早嶋です。
アップルが発表したゴーグル型の端末。価格は3,499ドル。金額を見ると高いと思おうかもしれないが、同社初のゴーグル型端末にかけた開発資金は数百億ドルとも言われる。過去の報道をみると1台あたりの製造原価は2,200から2,500ドル。仮にこれが正しければ、研究開発費の回収を度外視していることになる。
仮想空間技術の専門家でKKRのアドバイザーを務める米国ベンチャー投資家のマシュー・ボール氏の分析によると、
・アップルは18年頃より開発に着手
・以降米国で約1万2,300件の特許申請を行う
・上記の内、約5,000件はゴーグル型端末に関係する
・研究開発費は約400億ドル
とのこと。
当然、この技術はMACやアイフォンなど他の商品にも転用されるであろうが、実際に莫大な開発費をかけていることが分かる。
過去に、プリンターやコピー業界でも、莫大な開発費をかけ、初期は法人向けなど限定して高価格帯の市場に投入し、その後製造コストなどの削減や技術の改善を繰り返し、同様の機能を低価格で提供する戦略を取っている。結果、大衆市場においてもシェアを拡大し、結果的に開発コストも回収するのだ。
同様にスマフォやタブレットなどの電子製品も当初は高額でごく限られた市場向けにリリースした。そして同様のマカニズムで価格を下げ大衆を取り込む戦略を取っている。
近年では、テスラのEVも似たような価格戦略を取っている。はじめて上市したロードスターは約10万ドルを超える価格設定だったが、現在の主力車種のモデル3は約3万5,000ドルで販売している。モデル3の外観は別として、EVそのものの性能はロードスターよりも遥かにバージョンアップされている。
アップルのゴーグル型端末。機能も十分ではなく、価格も高い。が、市場に出すことで開発者の基盤をつくることもできるし、様々なデータを取得することができる。それらを更に現場の開発に応用して半導体や光学系の技術に投資を行い、最終的にはアイフォンのように大衆でも少し頑張れば手の届く価格設定を出してくれることに期待しよう。
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‘戦略’ カテゴリーのアーカイブ
新規事業の旅93 アップルのゴーグル型端末
新規事業の旅92 コカ・コーラのダイナミックプライシング
早嶋です。
コカ・コーラボトラーズジャパン(CCBJ)は自動販売機でダイナミックプライシングの導入を検討している。夜間に価格を上げる実験から始まり、立地や需要期に応じて価格を調整する方針だ。筆者は再び失敗すると考える。
コカ・コーラ社は1990年代後半に、米国の自動販売機でダイナミックプライシングの導入を計画していた。しかし、マスコミや競合他社から強烈な批判を浴びることになり計画は実行されなかった。当時の計画は気温が高いタイミングで価格を上げる作戦。しかし、商品の価値自体は変わらないので本当に飲みたい時に価値が上がる仕組みが消費者に受け入れられなくて批判の対象になったのだ。
昨今、IoTとクラウド、そしてAIを活用した予測で、全国に70万台ある自動販売機のデータを管理しコントロールするのは容易だ。しかし、コカ・コーラの自動販売機は、その瞬間を逃したら二度とこないような体験を売っているわけではない。街中、どこにでも設置してコカ・コーラのコンタクトポイントを増加する作戦がベースだからだ。従い、需要期に値上げをしようものならモラル的に「おかしいぞ!」的な攻撃を受け、しずしず企画を中止する姿が推測できる。
立地条件で価格を変える場合、一定の僻地(山の中、山奥、ホテルの廊下やロビー、スタジアム等)では高い金額が定着しているので、消費者は疑問を呈さないだろう。その場合は、リアルタイムではなく、通常値段が違うのだ。それが、状況に応じて金額が変化することを理解した多くの消費者は嫌気をさすだろう。
コカ・コーラの自動販売機は全国に約70万台あり、台数ベースではシェア3割を超える。つまり、特定の顧客を狙ってブランド展開を行っているわけではない。あくまでもマスマーケティングで全国民をターゲットとして様々な商品を展開している。となると、コカ・コーラのことを考えて理解して商品を買うという層がいたとしても、コカ・コーラの商売を満たすだけのパイは無い。
