早嶋です。
DXもしかり、イノベーションもしかり、新規事業も然り。実現すると同時に今の組織をリセットすることも始めないといけない。
組織は考えて見れば、遅効的に完成されます。組織作りは3年、5年、10年と時間がかかりますので、今の組織の形態で将来に向けて新しいことを取り組むとかならずギャップがでる。これは考えて見ると当然のことなのです。今の組織は過去3年、5年、10年頃前に理想とされていた組織の形態で、確実にそれは時代遅れになっています。
10年以上前は組織におけるコミュニケーションコストやデータを蓄積するコストは高く、コンピューターを活用してコミュニケーションやsh組み作りはまだまだ今のように柔軟ではありませでした。そのため組織の間にマネジメントを噛まして指示と命令と行動のフィードバックと教育に関して担う役割はありました。
しかし徐々に人を介して行う仕事がコンピューターを活用することで、これまで1人で7名程度しか把握できなかった従業員の状況をその数倍から10倍程度は楽に管理ができるようになります。そして仕事のスタイルも従来のように蓄積した知識と経験を活用してじっくり取り組む業務が減り、新たな取組をしながら都度学習してキャッチアップするような業務も増えてきました。
このような業務をこなす中、10年前の組織のように、部長がいて課長がいて係長がいてリーダーがいて担当がいるという複雑多重なヒエラルキーはどう見ても機能しません。部長がアップデートできない人種であれば、課長も係長も現場の担当が抱えるトラブルや方向性に対しての理解は不可能でしょう。それでも多重構造のヒエラルキーを重視するのは部長や課長のエゴであり、実際は自分もそのエゴを理解しているけど、自分の存在価値がなくなれば給与やポジションも無くなってしまうと理解していると思います。
現在のような不確定な仕事をする場合、リーダーと担当者のフラットな関係で十分です。そして、プロジェクトが終われば、そのチームは解散して、必要に応じてまた集まればよいのですから。そう考えると、役割が高いか低いかは関係なく、そのプロジェクトに応じて能力が適切か否かでチームを結成すると良いと思います。すると結果的に社内か社外かの人材は関係なくなります。
ひところ昔と比較して、自由に個々人がつながりここにコミュニケーションを取れるよになってきたので、皆がプロとして働くことで社員とかそうではないとかの枠組み自体が不要になるのです。
‘組織人事’ カテゴリーのアーカイブ
階層をなくして見よう!
本部は現場に権限移譲しよう(店舗事業4)
早嶋です。
30店舗以上ある店舗は、店舗で得たデータを本部で一括集計し、そのデータベース(DB)を活用し、顧客の傾向や動向を分析して販売活動や購買後の体験を高める取組を行います。一方で、うまく活用している企業は、店舗に対してもDBを活用した販促や顧客とのコミュニケーションに裁量を与えています。
例えば、DBを活用して顧客にフォローを行う場合、DX化が進んでいる企業は集客やフォローを本部が集約して行う場合があります。いわゆるインサイドセールスなどの部隊です。本部は、現場が送付したDMやWebなどからの資料請求からのフォローを引き継ぎ、統合して後いをします。その際は試行錯誤の連続で、常に複数のKGIとKPIを設定しながらチューニングを行います。
特に初めて部隊を立ち上げた際は、何が正解かは誰もわかりませんし、ある程度の失敗を繰り返さなければ適切な手法は見いだせないでしょう。伝統的な組織のマインドのまま行っている企業はここにハードルを感じます。失敗を過度に恐れて実験が出来ないのです。一方で、はじめからDXをベースに取り組んでいる近年のスタートアップは失敗を恐れることをせずに、どんどん検証を繰り返すながら精度を高めていきます。その際は、本部だけではなく、現場でも顧客に対して自由にメッセージを送付し一緒い実験します。そしてその結果や経過を本部と連携することで、顧客のフォローと体験を高める精度をあげていくのです。
これらの行動に終わりはありません。そして徐々に現場のノウハウを本部が吸収しながら、どのような状況で、どのような顧客に、どのようなタイミングで、どのような媒体を活用して、どのようなメッセージを遅ればよいのかを体系化していきます。
この取組を頭でっかちに本部手動で、現場を度外視して行えば、結果的に精度は悪いままで、顧客に良い体験を提供できるどころか、現場との軋轢が大きくなり無駄なDX投資で結果がでることが無いのです。本部は、DX化を推進する場合は適宜現場との関係を深め協力をもとめ行うほうが良いのです。
新規事業でキャッシュフローを創出するマインドセット
早嶋です。
アイデアは何かと何かの組み合わせで、いきなり0から生まれることは少ない。また、新しいアイデアは基本的にうまくいかなく、はじめは皆に受け入れられることが少ない。そのため小さく始めて試してみることが重用だとされる。
上記は、大きな組織から小さな組織のトップになっている人にとっては当たり前すぎるくらいここ20年位、様々な経営書や雑誌や記事で語られています。しかし、いざそれを自分たちの部隊で行おうとするとできません。そこで基本的に、上記のような環境を作らなければならないというマネジメントは簡単なフレームワークを構築することが求められます。
ここでいうフレームワークは、あくまでも従来の既存事業の延長でのキャッシュフローの創出ではなく数年先のキャッシュフローの創出を目的にする場合です。そのためにマネジメントが行うべき手法は3つです。環境を創ること。参加を促すこと。そして真摯に対応することです。
(環境を創ること)
