安藤です。
今回は、「定着率向上や早期離職防止に向けた対策」です。
厚生労働省は20日、労働経済動向調査(2022年11月)の概況を公表しました。労働者の過不足判断D.I.(不足-過剰、11月1日現在・産業計)は、正社員等労働者プラス44ポイント、パートタイム労働者プラス30ポイントで、それぞれ46期、53期連続の不足超過。正社員等労働者では、「建設業」、「医療・福祉」、「情報通信業」、「運輸業・郵便業」で人手不足感が高い。生産・売上額等判断D.I.(10~12月実績見込)は、産業計マイナス3ポイントで前期から2ポイント上昇、「宿泊業・飲食サービス業」(プラス23ポイント)などでプラスとなる一方、「「サービス業(他に分類されないもの」(マイナス17ポイント)、「医療,福祉」(マイナス11)などでマイナスとなっていました。
そのような状況の中で、社員の早期離職は組織にとっても、大きな問題です。
若手の成長のためには仕事における負荷=挑戦が不可欠ではありますが、実際に負荷がかかった際には、不安が大きくなったり物事をネガティブに捉えすぎてしまい、パフォーマンスの低下やメンタル不調になってしまう社員も一定数います。
こうした状態が続くと、生産性の低下や早期離職に繋がる恐れがあるため、企業としても社員のストレス耐性を強め、ものごとの捉え方を鍛えることで自律型人財へと成長できるようサポートしていくことが大切です。
その為には、管理者も若手のストレス要因の認知・向き合い方を学ぶ必要があります。ストレス対処は、コーピング(coping)とも言われています。日常生活の中で私たちに負荷をもたらすと判断された外的・内的な刺激(ストレッサー)やそれによって生じるストレス反応を減らしたり、受け入れたりするために個人が行う認知的、もしくは行動的な努力のことを指します(Lazarus & Folkman,1984)。さらに、Lazarusら(1984)は、その努力は常に変化するものである、とも述べています。コーピング方略にはさまざまな種類があり、その分類方法は研究者によって多岐にわたっています。 そこで、今回は、ストレスフルな状況やその結果として生じるネガティブな情動に対して積極的にかかわっていく「接近型コーピング」と、それらを遠ざけようとるす「回避型コーピングについて説明します。
接近型コーピングとは、ストレスフルな状況に対して積極的に取り組んで解決を目指すためのコーピングです。
●問題点を明らかにし、解決策を考える ●経験者にアドバイスを求める ●どんな物事にも必ず良い面があるはずだと探してみる 等があります。
一般的に、接近型コーピングはストレッサー自体の解消を目指すものであるため、ストレス反応の低減に有効だと言われています。しかしながら、ストレスの原因の所在が自分以外にある、もしくは対処方法は分かっていても実行に移すのが難しい場合など、全てのストレッサーが解消できるものとは限りません。
解消できないストレッサーに対して働きかけを続けることで、疲弊してしまう恐れもあります。その場合は、ストレッサーから距離を置くことでストレス反応の低減を目指す回避型コーピングを選択することも必要となります。
回避型コーピングには、● 嫌なことをなるべく思い出さないようにする ● 自分の趣味を楽しむ時間を持つ ●問題解決を先送りする 等があります。
回避型コーピングを用いることによって、ストレッサーに直面した結果として生じるネガティブな感情を解消することができます。しかし、その効果はあくまでも一時的なものであり、 根本となるストレッサーの解消には至りません。 早期離職防止対策としては、社員がいつもと違う言動を早めにキャッチして、まずは、個別に傾聴することが優先かと思われます。
何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。
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定着率向上や早期離職防止に向けた対策
これからの時代を生き抜くため~well-being~②
安藤です。
今回は、「これからの時代を生き抜くため~well-being~②」です。
前回は、なぜ、今well-beingが注目されているのかについてお書きしました。Well-beingは、「身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること」を指す言葉です。このWell-beingについての研究で有名なのが、慶應義塾大学大学院 教授の前野 隆司氏です。Well-beingには、「幸せの4つの因子」を高めていくことが幸せにつながるといっています。それは、①自己実現と成長、②つながりと感謝、③前向きと楽観 ④独立と自分らしさです。
具体的には、1つ目が、「やってみよう」因子(自己実現と成長の因子)です。夢や目標ややりがいを持って、「本当になりたい自分」をめざして成長していくとき、人間は幸せを感じます。
「ただし、“やらされ感”の強い目標ではなく、ワクワクする目標でなければ幸せにはなれません。企業の場合は、『社員一人ひとりが会社の理念と一致した目標を持ち、それを自分事と捉えて、やりがいを感じて働いている』というのが理想です。会社の部品となって働くのではなく、社会・組織の一員として、本当にやりたいこと、やるべきだと思えることをして生きていく。コロナ禍での自宅待機中に、『自分が本当にやりたいことって何だろう』と、あらためて考えた人は多いと思います。どうしたらもっとワクワクしながら、自分の仕事に取り組めるのか。
