「見える化」の次は「掘り下げ」

2008年8月18日 月曜日

早嶋です。



digブログ「不満足の行動」でもコメントしましたが、不満を持った顧客の96%は企業に対して何も言わないといわれます。自分が何らかの不満を持ったときに、店員さんやお店の人に何も言わないことを考えると、この数字は感覚的に納得できるでしょう。



そこで、企業としては顧客の声を見えるようにする事はとても重要なことになります。そのため、近年、顧客の声を見える化する活動を行っている企業が多くあります。IT化の波に乗り、比較的顧客の企業を見える化できた企業は多くあります。但し、またここに問題が生じます。



見える化が本当に企業の改革や改善成果を生むかどうかは、顧客の声の真の原因を特定して対策を打っているか?ということにかかっているのです。多くの企業では顧客の声の収集に成功して、そして誰もが見える形の見える化は成功しています。しかし、その声に対して真の原因を見極め深堀を行いながら対応策を打っている企業はまだまだ少数だと感じます。



08年9月号の日経情報ストラテジーに、上記に関連した記事、「顧客の声の見える化だけでは不十分 声を掘り下げてこそ要望がわかる」というタイトルでカルビーの事例が掲載されていました。



カルビーも04年からVOC(ボイス・オブ・カスタマー)委員会を社内で組織化して、お客様相談室を積極的に活用する方針を打ち出しました。スナック菓子を主力とするかルビーにとって顧客一人ひとりの声に耳を傾け、要望を見える化して対応することが不可欠だと判断したのです。



プロジェクト発足後、多くの声が集まり見える化に成功しました。しかし、実際に集めて見ると、顧客の声から改善につながる有効な情報がほとんど集まらなかったのです。むしろ情報量が増え、声を分析する要因の苦労が増すばかり。



見える化を実現させたことによって、上記のような問題に直面した企業は多くあると思います。現在、仕事をさせていただいている地方都市のデパートでも同様の問題に直面しています。そして、そのキーとなる問題は、顧客の声を見える化することは仕組み上できていますが、実際に顧客の声の掘り下げ方ができていないで、本当の要望を聞きだせずにいるの、です。



例えばカルビーの事例では、「○○はおいしかった!」という声がたくさん寄せられます。これに対して、オペレターは顧客にお礼を言って通話を終え、そのような声が月に何軒あったか集計をとって終わりです。



しかし、なぜ、企業に電話をかけてまでこのような声を発しているのか?それによって、その商品をもっとよくできたり、他に活用できることは無いだろか?というヒントにつながることがありません。これこそが、顧客の声を見える化することは仕組み上行っていますが、実際に顧客の声の掘り下げ方ができていないで、本当の要望を聞きだせずにいるの、です。



これを解決する取り組みが「なぜなぜ5回で顧客の問い合わせを掘り下げる」です。これに関しては、ブログ「クリティカルシンキングwhy」でもコメントしていますが当にトヨタ自動車の改善活動をヒントにしています。



見える化が行えて一安心!では、せっかくの見える化が意味を成しません。ぜひ、一歩踏み込んで、声の深堀を行ったうえで、真の原因を突き止めて改善策を打つことまで行って見てください。



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