%でした。
この背景は何を意味すると思いますか?実際に一つ一つの案件を負うことはできませんが、買い手としてもM&Aに対してのリスクがかなり高いことを考えると、一部出資をしながら様子を見る。という考えが推定されると思います。私も買い手とM&Aをすすめる時は、M&Aありきではなく、買い手の戦略の整理からはいります。その場合、目的を達成することができれば、一部出資や場合によって業務提携で終わる場合もあるのです。
台風とメーカーとリトルハイア
2020年9月7日
早嶋です。
久々に九州に近づいた台風。気象庁の呼びかけにより、数日前から各々に台風に備えたのでは無いでしょうか。私もベランダの整理と植木鉢などの屋内への待機、非常食や何かあった場合の連絡先やルートの確認。停電になったことを想定した電気と水のアクセスに対してのシミュレーションを行いました。日頃から準備することの大切さを改めて考えました。
その中で、ジョブ理論のリトルハイアにフォーカスした情報提供があれば、その企業は認知度と販売後の顧客との関係を更に深めることができるのではとも感じた次第です。例えば。・・・。
◾トイレ
トイレメーカーは片手の数も有りませんが、「台風 トイレ」等のキーワードを入れても何ら対策など、ユーザー(消費者)が(多分)知りたいであろう情報を提供している企業はありません。あったとしても、その情報までリーチさせる工夫がほぼ無いよう思えました。
●停電になった場合のトイレはどうなるのか?
●その際に、何を準備しておけばよいのか?
●何かトラブルがあった場合、どこに連絡するのか?
等々です。
おそらく各社のサイトを調べると、どこかリンクが深い場所に情報があるのでしょうが、今は親指で検索して出てこなければ、存在していないかのごとく扱われると思います。
しかし、もしトイレメーカーが堂々とYoutubeやスマフォのサイトで情報を提供していれば、そのページのアクセスはかなり向上するでしょう。そして、それが購買後のケアに対しての満足度を向上することでしょう。
◾窓
窓ガラスや扉やドアに対しても同様のことが言えると思います。皆、ニュースを見ると養生テープを貼って、ダンボールをせっせと外の窓に貼っています。果たし目的は?とも思う風景です。
●窓ガラスはそもそも風で割れるのか?
●自分の家のガラスはどうか?
●参考までに調べる方法はあるか?
●対策を施すとしたら何をすると良いか?
●もし、窓ガラスが割れたら、どうすると良いか?
等々です。
窓ガラスに対しては、「台風 窓ガラス」などとぐぐると、メーカーのサイトが出てきて、PCでもスマフォでも対応しています。基本的な予防や注意点などがわかりやすく、かんたんに調べることができて、消費者は安心したのでは無いでしょうか。
現在、消費者が何かを調べる際は、圧倒的にスマフォです。20代から40代にかけては8割がスマフォをベースに情報を検索するとありますので、WEbページはPC用ではなく、スマフォで情報にアクセスすることを前提に作ると良いと思います。
ただ、ノートPCを使って調べる割合も一定数あります。特に60代以降はスマフォとノートPCを同じ割当で利用していますので、高齢者向けの情報はノートPCに誘導するか、普段からフマフォなどの活用を促す取り組みをするか、色々と企業として取り組めることが見えてきますね。
◾住宅メーカー
住宅メーカーや家や中古マンションを販売する代理店は、実は家のスペックを最も知っている企業です。台風の前に対して、現在、あなたの家の窓は○○の仕様なので、今回の台風によって、最悪○○のケースが考えられます。すでに、取り替えるなどはできないので、最低、○○のような準備をされてはいかがでしょうか?などと連絡するだけで、その企業の信頼度はぐっと上がることでしょう。そして。もし台風等の災害で何かあれば、当然にその企業に再びコンタクトがあるので、消費者にとっても安心ですし、企業にとっても次の事業につながるチャンスです。
◾車メーカー
これは車メーカーも然りです。数百万から1,000万近くする車を販売している企業は、少なくともユーザーがどのような場所に車を普段駐めているかを把握しておくべきだと思います。そして、何か災害があるような場合は、そのユーザーに連絡をしていて、そのエリアは○○の可能性があるので、最悪○○の被害がでますよ。その対象として、お客さんだったら○○するといいですよ。的な連絡を入れることです。
もちろん、全ては自分で行うことが当たり前の世の中ではありますが、個人がスマフォを持ち、必要なタイミングでコミュニケーションが取れる時代です。そのようなピシャリのタイミングで連絡がくると、顧客の脳裏にははっきりと記憶が残ると思います。もちろん、そのようなコミュニケーションもある程度機械じかけでできますので、消費者のことを慮る気持ちが少しあればできることです。
災害の時に、災害を意識した商品があれば、それを消費者の記憶にとどめてもらう。CMで何か流すよりも、目的意識がある時の情報提供がはるかに効果があると思います。ただ、トイレも、窓ガラスも直接メーカーが消費者に販売するわけではないので、最終的に顧客とのコミュニケーションが取れないものだと思っているのかも知れません。