将来のキャッシュフローの創出には、従来の既存事業での当たり前をすべて逆転することが大切です。失敗やわからないことが基本で、それぞれが独立して成果を出す発想から、相互依存しながら少しづつカタチを創っていく。間違っても失敗しても、小さな成功を収めても、それらの因果を確認して将来につなげるための率直な意見交換が役割に関係なく必要です。
そのために最も重用なことは将来のキャッシュフローの創出の意義です。つまり新規事業を創出する目的は既存の事業を行っているプレイヤーにも一様に理解させる必要があります。新規を創出するプレイヤーはなかなか成功しないことに苦しみます。既存のプレイヤーは失敗を繰り返すプレイヤーを見て予算の無駄遣いだと嘆きます。しかし、そこには大義があり明確な目的が有ることを都度理解させながら将来の期待と今の行動の意義を養生することが求められると思います。
(参加を促すこと)
従来のマネジメントは自分のネガティブな面を見せることを避けていたと思います。既存の仕事は、ある程度計画してそのとおりに結果を示すことができました。そのため計画遅延や何らかの失敗があれば、それを取り返すべく必死に挽回させたと思います。時にはそれを隠したくなることもあったでしょう。
しかし新しい取り組みは、不要です。完璧ではないことを常に認め、不備がどこにあり、どこが脆弱化を常に明らかにして認めることが大切です。隠すなどは論外です。これはマネジメントだけではなく、一緒にチームで動く仲間に対しても同じマインドセットを提供しなければなりません。新規のチームであったとしても、過去は既存の仕事を繰り返す中で評価を得ています。自分がうまくいかない経験にもがき、苦しみ、そして隠したくなるというルーティンに陥るからです。
そのためにはマネジメントは良いことも悪いことも傾聴することが大切です。決して声を荒げたり、罵声したり、責任を押し付けたりしてはいけません。当然ながら部下はマネジメントの感情や行動をつぶさに観察していますので、そのような態度が少しでも見え隠れし始めたら、現場のことや進捗状況に対して、恐ろしくて本当のことを話せなくなるからです。
また、時には関係していないと思われている部隊への情報も意図的に集めることが大切です。新しい仕事のバリューチェーン(価値を創出する一連の流れ)自体が確立されていないから、様々な部隊の関わりに中止する必要があります。そのため意見を集めるためのフォーラムや自由な会議を定期的に利用して集めることが求められます。まさに、自由に発言ができ、皆が発言しているから、自分も発言しようとする雰囲気の養生が鍵になると思います。
(真摯な対応)
うまくいかない、そこに対して皆で議論をする。自分が掌握していない部隊の声にも耳を傾ける。書くのは簡単ですが、実際に行うのは大変です。将来に向けて新たな方法でキャッシュフローを創出する役割があるマネジメントであれ、半年、3ヶ月で何らかの評価をくだされるので当人もプレッシャーです。その中で失敗の話やうまくいかない話に耳を傾けなければならないのです。タフな仕事です。しかし、これがまず持って重用な態度になることを忘れてはいけません。
繰り返しですが失敗を恥じる文化を変える必要があるからです。従来の既存事業の延長とは全く概念が異なる取り組みを行うからです。常に過去ではなく、みらいに目を向けます。どんな些細なことにも耳を傾け、自分でできない場合はチームや外部の支援を得られる体制を構築します。そのためには他のグループとの日頃の関係構築なども非常に重用です。知らない奴の助けをするできた仲間はあまりいません。
ただ、将来のキャッシュフローを急ぐために法令に反すること、ガバナンスに反すること、明らかな違反に関しては、寛容にするのではなく明確な制裁措置が必要です。ただ、自分たちの中で大義名分を示し、自分たちの文化を示し、自分たちが絶対に行ってはいけないことは行動をする前から明文化して定期的にその意味を理解させる取り組みは必要です。
新しいことへの挑戦と取り組みは、結局その組織とマネジメントの絶え間ない探究心の追求うと絶え間ない学問の取り組みに近い活動になると思います。既存の過去身につけた知識や経験を生かしてなんとか仕事の成果を出そうと思う人がいたら、その時点でアウトです。
上記を読んで、新たなキャッシュフローの創出に対してワクワクした人は、今すぐ手を上げて新規創造の部隊に異動ください。もし、それを拒まれるのであれば、一生そのような活動はできないでしょう。組織を見直して、合理的に自分の活路が見いだせる組織に転職することを考えても良いでしょう。あなたのようなマインドの持ち主はどのような組織に行っても評価されるからです。
再教育の必要性
早嶋です。
(なぜ、リスキングやリカレント教育)
リカレント教育という言葉が紙面やニュースに出るようになり、最近はリスキングといワードも目にするようになりました。リカレント教育は、キャリアを中断して大学などに入り直して自分のスキルや能力を向上することを指しますが、リスキングは仕事を継続しながらスキルを継続的に高めていく概念を指しています。
近年、学び直しが話題になる社会的な背景はデジタルトランスフォーメーション(DX)の影響でしょう。2020年1月の世界経済フォーラム(WEF)では人工知能等の技術革新と普及による第4次産業革命への対応策として仕事をしながら能力をアップデートする重要性が提言されました。その追い風のように一連のcpvit-19。これまでテレワークなどに対して及び腰だった企業はその必要性に迫まれ、社内のIT脆弱性を再認識している昨今でしょう。