ならばポイントを付与するのはどうか。既に導入はある。15本買えば、1本無料で手に入るというプログラムだ。アプリをDLして該当の自動販売機で購入時にポイントを貯める。DL数自体は2022年6月時点で3700万件を超えている。しかし、金額が高い時に、ポイントが付くからと言ってわざわざ買うだろうか。これも考えにくい。むしろコカ・コーラはCoke ONアプリを活用してサブスクの事業を展開したいはずだった。Coke ON Passだ。月学2,700円で毎日1本、上限毎月31本まで買えるプログラムだ。このプランは1日1本の引き換えで制限があった。ケータイのデータ量のように持ち越しが出来ない部分と1日に1本しか買えないことが不満になり解約に繋がった。そこで新たにお得プランMAXなるプログラムを導入して1日2本までの引き換えに変更している。
ここまでの結果を見ても、コカ・コーラのマス層の顧客は金銭にやかましのだ。というより安いからと言って買うことはなく、高い場合は、一定の嫌悪感を示すのだ。仮に夜に10円安いから買うのではなく、たまたま通りがかって買う。しかし、立地や需要に応じて明らかにいつもよりも高いことが分かれば、わざわざ自動販売機で買わないだろう。コンビニやスーパーで買う購買行動にシフトするだけなのだ。自動販売機はコカ・コーラの努力でコモディティにしている。それらを今更理屈では可能なダイナミックプライシングに変えたとてうまくいかないのだ。
アパホテルのダイナミックプライシングが成功している理由と比較してみよう。アパの場合、特定のビジネスパーソンを相手にしている。その立地にどうしても泊まりたい一定数の理由を持つ人が、多少の価格の乱高下を気にせずに利用する。その理由は、金銭を払うのは宿泊する人ではなく、会社だからでる。さらに、支払い金額に応じてポイントが宿泊者に溜まり、宿泊者に定期的に現金で還元される。ダイナミックプライシングの上限も法人が許容する金額を見据えて設定している徹底ぶりだ。ダイナミックプライシングが適応できる商品や業界があるのだ。少なくともコモディティで、直接購買する人と消費する人がイコールの商材は適用しづらいのだ。
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新規事業の旅91 アパホテルのプライシング
早嶋です。
アパホテルはダイナミックプライシングを導入して、資産稼働率を最大限に活用している。一部屋の金額は6,000円から12,000円がベースで需要に応じて3万円前後まで変動する。もし6,000円の部屋が1.5万円を提示された場合、顧客は疑問を呈するであろうが、その際あなたはターゲットではないと言うことだ。
アパホテルの対象顧客はビジネスパーソンで一定の層だ。特徴は、自分でお金を払わないで、法人が支払うということだ。マーケティングにおけるターゲットは特定の個人を指す場合が多く、法人ターゲットの場合は組織を分析する必要がある。例えば次のようになる。
宿泊する人:実際に出張等でホテルを利用する社員
お金を出す人:法人、もしくはその社員の上司や経理
情報提供する人:宿泊する人に影響力を与える有人知人雑誌メディア等
アパホテルが提供する価値は、確実にその立地条件に泊まれることだ。主要な都市を歩いているとアパホテルの立地は良い。部屋を常に定価で提供した場合、ターゲット外の顧客が気ままに時折のイベントなどで利用し、空室と満室のギャップが想定外に発生する。通常は、値段が安いからそのホテルに泊まると考える顧客はいるだろうが、その場所が良いから泊まるという顧客は少なくなる。しかも多少高くても、その場所に泊まりたいという顧客は更に限定されるのだ。出張等でホテルを利用する社員の中には、一定のルーティンを満たしたい顧客もいる。そのような顧客が一定数確実にいるのだ。
更に、法人の場合、お金を出すの人は泊まる人と異なるのがポイントだ。社員からすると急な出張を命じたのは会社だから問題ないと考えるだろう。自分の財布が直接痛むわけではないので、非常に合理的な判断が可能になる。個人事業主や小さな会社の経営者だと、その立地が便利だからといって通常1万円で泊まっている部屋に3万出すくらいだったら、別のシティホテルや更に程度の良いホテルを候補にあげ探すだろう。そこまで一つのホテル銘柄にロイヤリティは無いし、身銭を切る感覚があるので選択肢を広げるはずだ。
更にだ。アパホテルは宿泊する人にポイントが付与される。しかもそのポイントは宿泊価格に連動する。極端な話、急に出張を命じたのは会社だし、皆が遊んでいる時に仕事をしているのだから良いだろう。という感覚と同時に、ポイントという効力が働いているのだ。ポイントは、個人の付与なので会社の管理下にもなく、会社も黙認する。
たかがポイント侮るなかれ。アパホテルのWebサイト(2024年1月7日時点)によると、以下のように解説がある。
ーー
①現金に換える【アプリ会員、アパカード会員】
