フィッシュ&チップス

2008年5月7日 水曜日

早嶋です。



先日、都内のレストランを探していたときの話です。知人のお勧めで某有名レストラン系列の英国料理を紹介していただき予約しました。しかし、英国料理。さてさてどのような料理が出るのか皆目検討が付きません。がんばってもローストビーフ以外出てこないのです。



fish & chipsジョークで、フィッシュ&チップスが出てくるんじゃないの?と考えていました。と言うのは、英国の庶民の味といえばフィッシュ&チップスだからです。安価なジャガイモと北海産の淡白な白身魚を油で揚げて、モルト酢やケチャップをつけて食べる定番です。



しかし、フィッシュ&チップス。昔の鯨料理のごとく庶民の食べ物から急変して高級食品に変わる可能性が出てきています。その背景は、白身魚、特にタラの漁獲量が激減して価格が高騰しているからです。



ためしにフィッシュ&チップス(タラとポテト)の定番の組み合わせの価格を調べて見ました。現在の平均価格は5ポンド(約1000円)を超えています。実に、2000年以降で約3割も上昇しています。ロンドンにいる友人にメールで問い合わせたところ中心部では7ポンド~8ポンド(なんと1400円~1600円!!)するところもあるそうです。個の価格、もはやファーストフードの域を超えています。



過剰漁業でマグロ問題は有名ですが、1950年頃より現在に至るまで、普段食べている鮭、タラ、カジキ、オヒョウなどの海洋食物連鎖の頂点に立つ大型の魚の約9割が既に採りつくされていると考えられています(グリーンピースHP参照)。



大西洋のタラは新大陸発見の頃には、バケツですくえるほど沢山いたと言われていたそうですが、70年以降漁獲量が減り始めました。乱獲によるタラの減少は北海やバルト海でも同様に起こっているのです。そして、太平洋のタラ・・・。タラが減少したら、代替魚のコダラやオヒョウも乱獲の対象となりやはり深刻化しています。



乱獲が起こった背景には、もう一つ、食の変化も影響しています。ジャンクフードとして考えられた白身フライですが、調理方法によってはヘルシーではないか?と。白身魚自体はそもそも低脂肪高たんぱく質ではないかと。そして健康に気を使う富裕層がこれまで見向きもしなかったフィッシュ&チップスの素材、タラなどの白身に目を向けだしたのです。



これは、近年のマグロの消費増加と似た傾向です。これまで日本人しか食べなかったマグロですが、欧米や中国での和食ブームと合い重なって世界中のマグロ胃袋が増大しています。



これまで労働者や低所得者の味方であったフィッシュ&チップス。世の中の変化によって高級食となりうる日がやってくるかも知れません。



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