
経済は動いている
2021年6月15日
◇未曾有の好景気…だったかも
原田です。
もしコロナ禍がなければ…、今は未曾有の好景気だったかもしれません。理由は3つあります。それは、「AI-クラウド-5G」、「脱炭素化」、「東京オリンピック」です。
まず一つは、5Gの普及により、「AI-クラウド-5G」という次世代要素技術のトライアングルが完成したことです。あらゆる製品・サービスが、センサーを通じてクラウドとつながっていきます。そしてデータは蓄積され、製品・サービスはAIによって最適化されていきます。このことは世界的な半導体不足の原因の一つです。さらに新たな機能を持った半導体の開発、そして、半導体製造装置への投資がさらに加速しています。この動きはこれからも長く続くと思います。
次に、世界的な「脱炭素化」への動きと、それに伴うインフラ投資です。日本は、2040年までに、30ギガワット〜45ギガワットの風力発電を確保する目標を掲げました。あわあて日本国内で電力の広域運用を実現する配送電網の整備の構想を掲げました。取り扱いが難しい水素関連のインフラ投資も進んでいます。エネルギー関連のインフラ投資は設備だけでなく、システム、運輸、保守など関連する業界にも需要を作り出します。これは日本だけでなく世界的な動きです。さらに「脱炭素化」は前述の「AI-クラウド-5G」という要素技術の確立とも結びついています。一昔前のように、人が電力の需要を予測して、発電所の火力を調整するということはありません。AIがセンサーを通じてデータを集め、電力を最適に振り当てることができるということです。無限に近い組み合わせの中から一瞬で最適解を得ることができます。一昔前、太陽光発電が脚光を浴びたとき、再生エネルギーがメインになることについては懐疑的な声が多かったです。でも今はそのような声は聞きません。
最後に「東京オリンピック」です。何事もなく開催できていれば、上記の2つにあわさって、国内の景気は最高潮だったと思います。国内は日本人だけでなく、海外からの旅行客で賑わっていたでしょう。
◇将来のことはわからない
テレビのニュースを見ると、「コロナ」、「コロナ」で同じことを繰り返しているように感じます。実態がわからない数字の羅列と、政治家のパフォーマンスと、その批判がひたすら繰り返されているだけのように感じます。もう誰が、何を、どうしているのか、わけがわからない状態です。まあ、みんなそうなのだろうと思います。今の緊急事態宣言のなか、医療関係者や、影響を被っている事業者の方々は本当に大変だと思います。
コロナ禍でなくても、基本的に将来のことはわかりません。しかし、仮にコロナ禍が終着すればどうなるでしょうか?個人的な予測ですが、企業活動に関わる消費はもとには戻らないと思います。不必要な出張、会議、研修、接待などは減少すると思います。一方で、消費者関連の消費、特にレクリエーションに関することは、戻るだけなく、大きなリバウンド、そして新たな需要の出現があると思います。
◇これからのこと
コロナ禍の状況でも「AI-5G-クラウド」×「脱炭素化」という流れは進んでいます。テレビは危機感をあおるニュースばかりで、世の中は自粛ムードに包まれています。一方で経済活動のコアは大きく動いています。
さらにこのコロナ禍のなか、世界的な規模で人々の「認識の変化」が起こりました。これまで必要だと思っていたことが必要でなくなり、今まで必要でなかったものが、必要だと思うようになりました。新たな生活様式が生まれています。このような変化が世界的規模で、同時に、短時間で起こることは、歴史的にもかなりまれな出来事です。
「AI-5G-クラウド」×「脱炭素化」×「認識の変化」。この流れは世界的に大きな変化を、そして新たな需要、多くのイノベーションを生み出します。もしかしたら、これから未曾有の好景気を迎えるかもしれません。
企業の動画活用と研修の今後
2021年6月14日
早嶋です。
2019年12月頃より武漢を震源地として発生したパンデミックは、2020年4月、2021年1月、そして2021年6月に3度の緊急事態宣言を起こしました。その期間、企業は2回の新入社員研修と従来の階層教育や選抜教育を実施しています。当然、各社試行錯誤で開催し、中には間引いたり、全ての研修をキャンセル企業もありました。
covit-19は幸か不幸か、研修のあり方をゼロベースで再考する機会をもたらしました。従来は研修会場に講師と参加者が集合する集合研修が中心の形態から、Webツールを活用したオンライン研修、動画を活用した研修、レポート提出などで研修を置き換えるなど様々な形態ができています。今回は忘備録として、今後の可能性について2021年6月14日時点での研修について整理します。
基本的に研修の提供形式は、集合研修とオンライン研修があります。
(集合研修)
講師と参加者が研修会場に集まり、研修期間中、リアルタイムでインプットやワークショップなどを行う形式。
(オンライン研修)
講師も参加者もネットワーク上に集まり、研修期間中、オンラインでインプットやワークショップなどを行う形式。
また、研修内容はインプット重視、アウトプット重視があります。
(インプット重視)
期初や期中の会社の経営状況の共有や全社員向けのガバナンストレーニング、SDGs研修等です。また、新入社員や階層教育なども一部インプット重視の研修に入るでしょう。
従来は従業員を20名〜30名単位で本社や該当する拠点の会議室に集めて集合研修形式で同じ講師がインプットしていました。この手の研修は通常は一方通行だったので、今後は動画に置き換わり提供されるでしょう。
もし、全社員に対してアウトプットが必要な場合は、1)レポート提出か、2)インプットを受けて理解を深めるためのワークショップをオンラインで行う形式にシフトするでしょう。
リッチな研修では、レポートに対して講師が赤ペン先生を行い受講者にフィードバックする。或いは、ワークショップで議論を深め、インプットを担当した講師、或いはワークショップ専用の講師がファシリテーションを行います。ワークショップの提供形式は受講者の移動と会場のを鑑みるとオンラインにシフトすると思います。
(アウトプット重視)