日本の教育は、早い人はお受験が幼稚園からはじまりますが、多くは親心で、良い幼稚園に行けばストレートで大学までと、微妙な勘違いがきっかけになっています。そして中学校や高校の受験が続き、メインディッシュは大学受験です。そのためか大学になった当人は、何らかのプレッシャーから開放されて、自ら進んで学習することを忘れ、一番需要な時期に骨抜き状態になり遊び呆ける始末。そして就活という踊らされた言葉にのっかり、就職することをゴールにこれまた必死に活動を続けます。
そして社会に出ると、日本企業の多くは新入社員教育から入社3年目、5年目教育などと企業が力を入れているOFF-JTと現場で実務をこなしながら仕事の内容を覚えていくOJTを習熟に、本来最も大切な自分から将来のキャリアをイメージして学ぶ自己啓発がほとんどなされなくなります。なんのためにじっとこらえて受験勉強を続けているのでしょうね。
日本は国内総生産(GDP)に対する企業の人材育成投資の比率が主要国では最低です。入社時が浅いときは社員教育に熱心なのですが、肝心なキャリアを積む過程での教育制度は大手企業でも微妙と言わざるを得ない状況です。それも、日本企業の多くが伝統的に入社して、その人の能力を見極めた後に、役割を与えるという仕組みが背景にあると思います。欧米では、先に仕事や役割が有るため、その基準があれば年齢関係なく仕事とポストを与えられます。そのため必然的にその役割に就くために自分から積極的に啓発するしかないのです。
高度成長期のように、一つの技術を習得して10年単位で食える時代は良かったのでしょうが、今のように、技術のサイクルが目まぐるしく変化するときは、ベテランこそ常に技術をアップデートし続ける必要があるのです。そこにDXの波というのがリカレント教育やリスキングなどの教育関連の言葉が闊歩して言る背景にあるのでしょうね。
(各国の状況)
主用な大手企業は国内外を問わずリスキングに投資しています。covit-19があけて次の時代が来るタイミングで特にデジタル関連の人材を大量に保有したいと考えているのです。日本経済新聞社の試算では一連の経済の押し上げ効果を700兆円と期待しています。
逆を言えば、DXがシフトした世の中のことを考えた場合、今の仕事がなくなっている可能性は皆に一様になるのだから、給与をもらって仕事をしている殆どの人がリスキングの必要性があることの証左です。先のWEFは2025年までにデジタル加速で事務職等の職種、約8500万人分の雇用が失われる代わりに、AI専門家等の職種に約9700万人の雇用が生まれると予測するのです。となると急激に、新たな人手が生まれるわけではないので、おおくの場合今の人がバージョンアップせざるを得ないのでしょうね。
一応、現時点のところでは主要国は次のような策を打ち出しています。英国、成人に対して無償で職業訓練を開始し25億ポンドを拠出する。米国、製造や環境関連分野において労働力開発に1,000億ドル投じる計画あり。韓国、スタートアップと連携し若年層のデジタル教育過程を開発。デンマーク、職業訓練受講者の失業給付の引き上げ。
その中でシンガポールは各国のモデルになっていると言われます。従来から外国人労働者の受け入れを拡大する同国は、失業者が増えるなどの国民の不満は強かったと思います。2010年頃、新たなスキルを学んでもらう生産性を向上する政策を導入。2万5千もの訓練コースや25歳以上の全国民に4万円程度の訓練費を支給する制度を行っています。関連する政策には国内主用企業や大学が関与して、2020年には40代から60歳に支給する訓練費を増額しています。このように国家的に国民一人あたりの生産性を向上する取組を進めているのです。
そして、日本。公共職業訓練の受講者を増員とあるだけで、具体的な動きは見えません。大手企業がリカレント教育やリスキングに関して動きはあるものの、毎年言葉を変えてIT人材を●千人増やします!と言っているだけで実質的な効果は出せていない状況です。
公共で見ると、上述している通り、公的支援のGDP比率は主要国の中で最低です。17年比較では0.01%で米国の3割、独の6%程度の数値で極めて低い水準です。国は、コロナ対策で観察した通り、休業手当を補助する雇用調整助成金に4兆円を投じていますが、それを受ける条件として一定のDX関連の教育を半年受けることなどの将来を見据えて策はほぼありません。常に雇用政策の力点は過去を見ており失業にフォーカスしているのです。
後継者問題は起こるべくして起こる
早嶋です。
経営者と従業員という2つのククリに分けて後継者問題を考えます。かなり限定した領域を絞ったお話です。
経営者は全ての事象を自分毎として受け入れる人達です。何かあれば率先して動き、自分で判断をし、行動に責任を持ちます。そして従業員はその逆で、全てを組織のせいにして他人事として捉え、できればサボりたい、帰りたい、遊びたいです。自分から夢中に成ることはありません。
中小零細企業の典型でFC事業の後継者問題で、次のような構図をたまにみかけます。例えばガソリンスタンドです。店主は70代以上の高齢で、息子はいなく、代わりに娘夫婦がスタンドで事業を手伝っています。将来的に後継者は婿になるのですが、これが全くやる気なし。本人に話を聞くと、娘さんとたまたま結婚して、家業を手伝ってほしいとのことで、会社を辞めてガソリンスタンドの仕事をはじめています。当時こそはやるきまんまんで色々と研究をして経営者(義理の父)に提言するも100%拒否され続けてきました。今はそこそこ収入はあるので、なんとなく過ごしている状況です。しかし気がつけば婿殿も40代から50代で、典型的なFC事業であるガソリンスタンドの商売は右肩さがり。しかし、自分から動くこともなく、経営者である義理の父も継承するタイミングが分からずにズルズルです。
上記の事例の悪は経営者でしょうね。自分が10年年取ったときのことを創造出来なかったので、婿殿の提言をアタマから否定した結果、the従業員婿殿に成り果てたのですから。
