早嶋です。
2020年7月、8月にオリンピックがあり、その後都内の大規模開発は莫大なオフィスを供給する。というのが従来のシナリオでしたが。
コロナウイルスの影響により、企業規模が大きなところほど在宅勤務を普及させて、オフィスそのものの必要性に再考する動きが出てきていると思います。
通常、企業における地代家賃は人件費を除く販売管理費項目の中で最も大きな経費です。およそその経費は、粗利益の10%〜20%が相場で売上の10%前後が適正な値になります。従って3日分の売上相当ということがわかります。
12月から確認された武漢ウィルスは1月、2月に日本でも影響が出てきて、3月、4月、5月は確実に日本企業に大きな打撃を与えています。2020年5月17日現在で緊急事態宣言の対象は39県を除外するとしていますが、スタートアップな中小企業のオフィス解約の動きが始まっています。
また大手企業のドワンゴ(ニコニコ動画の運営)は、新型コロナの終息後も全社員の約1,000人を原則在宅勤務にするようです。今回の一連の緊急事態宣言での強制的な実験で自宅であっても動画の編集作業が対応可能であることを確認したのが理由です。通勤時間も不要で業務効率も高まったと判断したのです(日経新聞参照)。
インターネット関連の大手GMOは今後の方針を次のようにしています。「人が増えてもオフィスの増床はしない。浮いた費用は社員に還元する」と。
大企業のドワンゴの動きは少し極端だとしても、今回の緊急事態宣言はオフィスで働く必要性がかなり薄れスタートアップや新興企業からすると固定費に占める家賃の負担を鑑みて縮小する動きは確実に増えると予測できます。
都内23区のオフィス賃貸面積の内、スタートアップや中小企業向けの中規模ビル(1,000m2〜1.6万m2)がほぼ半数をしめています。この層が積極的にオフィスの不要を唱えるとインパクトは大きいですね。
そもそも都内はオフィスが不足しているということで大規模開発が続いています。しかし、このままテレワークが日常になればオフィス面積は縮小傾向になるでしょうからオフィスの空室率は数%台から確実に10%後半から20%程度に増加するのでは無いでしょうか。その結果、賃料がの下げが可能性としては続くと思います。
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2020年5月 のアーカイブ
オフィス不要論
スーパーとコンビニ
早嶋です。
新型コロナの影響下、コンビニとスーパーの需要に大きな変化があります。そもそもコンビニやドラックストアにスーパーは押され気味だった背景は、少子化であったり核家族化であったり、もっと言えば食の個食化にあったと思います。それが緊急事態宣言とともに、スーパーでまとめて買うという昔のような消費者行動が戻ってきたのです。
全国スーパーマーケット協会の統計によれば2020年1月まで実に15ヶ月連続のマイナス成長です。消費税の軽減税率なんて全く関係なく業界全体で低迷が続いていました。それが2月は5.5%増、3月は7.4%増、4月は緊急事態宣言と共に2桁増のスーパーが続出しました。
この感覚は実際に生活していても感じます。普段のスーパーと明らかに人の混み合いが違います。はじめは休日だから混み合っていると思いましたが平日でも基本スーパーは混み合っていました。
外出が自粛され家族が集まるため、スーパーでまとめ買いする消費者行動が定着しているのです。対してコンビニは単身世帯や独居、そして家族住まいでも個食を対象としていたため、2月頃からの世帯の消費者行動の変化に対応ができなくなっているのでしょう。
コンビニは、立地がよく利便性が高い一方、定価に近い価格で販売するビジネスモデル。しかし、この状況下、少しでも現金を手元に残そうとする消費者心理はやはりスーパーに向いたのでしょうね。考えて見れば当然の流れですね。
コンビニの中で最も苦戦している戦略は、オフィス街に積極出店した店舗でしょう。都内の従業者だけでも900万人のポテンシャルがあった街のコンビニ需要は外出を控える一連の動きで打撃が大きいことは予測できますよね。特に、近年は彼ら彼女らのランチの需要まで取り込んでいましたからやはり直近付きの売上は軒並み前年付マイナスですよね。