2つ目は、「ありがとう」因子(つながりと感謝の因子)です。多様な人とつながりを持ち、人を喜ばせたり、人に親切にしたり、感謝したりすることが幸せをもたらします。
「要は、『人を幸せにしようとすれば、自分も幸せになる』わけで、身近な人から世界中の人々に至るまで、感謝が広くて深い人ほど幸せを感じやすい。たとえ苦手な人がいても、先入観を取り払えば、相手のいいところや素敵なところが見えてくる。まずはそれを見つけ出して感謝すること。それが幸せになる第一歩です」。
3つ目は、「なんとかなる」因子(前向きと楽観の因子)です。いつも前向きで、「自分のいいところも悪いところも受け入れる」という自己受容ができており、「どんなことがあっても何とかなるだろう」と感じる楽観的な人は、幸せになりやすいといわれています。
4つ目は、「ありのままに」因子(独立と自分らしさの因子)。人目を気にせず、自分らしく生きていける人は、そうでない人と比べて幸福感を覚えやすい傾向があります。
「他人と自分を比べすぎず、自分軸をしっかり持って生きる人は幸せです。逆に、自分軸がぐらついていると、人と比べて『自分はダメだ』と思い込み、幸福度が低くなりがちです」。人目を気にしない人は、他人との比較によらない無形資産を大切にする傾向があるため、長続きする幸せを手に入れやすいといわれています。
引用:一般社団法人ウェルビーイング
これからは、個人のWell-beingは何か。そして、Well-being型管理者が求められています。
私自身も、企業でwell-beingコーチとして担当しています。何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。
これからの時代を生き抜くため~well-being~①
安藤です。
今回は、「これからの時代を生き抜くため~well-being~①」です。
今、話題になっているwell-beingについてお書きします。企業の在り方や個人のワークライフバランスが見直されている中、これからの時代の中心的な考え方として注目されています。また、人口減少・社会構造の変化の中で、well-beingの向上と生産性向上の好循環、多様な活躍に向けて内閣府も「満足度・生活の質に関する調査~日本のwell-beingの動向~」を提示しています。*2022年7月付けsummary22.pdf (cao.go.jp) 他、インターネット関連サービスを提供する楽天グループでは、「従業員のwell-being」に取り組んでいると公表しています。
まず、well-beingとはなにか、「ウェルビーイング(well-being)」は、健康、幸福、福祉などに直訳されます。ウェルビーイングということばが初めて登場したのは、1946年に世界保健機関(WHO)が設立されたときです。
世界保健機関憲章では、「健康とは、単に疾病がない状態ということではなく、肉体的、精神的、そして社会的に、完全に満たされた状態にある」と定義されています(”Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”)。
「健康」は、狭い意味での心身の健康のみを指すのではなく、感情として幸せを感じたり、社会的に良好な状態を維持していることなど、全てが満たされている広い意味での「健康」である、と解釈できます。
厚生労働省「雇用政策研究会報告書概要では、「ウェルビーイング」とは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。と記しています。
次に、なぜ、国、大手企業が “well-being” に取り組んでいるのか。背景として挙げられるのは、3点あります。1点は、人口減少(2017年1億2,671万人から、2040年には1億1000万人程度まで減少する見込み。2点目は、高齢化(65歳以上人口は、高齢化率も27.7%⇒35%超に上昇)。3点目は、技術革新(AI等に代表される技術革新の急速な進展により、働き方も含めた社会のあり方が変容する可能性があるといわれています。詳しことは、こちらをご覧くださいませ000532354.pdf (mhlw.go.jp)
そして、個人が「well-beingであることが、well-doing」につながる。企業にとっても、労働者が能力を発揮することで生産性につながるというこという考え方です。いわば、労働者自身が充実し、満足した状態であることが最も大事だということです。
具体的には、仕事における幸せの効果として8つ挙げられています。
① イノベーションが3倍(Shawn Achor) ②変化の適応度が45%高い(Gallup) ③営業成績が37%高い(Martin Seligman) ④生産性が21%高い(Gallup)⑤燃え尽き症候群が4倍少ない(Gallup) ⑥欠勤が41%少ない(Gallup) ⑦退職が59%低い(Gallup) ⑧不安全による事故が70%少ない(Gallup) 引用:前野隆司氏
① ~⑧が可能であれば、企業が取り組む理由として納得がいきます。
日本での取組例を挙げると、楽天グループでは、創業メンバーである小林正忠氏が、CWO(チーフ・ウェルビーイング・オフィサー)の役割を担い、カフェテリアやフィットネスなど健康を支える事業を行う「ウェルネス部」、従業員と組織のつながりを高める「エンプロイーエンゲージメント部」、情報発信などに係る「サスティナビリティ部」の3つの部署を設け、個人、組織、社会のウェルビーイングに取り組んでいます。
