早嶋です。
本日は小田原の富士フィルムの研修センターでマーケティングの研修でした。参加者の方々、お疲れ様でした。本日のワークで行ったウーロン茶とヘルシアウォーターについてコメントしたブログ「快楽主義VS禁欲主義」を参照ください。
早嶋です。
本日は小田原の富士フィルムの研修センターでマーケティングの研修でした。参加者の方々、お疲れ様でした。本日のワークで行ったウーロン茶とヘルシアウォーターについてコメントしたブログ「快楽主義VS禁欲主義」を参照ください。
早嶋です。
30代・独身・OL。さて、皆さん、どのような方を想像しますか?
マーケティングを考えよう!ということで、「やっぱりターゲットは30代の独身OLだね!」なんて会話、よく耳にします。このように、顧客を共通の特徴で分けて、特定することをセグメンテーションとターゲティングといいます。
マーケティング戦略を考える上で市場が同質的でないことを理解することは重要です。例えば、友人一人一人個性があり、好みが違っていることと思います。同じように個人の集団によって形成される市場も同質ではないことは容易に理解できることでしょう。
これはBtoBのビジネスであっても、BtoCのビジネスであっても同じです。買い手が企業の場合、やはり企業によって個性があり、他の企業と違う特徴を持っているでしょう。
じゃ、個々にソリューションを提案すれば?と思うかも知れません。しかし、それぞれのニーズに個別に対応しようものなら資本がいくらあっても足りないことでしょう。もしくは、企業に利益を残すためにもものすごい高いソリューションになるでしょう。
そこで、個人や企業の個性や特徴に着目して、何らかの特徴に注目しながら似たような塊を見つける方法が考えられます。これがセグメンテーションです。
そこで、冒頭の30代・独身・OLに着目してみましょう。このセグメント、一見、同じような特徴を持っていると思うかもしれませんが、10人の方に聞けばバラバラのイメージがかえってくることでしょう。ここにはセグメントの落とし穴があるのです。
続きは明日。
早嶋です。
本日は、福岡で終日マーケティングの研修後、その足で小田原に移動しています。結構な移動でした。
さて、ブログ「Eating the Big Fish」でリーダー企業の優位性についてコメントしましたが、今回はあえてネガティブな視点を2つ考えて見ます。
1つ目。通常の業界ではある程度シェアがおおきくなればさまざまなメリットが生じることは先般コメントしたとおりです。但し、デメリットも生じるでしょう。業界で高いシェアを獲得していれば、ある程度までの顧客獲得は低いコストで達成できるようになるでしょう。そのためシェアが増えるにつれて利潤も増えるでしょう。しかし、ある臨界点を超えて高いシェアを狙うには利潤を犠牲にする場合があります。
例えば、判官びいきの存在です。なぜか、1位やトップを嫌う人々です。巨人が強いから阪神ファンみたいな例です。仮に、リーダー企業がこのような人々にまで何か商品を購入していただこうと考えたら、予想外のコストがかかることでしょう。
2つ目。シェアを1位として存続するのが難しくなる場合です。例えば技術革新によって既存の大規模な生産設備が陳腐化したり、長い時間かけて培った経験効果が失われたりなどです。ここは、企業の規模が大きければ大きいほど注意を要すると思います。
ハードディスクドライブがもし、フラッシュメモリーにとって変わるような事があれば、ハードディスクドライブの技術的なシェアが陳腐化していくことが予測できます。
カラオケを以前作っていた企業は映像を手がける企業が多かったです。これは、カラオケは映像を見ながら歌う!というルールが当時存在したからです。しかし、技術の進歩によって、ネット配信ができるようになるとカラオケはとにかく新しい歌、インディーズでも何でも歌えたほうがよい!というルールに変更していきます。すると、当然、カラオケの機器でトップシェアを維持してきた映像機器メーカーは技術についていくことができず、シェアを落とすどころか、現在では業界からも姿を消しています(ブログ「パラダイム」「パラダイム進化論」を参照)。
とは書いたものの、やはり1位のメリットは魅了的です。一度トップに躍り出れば諸費者の頭の中にはNo.1ブランドのイメージが残ります。流通や小売もトップ企業に有利に動いてくれるでしょう。規模の経済が効いて安く作れるようにもなるでしょう。シェアを維持する経費も2番手以下よりも少なくすむでしょう。やっぱり魅了的です。
