原です。
私は、企業や組織の問題解決コンサルティングや人材育成の研修講師に取り組んでいます。
コンサルティングや研修では、問題解決の型や技術を活用しクライアントや受講生と一緒に対話を通じて考えながら進めていきます。使用する体の機能は、思考(頭)と伝える(口)と聞く(耳)の首から上の身体部分です。
問題解決には、戦略的に考える思考力が重要です。
しかし、どんなに品質の高い問題解決策を立案しても、それだけでは問題は解決しません。
当たり前ですが、問題を解決するには「実行力」も必要です。
それから前提として、問題解決に取り組むチームメンバーが、主体的に問題解決策を考え実行し、失敗しても逃げずに工夫を繰り返しながら解決していく「覚悟」も必要です。
つまり、問題解決の実践で使用する体の機能は、「頭と心と身体」ということになります。
現在、私自身や地域住民がリーダーシップを発揮しながら問題解決を実践中です。参考事例として以下に内容を記載いたします。
●問題解決テーマ:自然災害からの里山復興
●主体者:原秀治(私)、地域住民(専業や兼業農家など)
●背景(現状)
10年前に受け継いだ自己所有の農地を、7年前の水害と3年前の山崩れの2度の自然災害により、地域と共に大部分が壊滅状態に陥りました。
その後、行政支援による災害復旧工事が進みました。しかし、無人重機やドローンなどの最新技術の導入も期待外れの結果となり、農地再生などの現実的な復興には当事者のマンパワーがなければ無理な状況が続きました。復興をあきらめる住民もいました。
私は、ゼロベース(もしくはマイナスベース)からの再開発のスタートを覚悟しました。
●問題
・今後、地域の自然生態系が維持できない
・農地が荒れたまま、農家の消滅
・里山の消滅
⇒自然災害により農地や山林などの自然生態系が荒廃しており、里山で暮らす住民の生活が困難となる。
●原因
・人口減少高齢化による復興への人手不足
・地域住民には、再生できるリーダーが不在
・数回による自然災害によりモチベーションの低下
●課題
・復興への覚悟とリーダーシップの広がりが必要
●解決策
・実行度:私と兄が休日を利用して、計画的に中長期的な復興に取り組むことで、周りの農家の模範となる。
・影響度:地域住民との励まし合いにより、個人から家族、家族からチーム、チームから地域コミュニティへと広げていく。
・コスト:機械はフル活用するが、機械の共同利用、中古購入、自力での修理など、できるだけコストを抑える。
●これまでの実行内容(直近3年間)
・中長期的な再生モデルを構想。
・私と兄が復興の模範を行動で示し見本となる:休日やコロナウィルス感染休業を利用し、計画的に農地の8割を再生済み。
・農地売買による復興仲間の確保。
・農地を脅かす悪意の第三者への対応。
・各農家の親が子に(または知人)へ農業承継することで、農業の継続と復興の和が広がりました。
●今後の取り組み
短期:再生済み農地に種蒔き。残り2割を農地転用などにより再開発。
長期:山林の再生(間伐、植樹)。里山ファンとの地域ビジネス創出。
●以下、私が問題解決の実践に取り組む中で再認識した3つのこと。
①問題から目を逸らさずに問題解決に取り組む「覚悟」
②戦略的な問題解決の考え方
③考えを実現させる実行力(行動と工夫の繰り返し)
※私は、以上の3つを重点にした問題解決型コンサルティングや研修講師に取り組んでいます。
‘問題発見・課題整理・問題解決’ カテゴリーのアーカイブ
問題解決の実践には、覚悟と思考力と実行力が必要
3密を守りながら問題解決を実践
原です。
私は3年前から、福岡と大分の2拠点生活を実施中です。
福岡では、本業の企業コンサルティングや研修講師に取り組んでいます。
大分では、田舎の古民家や農地を活用し兼業の農業や栽培実験に取り組んでいます。
最近のコロナ感染の休業要請や自粛により、私も本業の案件中止や延期が続き多忙な生活から暇な生活へと変わりました。せっかくなので、この暇な時間を有効活用して以前から時間があれば取り組みたいと思っていたことを3密を守りながら実行しました。
因みに、タイムマネジメント分野では、このことを第2領域と言います。第2領域とは、「重要なことだけど緊急ではない」領域です。本当は重要だと分かっていても緊急でないことから、なかなか実行できずに後回しになりがちです。
しかし、本来は、後回しにせずに計画を立て実行することで仕事や生活の豊かさが高まる優先すべき大切な領域です。
私にとって、兼業の農業や栽培実験は、仕事も生活も豊かにする第2領域であることを認識し、さっそく実行しました。
私は、問題解決のコンサルタントですので、これを機会に農業をテーマに問題解決の実践に取り組みました。
兼業の農業では、稲作・野菜畑・茶園の作業に取り組んでいます。そして、以下のようなテーマを考えてみました。
なぜ、昨年は多くの稲作農家が不作だったのか。
なぜ、あの畑の野菜が一番美味しいのか。
なぜ、お茶の芽の伸び方が違うのか。
なぜ、野生の山菜は、手植えよりも香りが強いのか。
なぜ、野猿は、蓮花が多い田んぼに来るのか?蓮花の蜜を吸うのか?蓮花の蜜は他の花より栄養が豊富なのか?