特にファミマは積極的にオフィスや駅前の都心部に出店をしていたため最も売上減少が大きく15%近く下げています。一方でセブンは首都圏の住宅地の近くに立地を展開していたためコンビニ3社の中で最も減少幅が少ないです。それでも5%減少ですから業界的にいかにダメージが大きいかわかります。
今回の落ち込みは一時的なものではなく、継続すると考えると、コンビニは立地戦略を見直す必要がでてきますね。それから商品の品ぞろえもです。
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電力会社が見出した新たなジョブ
ジョブ理論の実際の事例を解説しています。今回は電力会社の事例です。従来の電力会社の取組は、電力を発電して、電気を送り配電して、そして小売するというものでした。しかし、昨今の電力の自由化によって、電力会社も競争の波にさらされています。
近年、電力会社は電気を売るという事業を更に追求して、本来企業が掲げていた企業理念にのっとって、顧客により沿う形の取組をはじめています。今回は、そのような事例を今後行うであろう東京電力の話を絡めて説明しています。
ポイントは、電力メーターの情報をジョブ理論の発想の前は「請求するためのデータ」と捉えていたのが、ジョブ理論の発想の後、「顧客の生活を豊かにするためのデータ」と捉え直したことです。
こうすることで、スマートメーターを活用して電力のデータに加えて、水やガスなどこれまで電力会社が関係なかったデータを一緒に整理することで、より顧客に寄り添ったジョブの解決ができるようになるのです。
見せかけのジョブの対応
早嶋です。
顧客のジョブを解決する商品。はじめは飛ぶように販売出来ていたのに、途中からだんだん売れなくなる。そんな時、実は解決するジョブが徐々に変わっていき、見せかけのジョブになっている場合が多いです。動画ではWeb会議を事例に解説しています。
ーー動画の紹介ーー
「Web会議システムいかがですか?」という営業をしていて、「今検討中です」という顧客の声をうのみにしていませんか?
実際、コロナ禍の中、多くの企業はWeb会議システムに対しての必要性はあるでしょう。正確な統計はありませんが、2019年時点での国のテレワークの実態調査では14%の企業が導入済で、導入してない企業の多くが検討中でした。当時は、オリンピック期間の7月、8月が移動が出来ないだろうから、テレワークの導入を進めなければならないというインセンティブだったので、導入企業は少ないなと思っていました。
しかし、去年の12月頃から今年の1月にかけて、世界は一転しましたね。少なくとも、これまでの状態での仕事が成り立たなくなるからです。では、そのような状況下で、テレワークの実態はどうかと言えば、強制的にテレワークになっているだけで、自宅にいる社員に対して仕事をしてもらえる環境も整っていなければ、その体制もない。というのが結構聞くところによる実態のようです。
中小企業からすると、実に理解できないのですが、大きな企業は一定の方々実は真面目に仕事をしていけば、他の人が仕事をしなくても、そこそこ回っているといる実験が行われているわけです。
話を戻します。このような中、ではテレワークは進んでいるかと言えば、私の感覚で、実際の導入は2割程度と変わっていないのではないかと思います。そして、今まさに、残りのメインストリームの市場に各社が提案を進めている状況なのでしょうが、中々営業が上手くいかない。そのような状況ではないでしょうか。
もちろん、物理的な営業が出来ない。というのもあるでしょうが、実は見せかけのジョブに騙されていると思うのです。どういうことかと言えば、先に書いた事例で中小企業の経営者が「検討中」というのは、何を意味しているかが解らないということです。本当に真剣に検討しているのか?実はセキュリティを気にしているのか?あるいは、ソフトだけではなく会社や環境のPCやマイクやヘッドセットのことを気にしているのかを営業側が掴んでいないからです。
本来、営業マネジメントは、そのような突っ込みを入れて部下の営業パーソンをコーチングして本来の顧客のジョブを把握するように教育すべきですが、そこまで能力がない方も多いでしょうし、他の仕事で忙しくてかまけてられないのかもしれません。