別の事例もあります。そこそこ安定した企業でやはり息子はいなく、娘さんが会社を継げばよいのですが、その能力はなく婿殿にフォーカスがいきます。ただ、婿殿もあまり経営に興味がなく、なんとなく経営陣という居心地の良いテーブルに座っています。経営者である父親は娘の機嫌がよいので特に問題視していませんでしたが、急な病が襲いかかります。そこで娘さんが経営を引き継ごうとしますが10年以上ぽけーっとしていましたので何らわかりません。同様に婿殿もです。
経営者が優秀でも自分が行ってきた取組を言語化して標準化している事例は皆無です。特に中小企業においては。自分の企業の状況も分からないのでM&Aで売却する際にも条件をつけることができない。あるいは、そのようなナレッジや視点も無いのでそもそもどうにもならないという状況です。
この事例の悪は経営者と従業員の両方になりそうですが、やはり私は経営者だと思います。やはり何かあったときの想像力が不足していて準備が出来ていないのですから責任は経営者でしょうね。
これが息子であれば、当然に息子は小さい頃から一定の意識が父の経営に向いています。一度は親元を離れてサラリーマンか別事業を始めますが、そこそこの企業規模であればしばらく社会経験を積んで家業を継ぎ切り盛りをはじめます。息子の場合は経営者というニュアンスが強く、婿の場合は従業員というニュアンスで仕事を始めているのです。
もし、息子さんがいなくて、娘さんになんとなく将来の経営を任せようと思っている。でも直接そのような話を過去10年以上行っていない場合は、明日は我が身です。是非、経緯状況を理解できるパートナーや相談相手を見つけて、自社の出口対策を早めに検討することをお勧めます。清算、親族内承継、従業員にM&A(バイアウト)、社外にM&Aの4つしか選択肢は無いのです。
人材育成3つの壁 〜リアルな中小企業の実情〜
◇人材育成プログラムの前に…
コロナ禍の中、オンラインでの人材育成が盛んです。各社が競い合って様々なプログラムを作成しています。わざわざ東京まで行かなくても、著明な講師のレクチャーを受けることができます。その魅力的なプログラムを受けると、社員の能力が高まりそうな気がします。しかし、中小企業の現実はどうかというと、そのようなプログラムを受ける前の段階で大きな壁があります。
現実の中小企業の人材育成には大きく3つの壁があります。以下の文章は、多少、言葉遣いが悪いですが、ご了承ください。
◇ ①興味がない
そもそもビジネスに興味がない。これは、中小企業だけでなく、大企業にも言えることです。
まず、中小企業の社員の多くは、入りたくて入った会社ではありません。当然、自社のビジネス、業界には全く興味はありません。プライベートの時間は、仕事のことは考えたくないという人がほとんどです。もちろん勉強、読書の習慣もありません。なので必要最低限のことしか頭に入りません。研修で良い話を聞いても、家に帰れば忘れます。
では、大企業はどうかというと、こちらも同じく多くの人は、ビジネスそのものに、興味がありません。興味があるのは、会社での自分の評価です。賢明に働くのは同期が100人くらいいて、その中で、強烈な競争意識があるからです。なので必要なことは必死に取り組みます。
この興味がないというのは大きなハードルです。人は興味がないことは理解しません。大企業の場合は、すでにシステムが出来上がっています。与えられたコマンド(命令)をこなせばいいです。何かあれば取引先に圧力をかければなんとか帳尻があいます。しかし、中小企業は目の前のプロブレム(問題)を解決しなければ、企業は存続しません。成長もしません。
◇ ②読解力がない
次に、文章、グラフ、図形の基礎的な読解力がないことです。
「AI VS. 教科書が読めない子供たち」を読むとわかります。学力中位の高校でも、大半は教科書が読めません。高校生の大半ではありません。学力中位の、つまり偏差値50くらいの高校生が読めないということです。
偏差値50くらいだと、大企業のグループ会社や、地方の中堅企業に入るくらいのレベルです。そういう人たちの半分が文章をまともに読めません。さらに、今の若い人たちは圧倒的に語彙力が足りません。なので日経新聞を読むことができません。
そして、中小企業に入る人材は失礼ながら、それよりもひどいということです。
◇ ③知的・精神的・肉体的な安定性がない
ちょっと身もふたもない書き方ですが、私が経験してきたリアルな現実です。中小企業の社員の少なからずが、知的・精神的・肉体的な不安定さを抱えています。
日本の教育システムの設計思想は、社会に適合できるかスクリーニング(選別)することです。スクリーニングを無事潜り抜けたひとは、いい大学に入って、いい会社に入ります。当然、中小企業にはそのスクリーニングで引っかかった人が入ります。
たまに中小企業に、中途採用で立派な学歴、職歴の人が入ったりします。経営者は大喜びです。しかし残念ながら、そういう人は多くの場合、何らかの形でスクリーニングに引っかかったということです。多くの場合、期待したような活躍はできません。そして予想もしなかったような問題を起こしてくれます。
中小企業は一人の人で失敗すると大打撃です。問題ある人に時間とお金をかけて、責任のある地位につけて組織がガタガタになったことを何度も見てきました。おとなしくこつこつと働いていた人が、人の上に立って豹変したこともありました。
◇前提の確認
こうしてみると、人材育成プログラム云々ではなく、その前提で壁にぶち当たっています。
御社の人材は、①ビジネスに興味がない、②読解力がない、③なんらかの不安定さがある。この壁をクリアしているでしょうか?