以上のように、5分ぐらい考えただけでも100個程は思い浮かびました。
例えば、私が「農業」をテーマに取り組み続けている問題解決の実践例です。
●問題解決:実践編1(テーマ:農業と食)
・ありたい姿:安心安全な農産物の生産により、健康な人生を多くの生活者に提供したい。
・現状:日本では、安心安全な食が求められる一方で、化学肥料や農薬や除草剤の散布による農業(農産物)が多い。
・問題定義:有機無農薬農業に取り組む生産者数は少ない。
・課題:有機無農薬栽培の価値を向上させる。
・解決策:地域で取り組む有機無農薬茶園を継続し、地域ブランドとして価値向上に取り組む。
・実行:地域の生産者と協力しながら有機無農薬茶園を継続する。茶園以外でも有機無農薬農産物の栽培研究に取り組む。
・検証:有機無農薬農産品は、熱烈なオーガニックファンに強く求められており、差別化による有利販売が向上している。
●問題解決:実践編2(テーマ:新茶の生産量)
・あるべき姿:新茶の芽が伸び例年並みの茶葉量を生産
・現状:新茶の芽の伸びが遅い
・問題定義:前年に比べて新茶の芽の伸びが悪い
・課題:茶摘み前の剪定作業を見直す
・解決策:剪定時期を早める。剪定技術を高める。
・実行:剪定時期を前年より2週間早めた。操作方法を改善し剪定技術を高めた。
・検証:新茶の芽の伸びが改善でき、例年並みの品質と収穫量を維持できた。状況に応じて剪定時期と剪定方法を変更することが必要。
問題解決のステップは、①テーマ決定、②問題定義、③原因分析、課題整理、④解決策立案、⑤実行、⑥検証となります。
上記のステップは、多くの方が知っていることですが、実際に実行している人は少ないのではないでしょうか?
