安藤です。
今回は、「女性活躍推進法」です。
「女性活躍推進法」は、女性が職場で活躍できる社会を実現するために制定された法律です。現状、対象となる企業にはいくつかの取り組みが義務化されていますが、2022年4月施行の法改正により対象企業の範囲が拡大されることになりました。
「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」とは、自らの意思で働くことを希望する女性が自身の個性・能力を十分に発揮できる社会の実現を目指して制定された法律です。 職業生活において女性が活躍しやすい環境をつくることを目的に、10年間の時限立法として2016年4月に施行されました(期限は2025年度末)。
職業生活における女性の活躍に関し、女性活躍推進法では大きく以下の3つを基本原則としています。
1. 女性に対する採用や昇進の機会を積極的に提供すること
2. 職業生活と家庭生活を両立させるために必要な環境を整備すること
3. 職業生活と家庭生活の両立は本人の意思が尊重されること
2019年5月には「改正女性活躍推進法」が成立し、2020年4月より順次施行されています。2022年4月施行の改正においては対象企業の範囲が現在よりも広がっているため、新たに対象となる企業は改正内容を確認し、施行日までに準備を進めておく必要があります。
引用:厚生労働省『女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要』
女性活躍推進法では、対象となる企業に「行動計画の策定・届出」と「女性活躍状況の情報公表」が義務付けられています。現在は常時雇用する労働者が301人以上の企業に対して義務化されていますが、2022年4月からは101人以上の企業まで対象範囲が拡大されます。また、「常時雇用する労働者」は正社員に限らず、契約社員やパート、アルバイトなども対象となるケースがあります。具体的には以下に該当する場合、正社員以外の雇用形態であっても「常時雇用する労働者」とみなされるため、注意が必要です。
① 期間の定めなく雇用されている方
② 一定の期間を定めて雇用され、過去1年以上の期間について引き続き雇用されている方または雇入れ時から1年以上引き続き雇用されていると見込まれる方
参考:厚生労働省『女性の活躍推進企業データベース〜女性活躍推進法が改正されました』
女性活躍推進法の対象企業がまず取り組む「行動計画の策定・届出」は、以下の4ステップで進めていきます。
<ステップ1>女性の活躍に関する状況把握と課題分析
まずは自社の女性労働者の活躍状況について以下4つの基礎項目(必ず把握すべき項目)から把握し、どこに課題があるのか分析します。
① 採用者に占める女性の割合(労働者に占める女性の割合でも代替可)
② 男女の平均継続勤務年数の差異
③ 月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況
④ 管理職に占める女性の割合
<ステップ2>行動計画の策定・社内周知・公表
課題に基づく1つ以上の数値目標を設定し、課題解決に向けた具体的な施策を「行動計画」としてA4用紙1枚程度で問題ありません。 行動計画には、①計画期間、②数値目標、③取り組み内容、④取り組みの実施時期を盛り込むことが必要です。策定した行動計画はすべての労働者に周知し、外部にも公表します。
<ステップ3>行動計画を策定した旨の届出
策定した行動計画は以下いずれかの方法で管轄の都道府県労働局へ提出します。
届出方法:電子申請、郵送、持参
<ステップ4>取組の実施と効果の測定
数値目標の達成状況や取組の実施状況を定期的に点検・評価します。
効果測定の結果はその後の取組や計画に反映させ、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のPDCAサイクルで回す
少子高齢化により労働人口が減少する日本において、女性をはじめあらゆる人が活躍できる社会の実現は、人手不足の解消や優秀な人材の確保につながります。今回の法改正をきっかけに、すべての人が自身の能力を十分に発揮できる職場づくりが更に必要になっていくと考えられます。
私自身が、長年ライフワークとしても取り組んでいる「女性キャリア支援」にも関連があり、2022年は、「女性活躍推進」をテーマで民間・行政の依頼が増えております。企業では、女性管理者、女性管理者候補のメンタルヘルス研修、部下が伸びるマネジメント研修、自治体では、長年管理職対象者へのキャリアデザイン研修、新しくは以前担当させていただいた「就職支援サポートセミナー」そして、コロナ禍で不安や悩みを抱えている女性を対象に就業支援、社会的自立の支援につなげる「寄り添い支援講座」を担当します。
何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。
‘組織人事’ カテゴリーのアーカイブ
女性活躍推進法
愚者の行進 〜組織は頭から腐る〜
◇とある経営者の寓話
原田です。
とても印象に残っているある創業経営者の話があります。かなり有名な経営者です。人伝いに聞いた話でエビデンスはないので、一つの寓話だと捉えてください。
この経営者は、会社が大きくなっても、自分の目で現場を見ることを優先していました。定期的に、全国にある自社の店舗まで赴き、お客様、働く人、売り場づくりなど、生の現場を視察していました。
しかし、視察される店舗へ、事前に幹部からこっそり指示が出ていました。そのときだけ、人の配置、レイアウト、商品陳列などを経営者の指示通り変えていました。店舗もきれいに清掃しました。普段はその通りにできないので、視察のときだけです。
経営者が視察に行くと、自分の考えが、ちゃんと現場で実行されています。従業員の愛想も良く、商品は素晴らしくディスプレイされています。お店のトイレもきれいです(普段はすごく汚かったです)。当然、経営者は毎回視察で大喜びです。多少、業績が悪くなっても、現場でこれだけのことができていれば大丈夫と思ったでしょう。
ちなみに、もうこの企業はありません。
◇取り巻きの人たちの忖度(そんたく)
幹部の人たちにしてみれば、良かれと思ってやっていたことでしょう。経営者が視察に行くから、ちゃんとやろうと。いわゆる「忖度」です。
幹部は経営者が欲している情報を提供しています。経営者のニーズを満たしています。組織は、こういう方々が出世します。