御社の社員に、最近、ビジネスに関する本を読んだか聞いてみてください。もし読んだのならその内容を聞いてみてください。たぶん最初の「本を読んだか?」という質問で全滅すると思います。多くの人は、ビジネスに興味がないし、読書の習慣がありません。読書の習慣がなければ、語彙は増えません。
そういう人間が、デジタルトランスフォーメーションなど聞いても、何もわからないと思います。
あと360度評価を実施することです。匿名で部下や同僚の評価をとってみてください。かなり、いろいろでてきます。経営者よりも、周りの人たちのほうが、その人の真の姿をわかっていることが多いです。
また、社員の生活習慣を把握したほうがいいです。食事・睡眠をしっかりとっているか、生活リズムは整っているかはかなり重要です。
◇壁(問題)への対策
前述の通り、人材育成には、3つの壁(問題)があります。しかし、問題があれば対策はあります。
まず興味がないと言うことに関しては、ビジネスの全体像を理解させること、そして自分の役割を与えることです。人は自分が理解できないものには興味を持ちません。なので、自社のビジネスモデルや、社会的役割を、わかりやすく根本的なことから理解させる必要があります。また、仕事に興味を持ってもらうためには、役割を与えて、裁量を与えて、承認を与えることです。このことは、会社が成長していくという物語を共有すること、そして、自分自身がその物語の登場人物の一人であるという認識を持たせることです。
次に、読解力を向上させることは、簡単ではありません。基本は、インプット、アウトプットを繰り返すことです。もちろんフィードバックも必要です。仕事のなかで読む、聞く、書く、そしてフィードバックを受けるというサイクルを定着させましょう。読解力が上がれば、自ずと他の能力も上がっていきます。
読書の習慣をどうやって定着させるといいかはこのブログに書いてます。
【職場の読書論 〜読書の習慣を定着するには〜】
https://www.biznavi.co.jp/blog/archives/7381
最後に、面接や、試用期間でスクリーニング(選別)は必要です。小さな組織ほどスクリーニングができていません。採用担当者は自分のノルマさえこなせばよく、現場もとりあえず人がいないよりはいたほうがいいという感じで、スクリーニングできていません。面接で適正テストをする。試用期間中も、業務の理解度をテストをする、面接をする、周囲の評価を取るなど、スクーリングをしたほうがいいです。
◇人が育つ条件
中小企業の社員で、学歴などなくてもバリバリ仕事ができる人がいます。会社の全体像がわかっていて、論理的な思考ができて、問題解決力があります。このような人を何人か見てきました。
どのようにその人たちは成長したのか?それは、会社と一緒に成長したということです。カリスマ社長のもと、会社が急速に拡大するなかで、様々なタスクをこなしていったからです。会社の成長という物語と、自分の役割があったからです。最初の興味がないをクリアすると、人材育成はほぼ成功です。
環境が変われば、認識も変わります。そして成功体験を積めば、人は劇的に成長します。小さな組織のメリットはトップの経営者と社員の距離が近いことです。さらに人事に柔軟性、俊敏性があることです。業績のいい中小企業の経営者は社員と密にコミュニケーションをとっています。そして目をつけた人材はすぐ抜擢します。
人は、他者からの承認、そして人生の物語を必要とする社会的存在です。小さな組織はトップからの承認を得られます。面倒だなどと言わず、社員との距離を縮めましょう。良い人材は会社にとって一番のお宝です。
以上、最後までご精読ありがとうございました。
職場の読書論 〜読書の習慣を定着するには〜
◇本を読まないという嘆き
原田です。
多くの経営者の方から、社員(若い人)が本を読まないという嘆きをよく聞きます。
若い人だけにかぎらず、私の周りの専門家と言われる人でも、本を読んでいる人は少ないです。
本を読むという行為はとても時間を取ります。スマホ全盛の時代では、読書は、コスパの低い行為なのかもしれません。
◇経営者と読書
一方で経営者の方は、本を読む人が多いです。多くの経営者は、経営者同志のネットワークを持っています。そこで先輩経営者から、「この本を読むといいよ」と進められることが多いです。また仕事柄、移動が多く、移動時間でできることの一つが読書です。そして、読んだ本の内容は、先輩経営者へフィードバックすることになります。なので読書で得られる効果を体感しています。
◇普通の人と読書
本を読むことは、直線的思考を強要されます。一定の時間、集中して活字を追うことは、脳に負担をかけます。ある程度、訓練が必要です。
一方で、SNSやゲームは、次々と切り替わっていきます。即座に自分の必要な情報にアクセスできます。おそらく人間本来、というか動物と同じ拡散的思考になっています。
1日のほとんどを、ネットに接続している現代人は、できることなら本は読みたくないというのが本音だと思います。
あるいは必要な情報はネットで収集できるので、本を読むなんて時代遅れだという意見もあると思います。
◇読書とは
読書は、単に情報を得るものではありません。著者のものの見え方、考え方、そしてその論理的な組み立てを、体験することが読書だと思っています。これはあくまで私の読書論です。
※ちなみに、私は速読ができません。何度か試しましたが身につきません。
読書という体験で、自分の認識の枠組みが変化します。物事の考え方が改まります。物事に複数の視点を持てるようになり、世界が広がります。
読書の楽しさは、著者の視点、思考を通して、新たな世界観を手に入れることだと思っています。
◇読書のすすめ