「アパ直」経由の宿泊予約で、アパポイントを5,000ptためると5,000円をアパホテルフロントでキャッシュバックします。※アパ直参画ホテル、佳水郷、海外は、キャッシュバック対応はできません。
②宿泊料金につかう
「アパ直」経由の宿泊予約で、アパポイントを宿泊料金に充当できます。※100ptから100pt単位で利用可能です。1泊1室あたり1,000ptが利用上限となります。
ーー
かくしてアパホテルの超合理的な戦略は今後も邁進するのだ。
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新規事業の旅 全集
こちらは現在連載している「新規事業の旅」の全部のリンクです。
新規事業の旅(1) 旅のはじまり
新規事業の旅(2) 既存と新規は別の生き物
新規事業の旅(3) よし!M&Aだ
新規事業の旅(4) M&Aの成功
新規事業の旅(5) M&Aの活用の落とし穴
新規事業の旅(6) 若手の教育
新規事業の旅(7) ビジネスモデルをトランスフォーメーションする
新規事業の旅(8) 自分ごとか他人ごとか
新規事業の旅(9) 採用
新規事業の旅(10) NBとPB
新規事業の旅(11) 未だメーカーと称す危険性
新規事業の旅(12) 山の登り方
新規事業の旅(13) ポジションに考える
新規事業の旅(14) 経営陣のチームビルディング
新規事業の旅(15) 偶然と必然
新規事業の旅(16) キャズムを超える
新規事業の旅(17) 既存事業の市場進出の場合
新規事業の旅(18) アンゾフ再び
新規事業の旅(19) モノからコトへ転身できない企業
新規事業の旅(20) 自前主義の呪縛とイデオロギー
新規事業の旅(21) 現場とトップのギャップ
新規事業の旅(22) 売ってから始まる事業
新規事業の旅(23) 道具の使い方
新規事業の旅(24) 敵のコトを知りつくそう
新規事業の旅(25) キャズムを超えるまでのKPI
新規事業の旅(26) M&Aの勘所を押さえる
新規事業の旅(27) 仲介会社のビジネスモデルと買い手の事情
新規事業の旅(28) 動画サブスクの落とし穴と処方箋
新規事業の旅(29) 売り手のトラブルは売り手の無知から
新規事業の旅(30) OEは最早役に立たたない
新規事業の旅(31) ジョブと障害とキャズム
新規事業の旅(32) 需要と供給
新規事業の旅(33) ストレッチ目標
新規事業の旅(34) 複利の効果
新規事業の旅(35) 人間は機械の一部になる
新規事業の旅(36) デジタルの弊害を受け入れる
新規事業の旅(37) 会社を居場所に置き換える
新規事業の旅(38) システム化された社会
新規事業の旅(39) 金融リターンではなく事業リターン
新規事業の旅(40) サービス業の苦悩
新規事業の旅(41) 3つの財布
新規事業の旅(42) グループ企業の試練
新規事業の旅(43) 思考と行動
新規事業の旅(44) デジタルバッジ
新規事業の旅(45) デジタル化とOC
新規事業の旅(46) ジョブ発見のコツ
新規事業の旅(47) 器と魂
新規事業の旅(48) Z世代の高級品
新規事業の旅(49) アニメ界のSPA企業が覇者になる日
新規事業の旅(50) PBR1割れの衝撃
新規事業の旅(51) 新規事業の創造3つの方向性
新規事業の旅(52) 別の視点で見るイノベーションのジレンマ
新規事業の旅(53) 新規事業のベストミックス
新規事業の旅(54) サーキュラーエコノミー
新規事業の旅(55) PBR1割れを考える
新規事業の旅(56) 情報の民主化と経済格差
新規事業の旅(57) セキュリティの今後
新規事業の旅(58) サステイナブル経営
新規事業の旅(59) Z世代のアプローチ
新規事業の旅(60) ドローン事業
新規事業の旅(61) ノンカスタマー
新規事業の旅(62) プランB
新規事業の旅(63) Z世代
新規事業の旅(64) 小売とマーケティング
新規事業の旅(65) 高齢者をターゲットにした事業
新規事業の旅(66) ベンチャーキャピタルの実態
新規事業の旅(67) 新規開発の落とし穴
新規事業の旅(68) 覚悟を持って取り組む
新規事業の旅(69) 売れるモノが良いもの
新規事業の旅(70) 性善説と性悪説
新規事業の旅(71) 保身に走らない
新規事業の旅(72) 中国リスク
新規事業の旅(73) サステナビリティ経営
新規事業の旅(74) ストックオプション
新規事業の旅(75) ゼロイチとM&A
新規事業の旅(76) TAM/SAM/SOM
新規事業の旅(77) 近くと遠く/全体と細部
新規事業の旅(78) 逆境を乗り越えるリーダー
