解決したことがないコト。提案したことがないコト。新しい取り組みに対しての提案。正に今の状況下での事業にかんしてですが、皆さんはどうしますか?ということについてのヒントをジョブ理論を絡めてお話しています。
事例は、企業研修ですが、具体的な事例(現在進行形で答え無し、現時点で)を知ることで他の事業や他の商品に転用するイメージを持っていただければと思います。
(動画の中身の解説)
with コロナ、after コロナなる言葉が浸透しつつありますが、多くの企業が将来の取り組みに対してどのようなアプローチを取ればよいのか不安な状態だと思います。これまでの状況は企業が何かを提案する際に、顧客の前提として、その顧客がどうしたいのか?つまり、「顧客が成し遂げたい進歩」が明確だったと思います。顧客の希望がある程度分かっていれば、現状やこれまでの取組を参考に、ある程度決まった枠組みでの商品の提案や取引が出来たからです。
しかし、現在の状況はことなります。今後の取組や今後の状況が全く読めないのです。従って企業も「成し遂げたい進歩」そのものが分からないため、いわゆる問題が発生していないように思えてしまいます。そのような場合、本来は、先のビジョンを示して強烈な未来を構想して、そこに向けて組織一枚岩になり進むのでしょうが、かなりのリーダシップが必要になり、実際とても大変な仕事になります。
そこで、企業として何らかの価値を顧客に提供して事業を行っている場合、今後どうすればよいのかを、ジョブ理論のフレームワークを使って解説しました。
ポイントは、不安定な状況の場合、現在問題のアプローチではなく、将来問題のアプローチで行うこと。そのために、再度、企業(つまりは顧客)の置かれている状況に加えて、その前後の背景をしっかりと把握して整理すること。その上で、その企業が向かうべき姿を示す、或は向かうべき姿を創造する過程に寄り添うことです。
確実に将来問題のアプローチになりますので答えはありません。その場合は創る、あるいは一緒に創りあげるのです。
通常、提供する側の方が、商品を提供される側よりも、その商品を使う状況について豊な情報を持っているはずです。そのため、顧客に対しては、現時点でのケーススタディとして他社の事例や他業界の取り組みを示しながら、その先のイメージを一緒に見ていくことが大切です。その際に鍵となる理解は、ウォンツを作りための学習と経験です。
2020年5月8日 のアーカイブ
新しい商品を提案するためには?
エンゲル係数の増加
早嶋です。
コロナ前後で変化する指標にエンゲル係数があると思います。みなさんは、エンゲル係数が今後どうなると思いますか?
エンゲル係数は、1世帯あたりの全消費に占める食費の割合です。つまり、以下の数式で表現できます。
エンゲル係数 = 食費 / 1世帯あたりの全消費
エンゲル係数を上げるための取り組みは、①分子である食費を増やす、②分母である全消費を減らす、の2つの方向性が考えられます。エンゲル係数は、ドイツの社会統計学者エルンスト・エンゲルが1857年の論文で発表しています(※1)。エンゲルによれば、エンゲル係数の数値が高いほど生活水準は低いとされます。食費は生命維持と直接関係があるので、嗜好品や娯楽品と比較して削られる可能性が極めて低いです。
そのため、景気が良いときは②の食費以外の消費が増え結果的にエンゲル係数が下がる。景気が悪いときは②の食費以外の出費が抑制されるため結果的にエンゲル係数が下がる。というものです。この数値は世帯構成や生活習慣によって多少は頃なり地域や国によるバラツキはあるようですが、概ね経済の指標として受け入れられる。という学びを経営修士の経済学で学んだことを思い出します。
戦後からバブルまでの日本の同指標はまさにエンゲルの指摘通りになっていました。戦後間もない頃のエンゲル係数は60%台と非常に高く、その後の復興、そして経済成長とともに数値が減少しました。2000年代前半には20%台前半の数値を示すようになります。
当時のエンゲルの前提に、巣篭もりやリモートワークという概念はなかったと思います。新型コロナウィルス対策のため、このまま休校からリモート学習、リアル出勤がへりリモートワークが定着するとどうなるでしょう。これまで自宅にいる時間が増えるので、水道光熱費やトイレットペーパー代など家族と共有する時間は増えることが考えられます。そして同様に食費も増えるでしょうね。