チャレンジャー企業がリーダー企業に対してその座を奪おう!と果敢に挑戦するのはそれなりの理由があるのです。但し、物事を考える場合は、両方の視点を一様もっていることも大切ですね。
早嶋です。
ブログ「不満足の行動」でもコメントしましたが、不満を持った顧客の96%は企業に対して何も言わないといわれます。自分が何らかの不満を持ったときに、店員さんやお店の人に何も言わないことを考えると、この数字は感覚的に納得できるでしょう。
そこで、企業としては顧客の声を見えるようにする事はとても重要なことになります。そのため、近年、顧客の声を見える化する活動を行っている企業が多くあります。IT化の波に乗り、比較的顧客の企業を見える化できた企業は多くあります。但し、またここに問題が生じます。
見える化が本当に企業の改革や改善成果を生むかどうかは、顧客の声の真の原因を特定して対策を打っているか?ということにかかっているのです。多くの企業では顧客の声の収集に成功して、そして誰もが見える形の見える化は成功しています。しかし、その声に対して真の原因を見極め深堀を行いながら対応策を打っている企業はまだまだ少数だと感じます。
08年9月号の日経情報ストラテジーに、上記に関連した記事、「顧客の声の見える化だけでは不十分 声を掘り下げてこそ要望がわかる」というタイトルでカルビーの事例が掲載されていました。
カルビーも04年からVOC(ボイス・オブ・カスタマー)委員会を社内で組織化して、お客様相談室を積極的に活用する方針を打ち出しました。スナック菓子を主力とするかルビーにとって顧客一人ひとりの声に耳を傾け、要望を見える化して対応することが不可欠だと判断したのです。
プロジェクト発足後、多くの声が集まり見える化に成功しました。しかし、実際に集めて見ると、顧客の声から改善につながる有効な情報がほとんど集まらなかったのです。むしろ情報量が増え、声を分析する要因の苦労が増すばかり。
見える化を実現させたことによって、上記のような問題に直面した企業は多くあると思います。現在、仕事をさせていただいている地方都市のデパートでも同様の問題に直面しています。そして、そのキーとなる問題は、顧客の声を見える化することは仕組み上できていますが、実際に顧客の声の掘り下げ方ができていないで、本当の要望を聞きだせずにいるの、です。
例えばカルビーの事例では、「○○はおいしかった!」という声がたくさん寄せられます。これに対して、オペレターは顧客にお礼を言って通話を終え、そのような声が月に何軒あったか集計をとって終わりです。
しかし、なぜ、企業に電話をかけてまでこのような声を発しているのか?それによって、その商品をもっとよくできたり、他に活用できることは無いだろか?というヒントにつながることがありません。これこそが、顧客の声を見える化することは仕組み上行っていますが、実際に顧客の声の掘り下げ方ができていないで、本当の要望を聞きだせずにいるの、です。
これを解決する取り組みが「なぜなぜ5回で顧客の問い合わせを掘り下げる」です。これに関しては、ブログ「クリティカルシンキングwhy」でもコメントしていますが当にトヨタ自動車の改善活動をヒントにしています。
見える化が行えて一安心!では、せっかくの見える化が意味を成しません。ぜひ、一歩踏み込んで、声の深堀を行ったうえで、真の原因を突き止めて改善策を打つことまで行って見てください。
早嶋です。
企業がとるべき戦略は3つに集約できる、と言うことで以前ブログ「3つの競争戦略」でコストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略を紹介しました。その中の差別化戦略では、何らかの差別性を企業が訴求して、それを顧客が感じ取ってくれる重要性を強調しました。
トヨタ自動車のプレミアムカーラインであるレクサスの競合者は皆さんご存知の通り、強力なブランド力を持つベンツやBMWです。レクサスはこれらのブランドに対抗するために、そして顧客の認知を獲得するために差別化戦略を取ってきました。
レクサスのブランディングをすすめる上で、レクサスがどんなに頑張ったとしても欧州車の歴史は無いといった事実を受け止めていました。そして、この認識を前提にレクサスの差別化戦略が考えられます。