情報化社会になれば、企業は中間業者の存在があっても、エンドユーザーと直接つながることは容易です。その工夫は、やはりメーカーがもっと考えて、リトルハイアにフォーカスした事業モデルにかえることが大切な方針だと私は思います。
コロナ禍とその後の時代を生き抜くには
2020年8月5日
原です。
コロナ禍の2020年5月時点の完全失業者が約197万人、休業者が約423万人というデータがあります。今後も感染の第2波や3波も懸念されるなど数年前に比べ、さらに将来予測が不確実な時代となっています。
最近では、テレワーク導入によりオフィスを半減、またはオフィスを無くす企業。従業員を削減する企業。そもそも仕事がなくなり事業廃止や倒産する企業も増えてきています。これからの未来は、現在とは違う方向に進んでいくことも考えられます。
例えば、以下のようなビジネス環境の変化をイメージしてみました。
・私の経営コンサルタント業界では、オンラインやAIの導入により、既存のスタイルによる研修講師やコンサルティングでは以前のように稼ぐことができなくなる。
・教育業界では、集合教育は減少しオンライン教育が成長する。
・飲食業界では、イートインや飲み会は減少し、ウーバーイーツなどを活用したテイクアウトや自宅での料理による食事が増えていく。
・販売、営業、事務部門がICTやAI導入により、部門のスリム化とスタッフが減少する。
・今まで安定していた企業の社員さんや組織の職員さんも終身雇用は崩壊する。
・新しいことにチャレンジし続けるイノベーターが生き残る。
・一部のモノはお金で買えば何でも手に入るから、自分で作らなければ手に入りにくくなる。
・既存のスキルや理論の習得により「稼ぐ力」を身につけたビジネスパーソンも、さらに「生き抜く力」が必要になる。
コロナ感染2波懸念による自粛など不安な生活が続く現在、自宅でテレワークや巣ごもり対応するだけでなく、第2の人生を切り開くための新たな計画を考えてみることも必要ではないでしょうか。
「3密を守りながらの働き方や生き方とは。何ができるのか。どうすればできるのか。」を考えたのなら、続いて、そのための準備を開始し、試験的に取り組んでいき、少しずつ副業または本業と言えるようにステップアップしていくことが必要です。
誰も守ってくれない、守れなくなる時代。コロナ禍とその後の時代を生き抜く力とは何か。
「テクノロジーで生き抜くのか。グローバルに生き抜くのか。自給自足で生き抜くのか。その他、どのように生き抜くのか。」どんなスタイルであれ、生き抜くために変化する力がなければ今までのように生きていけない時代が、未来から現代に少し早めにタイムスリップしてきたような気がします。
キャリアコンサルタントが面談に活かす論理的思考を伸ばすフレームワーク
2020年8月5日
安藤です。
キャリア面談は社員の方々の要望や抱えている悩みを知るための良い機会として、さまざまな企業で行われています。また、適切な面談を行うことで社員たちに気づきを促せるという点も注目されています。
今回はキャリア面談の意味や目的、そして、フレームワークを活用した論理的思考です。
キャリア面談は、社員の中長期的な考え・展望を知り彼らの気づきを促すきっかけとなるものです。
キャリア面談には、以下のような意味・目的があります。
・現在の仕事に関する問題点や悩みを聞く
・将来(中長期)の展望やキャリアについての意向を聞く
・社員の理想を知る
・普段は行いにくい意見交換ができる
・やるべきことの優先順位がまとまりやすい
・目標が明確になりやる気が増しやすい
・スキル・キャリアアップへの道がみえてくる
・業務改善につながる意見を聞ける
・貢献度が高い、もしくは将来的に高くなる人物の見極めができる
キャリア面談を行うことは、面談を受ける社員にとっても、面談を行う側(上司ないし企業)にとってもメリットが大きいと言えます。
「キャリアコンサルタントの論理的思考を伸ばすフレームワーク」として7つ紹介します。数回に分けてお伝えします。
今回は、①MECE(ミーシ-)です。
ある要素をモレなく、ダブりなく切り分ける。MECEは「モレなく、ダブりなく」を表す英語の頭文字を取ったものです。相互に、重複せず、全体として、漏れがない。
全体の構造を大枠で把握したり、他のフレームワーク等に応用して問題の原因を探ったり、課題解決に用いたりします。そこで、MECE(モレなく、ダブりなく)を意識することによって、俯瞰的に視点がみにつけられるようになり、例えば、部下は二択で考えている場合に、第三の道(2択以外のその他)にも思考できるようになります。
②ロジックツリー
MECE(モレなく、ダブりなく)を意識して、上位疑念を下位の概念に枝分かれさせて分解していく分析手法です。
上記の①②は、業務で活用されているフレームワークかと存じます。それをキャリア面談または、相談時に傾聴を基本として整理シートとして活用されてみてください!
