定番のススメ

2022年1月24日 月曜日

早嶋です。

競争戦略のゴールは長期的に利益を追求することだ。そのための手法は、売上−費用=利益より、売上を上げる方向性の取組か、費用を下げる方向性の取組しかない。

その議論を深めたのがポーターのポジションベースの考え方で、売上を上げる方向性の取組が価値を提供して差異化を図る取組。費用を抑える方向性の取組が、企業のサプライチェーンやバリューチェーンの全体、あるいは一部にフォーカスしてコストを下げる仕組だ。どちらかで最終的に何らかの違いを提供できた企業は競争に生き残るという考えだ。

そう、企業はそのために徹底的に違いを創ることに躍起になっている。そして、実際に上記のとりビジネスモデルそのものに違いをもたせることは意外と大変で頭脳を使わなければならないし時間もかかる。そのために企業は手っ取り早く、矢継ぎ早に商品開発して「違いを演出しよう」とする。

結果、我々の日常には嫌というほど商品の選択がある。特に、はじめて購入する際、ジャンルを選び、そのジャンルからいざ商品を選択しようとするとうんざりする。これはネットの世界で顕著だ。代表例はアマゾン。いちいち商品が無数に出てくる。そしてレビューを参考にしようも、これまた当にならない。(というか、最近のアマゾンは最低だと思う。マーケットプレイスなのでしょうがないが、ナショナルブランドの優良な商品が中国製とかどこの企画商品かもわからない商品に埋もれてしまい購入を妨げている。どうにかして欲しい。ということで、モノタロウやヨドバシカメラでの購入も私は行っている。)

これは現実の世界でも同様だ。スーパーに行けば、彩り豊かな色彩の中、一つの棚に同様のカテゴリの異なるポジションや同じポジションでも無数の代替商品がずらりと並ぶ。その背景には、消費者の嗜好を追求した企業の声が聞こえてくるが、その検証をしたほうがよいのではないか?と。

米国コロンビア大学のシーナ・アイエンガー著の「選択の科学」(文藝春秋)によると、選択しが多すぎると人は選択を諦め購買に結びつかないことが結論付けられている。例えば、6種類のジャムの試食後の購買と24種類のジャムの試食後の購買を調べた結果、6種類の場合は3割が購入し、24種類の場合は良い感想を残したにもかかわらず購買は実に3%だった。端的な結論は選択しが6種類を超えると選択した結果の間違いが気になって購買を諦めるというものだ。

私は特に優柔不断で昼ごはんのメニューが多いと思考が停止するときがある。特に困るのが自動販売機だ。定食屋なのに選択しがそもそも多すぎる。肉か魚程度で選ばせてほしいのに、いちいち細かい。日本人のエンジニアが作って、顧客の動作なんか検証をしていないような自動販売機があったら買うことを戸惑い、極端なときはお店に入ることをためらってしまう。特に、後ろに人が並ばれたら最悪だ。

世の中が満たされる前は、色々試して選びたかったのかもしれないが、そもそも成熟して、そんなに新たなモノが欲しいと思わない世の中は、選択すること自体が嬉しくないのでは無いかと思う。

近くのスーパーに行くと、トマトだけでも何種類もあり、その違いがよくわからない。みかんも昔はすべてがみかんだったのに、今はいちいち銘柄が沢山ある。みかん芸人、家電芸人、トマト芸人。もやは彼ら彼女らにネタを提供するために、こんなに沢山おいているのだろうか?と思うほどだ。

繰り返すが市場はコモディティ化している。企業は競争戦略の基本戦略を取り入れ、一生懸命違いを演出しているが、正直顧客が理解できる範囲内での違いはどこの商品もあまり見いだされていない。そのため商品が多すぎると逆に選択するための労力がかかることを小売やマーケットプレイスはもっと理解しようとしても良いと思うのだ。

この手の議題は、「選択のオーバーロード現象」として議論されることが多い。商品ラインナップを増やす、多くの商品を提案したい一派の考えはこうだ。商品のこだわりが強い消費者は商品の選択に対して苦を感じないと。

総合的に私の考えを書いてみる。市場をマスで捉えるのは違うかもしれないが、やはり成熟した世の中だ。皆不足した状態ではなく、ある程度充足されている。やすさを提供するか、そこそこの差別化された商品を提供するかの戦略を選んだとしよう。前者のコストでも、後者の差別化でも選んでしまったら、カテゴリ毎の選択肢は最大6、できれば3択か2択で勝負をするようなスーパーがあっても良いと思う。

Theなるショップ(https://the-web.co.jp/vision/)がある。ここのコンセプトは選択が大変なので、百貨店ならぬ一貨店なる取組をすすめる店だ。つまり究極の定番を生みだし、あるいはすでに世の中の定番を一つだけ選択肢て消費者に提案する取組だ。実際は、「カテゴリに対して結構展開しているじゃん!」と突っ込みたくなるが大きなコンセプトとしては素晴らしいと思う。

本来車も、すっ飛ばすか、ガタガタ道か、普通に乗るか程度の選択肢で良かったと思う。テスラも最初はシンプルで良かったけれどやはり大きくなるとラインは増えるのだろう。それでも他の自動車会社からするとはるかにシンプルだ。それが僕は好きだ。

因みに私の定番は、
靴下:ハリソンのホーズ(長い靴下)
シャツ:イケイケシャツ:馴染みの仕立て屋さんの池田さん作
ジャケット:T-JACKET
靴:クロケットアンドジョーンズのブーツ
Tシャツ(下着)とパンツ:ユニクロ
ドレスウォッチ:日常はPDCH、晴れの日はブレゲ
ペン:手帳はフリクション
ペン:アイデア出しはぺんてるのサインペン
メガネ:ポテトメガネのビスポークで濱崎さん作
リング:PDCHのビスポーク
出汁用の鰹節:福岡市西区の仲西商店
まな板:福岡市西区のお魚天国の駐車場のまな板売りのおっちゃんお手製の銀杏の木
緑茶:八女茶のこのみ園
スピーカー:八女の城後仏壇のJOGOスピーカー1号
ジーンズ:岡山の児島にある桃太郎ジーンズ
ランニングシューズ:きねやのランニング足袋無敵
財布:福岡西公園近くのガラント
で、上記は10年以上使っているはず(鰹節のみまだ1回目)。



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