トヨタは製品開発からサービス提供に至るまで、企業が顧客に価値を提供する一連の流れ、つまりバリューチェーンにおいて性能、デザイン、仕様、専門部品などの500項目についてレクサス・マスツ(LEXUS MUSTs)という商品化の基準を設けました。
この基準の特徴的なところは、ブランドを確立するためのアクションを具体的な方法や基準にまで落とし込んでいる点です。例えば、意匠のマスツでは、レクサスの売りのポイントである静かさのために、空調、ファン、モーターの音量を数値で規定しています。例えば、新技術時間差展開のマスツでは、新技術の採用はレクサスからはじめることに決めている。などです。
ただ、実際はレクサス・マスツの大半は非公開です。公開するとその部分を模倣される。しかし、公開しなければ、顧客にレクサスのすごさが伝わらない。きっとレクサスはこのようなジレンマを受けながらブランド化されたのだと思います。
それと北米での展開と日本での展開でも異なっています。どちらかといえば、500のこだわり!といえば日本人は飛ぶ着きそうですが、北米の人は関心を示さないでしょう。彼らが実用主義者が大半だという仮定です。実際、北米のレクサスのHPではレクサス・マスツに関する情報公開はほぼゼロです。
レクサスであっても差別性を顧客に認知してもらい、ベンツやBMWと違うポジションを感じてもらうために、随分苦労があったのだと思います。差別化戦略と言っても、重要なのは顧客の認知。企業本位の満足では全く意味がないのです。
早嶋です。
先日、トヨタ自動車の人事部の方々とお話する機会がありまして、そのときに伺った内容を基にトヨタの強みについてコメントします。
KAIZEN
改善は既にビジネス用語として浸透していますね。意味は、「常に進化、確信を追及し、絶え間なく改善に取り組む」です。トヨタ自動車でのKAIZENは、大きく3つのテーマに分かれているようです。1)改善、改革の追及、2)リーンなシステムの構築、3)組織的学習の徹底です。
1)改善、改革の追及
改善、改革の追及は、「絶え間無い改善」「創意くふう、ベンチマーク」「ブレークスルーの追求、タブーの排除」が主な内容です。それぞれについて見ていきましょう。
「絶え間ない改善」
絶え間ない改善とは、一時の成功に安住しないで、より高い挑戦目標を掲げて絶え間ない改善を実施することだそうです。
実際、トヨタの人と話すと分かるのですが、「・・・・なるほど、素晴らしいですね」と話すと必ず、「いや、まだまだですよ」とかえってきます。絶え間ない改善は日常の会話にも染み入っていました。
「創意くふう、ベンチマーク」
常に智恵とくふうをこらすことの徹底です。誰の発案かに拘らず、卓越したアイデアを社内外に広く求めて研究すること、社内外との比較を通して自分の力を把握すること。創意くふうとベンチマークを一緒に行うことが素晴らしいと感じます。No.1でありながら、社内外から多くのことを学び取ろうとする謙虚な姿勢は、トヨタの方々と話をすると伝わってきます。
「ブレークスルーの追求、タブーの排除」
これは、前例やタブーに囚われずに不可能だと諦めない。そして創造的なアイデアによるブレークスルーを目指すことです。これに関しては、『何も変えないことが最も悪いこと(奥田碩氏:97年社長就任時のコメント)』という発言が有名ですね。
2)リーンなシステムの構築
リーンなシステムの構築は、「原価低減による利益追求」「ムリ、ムダ、ムラの排除」「後工程尊重、ジャストインタイム」「問題の顕在化、自動化」が主な内容です。それぞれについて見ていきましょう。
「原価低減による利益追求」
価格設定においては、マークアップ方式、いわゆるコストに利益を乗せて価格を決定する方法、競合他社との相対間で価格をつける方法、そして市場の値ごろ感で価格をつける方法の3つがあります。トヨタでは値ごろ感を更に一歩踏み込んだ価格設定を行っています。市場が売値を決める中で、最高の品質と効率を追求して、中長期的に原価を低減させることによって利益を生み出すことを目指しています。トヨタの方々が、製造業の利益は原価を低減してころ得られる。かかっただけの原価に利益を上乗せして値段を決定するような原価主義の考え方は縁がありません!と口をそろえて話されていました。
「ムリ、ムダ、ムラの排除」
これは、強烈でした。ずばり、付加価値を生まない活動や事象であるムリ、ムダ、ムラを徹底的に排除する!ということです。これはトヨタ創立時に豊田喜一郎氏がコメントした『一本のピンも其の働きは国家につながる。各自の業務に無駄あるべからず』の精神ですね。