選抜研修や階層研修のうち役員研修や管理職研修、或いは将来のリーダー育成研修などが相当します。これらはインプットも行われますが、研修の比重はアウトプット重視の研修が多いです。但し、従来は参加者の知識レベルを揃える目的でリッチに講師を呼び、インプットを行った上で、会社の将来を議論したり、何らかのビジネスモデルを作成する等のワークが課せられていました。
ここに対しても、選抜者の能力やバックグラウンド、個々人が持つディグリーに応じて、基礎インプットが不足するヒトはオンデマンド等で事前に動画でインプットを済ませて置く。そして、集合研修の時までに知識を補っておく。という流れになると思います。
選抜トレーニングの場合は、集合研修形式で1箇所にリアルで集まりワークショップを行うことを主に研修の立て付けが決まって行くでしょう。但し、この手の研修は絶対に中止や延期がしにくいので、有事の際はWebツールでも議論ができるように予め設計しておきます。
上位グレードの階層教育や選抜トレーニングは、その方々の人事のタイミングとリンクして研修のタイミングを提供するため、研修が遅れたからと言って人事のタイミングをずらすなどをすると実際の仕事に大きく影響を与えることから基本的に中止や延期は考えられないのです。
次に研修のタイミングに対してです。基本、リアルタイムの場合とある一定期間に終了させたい研修、そして受講者のタイミングで好きなときに見れる研修です。
(リアルタイム)
旬がある研修やインプットです。例えば期初や期中や期末の社長の講話などはリアルタイムが重要なので今後はオンライン配信を活用して特段業務を止めることができるヒトはリアルタイムで聴講し、何らかの理由でその瞬間に共有できない人はなるべく早い時間に録画を視聴することになるでしょう。
(一定期間)
SDGsやガバナンスなど、全社員や一定の役割レベルに共有したいインプットは、旬はありますが、必ず同じ時間に聴講頂く必要はありません。この場合は一定期間の猶予があり、個人の仕事の都合に合わせて動画を視聴するような流れになるでしょう。
(オンデマンド)
過去の経営計画発表や技術ノウハウの共有や各種インプットは、常に動画を見られる状態にしておき、条件を有する従業員はいつでも自由に見れる状態になるでしょう。
異動で新たな業種についた社員は、研修期間内外を含めて、知識インプットや過去の取組事例等の動画を見てOJT以外に自分に不足する経験を知識で補うことができるようになります。
中途採用の社員は、直近数年の社長の講話を聞くことで会社の社風や大切にしている価値観や文化を確認することができます。もちろん、その方の役割について関連のある動画を検索して見ることでその会社にフィットした仕事がより行いやすくなるでしょう。
このように考えると、従来のリアル一辺倒の研修は、動画のみ、動画+レポート、動画インプット+レポート+ワークショップなどと動画を活用したハイブリット研修が当たり前になるでしょう。
この際、課題となるのが動画の扱いです。各社Webツール等で録画する動画や研修で使用する動画の管理などに苦労していることと思います。Youtubeの限定公開などの活用はURLが漏洩される可能性がありますし、誰がいつみているのかなど、人事が管理目的で知りたい情報がとれません。当然、Googleが提供するプラットフォームなのでいつ使えなくなるかも不明です。
動画は他のドキュメントファイトよりも要領が重たく直ぐにハードディスクをいっぱいにしてしまいます。テレワークが進む中、そのような動画のやり取りや管理はIT専門の人間でも、取り扱いの得て不得手が別れます。
弊社では研修やの立場から動画を活用する経験が多かったことから、動画に強い企業と連携をしていち早く動画のソリューションを実装しています。こちらの商品は1年間テストマーケティングで複数の企業で実験しながら活用しました。その内容を踏まえて仕様をゼロから見直した新たな仕組みを8月頃より順次ローンチしていく予定です。
今回のブログを読んで、ピンと来た方は、1)企業研修を担当している方で実際に動画の扱いに困っていいる方、2)研修会社ですでに研修をハイブリット化しているがコンテンツの配信と顧客毎の管理で困っている方、3)個人で動画を活用して何らかのノウハウ提供をしている方、だろうと思います。
是非、上記の方は弊社までご連絡下さい。追って担当者から連絡させて頂きます。
ESG投資と食品業界
2021年6月11日
早嶋です。
ESGは、環境、社会、ガバナンスの英語の頭文字をとった造語で、昨今の企業の成長においてこの3点が必要だという考え方です。当初企業は、環境や社会を鑑みないで自社の成長を考えていましたが、社会をベースに取り組む以上、結果的に社会に優しい循環型の経済を構築することが、結果的に長期的な成長とリターンを及ぼすことを学習しました。
そのうえで昨今、ESGの視点が薄い企業は大きなリスクを抱えます。長期的な成長が出来ないことに加えて、SNS等で情報が自由に開示される中、ESGに反することで非買運動がおこる可能性すらあるからです。更に、投資家の観点からするとESGに反する企業は、結果的に消費者からパッシングを受け長期的なリターンを上げにくくなることから、対象から外される傾向が強まっています。
2000年代頃はCSRが標榜され始め、2015年頃から民間を中心にSDGsが活発になります。そして投資の世界でもSRI、社会的投資責任という考えが普及したのです。
ESGに対しては諸にESG投資という言葉もあります。当初は投資対象の1つのジャンルであえて強烈に社会的に影響を与える企業に対しての投資を指していました。しかし、昨今は上述の通り社会や環境を無視した事業モデルは継続しにくく、かつESGに貢献する企業は結果的に財務リターンが高く、投資リスクが小さいことを証明する研究が多数でてきました。それを受けて起業でも持続可能性、サステナビリティという言葉を連呼するようになったと思います。
先日、フィナンシャルタイムの記事で以下のような主張がありました。
– ネスレの食品や飲料の大半は、一般的に認識されている「健康」の定義に合致しない。
– 加工食品や飲料のうち、国際的な健康基準を満たすものは、わずか37%だった。
