現状維持の危険性

2014年8月8日 金曜日


企業や自治体の目標を伺うときに「現状維持」という言葉がある。そしてその言葉を発した組織は、なぜかこれまで通りの活動に徹している。
何もせずに目標達成が可能だと思っているのだ。
が明らかに甘い。

現状維持が保たれる条件は最低でも以下を満たさなければならない。
1)市場が継続的にのびているか、最低でも今の市場規模を維持する状況が続くとき。
2)競合する企業や代替する企業の状況が今と何ら変わらないとき。
3)自社が保持するリソースが低迷しないで保持できるとき

そう、目標達成する場合は、自社の都合に加えて、顧客や競合や代替品も変化し続ける。加えて、市場の動きを左右する世の中の動きも変化する。従って、現状維持をするためには、従来と同じでは、今後の環境では極めて難しいということがわかる。時代が1970年代であったらまだしも、現在は2014年。市場環境は低迷する。人口が減少し、労働力が不足する。政府は言葉では問題視しているが筋が通る解決策を講じていない。企業の収益は国内では減少傾向、そのため国外フォーカスが高まっている。内需をみた場合、10年、20年のスパンを見ても苦しいことが明らかだ。

従来の活動を継続することで達成できるという甘い考えは、現状を把握していないことに起因すると思う。今の世の中が過去から現在までどのように推移してきて、自社のリソースが過去から現在にどのように変化してきたかを理解する。同様に、市場環境の現状と過去からの推移、それに応じた競争環境の変化と現状。これらを見ることで、何もしない場合の将来がどのようになるかが推定できる。

実際は、現状把握が不十分なので、安易な将来しか見えていない。従って、自分たちでは努力しているつもりでも結果がでないことの本質を理解していない。つまり、その努力では、市場環境の変化に逆らえないということを。従って、現状維持という空気を皆で掲げ、過去からのやり方を粛々と続ける。これまでは、その変化が緩かったので、減収減益かかろうじてプラスマイナスゼロを維持してきたかもしれない。しかし、企業の損益分岐もギリギリの状況で、若い社員が入社せず、社員の高齢化だけが確実に進んでいる。結果、従来以上に続けるコストが高くなってきている。

薄々築いていても、空気を変えることが難しい。

現状維持という言葉が出てきたら、現実を直視し受け入れてみよう。そして、その状態の継続した将来を見てみよう。きっと、相当まずい状況が見えてくると思う。その状態で今から企業が何をすべきか考えて動かねばならない。



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