「後工程尊重、ジャストインタイム」
全ての工程において、後工程をお客様とみなして、必要とされる質、内容のモノ、サービスを必要なタイミングで必要なだけ提供することです。ここは、云う易しですね。これに関しても豊田喜一郎氏のコメントに、『作業の手順や部分品や材料の授与において、時間の遊びを出来るだけ省略して行くものですが、これは全ての連絡の基本的信条としてジャストインタイムということを遵守してゆくつもりです。品物の授与において早すぎたり遅すぎたりしないようにするのが其の原則です。』が有名です。
「問題の顕在化、自動化」
ポイントは、現場に権限を与えていることだと思います。現場で判断可能な業務は、自立型ユニットを独立させ、権限委譲を行い、ユニット毎に問題の顕在化と対応の早期化を促進することです。この背景は、問題が管理監督者の知らない場所で繕われていてはいつまでたっても改善は進まないし原価も安くならない、です。異常があれば機械を止めるということは、問題を明らかにするということ。問題がはっきりすれば改善も進む。製造業において、機会をとめるとそのまま生産効率のダウンになります。しかし、根本的な原意をそのままにしては将来的な利益をついばむという、まさに原価低減による利益追求とリンクした行動です。
3)組織学習の徹底
組織学習の徹底は、「状況の共有化」「失敗からの学習」「成功の標準化・横展」が主な内容です。それぞれについて見ていきましょう。
「状況の共有」
状況の共有を行うときも目で見えるツールを活用して関係者間での状況認識の共有化と気づきを促進することです。
「失敗からの学習」
失敗を隠蔽せずに迅速に正し、個人的な過誤のみを責めないで常に構造的な問題を探し出して対策を打つことです。
「成功の標準化・横展」
成功のプロセスを標準として採用して、横展開し、組織内に定着するように努めることです。そして、外部に対してはデファクトスタンダード化を目指すのです。
早嶋です。
期待。人々の期待している要素を紐解くことができたら、きっと素晴らしいマーケティングが行えるでしょう。その意味でマーケターは顧客の期待を常に探し続けています。
最近、アップルのiPhoneが発売されましたが、iPod touchが発売される頃よりアップルファンは日本での発売を期待していたと思います。実際、クライアントで大のアップルファンがいますが、彼らはiPod touchを早々と購入して、iPhoneが発売して直に使いこなせるように!と明確な意思を持って使っていました。実際、iPhoneの発売が決まった瞬間にソフトバンクの営業マンに必要な台数を抑えなければ、契約を打ち切るよー、なんて半ば脅しをかけていたぐらいです。
ブログ「バズと希少性」では、情報を小出しにしながらバズを誘発することが出来るのでは?というコメントをしました。しかし、期待させることも重要ですから、情報を隠しすぎてもよくありません。
人が人に話をしたくなる話。話しての興味をそそらなければなりません。物語には期待させる要素が必要だからです。ハリウッド映画の予告CMは、何故、あれほどまで手が込んでいるのでしょうか?1つに間違いなく期待をさせることを目的にしていると考える事が出来ると思います。人は期待をするとやはり人に話をしたくなるものなのでしょう。
ハリウッド映画の場合、CMが上手く出来すぎている!と言うのも数多くありますが・・・。
早嶋です。
昨日の続きです(バズ、バズの語源、バズの伝播)。人はどのようなときに人に話をしたくなるのでしょうか?バズの伝播では、賄い料理をキーにコメントをしました。この話を基に、話したくなる話の共通点をピックアップしてみます。これって、バズを人為的に創るヒント、つまり最も効果的なプロモーションを創るヒントになると思います。
人に話したくなる話。物語を話すような口調で話をするとき、聴き手も話し手も一生懸命。バズを創ることは、なにやら物語を創ることに当てはまりはしないでしょうか?情報を小出しにしながら、聴き手の興味を引き出しながら話す。話の内容にメリハリがあれば、聴いた人の脳裏に残るはず。
バズは複数のネットワークの間で広がり、そのネットワークはバズが自己増殖するかのごとく伝播します。例えばこの時期、お化けや冷や冷やするような話が伝播します。あるときは都市伝説として語り継がれますよね。このような話も内容はお粗末なものがありますが、ストーリー性があったりします。では、そんな人に話したくなる話。どのような特徴があるのでしょうか?