実行しない理由は、「面倒しい。時間がかかる。問題は解決できない。難しい。」などを感じているのではないかと思います。
もちろん、何事も「言うは易く、行うは難し」です。しかし、実践してみると不確実なことや失敗からの本質的な学びがあり、問題解決のステップを繰り返すことで成功につながる可能性が高くなります。
そして、小さくても成功を創出できることは、自信にもつながり仕事だけでなく人生を豊かにする貴重な経験になるのです。
第2段階の顧客モニターマーケティング調査(解説)
原です。
今回は、第2段階の顧客モニターマーケティング調査(テキスト分析)を事例により解説します。
事例内容は、前項の第1段階顧客マーティング調査で実施した中堅小売業者の料理スクールビジネス調査です。新規顧客の集客に向けたニーズ把握を目的に、1回目調査結果を参考に2回目調査に取り組みました。
2回目顧客モニター5名は、1回目調査と同様に安心安全の食材や料理に興味がある方を新規に募集したところ、20代大学生とOL、40代パートの全て女性が集まりました。1回目と同様な顧客モニターが集まった事実から考えられることは、20代から40代の女性は、安心安全の食材や料理に関心が高いことが考察できます。また、1回目調査時に子育て中のママは、「幼児と一緒に参加できる環境があれば、もっと子育て中のママは参加しやすくなる。そうでなければ、参加の意欲があっても参加できない」と話されました。
モニター体験とグループインタビューは、以下の「1回目調査と異なる点」以外は1回目調査と同様の内容で実施しました。
■1回目調査と異なる点
・1回目調査結果による短期的な改善策「料理体験での作業の役割分担、流れが明確で円滑なイベント進行」についてもモニター体験とグループインタビューにより調査しました。
以下に、1回目グループインタビューからのテキスト分析を説明します。
(1)主な語の出現回数
グループインタビューよる発言キーワードからは、「考える」、「思う」といったワードの出現回数が多い。次いで、「時間」、「必要」、「レシピ」、「説明」、「友人」が多く、新サービスのことを話すうえで、これらの語にグループインタビューに参加したモニターの関心が高い。
※(1)主な語の出現回数
(2)共起ネットワーク
共起ネットワークからは、「清潔」、「交通」、「必要」、「ホワイトボード」、「健康」、「ビューティ」などの単語と共起しているグループの存在が確認されます。
(共起ネットワークのグループごとの解釈)
※(2)共起ネットワーク
(3)テキスト分析からの課題と提案内容
①「清潔」、「明るい」が共起されており、イベント会場の評価は高い。
②「交通」「便」、「場所」「遠い」などが共起されているグループがあり、交通アクセスへの配慮が必要。
上記①と②の課題から、以下の「会場の評価・留意点」について提案
・高評価を得ている清潔感を感じさせる雰囲気を引き続き重視した運営
・交通アクセスの確保(アクセスしやすい人、またはアクセスを気にしない人を対象としたイベント開催)
③「必要」「考える」「レシピ」「説明」が共起されており、参加者が考える時間の配分、説明内容やレシピ提供の順番などの改善が求められる。
④「ホワイトボード」「多い」「分かる」が共起されており、情情報を絞り込んだわかりやすいホワイトボードの使い方が求められている
上記③と④の課題から、以下の「イベント進行の改善」について提案
・「参加者が考える時間」を考慮した進行の時間配分
・レシピの配布のタイミング
・ホワイトボードの使い方(提供する情報の絞り込み)
⑤「健康」「友人」などが共起されており、健康志向の人にお勧めと評価
⑥「ビューティ」「企画」が共起されており、美に関心がある人向けと評価
⑦「自分」「野菜」「選べる」、「組み合わせる」「作れる」が共起されており、野菜が選べ、組み合わせて作れることは好評
上記⑤から⑦までの課題から、以下の「ターゲットを絞った企画作成」について提案
・多様な人をターゲットとしているため説明量が多くなり、適切な時間配分ができていない可能性あり
・対象を絞り込み、ターゲットにあった情報提供、スムージーの材料選択、効果的な時間配分を検討
・参加者が自身の食生活を振り返り、理想の食事を考える機会を提供
以上、1回と2回の合計10名による顧客モニター調査により、課題発見と解決策への提案に取り組みました。
第1段階の顧客モニターマーケティング調査(解説)
原です。
今回は、第1段階の顧客モニターマーケティング調査(テキスト分析)を事例により解説します。
