高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回のテーマは「わかりやすい『伝え方』の3つのポイント」です。プライベートでも仕事においても、「なんでわかってくれないかなぁ~」とか、逆に「何を言いたいのかさっぱりわからない」などコミュニケーションでストレスを感じることがあると思います。そこで小暮太一著「伝え方の教科書」(WAVE出版)から、わかりやすく「伝える」ために大切なことを私流に3つのポイントにまとめてみました。「よくわかった!」となれば幸いです(笑)。
まず前提として、人が「わかった」という状態にはどのような条件が必要でしょうか。➀把握➁納得➂再現です。➂再現とは、相手の話しを聞いて自分ひとりで思い出して「こういうことだった」と再現できる状態のことです。この3つが揃うように伝えることが、わかりやすく伝える目標です。
相手がこの状態になるように伝えるための3つのポイントは、
➀自分の中で「結論」を明確にしておく→「誰に」「何を」伝えたいのか?
➁話しを正しい順番で組み立てる→テンプレップの法則
➂相手に合わせた表現を選ぶ→相手の立ち位置に立つ
順番に説明していきます。
➀自分の中で「結論」を明確にしておく
結論「何を」伝えたいのかを決めてから話し始めることが大切です。そして結論とその根拠がワンセットになっていなければなりません。また「誰に」伝えるのかによって、話すべき根拠の情報量は変わってきます。
例えば、証券会社の営業マンに「この銘柄が値上がりしますよ!」とだけ言われても、もちろんわかる(納得する)顧客はいないでしょう。そこに根拠を加えなければなりませんが、その根拠を投資経験豊富な顧客と投資初心者の顧客に話す時では、根拠の情報量を変えるべきです。株をよくわかっている顧客に一から説明したのでは話が長くなりかえって伝わりません。余計な情報を切り捨て、相手に合わせて結論とその根拠を短く伝えたいものです。
➁話しを正しい順番で組み立てる
話しの組み立て方には決まった型が有ります。今回はテンプレップ法を紹介します。
1.話のテーマ:「今日は○○について、お話しします」
2.言いたいことの数:「お伝えしたいことは全部で3つです」
3.結論:「まず一つ目にお伝えしたいことは、△△ということです」
4.根拠:「なぜなら、××だからです」
5.具体例:「例えば、・・・というデータがあります。また・・・という実例もありました」
6.もう一度、結論:「よって、△△と言えます」
「話しが長い」「途中で何の話しか分からなくなった」「要点だけ伝えてくれ」など指摘を受ける方は、話しの組み立てができていません。この順番で話しを組み立てると、わかりやすく伝わりますので試してみてください。
➂相手に合わせた表現を選ぶ
同じ言葉で伝えても、同じようには理解されないことがあります。「相手はわかっているだろう」の前提で話し始めることが、「わかりづらい!」結果を招きます。
言葉は人によって受け取り方が違うということです。「けいたいでんわ」という言葉から、スマートフォンをイメージする人もいればガラケーをイメージする人もいます。
また言葉の理解度も人によってまちまちです。先日、携帯ショップで老夫婦がスマートフォンの説明を受けていましたが、途中でご主人が怒り出しました。どうやら店員の説明が、カタカナ語が多く知らない単語ばかりで、横柄に感じたようです。若い店員にしてみれば当たり前の言葉も、ガラケーしか使ったことのない顧客にしてみたら説明不足で不親切に感じたのは当然だといえます。
相手に合わせた表現を選ぶためには、相手に関心をもつ、相手の立ち位置を理解するよう努めるなど話し手の工夫が必要です。言葉選びも、相手の理解度に合わせてわかりやすい言葉に変換することが大切です。
「話すように書くな 書くように話せ」といいます。文章なら構成を考え、主語述語を意識して書きますが、話す時はあいまいでも何となく通じているように感じます。しかし、それは錯覚です。話す時も、結論を明確に、話しの構成を整え、相手に合わせた表現を使って、話すことを心掛けなければわかりやすく伝わりません。今回は、はたしてわかりやすく伝わったでしょうか?!