新規事業の旅(79) ラストイチマイルの柔軟思考
新規事業の旅(80) 業務提携と資本提携
新規事業の旅(81) 部下の視点と視野の狭さはあなたの鏡
新規事業の旅(82) バックキャスティング
新規事業の旅(83) ペット保険にAmazon参入
新規事業の旅(84) ベンチャー企業
新規事業の旅(85) 生成AI1年目の誕生日
新規事業の旅(86) スケールする前後の組織
新規事業の旅(87) 無線給電
新規事業の旅(88) よく見る風景
新規事業の旅(89) ダイナミックプライシング
新規事業の旅(90) 提携と出資
新規事業の旅(91) アパホテルのプライシング
新規事業の旅(92) コカ・コーラのダイナミックプライシング
新規事業の旅(93) アップルのゴーグル型端末
新規事業の旅(94) 通年採用のススメ
新規事業の旅(95) 情シス事情
新規事業の旅(96) オープンイノベーションの打ち手としてのCVC
新規事業の旅(97) 今後のマーケティング
新規事業の旅(98) エフェクチュエーション
新規事業の旅(99)
新規事業の旅90 提携と出資
早嶋です。
新規事業の作り方として、自社で全てを行うゼロイチがある。現社長がアントレプレナーで現役バリバリで新規ビジネスを創出しているのであれば、ゼロイチの成長は一定の可能性が見込める。
一方で、日本企業の多くはサラリーマン社長だ。実際に新規事業をゼロから立ち上げた経験よりも、誰かが立ち上げた事業を倍、10倍に伸ばす取り組みや、低迷した企業のテコ入れをして業績を取り戻すなどの課題解決が得意だ。
と考えると、多くの企業は新規事業のアプローチとしてゼロイチ以外のオプションも必要だ。その方向性は提携や出資だ。ゼロイチを創造したい分野で既にリードするベンチャーや何らかの技術やノウハウを持つ企業とタッグを組み、一緒に事業を加速する手法だ。
ベンチャー企業は、何らかのイノベーションや新しい切り口を活用して、急激な成長を目指す比較的若い企業だ。アイデアを事業化すべく日々取り組むが、多くの企業が運転資金の確保に苦しんでいる。
資金調達はDebt(借りて調達する方法)と、Equity(新株の割当と引き換えに資金を調達する方法)、そして補助金など国や自治体から調達する方法がある。ベンチャー企業の立場からDebtでの調達はリスクが有るため、Equityや補助金に頼るのケースが多い。
投資サイドから考えた場合、ベンチャー企業に闇雲に投資することはない。リスクを取れば高いリターンが得られる定石はあるが、皆がそのような投資をしない。その際に便利な考えに投資ラウンドの概念がある。
エンジェル、シード、アーリー、ミドル、レイターなどのステージに企業の成長ステージを分けて投資を検討するのだ。アーリー頃よりベンチャー企業は上場を意識する。そこでプレシリーズA、シリーズA、ミドルをプレシリーズB、シリーズB、レイターをシリーズC、上場をシリーズDと呼ぶこともある。
エンジェル投資は設立間もない企業に投資をするフェーズだ。事業会社の特注からするとこのフェーズの投資はありえない。リターンや事業シナジーが全く読めないからだ。そのため個人投資家や縁故による投資が多い。
シリーズラウンドは、スタートアップ企業が最初にベンチャーキャピタルなどの外部投資家から投資を得るフェーズだ。ほぼ無名だがプロトタイプが完成し、市場での評価を始める段階だ。このフェーズで事業会社が投資する場合、自社のリソースを活用し協力する、市場評価のテストがし易い資源を持ち合わせる、現時点での課題解決によって自分たちの事業シナジーが見込める場合などだ。この場合、ファイアンスリターンよりも事業リターンを共に分かち合う可能性がある。
シリーズAラウンドは、通常一定のユーザー顧客がいて、プロダクトの追加開発や販路拡大にEquityを使い資金調達をする。ベンチャーからすると、このラウンドは本格的な資金調達で重要な投資フェーズにもなる。また、この段階ではPMF(プロダクトマーケットフィット)を達成している状況だ。プロダクトが顧客の課題を解決できる適切な市場で受け入れられている状況を達成している状況だ。従い、ポテンシャルが高いベンチャーは多くのベンチャーキャピタル(VC)から既に幾重にもコンタクトがある状態だ。
出資や提携を視野に新規事業を開発したい企業が、いきなりこのフェーズの企業とネットワークを構築するのは難しい。そのためベンチャーキャピタルに出資して情報を集めながら徐々に自分たちの足で稼ぐやり方を研究する。通常は、新規事業を専任で取り組む部隊があり、そこの課長がセンスがあり足も動かせる状況にあっても、自社で直接コンタクトができるようになるまでに5年以上の歳月が必要だ。そこで、一定の資金がある企業は自社で同様の機能をもつCVCの検討や準備に取り掛かるのだ。