事例内容は、料理スクールビジネスをスタートして間もない中堅の食品小売業の調査です。新規顧客の集客に向けたニーズ把握を目的に、顧客モニターマーケティング調査を実施しました。
1回目顧客モニター5名は、安心安全の食材や料理に興味がある方を募集したところ、20代の大学生から40代主婦やOLの女性が集まりました。
モニター体験とグループインタビューは、依頼企業の店舗内で実施しました。
調査当日は、企業担当者から料理スクールのコンセプトを説明。モニター参加者からの質疑応答を終え、実際に1時間のスムージー作りを体験して頂きました。その後、モニター参加者5名と弊社司会者によるグループインタビューを2時間実施しました。
以下に、1回目グループインタビューからのテキスト分析を説明します。
(1)語の出現回数
グループインタビューよる発言キーワードからは、「体験」、「参加」といったワードの出現回数が多いです。次いで、「材料」、「作業」、「美味しい」「表示」が多く、新サービスのことを話すうえで、これらの語にグループインタビューに参加したモニターの関心が高いです。
語の出現回数(図)
(2)共起ネットワーク
共起ネットワークからは、「体験」、「参加」、「作業」、「材料」などの単語と共起しているグループの存在が確認されます。
(共起ネットワークのグループごとの解釈)
共起ネットワーク(図)
(3)テキスト分析からの課題
①「体験」、「短時間」、「帰れる」、「特典」が共起されており、コンパクトでお得感のある体験が求められる。
②「参加」、「子供」、「作る」、「企画」が共起されており、子供を交えた企画も求められている。
(4)課題からの短期的改善策
・作業の役割分担、流れが明確で円滑なイベント進行。
・交通アクセスの確保(アクセスしやすい人、またはアクセスを気にしない人を対象としたイベント開催)。
(5)テキスト分析結果からのターゲットを絞った展開
③「体験」、「短時間」、「帰れる」、「特典」が共起されており、コンパクトでお得感のある体験が求められる
④「参加」、「子供」、「作る」、「企画」が共起されており、子供を交えた企画も求められている
⑤ビューティ企画は華やかなイメージ
⑥「作業」、「流れ」、「役割」、「分担」が共起されており、イベント時の円滑な進行が重要
⑦「駐車」、「車」、「無料」、「広い」が共起されており、交通アクセスが重要
■上記③から⑦のメインターゲット層イメージ
●食の安全と健康への関心がある層
・リタイア後の男性(60代~)
・20代後半から40代の幼児を育てるママ
●自己投資に関心がある層
・美意識の高い30代以降の独身女子
以上、第1段階の顧客モニターマーケティング調査分析結果から、短期的な改善策「料理体験での作業の役割分担、流れが明確で円滑なイベント進行」を取り入れ、第2段階の顧客モニターマーケティング調査でテストすることを検討しました。
地政学的な視点①
早嶋です。
ポピュリズムが台頭して、今回の一連のパンデミックをみているとやはり地政学的なモノのミカタは非常に役に立つ視点だと思います。
基本的に、
●偽善
国際社会においての大原則は『偽善』という立場を持ったほうが良いと思います。イソップ童話や道徳の時間では、皆の利益を最大化することが大切だとの教えですが、国際政治においては、自国の利益を最も中心に捉えるのが定石です。利害関係が全てで、その利害は時系列によって変化するのです。
交渉などの世界ではWin-Winの交渉が美しいですが、異なる2国や地域や組織が永続的に共通のゴールを満たすという知見は若干甘いのかもしれません。ニュースをみていると同盟国や友好関係が強い地域であっても、時として一方からすると理不尽に思えるのも、味方を変えればそれが当たり前なのです。
●影響力
組織は常に2つに分かれます。強いものと弱いものです。強いものは支配国となり、弱いものは被支配国となります。被支配国は軍事、経済、文化、思想といった様々な形態で服従する必要があり、合理性を無視して受け入れざるを得ません。弱者の理由は如何にせよ弱いと感じた瞬間に最も強い参加に収まったほうが安全になり、それが故の権利を行使できるようになると信じるのです。
●争い事
ヒトの本質を平和と捉えるのではなく、争うと捉えたほうが良い。というのは『偽善』でもコメントした通りです。組織において利害やあり、それ故に思想の違いがあれば、認識の違いや文化の違いが生じます。結果的に争いは不可逆です。強いものは、強い状態を常に望むため、権力を保持する支配国は常にどんな手段を用いても自国の覇権を妨害する個人や組織や地域や国を排除したいと思うでしょう。基本はなくすことは難しいのです。
