高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、毎回お伝えしています。
今回は番外編です。先日参加したビジネススクールの講義の中で、私の印象に残ったエッセンスをご紹介いたします。テーマは「バックキャストから自分(自社)の未来戦略を考える」です。
講義全体の趣旨は、イノベーションの概要を学ぶものでした。参考までにイノベーションの定義は様々ありますが、シュンペーターはイノベーションを、「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合すること」と定義しました。私なりに解釈すると、「これまでにないモノを生み出し、世の中にインパクトある変化をもたらす」とでも言いましょうか。
さて、自分(自社)が今後の戦略をどのように考えればいいのか、これも様々な考え方、取り組み方があります。多くの場合、現在行っている事業、商品サービス、仕組みなどをその時々の世の中の変化に合わせて変えていくのではないでしょうか、つまり現在の延長線上です。例えば、コロナ禍で来客数の減った飲食店が、テイクアウトを始めるような取り組みです。商品(食べ物)は変わらないけど、提供の仕方を時世に合わせて変化させたということですね。
今回取り上げる「バックキャスト」という思考法は、このように現在の延長線上に戦略を考えるのではありません。バックキャストは、まず望ましい未来を考え、そこから逆算してそれを実現するためどうすればよいか、と戦略を考えます。バックキャストの逆は「フォアキャスト」と言い、現在置かれた状況を起点に、そこから起こりうる未来を探索する思考法で、先ほどの飲食店が例えです。
バックキャストでは、望ましい未来とは?から考えますので、現時点に縛られることなく自由に発想できますし、それゆえ大きな変革や変化が激しい時代には有効な思考法だというのは納得できます。現在の延長線上を創造するのと違い、「どうすればこの望ましい未来を実現することができるのか?」と頭をひねりますので、思いがけない発想や突拍子もないアイデアが浮かぶ可能性があるのです。これならイノベーションを起こすこともできる考え方だと腑に落ちました。
当日の講義では受講生が3チームに分かれ、それぞれ「衣・食・住」の10年後の望ましい未来を創造しました。そして、その「望ましい未来」と「現状」とのギャップを導き出し、そのギャップを自身の会社や仕事に当てはめてみるというワークショップを行いました。
例えば、「食」についてはこの様になりました。
10年後の「食」は、「肉はほとんど合成肉になるだろう」、「菜食主義が一般化しているだろう」、「地産地消が増えるだろう」、「デジタル技術で簡単調理が流行るだろう」などの未来イメージが出ました。それに対して、現状は「低コスト大量生産に依存している」、「肉などの動物性たんぱく質が主菜である」、「鮮度を保ちながら物流することを重視する」などの認識があります。未来と現状のギャップは「生産と消費の境界がなくなる」、「個性がより尊重される」、「デジタル技術が実生活に浸透」、「グローバルからローカルへ」と導き出されました。
この未来と現状とのギャップを、自分(自社)を取り巻く環境に当てはめるとどうなるでしょ?ということを各チームが最終発表しました。
例えば、自社は現在グローバルサプライチェーンの中で大量生産・大量消費・大量廃棄するビジネスをしているが、グローバルサプライチェーンは急激に衰退するだろうから地産地消の仕組みを考えてみよう、とか、安定した正社員が良いという価値観から個性重視の自由で自分らしい働き方を望む人が増えるだろうから雇用形態が激変するなどの意見が出ていました。
望ましい未来として世の中がそのように変わることが予想されるならば、その未来に対して自分(自社)はどのように変化を起こしていけばいいのだろう?どのような未来の戦略を立てればいいのだろう?と、バックキャストの思考法で考えるよい機会となりました。
コロナ収束がいまだ見えず、不確実性が増すばかりの昨今です。個人も企業も先が見えず不安に感じることも多いのではないでしょうか。そんな時だからこそ、バックキャストの思考法を取り入れ、望ましい未来を創造しそれを実現するために今、何をすべきかを考えることが重要だと感じます。大切なことは「将来どうすれば実現できるか」とあきらめずに考えること、またそれを実現するために今できることから行動すること。普段の生活でも営業活動でも同じことだと思います。
営業プロセス、営業研修、人材育成、セールスコーチなどをご検討の経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