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新規事業の旅89 ダイナミックプライシング
早嶋です。
ダイナミックプライシング。これは、需要バランスに応じ商品価格を高頻度に変更する仕組みだ。ホテルや航空業界では1980年頃より導入されている。自由化に伴い座席価格を航空会社が管理できるようになり、米国航空会社は季節や休祝日などの座席需要にあわせて価格を変化させたのが始まりだ。
この動きは、欧米を中心に広がった。ツアー料金、高速道路、電気料金などの商材にも拡大していく。日本では、ホテルや観戦チケット、ネット小売業等で導入が進み、ネットの普及とデータ取得が容易になり始め実店舗での導入事例も出始めている。
JALやANA、他の航空業界のチケット価格を見ると、盆暮正月やGW、シルバーウィークなどのチケットが高騰している。ホテルや宿泊業業界でも同様だ。ゴルフ場などでもシーズンによってプレー料金が異なっている。ここに対して大っぴらに文句を言う顧客はすくない。一定の文化として定着しているのだ。
USJは2019年頃よりダイナミックプライシングを導入し始め、細かな価格変更の導入で収益を改善している。アパホテルは立地条件毎に近隣のイベントとリンクして金額を瞬時に細かく設定する仕組みを取り入れている。例えば、近隣のホテルが1万円の部屋しか空きがなくなったことが分かれば、自分たちのホテルの部屋を1万1千円に値付けし販売するのだ。
手法は、航空業界や他の宿泊業界と変わらないのに、頻度や粒度が一定の顧客から不満の対象になっているのは事実だ。しかし、USJもアパホテルも需給バランスを近年のデータ分析の技術を活用し超合理的に実現している事例に過ぎない。当然に、固定費かさむ事業モデルで空気を貸すよりは安く提供するし、可能性が高い場合は高値で交渉することで収益を最大化できるからだ。
ホテル、飛行機、アミューズメント施設等々。一定時間に一定人数しか利用が出来ない設備投資型の事業は固定費が大きく、利用客がいない場合も、一定の固定費を負担しなければ事業が成り立たない。そのため需給バランスに応じながら価格をダイナミックに調整することで営業利益を最大化することができるのだ。
ここまで読んで顧客のことを考えていないのではと思う方もいるだろう。しかし顧客は一般的な言葉になったが企業における顧客はあくまで企業が定義した顧客だ。全ての市場にいるポテンシャルを顧客としているのではなく、その中から絞った一定の顧客を定義しているのだ。
例えば、従来の顧客は価格が一定だと思っている。あるいは、盆暮正月は高いが、普通の日に、隣の街でコンサートがあるから急に値段が上がるなんて。。という状況には嫌悪感や不信感を感じる顧客も居るだろう。一方で、金額に関係なく、その立地条件で一定のサービスを常に受けたい顧客もいるだろう。どちらの顧客が正しいかといえば、どちらも正しいのだ。
ダイナミックプライシングはまさに戦略だ。正しいか間違いかの判断はない、合法だし、合理的だ。しかし自社がターゲットにしている顧客にその合理性を説明して受け入れてもらうことができなければ導入できないだろうし、全てにいい顔をしてきた企業は到底意思決定はできないのだ。
戦略は正しい、間違いの判断を追求するのではなく、する、しないを決定する取り組みなのだ。このように考えたら日本企業、しかも固定費を沢山かかえて事業をおこなう取り組みを行っている企業の多くはダイナミックプライシングの議論をしたとしても、結局は意思決定できずに、業界全体の様子を見ているろころだろう。一部の意思決定できる企業のみが導入して、まさに先駆者的な益を獲得しているのだ。
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新規事業の旅88 よく見る風景
早嶋です。
新規事業に関わるかな、比較的規模が大きい組織の中でよく見る景色がある。
・新規事業の方向性を示さない
・新規事業は飛び地を意識している
・新規事業は若手に任せている
・新規事業の担当者が既存事業のことを知らない
・M&Aで新規事業をなんとかできると思っている
(新規事業の方向性を示さない)
経営者の仕事は、事業ポートフォリオをどうするかだと思う。企業が掲げるミッションを達成するために自社のビジョンを示すが、その実現には既存、あるいは将来の事業ポートフォリオをどうしたいかの意志が極めて重要だ。そしてこれらを議論して意思決定することそのものが企業戦略になる。しかし、企業全体として新規事業を進める分野を絞り、資本をどのくらい投下すべきかの議論をせずに、新規事業に取り組む組織を多数観察している。
