早嶋です。
玩具メーカーのバンダイは、高さ1.5m、重量35キロの組み立て式ガンダムフィギュアを06年12月16日から販売すると発表しています。ターゲットは20代~40代の男性で、全国のホビーショップやインターネットを通じて販売します。気になる価格は、1体35万円。販売目標を1,000体としていますので、これで3億5千万円の売上です。
いったいこんな商品をどうするのか?と思う方と、ぜひ欲しいと思う方に分かれる商品と思います。しかし、バンダイも営利目的の企業ですから趣味で販売しているわけではないでしょう。事実、この人間と等身大のガンダムフィギア、01年12月に同じコンセプトで既に販売実績があります。当時は、ザクモデルでしたが、販売台数は驚くなかれ、1500体。
ザクモデルを販売した当時から、「ガンダムはいつ発売するのか?」と言う要望が多数寄せられたそうです。当社の社長兼、チーフ・ガンダム・オフィサーは、次のように語っていました。「ガンダムの形状はザクに比べて直線的で角の多いデザインのため、テクニカルブロー成形において高度な技術を要し、開発時間が長くかかりましたが、この度無事、皆さんにお目にかけることができて嬉しく思っています。」(日経ソリューションビジネスより参照)
ガンダムの部品点数は、約260個。世の中にあるプラモデルとほぼ同じ素材を使用しているため、通常のプラモデルを作るのと同様に着色・改造・加工が可能で、組み立て時間は3時間から5時間程度かかるそうです。
重量35キロなので、1キロ当たり1万円。この価値が高いか安いかは、もちろん消費者によって異なります。ガンダムのような特定の分野でニッチな消費者は、商品やブランドに対してのロイヤリティーは非常に高いので、通常はメーカーにとって重要な顧客層となるります。どのような商品であれ、自分の判断で評価するのではなく、その商品を利用する顧客がどのように考えるのかを重視することが重要ですね。
—ただ今、ブログマーケティング実験中。—
実験の詳細は、『ブログマーケティング実験』『ブログマーケティング結果報告』をご覧ください。
「中小企業」「マーケティング」「コンサルティング」「経営コーチング」「経営診断」「MBA」
2006年8月 のアーカイブ
等身大ガンダムの価値
高単価のトレンド
早嶋です。
本日の日経によると、日本マクドナルドホールディングスが2日に発表した06年6月中間期の連結決算は既存商品値上げと高単価メニューの投入によって、売上高が8%伸び、経常黒字に転換したそうです。
従来のマクドナルドでは、高単価の商品を投入することで売上高を増加すると言う戦略は考えられなかったことでしょう。高単価商品は、現在のマーケットの2極化を予見する流れですね。すかいらーくなどの外食大手も比較的価格の高い商品が好調な売れ行きを示しているようで、客単価が向上しているという報告もありました。今後の外食産業は、少し高めの価格帯の商品を強化すると予測できます。
日清フーズでも、2006年の秋冬用の家庭用冷凍食品に高単価の商品を強化する動きが出ています。今シーズンに追加する新製品5品目のうち、日清フーズが得意とするスパゲティに対して高付加価値・高単価の商品を出しています。日清フーズのプレスリリースによれば、近年の一人前冷凍パスタ市場の成長は著しく、その中でも付加価値が高い商品が売れ筋と言うことです。
一人の人が低価格商品と高価格商品を購入するという二極化現象が近年の消費者に起きている特長です。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)では、このような現象をニューラグジュアリーとして捉え説明しています。
そうしたニューラグジュアリー型の消費者行動を理解し、その潜在需要をいかにして捉えるのか、さらに、ニューラグジュアリーをいかに創造して価格競争から脱出するか、という課題について最近の企業は答えを出し始めていると言ったところでしょう。
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情報化とアナログ
早嶋です。
今朝、会社で使用している外付けのHDD(ハードディスクドライブ)にアクセスしたら、ネットワークエラーが出ていました。どうやらHDDに不具合が発生しているようです。HDDを見てみると、異常を知らせるランプが点滅しています。
原因を調べるために、説明書を探しましたが、紛失したらしく見つからない。どうしよう。そこで、HDDの製造元(BUFFALO)のホームページ(HP)を見ることに。該当商品のページから、ダウンロードサイトへ。そこから取扱説明書のページを見つけました。今の世の中すごいですね。説明書などは、メーカーのHPから簡単にダウンロードできるのです。
この種の製品は、問題や不具合を特定できるように、信号を出したり、メッセージを出す仕組みが実装してあります。ですので、HDDの信号から、HDDのファンに問題があることが直ぐに分かりました。ファンの部分は、自分で修理できる範囲ではなかたので、修理してもらおうと決めました。「あっ、でも取説も保証書もなくしてしまったんだっけ?」
