グリーンメーラー

2007年2月20日 火曜日

早嶋です。



—日経の抜粋—

甘利明経済産業相は20日の閣議後の記者会見で、米系投資ファンドのスティール・パートナーズによるサッポロホールディングスの買収提案について「今回の買収が企業価値を高める目的なのか見守る」と述べた。過去にスティールが株を買い占めて高値で買い取りを迫るグリーンメーラー(乗っ取り屋)的な動きをしたことがあると指摘し、スティールへの警戒感もにじませた。

–抜粋終了—



本紙で述べているグリーンメーラーとは、企業の株式を買い集めて、その企業や関係者に高値で買取を迫る買収者をさす言葉です。サッポロビールの持ち株会社であるサッポロビールホールディングスは、米国の投資ファンド会社であるスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドから、株式の66.6%を取得するという買収提案を受けています。



スティール・パートナーズは投資ファンドなので、上記の買収に成功しても直接経営に携わることは考えにくいことから、転売によって利ざやを稼ぐことが目的だと考えられます。同社は、昨年の秋に明星食品に敵対的TOB(株式公開買い付け)を実施し、ホワイトナイト(※)に名乗りを上げた日清食品に全株を売却して約36億円の利益を得ています。紙面でのグリーンメーラー的動きというのは、上記の内容も含んでいます。



スティール・パートナーズがサッポロに目をつけた理由は、株価が割安だったことが理由と各紙面にあります。この背景は、以下の2つが大きいと感じます。

1)ビール市場が縮小する中、高級ビールは伸びており、サッポロはエビスを保有している。

2)子会社が運営している恵比寿ガーデンプレースの家賃収入が安定的に見込める。



それでは、サッポロはどのように対応するでしょう。サッポロの防衛策は、20%以上の株取得を目指す買収者に対して情報提供を求めます。それから、社外の委員会が乱用目的と判定すると、新株予約県を発行して、買収者の株式保有比率を低めて防衛する手段をとります。



明星と日清のようにホワイトナイトの出現も可能性としてはあります。しかし、そのメリットを考えると少ないと思います。サッポロは、ビールのシェアが約13%で首位を争うビール2社(アサヒとキリン)はそれぞれ、37-38%。どちらかが、サッポロと組めば国内での存在感は増し、価格競争など流通では強い立場に立つことができるでしょう。しかし、国内のビール類市場は右肩下がりで、高級ビールの伸びを考えても、シェア意外のメリットは少ないです。更に思惑買いによる株価の高騰で、投資効果に見合った提携効果を、どの会社とも株主に説明するのが困難だと思います。



サッポロに関しては、すぐに資本提携が合意という展開は少ないでしょう。買収防衛に徹するか、他社の支援を仰ぐのか、動向を追っていきたいと感じます。



(※)ホワイトナイトは、敵対買収を仕掛けられた対象会社を買収者に対抗して、有効的に買収、または合弁する会社のことを指します。



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