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
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わかりやすい『伝え方』の3つのポイント
バックキャストから自分(自社)の未来戦略を考える
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回は番外編です。先日参加したビジネススクールの講義の中で、私の印象に残ったエッセンスをご紹介いたします。テーマは「バックキャストから自分(自社)の未来戦略を考える」です。
講義全体の趣旨は、イノベーションの概要を学ぶものでした。参考までにイノベーションの定義は様々ありますが、シュンペーターはイノベーションを、「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合すること」と定義しました。私なりに解釈すると、「これまでにないモノを生み出し、世の中にインパクトある変化をもたらす」とでも言いましょうか。
さて、自分(自社)が今後の戦略をどのように考えればいいのか、これも様々な考え方、取り組み方があります。多くの場合、現在行っている事業、商品サービス、仕組みなどをその時々の世の中の変化に合わせて変えていくのではないでしょうか、つまり現在の延長線上です。例えば、コロナ禍で来客数の減った飲食店が、テイクアウトを始めるような取り組みです。商品(食べ物)は変わらないけど、提供の仕方を時世に合わせて変化させたということですね。
今回取り上げる「バックキャスト」という思考法は、このように現在の延長線上に戦略を考えるのではありません。バックキャストは、まず望ましい未来を考え、そこから逆算してそれを実現するためどうすればよいか、と戦略を考えます。バックキャストの逆は「フォアキャスト」と言い、現在置かれた状況を起点に、そこから起こりうる未来を探索する思考法で、先ほどの飲食店が例えです。
バックキャストでは、望ましい未来とは?から考えますので、現時点に縛られることなく自由に発想できますし、それゆえ大きな変革や変化が激しい時代には有効な思考法だというのは納得できます。現在の延長線上を創造するのと違い、「どうすればこの望ましい未来を実現することができるのか?」と頭をひねりますので、思いがけない発想や突拍子もないアイデアが浮かぶ可能性があるのです。これならイノベーションを起こすこともできる考え方だと腑に落ちました。
当日の講義では受講生が3チームに分かれ、それぞれ「衣・食・住」の10年後の望ましい未来を創造しました。そして、その「望ましい未来」と「現状」とのギャップを導き出し、そのギャップを自身の会社や仕事に当てはめてみるというワークショップを行いました。
例えば、「食」についてはこの様になりました。
10年後の「食」は、「肉はほとんど合成肉になるだろう」、「菜食主義が一般化しているだろう」、「地産地消が増えるだろう」、「デジタル技術で簡単調理が流行るだろう」などの未来イメージが出ました。それに対して、現状は「低コスト大量生産に依存している」、「肉などの動物性たんぱく質が主菜である」、「鮮度を保ちながら物流することを重視する」などの認識があります。未来と現状のギャップは「生産と消費の境界がなくなる」、「個性がより尊重される」、「デジタル技術が実生活に浸透」、「グローバルからローカルへ」と導き出されました。
この未来と現状とのギャップを、自分(自社)を取り巻く環境に当てはめるとどうなるでしょ?ということを各チームが最終発表しました。
例えば、自社は現在グローバルサプライチェーンの中で大量生産・大量消費・大量廃棄するビジネスをしているが、グローバルサプライチェーンは急激に衰退するだろうから地産地消の仕組みを考えてみよう、とか、安定した正社員が良いという価値観から個性重視の自由で自分らしい働き方を望む人が増えるだろうから雇用形態が激変するなどの意見が出ていました。
望ましい未来として世の中がそのように変わることが予想されるならば、その未来に対して自分(自社)はどのように変化を起こしていけばいいのだろう?どのような未来の戦略を立てればいいのだろう?と、バックキャストの思考法で考えるよい機会となりました。
コロナ収束がいまだ見えず、不確実性が増すばかりの昨今です。個人も企業も先が見えず不安に感じることも多いのではないでしょうか。そんな時だからこそ、バックキャストの思考法を取り入れ、望ましい未来を創造しそれを実現するために今、何をすべきかを考えることが重要だと感じます。大切なことは「将来どうすれば実現できるか」とあきらめずに考えること、またそれを実現するために今できることから行動すること。普段の生活でも営業活動でも同じことだと思います。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
死ぬまで働こう 〜1986年のイーストウッド〜
◇老後は実在するか?
原田です。
「他人はあなたの歴史に興味がない」。坂東眞理子さんの言葉です。下記の記事を読んで、本当にその通りですと思いました。
坂東眞理子氏 「70代はコンビニでも介護施設でも働くべき」
https://www.news-postseven.com/archives/20190408_1347759.html?DETAIL
それで思うのは人生に老後なんて本当にあるのでしょう?いつから誰が決めたのでしょう?年金暮らしなんて無理ゲーなのは、綿密にシュミレートしなくてもわかります。
年金暮らしをしても、真綿で首を絞められるようなものです。収入は変わらず、出費だけが増えていきます。日常で様々なトラブルが発生し、予定外の出費が発生します。家にいれば、1日何もすることがなくて、将来のことを考えて、不安になると思います。そんな生活がハッピーでしょうか?