今回は、そのような状況においての考え方や打ち手について話しています。
やりたいこと VS できること
早嶋です。
節目の時期になると、「今の仕事は楽しくないな」「そろそろ自分のやりたいことに挑戦したな」とか、いろいろな考えを頭がよぎると思います。そのような時によくお話する内容です。これは、全て仕事における相談ですので、
仕事=顧客のため、あるいは社会のために何かをすること
という定義のもとで考えてみます。仕事は顧客や社会から評価をされてはじめて対価である金銭の受取が発生します。従い、仕事において成果を出すことは必須です。そこに対して、提供側が、「やりたいこと」「楽しいこと」「挑戦したいこと」など、はじめに成果を度外視した基準で考えることはどうでしょうか。もちろん、やらないと成果が出るか否かがわからないので、ここは挑戦そのものを否定しているわけではありません。それよりも、そのような気持ちが強くてモヤモヤしている時に、付け加える視点についてお話をしています。
次のことを考えてみて欲しいのです。
「あなたの今の才能を活用して成果を再現性高く出せることは?」ということについてです。今の仕事がたのしくないけど、そこそこ成果を出せている、淡々と仕事をしていて、つまらない、でも顧客からは一定以上の評価がある。というような状況の時はあなたの才能が活かされている領域であることは間違いないと思います。一方で、今の仕事について楽しい。やりがいがある。でも中々顧客や会社組織から評価されていない。という場合は、逆に、あなたの才能が活かされる場ではないことの可能性も考えられます。
そのために、気持ちだけで自分を評価するのではなく、そのような時こそ、過去の取り組みを棚卸して、自分としてはそんなに努力も苦労もしていないけど、結果的に周りから評価されて成果を出していることを見出していくのです。もし、そのような取り組みをしても何もない場合は、あなたがいる場がひょっとして適切でない場合が考えられます。その場合は、自分の才能が生きる場に自分から移動した方がよっぽどいいでしょう。
逆に、既にそのような場で自分の過去の取り組みから評価されている分が多々あるのであれば、あなたにとってその仕事が最も適しているのです。その場合は、その仕事を楽しみながら行う工夫をすることで、成果もあがり、気持ちも楽になります。心は自分でコントロールできますが、成果は他社の評価になりますので、一方的に自分の才能を伸ばすことで解決しにくい部分があるのです。
3密を守りながら問題解決を実践
原です。
私は3年前から、福岡と大分の2拠点生活を実施中です。
福岡では、本業の企業コンサルティングや研修講師に取り組んでいます。
大分では、田舎の古民家や農地を活用し兼業の農業や栽培実験に取り組んでいます。
最近のコロナ感染の休業要請や自粛により、私も本業の案件中止や延期が続き多忙な生活から暇な生活へと変わりました。せっかくなので、この暇な時間を有効活用して以前から時間があれば取り組みたいと思っていたことを3密を守りながら実行しました。
因みに、タイムマネジメント分野では、このことを第2領域と言います。第2領域とは、「重要なことだけど緊急ではない」領域です。本当は重要だと分かっていても緊急でないことから、なかなか実行できずに後回しになりがちです。
しかし、本来は、後回しにせずに計画を立て実行することで仕事や生活の豊かさが高まる優先すべき大切な領域です。
私にとって、兼業の農業や栽培実験は、仕事も生活も豊かにする第2領域であることを認識し、さっそく実行しました。
私は、問題解決のコンサルタントですので、これを機会に農業をテーマに問題解決の実践に取り組みました。
兼業の農業では、稲作・野菜畑・茶園の作業に取り組んでいます。そして、以下のようなテーマを考えてみました。
なぜ、昨年は多くの稲作農家が不作だったのか。
なぜ、あの畑の野菜が一番美味しいのか。
なぜ、お茶の芽の伸び方が違うのか。
なぜ、野生の山菜は、手植えよりも香りが強いのか。
なぜ、野猿は、蓮花が多い田んぼに来るのか?蓮花の蜜を吸うのか?蓮花の蜜は他の花より栄養が豊富なのか?