また持続可能なチームには、仲間・時間・空間の「三間(さんま)」に「余白」を設けることの重要性を解くなど、企業や個人へ向けて独自に行ったさまざまな研究成果を公開しています。
そこで、現在は、well-beingを計測する指標が注目を浴びています。
次回は、指標について書かせて頂きます。
私自身も、企業でwell-beingコーチとして担当しています。何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。
これからの働き方:プロティアン・キャリア
安藤です。
今回は、「これからの働き方:プロティアン・キャリア」です。
以前にも記したことがある「プロティアン・キャリア」について、改めに簡単にまとめてみました。
プロティアン・キャリアとは、1976年にボストン大学経営大学院のダグラス・ホール氏によって提唱されたキャリア理論です。具体的には、社会や経済などの変化に対応しながら、自らの働き方や能力を柔軟に変えていける『変幻自在なキャリア』を意味します。ちなみにプロティアンという言葉は、ギリシャ神話に登場する神「プロテウス」が由来です。プロテウスはときに火となり、またあるときは水や獣にもなる、変幻自在な神といわれています。
「何にでも変身できるのです。火になったり、水になったり、蛇になりたり、馬になったり、竜になったり、獅子になったり、獣にもなった。そして、人にもなった。――ギリシャ神話
従来の日本のキャリア観が見直されているなかで、「プロティアン・キャリア」は、自律型・変化対応型のキャリアモデルです。
日本の雇用環境は、2016年厚生労働省が働き方改革を促進、2018年副業元年、2021年4月施行 改正高年齢者雇用安定法「企業は70歳までの雇用確保を努力義務として求められています。しかし、政策と企業の実態には乖離があります。
一方で、トヨタ自動車他、大手企業のトップが「もはや終身雇用を続けることはできない」と公言しています。2019年4月22日には、経団連の中西宏明会長が、新卒学生の通年採用を拡大することで大学側と合意する一方、「企業は従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」と発言して大きな話題となりました。終身雇用を前提とした採用は難しい、あるいは雇用を守るために事業継続をすることはできない、という意味で、「終身雇用は守れない」ということをいっています。さらに、新型コロナウィルスパンデミックで、当たり前の日常が一瞬で変わる時代になっています。 終身雇用の限界、そして、先のみえない「人生100年時代」の到来です。
要は、プロティアン・キャリアが注目されている背景としては、3点。1点目は、終身雇用の破壊 2点目は、New Normal時代の不安 3点目は、人生100年時代の到来とうことです。そんな時代に、私たちは、企業に依存することなく、自分のキャリアの未来について、自分事として、真剣に向きあわなければならなくなりました。
「プロティアン・キャリア」の3つポイントについて、1つは、キャリアとは個人が創るものであり、組織が管理するものではない。2つ目は、キャリアには、社会的な成功も失敗もなく、仕事の報酬は、目標が達成された時に得る「心理的成功」の獲得だと意味づけていること。3つ目は、仕事には、遊びの要素が存在するため、生活との統合が可能であることといわれてます。引用:70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術
では、どう組織に所属しながら、プロティアン・キャリア」を構築していったらよいのでしょうか?
よく取り上げられてるいるのが、積み上げてきた自分の知識や経験を、所属する企業以外でも活かしてみることです。企業側のニーズとして、①インターネットを検索してもでてこない、実務的な専門的に役立つ情報・知識がほしい ②情報収集をもっと効率化したい ③意思決定のスピードアップ・質を上げたい ④新しい領域について情報を早くえたい など。が挙げられます。
それらのニーズに、長年の培ってきた能力・スキルを自分の「専門性」や「得意分野」を活かし社会貢献と自己実現を両立できる可能性があります。
何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。
3つのパラダイムシフトと成功循環モデル
安藤です。
今回は、「3つのパラダイムシフトと成功循環モデル」です。
近年、マイケル・ポーターが、CSV(Creating Shared Value)、社会との共通価値の創造)を提唱しています。CSV(Creating Shared Value「共通価値の創造」)は、
企業が社会課題や問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的な価値も創造されることを意味します。
従来、経済効果と社会的価値の創出は相いれないものだと考えられてきました。しかし、その問題に対して両者の両立、ひいてはお互いがお互いを高め合う状況を目指すのがCSVといわれています。
平均寿命100年となる時代に、すべての人が「学び、つながり、成長し続ける人生を生きる」ために、社会システム全体が転機を迎えています。
ここでは、斎藤徹著のインターネットの時代、「3つのパラダイムシフト」について紹介いたします。
テクノロジーがもたらした3つのパラダイムシフトについて、