老後というものを自明のものにして考えるので、多くの人の人生はおかしくなるのだと思います。老後をどうしようかと逆算して人生設計しても、不確定要素が多すぎます。考えても考えても不安しかないのです。
僕は本気で死ぬまで働きたいと思っています。老後という概念をなくせば人生はスッキリです。老後という概念は、日本人が高度成長期にかけられた呪いのようなものです。そんなものは最初からなかったとことにすればいいと思います。
◇仕事はなんでもいい
他人に害を与えず、人の役にたてば、仕事はなんでもいいです。僕はそう思っています。もし、僕が、今の仕事は無理だってなったら、何か別の仕事をします。年齢に関係なく、今できる能力で仕事をします。
世間を見渡せば、高齢で楽しそうに働いている方はたくさんいらっしゃいます。肩書きとか、立場とかにこだわらなければ、働くことは楽しいことだと思います。スポーツジムでバーベルを上げるのと、軽めのダンボールを上げるのと、何が違うのでしょうか?ダンボールを上げれば、お金がもらえます。人の役に立ちます。
でも多くの人は働くことよりも、肩書き、立場に喜びを見出しています。なので、定年になって何をすればいいのかわからなくなるのだと思います。「人生の○園」とか、都合よく編集された番組を観て、自分もこういうふうに人から見られたいと思います。
◇経営者のセカンドキャリア
世間的に高齢と言われる年齢になっても、新しいことに挑戦し、活躍されている方はいらっしゃいます。まずは経営者の方の事例です。経営者に定年はありません。しかし、多くの経営者が、それまでの地位を捨て、新しいことに挑戦しています。そして、その挑戦が楽しそうに見えます。
ジャパネットたかたの創業者である高田明さんの日経新聞の「私の履歴書」と「高田明と読む世阿弥」を読んで、素敵な生き方だなと感じました。早々に事業をバトンタッチし、会社との関わりを断ち、第二のキャリアを始めています。その第二のキャリアの方がワクワクさせられます。
僕は、ジャパネットたかたを利用したことはないし、現役時の高田さんのテレビも観たことはありません。でもこの著書「高田明と読む世阿弥」は何回も読みました。おすすめです。
経営者であれば、ブックオフの創業者の坂本孝さんは、72歳で俺のフレンチ・俺のイタリアン株式会社を設立しています。すかいらーくの創業者の一人である横川竟さんも76歳で、高倉町珈琲1号店を出店し、翌年株式会社化しています。
70歳を超えても、現役バリバリで、事業を立ち上げる力があります。しかも楽しく。
◇生涯現役 理想的な生き方
次に僕の究極のロール・モデルであるクリント・イーストウッドさんです。
小学生の頃に映画「ハートブレイクリッジ」を診て、ハイウェイ軍曹かっこいい!!って感じてからのファンです。
映画「ハートブレイクリッジ」は、1986年公開です。監督・主役のイーストウッドさんの演じるハイウェイ軍曹は、定年を間近に控えた現場叩き上げの海兵隊です。この頃、すでに55歳くらいです。ハイウェイ軍曹は、タフで、頭が切れて、反骨心があって、経験豊富で、凄腕で、仲間思いで、やさしくて、というキャラクターです。でもバツイチで、酒癖が悪くて、私生活では問題ばかり、組織にもなじめず、上司からは目の敵にされるという愛すべきキャラクターです。
それから約30年後、2015年、アカデミー賞を受賞した映画「アメリカンスナイパー」が公開されます。イーストウッドさんは、84歳です。この年齢で、これだけクオリティーの高い仕事ができます。
そして2019年、映画「運び屋」を公開しました。監督と主役をこなしています。主役は、なんと90歳の設定です。ここでもイーストウッドさんは、相変わらずイーストウッドさんです。タフで、優しくて、反骨心があって、私生活は問題だらけです。それを観て、やぱっりかっこいい!!と感じます。
イーストウッドさんは、変化の激しい映画業界のなかで、最後の大型恐竜のように悠然と我が道を進んでいます。平気で賛否両論の作品も作ります。つくづく、人間の成長は年齢に関係ないのだなと思います。
最後に、この映画(運び屋)のラストシーンは素晴らしいと思います。何らかの形で死ぬまで働きたいと思いました。
全体主義と民主主義
早嶋です。
1920年代から1940年代にかけて、イタリア、ドイツ、日本において全体主義、いわゆるファシズム的な思想が広まりました。全体があるので個々があるという理屈で、国家や組織の利益を優先させる思想です。
1920年代後半、ムッソリーニらは自分たちが傾倒する運動を全体主義と形容しました。当時の西洋の自由主義は人間が本来持つ自由に対して、抽象的かつ観念的にしか捉えていないとして現実から逃避していると指摘します。そして自身の思想が国家の中で生きる現実の人間にとってより自由を考えていると主張します。そして個々を共同体としての国家へ再び統合する意義を強調します。
一方で当時の西洋諸国は、この全体主義的な発想に脅威を感じます。個々は自分のためではなく国家という共同体のために生きる体制と捉えたからです。英国のチャーチルは全体主義を非難し、自分たちが考える自由主義を防衛する必要を訴えます。
第二次世帯大戦後、混沌とした社会情勢につかれた個々が、個人主義的な世界で生きることに疲れ、不安を感じ、積極的に何かに属したくなる。そこに再び全体主義的な部分に自分を向かわせるインセンティブがあった。これは「全体主義の起源」や「エルサレムのアイヒマン」の著者であるハンナ・アーレントの考えです。