これが2000年頃だったらおそらく問題にならなかったでしょうが、先のESG投資という概念を鑑みるとネスレのリスクが露呈されたことになります。記事では、幹部のプレゼンの中に、「我々の製品とカテゴリをいくら刷新しても健康的にならない」とあったとのことです。
そもそも健康とか環境に優しいという概念で製品を作ると、食品であれば添加物を加えること自体がNGでしょうし、そうしなければ賞味期限など恐ろしく短くなるでしょう。当然、今の世の中にフィットした物流システムをゼロベースで見直さなくてはならない可能性も出てきます。
また、人の味覚を錯覚させるためには、油と糖と塩を通常よりも多く使用することで実現できることを食品メーカーは知っています。当然、そのような食品を摂取し続けると、普段の人間が1日の摂取に必要な量をはるかに多く取ってしまうのです。
合理的に考えて、健康食品の対極が大手企業が大量に製造する食品なのです。勿論大手企業ですから、研究所などで味の特徴を変えずに塩分や糖分、油の仕様を工夫する取組を行っています。しかし未だに、そのような製品が世の中に上市しないことは、すなわち難しいのか、大量生産に乗せるコストに合わないのかのどちらかなのです。
ネスレは、このことをボード会議で取り上げ、メディアに報告しているくらいですからまだましな方だと思います。赤い炭酸を提供している企業や甘いチョコレート風のお菓子を提供している企業。そしてお湯を注いだら直ぐに食べられる便利さを提供している企業などは、この取り組みが飛び火しないことをただただおとなしく待っているのではないでしょうか。
しかしESG投資、そしてSNSでの情報が流れ始めることがきっかけに、無視することよりも正面から対応していると出る釘になった方が賢明だと思います。いずれにせよ食品業界の闇はしばらく明けないと思いますが。
視野狭窄
2021年6月8日
早嶋です。
視野狭窄。医学的な言葉の意味でしょうか、中心の視野が良好でも徐々に周辺視野が喪失される症状です。
コロナ元年に入社した新入社員、社会人経験の全てがオンラインを軸に生活した方々も多いことでしょう。そして半年から1年もすると、コロナ渦の生活が板に付き当たり前になることでしょう。
従来は出社する中で隣の部署や顧客の出入りを自然と目にすることがあり、会社の業態や全体のポートフォリオがどのようなことをしているのかのニュアンスをそれとなくイメージすることが出来たと思います。また、少なくとも通勤途中に他社の状況や同様の努めている方々を目にする中で少なくとももっと頑張ろうとか、あいつ若いのに良い格好しているなとか、何らかの無意識の刺激を外界から受けていたことでしょう。
しかし完全にデジタルの世界では、目の前のディスプレイに表示された情報が全てで、いつしかその周辺の付属する、或いは無限にも広がる世界の存在を無視し、ごく狭い世界で仕事をしている錯覚に陥ってしまっているのです。
企業研修業界で従来から視野が狭いことに対しての課題感は高まっていましたが、オンラインを主体とする社員に取ってその影響は更に大きくなると感じます。
若手が視野狭窄に陥らない打ち手はいくつもありますが、基本的に自分が見ている対象は全体の一部であり全てでは無いことを常に意識することでしょう。その上で、ヨコとタテを常に自分の中で考えることをお勧めします。
ヨコ。仕事で言えば、その流れです。今みなさんがこなしている仕事は、皆さんで始まり、皆さんで終わる仕事ではありません。2人以上の組織で仕事をしている以上、必ず仕事は繋がりの中に存在します。そのために常に、自分の仕事の上流工程と自分の仕事の下流工程がどのようになっているのかを考えて今の仕事に取り組むことが大切です。そのように意識することにより、ヒトから言われてこなす作業が、自分で全体を考えた仕事に切り替わります。ヨコに対して専門的に学びたい方はバリューチェーンや少し大きな視野でサプライチェーンを理解すると良いでしょう。
タテ。今目の前のヒトも完全に全てを把握して全ての権限を持ち仕事を動かしていることはありません。やはり組織で仕事をしている以上、そのヒトは上限のヒエラルキーの中で自分の役割を全うしています。更に、相当教育を受けた人間でも無い限り、本人も上司や部下を鑑みた仕事をしていません。そのため目の前のヒトの発言を正解と捉えずに全体の一部、その役割のみで考えると正解の可能性が高い。と認識することが大切です。やはりタテに対して理解を深めたい場合は組織論や意思決定のメカニズムについて学びを深めると良いでしょう。
何れにせよ、デジタルの世界はピンポイントの部分最適しか示されません。自分から情報を取りに行くことをしない限り、常に選択されたごく限られた情報しかディスプレイには表示されません。すると、仕事とはこんなものかとなりどんどん周辺の視野が狭くなることでしょう。
デジタルディラプションが起こる瞬間、部分の最適化された仕事は一瞬でAIやロボットに置き換わる可能性があることを意識して日々テレワークを行う。そして余った時間は自分の思考を深めるトレーニングを積むことをおすすめします。
創造的地域社会
2021年6月3日
原です。
ここ数年、都市と地方を取り巻く環境や価値観が大きく変わりました。
社会や経済活動のグローバル化が進むのと同時に、人々の「心の豊かさ志向」は広がりを見せつつあります。
特に、東日本大震災以降、「コミュニティ」や「つながり」というキーワードが多く使われるようになりました。
また、現在のコロナ禍では、都市から地方や里山への移住や会社の移転の動きも一部で見られます。
戦後の日本経済成長と物の豊かさを追い求めてきた結果とは引き換えに、失いつつある心の豊かさを取り戻そうとする力が社会のあらゆる所で求められているようにも見えます。
日本は近代から現在に至るまで、人と地域の関係が大きく変化してきた国です。
戦後は地方から都市部への人口移動、雇用構造の変化が経済成長を後押ししてきました。
それに伴い、人々の社会への帰属意識が大きく変化してきました。経済成長と都市化のプロセスで、日本人の帰属意識は「会社や組織」という職域と「核家族」という生活域で過ごすことになり、ワークの場とライフの場に分離しました。
そして、それらをつなぐ場と言える地域やコミュニティの存在感は希薄になりました。
長年、日本人は働く場を自分自身の拠り所とし、自分がどの会社や組織に所属しているかが重要でした。