キャリアドッグ,EAP,心理学を活用したコミュニケーション研修,EQ研修,メンタルヘルス研修ご興味・ご関心がある方は気軽に弊社にご相談くださいませ。
米国と中国
2020年8月4日
早嶋です。
普段は日本を中心にした地図が当たり前ですが、正距方位図法で米国ニューヨークを中心に世界を見ると景色が変わります。米国はユーラシア大陸から離れた位置にあるのです。地理的な条件を考えたときに、少々強引ではありますが米国は英国や日本と同様に海に囲まれた島とみることができます。
第5代目米国大統領のジョームズ・モンローは1823年に欧州諸国に対して米国と欧州間に対する相互不干渉を提唱(モンロー主義)しました。欧州から米国は遠いこともあり、攻め込むことを辞め、米国は一気に西部開拓を進めます。この考えは今も米国外交の基本方針になっていると思います。
当時の米国は西海岸から少し内陸に入った小さなエリアのみで、周囲は先住民が住んでいました。モンロー主義の影響で開拓民は他国から干渉を受けることなく西部開拓に注力します。ただし当時の開拓民は政府から保護を受けることもなく、先住民や過酷な自然環境と戦いながらも自分たちの手と足によって西部開拓を進めたのです。
読者の皆さんは幼少期に「大草原の小さな家」を見たことがあるでしょうか?当時の開拓民をストーリーに展開されるお話です。開拓民の暮らしぶりや生活からは、独立自尊、創意工夫、忍耐不屈という言葉がぴったりなくらい厳しい環境のものでした。皆が銃を持ち、丸太小屋を作り、先住民と戦いながら土地を開拓していくのです。毎日がつらい日々でしたが皆耐え忍んでいました。
しかし、どうにもならない場合は、宗教を拠り所とします。非常に厳しい環境のもと、教会や牧師はいません。開拓民の多くが聖書と向き合っていました。信仰は自ずと原理主義的な思想を強くし、聖書に書いていない世界に対しては全否定する態度を取るようになります。
当時の開拓民の人々の末裔は反同性愛、反中絶、反進化論、反共主義、反イスラム主義、反フェミニズム、ポルノ反対、性教育反対、家庭重視、小さな政府、共和党支持などと上記のような歴史的な背景があります。また、自分自身を自分の責任のもと守るために銃社会に対して寛容であることも理解できるでしょう。
この思想は、苦しみは神からの試練であり、打ち勝つことも信仰の延長として捉えられます。先住民に対しての攻撃は、自分たちを正義として結果的に先住民征服やメキシコ侵略の動機につながりました。当時のメキシコはスペインの植民地で、カトリックを主体でした。米国のプロテスタントがカトリックを受け入れないという考えもあり、メキシコ侵略は正義のための戦いとして浸透しています。
米国は常に悪との対立を行う正義なのです。日本やドイツなどのファシズを倒す世界大戦。共産主義を倒す冷戦。イスラム過激派を倒すイラク戦争。これらもある程度しっくり来ますよね。
1848年。米国はメキシコ戦争に勝利します。当時、今のテキサスやカリフォルニアはメキシコの一部でしたが米国の領土になりました。その結果、米国は大陸国家に成長し、東海岸から太平洋に抜ける立地を手にしたのです。
そして偶然が重なります。カリフォルニアで金が発見されたのです。結果的にカリフォルニアが全米中、そして世界中から注目を集めるようになりました。当時、西海岸から東海岸に向かう場合、陸路ではロッキー山脈を超える必要がありました。ここは相当な難所であったため、東海岸へのルートは実に遠い船旅を強いられました。西海岸からアフリカに向かいインド洋に出る。そしてマラッカ海峡から日本をかすめて東海岸へ向かう壮大な船旅を強いられました。当時はその海のルートが主流だったのです。
1853年にペリーが浦賀に来日したのも同様の海路をめぐります。米国の西海岸から東海岸へのルートの途中に日本があったというのがきっかけなのです。当然、ずっと海路をめぐるのは非効率だったので、米国海軍兵学校の教官であったアルフレッド・セイヤー・マハンによってパナマ運河の発想が出たのもこの頃です。
1861年から1865年にかけて米国では南北戦争が勃発します。北部のアメリカ合衆国と合衆国から分離した南部のアメリカ連合軍の間で行われた内戦です。南部は気候が良くバージニアを堺に南部エリアでは綿の産地として栄えます。南部の地主は奴隷を活用して英国に対して輸出して利益を稼いでいました。一方の北部は工業が主力で英国は競合になっていました。そのため英国製品に対して関税をかける主張をします。これらが発端で南北戦争に発展したのです。
戦争の結果は北部の圧勝。その結果、南部の綿産業は衰退しますが、代わりに北部の産業が発達するきっかけになりました。もし、南部が勝利していたら今の米国はなかったでしょうね。きっと豪州のようにのんびりと農業大国となっていた可能性があるからです。しかしここはタラレバ。
