新しい取り組みを組織に取り入れる際の落とし穴

2017年1月18日 水曜日

早嶋です。

新しい取り組みや、これまでと違った方向性を組織で試す場合、いくつかの困難があります。

例えば、一時的な売上の減少です。モノ売りからサービスにビジネスモデルを切り替えるとします。当然ながら、これまでと売上の仕組みがことなりますので、初年度の売上が減収になります。その際は、財務担当と対策を考えながら対処をする必要があります。パーク24は駐車料金をオーナーと折半していましたが、サービスに切り替える際に売上を一度全額パーク24で計上して、その後オーナーに定額支払をするという対処方法を取っています。対策に対してはゼロベースで考えるもいいですし、過去のケースや他者の事例などを研究することも必要ですね。

当然、皆が新しい方法を望むとは限りません。中には古い戻るに固執する人がいます。特に古参の営業や経理は変化を望みませんので反発が予測できます。スルガ銀行は法人営業主体のビジネスモデルから個人に切り替える際に同様の反発があったと思います。ガリバーやスター・マイカなどの不動産ビジネスも個人に売却したほうが、足元を視ることができるので利幅が大きいと思っていたはずです。ここには何故そのような仕組みを導入することで皆がメリットが出るのかを、根気よく説明する必要があると思います。

上記のような困難を避けるために、新しいやり方と既存のやり方を共存したいと思う経営者もいると思いますが、これは失敗する可能性が高いと思います。例えば、ファイザーは同じ母体で新薬とジェネリックの商売をはじめましたが上手くいきません。ノバルティスも同様にジェネリックをはじめていますが会社としての箱を別にしています。航空会社のコンチネンタルも既存のビジネスに加えてLCCを開始しましたが上手くいきません。同じように全日空はLCCを始める際は、ANNと明確に区別するためにブランドをピーチとしてはじめています。基本、モデルが違うのでその理念や根本的な物の捉え方、考え方が異なりますので、できればこれは別の箱で行うか、どちらかに集中したほうが結果的に成功の確率が高まります。

自分で考えることが苦手な組織は他者の模倣をすることもあるでしょう。が、本質的な部分をコピペできずに失敗する事例が多々あります。例えば電力会社が通信事業を開始しましたが上手くいきません。商売としては理解できたでしょうし、インフラを整えることもできたでしょう。しかし電力ビジネスの時間軸と通信ビジネスの時間軸ではスピードが全くことなります。これは技術や意思決定のスピードで、元々ゆっくり行っていた文化の人がビジネスを変えてもそうそうスピードが早くなることはありません。銀行業務を行っている人が証券業務を行う場合も同様に失敗が多数観察されました。銀行マンは1円単位のお金を気にしますが、証券マンはM円単位で考えます。ものごとの捉え方や価値の尺度、正確性、視点の違い等が銀行と証券では全くことなります。似ていてに非なるということが世の中多々あるのです。

これらをヘッジするためには、新しい取り組みをしたいのであれば、専門の組織をこしらえる必要があります。この組織は兼業はいけません。部門としては研究開発、マーケティング、経営企画の派生になると思いますが、それぞれ一長一短があります。

研究開発の場合は、川上から利益モデルの構築が可能ですが、エンドユーザーと遠いのでモデルや取り組みが抽象的になりがちです。マーケティングの場合は、ユーザーの声が入り具体性が高くなりますが、収益モデルが後になり部分最適になる可能性があります。経営企画は全体最適で動いているのでうまくいきそうですが、これまで利益責任を持たなかったが故に情熱が少ないということもあります。

いずれにせよ、何処の部門が担当してもプラスとマイナスが必ずあることを理解した上で、すすめる。マイナスは意識的にトップがヘッジすることが大切だと思います。



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