(新規事業は飛び地を意識している)
アンゾフのマトリクスがある。顧客や市場と、商品(製品・サービス)や技術を2軸に取り、既存と新規で軸の広がりを表現することで4つの領域ができる。新規事業とした場合、新規顧客✕新規商品のイメージ、いわゆる飛び地の事業を立ち上げる認識をなんとなく持ち取り組む企業が多い。が、うまくいく確率が極めて低い。城跡としては、既存顧客や市場に対して、ちょいと新しい商品や技術を提供することで商品や技術の領域を増やし、次のその取組をちょいと新しい顧客や市場に提案して売上を作るのだ。この行動を継続的に繰り返す中で、一定の時間軸が経過した場合、結果的に新規顧客✕新規商品の飛び地の事業ができているのだ。いきなり飛び地を目指すのではなく、プロセスをクリアにしていくことが大切だ。
(新規事業は若手に任せている)
新規事業だから若い社員の発送に任せたいという気持ちは分かる。しかし実際は、年齢を取った社員はアイデアや発想がなくて諦めている、若手よろしくね。的な丸投げにも聞こえる。しかしもし若手が新規事業を行うような要件を持っているとしたら、そもそもあなたの会社にはいらないだろう。と思うのだ。大きな組織で仕事をするのではなく、自分でベンチャーを始めるか、そのような組織にはじめから入り、能力を発揮しているはずだからだ。
(新規事業の担当者が既存事業のことを知らない)
若手を交えたチームを組むことが多いことにも関係するが、自社の他の事業がどのようなメカニズムで収益を挙げているのかを理解していないチームがあまりにも多い。従い、自社が有する資源を考えないで、まっさらのアイデアを出しまくる。一見よさそうだが、資源を有効活用しても難しい取り組みが、更にハードルが高くなっていることに気がついていない。活用する、しないは別にして、自社の資源や特徴や強みを徹底的に理解することが大切なのだ。
(M&Aで新規事業をなんとかできると思っている)
残念ながらM&Aは、これ以上収益を上げることが出来ないから、出口戦略の一手として売却を考えるのが売り手の発想だ。一部、成長過程において、安定株主のもと資本を入れてもらい成長を加速したいと考える売りては確かにいる。が、そのような企業は成長期の事業をバリバリ行っていて、普段からベンチャーや様々な資本家とやり取りをしている企業だ。それ以外の普通の事業会社がM&Aで新規事業を仮に変えたとしても、とても高い金額になるし、買ったあとのマネジメントができないので、M&A後、企業価値を落とし負ののれんの償却をする始末になるのだ。
新規事業を始めるためには、少なくとも自社のポートフォリオをどうするかを明確にして、新規事業の領域を企業として戦略的に決めることが最低限必要だ。その上で、自社で行う部隊、提携や資本提携を進める部隊、そしてM&Aを進める部隊の3つの手法を連携しながら進めていくのがポイントだ、。どれがあたるか分からないので、新規の立ち上げに対してもポートフォリオを組むのだ。そして、一定の期間で使える予算を確保して、丹念で使うのではなく期間で使えるような柔軟な資本を準備する。加えて、新規事業に携わる人財の評価を既存と分ける。一定期間の関与度合いに応じて、新規の評価を行うことがポイントだ。単年度や四半期で成果がでないからだ。
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新規事業の旅87 無線給電
早嶋です。
東芝は12月5日に、マイクロ波を使い非接触で電力を給電するシステムを開発した。
(概要)
– 離れた場所に無線で狙いを定めて電力供給が可能
– 周辺で使用している無線LAN(Wi-Fi)通信と干渉しない
すごい技術だ。電子化が進む中、充電は常に課題に挙がっていた。この技術は、工場の製造現場や物流倉庫などにおけるDX可を更にすすめることになる。センサを付けてデータを取得してサーバーに送る際、各センサに電力を供給する必要があった。バッテリーか有線で電力を供給する必要があるため仕掛けが大掛かりになる。それが、今回の技術を活用することで、設置が非常に簡略化される。ありとあらゆるデータを連続的にクラウドにためてデータを解析する仕掛けが飛躍的に高まることが分かる。
IoT同士のデータは、10m以内であればBluetooth等で通信が可能だ。クラウドに送信する場合は、短距離の無線規格で情報を端末に集約して、その端末からクラウドに通信を行うなどの工夫をすると通信代も節約できる。この手の技術は別分野で進んでいる。