北部の勝利によって米国全体の産業が発展します。北部には大陸横断鉄道もでき景気もよくなります。その結果世界中から移民が大量に押し寄せます。特に当時貧しい国や難民が米国に押し寄せました。イタリアやアイルランド(当時は英国の植民地で貧しかった)、旧ロシア系のユダヤ人なのです。皆出稼ぎ労働者でしたが、ユダヤ系には一部金持ちもいました。ロスチャイルドなどはその流れで、経済が発展する米国のニューヨークに銀行をつくり金貸しをはじめました。米国からも財閥が生まれ石油のロックフェラーや銀行のモルガン家などニューヨークには巨大な金融資本が誕生しました。
【米国と中国の関係の始まり】
ここから米国と中国の関係です。経済発展する米国は市場として中国に注目します。米国で生産された商品を中国に販売していたのです。当時、英国との戦争で中国は負け、市場を開くチャンスがありました。そこで先に出たマハンが提唱するパナマ運河を活用した航路の重要性が再び浮上します。
米国としては、工業地帯がある西海岸の北部エリアからパナマ運河経由で太平洋に抜けて中国を目指すのが好都合でした。当時の船は石炭を燃料とする蒸気船。長距離の航路は途中で燃料である石炭の補給が必要でした。キューバ、プエルトリコ、ハワイ、グアム、フィリピン。ここを抑えることで効率的に石炭の補給ができると考えたのです。当時ハワイは王国で、他の国々はスペインの植民地でした。そこで米国はスペイン戦争をおこして1898年にキューバ、グアム、フィリピンを獲得したのです。そしてハワイも併合して太平洋艦隊の建設を進めます。見事マハンが提唱した戦略を実現したのです。
そんな当時、日本は日清戦争の結果、下関条約により台湾を清朝から日本の領土としていました。フィリピンを米国下においた米国と日本は隣国同士の関係になっていたのです。当時の清朝は内紛でもガタガタでした。仏国が越南近辺を領土として、英国は上海を中心に占領。ロシアは内モンゴルや満州を占拠、ドイツは山東半島と米国はせっかく清朝に入るルートを整えたのにすでに他国に市場を取られていたのです。
そこで当時の米国国務長官であったジョン・ヘイは「清朝よ、ドアを開け!」的な発想で門戸解放宣言(Open door note)により市場の解放を各国に訴えました。しかし結果は誰も米国を相手にすることはなく、清朝は滅び中華民国が誕生したのです。ここまでの歴史を見る限り米国は中国を侵略していません。それどころか他の国に対して中国の分断に反対していたのです。これは今の対立からは想像できないですよね。
そもそも米国が当時中国に入りたかった理由は市場、つまり金儲け以外に別の理由がありました。それが米国の信仰を提供したいという発想でした。当時の米国人は中国人をすべてクリスチャンにしたいと思っていました。実際たくさんの宣教師を米国から中国に派遣していますし、清朝時代の中国には手を差し伸べることも行っていました。しかし中国は受け入れません。むしろ共産主義としてキリスト教徒を否定する動きになり、米国の苛立ちの根底にある感情を形成したのです。
【米国の2大政党】
米国の2大政党は共和党と民主党です。冒頭にも触れたように共和党は開拓農民の政党です。自分の生活は自分の責任で守る。政府はそもそもあまり干渉するな、福祉も要らないから、税金を安くしてという主張です。当然、アメリカ第一で自国の利益を優先的に考える主張です。西部開拓の流れを考えるとトランプの主張はかなり分かりやすいです。地理的にも開拓民が多く住み着いた米国の真ん中あたりに支持層が多いのも納得ですね。
対してライバルである民主党は後から入ってきた移民側の政党です。自分たちも移民なので今後の移民も継続的に受け入れたい。特にユダヤ系は金持ちなので特別な感情を持っています。彼らは国境を超えて投資をしたいためグローバルに関係を広げたいと思います。
共和党と民主党を整理すると少しは米国の政治が見えて来ますよね。大統領占拠は国民投票で決まります。その際、国民に直接アピールするために占拠には多額の費用をかけるのが通常です。そこで銀行の出番です。銀行は歴史的に見ても民主党よりではありますが、バランスをみながらファイナンスをするため共和党にもお金を出します。
銀行としては、投資を増やしてリターンを最大化したいのが常。そのため本音は海外にも投資を増やしたいのです。当然、中国も投資先として考えているでしょうから本音は中国ともうまくやりたいはずです。
トランプは真逆の考え。民主党は世界を統一する方向に動きたくて、共和党は海外には興味がない。民主党は国際連盟や国際連合をつくりたい。ウィルソンは民主党で国際連盟を提唱し、同様にルーズベルト大統領は国際連合の設立に尽力しています。そしてトランプはそのような取り組みにお金を払う意味が無いとしています。実に分かりやすいですよね。
【中国の近代史】
中国大陸を流れる大河は時には荒れ狂い、時には肥沃な大地をもたらします。壮大な大地を相手にはひとりの人間では太刀打ちできません。そこで大量の人民を組織して事業をなすことが求められました。2000年続く中国の官僚システムの基本的な思想です。秦の始皇帝以来、内陸の歴代王朝が強い権力を持ち官僚機構を使い人民を支配してきました。