しかし、脱成長や脱工業化・脱炭素社会が共通認識となった現在、そうした帰属意識は揺らぎ始めています。
日本は経済成長を終え、終身雇用など日本的な働き方の時代も終わり、更には少子高齢化社会の問題が現実のものとなってきたからです。
定年まで働き、それ以降の余生をどう過ごすかが人生の大きな課題であり終活というキーワードも聞くようになりました。
職域から離れたところで、自らの心豊かさが高まる居場所を求める人々も見られますが、帰属意識が高い人ほど、その居場所を築いていくことはとても難しいと思います。
一方、私が実践している都市と里山での2拠点暮らしから学ぶべきことは多いです。
人口減少と超高齢化が進行する中で、過疎化していく中山間地域の里山では限られた地域資源を活かし、知恵と創意工夫で小さなビジネスや新たな価値観を持つ若者などによる社会的起業などの取組みも創出されています。
成熟社会での「あるべき姿」が求められている今日、従来の経済至上主義の価値観とは異なる新たな「創造的地域社会の価値」を再構築していく機会にもつながります。
そして、創造的地域社会への形成は、既存の地域共同体ではなく、ゆるやかなコミュニティが同時に創出しつつあります。
人口減少が進み、高齢化率が50%を超えるほどの超高齢化と過疎化の中、地方や里山の創造的な取組は、日本の未来の先進事例になると思います。
人口増加と経済成長の時代における日本社会のキーワードは「経済発展、工業化、都市化」でした。
しかし、人口減少と脱経済成長の時代は、「地域の自立、創造性、ゆるやかなコミュニティ」といった言葉をキーワードとして聞くようになりました。
つまり、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄の経済システムに基づく工業化や産業化を超えた新たな経済システムが求められると考えます。その際に「創造性」は重要な思考スキルとなるでしょう。
例えば、大量生産=大量消費による「経済成長の限界」に突き当たった欧米の都市では、既に「欧州文化首都」事業など文化資本の活用や創造的人材の誘致による再生の試みが成功を創り出しており、日本においても、金沢市、横浜市、神戸市などでアーティストやデザイナーやクリエイター団体、企業、大学、住民の連携によって創造都市政策が推進されてきました。
このような、世界や日本における創造都市の推進の中で、国内の地域ではその考え方を応用して、創造地域を目指す地域イノベーションへの取組も創出されています。
今後の日本は、大都市が小都市や里山とwin-winの関係を構築することで、日本全体がより創造的に進むことが社会全体の新たな発展につながるのではないでしょうか。
アプローチで関係を構築する
2021年6月3日
高橋です。
私がコンサルティングをしている『営業プロセス研修』のエッセンスを、数回に分けてお伝えしています。
今回は『アプローチで関係を構築する』というテーマでお届けします。
前回に引き続き、新人営業パーソン向けのテーマで、そんなこと分かっているというベテランの営業パーソンもいらっしゃるでしょうが、よかったらお付き合いください。分かるとできるは別ですし。
先日も新入社員向けに営業研修を行いました。営業プロセスの全体像を示し、最初のプロセスであるアプローチについてワークをしながら研修しました。今回はそのエッセンスを抜き出します。
セールスのプロセスはどの業種でも概ね次のようなものです。
アプローチ→ヒアリング→プレゼンテーション→クロージング
アプローチの目的はお客様と関係を構築し、次のヒアリングに進む許可を得ることです。
人は誰でも初対面では警戒心を持つものです、その警戒心がなくならないウチには自分のことを話そうとは思いませんよね。だからアプローチで「このセールスマンにだったら話してもいいかな」と思っていただかなければならないのです。
では、関係構築のために何をすべきでしょうか。ポイントは5つあります。
1. お客様に興味、関心、好意を持つ
2. お客様との共通点を発見しながら、共感を獲得する
3. あなた自身の能力、ポジションを示す
4. 長期的なwinーwinの関係を構築したいという意志を伝える
5. 自己開示をする
研修ではワークを行いながら、次のようなことをお伝えしました。
1.お客様に関心を持つ
名刺にはお客様の情報がギッシリ詰まっています。が、そこから情報をとらえきれていない人を多く見かけます。
例えば、名刺をひっくり返して裏まで見ない。東京や大阪の支店が記載されていたり、詳細な事業内容が書かれている場合があります。
また、○○周年といった創業感謝のマークやキャッチフレーズを記載しておられる会社もあります。
それらは、お客様が関心を持ってほしいことですから、こちらとしてはぜひとも詳しくお尋ねすべきでしょう。きっと喜んでお話ししてくださいます。
また応接室や社長室に通していただいたら、室内をつぶさに観察することです、そこにもお客様が関心を持ってほしいことがいっぱいあります。
会社の理念や社是が掲げてあったり、建設会社なら施工した建物の写真が飾ってあったり(実績や社歴のようなモノですね)。なかには、社長がゴルフコンペで優勝したトロフィーや、スポンサーを務める野球やサッカーチームのユニホームが飾ってあったりします。
それらについても、必ずお話しを伺うようにしましょう。「よくぞ聞いてくれた」とばかりに盛り上がるはずです。
➁共通点探し
人は共通点があると、一気に打ち解けます、誰でも経験があることです。
出身地、出身大学、お住まいの場所、共通の趣味、共通の知人、など尋ねます。
簡単に尋ねるコツは「休日の過ごし方」です。やってみてください
「休日はどのようにお過ごしですか?」
「最近、山登りに行くことが多いです」
「そうなんですね、私も山に行きますよ、どこら辺の山を登られますか?」
「近場ですね、雷山や脊振山系の」
「そうですか、お気に入りの山を教えてください」
まとめましょう。
今回は営業プロセスの中のアプローチについてでした。アプローチの目的はお客様と関係を構築すること、警戒心を解いていただきヒアリングに応えていただく準備です。
アプローチのポイントは5つです。今回はそのうち2つについて具体的にご紹介しました。また機会がありましたら、残りの3つも具体例を出してご紹介したいと思います。