しかし、経営者は、正しく実態を把握できません。だんだん現場感覚がなくなり、おかしな意思決定(無理な拡大路線とか)をするようになります。それにあわせて幹部のかたは、さらに悪い情報を隠し、良い情報だけを届けます。
企業で不祥事があったときに、経営者がとんちかんな発言をすることがあります。これは本当に現場を知らなかったのだと思います。本気で自分の企業は素晴らしい企業で、社員も満足して働いていると思っていたのだと思います。
世界の歴史を紐解いても、悪名高い独裁者ほど、自分の国が世界一素晴らしいと本気で思っていました。
◇共犯関係
こういうことはコンサルの現場で良く経験します。客観的なデータを集めると、経営者の認識と実態が大きく離れていることがわかります。これまで経営者にとって都合のいい情報しか上がってこなかったということです。
一方的に、取り巻きの幹部が悪いということではありません。多くの場合、経営者も心の奥底では、気づいていると思います。しかし、人間は自分の信じたいことだけ信じるものです。不都合な現実よりも、刺激的なフィクション(虚構)を信じるということは、仕事だけに限りません。人の生活においてあらゆる場面で見られます。
なんか変だなと思っていても、まあいいかと思い、次の面白そうな話題へいこうと、スルーしてしまうのが人間心理です。
◇組織は頭から腐る
人は誰でも自分の立場が一番大切です。これは良い悪いではなく、人の社会的な性質です。会社が大きくなればなるほど幹部に自分の立場を守る気持ちが強くなります。逆に、会社が大きくなり自分が何をすればいいかわからなくなります。
組織のトップが、実態を知らない経営者と、役割を見失った幹部で構成されます。会社に勢いがあり、現場が頑張っているうちはまだなんとかなります。
しかし、勢いがなくなると、何もわからないトップが焦り、現場にどんどんプレッシャーがかかっていきます。業績を回復するために次々と手を打ちますが、実態にあっていないため、やがて現場は耐えられなくなります。
良い情報も悪い情報も共有できる経営者マインドの醸成が必要です。そのためには、経営がわかる人を育成し、立場(ポジション)ではなく、役割(ファンクション)を与えることが必要です。
育児・介護休業法 改正ポイントについて
安藤です。
今回は、「育児・介護休業法 改正ポイントについて」です。
2022年施行予定の「育児・介護休業法改定」に伴い、企業に柔軟な育児休業取得のための整備が必要となってきます。男女とも仕事と育児を両立できるように、産後パパ育休制度の創設や雇用環境整備、個別周知・意向確認の措置の義務化などの改正がありました。
まず、関連して「職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」については、「職場」において行われる 上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・ 出産した「女性労働者」や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることです。 妊娠の状態や育児休業制度等の利用等と嫌がらせとなる行為の間に因果関係があるものがハラスメントに該当します。 なお、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動による ものはハラスメントには該当しません。 ※「制度等」とは産前休業その他の妊娠又は出産に関「育児・介護休業法」改正案が2021年6月に成立・公布され、メディアでも「“男性版産休”新設」と話題になりました。この法改正には、男性の育児休業取得率を引き上げる狙いがあるだけでなく、様々な意識変革を企業に迫っています。
育児休業制度の歩みは、「育児休業法」が1991年に成立したことで、それまで産休明け後直ちに職場復帰しなければならなかった状況から、子供が1歳になるまで育児休業が可能になりました。その後、2005年の法改正により、保育所に入れない場合は1歳6か月までの育児休業延長ができるようになり、2010年の法改正では妻(夫)が専業主婦(夫)の場合は育児休業が取得できないことを労使協定で可能とするいわゆる「専業主婦(夫)条項」が撤廃され、「パパ休暇」「パパママ育休プラス制度」が導入されました。さらに2017年の法改正で、保育所に入れない場合は2歳まで育児休業を延長できることになりました。以上のように改善が進んだ半面、管理や事務手続きの複雑さが増していきました。そして、2022年度の改正でさらに複雑なものとなり、事務負担が増えることが見込まれています。
その理由として、2017年に政府が打ち出した「働き方改革実行計画」が影響しています。参照として、「長時間労働は、健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因になっている。これに対し、長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり、労働参加率の向上に結びつく。」( 平成29年3月28日働き方改革実現会議決定 「働き方改革実行計画」より)。政府は新しい少子化対策の柱として働き方改革に関する法整備を行い、「働き方改革」との関係で、育児・介護休業法が改正されました。
男性の育休取得状況として、日本の出生率は2019年度が1.36、政府目標の1.8です。そこで、育児・介護休業法を改正し男性の育児参加を促すことで、出産しても女性が社会で活躍できる環境づくりを進め、その先にある出生率の向上を目指すことにしたのです。
そこで気になるのが男性の育休取得率です。2019年度は7.48%、2020年度は12.65%と伸びていますが、コロナ禍によるテレワークなど在宅時間の増加に伴い育休取得者が増えたという要因が考えられます。ちなみに、女性の育休取得率は2019年度で83%と大きく乖離しています。
男性の育休取得が低水準の理由は「仕事を休めない」「収入が減少する」「取得しにくい雰囲気がある」などが大半です。今回の法改正では、こうした事情を解決することを目的としています。
改正「育児・介護休業法」5つのポイントは、下記のとおりです。育児・介護休業法 改正については、令和4年4月1日から3段階で施行予定です。
(1)雇用環境整備、個別の周知・取得意向確認の義務化(2022年4月1日施行)
(2)有期雇用労働者の取得要件緩和(2022年4月1日施行)