2022年8月 のアーカイブ
バックキャストから自分(自社)の未来戦略を考える
3つのパラダイムシフトと成功循環モデル
安藤です。
今回は、「3つのパラダイムシフトと成功循環モデル」です。
近年、マイケル・ポーターが、CSV(Creating Shared Value)、社会との共通価値の創造)を提唱しています。CSV(Creating Shared Value「共通価値の創造」)は、
企業が社会課題や問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的な価値も創造されることを意味します。
従来、経済効果と社会的価値の創出は相いれないものだと考えられてきました。しかし、その問題に対して両者の両立、ひいてはお互いがお互いを高め合う状況を目指すのがCSVといわれています。
平均寿命100年となる時代に、すべての人が「学び、つながり、成長し続ける人生を生きる」ために、社会システム全体が転機を迎えています。
ここでは、斎藤徹著のインターネットの時代、「3つのパラダイムシフト」について紹介いたします。
テクノロジーがもたらした3つのパラダイムシフトについて、
① ゲームのルールが変わった「デジタルシフト 1995年~」 顧客の幸せを探求し、常に新しい価値を生み出す「学習する組織」
② 人々の関係性が変わった「ソーシャルシフト 2008年~」 社会の幸せを探求し、持続可能な繁栄をわかちあう「共感する組織」
③ 一人ひとりの生き方が変わった「ライフシフト 2020年~」 社員の幸せを探求し、多様な人が自走して協働する「自走する組織」
こうした社会の変化が、組織に大きな影響を与えてきています。
価値を生む源泉が、効率性から創造性にシフトしていくと、それを実現する組織についても、「お金視点」から「幸せ視点」へとシフトが変わりつつある。といわれています。
デジタルシフト | ソーシャルシフト | ライフシフト | |
---|---|---|---|
開始年 | 1995〜 | 2008〜 | 2020〜 |
変容したもの | 事業のルール (場所と情報) |
関係性 (資本とつながり) |
生き方 (多様性と包括) |
新しい価値観 | アイデアだけで 起業できる |
持続可能な繁栄を わかちあう |
多様な生き方を 受け入れる |
繁栄するカギ | 技術とスピード | 共感と信頼 | 自立と対話 |
衰退する企業 | 既得権益に多様る企業 | 強欲な企業 | 統制する企業 |
求められる組織 | 学習する組織 | 共感する組織 | 自走する組織 |
幸せの視点 | 顧客の幸せ | 社会の幸せ | 社員の幸せ |
ライフシフトでは、「自走する組織」が挙げられていますが、組織だけでなく、労働者にも「自走する人生」が求められています。
人生100年時代には、40代半ばから定年後の自身の自走人生を見据えてキャリア形成が必須となってきています。
また、幸せの視点からは、「社員の幸せ」から経営、マネジメントを考えていく時代に突入してきています。
自走する組織には、リーダーシップもシェアードリーダシップ※へ、そして、内発的動機付けをどう促進していくか、その為には「働きやすい職場づくり」をどう構築していくのか。組織にとっても必然とテーマになってきました。
※シェアードリーダーシップとは、チームに所属するメンバーが個々に影響力をもち、リーダーとしての役割を担うことをいいます。
環境が変化しやすいVUCA(ブーカ)時代においては、複数人がリーダーシップを発揮し、多様な考え方や価値観に基づいて業務を行なうことが有効とされています。
働きやすい職場づくりには、組織モデルとして、ダニエル・キムが提唱した「成功循環モデル」が挙げられます。
成功循環モデルとは、『 ①関係の質 ⇒ ②思考の質 ⇒ ③行動の質 ⇒ ④結果の質 ⇒ ⑤関係の質 』 のことです。
① 安心・安全の場で率直に話し合える場をつくり、信頼関係を築く ⇒ ② 前向きな気持ちになり、いいアイデアが生まれる
③一人ひとりが自律的に行動し、問題がおきたら助け合う ④自然にパフォーマンスが高まり、成果がでる ⑤組織への帰属意識が高まり、さらに結果が深まるです。
関係者の共感を得て、みんなで「成功循環モデル」を創っていくには、まずは、「関係の質」が基本です。
そこには、以前も何度かテーマにしていますが、「関係の質」を高めるには、「心理的に安全な場づくり」がキーとなってきます。
そして、「心理的に安全な場づくり」は、それぞれの立場・役割を超えて、人として “対話”しながら取り組むことからスタートすると思います!