◆希少性やら神秘性
新車の試乗会にあなたは特別に招待されました!憧れの車、手に届きそうで届かなかった車。試乗会では特別扱いされ、特別に用意されたテストコースの走行。何とかしてローンを組んで買いたくなるかもしれません。しかし、主催者は参加者の財布を開くことが目的ではなく、そのことを人に話してもらう事を期待しているかも知れません。だって、このような体験をしたら人に話さないではいられないでしょうから。
人は入手困難な物、入場制限された空間、希少な情報、不思議な体験や神秘的な出来事、これらを高く評価することでしょう。そう、バズを創るためには、この要素を思い出すことがポイントなのです。
口コミを人為的に広げる!ということに対して間逆の発想。時には情報を制限しつつ、徐々に公開することも必要です。当然、その大前提に口コミを広げる対象が人々に興味を持ってもらうことは前提でしょうが。
99年に低予算で夏にヒットした3流映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」。この初期のバスは明らかに神秘性によるものでした。ヒットした最大の要因は、殆どの人がその映画を見ることが出来なかったことにあります。当時の映画祭の直前まで報道人に映画を公開することなく口コミを増殖させたのです。ドキュメンタリーなの?ホラーなの?どんな映画なの?って、一度は興味を持ったことを思い出したでしょ?
賄い料理。このように考えると、希少ですよね。だって、お店で働いている人しか食べられないのだから。そして、どんな余り物でも美味しく出来ちゃう料理人の腕の見せ所。神秘的な感情も抱かせるかもしれません。
早嶋です。
皆さん、外食をするときはどのような事を考えますか?早嶋の場合、はじめて入るお店は、何か特別な感じを抱きます。人から勧められて入るときよりも、自分の勘でこのお店は!とピッピーと来たときなどはなお更です。
そして、お店に入ると、キョロキョロと店内を見渡します。店員さんの表情や動き、料理人の顔や仕事ぶりが見えたときは特に注目します。店内の什器や置物、机や椅子、食器や小物入れにいたるまで。コンセプトやターゲットを意識しているのか否か。顧客目線から見た全てのコンタクトポイントにブレがないか。この瞬間は、毎回楽しみでもあります。
メニューを見る前にも先ずはお店の人にお勧めの料理を聞いたりします。この時の反応で、そのお店のお客さんに対する想いが分かったりするからです。そして、何よりも一番美味しい食べ物が食べられる確率が高くなります。
こんな感じで2度3度通うと、直に顔を覚えていただけます。そして、話が弾むにつれて、たまにですが、そのお店の賄い料理にありつけたりします。賄い(まかない)、或いは賄い料理。なんともおいしそうな響きですよね。一見客ではありつけない味のはず。期待は膨らみます。
顧客が上記のような体験、例えば、普段食べさせてもらえない特別な味を創ってもらったのよ!と言う体験は、必ず誰かに話したくなるでしょう(ブログ「バスの語源」を参照)。人は複数のネットワークに属するといいます。早嶋の場合、例えば、マラソン仲間、仕事仲間、マーケティング等の研究グループの仲間、取引先の仲間、最近ではチャリンコ仲間等々。
もし、ふらりと入ったお店に2度3度通い、たまたま賄い料理にありつけることが出来たら。きっと属している複数のネットワークに話をすることでしょう。人々は互いに何をしているかを報告しあって、特別な体験やユニークな出来事であれば、そのネットワークの中で広がっていくことでしょう。
最近のバズの研究によると、この複数のネットワークの中での伝播が、急激に世の中に伝播するメカニズムではないか?といわれています。確かに、特別な体験や経験をしたときは、複数の人に話しますよね。そして、よくよく考えると、その人々は異なるネットワークに属していることに気づきます。