一方で中国は海に面するエリアも広く、南に位置するエリアでは昔から貿易が盛んです。貿易を行う人々は自由に海を渡り、富を形成します。そのため大陸にいる人々よりも創造的で自由に行動する気質が自然と芽生えます。現在でも世界中で商売を行う架橋はこの海に面するエリアの子孫だと考えられます。宋代以降、海港都市が貿易で発展し、明代には武装商人である倭寇が出現しはじめます。
当時、倭寇の商売相手は日本。室町時代、日本は銀を売ってシルクを買っていました。当時の日本の商人は腰に刀を刺していた時代。非常に強く、当時の倭寇からすると「かっこいい!」という発想だったようです。日本人の衣装や髪型、そして刀を刺す倭寇も出ていたといいます。その憧れはたしかに倭寇の資料をみるとなんとなく分かります。
中国は内陸の力と沿岸の力が存在していました。経済は沿岸が強いため、内陸は頻繁にそこから重税をかけて中央にお金を集めていたのです。
近代になり、英国は自由貿易を清に求め、アヘン戦争により上海を開港させました。市場を中国に求める動きはどの国も同じで、結果的に日清戦争前後で各国が沿岸部を占領し、中国は分裂させられはじめます。しかし、その一方で上海を中心に外資が入り込み爆発的な経済成長を遂げることができました。その際も金銭的な爆発的なバックアップは浙江財閥が行っていました。
1911年、孫文らが中心となって清朝を倒す辛亥革命が起こります。この際も浙江財閥は資金的なバックアップを孫文に行います。中国において沿岸の力(シーパワー)が内陸の力(ランドパワー)を倒した瞬間でした。それ以降中国では沿岸の力が政権を取り1912年に孫文を臨時大統領とする中華民国が南京に誕生します。
ところが内陸の力は黙っていません。ロシア革命の影響を強く受けた共産党がはじめこそは中華民国と手を組みましたが、軍隊は北京に残したままでした。中国共産党は北京財閥打倒を掲げ国民党に協力(国共合作)するも、1925年の孫文の死去とともに蒋介石がクーデターを起こし南京に国民政府を成立させます。この際、浙江財閥が資金を共有すると同時に英米も支持をしていました。シーパワーとランドパワー、所詮は水と油、うまくいかなかったのです。
当時は世界大恐慌の真っ只中、そして日本は満州事変により中華民国との武力紛争を開始します。これにより日本は英米と戦うことになります。日本が加わることによって、当時の構図は、日本。米英+蒋介石率いる国民党。そしてソ連+共産党率いる毛沢東という3者間の対立に発展しました。
ここもタラレバですが、日本が中華民国との争いを始めなければ中国に米英がバックアップするなどなく、共産党の勢力も今のように大きくなかったかも知れないのです。実に馬鹿げていた行動だと思います。
国民党は沿岸の力、つまりシーパワーの発想で自由に貿易をして経済を成長させる考えでしたので金持ちは富み貧富の差が拡大します。一方の共産党は大陸の力、つまりランドパワーが主体です。官僚主義を貫き土地分配を約束します。その結果、貧困層の圧倒的な支持を得たのです。
日本軍の撤退後、共産党は内戦でも勝利します。蒋介石率いる国民党は台湾に戻り、毛沢東率いるランドパワーの国、中華人民共和国が誕生します。隣国のソ連は共産党で一時は同盟を結び朝鮮戦争で中国義勇軍が米国と戦いました。しかし歴史の世界では隣国は常に敵。更に米国がソ連と中国のどちらかを取るかで結果的にソ連を敵にしたことで激烈な中ソ論争がはじまります。
米国は中国を攻めることなく、むしろ分裂を防ぐ働きをしたり、ソ連との争いの中で助ける動きをしたり。これも今ではなかなか考えられない動きですよね。1972年に米国のニクソン大統領は中華人民共和国を訪問して毛沢東や周恩来と会談しました。いわゆるニクソン・ショックにより、これまで極秘にすすめていた米中交渉が公になります。
毛沢東の政治はバリバリの社会主義でした。すべてを国有化して、党の指示にて動く。5カ年計画によって努力してもしなくても報酬は一律。結果、仕事することが馬鹿らしくなり生産性は最低。肝いりの計画経済(大躍進)は失敗に終わり結果はボロボロ。党の腐敗も進み、いわゆる中国のイメージが出来上がっていきます。
そこに当時実権派であった劉少奇がソ連型の政策にNGを呈して、資本主義の道を歩むことを提案しました。ランドパワーの毛沢東とシーパワーの劉少奇の考えが中国を再び二分することになります。毛沢東としては、大躍進政策が失敗に終わり国家主席の地位を劉少奇党副主席に譲りましたが、毛沢東は自身の復権を常に画策していました。結局、文化大革命によって毛沢東は復権します。ここでもタラレバですが、劉少奇が党をリードしていれば今の中国の姿は確実に変わっていたことでしょう。