今回の東芝の技術が世の中に実装されるのは法的な整備を見て2025年頃になる。工場、物流、農業、医療、教育、道路交通、インフラ等々、ありとあらゆる業界でデータ化が当たり前の世界が日常になり、リアルタイムで現状を把握し、将来をシミレーションする世界がやってくる。
ワクワクするね。
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新規事業の旅86 スケールする前後の組織
早嶋です。
成長戦略を取らない企業は、将来のキャッシュフローが低迷することを意味し、株価が低下する。資本家はもちろん、事業を執行する側も都合が悪い。一方で、新規事業で安定したキャッシュを生み出すことは簡単ではない。
企業の成長は、アイデアだけではどうにもならず、資金や実行するための人材が必要だ。資金提供者はデットの場合は利息と元本保証。エクイティの場合はキャピタルゲインと配当を期待する。当然にそのような事業は、顧客や市場から求められ需要と供給のバランスを調整し続ける体力が必要だ。
新規事業の場合は、その挑戦が将来に向かい、今は実現が厳しくとも将来に実現する可能性が高まればエクイティによる資金は調達しやすくなる。それは、将来の顧客、つまり市中にいる一般消費者の生活の向上や質や豊かさにつながる。このような挑戦がある限り、世の中は便利になり続ける。
そのために事業化は、現在取り組む事業をスケールさせる必要がある。チマチマ取り組んでも、投下した資本を回収することができない。更に、同じようなイノベーションは模倣されるので、一定の可能性が見えた時点で資本を大きく費やす必要もある。
ここに新規事業のジレンマが現れる。新規の創造や仕組みを作るまでの取り組みは試行錯誤や個性やユニークさが求められる。一方で、プロダクトが出来て、一定のテストマーケティングで確認できた後は、標準化、仕組化、汎用化が鍵になる。同じような取り組みを横展開する、コピペして広域で実現可能な状態を作る。ここには個性が邪魔になる場合が発生する。
これまで新規で創造で実力を発揮した社員、0⇒1(ゼオイチ)よりも、従来の枠の中で10⇒20⇒100を続けた社員が活躍できる可能性が高まる。事業がスケールする前後に、従来の新規部隊人材がモヤモヤして個性を活かせないと感じるが、役割がことなることを理解すべきだ。これは事業を執行する側も叱りだ。
スケールに移行する前後は、従来から取り組んで新規チームとコミュニケーションを取りながら、本人の意向や特徴を踏まえて、スケールの取り組みに残すか、新たなイノベーションの開発に異動させるかを判断する。さもなければ、そのような社員が自分の役割をマイナスに感じ始め組織をでる結果になる。
新規でイノベーションを創造する役割と、イノベーションを標準化して仕組みに落とす役割。役者が違うのだ。全社は個人や個性や創造性が重要で、後者は標準化や汎用性が大切だ。スケールの次期は、異なる2つの塊が、汽水域のように混じり合う。どちらが淡水でどちらが塩水かを見極めながら事業の思考者は組織を構築するのが肝になる。
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新規事業の旅85 生成AI1年の誕生日
早嶋です。
ChatGPTが公開されて1年が経過し、生成AIの活用は着実に浸透している。経営者や創造的な仕事をする方の多くは、生成AIと対話することで考えの整理やヒントが芽生えると言う。従来は人を通じて壁打ち相手をしていたのが、ここ1年は生成AIもその仲間の一人になっている。
生成AIは普通の言葉でコンピューターを操作できるのが特徴だ。一方で、その活用は企業や個々人で様々でアイデア次第だ。仕事の軽減、効率化の裏には仕事を奪われる恐怖や自分の存在感を下げるおそれなどが葛藤して保守的な企業ほど導入の遅れが目立つ。仕組みを理解すると機密情報の漏洩のリスクは低く、著作権侵害などの取り組みは進行中であることがわかる。紙媒体や自社のネットワーク技術で情報が漏れないリスクが遥かに高いかなどは議論せず、新しい技術の負の面のみをみる傾向は今も昔も変わらないのだ。
新しい技術の導入の鉄則は、「やってみなはれ」だと思う。例えば企業の中で優秀な10人をピックアップして、プロジェクトをスタートする。生成AIを活用して日常の業務効率を10倍、100倍上げる成果を求めるなどゴールを設定する。モノが分からない場合は、まずは使ってみて、成約を設けず一定の予算と権限を与えて遊んでみるのだ。