営業プロセス、顧客満足、人材育成、セールスコーチなどをお考えの経営者・経営幹部・リーダー・士業の方はお気軽に弊社にご相談ください。
EAP活用について
2021年6月2日
安藤です。
EAPは、Employee Assistance Program(エンプロイーアシスタンスプログラム)の略称で、従業員支援プログラムです。米国でのEAPへの相談内容は、精神疾患・ストレス・人間関係・キャリア問題・ナンシャル問題など幅広い問題に拡がっています。日本では2000年に公表された「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針(「労働者の心の健康の保持増進ための指針」に改訂)」でEAPが事業場外資源として取り上げられ普及しました。 パフォーマンスを下げる要因(ストレス、精神疾患、ハラスメント問題、トラブルなど)への関わりと共に、パフォーマンスを高める要因(キャリアデザイン、ワークライフバランス、コミュニケーションスキル、マネジメントスキル)への取り組みも行います。どのような問題に対しても、社員と組織の両者のパフォーマンスの改善・向上を最終目標として対応しています。
一般的には、EAPは専門家によって下記の2つのサービスが提供されます。
・職場の生産性、健全な運営の維持及び向上、またその組織ニーズの提言をする
・人間の行動とメンタル上の健康に関する専門家のノウハウを通じてサービス行う
(1)生産性に関わる提言を行い、(2)従業員をクライアントとして個人的な問題の整理や解決を援助します。個人的な問題は、健康(ウエルネス)、メンタル、家族、経済問題(借金など)、アルコール、 薬物、法律、感情、ストレス、など仕事の結果に影響を及ぼしうる様々な問題を意味します。
その項目はその組織の生産性に関わる問題やクライアント従業員の仕事に影響を及ぼしうる問題に個別に提言するアプローチです。具体的には下記の内容があります。
1.コンサルテーションを通じて組織のリーダーが問題のある社員への関わり方、職場の改善について、 あるいは社員のパーフォーマンス向上に有効な援助(サポート)や訓練を行う。
2. EAP利用促進を活発に推進する。対象者は従業員、その家族、そして、組織(課、グループ等)
3.個人的な問題により業務遂行に支障がでそうな従業員に対して、守秘義務を守り、タイムリーに問題の確認/アセスメントサービスを実施する。
4.業務遂行に影響の出ている従業員に対して建設的直面化、動機づけ、短期的介入を提供。
5.診断、治療についてはリファーを行い、援助、フォローアップを行う。
6.問題行動(アルコール、薬物、精神疾患、感情問題等)に関して医療保険等でカバーできるように顧客組織や従業員にコンサルテーションを行う。
7.組織の業績や個人の仕事ぶりに関わる効果の評価、見直しを行う。
最近の傾向として、EAPの現場で感じることは「コロナ禍で業務のやり方の変更など仕事量が増えた、オンライン化が進み会議が増え仕事時間が長くなった、仕事以外でのコミュニケーションが少なくなり業務のことで相談しにくい等」のメンタル不調の増加、また、30代~40代の方はキャリア形成についての悩みなど多岐にわたります。EAP外的資源活用は、パフォーマンスを下げる要因(ストレス、精神疾患、ハラスメント問題、トラブルなど)への関わりと共に、パフォーマンスを高める要因(キャリアデザイン、ワークライフバランス、コミュニケーションスキル、マネジメントスキル)をサポートすることで、組織と個人の発展に繋げられると考えます。
私毎で恐縮ですが、この度、国家資格キャリアコンサルタント1級技能士(国家資格キャリアコンサルタント
指導者レベル)を取得しました。メンタル・キャリアの統合面でEAP活動の幅を広げるだけでなく、企業内でのキャリアコンサルタント取得の方々・目指していらっしゃる方の指導、また、資格に関わらずキャリアコンサルタント育成を検討されている場合は、お声かけ頂けたら幸いです。気軽に弊社にご相談くださいませ。
自由の本質
2021年6月1日
早嶋です。
(キャンバスに自由にかけない)
小さい頃、自由に絵を描きなさいと言われた時に、「目の前の果物を擬人化して、その果物が食べられる瞬間に、人に掴まれて皮をむかれる悲壮な姿をイメージして」絵を描いたことがあります。少なくともそのような情景を浮かべていました。表現力は無かったものの、出来上がった絵は誰も理解できない絵だったようですが、当時の早嶋少年は大満足でした。
当時のお題は、果物の静物画。家からもってきた果物をみんなで描く授業でした。でも先生が並べる配置は、教科書通り、なにも面白味が無く感じました。しかし先生は自由に好きなように描きなさいという。周囲は、完全に教科書通りの絵を描いて、私は自由に描くという言葉に引っ張られ過ぎて暴走したのでしょう。
自由に絵を描きなさいと言われ、筆が進む人は少なく、何かをお手本に絵を描いていくことで自分の作業を進めることに安心する人が世の中的には絶対数だと思います。既存の事業を与えられ、細分化さらたバリューチェーンを一生懸命に覚えて経験を積んで成果を出す。だれも新規に自由に事業を創造することなどしたくないと思うのです。ここに自由の本質があるのだと思います。
(プロテスタントの出現)
マルチンルター。若いころに経験した苦を抑えるためにアウグスチノ修道院に入り修道生活をはじめます。しかし修道に励めば励むほど彼の中で矛盾が生じていきます。半ば神に対しての絶望があったのだ、というより神を利用している一部の権力者の愚行に怒りを感じたのしょう。そんななかパウロの言葉が彼をあらたな方向にリードすることになります。
「神の儀は信仰に始まり信仰に至らせる」だ。
当時は一部の教皇が聖典の解釈を活用して、罪に対しては免罪符を購入することで救われるという慣行があった。まさに、お金によって好き放題する一部の富豪や権力者の暴挙が目に浮かびます。当然、富の分配を受けない多くの一般市民は悶々とした日々を過ごしたことでしょう。ルターはそのような取組を一切否定し、信仰の究極的な権威は聖書であり、聖書と共に教会の権威を持つカトリックの思想に対立したのです。