1976年、毛沢東が亡くなった後、実権派の鄧小平が後継します。彼の考えはいいとこ取りです。経済を成長させて、党の独占支配も続けたい。その象徴が社会主義市場経済です。改革開放政策によって市場経済を認め、外資導入により経済成長を後押ししました。一方で土地は国有化して、企業に付与する形式を取り許認可制度に。これによって共産党が力を維持することができます。再び賄賂が当たり前の世界がはびこり一党独裁で党の腐敗もすすみます。一党独裁ですのでマスコミが騒ぐこともばく泥沼のような経済成長を遂げます。
このままの政策は当然に貧富の差を生み、隠蔽体質の党体制にたいして国民の不満もたまります。当然ながら「民主化の動きがいいんじゃない?」と胡錦涛は政治の民主化を考え民主化デモを容認します。雰囲気は民主化の方向性でしたが当時の共産党とのバリバリのバトルの中、胡錦涛は心臓発作をおこして帰らぬ人となります。この一連の象徴が天安門事件です。民主化を主張する学生と共産党の戦いです。しかし周知の通り戦車を導入した鄧小平が制圧して、結果的にランドパワーがシーパワーを封じ込めてしまったのです。一連の騒動に対して外資企業は利益を上げることができたので黙認していたのです。香港はそんなさなか中国へ、50年間の自由の縛りをつけて変換されました。
鄧小平時代、中国海軍には死島線という概念が提唱されました。これは段階的なもので、中国沿岸から徐々に中国の領海を増やして、米国の力を排除しようとする考えです。沖縄、台湾、フィリピン、南シナ海が第一列島線で、第二列島線のシナリオは伊豆諸島、小笠原諸島、硫黄島、米領のサイパン島、グアム、パラオととんでもない計画です。鄧小平は米国と歩み寄る姿勢を見せながらジワジワと準備を進めていたのでしょう。彼の言葉「能ある鷹は爪を隠す」この真意は気になるところです。
中国からすると1991年のソ連崩壊で北の脅威が消滅しました。ソ連の存在と米国の存在と一気に戦うことは無理と思っていたのでしょう。しかし緊張感が取れたいま、ビジョンは米国に向かっているのです。
胡錦涛時代の2003年から2013年は尖閣海域への公船派遣を繰り返し、東シナ海のガス田を開発しています。これは着実に上述した列島線の取り組みで第一列島線の計画を実行していると考えられます。そして習近平時代になった2013年からは南シナ海の環礁埋め立てと軍事要塞化などいよいよ第二列島線の動きに入っているともみてとれます。
2020年現在。一気に米国と中国、そこに関連する隣国の動きをみてみると国ごとの考えが存在するのではなく、国の中に異なる考えが対立して、その時々の偶然が重なり今の国の考えや動きが出てきていると思います。したがって、米国はこうだ。とか中国はこうだとか論じるのは難しくて、一つの国の中にある対立や力関係を考えることも大切です。
【まとめ】
米中貿易戦争の真っ只中。加えてコロナの時代。何が因果かはわかりませんが、少なからずとも世界の経済に大きな影響を与える2つの国。
中国の驚異はずっとソ連でした。沿岸部は開放的な経済を推し進めるリーパワーの動き。国民党の蒋介石がリードしました。一方で内陸を収めるためには官僚主義や共産主義が良しとされ結果ランドパワーが正当化されます。常に経済と独裁という2つの相反する概念が共存していました。そこに天安門事件が起こり独裁を維持しながらの経済成長を遂げる取り組みが始まったのです。
一方の米国は当初は西部開拓の開拓民からはじまります。誰も信じずにフロンティアスピリッツが当たり前。そして厳しい環境から原理主義的な思想が当たり前になる。そこに対して移民をバックグラウンドとする民主党が入って来ます。南の農業の戦いと北の産業の戦いで、産業が勝利すると、その商品を一気に世界に販売することを目指して太平洋の航路を開拓する。
1つの巨大な大地に、常に対立する考えが入れ替わっている米国と中国。なかなか相容れないことは分かります。ただ、中国も米国も時の政権や政治の思想がシーパワー同士だったらうまくいくのかも知れません。民主党で鄧小平の時はあるいみOKでした。米国もクリントン政権の時は米中関係は比較的良好でした。
しかし習近平とクリントンではガチガチの対立思想です。次の占拠でトランプが負け、バイデン率いる民主党になれば米中関係は今よりは良くなるでしょう。しかし敵の敵は味方と歴史的にみて、米中が争っている時のほうが漁夫の利を得られる日本。習近平がブイブイ言わせて米国と争っている方が日本には実利が落ちてくる。そんな邪な考え方もできるかも知れませんね。
参照:
「歴史で学べ!地政学」茂木誠著
Wikiペディア
営業標準プロセスの価値とは?(前編)
2020年8月4日
高橋です
今月から私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、数回に分けてお伝えいたします。
今回は「営業標準プロセスの価値とは?(前編)」をテーマに解説いたします。
さて、突然ですがお料理はなされますか?小学校のキャンプでカレーを作ったことはありますか?