以上のように、5分ぐらい考えただけでも100個程は思い浮かびました。
例えば、私が「農業」をテーマに取り組み続けている問題解決の実践例です。
●問題解決:実践編1(テーマ:農業と食)
・ありたい姿:安心安全な農産物の生産により、健康な人生を多くの生活者に提供したい。
・現状:日本では、安心安全な食が求められる一方で、化学肥料や農薬や除草剤の散布による農業(農産物)が多い。
・問題定義:有機無農薬農業に取り組む生産者数は少ない。
・課題:有機無農薬栽培の価値を向上させる。
・解決策:地域で取り組む有機無農薬茶園を継続し、地域ブランドとして価値向上に取り組む。
・実行:地域の生産者と協力しながら有機無農薬茶園を継続する。茶園以外でも有機無農薬農産物の栽培研究に取り組む。
・検証:有機無農薬農産品は、熱烈なオーガニックファンに強く求められており、差別化による有利販売が向上している。
●問題解決:実践編2(テーマ:新茶の生産量)
・あるべき姿:新茶の芽が伸び例年並みの茶葉量を生産
・現状:新茶の芽の伸びが遅い
・問題定義:前年に比べて新茶の芽の伸びが悪い
・課題:茶摘み前の剪定作業を見直す
・解決策:剪定時期を早める。剪定技術を高める。
・実行:剪定時期を前年より2週間早めた。操作方法を改善し剪定技術を高めた。
・検証:新茶の芽の伸びが改善でき、例年並みの品質と収穫量を維持できた。状況に応じて剪定時期と剪定方法を変更することが必要。
問題解決のステップは、①テーマ決定、②問題定義、③原因分析、課題整理、④解決策立案、⑤実行、⑥検証となります。
上記のステップは、多くの方が知っていることですが、実際に実行している人は少ないのではないでしょうか?
実行しない理由は、「面倒しい。時間がかかる。問題は解決できない。難しい。」などを感じているのではないかと思います。
もちろん、何事も「言うは易く、行うは難し」です。しかし、実践してみると不確実なことや失敗からの本質的な学びがあり、問題解決のステップを繰り返すことで成功につながる可能性が高くなります。
そして、小さくても成功を創出できることは、自信にもつながり仕事だけでなく人生を豊かにする貴重な経験になるのです。
メンタルヘルス「コロナ疲れの対応」
安藤です。
新型コロナウィルス感染拡大により休校や外出自粛が続く中、メンタルヘルスの影響が心配されています。
「命の電話」など相談窓口には、心の不調を訴える相談が急増し、アルコールなど依存症への対策も求められています。
専門家は「ストレスや不安を感じやすい環境にある」と警鐘を鳴らしています。規則正しい生活リズムや子どもへのケアなどの必要性を訴えています。
日本うつ病学会は国際学会の提言「こころの健康維持のコツ」を翻訳してHPに掲載し、世界保健機関(WHO)
も『ストレスへの対処方法』を周知しています。具体的には、6つあります。
1.友人や家族と連絡を取る
2.健康的な生活習慣を心掛ける
3.気持ちを落ち着かせるために、たばこや酒、薬物に頼らないようにする
4.正確な判断に役立つ情報を集める
5.不安をあおる報道を見たり聞いたりする時間を減らす
6.これまでに逆境を乗り越えた時に役立った方法を活用する
WHOの「COVID-19流行による ストレス対処」より
リモートワーク、在宅勤務へ勤務形態を切り替える企業が増えている中、ご自身の集中力、メンタルヘルス維持のために、マインドフルネスをご紹介します。
マインドフルネスに関する脳科学の研究(Tang (the Texas Tech Neuroimaging Institute ) et al., 2015)によると、マインドフルネスの状態が「注意のコントール」「感情の制御」「自己認識力」を司る脳の領域を変化させることが報告されています。
ぜひ、この機会にマインドフルネスやってみませんか?