① ゲームのルールが変わった「デジタルシフト 1995年~」 顧客の幸せを探求し、常に新しい価値を生み出す「学習する組織」
② 人々の関係性が変わった「ソーシャルシフト 2008年~」 社会の幸せを探求し、持続可能な繁栄をわかちあう「共感する組織」
③ 一人ひとりの生き方が変わった「ライフシフト 2020年~」 社員の幸せを探求し、多様な人が自走して協働する「自走する組織」
こうした社会の変化が、組織に大きな影響を与えてきています。
価値を生む源泉が、効率性から創造性にシフトしていくと、それを実現する組織についても、「お金視点」から「幸せ視点」へとシフトが変わりつつある。といわれています。
デジタルシフト | ソーシャルシフト | ライフシフト | |
---|---|---|---|
開始年 | 1995〜 | 2008〜 | 2020〜 |
変容したもの | 事業のルール (場所と情報) |
関係性 (資本とつながり) |
生き方 (多様性と包括) |
新しい価値観 | アイデアだけで 起業できる |
持続可能な繁栄を わかちあう |
多様な生き方を 受け入れる |
繁栄するカギ | 技術とスピード | 共感と信頼 | 自立と対話 |
衰退する企業 | 既得権益に多様る企業 | 強欲な企業 | 統制する企業 |
求められる組織 | 学習する組織 | 共感する組織 | 自走する組織 |
幸せの視点 | 顧客の幸せ | 社会の幸せ | 社員の幸せ |
ライフシフトでは、「自走する組織」が挙げられていますが、組織だけでなく、労働者にも「自走する人生」が求められています。
人生100年時代には、40代半ばから定年後の自身の自走人生を見据えてキャリア形成が必須となってきています。
また、幸せの視点からは、「社員の幸せ」から経営、マネジメントを考えていく時代に突入してきています。
自走する組織には、リーダーシップもシェアードリーダシップ※へ、そして、内発的動機付けをどう促進していくか、その為には「働きやすい職場づくり」をどう構築していくのか。組織にとっても必然とテーマになってきました。
※シェアードリーダーシップとは、チームに所属するメンバーが個々に影響力をもち、リーダーとしての役割を担うことをいいます。
環境が変化しやすいVUCA(ブーカ)時代においては、複数人がリーダーシップを発揮し、多様な考え方や価値観に基づいて業務を行なうことが有効とされています。
働きやすい職場づくりには、組織モデルとして、ダニエル・キムが提唱した「成功循環モデル」が挙げられます。
成功循環モデルとは、『 ①関係の質 ⇒ ②思考の質 ⇒ ③行動の質 ⇒ ④結果の質 ⇒ ⑤関係の質 』 のことです。
① 安心・安全の場で率直に話し合える場をつくり、信頼関係を築く ⇒ ② 前向きな気持ちになり、いいアイデアが生まれる
③一人ひとりが自律的に行動し、問題がおきたら助け合う ④自然にパフォーマンスが高まり、成果がでる ⑤組織への帰属意識が高まり、さらに結果が深まるです。
関係者の共感を得て、みんなで「成功循環モデル」を創っていくには、まずは、「関係の質」が基本です。
そこには、以前も何度かテーマにしていますが、「関係の質」を高めるには、「心理的に安全な場づくり」がキーとなってきます。
そして、「心理的に安全な場づくり」は、それぞれの立場・役割を超えて、人として “対話”しながら取り組むことからスタートすると思います!
参考資料:斎藤徹著「だから僕たちは、組織を変えていける」
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ポリヴェーガル理論
安藤です。
今回は、メンタルヘルスに活用できる「ポリヴェーガル理論」です。
コロナ禍での働き方の変化、高度情報化社会における職場でのテクノストレス、経済的不況によるリストラや就職難、核家族化などからくる仕事と育児の両立の難しさ、また、高齢化社会のなかでの介護疲れなど、現代社会には、ストレスがつきものです。また、「他人とうまくやらねばならない」「どう他者と関わっていったらよいかわからない」、SNS時代での「キャラ」から、本音を言えずにためこんでしまい、自分自身が調子を崩す人が増えているように感じています。私自身もストレス耐性がうまくいかなくなった時は、胃腸に異変がきます。胃カメラ検査をしても何も胃腸なし、大半は自律神経の問題です。
そこで、今回は、メンタルヘルスにも活用できる知識として、自律神経系についてお話をさせていただきます。自律神経系は体の臓器のほとんどに通っています。自律神経系は、意思的な体の動作をつかさどる体性神経系に対して、人間の意思とは関係なく生存を守る神経 系です。 主な働きとしては、①消化の抑制・促進 ②心拍の加速・減速 ③気管支の拡張・収縮 ④筋肉の緊張・弛緩です。自律神経は、交感神経と副交感神経の働きに分けられ、興奮と沈静化の役割があります。
交感神経は、心拍数、呼吸、血圧を上げます。素早い動きができるように血液を消化器官から筋肉に移します。副交感神経は、筋緊張のゆるみを促し、心拍と血圧を下げます。消化を促したり、呼吸を遅くします。血液を抹消結果に送ったり、免疫系統の機能を回復します。(参考:Levine)
ポリヴェーガル理論は、非常に学際的かつ複雑なもので、まだ解明されていない脳や神経系の働きや、その関係性も含めて捉えようとする壮大な理論です。「心」と「身体」が切り離されている存在ではなく、自律神経系を通して全体として機能していることを明快に説明しています。身体からの信号が私たちの思考や自己像、世界観に多大な影響を与えているといわれています。