(3)出生時育児休業制度(通称、産後パパ育休)の創設(2022年10月1日施行)
(4)育児休業の分割取得(2022年10月1日施行)
(5)育児休業取得状況の公表義務化(2023年4月1日施行)
詳しいことはこちらをご覧くださいませ。
厚生労働省サイト
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf
上記の(1)~(4)は、全企業が対象になりますので、ぜひ、一読されておくことをお奨めいたします。
何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。
離職率は経営者の通信簿
早嶋です。
日本企業の平均的な離職率は14%から16%(令和2年雇用動向調査・厚生労働省)で直近推移しています。規模によれば100人から300人が最も高く、年代でいうと25歳以下、つまり入社して3年から5年の離職率が高いです。
結論を先に言えば、自社の離職率と年代ごとの離職率が平均よりも高い企業は経営者の通信簿が下がっていることを意味します。小手先のテクニックでジョブ型だとか教育だといっても、経営者がそこに課題感を持って数年かけて取り組まなければ、結果的に労働環境が悪化してパフォーマンスが下がり、場合によっては淘汰されるのです。
では、世の中の離職率で人数別に見ていきます。
1,000人以上 14%
300〜999人 13.3%
100〜299人 17.4%
30〜99人 14.7%
5〜29人 13.6%
上記直近の規模による離職率ですが100人から300人規模の会社が離職率が(17%台)高くなっています。過去10年で見てもこの規模は15%から21%で推移しています。中小企業やベンチャーの離職率が高いという声はありますが、ベンチャーの定義は統計では難しく、人数が少ない会社は離職が少ない。というのは上記からも傾向はわかります。
男性の離職率(平均) 12.8%
女性の離職率(平均) 15.9%
属性で見た場合、性別での離職率も差が顕著です。年齢別に見ると当然の理由がわかります。男性では、24歳以下の離職率が高く33%以上で、59歳以下で概ね同じ離職率。その間は離職率は1桁になっています。女性でも同じ傾向ですが、25歳から34歳で男性よりも離職率が高まります。
性別の違いは、パート・バイトという雇用形態が一般労働者よりも高いこと、結婚を機会に離職することで説明がつくでしょう。59歳以上の離職は定年等の離職、24歳以下の離職ははじめての仕事の環境になれずに他の選択肢を選んでいるということが言えると思います。
離職率の問題を平均的に対処するためには、1)24歳以下の離職をへらす、2)寿退社の対策を考える、3)定年にフォーカスするの3つがあります。ただ、3)に関してはそれよりも上位の戦略に紐づくでしょうからここでは検討しないことにしましょう。2)に関しては、本人が好きで仕事をしていても制度が整わず、離職を選択せざるを得ない場合は検討の余地が十分にありますね。
様々な離職に関するレポートを読むと、離職の理由は、人事評価、人材育成、業務量と労働時間、社員のエンゲージメントなどが上がっています。これらは、「やりがい・達成感がない」「労働条件やワークライフバランスへの不満」「社内の風通し・人間関係がギクシャクしている」などに代表される課題でしょう。
10数年ざまざまな業種や企業規模で仕事をさせて頂いて感想として、評価基準が曖昧な会社は若手の離職率が平均よりも随分と高い傾向にあります。その手の会社は、評価者や2次評価者も人事のトレーニングを受けることなく、社員を感覚や感情で評価しています。そして、そのこと自体を経営チームや人事チームがペイントして考えていません。夢を持って入社した若手が転職するのは当然です。
当然、上記のような企業は新入社員研修程度はありますが、その後の入社3年目の教育、7年目の節目教育などはありません。また、キャリア面談や会社のビジョンに即した異動の説明などなく、未だに「人事異動は突然やってくる」と昭和の文化を良しとしています。最悪です。異動をともなく業界や企業でも離職率が低い企業は、企業の戦略を定期的に社員に示し、評価者は社員のキャリアビジョンを共有しながらも、そのポジションに付くためには「こんな経験を積んでいくのはどうか?」などとコミュニケーションを取りながら人事異動の理由を明確にしています。納得するか説得するか、説明が無いか。考えなくても、その積み重ねが離職が高い理由なのです。
業務量や労働時間が長い。一時的に人で不足で業務量が増え、労働時間が長引くのは仕方の無いことですが、それが慢性化していることによる離職は経営者の問題です。それでいて給与や待遇が変わらず、将来のビジョンも見えないのですから社員としては離職、転職意外に選択肢は無いでしょう。業務量が多く、労働時間が長くとも、その意義を感じ、それなりの対価を得ている人は辛いでしょうが継続できるのです。
社員のエンゲージメント。いわゆる社風や雰囲気です。トレーニングやコンサルで様々な会社にいくことがありますが、これは空気感のようなモノを感じてすぐに、離職率が浮かびます。エンゲージメントが高い会社は、清潔で、社員とすれ違っても目が生きていて挨拶が普通に飛び交います。が、低い会社は社内がどよんとして、挨拶などは皆無です。掲示板の乱れがあり、植物は枯れている、来客がいても誰も知らんぷり。規模の大小関係なくこの傾向はあると思います。
当然に、会社はビジョンがなく、淡々と過去の仕事を繰り返し、業績が低迷して利益が下がるので、人件費にメスを入れてその場を凌ぐ。結果、従業員に負荷がかかってしまい離職が増えるのです。
とこう考えた場合、私の結論は、離職率が平均よりも高い企業は、そもそも小手先のテクニックで改善したとて戻らない。それよりも、その環境で数年耐えて、違うかな?と気がついて行動が起こせた社員は、もっとまともな会社にいって活躍するとよいのです。残念ながら、企業の数が多すぎるのです。企業にも新陳代謝が必要です。日本の人口が伸びて、皆が成功する時代は終わりました。ですから企業も努力をして、経営者も社員も必死に頑張っている企業は残り、それ以外の企業は退場する。それが自然なルールだと思うのです。その結果、マクロで見た経済は活性化するでしょう。
何らかの理由で仕事が出来ない人は、経済全体が回っていれば、税金によって互いに助け合うことができる。それがまっとうな社会なのかな。と思います。
階層をなくして見よう!