ともかく、購買元(ビックカメラ)のカスタマーセンターに連絡し事情を説明しました。すると、HDDの保証に関しては、購入履歴が特定できれば、保証書の再発行が出来るとアドバイスをもらったのです。すぐさま、購買した店舗に電話して再度、事情を説明しました。
「・・・ということで、購買履歴、残っていますか?」これも明快。ポイントカードに購買履歴が残っているのです。カードの番号を伝えると、その場で購買履歴の確認がとれ、無償で修理をしてもらえることになりました。
今朝の出来事は些細なことですが、改めて情報化社会を感じました。取扱説明書のようなデータは、個人で管理しなくても、必要なときにメーカーのサーバーを見に行けばつでも調べることが出来ます。また、購買履歴のような個人のデータでさえも、いつ、どこで、何を買っているか?と言った事が瞬時に調べられます。
また、改めて感じたことは、そのサービスを提供する人の存在。このような情報技術を使っても、それを伝えたり、利用するのは人間。サービスセンターや、サービスデスクが機械の音声でなく、生身の人間の声だったら、それだけで安心します。世の中、どんどん便利になり、情報化が進んでいますが、最終的に重要な場面はやはり生身みの人間によるサービスが、もっとも安心するモノかも知れませんね。
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理念の追求
早嶋です。
設立して、10年程度で超一流企業になった会社といえば、IT企業に代表される、Googleやアマゾン・ドットコムなどを思いつきます。時計メーカーでもわずか10年あまりで一流企業になった会社があります。高級腕時計のフランク・ミューラーです。
フランク・ミューラーの本社兼工房は、スイス・ジュネーブの近郊、レマン湖のほとりです。従業員は約400名、92年設立当時は14人だったとか。生産台数においても、当時は年間に200個余りだったのが、現在では5万個と250倍の生産です。
スイスの高級時計は、その歴史が100年、200年を超えるブランドがゴロゴロしているのに、フランク・ミューラーは確固たる地位を構築しています。70年代のクオーツショック(クオーツ時計が機械式時計を駆逐した)によって機械式時計メーカーは打撃を受けました。これにより、老舗メーカーを含む企業の資本集約化が進みました。フランク・ミューラーは、歴史と伝統を持つ老舗ブランドや、資本の集約によって資本力を兼ね備えた大手ブランドの競争環境の中、ごく短期間で成功を収めているのです。では、フランク・ミューラーの成功の秘訣とは何だったのでしょうか?
創業者のミューラー氏はジュネーブ時計学校在学中より、才能に注目され、卒業後も数々のキャリアを積みその名声をとどろかせていたようです。しかし、キャリアの集大成として自身のブランドを立ち上げたものの、即成功とはいきません。
フランク・ミューラーが成功を収めるきっかけは、共同経営者でCEOでもあるヴァルタン・シルマケス氏との出会いと言われます。一方は時計技師、他方は宝飾品の細工士。ただし、シルマケスは経営の才能も持ち合わせていました。
まるで、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫、ソニーの井深大と盛田昭夫のような組み合わせですね。二人の出会いによって、フランク・ミューラーの独特の製品、高度な技術で従来の時計の概念を壊す製品が、浸透していきます。
フランク・ミューラーの時計は実用的なものが少ないといわれます。それは、最近発表されたクレージー・アワーズ(時計の文字盤の数字がバラバラに配置されているが、時刻は針が巧みに動いて時間を示します。)などを見ると分かります。
フランク・ミューラー氏は、雑誌のインタビューで「時間というのは人間が作った概念です。ですから私は時計を作るに当たって、時間というものを視覚で判断でき、理解でき、そして不思議に思ってもらう、そういう時計を作ってきました。」と発言しています(日経BP参照)。
商品コンセプトとターゲット(世界中のセレブ)が明確なフランク・ミューラーのマーケティング手法も徹底しています。高級ブランドのマーケティング手法には、各界で活躍する著名人に無料で配り広告宣伝塔になってもらうケースがありますが、フランク・ミューラーはこの手のプロモーションを一切行いません。これは、フランク・ミューラーの時計はあくまで、プライベートな時間にこそふさわしい時計なのだということを明確にしているからです。「時間は個人で違う。昼の12時に必ず昼食を取らなければならないということはない」時間の概念をとことん追求し、時計という形で表現しているのです。
経営的な部分も、もちろんしっかりしています。未公開の会社なので公表はされていませんが、売上規模は300億程度。この規模になれば、ミューラー氏一人の技術力ではどうにもならないでしょう。それをシルマケス氏がうまくコントロールしているのです。また、積極的なM&Aで部品メーカーを参加に収め、部材のほぼ100%をグループ内で調達する体制が整っていると言われています。
時間の概念を追求して、それを形に表現することを、とことんまで追及する。その技術者魂に、シルマケス氏の経営手腕がうまく融合して、今日のフランク・ミューラーがあるのでしょう。
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