読書の習慣はあった方がいいです。だからと言って、若い人たちに本を読めといっても読みません。ついついスマホに手が出るのが現代人です。なので私が最近読んだ本の中から、いい取り組みの事例を紹介します。
それは大学のゼミでの取り組みです。ゼミの学生に、みんなの前で自分が選んだ新書を一つ紹介してもらうという取り組みです。このとき紹介する人は、1冊読破する必要はありません。自分が読んでみたいと思った新書を紹介するだけです。そして「どうして、その本を選んだのか」を説明します。そうすると、1ページも読んでいなくても、「著者はだれか」、「どういう履歴の人か」、「どんな知見が得られるか」ということを考えるようになります。
このやり方であれば、Amazonの中身検索だけでも、終わらせることができます。そこまで負担はかかりません。お金もかかりません。
企業でも、同じように、社員から読みたい本を紹介してもらうという取り組みができます。週一回くらい、ローテーションで、みんなの前で発表してもらうといいでしょう。
そうすれば、なかには実際に読もうとする人もでてくると思います。もし読み終わり、そのことを発表することができれば、大きな成功体験になります。
◇成功体験が必要
今の本、特に新書は読みやすく作られています。1文、1段落が短く、さっと読めるようになっています。ベースとなる知識がなくても、2時間くらいで読み終える本は結構あります。
まずは一冊の本を読み通したという成功体験が必要です。良い本を一冊読めば、世界観が変わります。その世界観を誰かと共有できれば、また本を読む意欲がわきます。そういう人が増えると、社内の雰囲気も変わります。一度、分岐点を超えると良い連鎖がつながっていきます。
まずは本に興味をもってもらうこと。いきなり読ませるのではなく、小さなステップを作るというのが基本です。
以上、最後までご精読ありがとうございました。
雑談と組織の心理的安全性
◇サイドチェンジを増やすには? 〜オフト監督の鋭い洞察〜
原田です。
昔、WEBの記事で読んだ話です。元サッカー日本代表監督ハンス・オフト監督の発言にインパクトを受けました。記憶はおぼろげですが、下記のような内容だったと思います。
ある日、二人のコーチがグランドで熱心に話し合っていました。試合で、左右のサイドバック間のサイドチェンジを増やすにはどうすればいいか?という話です。そこへ、オフト監督がやってきて答えます。
オフト監督の答えは「左右のサイドバックを仲がいい選手にする」でした。
◇仲がいい選手であれば
この記事を読んでとても関心しました。確かに、仲がいい選手であれば、日頃からよく話をします。コミュニケーションの量が多いです。サイドチェンジという課題が出されれば、二人で考え、自主練習もするでしょう。練習以外の時間も、ご飯を食べたり、テレビをみたりしながら、話題になるでしょう。そうなれば、いろいろなディティールが話しあわれ、試合で実行されることになるでしょう。
仲が良ければ、試合でも思い切ってパスを出すことができます。多少、強引なパスをしても、あいつだったら大丈夫だろうという安心感があります。失敗しても、ドンマイと言ってもらえます。気持ちもすぐに切り替わります。
これがあまり仲がよくなければ、あるいはベテランと新人であれば、なんでそんなパスするんだよ、とか言われる心配をすることになります。そうなれば無意識のうちにパスを出すことに躊躇します。これでは、いくら練習しても実戦ではなかなか実行できません。
試合でチャレンジの回数が増えれば、経験値も積み重なり、成功する確率が高くなります。パスの精度も上がります。より効果的なサイドチェンジができるようになります。
ここで重要なことは仲がいいというインフォーマルな関係があることで情報の交換量が増えることです。そして、気心が知れているので、実戦で思い切ったパスを出せる、つまりチャレンジが増えることです。
◇Googleの提唱する心理的安全性
皆さまご存知のGoogleは、様々なプロジェクトをチーム単位で実行しています。世界中から頭の良い人たちが集まったGoogleのなかでも、すば抜けて生産性の高いチームがあります。
では、そのチームに共通する特徴は何か?その研究成果を、Googleは自社サイト「re:work」で発表しています。
https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/identify-dynamics-of-effective-teams/
Googleの結論は、下記の5つです。
①心理的安全性
頼りなさ、恥ずかしさを感じることなくリスクをとれる。
②信頼性
クオリティーの高い仕事のため、お互いを頼りにできる。
③構造と明瞭さ
チームの、ゴール、役割、実施計画が明確である。
④仕事の意味
チームの一人一人が、個人的に重要なことに取り組んでいる。
⑤仕事のインパクト
我々がやるべき仕事だと確信をもって取り組んでいる。
生産性の高いチームのメンバーは、この5つの特徴を持っています。そして、この5つのなかで、心理的安全性が全てのベースになっているということです。
◇どう実行すればいいか
心理的安全性が大事なのはわかります。では、どうやって実行すれば良いのでしょうか?この短い説明文だけではわかりません。他に記事を読んでも、抽象的な概念の説明だけで腑に落ちません。そう思っていたら、経済産業省の職員が、メルカリに出向し、体験した話の記事をWEBで読みました。この文章で、その要約を書きますが、とても良い記事なので、きちんと読んでみられることをお勧めします。
https://www.businessinsider.jp/post-195307
以下、要約です。
メルカリでは、チームのメンバーは、毎週一回は30分の1対1のミーティングを上司と行います。30分、1対1で何を話すのでしょうか?