労働者階級、資本家階級など、自分の所属階級が明確だった時代。自分にとっての利益を意識することは簡単でした。しかし19世紀の終わり頃より、このような階級制度が崩壊し始め、自分たちの存在が不明瞭になった大衆が溢れます。従来は階級毎に、自分たちの利益や、それを維持するために取るべき行動が明確でした。そのため自分たちの利益を最大化する政党を選ぶこともむずかしくありません。
しかし、何が自分たちの利益なのか分からない大衆は、自分たちに相応しいと感じたのが全体主義になったのです。そのため背反的ではありますが大衆が全体主義をうごかしていったのです。
従来は、自由や平等などの権利を自ら主張して、その実現を行う政党を支持していました。しかし大衆は国家や政治家が何か良いものを与えてくれると思い、あまり思考しない集まりです。本来は、自分の思考と意見をもつべきですが、大衆は周囲に同調し個性を無くし漫然と生きる道を選びます。
景気が悪くなり、社会に怪しい空気感があふれ出した時、自然と政治を語るようになります。しかし、大衆が誰かに対して何かをしてほしいと考える感情は危険です。そもそも自身のアイデアも無く、物事を深く捉え思考することをしませんので、大衆は分かりやすい表面的なアイデアに飛びつきます。
ナチズムは、第一次世界大戦に敗れたドイツが領土を削られ賠償金で経済がひっ迫した時、追い打ちをかけるような1929年の世界大恐慌で失業者があふれた時、誕生しました。不安と緊張にさらされた大衆が選択したのは厳しい現実を忘れさせる世界観であるナチズムでした。我々の民族は世界を支配すべき民族で、他民族が妨げているという架空を信じたのです。
2022年。様々な媒体が溢れ、様々な考えが飛び交っています。情報を自分たちから調べることで、真実と虚実を同時に手に入れることが可能です。ネット上に加え、SNS上でも様々な情報が飛び交います。しかし、実際は自分が心地が良いと思う情報を選択して、同じような思考や考えに浸ることに安心を求めています。よくわからないという混沌とした状況は個人にストレスを与えるため、自分にとって分かりやすいと感じる情報に接するうちに安堵を覚えるようになるのです。
このような考えは、1920年代から1940年代にイタリア、ドイツ、日本で広がった全体主義的な考えと近いと思います。自分にとって分かりやすいという思考を求めるあまり、自分自身で深く考えずに、複雑で交錯する現実を理解できなくなり、結果的に最も分かりやすいスローガンに飛びついてしまう。その思考停止の状態で選挙があれば、その結果は散々たるものになり、知らず知らずのうちに世の中が全体主義に動いていくのです。
自分の考えを持ち、絶えずブラッシュアップして、思考を続ける。これが処方箋だと知っていても、分かりやすさに浸り思考停止をする。このような空気感の中では、民主主義は結果的に破壊の方向に向かうこともあることを歴史は度々語っています。
コロナ後の新規顧客開拓 タカハシ流ソーシャルセリング
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回はリストアップした顧客群にどのような方法(経路)でアプローチするか整理します。旧来のやり方に加え、コロナ禍ならではの新しい方法が活かされる場面でもあります。テーマは「コロナ後の新規顧客開拓 タカハシ流ソーシャルセリング」です。
私たち営業マンの環境はコロナで激変しました。今までなら気軽に人(顧客)に会いに行けていたものが、会うこと自体がとても難しくなっていますね。
人と対面することを敬遠する雰囲気、在宅勤務によって会社に人がいない、オンライン商談が普及しリアルで会えない、などなど。
そこでこれまでの見込客へのアプローチに加え、コロナ後の今必要とされるアプローチ方法がたくさん試みられています。ウェビナー(Web上でのセミナー)やネットでの情報発信、SFA(セールスフォースオートメーション)、MA(マーケティングオートメーション)などデータとデジタルを使った手法は日進月歩です。
そのなかでソーシャルセリングという手法が注目されています。ソーシャルセリングというのは、SNSを利用した営業活動のことです。Twitter、Instagram、YouTube、TikTok、LinkedInなどのSNSを使って見込客との繋がりを作り、営業活動に結びつけます。ネット上の人と人の繋がりを活用するので、実際会ったこともない世界中の人が新規顧客になる可能性があるわけです。
これまで新規顧客へのアプローチと言えば、➀プッシュ営業と➁プル営業でした。
➀プッシュ営業は、営業マンから見込客に働きかけて商談を起こすことで、飛び込み訪問やTELアポ、メールやDMを送るなどがその代表です。
でもコロナでこれがなかなか繋がらなくて困っていらっしゃる営業マンが多いのではないでしょうか。
➁プル営業は顧客からの資料請求や問合せに対して、営業マンがアプローチします。メルマガで情報を送り続ける、小冊子や資料のダウンロードができるようにしておく、イベントやセミナーの告知をするなどが代表的なプル営業です。最近はやりのインサイドセールスもしかりです。
これらはコロナ以前から元々待ちの営業なので、実際にアプローチできる数や成果をコントロールしにくいデメリットがあります。