「ポリヴェーガル」とは、「複数の・迷走神経」を意味し、「多重迷走神経理論」という訳語が使われています。ポージェス博士は、自律神経系の発達の進化を軸に考察し、私たちヒトの自律神経系には3つの神経枝があると論じました。その3つとは太古の魚類に備わっていたとされる、進化的に古い迷走神経である「背側迷走神経複合体」、さらに硬骨魚の時代に現れたとされる「交感神経系」、そして、哺乳類のみに見られる新しい迷走神経とされる「腹側迷走神経複合体」です。「腹側迷走神経複合体」は、豊かな表情を作ったり、声のトーンを調整して自分の気持ちを伝えたり、相手からの友好の合図を受け取ったりなどの、人と人とがおだやかにつながり、交流するために欠かせない働きを担っています。「交感神経系」は、主に活動するときに使われ、危機に瀕すると「戦うか・逃げるか」を選択します。「背側迷走神経複合体」は消化吸収や睡眠などを司っているが、生命の危機に瀕すると、「凍りつき反応」を引き起こします。「凍りつき」の状態では、思うように身体が動かなくなり、呼吸や心拍が遅くなり、いわゆる温存モードに入ります。この、戦うことも逃げることもできず、凍りついている状態にあるのがトラウマを抱える人とされています。
「腹側迷走神経複合体」が健全に機能している人は他者から非友好的な態度を取られても、社会的交流を心がけることができ、容易に交感神経系に乗っ取られて闘争・逃走反応に走ることはめったにありません。「腹側迷走神経複合体」がバランスよく働いているときは、「背側迷走神経複合体」もよく機能しているので、胃腸をはじめ、全身状態が良好です。また、脳にも十分な血流がいきわたり、明快な思考、的確な状況判断などが行えます。こうした自律神経系の働きが乱れると、臓器が調整不全に陥り、思考も乱され感情も荒廃します。
そこで、ここで神経をバランスとる簡単なエクササイズを5つご紹介しておきます。①「ぼー」「ぶー」の音を声にだす。②顔をぎゅーと集めます(表情筋を動かすので腹側迷走神経を刺激する)。③グー・パーと手を握ってほどく。④ふーっと、1~2回、口呼吸をする ④キョロキョロ 単にきょろきょろ周りをみる(腹側迷走神経が刺激され、忙しかった思考が少しストップしてくれる)。
ストレス状況から逃れられずに、メンタル不調、体調不調をたどってしまうことがあります。人間が生きていくうえで、社会的な要請に応えようとすることは必要ですが、時には息抜きをし、自分を追いつめすぎないことは大切です。ぜひ、5つのエクササイズを試してみてくださいませ。
参考資料:ステファン・W・ポージェンス/花丘ちぐさ(今ここ:神経系エクササイズ)
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女性活躍推進法
安藤です。
今回は、「女性活躍推進法」です。
「女性活躍推進法」は、女性が職場で活躍できる社会を実現するために制定された法律です。現状、対象となる企業にはいくつかの取り組みが義務化されていますが、2022年4月施行の法改正により対象企業の範囲が拡大されることになりました。
「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」とは、自らの意思で働くことを希望する女性が自身の個性・能力を十分に発揮できる社会の実現を目指して制定された法律です。 職業生活において女性が活躍しやすい環境をつくることを目的に、10年間の時限立法として2016年4月に施行されました(期限は2025年度末)。
職業生活における女性の活躍に関し、女性活躍推進法では大きく以下の3つを基本原則としています。
1. 女性に対する採用や昇進の機会を積極的に提供すること
2. 職業生活と家庭生活を両立させるために必要な環境を整備すること
3. 職業生活と家庭生活の両立は本人の意思が尊重されること
2019年5月には「改正女性活躍推進法」が成立し、2020年4月より順次施行されています。2022年4月施行の改正においては対象企業の範囲が現在よりも広がっているため、新たに対象となる企業は改正内容を確認し、施行日までに準備を進めておく必要があります。
引用:厚生労働省『女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要』
女性活躍推進法では、対象となる企業に「行動計画の策定・届出」と「女性活躍状況の情報公表」が義務付けられています。現在は常時雇用する労働者が301人以上の企業に対して義務化されていますが、2022年4月からは101人以上の企業まで対象範囲が拡大されます。また、「常時雇用する労働者」は正社員に限らず、契約社員やパート、アルバイトなども対象となるケースがあります。具体的には以下に該当する場合、正社員以外の雇用形態であっても「常時雇用する労働者」とみなされるため、注意が必要です。
① 期間の定めなく雇用されている方
② 一定の期間を定めて雇用され、過去1年以上の期間について引き続き雇用されている方または雇入れ時から1年以上引き続き雇用されていると見込まれる方
参考:厚生労働省『女性の活躍推進企業データベース〜女性活躍推進法が改正されました』
女性活躍推進法の対象企業がまず取り組む「行動計画の策定・届出」は、以下の4ステップで進めていきます。
<ステップ1>女性の活躍に関する状況把握と課題分析
まずは自社の女性労働者の活躍状況について以下4つの基礎項目(必ず把握すべき項目)から把握し、どこに課題があるのか分析します。