メンタルヘルス研修,キャリアドッグ,EAP,心理学を活用したコミュニケーション研修,EQ研修, ご興味・ご関心がある方は気軽に弊社にご相談くださいませ。
新しい商品を提案するためには?
解決したことがないコト。提案したことがないコト。新しい取り組みに対しての提案。正に今の状況下での事業にかんしてですが、皆さんはどうしますか?ということについてのヒントをジョブ理論を絡めてお話しています。
事例は、企業研修ですが、具体的な事例(現在進行形で答え無し、現時点で)を知ることで他の事業や他の商品に転用するイメージを持っていただければと思います。
(動画の中身の解説)
with コロナ、after コロナなる言葉が浸透しつつありますが、多くの企業が将来の取り組みに対してどのようなアプローチを取ればよいのか不安な状態だと思います。これまでの状況は企業が何かを提案する際に、顧客の前提として、その顧客がどうしたいのか?つまり、「顧客が成し遂げたい進歩」が明確だったと思います。顧客の希望がある程度分かっていれば、現状やこれまでの取組を参考に、ある程度決まった枠組みでの商品の提案や取引が出来たからです。
しかし、現在の状況はことなります。今後の取組や今後の状況が全く読めないのです。従って企業も「成し遂げたい進歩」そのものが分からないため、いわゆる問題が発生していないように思えてしまいます。そのような場合、本来は、先のビジョンを示して強烈な未来を構想して、そこに向けて組織一枚岩になり進むのでしょうが、かなりのリーダシップが必要になり、実際とても大変な仕事になります。
そこで、企業として何らかの価値を顧客に提供して事業を行っている場合、今後どうすればよいのかを、ジョブ理論のフレームワークを使って解説しました。
ポイントは、不安定な状況の場合、現在問題のアプローチではなく、将来問題のアプローチで行うこと。そのために、再度、企業(つまりは顧客)の置かれている状況に加えて、その前後の背景をしっかりと把握して整理すること。その上で、その企業が向かうべき姿を示す、或は向かうべき姿を創造する過程に寄り添うことです。
確実に将来問題のアプローチになりますので答えはありません。その場合は創る、あるいは一緒に創りあげるのです。
通常、提供する側の方が、商品を提供される側よりも、その商品を使う状況について豊な情報を持っているはずです。そのため、顧客に対しては、現時点でのケーススタディとして他社の事例や他業界の取り組みを示しながら、その先のイメージを一緒に見ていくことが大切です。その際に鍵となる理解は、ウォンツを作りための学習と経験です。
エンゲル係数の増加
早嶋です。
コロナ前後で変化する指標にエンゲル係数があると思います。みなさんは、エンゲル係数が今後どうなると思いますか?
エンゲル係数は、1世帯あたりの全消費に占める食費の割合です。つまり、以下の数式で表現できます。
エンゲル係数 = 食費 / 1世帯あたりの全消費
エンゲル係数を上げるための取り組みは、①分子である食費を増やす、②分母である全消費を減らす、の2つの方向性が考えられます。エンゲル係数は、ドイツの社会統計学者エルンスト・エンゲルが1857年の論文で発表しています(※1)。エンゲルによれば、エンゲル係数の数値が高いほど生活水準は低いとされます。食費は生命維持と直接関係があるので、嗜好品や娯楽品と比較して削られる可能性が極めて低いです。
そのため、景気が良いときは②の食費以外の消費が増え結果的にエンゲル係数が下がる。景気が悪いときは②の食費以外の出費が抑制されるため結果的にエンゲル係数が下がる。というものです。この数値は世帯構成や生活習慣によって多少は頃なり地域や国によるバラツキはあるようですが、概ね経済の指標として受け入れられる。という学びを経営修士の経済学で学んだことを思い出します。
戦後からバブルまでの日本の同指標はまさにエンゲルの指摘通りになっていました。戦後間もない頃のエンゲル係数は60%台と非常に高く、その後の復興、そして経済成長とともに数値が減少しました。2000年代前半には20%台前半の数値を示すようになります。