ルターが唱える考えは、従来の信徒の信仰生活に大きなイノベーションをもたらしたことでしょう。洗礼とミサのみを残し、教会主導の不合理な活動は廃止、典礼はラテン語からドイツ語に翻訳され説教中心の内容になりました。修道士や聖職者の身分をフラットにして、自らも妻帯に踏み切ります。そして一般初等義務教育の概念を導入して近代の教育制度を打ち立てたのです
。
欧州におけるルターの宗教革命は、単にカトリックとプロテスタントの対立のみならず、政治、経済、国家、階級、教育、思想、文化などに複雑にからみ当時の世の中の変革に大きく寄与しています。ルターの「人は悪」、そのために「自我を消し、神に服従する考えや、ひたすら勤労することで神に服従する思想」は、やがて近代資本主義のベースを作ったと思います。
(ファシズムの台頭)
藤沢道郎著「ファシズムの誕生」には、1920年前後のイタリア政治や社会状況をドキュメンタリー調で描写されています。第一次世界大戦から主人公のムッソリーニを中心に三島由紀夫も傾倒したマルクス主義の思想家であるグラシム、長らく首相を務めたジョリティなど当時を代表する登場人物の考えを垣間見ることができます。ファシズムそのものは独裁の一種とされるみたいですが、その範囲は多数の議論がされています。ひとつの分かりやすい考えは、自由を反する思想です。
ユニークなのは、自由を求めて自由になったとたんに、なんだか息苦しくなっていく。だからと言って完全に共産的な取組も嫌だし、保守的な動きも嫌だ。そこで何らかのリードしている人の下に従属した方が気持ちが楽になる。というような考えがあったのでしょう。
フロム著の「自由からの逃走」はまさに自由の代償について論じた本です。封建社会の中にいる人々は、役割があり、その役割を全うする中で自由があった。しかし世の中の革命児の出現とともに毎度その制度が崩壊することで、本来籠の中の鳥としての自由が無くなり、鳥かごの外に出た瞬間に自分を律することができなくて混沌としてしまう。歴史はこのサイクルを繰り返しているのでしょう。
フロムの主張では、本来の自由の中に取り残された多くの人間の行動は次の3つに行きつくと言います。そのキーワードは権威、破壊、画一です。
(自由の代償)
権威は2つの方向性があります。完全に自由になれば、その自分の自由さに対して不安が生じます。その結果、社会的欲求が強くなり何かの組織に属したくなります。ファシズムの台頭が、当時ピシャリはまった理由は、個人が自由に開放された結果、今度は一気に不安になった背景があったと思います。
一方で、ある程度自分の主張ができる人は、周囲からの承認欲求が強くなり、自分の権威を使って組織化したくなります。どちらの方向性も人間が求める権威に対しての志向でそもそも人間は力以外のなにかにすがりたくなるのでしょう。
動物の世界では、この権威はおそらく力そのものだったと思います。近くの動物園の猿山は、「権威=力」です。リーダーは常に力を示し、組織を統率します。そのため力による序列があり上はNo1 から力の順番ができているそうです。ただ、あまり記憶が良くなく、時々No8とNo9が勘違いして喧嘩をして力関係を確かめるなどの行動が観察できる層です。また、当然No1は老いなど何かしらの理由でNo2に負けることがあります。人間の世界以上に、力で負けたリーダーの末路は悲惨だそうです。
人間は外部からの刺激を自分のアタマで解釈して動くことを覚えた結果、力以外の何かで自分達の強さを示すことができるようになりました。その結果、力に加えた権力が動物界よりもより発展していくことになったと思います。
2つ目は破壊です。自由に生きているはずが、なんだか不安になってしまう。ふと自分よりも自由に生き、周囲で活躍する人を見た瞬間から自分の自由に疑問を持ち、葛藤が始まり、嫉妬を抱くようになります。その時の人間の対応が破壊です。周りを悪だと認識した人間は、何らかの方法でその人を潰してしまう、或は危害を加えなくとも、その人の存在がなくなって欲しいと願います。この直接の行動や思想を持つことそのものが破壊の象徴です。逆に、自分を悪だと認識した人間は、自分の存在をこの世から消してしまいたい、自分がい無くなれば良いと考えてしまいます。やはりこの行動や同様に発想すること自体もやはり破壊の始まりです。
フロムの最後の主張は画一です。自分の考えを消し、ただただ周囲の考えに交じり、あたかも同じ自分を楽しむのです。周囲と自分が同じだと認識することで、周囲との相対的な比較が不要になり自分の均衡を保とうとするのでしょう。
思春期に自分を表現する若者が2種類いたとしたら、髪の毛を真っ赤に染めて突っ張るヤンキーと、流行を追いかけ朱にそまるマジョリティです。どちらも罪は無く、自由を手に入れたいが本来の欲求が結果的に苦しくなり、大多数の人間が画一に染まることで安堵を感じていくのです。若者を中心に同じような格好や言葉やスタイルを好む昨今、完全に自由になることへの恐れを抱いているとも考えられるのです。
(八百万の神にっぽん)
フロムが著書を書いた時期は1966年。今のスマフォ片手にコピペによってすべてが構築できる社会は、当時からすると画一世界の集大成でしょうね。デジタル化はモノゴトを完全にコピーし同じにすることですから、違いがでない。そのためにグローバル化により、世界を完全に一つやいくつかのパターンで統合できると考える権威保持者が出てきたのです。中世は王族や侍大将がエリアの統合を目指し、近年は企業が世界制覇を目指します。
すべてを統一化できるという発想自体、すべてのモノを均一化することができるという究極の過ちのような気がします。権威をかざせば、その権威の中で、昔の封建的な制度が復活して、その枠組の中で人々は安堵して生活すると。
考えてみると、この究極のポジションをとりがちな思想が絶対伸の存在か、多神教的な発想かにつながるのではと思います。今回の議論のスタートは宗教革命です。そしてその革命は一神教をベースに勃発しています。一方で日本古来の神はいたるところにあり唯一無二と考えません。西洋の思想は偶像崇拝の有無はあるにせよ、基本的に神はひとつです。この一神教と多神教の考えそのものに、思想としての根底に自由を与えるか否かが見え隠れしていないかと思います。
フロムの主張はその意味でも非常に興味深いです。自由からの逃走の果てには何があるかと言えば、「自発的な活動と世の中を結び付ける行為、そして他者に与えること」とフロムは表現していました。