早嶋です。
DXもしかり、イノベーションもしかり、新規事業も然り。実現すると同時に今の組織をリセットすることも始めないといけない。
組織は考えて見れば、遅効的に完成されます。組織作りは3年、5年、10年と時間がかかりますので、今の組織の形態で将来に向けて新しいことを取り組むとかならずギャップがでる。これは考えて見ると当然のことなのです。今の組織は過去3年、5年、10年頃前に理想とされていた組織の形態で、確実にそれは時代遅れになっています。
10年以上前は組織におけるコミュニケーションコストやデータを蓄積するコストは高く、コンピューターを活用してコミュニケーションやsh組み作りはまだまだ今のように柔軟ではありませでした。そのため組織の間にマネジメントを噛まして指示と命令と行動のフィードバックと教育に関して担う役割はありました。
しかし徐々に人を介して行う仕事がコンピューターを活用することで、これまで1人で7名程度しか把握できなかった従業員の状況をその数倍から10倍程度は楽に管理ができるようになります。そして仕事のスタイルも従来のように蓄積した知識と経験を活用してじっくり取り組む業務が減り、新たな取組をしながら都度学習してキャッチアップするような業務も増えてきました。
このような業務をこなす中、10年前の組織のように、部長がいて課長がいて係長がいてリーダーがいて担当がいるという複雑多重なヒエラルキーはどう見ても機能しません。部長がアップデートできない人種であれば、課長も係長も現場の担当が抱えるトラブルや方向性に対しての理解は不可能でしょう。それでも多重構造のヒエラルキーを重視するのは部長や課長のエゴであり、実際は自分もそのエゴを理解しているけど、自分の存在価値がなくなれば給与やポジションも無くなってしまうと理解していると思います。
現在のような不確定な仕事をする場合、リーダーと担当者のフラットな関係で十分です。そして、プロジェクトが終われば、そのチームは解散して、必要に応じてまた集まればよいのですから。そう考えると、役割が高いか低いかは関係なく、そのプロジェクトに応じて能力が適切か否かでチームを結成すると良いと思います。すると結果的に社内か社外かの人材は関係なくなります。
ひところ昔と比較して、自由に個々人がつながりここにコミュニケーションを取れるよになってきたので、皆がプロとして働くことで社員とかそうではないとかの枠組み自体が不要になるのです。
本部は現場に権限移譲しよう(店舗事業4)
早嶋です。
30店舗以上ある店舗は、店舗で得たデータを本部で一括集計し、そのデータベース(DB)を活用し、顧客の傾向や動向を分析して販売活動や購買後の体験を高める取組を行います。一方で、うまく活用している企業は、店舗に対してもDBを活用した販促や顧客とのコミュニケーションに裁量を与えています。
例えば、DBを活用して顧客にフォローを行う場合、DX化が進んでいる企業は集客やフォローを本部が集約して行う場合があります。いわゆるインサイドセールスなどの部隊です。本部は、現場が送付したDMやWebなどからの資料請求からのフォローを引き継ぎ、統合して後いをします。その際は試行錯誤の連続で、常に複数のKGIとKPIを設定しながらチューニングを行います。
特に初めて部隊を立ち上げた際は、何が正解かは誰もわかりませんし、ある程度の失敗を繰り返さなければ適切な手法は見いだせないでしょう。伝統的な組織のマインドのまま行っている企業はここにハードルを感じます。失敗を過度に恐れて実験が出来ないのです。一方で、はじめからDXをベースに取り組んでいる近年のスタートアップは失敗を恐れることをせずに、どんどん検証を繰り返すながら精度を高めていきます。その際は、本部だけではなく、現場でも顧客に対して自由にメッセージを送付し一緒い実験します。そしてその結果や経過を本部と連携することで、顧客のフォローと体験を高める精度をあげていくのです。
これらの行動に終わりはありません。そして徐々に現場のノウハウを本部が吸収しながら、どのような状況で、どのような顧客に、どのようなタイミングで、どのような媒体を活用して、どのようなメッセージを遅ればよいのかを体系化していきます。
この取組を頭でっかちに本部手動で、現場を度外視して行えば、結果的に精度は悪いままで、顧客に良い体験を提供できるどころか、現場との軋轢が大きくなり無駄なDX投資で結果がでることが無いのです。本部は、DX化を推進する場合は適宜現場との関係を深め協力をもとめ行うほうが良いのです。
新規事業でキャッシュフローを創出するマインドセット
早嶋です。
アイデアは何かと何かの組み合わせで、いきなり0から生まれることは少ない。また、新しいアイデアは基本的にうまくいかなく、はじめは皆に受け入れられることが少ない。そのため小さく始めて試してみることが重用だとされる。
上記は、大きな組織から小さな組織のトップになっている人にとっては当たり前すぎるくらいここ20年位、様々な経営書や雑誌や記事で語られています。しかし、いざそれを自分たちの部隊で行おうとするとできません。そこで基本的に、上記のような環境を作らなければならないというマネジメントは簡単なフレームワークを構築することが求められます。