そこで話されていることは、他愛もない話です。多分、この前新しくできたラーメン屋さんが美味しかったとか、この間観た映画が面白かったとか、本当に他愛もない話だと思います。
この他愛もない話をすることで、部下と上司の心理的な距離感が縮まります。お互い仕事の立場を離れ、一人の人間として接することができます。相手の人間像が広がりを持って見えるということです。そして、部下の上司に相談する心理的ハードルが下がります。心理的ハードルが下がれば、部下からの情報がいち早く上司へ入ります。アイデアが共有され、トラブルが防がれます。不完全な形でも情報は伝わります。組織の生産性が向上します。
「早くて柔らかい組織」が実現されるということです。
もちろんこの他にも、心理的安全性を担保するだけでなく、チームの生産性を上げるために、様々な工夫をされていると思います。当たり前ですが、心理的安全性だけではダメです。ただのぬるま湯になってしまいます。チームの目標と、他の4つの特徴が必要です。
この記事を読んだ時、それまでよくわからなかった心理的安全性の概念が、自分なりに理解できました。同時に記憶の片隅にあった、オフト監督のサイドバックの話を思い出しました。
◇雑談は重要
コロナ禍のなか、リモートワークや、オンラインミーティングが当たり前のことになってきました。しかし、このオンライン上で、ちょっとした「アイデア」や、現場での「気づき」などの情報が交わされるでしょうか?また、後に大きなトラブルになるような、ちょっとした「出来事」の報告があるでしょうか?流行りの「DX化」が解決してくれるのでしょうか?
組織の生産性を上げる要因は、人間の感情です。組織の風土です。一見無駄に思える雑談の時間は大切です。リアルで接する機会が減るからこそ、また新たなチャンスが生まれる時代だからこそ、なんでもないような雑談の時間を作ること、そして組織の心理的安全性を作ることが重要になっていきます。
以上、最後までご精読ありがとうございました。
企業の動画活用と研修の今後
早嶋です。
2019年12月頃より武漢を震源地として発生したパンデミックは、2020年4月、2021年1月、そして2021年6月に3度の緊急事態宣言を起こしました。その期間、企業は2回の新入社員研修と従来の階層教育や選抜教育を実施しています。当然、各社試行錯誤で開催し、中には間引いたり、全ての研修をキャンセル企業もありました。
covit-19は幸か不幸か、研修のあり方をゼロベースで再考する機会をもたらしました。従来は研修会場に講師と参加者が集合する集合研修が中心の形態から、Webツールを活用したオンライン研修、動画を活用した研修、レポート提出などで研修を置き換えるなど様々な形態ができています。今回は忘備録として、今後の可能性について2021年6月14日時点での研修について整理します。
基本的に研修の提供形式は、集合研修とオンライン研修があります。
(集合研修)
講師と参加者が研修会場に集まり、研修期間中、リアルタイムでインプットやワークショップなどを行う形式。
(オンライン研修)
講師も参加者もネットワーク上に集まり、研修期間中、オンラインでインプットやワークショップなどを行う形式。
また、研修内容はインプット重視、アウトプット重視があります。
(インプット重視)
期初や期中の会社の経営状況の共有や全社員向けのガバナンストレーニング、SDGs研修等です。また、新入社員や階層教育なども一部インプット重視の研修に入るでしょう。
従来は従業員を20名〜30名単位で本社や該当する拠点の会議室に集めて集合研修形式で同じ講師がインプットしていました。この手の研修は通常は一方通行だったので、今後は動画に置き換わり提供されるでしょう。
もし、全社員に対してアウトプットが必要な場合は、1)レポート提出か、2)インプットを受けて理解を深めるためのワークショップをオンラインで行う形式にシフトするでしょう。
リッチな研修では、レポートに対して講師が赤ペン先生を行い受講者にフィードバックする。或いは、ワークショップで議論を深め、インプットを担当した講師、或いはワークショップ専用の講師がファシリテーションを行います。ワークショップの提供形式は受講者の移動と会場のを鑑みるとオンラインにシフトすると思います。
(アウトプット重視)
選抜研修や階層研修のうち役員研修や管理職研修、或いは将来のリーダー育成研修などが相当します。これらはインプットも行われますが、研修の比重はアウトプット重視の研修が多いです。但し、従来は参加者の知識レベルを揃える目的でリッチに講師を呼び、インプットを行った上で、会社の将来を議論したり、何らかのビジネスモデルを作成する等のワークが課せられていました。
ここに対しても、選抜者の能力やバックグラウンド、個々人が持つディグリーに応じて、基礎インプットが不足するヒトはオンデマンド等で事前に動画でインプットを済ませて置く。そして、集合研修の時までに知識を補っておく。という流れになると思います。
選抜トレーニングの場合は、集合研修形式で1箇所にリアルで集まりワークショップを行うことを主に研修の立て付けが決まって行くでしょう。但し、この手の研修は絶対に中止や延期がしにくいので、有事の際はWebツールでも議論ができるように予め設計しておきます。
上位グレードの階層教育や選抜トレーニングは、その方々の人事のタイミングとリンクして研修のタイミングを提供するため、研修が遅れたからと言って人事のタイミングをずらすなどをすると実際の仕事に大きく影響を与えることから基本的に中止や延期は考えられないのです。
次に研修のタイミングに対してです。基本、リアルタイムの場合とある一定期間に終了させたい研修、そして受講者のタイミングで好きなときに見れる研修です。
(リアルタイム)
旬がある研修やインプットです。例えば期初や期中や期末の社長の講話などはリアルタイムが重要なので今後はオンライン配信を活用して特段業務を止めることができるヒトはリアルタイムで聴講し、何らかの理由でその瞬間に共有できない人はなるべく早い時間に録画を視聴することになるでしょう。