当時のエンゲルの前提に、巣篭もりやリモートワークという概念はなかったと思います。新型コロナウィルス対策のため、このまま休校からリモート学習、リアル出勤がへりリモートワークが定着するとどうなるでしょう。これまで自宅にいる時間が増えるので、水道光熱費やトイレットペーパー代など家族と共有する時間は増えることが考えられます。そして同様に食費も増えるでしょうね。
実際、ここ1ヶ月、スーパーが去年の今頃と比較して常に混んでいると感じるのでは無いでしょうか。巣ごもり前は、昼の食事は外や会社で食べ、夜も会食があり、自宅で食事をする機会は少なかったと思います。出張等で他のエリアにいる場合は、食事を外で食べざるを得ませんよね。しかし、リモート、外出規制があることで食事は皆で家で食べるようになると当然食材を買う回数も量も増えるわけですから食費は増えるのです。4月7日の2月の統計調査では食費は7.5万円と昨年の数値と比較して4.2%も伸びており、4%を超える伸びは7年ぶりだそうです(※2)
2020年2月のエンゲル係数が34年ぶりに25%台になったそうです。実に1986年以来のことだとか。さて、エンゲルが示したように日本は貧しくなったのか?という解釈ですが。巣ごもりによって①分子である食費は確実に上がっています。豊かな家庭は、この機会にお取り寄せを増やしたり、テイクアウトを楽しんだりと家での食事を充実させていることでしょう。食品会社の方々から話を聞くと、法人向けの飲食需要は減少しているが、家庭向けの食品が急増していると。従い、いってこいの稼働状況だが、利益率は下がっていると。法人向けが大容量で出せる分、利益が載せられるのは推測が付きます。話を戻しますが、①の分子である食費はやはり上がっているのです。
次に、②の分母の全体の消費です。巣ごもりによって、クレジットカードの請求が急に減ったと思います。あるいはスイカのポイントの入金等も。当然、ネットで通販消費は幾分増えているでしょうが、全体としては減っていますよね。移動における交通費がほぼゼロになっていますよね。そうすると、本来使っていた消費が減ることで、そもそも消費しない状態。あるいは、それを別に振り返る。でも外に行けないので結局食費や家庭内を充実する支出に変えていく。という行動が起こるでしょう。
一方で、生活が不安だと感じる家庭は、逆にその資質をセーブすることとなり、結局は②の食費以外の消費が減る分、分母全体が減ることになります。個人事業主などの場合は、3月の後半頃から急激に家庭の収入が激減していることを受け、やはり一時的に食費などの生命維持に欠かせない出費以外は抑えざるを得ない状態になっていると思います。
巣ごもりの前提を仮にエンゲルが入れていたらどうでしょう。最終的には不安が無くなった場合でも、外出そのものができにくい状況が続き、収入がこれまで通り安定しているという安心感がある状態になったとしましょう。すると人の消費は、内の投資にむくでしょうか。つまり、家の投資であったり、車の投資であったり、あるいは衣類やアクセサリーや化粧品などの投資です。
家や家具の投資は考えられますが、既に機能は満たしているので急激に投資をすることはきっと私は考えにくいと思います。車に対しては、外出したところで行動範囲が限られているので、最低の機能で良くなるので高い投資は控えるのでは無いかと思います。移動の制限によって、他者に見せる、触れさせる、他者をみて好奇心が湧く。という欲求がそもそも下がると考えられるからです。
当然、SNSによって他者のきらびやかな生活を見ることで物欲は枠でしょうが、それでも半径30cm程度を充実させて、そのフリを演出することは十分に可能です。Zoomで会議をしても、これまで通り上下をおしゃれにする必要ななくなりました。下半身は結構ゆるゆるのスタイルが多いのではないでしょうか。
となると最終的には食べるとか、寝るとかの充実は高まりますが、やはり毎日の出費が連続的に増える部分に食費が高まるという結果になるのではないかと思います。従って、極端に戦後の頃のうように60%台になることは考えにくいですが、25%〜30%程度に上がることは間違いないのではないかと勝手に推測した次第です。