参考資料:斎藤徹著「だから僕たちは、組織を変えていける」
何かお役にたてることがありましたら、気軽に弊社にご相談くださいませ。
電力が「や・ば・い」
◇DXへ3つの不足
原田です。
DXにWEB3、ますます高度な情報化社会へ拍車がかかっています。こうしたなか、その実現を妨げる3つの不足があります。それは「人材」、「半導体」、そして「電力」です。これからどうも「電力」がやばそうです。
人材に関しては特にAI関連の人材が不足しています。大手企業はリスキリングに力を入れています。新聞やビジネス誌の記事を読むと、かなり手厚い待遇です。給料をもらいながら、最新の知識を存分に勉強できるなんて、しかもその知識を使える場所があるなんてうらやましい限りです。AI人材は世界で引っ張りだこで、多く若い人たちがこの分野へ進んでいます。さらに中高年への教育体制も整備されています。ある程度、不足感は減っていくかなと思います。
半導体は現在あらゆる機器に組み込まれています。それもプログラムを実行するだけの単純なものでなく、高性能、小型化、低電力消費、高耐久性が求められます。半導体不足の原因は実に様々要因が複合的にからみあっています。コロナ禍によるリモートワークの進展も大きな一つの要因だっと思います。それでも半導体は需要があれば、供給が増えるので、いずれは解消されると思います。
そしてこれから本格化するのが電力の不足です。日経ビジネスの記事で、国立情報科学研究所の教授が「5年ほどしたら、動画配信やメタバースに制限がかかる可能性がある」と警報を鳴らしていました。これまでのように、思う存分に動画を観たり、ゲームで遊んだりできなくなるかもしれません。当然、仕事にも影響はあるでしょう。
◇増加する電力消費
現在、ウクライナ情勢の影響もあり世界的にエネルギー価格が高騰しています。日本でも冬にはかなりの電力不足になりそうです。世界的にカーボンニュートラルへの取り組みが進むなかで、昔のように化石燃料には頼れません。だからといって日本の場合、原子力発電の割合を高めるのも、議論がまとまらないような気がします。
このような背景のなかで、我々が使う一人当たりの電力は年々急激に上昇していると思います。思いますというのは正確なデータを測ることができないからです。
スマホで映画を観るとき、消費する電力はスマホのバッテリーだけではありません。大量のデータを処理するために、ネットワークの向こうでは、様々な通信機器、そして巨大なデータセンターにある高性能のコンピューターが稼働しています。こうして考えると我々が実際に必要とする電力はかなりのものになると思います。
科学技術振興機構は、2021年の発表で、ICT関連の消費電力の著しい増加を予測しています。30年までに、データセンターで6.4倍、ネットワークで4倍に増加するそうです(18年と比較)。インターネットのトラフィックも年率20%を超えて増加しています。その半分は動画配信です。当然、その割合が高いのは、みんなが大好きな「YouTube」と「ネットフィリックス」です。
◇スケールが違うビットコインの電力消費
さらに、すごいのが、ビットコインのマイニングの消費電力です。ビットコインの仕組みがわからないとピントこないかもしれません。ビットコインでは、複数の民間の事業者がマイニングという作業を行います。このマイニングを行う事業者は営利を目的とし、高性能をコンピューターを所有しています。このコンピューターの電力消費も半端ないのです。
ここで突然、中央アジアのカザフスタン共和国が出てきます。カザフスタンは、ビットコインのマイニングに国家として協力的で、電力も安いため、マイニングを行う会社が集まっています。中国でマイニングを禁止された会社も相次ぎ流入しています。結果として世界第2位のマイニング電力消費国家となりました。電力消費の増加率が21年は8%という以上な伸びでした。カザフスタンでは原子力発電の新設を検討し始めているということです。
仮想通貨はビットコイン意外にも、様々な種類のものが出てきています。その基盤となるブロックチェーン技術は、これからのWEB3の時代へ向けてより多くの分野、用途で使われることが想定されます。
ますます使われる電子機器が高性能になり、使われるデータが増加し、消費する電力も増加していきます。こうした背景の中で、化石燃料には頼れず、簡単に原子力も使えないのです。カーボンニュートラルへの取り組みもまったなしです。本当にいったいどうするのか、だれか真剣に考えているのかなーと思います。
◇来たるべき電力不足に向けて
これまで多くの企業ではDX化に向けて、人材、半導体の不足に悩まされてきました。それが近い将来、慢性的な電力不足に悩まされることになりそうです。
ではどうすればいいのか?大企業であれば再生可能エネルギーを使った発電設備を建設すればいいかもしれません。でもそこまでの投資ができるのは、世界でもごくわずかの企業です。中小企業は手の内ようがないのでしょうか?
