コーセーが好調の理由

2017年5月9日 火曜日

早嶋です。

化粧品業界、コーセーの営業利益が突出しています。2017年3月期のコーセーの連結売上は2,667億円、連結営業利益は391億円。決算期が異なりますが、資生堂の売上は2016年12月期で8,503億円、営業利益は367億円です。3倍近い売上を誇る資生堂の営業利益をコーセーは上回っています。

コーセーの躍進の1つの理由は、急成長しているブランド、タルトでしょうか。今回の決算期から連結対象として決算期に加えています。2016年1月から12月の売上が円換算で凡そ280億、営業利益率は3割の84億円です。年間ののれん代の償却が13億程度なので70億の利益貢献をしていることになります。

コーセーはタルトを2014年に130億円程度でM&Aしています。1980年から1990年代生まれのミレニアム世代をターゲットにした自然素材だけどカラフルなポジションの化粧品で、日本では未発売です。

タルトはインスタやYoutubeやツイッターを活用した事例で注目されています。インスタのフォローワー数は、現在時点(2017年5月8日)で652万人。インスタ1回の投稿に写真だと数万単位の「いいね!」がつき、動画だと数十万単位の「いいね!」がついています。

化粧品業界は売上に占める広告宣伝費が高く、コーセーでも7%程度を費やしています。タルト単体でどの程度の広告宣伝費を使っているか分かりませんが、マス広告に頼らない手法を確立しているかも知れまえん。だとしたら、このノウハウを本体にも投入できるかは期待できますね。

SNSはメーカーが情報を発信するだけではなく、ユーザーからも発信されます。インスタやYoutubeなどは、化粧品マニアや素人だけど参考にされるユーザーが数多くいて、そのユーザーが積極的に情報を発信することで、ドンピシャのターゲット世代にリーチします。かつコストは安価。著名人が明らかにお金をもらって宣伝している商品よりも、タルトのターゲット世代には素人やアルファブロガーなどの方々の評判が良いのでしょう。実際は、この世界も大夫大きなお金が動いていますが。

更にSNSの手法が良いのは、瞬時に地域や国を越えて世界中に情報が広まることです。タルトのチャネルは米国や英国を中心に実店舗を展開して、180カ国地域に対してEコマを提供しています。コーセーの決算資料によると16年のEコマの売上は2割り程度みたいですが、今年度は更に伸びるのでは無いかと思います。

因みにコーセーのPERは割安。現在の株価(11,440円)でも初年来高値圏ですが、それでも約27倍。ポーラが28倍、ファンケルが29倍で資生堂が46倍。そう考えると、もう少し株価が上がっても良いのでは?という気もします。



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