カレーを作る手順を考えてみますと、『材料を買いそろえる⇒材料を切る⇒材料を炒める⇒水を入れて煮込む⇒一旦、火を止めてカレールーを入れる⇒弱火で煮込む⇒おいしいカレーの完成』
これがカレーを作るプロセスです。もしこのプロセスのどこかの順番を入れ替えると、どうなるでしょうか?そう、きっとおいしいカレーはできないでしょう。キャンプでうちのグループだけ残念なカレーを食べることになってしまいます。
料理のレシピも営業も同じです。決められた順番通りに一つずつ確実に手順を踏んでいけば、良い結果が得られる確率が上がります。営業での良い結果とは、もちろん契約や受注や顧客満足など営業目標の達成ですよね。
営業は確率の勝負です。どんなスーパーセールスパーソンでもすべてのお客様から契約をいただくことはありません。(ちなみに私は前職で「売れる営業マンほど断られる回数が多い」と教わってきました。実際その通りだと売れている先輩を見て思いました)大学受験の偏差値と同じで営業マンの分布も正規分布になっています。偏差値70以上の難関校に受かるようなスーパーセールスパーソンもいますが、それはごく少数。偏差値50を頂点に40から60までの間に68%の営業マンがいます。この中で売れる営業マン、売れない営業マンと言っているのです。
そこで標準化された営業プロセスを構築し、すべての営業マンが効果的な順番で確実に手順を踏んでいけば良い結果が得られる確率が上がる。すべての営業マンが今よりも売れるようになる、つまり営業組織全体の平均生産性が上がるということになります。これは一人ひとりの営業マンにとっても嬉しいことですが、何より会社全体でその効果は絶大です。一人のスーパーセールスパーソンが偏差値70を超えるより、すべての営業マンの平均値が上がったほうが会社全体の業績に与えるインパクトは大きくなるでしょう。
これが営業プロセスを標準化する価値の一つ目です。営業組織全体の平均生産性を上げることにより、会社の業績を向上させます。
忠実にプロセスを守り、必要なステップを踏むならば、成功の確率は高まる。
<「経営者の条件」 P. F. ドラッカー>
次回は「営業標準プロセスの価値とは?(中編)」をテーマに解説いたします。
営業プロセス、営業研修、経営戦略などにご興味ご関心のある経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
自販機のビジネスモデル
2020年7月28日
早嶋です。
日経の記事に、ダイドーがおむつを扱う自動販売機を全国で200台まで増やすとありました。
そもそもの背景は、日本が自動販売機天国になりその後、コロナによって状況が変わってきたことを説明しています。しかしコロナはきっかけで、元々から自動販売機事業そのものが低迷しつつあるようです。
1962年にコカ・コーラが日本にはじめて導入。都市部では半径100mに必ず自動販売機がある!というくらい普及するまでになっています。しかしコンビニの台頭によって自動販売機は状況が変わってきます。自動販売機のピークは2013年で設置台数はピーク時よりも今は7%程度減少しています。また、売上比では同年と比較して現在では5.8億ケースと13%程度減少しています。
コロナの影響により人の移動が制限される生活が当たり前になれば、自動販売機が良く利用されていた駅やオフィスの需用は減少されるので今後はますます厳しくなるでしょう。
そのような状況下でもこれまで投資を続けて来た背景は定価での販売ができていたための利益率の良さです。設置や補填やゴミの処理を鑑みても一定数がコンスタントに売れるビジネスモデルは企業に取って魅力的だったのです。
しかし、今回のコロナで今後の方針が大きくかわりはじめます。そこでIoTを活用した取り組みをかけ合わせて自動販売機で売れる商品を提供しよう!とこぞってIoTとの組み合わせを皆模索しているのがどうも背景のようです。
●ダイドーはデジタル化で売れ筋商品を管理
●コカ・コーラは飲料の補充などの業務を見直し
●サントリーは無償の健康管理アプリを配布して自販機ビジネスとの組み合わせを提案
●アサヒは上記のような取組を提携会社とすすめる
と業界大手は皆、自動販売機を活用した次の事業モデルを模索しています。ただ私は思います。自動販売機がたくさん売れる場所やコンビニがたくさん売れる場所は、上述したオフィス街や駅近くなど立地の良い場所。一方で住宅街や普通レベル以上の人々が生活する場所では基本自動販売機で購入することをせずにスーパーで購入して自宅でコップで飲むなどの行動を取ると思います。
したがって、飲料以外の商品を自動販売機で揃えたところで物量が出るわけでもないし、ましてやおむつのようにかさ張る商品は自動販売機の回転率が上がれば補充の手間が増えるだけで利益が得にくいのではと。
結果的に自動販売機にIT投資をしようとしても最終的には人の移動とともに市場規模はシュリンクしていくのではと思います。
実際、機器メーカーの撤退の動きは始まっています。パナソニックは2月に自動販売機製造から撤退。別の大手であったサンデンHDも自動販売機の製造を手掛ける会社を投資ファンドに売却しています。こちらの事業判断が私は懸命なのかな?と思います。
人の移動が一定数あったから活用されていた事業モデルで、人の移動が制限され基本家庭にいるのであれば、はじめからネットで注文してデリバリしてもらう。という商品を選択していくので、自動販売機の需用をIoTで工夫しても、うまくいかないと思うからです。
雨水と山の関係から自然災害の問題解決を考える
2020年7月7日
原です。
自然は恵みでもあり脅威にもなります。
自然は、CO2削減、観光によるリフレッシュ、四季の野菜を育ててくれるなど人々に多くの恵みを与えてくれます。一方、震災、水害、山崩れ、噴火などを引き起こすエネルギーにもなります。近年は、特に温暖化からの豪雨による水害や山崩れが日本各地で発生しています。
