パラダイムシフト

2007年5月13日 日曜日

早嶋です。



「パラダイムシフト」、最近、売れているゲーム、Wiiのヒット要因はパラダイムシフト。このようなニュアンスの表現を、Wiiのプロモーション等で任天堂社長の岩田氏が発言しています。



1962年の発表の論文、「科学革命の構造(トーマス・クーン)」によって、「科学の歴史は常に累積的なものでなく断続的に革命的なもの」という表現でパラダイムシフトという言葉が使われるようになりました。



ボストン・コンサルティングの内田氏は、パラダイムのことを、「ゲームのルール」として分かりやすく説明しています。例えば、マーケティング・マイオピアの事例でよく取り上げられるアメリカ道路協議会の命台詞、「長距離移動の手段として、自動車が鉄道にとって変るなどと考えるのは、たわいも無い夢である」、が分かりやすいと思います。



実際、自動車の発展は、現在を見れば明らかですが、当時としては、「鉄道=長距離移動」、というルールが存在していたのです。実際、この認識を貫き通した鉄道運送会社はモータリーゼーションの到来によって、見事に巻き返されたのです。もしこの会社が、自社は運送が企業の守備範囲(ドメイン)なので、鉄道でも自動車でも、運ぶための手段にはこだわらない、というルールを持っていれば、モータリゼーションに柔軟に対応して拡大をすることができたかも知れません。



話しをWiiに戻しましょう。Wiiにおける、パラダイムシフトとは何なのでしょう。私は、次の2つだと思います。



1つは、シンプルになったこと。これまでのゲームは発売される度に複雑になっていました。処理性能至上主義といっても良いほど、どんどんこったゲームが発売されました。ゲームやゲーム機の進化は、CPUなどの性能向上の歴史であった感もあります。一方、Wiiは、タッチパネルや異質のデザインで新しいゲーム体験を提供することに力を注いでいます。そのため、ゲームの内容もシンプルなものが多いですね。



2つ目は、コミュニケーション・ツールとしての価値観を提供していることです。WiiのCMを見ると分かるように、常に誰かと遊んでいる姿をイメージさせる映像を流しています。これは、Wii自体がコミュニケーション・ツールとしての位置づけがあるからです。Wiiの機能である、「みんなの似顔絵」や「みんなで投票」などは、その特徴が著しいゲームですね。



上記の2つによって、これまでゲームを行わなかったユーザー(ブルーオーシャン流に表現すると非ユーザー・グループ)もとりこんで、現在はシェアを広げていますね。



任天堂の岩田氏が睨んだ、「パラダイムシフト」、大成功ですね。



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