ここでいうフレームワークは、あくまでも従来の既存事業の延長でのキャッシュフローの創出ではなく数年先のキャッシュフローの創出を目的にする場合です。そのためにマネジメントが行うべき手法は3つです。環境を創ること。参加を促すこと。そして真摯に対応することです。
(環境を創ること)
将来のキャッシュフローの創出には、従来の既存事業での当たり前をすべて逆転することが大切です。失敗やわからないことが基本で、それぞれが独立して成果を出す発想から、相互依存しながら少しづつカタチを創っていく。間違っても失敗しても、小さな成功を収めても、それらの因果を確認して将来につなげるための率直な意見交換が役割に関係なく必要です。
そのために最も重用なことは将来のキャッシュフローの創出の意義です。つまり新規事業を創出する目的は既存の事業を行っているプレイヤーにも一様に理解させる必要があります。新規を創出するプレイヤーはなかなか成功しないことに苦しみます。既存のプレイヤーは失敗を繰り返すプレイヤーを見て予算の無駄遣いだと嘆きます。しかし、そこには大義があり明確な目的が有ることを都度理解させながら将来の期待と今の行動の意義を養生することが求められると思います。
(参加を促すこと)
従来のマネジメントは自分のネガティブな面を見せることを避けていたと思います。既存の仕事は、ある程度計画してそのとおりに結果を示すことができました。そのため計画遅延や何らかの失敗があれば、それを取り返すべく必死に挽回させたと思います。時にはそれを隠したくなることもあったでしょう。
しかし新しい取り組みは、不要です。完璧ではないことを常に認め、不備がどこにあり、どこが脆弱化を常に明らかにして認めることが大切です。隠すなどは論外です。これはマネジメントだけではなく、一緒にチームで動く仲間に対しても同じマインドセットを提供しなければなりません。新規のチームであったとしても、過去は既存の仕事を繰り返す中で評価を得ています。自分がうまくいかない経験にもがき、苦しみ、そして隠したくなるというルーティンに陥るからです。
そのためにはマネジメントは良いことも悪いことも傾聴することが大切です。決して声を荒げたり、罵声したり、責任を押し付けたりしてはいけません。当然ながら部下はマネジメントの感情や行動をつぶさに観察していますので、そのような態度が少しでも見え隠れし始めたら、現場のことや進捗状況に対して、恐ろしくて本当のことを話せなくなるからです。
また、時には関係していないと思われている部隊への情報も意図的に集めることが大切です。新しい仕事のバリューチェーン(価値を創出する一連の流れ)自体が確立されていないから、様々な部隊の関わりに中止する必要があります。そのため意見を集めるためのフォーラムや自由な会議を定期的に利用して集めることが求められます。まさに、自由に発言ができ、皆が発言しているから、自分も発言しようとする雰囲気の養生が鍵になると思います。
(真摯な対応)
うまくいかない、そこに対して皆で議論をする。自分が掌握していない部隊の声にも耳を傾ける。書くのは簡単ですが、実際に行うのは大変です。将来に向けて新たな方法でキャッシュフローを創出する役割があるマネジメントであれ、半年、3ヶ月で何らかの評価をくだされるので当人もプレッシャーです。その中で失敗の話やうまくいかない話に耳を傾けなければならないのです。タフな仕事です。しかし、これがまず持って重用な態度になることを忘れてはいけません。
繰り返しですが失敗を恥じる文化を変える必要があるからです。従来の既存事業の延長とは全く概念が異なる取り組みを行うからです。常に過去ではなく、みらいに目を向けます。どんな些細なことにも耳を傾け、自分でできない場合はチームや外部の支援を得られる体制を構築します。そのためには他のグループとの日頃の関係構築なども非常に重用です。知らない奴の助けをするできた仲間はあまりいません。
ただ、将来のキャッシュフローを急ぐために法令に反すること、ガバナンスに反すること、明らかな違反に関しては、寛容にするのではなく明確な制裁措置が必要です。ただ、自分たちの中で大義名分を示し、自分たちの文化を示し、自分たちが絶対に行ってはいけないことは行動をする前から明文化して定期的にその意味を理解させる取り組みは必要です。
新しいことへの挑戦と取り組みは、結局その組織とマネジメントの絶え間ない探究心の追求うと絶え間ない学問の取り組みに近い活動になると思います。既存の過去身につけた知識や経験を生かしてなんとか仕事の成果を出そうと思う人がいたら、その時点でアウトです。
上記を読んで、新たなキャッシュフローの創出に対してワクワクした人は、今すぐ手を上げて新規創造の部隊に異動ください。もし、それを拒まれるのであれば、一生そのような活動はできないでしょう。組織を見直して、合理的に自分の活路が見いだせる組織に転職することを考えても良いでしょう。あなたのようなマインドの持ち主はどのような組織に行っても評価されるからです。
再教育の必要性
早嶋です。
(なぜ、リスキングやリカレント教育)
リカレント教育という言葉が紙面やニュースに出るようになり、最近はリスキングといワードも目にするようになりました。リカレント教育は、キャリアを中断して大学などに入り直して自分のスキルや能力を向上することを指しますが、リスキングは仕事を継続しながらスキルを継続的に高めていく概念を指しています。