実際、ここ1ヶ月、スーパーが去年の今頃と比較して常に混んでいると感じるのでは無いでしょうか。巣ごもり前は、昼の食事は外や会社で食べ、夜も会食があり、自宅で食事をする機会は少なかったと思います。出張等で他のエリアにいる場合は、食事を外で食べざるを得ませんよね。しかし、リモート、外出規制があることで食事は皆で家で食べるようになると当然食材を買う回数も量も増えるわけですから食費は増えるのです。4月7日の2月の統計調査では食費は7.5万円と昨年の数値と比較して4.2%も伸びており、4%を超える伸びは7年ぶりだそうです(※2)
2020年2月のエンゲル係数が34年ぶりに25%台になったそうです。実に1986年以来のことだとか。さて、エンゲルが示したように日本は貧しくなったのか?という解釈ですが。巣ごもりによって①分子である食費は確実に上がっています。豊かな家庭は、この機会にお取り寄せを増やしたり、テイクアウトを楽しんだりと家での食事を充実させていることでしょう。食品会社の方々から話を聞くと、法人向けの飲食需要は減少しているが、家庭向けの食品が急増していると。従い、いってこいの稼働状況だが、利益率は下がっていると。法人向けが大容量で出せる分、利益が載せられるのは推測が付きます。話を戻しますが、①の分子である食費はやはり上がっているのです。
次に、②の分母の全体の消費です。巣ごもりによって、クレジットカードの請求が急に減ったと思います。あるいはスイカのポイントの入金等も。当然、ネットで通販消費は幾分増えているでしょうが、全体としては減っていますよね。移動における交通費がほぼゼロになっていますよね。そうすると、本来使っていた消費が減ることで、そもそも消費しない状態。あるいは、それを別に振り返る。でも外に行けないので結局食費や家庭内を充実する支出に変えていく。という行動が起こるでしょう。
一方で、生活が不安だと感じる家庭は、逆にその資質をセーブすることとなり、結局は②の食費以外の消費が減る分、分母全体が減ることになります。個人事業主などの場合は、3月の後半頃から急激に家庭の収入が激減していることを受け、やはり一時的に食費などの生命維持に欠かせない出費以外は抑えざるを得ない状態になっていると思います。
巣ごもりの前提を仮にエンゲルが入れていたらどうでしょう。最終的には不安が無くなった場合でも、外出そのものができにくい状況が続き、収入がこれまで通り安定しているという安心感がある状態になったとしましょう。すると人の消費は、内の投資にむくでしょうか。つまり、家の投資であったり、車の投資であったり、あるいは衣類やアクセサリーや化粧品などの投資です。
家や家具の投資は考えられますが、既に機能は満たしているので急激に投資をすることはきっと私は考えにくいと思います。車に対しては、外出したところで行動範囲が限られているので、最低の機能で良くなるので高い投資は控えるのでは無いかと思います。移動の制限によって、他者に見せる、触れさせる、他者をみて好奇心が湧く。という欲求がそもそも下がると考えられるからです。
当然、SNSによって他者のきらびやかな生活を見ることで物欲は枠でしょうが、それでも半径30cm程度を充実させて、そのフリを演出することは十分に可能です。Zoomで会議をしても、これまで通り上下をおしゃれにする必要ななくなりました。下半身は結構ゆるゆるのスタイルが多いのではないでしょうか。
となると最終的には食べるとか、寝るとかの充実は高まりますが、やはり毎日の出費が連続的に増える部分に食費が高まるという結果になるのではないかと思います。従って、極端に戦後の頃のうように60%台になることは考えにくいですが、25%〜30%程度に上がることは間違いないのではないかと勝手に推測した次第です。
※1:Wikipediaより参照
※2:日本経済新聞 2020年4月28日 オカネのトリセツより参照
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