3つの競争戦略

2008年7月28日 月曜日

早嶋です。



3ミスター・フレームワークことM・ポーター氏が提唱する理論に、3つの競争戦略があります。これは、企業が5つの競争要因をクリアして、業界の平均以上のリターンを長期的に獲得するためには、次の3つの戦略が考えられるというものです。



①コスト・リーダーシップ戦略

②差別化戦略

③集中戦略





①コスト・リーダーシップ戦略



この戦略は、事業の経済的なコストを競合他社と比較して低い水準に抑えることによって競争優位を獲得する戦略です。ただ単に安く商品を提供する意味ではなく、安く商品を提供しても十分に利益を享受できるビジネスモデルの存在があることがポイントです。



コストリーダーシップを獲得するためには、1)規模の経済性、2)経験曲線による経済性があります。



1)規模の経済性

簡単に言うと、大量生産によって大型の施設や専用の装置を導入しコスト競争力を獲得することです。ガソリンや化学プラントなどは当に規模の経済を活用したビジネスモデルで、中小企業が行ったとしても導入効果が望めないビジネスでしょう。規模の経済性には、分業が可能になるため、従業員を専門化させ更に生産性を向上させることも可能です。同時に、経費やR&D費などの間接コストも大量生産によって吸収できます。



ユニクロのフリースは1つの工場で1種類のみ生産されているため安い価格で販売しても十分に利益を獲得できる仕組みを構築しています。東芝の四日市工場でのメモリーチップも規模の経済性を活用しています。



2)経験曲線による経済性

これは、累積生産量に伴って製造単価が低下していくという経験則です。複雑な事業に多く見られます。半導体で知られるムーアの法則も経験曲線による経済性を表現した言葉です。



他にもコストリーダーシップの源泉として技術があります。これは、製品の開発や製造に留まらず、現場での改善活動、従業員のロイヤリティー、コスト重視の企業文化といったソフト面での技術も相当します。





②差別化戦略

差別化戦略はコストリーダーシップ戦略の対極ともいえる戦略です。同じ製品を低いコストで提供するコストリーダーシップ戦略に対して、差別化戦略は競合他社よりも高い価格で販売するからです。



正確に表現すると、競合他社の商品の価値よりも自社商品の顧客が感じる価値を高めることによって、競争優位を獲得する戦略です。ポイントは、顧客がその価値の違いを認めて相当の対価を支払うことです。自分よがりで価値があると主張しても意味がありません。



差別化するためには商品にユニークな特徴が必要です。通常そのユニークさを付加するためにはそれ相当のコストが生じます。差別化戦略では、そのコストよりも顧客が感じる価値が大きく、支払う価格プレミアムもそのために要したコストを上回る必要が絶対条件です。



例えば自動車メーカーのボルボは、「安全」という印象が消費者にあります。そのために、ボルボの自動車に顧客はプレミアム分の対価を支払うのです。当然、ボルボはその価値を維持向上するために絶え間ない努力を惜しみません。



差別化戦略を言い換えると、フィリップ・コトラー氏が推奨するポジショニングに相当します。ポジショニングとは、自社商品が競合する他社と違って明確でユニークな存在として顧客に認知してもらうことです。これは自社の差別化ですよね。





③集中戦略

この戦略は、特定の市場セグメントに対して、①コストリーダーシップ戦略か②差別化戦略を実施することです。このように考えると、①及び②は全体の市場に対しての手法で、③はニッチな市場にフォーカスした戦略といえます。



ユニクロがコストリーダーシップ戦略だとすると、子供服の西松屋やファッションセンターしまむらは、集中戦略といえるでしょう。



コメントをどうぞ

CAPTCHA