① 採用者に占める女性の割合(労働者に占める女性の割合でも代替可)
② 男女の平均継続勤務年数の差異
③ 月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況
④ 管理職に占める女性の割合
<ステップ2>行動計画の策定・社内周知・公表
課題に基づく1つ以上の数値目標を設定し、課題解決に向けた具体的な施策を「行動計画」としてA4用紙1枚程度で問題ありません。 行動計画には、①計画期間、②数値目標、③取り組み内容、④取り組みの実施時期を盛り込むことが必要です。策定した行動計画はすべての労働者に周知し、外部にも公表します。
<ステップ3>行動計画を策定した旨の届出
策定した行動計画は以下いずれかの方法で管轄の都道府県労働局へ提出します。
届出方法:電子申請、郵送、持参
<ステップ4>取組の実施と効果の測定
数値目標の達成状況や取組の実施状況を定期的に点検・評価します。
効果測定の結果はその後の取組や計画に反映させ、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のPDCAサイクルで回す
少子高齢化により労働人口が減少する日本において、女性をはじめあらゆる人が活躍できる社会の実現は、人手不足の解消や優秀な人材の確保につながります。今回の法改正をきっかけに、すべての人が自身の能力を十分に発揮できる職場づくりが更に必要になっていくと考えられます。
私自身が、長年ライフワークとしても取り組んでいる「女性キャリア支援」にも関連があり、2022年は、「女性活躍推進」をテーマで民間・行政の依頼が増えております。企業では、女性管理者、女性管理者候補のメンタルヘルス研修、部下が伸びるマネジメント研修、自治体では、長年管理職対象者へのキャリアデザイン研修、新しくは以前担当させていただいた「就職支援サポートセミナー」そして、コロナ禍で不安や悩みを抱えている女性を対象に就業支援、社会的自立の支援につなげる「寄り添い支援講座」を担当します。
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愚者の行進 〜組織は頭から腐る〜
◇とある経営者の寓話
原田です。
とても印象に残っているある創業経営者の話があります。かなり有名な経営者です。人伝いに聞いた話でエビデンスはないので、一つの寓話だと捉えてください。
この経営者は、会社が大きくなっても、自分の目で現場を見ることを優先していました。定期的に、全国にある自社の店舗まで赴き、お客様、働く人、売り場づくりなど、生の現場を視察していました。
しかし、視察される店舗へ、事前に幹部からこっそり指示が出ていました。そのときだけ、人の配置、レイアウト、商品陳列などを経営者の指示通り変えていました。店舗もきれいに清掃しました。普段はその通りにできないので、視察のときだけです。
経営者が視察に行くと、自分の考えが、ちゃんと現場で実行されています。従業員の愛想も良く、商品は素晴らしくディスプレイされています。お店のトイレもきれいです(普段はすごく汚かったです)。当然、経営者は毎回視察で大喜びです。多少、業績が悪くなっても、現場でこれだけのことができていれば大丈夫と思ったでしょう。
ちなみに、もうこの企業はありません。
◇取り巻きの人たちの忖度(そんたく)
幹部の人たちにしてみれば、良かれと思ってやっていたことでしょう。経営者が視察に行くから、ちゃんとやろうと。いわゆる「忖度」です。
幹部は経営者が欲している情報を提供しています。経営者のニーズを満たしています。組織は、こういう方々が出世します。
しかし、経営者は、正しく実態を把握できません。だんだん現場感覚がなくなり、おかしな意思決定(無理な拡大路線とか)をするようになります。それにあわせて幹部のかたは、さらに悪い情報を隠し、良い情報だけを届けます。
企業で不祥事があったときに、経営者がとんちかんな発言をすることがあります。これは本当に現場を知らなかったのだと思います。本気で自分の企業は素晴らしい企業で、社員も満足して働いていると思っていたのだと思います。
世界の歴史を紐解いても、悪名高い独裁者ほど、自分の国が世界一素晴らしいと本気で思っていました。
◇共犯関係
こういうことはコンサルの現場で良く経験します。客観的なデータを集めると、経営者の認識と実態が大きく離れていることがわかります。これまで経営者にとって都合のいい情報しか上がってこなかったということです。
一方的に、取り巻きの幹部が悪いということではありません。多くの場合、経営者も心の奥底では、気づいていると思います。しかし、人間は自分の信じたいことだけ信じるものです。不都合な現実よりも、刺激的なフィクション(虚構)を信じるということは、仕事だけに限りません。人の生活においてあらゆる場面で見られます。
なんか変だなと思っていても、まあいいかと思い、次の面白そうな話題へいこうと、スルーしてしまうのが人間心理です。
◇組織は頭から腐る
人は誰でも自分の立場が一番大切です。これは良い悪いではなく、人の社会的な性質です。会社が大きくなればなるほど幹部に自分の立場を守る気持ちが強くなります。逆に、会社が大きくなり自分が何をすればいいかわからなくなります。
組織のトップが、実態を知らない経営者と、役割を見失った幹部で構成されます。会社に勢いがあり、現場が頑張っているうちはまだなんとかなります。
しかし、勢いがなくなると、何もわからないトップが焦り、現場にどんどんプレッシャーがかかっていきます。業績を回復するために次々と手を打ちますが、実態にあっていないため、やがて現場は耐えられなくなります。