一般的に、商談資料の作成や営業実績との分析、議事録の要約や、毎日の日報、週報、月報の作成補助や要約、市場調査などの活用はすぐに応用できることが分かると思う。後は、一定の使用領域を決めて上げれば、従業員にはプロンプトのコツを研修や動画などで提供してOJTを行うと、一定の成果が目に見えて出ることが分かる。企業によっては、生成AIの活用を一定限定して、社員は特定の命令を出したり、文章を指示するだけで、所望の成果がでるように丁寧に誘導するチームもいる。プロントの雛形をある程度準備しておくなどだ。
複数の企業の導入を見ていると、技術的なバックグラウンドがなくても利用率は6割を声、業務の効率があがり時間の削減につながっているという報告を聴く。
コンサルや情報を分析する企業においては、まずはリポート作成などの作業を激変させている。景況や個人消費、企業の各活動項目等、従来人がデータベースから読み取り要約していた作業をAIで読み取り、タイトルの提示、項目の提示、要約例の提示をするのだ。後は、編集担当者が体裁を整えてレポートの大枠が完成するのだ。ただし、コンサル等、情報を売る企業は、その正確性が課題だ。何も工夫を加えないと、生成AIは関連性をベースに文章を作成するので、人間が読むと事実とは異なる文章を提示する可能性もある。そこで、引用元を明確にして、原典を確認しやすくするなどの仕組みが現在、有効な手段として取り入れられる。このような作業を人が行ったとしても、レポート作成の時間は半減し、ファクトのチェックにより多くの時間を避けるようになっているので効率も高まっている。
生成AIが出た当初、米国の経済学者は雇用の約半数は生成AIによって奪われると主張された。実際、上述のように業務によってもばらつきはあるだろうが、4割から6割が生成AIを活用することで効率的になり仕事の質が高まっている印象を受ける。奪われるという発想よりも、補完関係になっているとも考えることができる。
米国スタンフォード大学の研究者が示した見解がある。AI関連の特許が、ソフトウェアのアルゴリズム生成やロボットの制御など、比較的高いレベルが要求される分野において多いという指摘だ。つまり近年のAIは物理的な作業よりもコーディングや創造的な仕事が得意で、これは高いレベルを必要としない仕事は依然として人の手が必要になるという示唆だ。
また、生成AIを活用した実験で、元々文章力が高い人がChatGPTを活用して書いた文章と、文章能力が低い人が活用して書いた文章では、生産性の工場は能力が低い人が圧倒するという実験結果もある。カスタマーサクセスでの応用事例でも、生成AIを活用し始めると成績上位者よりも中から低位者の成績が高まっているという。
つまり、生成AIの活用を自分の能力や仕事の種類によってうまく補完関係を見つけ出せれば、従業員のスキルを一様に底上げすることができるということが見えてくる。
例えば、頭の回転が早いが、報告書や指示書の作成が苦手な人には、文章作成やレポート作成の手伝いをAIを使って行うことで、より創造的な仕事に時間を活用することが可能だ。逆に、テレオペレーターのように言われた事は正しく伝える事ができるが、自分で考えることが苦手な方には、AIが的確な指示や判断をすることで、その内容を相手に正しく伝えることができるようになる。従来難しいとされていたカリスマ的なサービスも一定のレベルの人であればAIとタッグを組むことで成績を底上げすることができるのだ。
セールスエリアなどは、顧客の抽出や次のアポイントのタイミングをAIが行うことで、営業のイチ番地である商談により多くの時間を充て成果を出すことも可能だ。また、カスタマーサクセスを他の部隊に渡すことによって、総合的な管理や気遣いが不要になり、一定のスキルを持つ営業でもAIとチームの活用によって全体の成績を上げることができるようになった。
という事は、まだまだしばらくはAIが完全に仕事を奪うのでなく、自分が苦手な分野にうまくAIを活用して、得意な分野に仕事をフォーカスするツールとして捉えると、後数年は気楽に仕事ができると思う。その先は、また状況を鑑みながら取り組むしかないだろう。仮にAIがすべての仕事を奪ったとしても、経済は今より豊かになっていることだろう。その時はベーシックインカムを受けて、自分な好きな時間を好きなだけ過ごせることができて、それはそれでハッピーだ。
何事も悲観的にみるのではなく局面を見て自分を変化させる柔軟性が大切なのだ。
(過去の記事)
過去の「新規事業の旅」はこちらをクリックして参照ください。
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