そこで見込客に会いにくいコロナ後の環境で、いかに効率よく会えるようにするかを考えました。タカハシ流の答えは➀プッシュ営業とソーシャルセリングのハイブリッドです。と言ってもSNSは使わない、アナログ方式です(笑)
プッシュ営業ではリストアップした見込客になんとか会えるよう訪問したりTELアポするわけですが、やみくもに行動しても元々会える確率が低いのにコロナでさらに見込めなくなりました。これまでは「まず、会ってみる」と考えていたお客様も、不要不急の面会などもってのほかになりました。
そこでソーシャルセリングです、つまり人と人のつながりを利用します。要はご紹介です。
以前から紹介営業と言うと、知り合いや既存客に「どなたかご紹介いただけませんか?」とお願いして新規顧客開拓していました。
これからは、まずターゲットの条件に合う見込客(個人・法人)の集合をリストアップします(サスペクトと言う)。そしてサスペクトの中に、知人や既存客と繋がっている個人や法人がいないか探るのです。つながりがあった見込客をプロスペクトと言います。プロスペクトに絞って、紹介者の影響力を使って会いに行くのです。コロナでも、知り合いからの紹介なら会える確率は上がるはずです。
私が保険営業をしていた時の話しです。当時私が見込客としたかったターゲットは福岡県内、建設業、オーナー社長、売上10憶以上、黒字決算、従業員30名以上、などいくつか項目がありました。福岡県の企業一覧からターゲットの条件に該当する企業をピックアップしそのリストを既存客の社長に見てもらい「この中から知っている会社を指さしてください」とお願いしました。するとこれまではなかなかご紹介をくださらなかった社長が「この会社は商工会で一緒だ」、「この社長はゴルフコンペで一緒になったことがある」、「この会社は取引がある」など数十社出てきました。それらを全て詳しく聞き取りし、紹介状を書いていただきアポをとって会いに行くことができました。
昔もコロナの現在も、人のつながり、ご紹介はありがたいものです。会いにくい今だからこそ、ソーシャルセリングのアナログ版「人と人のつながり」を大事にした新規顧客開拓はいかがでしょうか。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
新規事業の旅 その4 M&Aの成功
早嶋です。
M&Aの成功とは何でしょう。単純に投資と考えた場合、買収した金額よりも企業価値が高くなることでしょう。その場合は、買収した企業を再度、売却するなどでリターンを得ます。一部の企業の発想では、リターンは配当で未来永劫受領するということで判断するでしょうが、その際でも永久債や時間の価値を鑑みた場合、益が出たか否かの判定は可能です(今回は時間価値の概念などは無視しましょう)。因みにこの様なリターンを投資リターンと呼びましょう。
では、企業が新規事業を行う際に、単純に投資リターンのためにM&Aをするでしょうか?ややこしい言い方になったので、簡単に言うと、企業は新規に事業を起こしたい。でも自分たちだけでは何となく出来ないと思ってきた。そこで昨今M&Aがブームだ。よし自社もM&Aで新規事業を立ち上げよう!という流れでM&Aを検討していると思います。
ここで再度重要なことは、あくまでも新規事業を起こすこと、という目的です。そして、その場合に自分たちがこれまで行ってきた既存の事業を無視するか?しないか。という事を明らかにしておくべきです。もし、ここで「明らかに無視する」と名言出来たら、それはきれいサッパリ今回の理屈は無視して良いでしょう。しかし、少しでも「いや自社とのシナジーが・・」などと発言があれば、その際は、純投資ではありません。
となるとM&Aの成功は、投資した会社単体の成功ではなく、その投資した企業が自社と交わることで結果的にどの様な価値を生み出すか?とい理屈になると思うのです。これを事業リターン(もしくは事業シナジー)と呼びましょう。
つまり、ほとんどの企業がM&Aをする際の目的は、単純に投資リターンだけでは無く、事業リターンも考えているという状況なのですが、いざM&Aをする際には、その案件が安いか?高いか?という判断にのみフォーカスして、自社とのシナジーをほとんど考えません。というか、そもそも自社がその企業と一緒になった場合に、どの様なシナジーが起こせるかを考えることができないのです。新規事業を行う目的で、自分たちが不得意な分野の業界や企業を探すため、結果的に持ち込み案件もそのエリアが多くなります。当然、その企業単体の合理的な価値も弾けず、言われた値段で検討するしか無い状態になるのです。そこに自分たちの事業シナジーを合理的に算定するなど、とてもとても出来ないと思っているのです。
この場合、そもそもM&Aをするべきではない。と私は思います。投資金額が100億とか数百億であれば、その企業単体に投資したとしても、事業単体で安定したキャッシュフローをしばらく生み出す仕組みはあるでしょう。しかし、数億から数十億程度のM&Aでは、ひょっとして経営者がやはり肝になっており、買収側が経営のフォローを継続しなければ、その事業を更に伸ばし収益を上げることが難しい場合がほとんどなのです。しかし実際は、その経営を行える役者が買収した会社にはいない。そしてマネジメントできなくなる。という筋書きが見えているのです。