自由にいきましょう。自由に表現しましょう。自由に作文して下さい。自由に創造してみて。きっと多くの人は、「自由」という何も無い空間に自分を置くことを創造すると急に怖くなり、結果的に何らかの制約条件の基で動くことに安心を求めるのでしょう。一方で、一定数はその自由が好きで何も縛られない世界を築くことに喜びを持つ人間もいるのです。
きっと後者の人間は、ある意味、覚醒しており悟りを開いた状態か何らかの神経メカニズムがマジョリティと異なるかなのでしょう。ただ自然の中にいれば花鳥風月があり、すべての景色は異なり、毎日が移ろうことを知っている日本人は、画一に染まることなく足るを知り、権威を示すことなく、権威に依存することもなく。周囲を破壊することなく、自分を潰すことなく、ありのままの自分で行動し思考し生きることができるのかな。
だけど、それが出来ないと思っているから苦しいのでしょうね。
個性を伸ばせと言う前に、受け入れる社会を創ろう。
2021年5月27日
早嶋です。
私が小学校の時頃から個性が大切だと聞かされた。が、実際に個性が際立つ人は、先生に目をつけられ個性を潰された。それでも自分の違和感やみんなと違うことに対しての息苦しさを誰かに気づいてもらいたかったのだろう。彼ら彼女らなりに表現をした。その方法は周りからすると「なんで?」となるが、彼ら彼女らからすると、それ以外の方法を他に知らなかったのだろう。髪を赤く染め、ちょっとだけ丈が短い、あるいは長い学ランを羽織り、ちょっとだけワタリが太い、あるいはちょっとだけ足首が細いズボンを履いて主張するのだ。明らかに寂しく、根底は誰からか注目してもらい、自分をわかってもらいたかったのだろう。
個性って、基本的に人と人を隔てるなにかとすれば、それは自然に自分に身についたモノだから、その個性は自分ではコントロールできないものだと思う。
私の髪の毛は、今日のように湿度が高くなると、ありえないくらい巻き出す。小さい頃は、この髪の毛が嫌で嫌で仕方がなかった。高校生の時にお金をためてストレートパーマをかけて登校したことがある。周りのみんなが直ぐに気づいた。「かけたの?」って。自分の中ではまっすぐ伸びた髪の毛をみて嬉しかったが、2日、3日もすれば髪が巻き始めた、相当強烈なくせ毛なのだ。
ある日先生に尋ねられた、ストレートパーマが取れたくせ毛がいい感じにパーマを掛けた風に見えたのだろう。当時の校則はありえないくらい個人の人権を無視していたので髪を自由にする権利など高校生にはなかった。「パーマをかけたろ?」と先生。「はい」と私。「だって髪の毛がクネクネしていてまっすぐしたかったら」と私。そして先生は笑った。なぜかと言えば、逆に捉えていたからだ。元々真っ直ぐな髪に、あえてのパーマをかけていると思っていたのだ。じみにパンチを食らったようでショックだった。実際は大したことでは無いが、髪の毛の話は当時の私に取っては大きな悩みだった。
しかしそれは私にどうにもできることが無いことで、一度それを受け入れることができればどうなるだろう。今のように、むしろ髪がクルクルしていると手入れをしなくて楽になるし。セットしてもしなくても、そもそも変わらないのだし、手間がかからなくて楽なのだ。
個性って人と人を隔てるなにかなのだから、当然に自然に身についたモノで、その個性は本人にもコントロールできないのだ。そこで個性を受け入れて、自分の特徴を理解することができれば、かなり楽になる。加えて、それは自分にだってどうすることもできないことだから受け入れる態度を取った瞬間に世界が変わりはじめるのだ。
しかし、次の困難がやってくる。他人が自分の個性を受け入れることをしないのだ。個性が大切といいながら、個性を潰す行動をとるからだ。その理由は、組織を管理したい大人が沢山いるからだと思う。自分の都合の良いように人を束ねて何かを成し遂げたいと思っているのだ。
例えば、世の中、個性を大切にしようと言っているが、実際に個性の集まりは管理することが難しいし、みんなの意見を聴いてなにかを進めようものなら、基本的に話がぐちゃぐちゃになってしまうから、何らかのタガにはめて丸め込みたいと思っている。と思う。ということで、ある程度の合理性っぽく見せた、見せかけのルールを作り、縛り、管理したいのだ。
そのため比較的おとなしい(このおとなしいのは静かだとかいう意味ではなくて、強烈ではない程度の意味で)個性の持ち主であれば、その枠の中にたまたま収まり息苦しさ等は感じないものとしよう。でもちょっとだけ他と比較したら強烈な個性を持っている人からすると、その枠の中に入ることすら耐えられないのだ。そして、その感覚は個人でもどうすることもできない。それが個性だからだ。
その時に、本人が本人の個性を知っていても、それを他人が見た時に、意図的にその枠から出ているのだと勘違いする場合が現時点では圧倒的に多いと思う。その他人はたまたま、枠の中に収まった個性の持ち主で、自分が当たり前で、他のみんなも同じようなものだと思っているかもしれない。その場合、ちょっとだけ枠から外れた他人をみると理解できなくなる。なんで枠の中に「収まらない」のだろうと疑問を持つのだ。ポイントは、収まらない人は意図的に、本人の意思で敢えてはみ出ているに違いないと推定してしまうことだ。
しかし枠から出ている当人は、それが個性の為せる技で、自分で意識してもどうにもできないことなのだから、結構大変なのだ。この困難を乗り切るためには、自分の個性を受け入れ、周りと自分が違うことを受け入れることにあると思う。
しかし、またここに困難が待ち受ける。それはみんなは同じだというところに属していると勘違いしていることで、何らかの安堵感を持っている人が多いからだ。米国の心理学者のマズローは言う。人は生理的欲求、つまり腹減ったとか喉乾いたとかを満たせば、次に安全の欲求を求めるという。家の中や敵から守られているなどだ。すると徐々に社会的欲求が芽生えてくる。何らかの組織や社会に属しているという欲求だ。ここで、人は自分は他と同じだと勘違いするようになったのでは無いかと私は思う。社会的欲求を満たすためには、自分の個性を殺して他と或いは他の組織の中に属しやすいような理想の勘違いの自分を想定して、そこになりきろう、収まろうとするのだ。そして、今たまたまその取り組みができた人が多数で、その取り組みができなかった人がアウトローと言われているのかもしれない。