なぜ、争いをなくすことができないか?と考えても、強いものの争い自体に合理的な動機がないからです。逆に、弱いものも常に、覇権を狙っています。いつか自分たちが形成を逆転して平和な世界をつくろう。と思っても、いざその立場になれば、昔の経験を繰り返したくない気持ちから、強いものの歴史がまた始まるからです。
カントが人間の自然な状態は平和ではなく戦争と断言した理由も同じようなものだと思います。
顧客モニター定量分析
原です。
グループインタビューからのテキストマイニングによる定性分析と同時に、アンケートでの定量化と定量分析も必要です。
定量化と定量分析の必要性は、定性分析の言語だけでは具体的に測定できないからです。
例えば、商品について「満足している」という言語だけでは、どれくらい満足しているのかが明確に分かりません。しかし、0点(かなり低い)から10点(かなり高い)の中で、9点または10点の数字を選択して頂いたのなら、かなり満足していることが明確に分かります。つまり、定量化は具体的に測定が可能になります。
次に、アンケート調査の作成についてです。アンケート調査は様々ですが、WHY(なぜ、何の目的で)、WHAT(何を)、HOW(どのようにして調べるのか)、WHO(誰が、誰に)の5W1Hで企画します。そして、誘導質問にならいように回答者が答えやすい順序に分かりやすい文章でアンケート票を作成します。
グループインタビューでは言語を広く深くヒアリングしていくので、アンケーでは、できるだけ数字(数量)を記入または選択して頂きます。そして、なぜその点を選択したのか、なぜその数字を記入したのかについて文章で記述して頂きます。
次に、アンケート記入と集計後の定量分析に必要な統計解析についてです。
統計解析の中で最もポピュラーな代表値である「平均」があります。
平均には、①算術平均、②幾何平均、③調和平均、④トリム平均の4種類があります。その中でも、①算術平均を多く活用します。例えば、購入可能な価格帯に関する質問の回答が500円から1,000円未満だとすれば、750円と見なして計算します。
また、代表値に加えて調査データの「ばらつき」の状態を確認することで、どんな性質のデータかが分かります。個々のデータが、平均からどれくらいばらついているかを表す指標として、データの平均と個々のデータの差のことを「偏差」といいます。
さらに、2つの変数の間で、一方が増加するにつれて、他方が増加または減少する関係を表した「相関係数」があります。
これは、質問項目への賛否を「非常に満足、かなり満足、やや満足、どちらともいえない、やや不満、かなり不満、非常に不満」などの回答カテゴリーで質問することがあります。このような時に、いろいろな質問項目間の関係を調べる方法の1つです。質問項目に相関があるとは、一方の意見に賛成していれば、他方の意見にも賛成しているといった傾向があることを示します。
Yesといわせる科学
早嶋です。
科学的に「Yes」を引き出すことは可能とされています。
例えば、選択肢を複数提示するとヒトは中間値を選択する可能性が高くなります。従い、提案は1つだけではなく、複数示し、提案に松竹梅を分けると有効な提案ができる可能性が高まります。
例えば、面接などの選考の場では最初よりも最後に近いほうが優位なことが解っています。従い、順番を選べる場合は最後を選択すると能力が相応に伴っていれば優位になる可能性が高まります。
例えば、入札については最初から高いほうが価値が高いと考えるでしょう。しかし、実際は低い金額からせり上がって高くなった商品ほど多くの人が入札して金額が上がっているから価値が高いと考えられるようになるのです。
感情はどうやら自暴自棄にする傾向が強いことが解っています。従い、悲しいときに買い物をすると高くてもどうせいいやとなり高い値段で買う傾向が強くなり、商品を手放すときは安値で手放す傾向が強くなります。そのため自分の感情を把握して交渉に望むというのは基本的に大切なのです。
社会的な取組は従業員ばかりか、消費者や関連会社に対してもプラスの影響を与えることが解っています。何らかの商品の一部を社会に貢献することを明示すると、消費者の反応が好転することが研究で裏付けられています。但し、その商品に精通している人は、社会貢献の有無に関係なく商品の評価をおこなっています。従い、一般的な認知が低い顧客層に対して理解を示す場合は、社会的な貢献をアピールする効果は一定望めることがわかります。
