M&Aを行う、これから行う実務担当者に向けてのメッセージ、その4

2021年4月28日 水曜日


早嶋です。

何度かに分けて、これから、或は既に企業のM&A担当者として実務を行っている、或はこれから行う担当者に向けてのメッセージです。協会の取組を紹介しながらも、考え方やとりみ方、そして騙されない考え方や失敗を防ぐ取り組みについて紹介しています。

さて、買い手の担当者としてどのような心構えを持つと良いのでしょうか。ここからの考えは、本来アドバイザーの会社を支援する立場からすると若干の矛盾を生むかもしれません。しかし、実際に11年以上活動を通じている中で、買い手、特に大手企業の場合は、やはり案件を自分たちで探すことを推奨します。

まずは買収ありきはNGです。自社の戦略や方向性を明確にした上で、経営陣トップが責任を持ってM&A部隊の意義を理解しておく必要があります。その上で自社の経営資源や時間を鑑み、M&Aを選択することを半年に1回程度はすり合わせをするべきです。そして、状況に応じてM&Aを活用するというのが正しいと思います。M&Aは戦略ではなく戦術であって、戦略が先にあって、それらを補うためのツールでしかないのです。

M&Aアドバイザーの会社は手続き業務は慣れています。百戦錬磨で毎回タフなM&Aの手続きを管理して成約まで導いているからです。しかし、実際の業務内容においては買い手が精通している場合もあります。むしろ買い手が良く分からないエリアに投資をする場合は、確実にその事業は上手くいかないでしょう。そういう意味で買い手は本来は事業の内容に対して理解を示せるエリアに投資をした方が良いのです。そのように考えるとM&Aの実務はアドバイザーの会社が行うのでなく、M&Aのことについてはアドバイザーに整理をしてもらい適宜自分たちで行う方が実は筋が通ると思うのです。

前回も指摘差し上げましたが、買収ありきでなければ業務提携から緩やかに関係を構築しても良いのです。実際に小さなプロジェクトを一緒に行い、双方の能力や関係性を確かめてから資本提携をするか否かの判断をしても良いのです。資本提携ありきで話を持ち込みので感情のもつれができあがり、変な方向になることだって考えられます。

我々が出している結論はまた時代の状況に応じて変わるでしょうが、一方で、買い手企業の大手は、自分たちで取り組む内容を増やすべきだ。という主張の中でもう一つメッセージがあります。それはトップやM&Aの実質的な意思決定をする役員は、最低でもM&Aの背景やメカニズム、一連の流れを知識としてインプットしておくことです。担当の部隊が理解を深めても、知識不足で大事な経営判断を誤る。あるいは理解できないことだってあるでしょう。それでは不適切です。

協会では、そのような立場の方々に対してのレクチャーもさせていただいています。そしてその重要性は今後も主張させて頂きたいと思っています。



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