※1:Wikipediaより参照
※2:日本経済新聞 2020年4月28日 オカネのトリセツより参照
お客様の心を動かすマーケティング
高橋です
毎月この1か月間にお会いした人、会社の中から、私が選ぶ The most impressive Meeting(最も印象に残る出会い)を皆様にご紹介してまいります。
今月はコロナ自粛ということで書籍を紹介します。神田昌典さん著「不変のマーケティング」(フォレスト出版)です。テーマは「お客様の心を動かすマーケティング」です。
ところで、最近私は立て続けに「おっ!」と思うチラシを見ました。
●1つは不動産仲介のチラシです。この手のチラシは毎日多い時で10枚ほどポストに入っており特に必要も関心ないのでゴミ箱に直行しています。しかしこのチラシに私は目が留まり、思わず内容を読んでしまいました。
なぜか?表はよくあるカラーでイラストがあり不動産物件募集です。しかし、裏面が白黒の毛筆手書きで「緊急!」と大きく見出しがあり、このマンションを指名で欲しがっている人がいる、ついては売却、賃貸を考えていればすぐ連絡いただきたい、という内容が書かれていました。その筆運びから切迫感が伝わってくるようでした。
●もう1つはある会社が毎年行っているお客様感謝祭を今年は中止せざるをえないというお知らせのチラシでした。こちらは普段社内で使っているであろう社名の入った便箋に社長が手書きで書きコピーして配っている風でした。お世辞にも美文字というわけでないその手紙の即席感とは裏腹に、感謝祭を楽しみにしてくれていたお客様に対し申し訳ない気持ちと悔しい思いが、手書きのチラシから切々と伝わってきて感動し最後まで読んでしまいました。
この2枚に共通することは何でしょうか?
ここで神田昌典さんとこの書籍の紹介をします。神田さんは日本一のマーケターとして多数の著作、講演、経営指導を行っている経営コンサルタント、作家です。その神田さんが主催する4000を超える中小企業経営者が集う勉強会「実践会」で行った売上増ノウハウを、実例をふんだんに盛り込み、そのマーケティングの本質を解説しているのが今回紹介する書籍です。よって私たちも同じことがすぐできるヒント満載の実用書です。
さて、本書のなかで神田さんが多くのメンバーと実践してきて到達した結論は、ビジネスは最終的には「人と人の営み」であり、その本質はどんな時代でも「不変」だということ。そこを押さえておけば、大不況や大変革の波が押し寄せても成功できるということです。
「人と人の営み」であるのだから、いかにお客様の心に響くか、ビジネスはお客様の感情を揺さぶらなければならないと言います。「エモーショナル」に訴えかける「感情マーケティング」を提唱しています。
書籍の中でいくつも成功例が紹介されていますが、冒頭私が「おっ!」と心を動かされたチラシと同じです。私はチラシを見た時に、「なんじゃ、このチラシは???」と自分の想定を超え心が揺さぶられる反応をしたということです。
マーケティングの技術は進歩が速く、Web、ビッグデータ、AI、サブスク、などなど次々登場します。しかし皆が同じ方向に飛びつくため、結果似たり寄ったりの予定調和、無個性になりがちです。その中でいかに自社に注目していただけるか、そのカギは昔も今も「お客様の心」に響くかということです。私たちが提供する商品・サービスはお客様の感情に訴えるものでなければ、買っていただけません。
本書ではそのためのマーケティング方法をたくさん紹介しています。コロナショックによりビジネス環境は大変革を迎えるといわれます。その中でどのような戦略をとるか、悩む方もいらっしゃるでしょうが「人と人の営み」であるビジネス不変の原理原則を踏まえ、共に前に進みたいものです。
「危機という言葉には、危険と機会が一緒に入っている」 ピンチはチャンス!
セールスプロセス、営業研修、経営戦略などにご興味ご関心のある経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
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