早嶋です。
ミスター・フレームワークことM・ポーター氏が提唱する理論に、3つの競争戦略があります。これは、企業が5つの競争要因をクリアして、業界の平均以上のリターンを長期的に獲得するためには、次の3つの戦略が考えられるというものです。
①コスト・リーダーシップ戦略
②差別化戦略
③集中戦略
①コスト・リーダーシップ戦略
この戦略は、事業の経済的なコストを競合他社と比較して低い水準に抑えることによって競争優位を獲得する戦略です。ただ単に安く商品を提供する意味ではなく、安く商品を提供しても十分に利益を享受できるビジネスモデルの存在があることがポイントです。
コストリーダーシップを獲得するためには、1)規模の経済性、2)経験曲線による経済性があります。
1)規模の経済性
簡単に言うと、大量生産によって大型の施設や専用の装置を導入しコスト競争力を獲得することです。ガソリンや化学プラントなどは当に規模の経済を活用したビジネスモデルで、中小企業が行ったとしても導入効果が望めないビジネスでしょう。規模の経済性には、分業が可能になるため、従業員を専門化させ更に生産性を向上させることも可能です。同時に、経費やR&D費などの間接コストも大量生産によって吸収できます。
ユニクロのフリースは1つの工場で1種類のみ生産されているため安い価格で販売しても十分に利益を獲得できる仕組みを構築しています。東芝の四日市工場でのメモリーチップも規模の経済性を活用しています。
2)経験曲線による経済性
これは、累積生産量に伴って製造単価が低下していくという経験則です。複雑な事業に多く見られます。半導体で知られるムーアの法則も経験曲線による経済性を表現した言葉です。
他にもコストリーダーシップの源泉として技術があります。これは、製品の開発や製造に留まらず、現場での改善活動、従業員のロイヤリティー、コスト重視の企業文化といったソフト面での技術も相当します。
②差別化戦略
差別化戦略はコストリーダーシップ戦略の対極ともいえる戦略です。同じ製品を低いコストで提供するコストリーダーシップ戦略に対して、差別化戦略は競合他社よりも高い価格で販売するからです。
正確に表現すると、競合他社の商品の価値よりも自社商品の顧客が感じる価値を高めることによって、競争優位を獲得する戦略です。ポイントは、顧客がその価値の違いを認めて相当の対価を支払うことです。自分よがりで価値があると主張しても意味がありません。
差別化するためには商品にユニークな特徴が必要です。通常そのユニークさを付加するためにはそれ相当のコストが生じます。差別化戦略では、そのコストよりも顧客が感じる価値が大きく、支払う価格プレミアムもそのために要したコストを上回る必要が絶対条件です。
例えば自動車メーカーのボルボは、「安全」という印象が消費者にあります。そのために、ボルボの自動車に顧客はプレミアム分の対価を支払うのです。当然、ボルボはその価値を維持向上するために絶え間ない努力を惜しみません。
差別化戦略を言い換えると、フィリップ・コトラー氏が推奨するポジショニングに相当します。ポジショニングとは、自社商品が競合する他社と違って明確でユニークな存在として顧客に認知してもらうことです。これは自社の差別化ですよね。
③集中戦略
この戦略は、特定の市場セグメントに対して、①コストリーダーシップ戦略か②差別化戦略を実施することです。このように考えると、①及び②は全体の市場に対しての手法で、③はニッチな市場にフォーカスした戦略といえます。
ユニクロがコストリーダーシップ戦略だとすると、子供服の西松屋やファッションセンターしまむらは、集中戦略といえるでしょう。