最終提案ゲーム

2007年12月12日 水曜日

早嶋です。



朝から東芝の本社にお邪魔して、来年させていただく研修の打ち合わせ。大企業の受付は、世界各国の人々で随分とにぎわっているものですね。



さて、世の中、合理的な判断で全てにおいて意思決定をされているか?というとそうではありません。前回紹介した、Winner’s curseでも書きましたが、時に合理的な意思決定と思えない場合が多々あります。そのような考えを現在進行形で体系的に整理している研究が、行動経済学。今回は、その中にも登場する最終提案ゲームについて触れてみます。



最終提案ゲームとは、次のようなゲームです。Aは手持ち資金のX(X=1000円)を自分と見知らぬ他人Bに分配するゲームです。ルールは、AがBにお金(x)を分配して、Bが拒否することなく受け取った場合にBに支払った差額(X-x)を報酬としてもらうことができます。



例えば、Bに300円(x)を分配し、Bが受け取った場合、Aが受け取る金額は700円(X-x)になります。と言う事で、最終提案ゲームの合理的な結論は、以下のようになるはずです。

 

 1)配分者Aはかぎりなくゼロに近い分配額を提示する

 2)受け手Bは、金がゼロでなければ全ての提示を受け入れる



しかし、上記のゲームを繰り返すと、分配する人の提示額は手持ち資金の30%~50%程度に収束し、逆に、低い提示額を受けた受け手は受取拒否をする。という結果になります。提案者は分配に対して拒否されることを恐れ、甘い傾向がでます。一方、受け手は、提示額が低い場合、「はした金の提案を取り下げて、とっととうせろ!」といったプライドの部分が強く強調されるのです。



わかっていても合理的な行動を取れない。実は、合理的な行動の方が限定的で、感情によって意思決定をされる部分が多くあるのではないでしょうか?しかし、このような不合理性を取るバイアスを知っているのと、知らないのでは、意思決定において重要な意味を持つでしょう。



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