えー、だったらM&Aってなかなか難しいじゃん!って思うかもしれないのですが、そうなのです。簡単ではないのです。M&A自体はファイナンスの取り引きなので、お金を他社よりもたくさん積むことができれば、物理的に事業を購入することは可能です。がその後の事業を維持あるいは成長させるかは、買収した会社の責任なのです。
そのため、そもそもよく分けのわからない分野に初めから多大なる投資を行い、事業を作り上げたとて、そこから得られるモノは少ない可能性もあるのです。
逆に、赤字の会社で同業種や同業での購入であればどうでしょうか。M&Aをする前から、その企業の事業の運営の仕方や事業モデルをキッチリと検討できます。そして、なぜ赤字に陥っているのか。その部分を自社と一緒に取り組むことで吸収して黒字を出すことができるのか?と検討ができるのであれば、合理的なシナジーを予測することができるはずです。しかも赤字の会社なので通常は、のれん代相当が安くなり、投資する際の負担も小さいです。それなのに半年から1年程度で、買収した会社の業績を良くすることができて、将来の事業価値を高めることができる。これは明らかに成功パターンのM&Aになるのです。
M&Aの目的が純投資か、事業シナジーを求めることなのか。担当者ではなく、これは経営者が覚悟を決めて取り組まなければならない優先事項だと思います。
『量』問題を解決する探客スキル
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回は「『量』問題を解決する探客スキル」というテーマでお届けします。「探客」とは、読んで字のごとく「お客様を探す」ということで、新規の見込客と戦略的に会うことを言います。前回に引き続き、営業パーソンが営業目標達成のために必要な考え方をお伝えします。
前回は、目標達成のためには営業活動の「質」と「量」の二つの問題があるということでした。そのうち特に新人の営業パーソンは「量」を増やすことを心掛けてほしい、そのために何をそうすればいいのか、が今回の内容です。「量」を増やすためには、新しいお客様にたくさん会わないといけないですものね。
コロナ禍の影響でなかなか人に会う機会、特に新規のお客様を見つけることに困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。このような状況で、基本的な活動をこれまで以上にしっかりすることと、このような状況だからこその新しい方法を試してみることの2段階の取り組みが必要だと考えます。
まず新規のお客様を見つける基本は、誰をお客様とするか決めることです。自社の商品サービスがどのようなお客様のニーズを満たすのか、絞り込む必要があります。個人か法人か、地域、年齢、年収、売上規模、等々セグメントに分け、買っていただける可能性が高そうなお客様の特徴を特定します。その際、最も大切なことはやはり、顧客の想定ニードです。
ニーズのないところに商談は起こせません。(お客様の内でニーズが潜在化している場合もあります。それを掘り起こすことも含めてニーズがないとセールスは不可能です。)例えるなら、魚のいない池にいくら釣り糸を垂れても絶対に釣れません。魚を探す前に、池を特定するわけです。ターゲッティングと言いますね。
私のクライアントで大学生の就活支援をする会社があります。この場合、大学生が顧客になるのですが一言で大学生と言っても色々です。大学によって就職に強い大学もあればそうでない大学もあります。また学部によっても企業からの求人数に大きな差があります。つまり就活支援のニーズがある学生(就活に苦戦しそうな学生)と、就活支援のニーズのない学生(自力で就職先を決めてこられそうな学生)がいるということです。よって、九州の就職に弱い(と考えられる)A大学とB大学に絞り、さらに文系の学部に絞って大学生にアタックしています。
ターゲッティングに基づき顧客リストを作成するわけですが、顧客を絞るとリストの質が向上します。絞り込むことにより顧客のニーズに合わせた訴求や解決方法を示唆することができるようになり電話やメールでのアポイントの獲得確立が上がります。また広告を打つにしても、一般的な文言ではなくそのターゲットに向けた刺さるキャッチ―な表現とすることができますので、反響率が良くなります。
よって、まずは自社の商品サービスが役立つ顧客はどのような方々かを明確にし、絞り込むことが「量」を増やすことの基本です。
次はリストアップした顧客群にどのような方法(経路)で接触をするかということが問題です。そこは旧来のやり方に加え、コロナ禍ならではの新しい方法が活かされる場面でもあります。
次回はこのリストへの接触方法についてお伝えします。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
マーケットプレイス
早嶋です。
空中戦の得意な「アマゾン」。マーケットプレイスを提供して、空中戦でモノを売りたいヒトとモノを買いたいヒトを結びつけています。書籍をベースに圧倒的な規模とスピードで、今やあらゆる商品の売りたいと買いたいという場を提供しています。
しかし、近年感じるのは、その場に提供される商品がイケてなくて、購買を躊躇する。或いは他の媒体を選択して活用していることです。
例えば、部品や製造に関わるモノ、文具や日用品として使うモノは、「モノタロウ」を使っています。例えば、家電やゲームやおもちゃ等の商品は、「ヨドバシカメラ」を使っています。
どちらも商品のセレクションが「アマゾン」よりも信用がおけると思うからです。