近年、学び直しが話題になる社会的な背景はデジタルトランスフォーメーション(DX)の影響でしょう。2020年1月の世界経済フォーラム(WEF)では人工知能等の技術革新と普及による第4次産業革命への対応策として仕事をしながら能力をアップデートする重要性が提言されました。その追い風のように一連のcpvit-19。これまでテレワークなどに対して及び腰だった企業はその必要性に迫まれ、社内のIT脆弱性を再認識している昨今でしょう。
日本の教育は、早い人はお受験が幼稚園からはじまりますが、多くは親心で、良い幼稚園に行けばストレートで大学までと、微妙な勘違いがきっかけになっています。そして中学校や高校の受験が続き、メインディッシュは大学受験です。そのためか大学になった当人は、何らかのプレッシャーから開放されて、自ら進んで学習することを忘れ、一番需要な時期に骨抜き状態になり遊び呆ける始末。そして就活という踊らされた言葉にのっかり、就職することをゴールにこれまた必死に活動を続けます。
そして社会に出ると、日本企業の多くは新入社員教育から入社3年目、5年目教育などと企業が力を入れているOFF-JTと現場で実務をこなしながら仕事の内容を覚えていくOJTを習熟に、本来最も大切な自分から将来のキャリアをイメージして学ぶ自己啓発がほとんどなされなくなります。なんのためにじっとこらえて受験勉強を続けているのでしょうね。
日本は国内総生産(GDP)に対する企業の人材育成投資の比率が主要国では最低です。入社時が浅いときは社員教育に熱心なのですが、肝心なキャリアを積む過程での教育制度は大手企業でも微妙と言わざるを得ない状況です。それも、日本企業の多くが伝統的に入社して、その人の能力を見極めた後に、役割を与えるという仕組みが背景にあると思います。欧米では、先に仕事や役割が有るため、その基準があれば年齢関係なく仕事とポストを与えられます。そのため必然的にその役割に就くために自分から積極的に啓発するしかないのです。
高度成長期のように、一つの技術を習得して10年単位で食える時代は良かったのでしょうが、今のように、技術のサイクルが目まぐるしく変化するときは、ベテランこそ常に技術をアップデートし続ける必要があるのです。そこにDXの波というのがリカレント教育やリスキングなどの教育関連の言葉が闊歩して言る背景にあるのでしょうね。
(各国の状況)
主用な大手企業は国内外を問わずリスキングに投資しています。covit-19があけて次の時代が来るタイミングで特にデジタル関連の人材を大量に保有したいと考えているのです。日本経済新聞社の試算では一連の経済の押し上げ効果を700兆円と期待しています。
逆を言えば、DXがシフトした世の中のことを考えた場合、今の仕事がなくなっている可能性は皆に一様になるのだから、給与をもらって仕事をしている殆どの人がリスキングの必要性があることの証左です。先のWEFは2025年までにデジタル加速で事務職等の職種、約8500万人分の雇用が失われる代わりに、AI専門家等の職種に約9700万人の雇用が生まれると予測するのです。となると急激に、新たな人手が生まれるわけではないので、おおくの場合今の人がバージョンアップせざるを得ないのでしょうね。
一応、現時点のところでは主要国は次のような策を打ち出しています。英国、成人に対して無償で職業訓練を開始し25億ポンドを拠出する。米国、製造や環境関連分野において労働力開発に1,000億ドル投じる計画あり。韓国、スタートアップと連携し若年層のデジタル教育過程を開発。デンマーク、職業訓練受講者の失業給付の引き上げ。
その中でシンガポールは各国のモデルになっていると言われます。従来から外国人労働者の受け入れを拡大する同国は、失業者が増えるなどの国民の不満は強かったと思います。2010年頃、新たなスキルを学んでもらう生産性を向上する政策を導入。2万5千もの訓練コースや25歳以上の全国民に4万円程度の訓練費を支給する制度を行っています。関連する政策には国内主用企業や大学が関与して、2020年には40代から60歳に支給する訓練費を増額しています。このように国家的に国民一人あたりの生産性を向上する取組を進めているのです。
そして、日本。公共職業訓練の受講者を増員とあるだけで、具体的な動きは見えません。大手企業がリカレント教育やリスキングに関して動きはあるものの、毎年言葉を変えてIT人材を●千人増やします!と言っているだけで実質的な効果は出せていない状況です。
公共で見ると、上述している通り、公的支援のGDP比率は主要国の中で最低です。17年比較では0.01%で米国の3割、独の6%程度の数値で極めて低い水準です。国は、コロナ対策で観察した通り、休業手当を補助する雇用調整助成金に4兆円を投じていますが、それを受ける条件として一定のDX関連の教育を半年受けることなどの将来を見据えて策はほぼありません。常に雇用政策の力点は過去を見ており失業にフォーカスしているのです。
後継者問題は起こるべくして起こる
早嶋です。
経営者と従業員という2つのククリに分けて後継者問題を考えます。かなり限定した領域を絞ったお話です。
経営者は全ての事象を自分毎として受け入れる人達です。何かあれば率先して動き、自分で判断をし、行動に責任を持ちます。そして従業員はその逆で、全てを組織のせいにして他人事として捉え、できればサボりたい、帰りたい、遊びたいです。自分から夢中に成ることはありません。
