鋼板の現地調達というルール変更

2010年1月6日 水曜日

自動車の動きもBOPを無視せざるを得ませんね。

以下、日経新聞より—–
ホンダは2011年にインドで生産を始める小型車で、現地製の鋼板を初めて採用する。日本製より2~3割安い鋼板を使って価格競争力を高める狙いで、トヨタ自動車も11年からインドで生産する車種で現地製鋼板の採用を本格化する。従来、高品質の日本製を使ってきたが、現地の価格競争に対応するため方針を転換する。日本の鉄鋼大手の海外進出拡大を促すほか、他業種の企業の新興国戦略にも影響を与えそうだ。
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今回、ホンダが採用するインド製鋼板は新興国でのシェア拡大を狙う2CVと呼ばれる小型戦略車です。価格は100万円以下でホンダの中でも最安値の車です。従来の日本車メーカーのルールでは、新興国で現地生産されている車であっても品質が高い日本製の鋼板を使っていました。しかし2010年からルールが変わります。

理由は価格。インドの乗用車市場は急成長が続いているものの、需要の5割以上が1500cc以下の小型車で、価格もタタ自動車が20万円強で勝負するなど日本のマーケットでは考えられない厳しい環境です。となれば、ルールを変更して、低価格車に見合った鋼板を採用しなければならなくなったのです。

このルール変更、鉄の価格を考えたら明らかですね。日本の鋼板価格は1トン当たり9万円~7万円。車1台に1トンの鋼材を使うとすると、鋼材だけで9~7万円のコストがかかります。明らかに、20万円強の車には対応できないですね。

勿論日本の鉄鋼メーカーは黙っているわけではありません。国産の自動車メーカーの海外進出に伴い、中国やインドなどの企業と合弁や技術提供を通じて鋼板の提供を続けていました。しかし、今回のホンダの発表によって、その動きが加速され鉄鋼メーカーの海外進出はもっと激しさを増す事でしょう。

その後のシナリオは、車が下がれば電機、工業危機、そして徐々に家電や日常生活雑貨にまでその影響が広まる可能性だって感じられるニュースだなぁと感じました。

早嶋聡史





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