今回は、雨水と山の関係から自然災害について考えてみました。
山には、多くの植物が育っておりCO2の削減の働きがあります。さらに、水を蓄えておく大切な働きがあります。しかし、山が荒廃すると川の水が一気に増えてしまうのです。
なぜならば、山に雨が降ると雨水が流れます。木の葉や草にたまった雨水は、そのまま蒸発します。土に落ちた雨水は、地中に染み込んでいきます。山の土の中には、植物の根と土の間のすき間やモグラやミミズなどの小さな生物の通り道など、さまざまなすき間があります。すき間に染み込んだ雨水は、山の木や草などの根から吸い上げられていきます。
しかし、全部が吸い上げられるわけではありません。染み込んだ雨水の多くは、ゆっくり時間をかけて、さらに下へ下へと降りていき地下水となります。地下水はやがて川に流れこみます。
つまり、山は一時的に水を溜め込む「天然のダム」の働きをしているのです。
だから、山が荒廃すると雨が降った時に川に流れこむ水の量が増えます。大雨の時は、土が流されて雨が一気に川に流れこみます。その結果、川の水が溢れ洪水が起こりやすくなるのです。
一方、山の「天然のダム」が全て良いかと言えば、そう単純なことではありません。
なぜならば、私の故郷では3年前の山崩れの原因は、山の地下水(天然のダム)が原因によるものであると、数名の大学教授らの地質研究者チームが調査結果を発表しています。ただし、研究チームは具体的な解決策の提案はできずに、現在も山崩れ付近の地質調査を継続している程、山の地下水の問題解決は難易度が高いのです。
本来の天然のダムの働きは、「一時的」であることが目的です。しかし、ダムの水が溜まり続ければダムは崩壊します。山の天然のダムも溜まり続ければ山崩れにつながります。
つまり、豪雨以外の原因では、山の荒廃が天然ダムの荒廃になり、水害へとつながっていると仮説を立てることができます。
だから、山の木々が天然のダムを形成し雨水を「一時的」に蓄え、溜め込み続けることなく地中から川へ流れるように人工的に手を加えることが必要なのです。
しかし、材木を材料として使用するニーズの低下、外材の輸入、林業の担い手減少、森林組合など森林保全団体の限界など山林再生への動きは低迷状態です。
災害への対策には、政治や行政によるインパクトのある具体的な実行案とリーダーシップが必要です。
しかし、政治や行政に頼るだけでなく、日々の小さな一歩は企業や組織、国民が取り組むべきです。
だから、私と兄らは、故郷の里山の再生を農園再開発だけでなく、山林の間伐作業まで長期計画で取り組むことにしたのです。
文字で表現されているように、田畑だけでなく山のことまで考えなければ「里山」再生とは言えません。
数年前までは仲間を集めて楽しく農園作業に取り組むことを考えていましたが、災害により状況が大きく変わりました。高度かつ危険な作業のため、山や災害のプロフェッショナルらとは連携していきますが一般は募集しません。その代わりに労働生産性を高めるため、機械はフル活用していきます。実用性のあるロボットの開発も課題です。
「テーマ:自然災害への対策」
■あるべき姿:大きな災害がなく、自然の恵みとの共存による豊かな暮らし
■現状:水害や山崩れによる被害が多発
■問題:環境破壊対策や自然を守る活動が足りていない
■原因:経済重視の政策、環境教育の欠如、環境保全への取り組みが目標設定されていても活動が足りていない
■課題:政治、行政、企業組織、国民による環境保全への具体的な取り組み
■解決策
・政治や行政によるインパクトのある政策立案とリーダーシップ
・環境保全への企業や組織、国民からのリーダーシップによる実行と普及
最新記事の投稿
カテゴリー
リンク
RSS
アーカイブ
- 2025年7月
- 2025年6月
- 2025年5月
- 2025年4月
- 2025年3月
- 2025年2月
- 2025年1月
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年9月
- 2010年8月
- 2010年7月
- 2010年6月
- 2010年5月
- 2010年4月
- 2010年3月
- 2010年2月
- 2010年1月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年9月
- 2009年8月
- 2009年7月
- 2009年6月
- 2009年5月
- 2009年4月
- 2009年3月
- 2009年2月
- 2009年1月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年9月
- 2008年8月
- 2008年7月
- 2008年6月
- 2008年5月
- 2008年4月
- 2008年3月
- 2008年2月
- 2008年1月
- 2007年12月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年9月
- 2007年8月
- 2007年7月
- 2007年6月
- 2007年5月
- 2007年4月
- 2007年3月
- 2007年2月
- 2007年1月
- 2006年12月
- 2006年11月
- 2006年10月
- 2006年9月
- 2006年8月
- 2006年7月
- 2006年6月
- 2006年5月
- 2006年4月
- 2006年3月
- 2006年2月
- 2006年1月
- 2005年12月
- 2005年11月
- 2005年10月
- 2005年9月
- 2005年8月
- 2005年7月
- 2005年6月
- 2005年5月
- 2005年4月