初期の頃、関連性の高い商品をレコメンドする機能は便利でした。しかし、徐々にアマゾンの品揃えが膨大になりすぎて、そのレコメンドされる商品もさらに膨大になってきた気がするのです。そして何度も、気軽にポチって購買した後に、商品の粗雑さにがっかりする経験を数多く行いました。
もちろん、商品のレビューなどを見た上で購買する時もあります。しかし、そのレビュー自体の担保が全くわからずに、当てにならないというのがもっぱら近年の感想です。
従い、工具系は「モノタロウ」、雑貨文具玩具系は「ヨドバシカメラ」と使い分けているのです。特に「ヨドバシカメラ」はナショナルブランドを中心に品揃えをしている印象が強くて、粗悪ななんちゃってパクリ商品を出展していません。或いは少ないと思います。
このように考えると、「アマゾン」は未だに購買に重きをおいており、購買後の顧客の状況なんて無視しているのかな?と思わんばかりです。その理由に、カスタマーサービスも適当な対応が多く、しかも必要なときに連絡が出来ない始末です。「ヨドバシカメラ」は、いざとなったら店頭に行って対処をする。或いは気持ちをぶつけることもできます。その意味で空中戦と地上戦が良い感じでミックスしていて心地が良いのです。
空中戦と言えば「メルカリ」。本来は、CtoCを軸にしたマーケットプレイスだったと思います。従い、思わぬ掘り出し物やコスパ最高の商品がアップされていました。しかし、ビジネスモデルがメルカリ中心になっていると思ってしまうのです。
販売価格の10%をメルカリが手数料として得るために、買い手が得する仕組みになっています。素人がモノを売り、素人がモノを買う。互いが、少ない経験の中で取り組むと、いくらで売って良いのか?分かりません。そこで、メルカリは、相場をビックデータで示すようになっています。価格はつけやすいです。しかし、何度もメルカリを利用している内に、実は高くない?的な商品が氾濫しはじめました。ビジネスモデルとしては、正解ですが、買い手からすると残念です。
それから、明らかに業者と思われるヒトが同じ様な商品を大量に乗せています。特定のマニアックな掘り出し物を探している際に、この様な商品が大量に出てくると正直面倒です。そんなに買いませんが。本来は、素人同士の偶然の出会いを楽しみにしているマーケットプレイスだったのが、いつの間にか売り手にはプロの業者が乱立しており、「メルカリ」の本来の楽しみが失せてしまっていると感じます。
「アマゾン」も「メルカリ」もジョブ理論で言うところのビックハイアにフォーカスしており、リトルハイアの重要性を無視しているように感じます。企業としては儲かっているかもしれませんが、これは企業の隙間や弱みをつくることになり、しばらくしたら、他のチャレンジャーが出てきて、ワールドが崩れるのでは無いかと思っています。
SDGsの取組の真の意味と価値
早嶋です。
企業戦略において、目標設定後の、全ての行動において一貫性が極めて大事だと思います。
例えば、SDGs の取組です。持続可能な社会の実現のための取組としてスタートする。そのために部門ごとに、17の目標に分けて何かに取り組むことは重要です。しかし、企業としての取組が、そのSDGsの目標とその企業の戦略に紐付いていない場合、正直意味がありません。
SDGsのバッチをスーツのフラワーホールにただ飾る行動はいけていません。全くの意味が無いのです。そして、いくらエネルギーを削減しても、いくら男女やハンディキャップの雇用を増やしても、いくら製造に対しての責任を貸しても、その取組そのものが、単独の取組で完結し、事業の戦略に紐付けなければ、所詮社員からすると他人事です。
企業に取って持続可能な社会の構築は、5年後も10年後も、あらゆる環境の変化があったとしても、今の企業体が存続することが重要なのです。そう考えると、SDGsの取組は、自社が将来に渡って持続可能な仕組みや体制を整えることそのものに意味が出てくるのです。
私は、上場企業のグループ企業の戦略や人材育成を主としてお手伝いさせて頂いています。過去の発想では、グループ企業や小会社は親会社が受注した仕事を如何に効率的にこなすかが評価基準でした。しかし、この10年以上の間で事業環境が激変し、親会社からの仕事は激減。更に、親会社からの指示で、グループ外の仕事の比率を高めて下さいね、という達しが出るのが当たり前になっています。
しかし、多くのグループ会社は発想を転換することなく、行動を変えること無く従来の延長上で仕事を続けています。これだと結果的にそのグループ会社の存続は危ういのです。持続可能な社会の究極は企業の1社1社が知恵を絞って将来的に存続する仕組みを再構築することこそが重要なのです。
ジェンダー・フリーを実現し、働き方に自由度を持たせる。国籍に関係なく仕事が出来る仕組みを整える。仮にこのような取組をゼロベースで実現しようと行動を変えると、これだけでも将来の人材獲得が有利な立場になることでしょう。
エネルギーの使用や従来の仕事の流れをゼロベースで見直し改善、改革することは、グループ企業にとってプラスのメリットを生み出します。
一人あたりの生産性を高めることによって、経営震源を削減し、余った資源を新規事業やその企業の問題解決の最も優先順位が高い取組に再配分することが可能です。そのような取組を着実に続け、試行錯誤しながら成功ケースを創り再現性を高める研究を続けて実現することこそが、持続可能な社会の一員を構築している姿になるのです。