機長症候群なる言葉があります。それは、チームのリーダーが自分を優秀だと思えば思うほど、そのチームのリスクが高くなるということです。そして同様にチームのメンバもリーダーを崇拝してしまえばチームが誤った方向に向かう可能性が高いことを研究で裏付けています。従い、常に危機意識を持ちチームリーダーもメンバも切磋琢磨する気持ちと行動が大切なのです。
行動観察
原です。
グループインタビューやアンケートはよく活用される重要な手法なのですが、万能ではありません。そのため、司会者が正しい質問を行ってもニーズやノウハウ、課題の抽出には限界があります。そこで、限界を突破するために追加して有効な手法が「行動観察」です。
行動観察が有効な理由は2つあります。
1つ目は、「言語化されていないニーズやノウハウ、課題を抽出できることです。人間はほとんどの行動を無意識に行っています。ハーバード大学ビジネススクールのジェラルド・ザルトマン名誉教授の「心脳マーケティング(ダイヤモンド社/2005年)」によると、人間の行動のうち、自分で認識しているのは5%程度しかないと述べられています。
つまり、人間は自分自身の何気ない行動をすべて把握しているわけではないです。
さらに、自分のニーズを構造的に解釈して理解しているわけではないです。そのため、重要なニーズが存在していても、本人がそれを把握しているとは限らないです。行動観察では、人の行動をすべてつぶさに観察することにより、本人が認識していないニーズなどを知ることができます。
2つ目は、社会通念によるバイアスを排除できることです。アンケートやインタビューにおいては、社会的に「こうあるべきだ」と思われている方向に回答が影響されがちです。例えば、「日頃から料理をしていますか?」とアンケートやインタビューで聞くと、ほとんどの人は、「はい、料理をしています」と答えます。しかし、行動観察を行えば、日頃から料理をしているとは思えない事実が分かってきます。つまり、行動観察とは、社会通念に反する実態であっても把握でいるのです。
続いて、行動観察のステップについてです。行動観察のステップでは、現場に足を運んでそのフィールドでの人間の行動を詳細に観察し、実態を把握します。その場で気づいた事実について詳細なメモを作成します。
筆者は、グループインタビュー前には顧客モニターに商品の実体験を行って頂き、体験時のモニターの行動を観察します。気になった行動内容についてグループインタビューでヒアリングしながら深堀りしていきます。
例えば、司会者が「体験中、待っている間が退屈そうでしたね?」と質問すると、顧客モニターの方からは、「そういえば、あの時そう感じました。待ち時間がとても退屈でした。」などの本人が気づかなかった潜在的なニーズや課題を発見することができるのです。発見後は、グループインタビュー後のテキスト分析、分析結果後の改善策の提案というステップとなります。
顧客の声を定性分析する手法、テキストマイニング
シニア・コンサルタントの原です。
顧客モニターマーケティング(グループインタビュー、アンケート調査)により、企業や組織の課題解決に数多く取り組んでいます。
グループインタビューやアンケート調査など顧客の声を集める方法は複数ありますが、それらの顧客の声は、ほとんどが文字データ、つまりテキストデータとして集められます。
集めた顧客の声を定性分析する手法に「テキストマイニング」があります。
テキストマイニングの流れは、(1)単語の分解⇒(2)共起の関係⇒(3)同義語の統一⇒(4)可視化となります。
第一プロセスの「単語の分解」とは、例えば、「見た目、良い、香り、美味しい、蓋、使いにくい」などの単語に分け、各単語がどの名詞、動詞、形容詞などに属するかなどを判断します。
第二プロセスの「共起の関係」とは、例えば、「味は良いが、蓋が使いにくい。」という逆説な文章は、「味が良い」と「蓋が使いにくい」と単語間の関係を把握します。主語と述語の関係で正確に意味を捉えるプロセスです。
第三プロセスの「同義語の統一」とは、例えば、顧客を表す言葉では、「お客様、お客、ユーザー、利用者」など様々です、分析結果が不正確にならいようように、こうした「表記のゆれ」を統一するプロセスです。
同義語の統一後には、分析結果を分かりやすく図や文章により、第四のプロセス「可視化」していきます。
単純に、第一のプロセス段階で、どの単語がどれだけ登場するかのランキングを作成するだけでも、「顧客の興味の傾向」はある程度つかめます。
さらに、単語間の関係から「肯定的な意見が多い」など深く分析することも可能です。
つまり、テキストマイニングの効果とは何なのか。簡単に言えば、営業実績などの定量データでは見えない「顧客の声」の傾向と変化を気づかせてくれることです。