電力不足への対策は、時短とリモートです。短い勤務時間でも生産性が上がる仕組みを作ること、そしてリモートを進めることです。電力不足が深刻化すると、夜間の電力消費に制限がかかると思います。これまでのように夜遅くまでみんなで集まって働くことは難しくなると思います。コロナ禍の行動制限がなくなったあとには、電力不足による行動制限があるかもしれません。
時短とリモートは地味な取り組みですが、他に決定的な方法はありません。でもこの2つをうまく取り入れれば、企業の生産性は向上します。たとえ深刻な電力不足が起こらなくても、その取り組みは企業のメリットになります。電力不足が本格化する前に、本気で取り組む必要がありそうです。
新規事業の旅 その11 未だメーカーと称す危険性
早嶋です。
前回、NBとPBで顧客接点を持つ販売店やECサイトが力を増し、上流工程のNBを保持するメーカーに対して自社のPBの製造依頼をする小売業が強くなり、立場が逆転する話を書きました。今回は、この取組を法人ビジネスに当てはめてみます。同じことが言えるのです。
(エンドの声が聞こえないメーカー)
まず、メーカーの成り立ちを考えてみます。メーカーですから、社会課題に対して何らかの解決策を商品(製品・サービス・技術)で解決する事を考えます。そのため起業するメンバの多くが商品を企画して実際に形にするチームです、いわゆる技術屋さん、モノづくりを主体とするチームです。当然、企画立案したアイデアが直ぐに形になることは無いので、思考錯誤をしながら商品開発を進めます。
起業したチームは潤沢な資金があるわけではないので、常に資金繰りに奔走します。商品化は時間がかかり集めたお金も瞬時になくなる。そのような産みの苦しみが常に続きます。そして漸く商品が完成しても、売れません。商品化に力点を起き、マーケティングして顧客にアプローチすることを考えていないからです。社長がたまたまトップセールスができれば良いですが、その力が無い場合は、売ることが得意そうな企業に販売をいたくします。早く商品を販売してキャッシュを稼ぎたいのです。
とここまで考えてみると、メーカーはモノづくりをするこに力点を置く。販売やその後のフォローは時系列で考えるとだいぶ後の取り組みなので、初めから考えません。実際は、考えてスタートしていると思いますが、商品化がうまくいかず、時間がかかってしまい、キャッシュフローが途絶えて資金繰りが苦しくなると、兎に角商品化に資金をつぎ込み、販売やその後のフォローなどを考える余裕がなくなるのです。
そのため世の中には販社や代理店が沢山存在しているのでしょう。昔は、商品を企画して製造する上流工程が力を持っていました。市場が商品を欲しており、商品を出すと売れたからです。しかし、今はあらゆるものが充足しているため、そんじょそこらのイノベーションでのひねり出さない限り大変です。まず売れません。そのため徐々に販売やマーケティングが強い会社が事業の主流のようになり、メーカーの販売をサポートしていました。そしてスマフォが普及して、皆がSNSで気軽に連絡を取れる昨今、顧客との関係性が強い企業が強くなるのです。
(メンテナンスが強くなる)
法人企業も同様に観察できます。メーカーは、研究と開発が仕事の花形でした。従い、営業や商品のインストールといった現場に近い、顧客に近い仕事はどちらかと言えば、入社成績が低い方々が行く場所。という雰囲気がありました。少なくとも20年頃前は。現場は現場で、いつもインストール納期に追われるので、現場に収めて設置、あるいは機器の立ち上がりが確認できたら次の現場にむかいます。そのため、現場で実際のメーカーの商品が使われている状況を誰も管理していなかったのです。これも20年前。そこに、ようやくIoTやネットワークの技術が出てきた頃に、現場での使徒を監視することが最も価値のある取り組みだ。となるのです。
当然、横河電機やキーエンスのように、現場がすごく重要で、現場でのデータの蓄積を上流工程の研究や開発に活用することが将来の収益を生むことにつながる。という法定式を昔から大切にしている企業は、現場も自分たちの資本参加でフォローを続けます。しかし一般のメーカーはメンテナンス部隊は、地域の販社や下請け会社に委託して相変わらずものを開発しては売ることに精をだしました。