中小零細企業の典型でFC事業の後継者問題で、次のような構図をたまにみかけます。例えばガソリンスタンドです。店主は70代以上の高齢で、息子はいなく、代わりに娘夫婦がスタンドで事業を手伝っています。将来的に後継者は婿になるのですが、これが全くやる気なし。本人に話を聞くと、娘さんとたまたま結婚して、家業を手伝ってほしいとのことで、会社を辞めてガソリンスタンドの仕事をはじめています。当時こそはやるきまんまんで色々と研究をして経営者(義理の父)に提言するも100%拒否され続けてきました。今はそこそこ収入はあるので、なんとなく過ごしている状況です。しかし気がつけば婿殿も40代から50代で、典型的なFC事業であるガソリンスタンドの商売は右肩さがり。しかし、自分から動くこともなく、経営者である義理の父も継承するタイミングが分からずにズルズルです。
上記の事例の悪は経営者でしょうね。自分が10年年取ったときのことを創造出来なかったので、婿殿の提言をアタマから否定した結果、the従業員婿殿に成り果てたのですから。
別の事例もあります。そこそこ安定した企業でやはり息子はいなく、娘さんが会社を継げばよいのですが、その能力はなく婿殿にフォーカスがいきます。ただ、婿殿もあまり経営に興味がなく、なんとなく経営陣という居心地の良いテーブルに座っています。経営者である父親は娘の機嫌がよいので特に問題視していませんでしたが、急な病が襲いかかります。そこで娘さんが経営を引き継ごうとしますが10年以上ぽけーっとしていましたので何らわかりません。同様に婿殿もです。
経営者が優秀でも自分が行ってきた取組を言語化して標準化している事例は皆無です。特に中小企業においては。自分の企業の状況も分からないのでM&Aで売却する際にも条件をつけることができない。あるいは、そのようなナレッジや視点も無いのでそもそもどうにもならないという状況です。
この事例の悪は経営者と従業員の両方になりそうですが、やはり私は経営者だと思います。やはり何かあったときの想像力が不足していて準備が出来ていないのですから責任は経営者でしょうね。
これが息子であれば、当然に息子は小さい頃から一定の意識が父の経営に向いています。一度は親元を離れてサラリーマンか別事業を始めますが、そこそこの企業規模であればしばらく社会経験を積んで家業を継ぎ切り盛りをはじめます。息子の場合は経営者というニュアンスが強く、婿の場合は従業員というニュアンスで仕事を始めているのです。
もし、息子さんがいなくて、娘さんになんとなく将来の経営を任せようと思っている。でも直接そのような話を過去10年以上行っていない場合は、明日は我が身です。是非、経緯状況を理解できるパートナーや相談相手を見つけて、自社の出口対策を早めに検討することをお勧めます。清算、親族内承継、従業員にM&A(バイアウト)、社外にM&Aの4つしか選択肢は無いのです。
人材育成3つの壁 〜リアルな中小企業の実情〜
◇人材育成プログラムの前に…
コロナ禍の中、オンラインでの人材育成が盛んです。各社が競い合って様々なプログラムを作成しています。わざわざ東京まで行かなくても、著明な講師のレクチャーを受けることができます。その魅力的なプログラムを受けると、社員の能力が高まりそうな気がします。しかし、中小企業の現実はどうかというと、そのようなプログラムを受ける前の段階で大きな壁があります。
現実の中小企業の人材育成には大きく3つの壁があります。以下の文章は、多少、言葉遣いが悪いですが、ご了承ください。
◇ ①興味がない
そもそもビジネスに興味がない。これは、中小企業だけでなく、大企業にも言えることです。
まず、中小企業の社員の多くは、入りたくて入った会社ではありません。当然、自社のビジネス、業界には全く興味はありません。プライベートの時間は、仕事のことは考えたくないという人がほとんどです。もちろん勉強、読書の習慣もありません。なので必要最低限のことしか頭に入りません。研修で良い話を聞いても、家に帰れば忘れます。
では、大企業はどうかというと、こちらも同じく多くの人は、ビジネスそのものに、興味がありません。興味があるのは、会社での自分の評価です。賢明に働くのは同期が100人くらいいて、その中で、強烈な競争意識があるからです。なので必要なことは必死に取り組みます。
この興味がないというのは大きなハードルです。人は興味がないことは理解しません。大企業の場合は、すでにシステムが出来上がっています。与えられたコマンド(命令)をこなせばいいです。何かあれば取引先に圧力をかければなんとか帳尻があいます。しかし、中小企業は目の前のプロブレム(問題)を解決しなければ、企業は存続しません。成長もしません。
◇ ②読解力がない
次に、文章、グラフ、図形の基礎的な読解力がないことです。
「AI VS. 教科書が読めない子供たち」を読むとわかります。学力中位の高校でも、大半は教科書が読めません。高校生の大半ではありません。学力中位の、つまり偏差値50くらいの高校生が読めないということです。
偏差値50くらいだと、大企業のグループ会社や、地方の中堅企業に入るくらいのレベルです。そういう人たちの半分が文章をまともに読めません。さらに、今の若い人たちは圧倒的に語彙力が足りません。なので日経新聞を読むことができません。