周りが言っているから自社もやる!的な発想は無意味です。自社が10年後も100年後も存続して社会課題の解決に寄与する取組を知恵を絞って立案して、試行錯誤しながら取組成果をだすことこそが、持続可能な社会を創ることにつながるのだと思います。
目標達成のための量と質の問題
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回は「目標達成のための量と質の問題」というテーマでお届けします。新年度が始まり、新たな目標設定された方や新人営業パーソンも多いことでしょう、目標達成のためのひとつの考え方をお伝えします。
とりわけ営業職の方は、目標達成できたか、出来なかったかは明確です。数字でハッキリわかります。こんなわかりやすい職種はないと思いますが、ではなぜその結果になったのか?その理由を明確に答えられる営業パーソンは自分の仕事をしっかりコントロールできているといえるでしょう。
「結果を管理しても結果は変わらない。プロセスを管理しなければならない」と言います。ラッキーなこともアンラッキーなこともある中でセールス活動をするわけですが、結果だけをみて目標達成したから良し、未達だからダメというものではありませんよね。
結果(目標達成)を直接コントロールすることは難しいですが、営業パーソンは自分の営業プロセスはコントロールすることにより、間接的に結果をコントロールすることができます。そうでなければいつまでたっても、出たとこ勝負の営業活動で結果の見通しが立ちません。予想外なことが起こっても、ある程度リカバーして着地することができます。また営業プロセスを共有することで、売れる人と売れない人の『バラつき問題(属人化)』を防ぎ、強い組織にすることもできます。
営業プロセスは、目標から逆算して何をしないといけないのか行動を決めます。同時にその行動をどれぐらいしないといけないのか(量)と、どれぐらいの確率で次のプロセスに進めないといけないのか(質)もデータに基づき設定します。
一般的な営業プロセスを、『アプローチ→ヒアリング→プレゼンテーション→クロージング→契約』とします。
例えば、今月の目標を契約10件とすると、クロージングは14件必要、クロージング14件するためにはプレゼンテーションを20件しなければならない。プレゼンテーション20件するためにはヒアリングを30件しなければならない。ヒアリング30件するためにはアプローチを50件しなければならないとします。これが「量」の設定です。
この「量」は「質」によって決まります。つまり、今月10件契約するために14件のクロージングをしないといけないということは、クロージングから契約になる確率が70%だとこれまでのデータからわかるのです。この確率は営業スキルが上がれば、上がります。これが「質」の問題です。「質」が低ければ、たくさんの「量」を準備しないといけません。その逆もしかり。
「質」と「量」の関係は、ゴルフのパッティングに例えてお伝えしています。
パッティングでは、方向が合っていても距離が足りなければカップインしません。逆に距離はピッタリでも方向がズレていては、これまたカップインしません。方向と距離、どちらも重要です。
どちらの方向に打ち出すかは「質」です。カップまでの距離は「量」です。営業においても「質」と「量」はどちらも必要なのです。「質」は、何をすべきかよく考えることです。必要条件と言えます。「量」は、達成するまで活動するということです。十分条件と言えます。
目標達成のためには、「質」だけでもダメ、「量」だけでもダメ。二つ揃って必要十分条件となり、目標達成することができます。目標達成のための量と質の問題です。
営業パーソンの中には、ベテランになるほど成績が落ちる人がいます。そのような人は、仕事に慣れて営業としての「質」は向上しているのでしょうが、反面、スキルが上がっていることにあぐらをかき活動量が減っている、つまり「量」が低下していることが多いです。本来なら「質」が上がった分、同じ活動「量」でさらに成績を向上させるべきところを、残念な営業パーソンをたくさん見受けます。
実は私は反省を込めて書いています。私も残念な営業パーソンの一人でした。仕事に慣れてくると、楽に契約が上がり出し「ヤル気になればいつでも結果は出せる」と根拠のない勘違いをして足が止まりました。活動「量」が減ると、やはり成績は下がります。いったん下がった「量」をまた元に戻すのは本当に大変です。大きな球を転がすのに、最初が最も力が必要なように、いったん止まってしまうとなかなか元の活動量に戻りませんでした。
「質」が上がれば、それに合わせて目標を上方修正しさらに高みを目指し「量」をさらに増やすぐらいでちょうど良いと思います。
逆に、新人の方はまずは量を増やすことに注力してください。最初からうまくできませんので早く慣れるためにも量をこなす必要があります。「量・質 転換の法則」といって量が増えれば遅れて質が上がりますから信じて活動量を増やしましょう。
では量を増やすために最も必要なことは?それは次回にお伝えするとしましょう。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
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