どんな属性(年代、性別、地域、職業など)の顧客が、どの商品に対しどんな印象を感じているのか。商品のどの部分を評価し、逆にどの部分に不満を思っているのか。その不満は、顧客全体に共通するものなのか、それとも属性特有のものなのか。テキストマイニングでは、1つの事象から派生した多様な分析が可能となります。
このように、定性分析の長所には、第一に、定量分析とは違い因果関係や対極性の構造を探るなど数値で表せない情報やデータを分析することができます。
第二に、「細部の木ではなく森全体を眺める」という与えられた問題全体を眺めて何が問題となっているかを抽出することができます。
第三に、定量分析で用いる情報やデータは、基本的には実測時点の過去の状態のことです。一方、定性情報は過去の内容だけでなく、現在の情報や将来の展望など、現在から将来にわたる時間軸の情報を含むなど、将来予測として活用できます。
しかし、テキストマイニングは万能の手法やツールではないです。顧客の声をテキストマイニングで分析すれば、直ぐに業績改善や顧客満足度が上がるわけではありません。
定性分析(テキストマイニング)だけの短所としては、数値に基づく分析でないため、客観的な根拠に基づく分析に欠けます。第一に、担当者や分析者の主観が入る可能性があります。第二に、客観性に欠けるため、評価リスクを考慮する必要があります。これは、定性分析だけの限界でもあって、数値的な分析に基づく定量分析が必要となります。定量分析については、後の項で説明します。
インタビューの質問内容を事前に考えておく
原です。
「誰に」インタビューするかを決めた後は、「何を」聞くかを考えておくことが重要です。
案外、企画書の重要な内容を聞けば、インタビューはどうにかなると思われることが多いです。
しかし、慣れない頃は、モニターだけでなくインタビュアー本人が緊張することもあります。それに、人間相手のインタビューでは、質問とは関係ないことを話す人、長く話す人、発言数が少ない人など多様です。また、限られた時間の中でどれだけ多くの言語を引き出し、発言内容の理由など具体的な言語まで掘り下げられるかが重要です。インタビューでの対話の内容がバラバラや薄いと本質的な課題が見えてきません。
以上のことを考えると、インタビューの台本となるインタビューフローを事前に作っておいたほうが便利ですし安心できます。
インタビューフロー作成のポイントは、「どういう順番で、どういう質問内容を聞くと相手は話やすいだろうか。どれくらいの時間配分で聞くとスムーズに時間内に終えることできるだろうか。」をイメージしながらインタビューフローを作成します。
では、どういう順番でインタビューしていけば良いのか。以下に留意すべき3つのポイントを挙げておきます。
①話しやすいことから聞いていく
モニターが話しやすいという理由では、「最近の身近な体験から聞いていく」というのがコツです。過去のことや聞いた話よりも、自分が体験した事例ならモニターは記憶もあり感情を込めて具体的に話すことができます。
②重要度の高いことから優先して聞いていく
モニターもインタビュー時間が長くなればなるほど疲れてくるので対話の質が下がります。重要度の高い質問は、疲れていない前半に行うのが良いでしょう。
また、時間を守ることは重要です。後半に時間が足りなくなり重要な質問だからと閉会時間を超えて質問するのはルール違反です。
③第一印象を聞きたいときは先に質問する
例えば、商品パッケージデザインへのインタビューでは、見た目の第一印象は、インタビューが進んで商品に対する意見など情報量が多くなり先入観が強くなると、第一印象とはかけ離れた意見が出てきます。見た目の第一印象などは、掘り下げる前に先に質問すると良いです。
グループインタビューでは発言数だけでなく発言内容が重要です。
勘違いされやすいことでは、発言数が多く盛り上がることが良いグループインタビューだと思われがちなことです。発言数が多くても重要なことを聞き逃してはグループインタビューの目的から外れます。
つまり、モニター全員から発言数を多く引き出し、発言の内容は考えや理由まで具体的に掘り下げられるかです。
そのためには、冒頭のアイスブレイク後の本題からは、「①モニターが話やすい内容から聞く、②重要度の高い内容から聞く、③第一印象は先に聞く、④時間配分を考えながら進める、⑤閉会時間は守る」を考えたインタビューフローを事前に作成しておくことが必要です。
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