営業の在り方を考える

2020年6月3日 水曜日

高橋です

毎月この1か月間にお会いした人、会社の中から、私が選ぶ The most impressive Meeting(最も印象に残る出会い)を皆様にご紹介してまいります。

今月もコロナ自粛ということで書籍を紹介します。三戸政和さん著「営業はいらない」(SBクリエイティブ株式会社)です。テーマは「営業の在り方を考える」です。

とても目を引くタイトルの本です、ドキッとした現役営業マンもおられるかもしれません。著者の三戸さんはベンチャーキャピタリストとして、多くのベンチャー企業を見てこられました。またM&Aも数多く手がけ「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」という本も出版されています。もし一から起業を考えておられる、もしくはM&Aや事業領域拡大を考えておられるなら、こちらも参考になるかもしれませんのでよかったら読んでみてください。

今回、この本を紹介して賛成(営業は不要)もしくは反論(営業は必要)を論じようというわけではありません。この本から営業を取り巻く最新ビジネスを学び、今後の営業の「在り方」を考えるきっかけになればと思います。ということで、本の概要のみ紹介します。

まず三戸さんは10年後には営業という概念がなくなると言います。理由はAmazonやGoogleに代表されるAIを使ったセールステックの進歩です。

Amazonで買い物をすると、「これを買った人はこんなものも同時に買ってますよ」とか「あなたへのおすすめ」など、購入履歴に合わせて色々勧められます。つい買ってしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このセールステックが進化すると、購入履歴だけでなくサイトの閲覧履歴、SNSの投稿履歴、位置情報などから生活、趣味、嗜好をAIが分析し最適なモノを勧めてくれるようになります。そこには一切営業マンは介在しません。これが営業はいらなくなる根拠です、営業がテクノロジーに置き換えられるというわけです。この流れはBtoC(個人客相手)のみならずBtoB(法人客相手)でもすでに起こっています。

しかし三戸さんは営業を駆逐しようというわけではありません。今後、営業マンがどう生きるべきかも示唆しています。それは経営者になること、それも自ら戦略を立て自ら決定できる自由な「小商い」を行うことだと言います。営業マンはそもそも経営者に向いている、なぜならコミュニケーション力、問題解決力、行動力が備わっているからだと。ここにきて、私も含め多くの営業マンが喜ぶ内容になってきました!

以上が大変ざっくりで恐縮なのですが、本書の概要です。いかがでしたでしょう?色々なご意見があることと思います。

そこで私の考えを述べます。
私は営業がテクノロジーの進化によってなくなるかどうかは分かりません。ただセールステックにより、まずは「不要な営業マン」と「必要とされる営業マン」に極端に二極化すると考えます。

営業の仕事をただ「モノを売ること」と定義していれば、すでにネットの方が便利で早いと思います。いわゆる御用聞き営業はますます不要になるでしょう。

しかし、営業の仕事を「お客様の問題解決すること」と定義していれば、必要とされるのではないでしょうか。
お客様がどのような問題・課題を抱えているか、ご自身でも気付いていない課題を浮き彫りにし、自社の商品・サービスを通じて解決策を提案する。それが成立するためには「あなただから話すけど」「あなたが言うなら任せる」という人と人の信頼関係が土台にあればこそだと思います。ロマンティック過ぎるでしょうか?

私はコンサルティングや研修を通して、そのような「必要とされる営業マン」の育成や成長に貢献したいと考えています。営業という仕事の本質を理解いただき、現場で活用できるスキルやノウハウを身に付けていただくと、きっとお客様から感謝され営業が楽しくなると信じています。

最後に私事ですが、後半の営業マンが少数精鋭型「小商い」をするべき、という意見にとても同感しました。本書の中に「戦略立案の自由」という言葉がありますが、私は「全て自分で決めて、全て自分の責任」を求めて独立しました。

「自らの果たすべき貢献は何かという問いからスタートするとき、人は自由となる。責任を持つがゆえに、自由となる」 by P・F・ドラッカー


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