現場では、サイトやプラントを管理する責任者は2年から3年置きに責任者が変わります。メーカーが商品をインストールした数年は、メーカーマターでも定期点検でその商品の稼働状況を把握していましたが、時々現場の担当者が変わるたびに、徐々にメーカー指定の保守メンテナンスの関わりが薄くなり、自分たちで独自に管理するようになるのです。というのも現場の管理者は数年で現場を変わることが多く、そのために評価されるには、日常のメンテナンスコストをいかに安くするか?という極めて短期的な取組でしか考えなかったからです。その結果、現場サイトにどの商品が、どのような理由でインストールしているかを把握している人が極めて少なくなるのです。
しかし、現場ではトラブルがつきものです。現場のメンテナンスを引き受けている会社や地場の企業は、特定のメーカーのメンテナンス知識だけを持ってしてもトラブル解決はできません。そのため時間をかけてどのメーカーの商品がどのメーカーとコミュニケーションを行いながら、どの程度使われているかを体系化して蓄積していくのです。
そして、近年。ここに活路を見出したメンテンス企業は、施設のオーナーに対して、資産を最大限活用するためのアドバイスを現場の責任者ではなく、プラントの専任者、あるいは事業の責任者に対して提案するようになります。これまで断片的にしか現場の資産を把握していなかった事業の責任者は、プラントまるごとの運営ノウハウと知見を持っているメンテナンス屋さんの声は非常に合理的にうつるのす。
そして小売業よろしく、顧客データを握ったAmazonが上流工程に繰り出すように、B2Bの現場においても、メンテンス企業が上流工程のビジネスモデルを研究して、より良いソリューションを提案することができるようになるのです。これを40年前から行っている企業はキーエンスで、2,000億の売上に対して1,200億の利益を稼ぐ理由でしょう。
(データを取得できる技と経験)
現場が今後強くなる。メンテンスを行っている企業からすると嬉しいが、すべての現場やメンテナンス企業に当てはまるとは限りません。大事なことはまず、自分の仕事を完全に把握していることです。そしてクライアントから言われたこと以外に、相手の仕事内容を理解して、その上で相手のメリットを考える視点と行動を常に行うことが大切です。
例えば、メンテナンス企業といっても千差万別です。委託先のメーカーに、この部品をこのルール通り交換して。という指示をマニュアル通りに受けこなす企業は、常にメーカーからいくらで交換してという価格交渉にさらされます。この仕事にも一定の技術は必要ですが、ある程度の人材が経験を積めば誰でもできる仕事です。そのため競争する相手は一定数いるので、需給バランスやパワーバランスによってクライアントからの言い値を受けるしかありません。
今後、力を発揮する企業は、「なんで、この部品を交換する必要があるのか?」と考え、「この部品を活用している機構はどのような目的で、どのような運転をしているのだろうか?」とか、「プラントや設備はどのような人がどのような理由で経営しているのだろうか?」とか、その仕事の上流工程の取組や自分たちの仕事の下流工程の取組を理解しようとしている組織は、「だったらここまで我々が行うことで、上流工程の企業はもっとココに資源を集中できるのではないか?」「だったらそれらを提案しながら我々も価格交渉をしよう」と考える組織です。
現場や顧客接点に近い組織に価値がますということは、普段の取組から意識するだけではお金になりません。そのデータを集めて、分析して、それらをしかるべき相手に提案して納得いただいて、はじめて価値になるのです。しかし、そのような視点で取組提案ができる組織は、小売のAmazonのように顧客接点を基軸に上流工程のメーカーよりも力をます。ということも可能になるかもしれません。
新規事業の旅(その10) NBとPB
新規事業の旅(その9) 採用
新規事業の旅(その8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(その7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(その6) 若手の教育
新規事業の旅(その5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(その4) M&Aの成功
新規事業の旅(その3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(その2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(その1) 旅のはじまり
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