そして、中小企業に入る人材は失礼ながら、それよりもひどいということです。
◇ ③知的・精神的・肉体的な安定性がない
ちょっと身もふたもない書き方ですが、私が経験してきたリアルな現実です。中小企業の社員の少なからずが、知的・精神的・肉体的な不安定さを抱えています。
日本の教育システムの設計思想は、社会に適合できるかスクリーニング(選別)することです。スクリーニングを無事潜り抜けたひとは、いい大学に入って、いい会社に入ります。当然、中小企業にはそのスクリーニングで引っかかった人が入ります。
たまに中小企業に、中途採用で立派な学歴、職歴の人が入ったりします。経営者は大喜びです。しかし残念ながら、そういう人は多くの場合、何らかの形でスクリーニングに引っかかったということです。多くの場合、期待したような活躍はできません。そして予想もしなかったような問題を起こしてくれます。
中小企業は一人の人で失敗すると大打撃です。問題ある人に時間とお金をかけて、責任のある地位につけて組織がガタガタになったことを何度も見てきました。おとなしくこつこつと働いていた人が、人の上に立って豹変したこともありました。
◇前提の確認
こうしてみると、人材育成プログラム云々ではなく、その前提で壁にぶち当たっています。
御社の人材は、①ビジネスに興味がない、②読解力がない、③なんらかの不安定さがある。この壁をクリアしているでしょうか?
御社の社員に、最近、ビジネスに関する本を読んだか聞いてみてください。もし読んだのならその内容を聞いてみてください。たぶん最初の「本を読んだか?」という質問で全滅すると思います。多くの人は、ビジネスに興味がないし、読書の習慣がありません。読書の習慣がなければ、語彙は増えません。
そういう人間が、デジタルトランスフォーメーションなど聞いても、何もわからないと思います。
あと360度評価を実施することです。匿名で部下や同僚の評価をとってみてください。かなり、いろいろでてきます。経営者よりも、周りの人たちのほうが、その人の真の姿をわかっていることが多いです。
また、社員の生活習慣を把握したほうがいいです。食事・睡眠をしっかりとっているか、生活リズムは整っているかはかなり重要です。
◇壁(問題)への対策
前述の通り、人材育成には、3つの壁(問題)があります。しかし、問題があれば対策はあります。
まず興味がないと言うことに関しては、ビジネスの全体像を理解させること、そして自分の役割を与えることです。人は自分が理解できないものには興味を持ちません。なので、自社のビジネスモデルや、社会的役割を、わかりやすく根本的なことから理解させる必要があります。また、仕事に興味を持ってもらうためには、役割を与えて、裁量を与えて、承認を与えることです。このことは、会社が成長していくという物語を共有すること、そして、自分自身がその物語の登場人物の一人であるという認識を持たせることです。
次に、読解力を向上させることは、簡単ではありません。基本は、インプット、アウトプットを繰り返すことです。もちろんフィードバックも必要です。仕事のなかで読む、聞く、書く、そしてフィードバックを受けるというサイクルを定着させましょう。読解力が上がれば、自ずと他の能力も上がっていきます。
読書の習慣をどうやって定着させるといいかはこのブログに書いてます。
【職場の読書論 〜読書の習慣を定着するには〜】
https://www.biznavi.co.jp/blog/archives/7381
最後に、面接や、試用期間でスクリーニング(選別)は必要です。小さな組織ほどスクリーニングができていません。採用担当者は自分のノルマさえこなせばよく、現場もとりあえず人がいないよりはいたほうがいいという感じで、スクリーニングできていません。面接で適正テストをする。試用期間中も、業務の理解度をテストをする、面接をする、周囲の評価を取るなど、スクーリングをしたほうがいいです。
◇人が育つ条件
中小企業の社員で、学歴などなくてもバリバリ仕事ができる人がいます。会社の全体像がわかっていて、論理的な思考ができて、問題解決力があります。このような人を何人か見てきました。
どのようにその人たちは成長したのか?それは、会社と一緒に成長したということです。カリスマ社長のもと、会社が急速に拡大するなかで、様々なタスクをこなしていったからです。会社の成長という物語と、自分の役割があったからです。最初の興味がないをクリアすると、人材育成はほぼ成功です。
環境が変われば、認識も変わります。そして成功体験を積めば、人は劇的に成長します。小さな組織のメリットはトップの経営者と社員の距離が近いことです。さらに人事に柔軟性、俊敏性があることです。業績のいい中小企業の経営者は社員と密にコミュニケーションをとっています。そして目をつけた人材はすぐ抜擢します。
人は、他者からの承認、そして人生の物語を必要とする社会的存在です。小さな組織はトップからの承認を得られます。面倒だなどと言わず、社員との距離を縮めましょう。良い人材は会社にとって一番のお宝です。
以上、最後までご精読ありがとうございました。
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