(一定期間)
SDGsやガバナンスなど、全社員や一定の役割レベルに共有したいインプットは、旬はありますが、必ず同じ時間に聴講頂く必要はありません。この場合は一定期間の猶予があり、個人の仕事の都合に合わせて動画を視聴するような流れになるでしょう。
(オンデマンド)
過去の経営計画発表や技術ノウハウの共有や各種インプットは、常に動画を見られる状態にしておき、条件を有する従業員はいつでも自由に見れる状態になるでしょう。
異動で新たな業種についた社員は、研修期間内外を含めて、知識インプットや過去の取組事例等の動画を見てOJT以外に自分に不足する経験を知識で補うことができるようになります。
中途採用の社員は、直近数年の社長の講話を聞くことで会社の社風や大切にしている価値観や文化を確認することができます。もちろん、その方の役割について関連のある動画を検索して見ることでその会社にフィットした仕事がより行いやすくなるでしょう。
このように考えると、従来のリアル一辺倒の研修は、動画のみ、動画+レポート、動画インプット+レポート+ワークショップなどと動画を活用したハイブリット研修が当たり前になるでしょう。
この際、課題となるのが動画の扱いです。各社Webツール等で録画する動画や研修で使用する動画の管理などに苦労していることと思います。Youtubeの限定公開などの活用はURLが漏洩される可能性がありますし、誰がいつみているのかなど、人事が管理目的で知りたい情報がとれません。当然、Googleが提供するプラットフォームなのでいつ使えなくなるかも不明です。
動画は他のドキュメントファイトよりも要領が重たく直ぐにハードディスクをいっぱいにしてしまいます。テレワークが進む中、そのような動画のやり取りや管理はIT専門の人間でも、取り扱いの得て不得手が別れます。
弊社では研修やの立場から動画を活用する経験が多かったことから、動画に強い企業と連携をしていち早く動画のソリューションを実装しています。こちらの商品は1年間テストマーケティングで複数の企業で実験しながら活用しました。その内容を踏まえて仕様をゼロから見直した新たな仕組みを8月頃より順次ローンチしていく予定です。
今回のブログを読んで、ピンと来た方は、1)企業研修を担当している方で実際に動画の扱いに困っていいる方、2)研修会社ですでに研修をハイブリット化しているがコンテンツの配信と顧客毎の管理で困っている方、3)個人で動画を活用して何らかのノウハウ提供をしている方、だろうと思います。
是非、上記の方は弊社までご連絡下さい。追って担当者から連絡させて頂きます。
視野狭窄
早嶋です。
視野狭窄。医学的な言葉の意味でしょうか、中心の視野が良好でも徐々に周辺視野が喪失される症状です。
コロナ元年に入社した新入社員、社会人経験の全てがオンラインを軸に生活した方々も多いことでしょう。そして半年から1年もすると、コロナ渦の生活が板に付き当たり前になることでしょう。
従来は出社する中で隣の部署や顧客の出入りを自然と目にすることがあり、会社の業態や全体のポートフォリオがどのようなことをしているのかのニュアンスをそれとなくイメージすることが出来たと思います。また、少なくとも通勤途中に他社の状況や同様の努めている方々を目にする中で少なくとももっと頑張ろうとか、あいつ若いのに良い格好しているなとか、何らかの無意識の刺激を外界から受けていたことでしょう。
しかし完全にデジタルの世界では、目の前のディスプレイに表示された情報が全てで、いつしかその周辺の付属する、或いは無限にも広がる世界の存在を無視し、ごく狭い世界で仕事をしている錯覚に陥ってしまっているのです。
企業研修業界で従来から視野が狭いことに対しての課題感は高まっていましたが、オンラインを主体とする社員に取ってその影響は更に大きくなると感じます。
若手が視野狭窄に陥らない打ち手はいくつもありますが、基本的に自分が見ている対象は全体の一部であり全てでは無いことを常に意識することでしょう。その上で、ヨコとタテを常に自分の中で考えることをお勧めします。
ヨコ。仕事で言えば、その流れです。今みなさんがこなしている仕事は、皆さんで始まり、皆さんで終わる仕事ではありません。2人以上の組織で仕事をしている以上、必ず仕事は繋がりの中に存在します。そのために常に、自分の仕事の上流工程と自分の仕事の下流工程がどのようになっているのかを考えて今の仕事に取り組むことが大切です。そのように意識することにより、ヒトから言われてこなす作業が、自分で全体を考えた仕事に切り替わります。ヨコに対して専門的に学びたい方はバリューチェーンや少し大きな視野でサプライチェーンを理解すると良いでしょう。
タテ。今目の前のヒトも完全に全てを把握して全ての権限を持ち仕事を動かしていることはありません。やはり組織で仕事をしている以上、そのヒトは上限のヒエラルキーの中で自分の役割を全うしています。更に、相当教育を受けた人間でも無い限り、本人も上司や部下を鑑みた仕事をしていません。そのため目の前のヒトの発言を正解と捉えずに全体の一部、その役割のみで考えると正解の可能性が高い。と認識することが大切です。やはりタテに対して理解を深めたい場合は組織論や意思決定のメカニズムについて学びを深めると良いでしょう。
何れにせよ、デジタルの世界はピンポイントの部分最適しか示されません。自分から情報を取りに行くことをしない限り、常に選択されたごく限られた情報しかディスプレイには表示されません。すると、仕事とはこんなものかとなりどんどん周辺の視野が狭くなることでしょう。
デジタルディラプションが起こる瞬間、部分の最適化された仕事は一瞬でAIやロボットに置き換わる可能性があることを意識して日々テレワークを行う。そして余った時間は自分の思考を深めるトレーニングを積むことをおすすめします。
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