良い情報も悪い情報も共有できる経営者マインドの醸成が必要です。そのためには、経営がわかる人を育成し、立場(ポジション)ではなく、役割(ファンクション)を与えることが必要です。
育児・介護休業法 改正ポイントについて
安藤です。
今回は、「育児・介護休業法 改正ポイントについて」です。
2022年施行予定の「育児・介護休業法改定」に伴い、企業に柔軟な育児休業取得のための整備が必要となってきます。男女とも仕事と育児を両立できるように、産後パパ育休制度の創設や雇用環境整備、個別周知・意向確認の措置の義務化などの改正がありました。
まず、関連して「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」については、「職場」において行われる 上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・ 出産した「女性労働者」や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることです。 妊娠の状態や育児休業制度等の利用等と嫌がらせとなる行為の間に因果関係があるものがハラスメントに該当します。 なお、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動による ものはハラスメントには該当しません。 ※「制度等」とは産前休業その他の妊娠又は出産に関「育児・介護休業法」改正案が2021年6月に成立・公布され、メディアでも「“男性版産休”新設」と話題になりました。この法改正には、男性の育児休業取得率を引き上げる狙いがあるだけでなく、様々な意識変革を企業に迫っています。
育児休業制度の歩みは、「育児休業法」が1991年に成立したことで、それまで産休明け後直ちに職場復帰しなければならなかった状況から、子供が1歳になるまで育児休業が可能になりました。その後、2005年の法改正により、保育所に入れない場合は1歳6か月までの育児休業延長ができるようになり、2010年の法改正では妻(夫)が専業主婦(夫)の場合は育児休業が取得できないことを労使協定で可能とするいわゆる「専業主婦(夫)条項」が撤廃され、「パパ休暇」「パパママ育休プラス制度」が導入されました。さらに2017年の法改正で、保育所に入れない場合は2歳まで育児休業を延長できることになりました。以上のように改善が進んだ半面、管理や事務手続きの複雑さが増していきました。そして、2022年度の改正でさらに複雑なものとなり、事務負担が増えることが見込まれています。
その理由として、2017年に政府が打ち出した「働き方改革実行計画」が影響しています。参照として、「長時間労働は、健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因になっている。これに対し、長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり、労働参加率の向上に結びつく。」( 平成29年3月28日働き方改革実現会議決定 「働き方改革実行計画」より)。政府は新しい少子化対策の柱として働き方改革に関する法整備を行い、「働き方改革」との関係で、育児・介護休業法が改正されました。
男性の育休取得状況として、日本の出生率は2019年度が1.36、政府目標の1.8です。そこで、育児・介護休業法を改正し男性の育児参加を促すことで、出産しても女性が社会で活躍できる環境づくりを進め、その先にある出生率の向上を目指すことにしたのです。
そこで気になるのが男性の育休取得率です。2019年度は7.48%、2020年度は12.65%と伸びていますが、コロナ禍によるテレワークなど在宅時間の増加に伴い育休取得者が増えたという要因が考えられます。ちなみに、女性の育休取得率は2019年度で83%と大きく乖離しています。
男性の育休取得が低水準の理由は「仕事を休めない」「収入が減少する」「取得しにくい雰囲気がある」などが大半です。今回の法改正では、こうした事情を解決することを目的としています。
改正「育児・介護休業法」5つのポイントは、下記のとおりです。育児・介護休業法 改正については、令和4年4月1日から3段階で施行予定です。
(1)雇用環境整備、個別の周知・取得意向確認の義務化(2022年4月1日施行)
(2)有期雇用労働者の取得要件緩和(2022年4月1日施行)
(3)出生時育児休業制度(通称、産後パパ育休)の創設(2022年10月1日施行)
(4)育児休業の分割取得(2022年10月1日施行)
(5)育児休業取得状況の公表義務化(2023年4月1日施行)
詳しいことはこちらをご覧くださいませ。
厚生労働省サイト
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf
上記の(1)~(4)は、全企業が対象になりますので、ぜひ、一読されておくことをお奨めいたします。
何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。
離職率は経営者の通信簿
早嶋です。
日本企業の平均的な離職率は14%から16%(令和2年雇用動向調査・厚生労働省)で直近推移しています。規模によれば100人から300人が最も高く、年代でいうと25歳以下、つまり入社して3年から5年の離職率が高いです。