だけど実際は違うのだ。その証拠は、人は常に幸せをもとめたり、常に他人と比較して自分の存在を認める節があることだ。ガリバーの話は秀逸で、小人の国に行ったときは自分が大きな人になり、巨人の国に行ったときは自分が小さな人間だと勘違いして性格まで変わってしまった。しかしガリバーはガリバーなのだ。
本当は、個人は個人で相対的な存在である必要が無いのに多くの人は絶対的な個人を持つことを苦手としている。だから常に自分自身と比較することなく、他人と比較してしまうのだ。ここが根本で息苦しさの理由になるのだ。
個性とは人と人を隔てる何かで、それは自分ではコントロールできない。自然に宿っているものだから。だから個人でもそれを理解して、個人の個性を受け入れる。そして他人に対しても他人の個性を理解して、次に受け入れる。みんな同じと考えないで、当たり前だけど違うんだよと受け入れることを始めたら、きっと世界はちょっとだけ行きやすくなるものだと思う。
ルール1:自分の個性を理解する(クルクルパーマを受け入れる)
ルール2:自分の個性はどうにもできない(ストパーをかけても基に戻る)
ルール3:他人も別の個性を持つことを気づく(ストレートヘアの人もいる)
ルール4:他人の個性を受け入れ、皆違うことを理解する(意図的に剃っている人もいれば、生えない人もいる)
ルール5:比較しない。みんな違うのだ。バカボンのパパのそれでいいのだ。は実に奥深しい。。
【動画】令和3年度長崎県市町村「地域づくりコーディネーター養成研修」マーケティング編
2021年5月26日
本ページは、令和3年度長崎件市町村で実施する「地域づくりコーディネーター養成研修」のマーケティング研修・収録動画研修のページです。
2021年7月7日に実施される研修に参加される方は、事前に以下の動画を視聴して下さい。
パスワードは別途事務局から連絡します。
【マーケティングの基礎動画】
漠然としたマーケティングについて整理を行います。はじめは、マーケティングの基本的な流れや考え方を整理する目的でBtoC(一般消費者向け)を中心に整理します。7月7日のワークショップでは、基本的なマーケティングの考え方を基に、地域づくりを考える上での演習をとうして理解を深めていきます。
①マーケティングの流れ
マーケティングのイメージやワクワク感を持って頂くために、これまでの変遷や定義についてインプットします。また、マーケティングには一定の型(R-STP-4P-CRM)があるので、その整理と理解を行います。こちらのインプット講座は、早嶋が熱を入れて語りかけています。マーケティングのスイッチが入ることでしょう。
URL:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5ea25885-e894-4fc0-a324-12f4a0106aeb
②顧客価値
顧客の価値を理解するために、ニーズとウォンツの整理。価値についても機能、感情、社会の視点を取り入れます。それから顧客視点で物事を考えることが結果的に事業の成功につながるかを整理してマーケティングの取り組み自体が顧客価値の追求であることを理解します。前回同様、早嶋の熱量たっぷりの動画です。
URL:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5ea270c6-95c8-419c-a811-3429a0106aeb
③顧客のゴール(R)
マーケティングと想像すると調査や分析と答える方が一定数います。こちらではマーケティングにおける環境分析やリサーチの目的や考え方について整理しています。
URL:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5ea7a0c6-bde0-4cc9-b5d8-138ba0106aeb
④顧客の決定(ST)
市場を定義するセグメンテーションと顧客ターゲットを選択するターゲティングについての説明です。従来は人口属性などをベースにセグメント分けしていますが、4つの属性グループを意識的に組み合わせたセグメンテーションが効果的です。
URL:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5ebe6205-939c-4a80-856d-2058a0106aeb
⑤提供価値の決定(P)
商品独自のドメインを決定して、独自の提供価値を決めるポジショニングについての説明です。ポジショニングは、マーケティング活動を行う中でも非常にワクワクする取り組みの一つです。
URL:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5ebe622d-f75c-4588-9abc-0b18a0106aeb
⑥実行策の構築(4P)
これまでのR-STPを踏まえて、商品や価格、そして流通やプロモーションについての大きな方針を立てることについて説明しています。4Pのフレームワークは非常に重要ですが、ポジションを意識しながら全体の4Pの整合性をつくることがマーケターの醍醐味です。
URL:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5ebe710a-9e94-4a5f-a8ee-0b15a0106aeb
⑦顧客のマネジメント(CRM)
成熟市場では新規顧客の開拓よりも既存顧客と関係性を深めて、生涯にわたって顧客のあったらいいなを解決することが大切です。そのために顧客を管理してマネジメントする考え方について整理しています。
URL:https://app2.gemediar.net/movies/preview/5ebebcf9-6708-4ba0-8b60-0b18a0106aeb
マーケティングが面白いな!という方は、更に次のジョブ理論の動画も参考下さい。なお、こちらの動画は必須ではありません。
早嶋聡史の実践「ジョブ理論」の動画はこちらをクリック下さい。
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