結論を先に言えば、自社の離職率と年代ごとの離職率が平均よりも高い企業は経営者の通信簿が下がっていることを意味します。小手先のテクニックでジョブ型だとか教育だといっても、経営者がそこに課題感を持って数年かけて取り組まなければ、結果的に労働環境が悪化してパフォーマンスが下がり、場合によっては淘汰されるのです。
では、世の中の離職率で人数別に見ていきます。
1,000人以上 14%
300〜999人 13.3%
100〜299人 17.4%
30〜99人 14.7%
5〜29人 13.6%
上記直近の規模による離職率ですが100人から300人規模の会社が離職率が(17%台)高くなっています。過去10年で見てもこの規模は15%から21%で推移しています。中小企業やベンチャーの離職率が高いという声はありますが、ベンチャーの定義は統計では難しく、人数が少ない会社は離職が少ない。というのは上記からも傾向はわかります。
男性の離職率(平均) 12.8%
女性の離職率(平均) 15.9%
属性で見た場合、性別での離職率も差が顕著です。年齢別に見ると当然の理由がわかります。男性では、24歳以下の離職率が高く33%以上で、59歳以下で概ね同じ離職率。その間は離職率は1桁になっています。女性でも同じ傾向ですが、25歳から34歳で男性よりも離職率が高まります。
性別の違いは、パート・バイトという雇用形態が一般労働者よりも高いこと、結婚を機会に離職することで説明がつくでしょう。59歳以上の離職は定年等の離職、24歳以下の離職ははじめての仕事の環境になれずに他の選択肢を選んでいるということが言えると思います。
離職率の問題を平均的に対処するためには、1)24歳以下の離職をへらす、2)寿退社の対策を考える、3)定年にフォーカスするの3つがあります。ただ、3)に関してはそれよりも上位の戦略に紐づくでしょうからここでは検討しないことにしましょう。2)に関しては、本人が好きで仕事をしていても制度が整わず、離職を選択せざるを得ない場合は検討の余地が十分にありますね。
様々な離職に関するレポートを読むと、離職の理由は、人事評価、人材育成、業務量と労働時間、社員のエンゲージメントなどが上がっています。これらは、「やりがい・達成感がない」「労働条件やワークライフバランスへの不満」「社内の風通し・人間関係がギクシャクしている」などに代表される課題でしょう。
10数年ざまざまな業種や企業規模で仕事をさせて頂いて感想として、評価基準が曖昧な会社は若手の離職率が平均よりも随分と高い傾向にあります。その手の会社は、評価者や2次評価者も人事のトレーニングを受けることなく、社員を感覚や感情で評価しています。そして、そのこと自体を経営チームや人事チームがペイントして考えていません。夢を持って入社した若手が転職するのは当然です。
当然、上記のような企業は新入社員研修程度はありますが、その後の入社3年目の教育、7年目の節目教育などはありません。また、キャリア面談や会社のビジョンに即した異動の説明などなく、未だに「人事異動は突然やってくる」と昭和の文化を良しとしています。最悪です。異動をともなく業界や企業でも離職率が低い企業は、企業の戦略を定期的に社員に示し、評価者は社員のキャリアビジョンを共有しながらも、そのポジションに付くためには「こんな経験を積んでいくのはどうか?」などとコミュニケーションを取りながら人事異動の理由を明確にしています。納得するか説得するか、説明が無いか。考えなくても、その積み重ねが離職が高い理由なのです。
業務量や労働時間が長い。一時的に人で不足で業務量が増え、労働時間が長引くのは仕方の無いことですが、それが慢性化していることによる離職は経営者の問題です。それでいて給与や待遇が変わらず、将来のビジョンも見えないのですから社員としては離職、転職意外に選択肢は無いでしょう。業務量が多く、労働時間が長くとも、その意義を感じ、それなりの対価を得ている人は辛いでしょうが継続できるのです。
社員のエンゲージメント。いわゆる社風や雰囲気です。トレーニングやコンサルで様々な会社にいくことがありますが、これは空気感のようなモノを感じてすぐに、離職率が浮かびます。エンゲージメントが高い会社は、清潔で、社員とすれ違っても目が生きていて挨拶が普通に飛び交います。が、低い会社は社内がどよんとして、挨拶などは皆無です。掲示板の乱れがあり、植物は枯れている、来客がいても誰も知らんぷり。規模の大小関係なくこの傾向はあると思います。
当然に、会社はビジョンがなく、淡々と過去の仕事を繰り返し、業績が低迷して利益が下がるので、人件費にメスを入れてその場を凌ぐ。結果、従業員に負荷がかかってしまい離職が増えるのです。
とこう考えた場合、私の結論は、離職率が平均よりも高い企業は、そもそも小手先のテクニックで改善したとて戻らない。それよりも、その環境で数年耐えて、違うかな?と気がついて行動が起こせた社員は、もっとまともな会社にいって活躍するとよいのです。残念ながら、企業の数が多すぎるのです。企業にも新陳代謝が必要です。日本の人口が伸びて、皆が成功する時代は終わりました。ですから企業も努力をして、経営者も社員も必死に頑張っている企業は残り、それ以外の企業は退場する。それが自然なルールだと思うのです。その結果、マクロで見た経済は活性化するでしょう。
何らかの理由で仕事が出来ない人は、経済全体が回っていれば、税金によって互いに助け合うことができる。それがまっとうな社会なのかな。と思います。
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